JPH1148343A - 発泡成形方法 - Google Patents

発泡成形方法

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JPH1148343A
JPH1148343A JP9206449A JP20644997A JPH1148343A JP H1148343 A JPH1148343 A JP H1148343A JP 9206449 A JP9206449 A JP 9206449A JP 20644997 A JP20644997 A JP 20644997A JP H1148343 A JPH1148343 A JP H1148343A
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JP
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pressure
steam
chamber
raw material
fusion
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Application number
JP9206449A
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English (en)
Inventor
Shuji Soga
修治 曽我
Kiyotaka Ida
清孝 井田
Akemasa Shimazaki
明正 嶋崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
OSAKA FIBRE INDUSTRY
Daisen Industry Co Ltd
Original Assignee
OSAKA FIBRE INDUSTRY
Daisen Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予備排気工程、融着加熱工程において、過熱
現象を防止し、発泡状態の均質性を向上させるととも
に、工程サイクルタイムの短縮化を可能とする。 【解決手段】 スチームの最高圧力を予め設定した第1
圧力設定値以下に制御して、スチームをチャンバ内およ
び発泡性原料ビーズ間の空気と置換する予備排気工程
(イ)〜(ト)と、チャンバ内の圧力を予め設定された
第2圧力設定値に昇圧し、前記発泡性原料ビーズ相互を
融着させる昇圧融着工程(チ)と、チャンバ内の圧力を
低下させ予め設定された第4圧力設定値に保持しながら
発泡成形体の表皮の形成を完成させる仕上げ加熱工程
(リ)を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡ポリスチレン
樹脂製の断熱性の生鮮食品保存用または運搬用容器ある
いは建設用型材、または断熱床下地材などを製造するた
めの発泡成形方法に関するものであって、特に最も重要
な工程である発泡性原料ビーズ相互を融着させる工程を
中心とした排気工程、昇圧工程および仕上げ加熱工程の
改良に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の背景となる発泡成形方法の概要
を説明すると、この発泡成形に用いられる金型装置の配
置は、図5の断面略図に示すように、発泡製品が充填成
形されるキャビティ1を形成するよう、雄型となる凸型
インサイド31と雌型となる凹型インサイド21が対向
配置されるとともに、凹型インサイド21は固定され移
動できないが、凸型インサイド31は、図5のように凹
型インサイド21内にキャビティ1を形成した状態から
水平に移動(図5では右方向へ)し、成形された発泡体
を取り出すことができるよう移動可能に配置されてい
る。このインサイド21、31には、後記の加熱用スチ
ームが通過できるよう無数のベントホールが透設されて
いる。
【0003】また、これらインサイド21、31の裏面
側には、フレーム22、32と裏板23、33が設けら
れ、スチームなどの用役が供給される固定側チャンバ2
と移動側チャンバ3が形成されている。なお、この事例
では、フレーム22、32の上部には、上部用役口2
4、34が、下部には、下部用役口25、35が配設さ
れていて、上部用役口24、34には、加熱用スチーム
が供給されるスチーム弁41、51が接続され、下部用
役口25、35には、減圧タンクまたは減圧ポンプに連
なる吸引弁42、52および用役を排出するドレン弁4
3、53が接続されている。
【0004】このような発泡成形用金型装置において、
金型装置の閉盤、予備発泡させた発泡性原料ビーズのキ
ャビティ1内への充填、発泡性原料ビーズの加熱、金型
装置の冷却、金型装置の開盤、発泡成形体の取り出し等
の工程、手順で操作され、所定の発泡ポリスチレン樹脂
などからなる発泡成形製品が生産される。本発明は、こ
のような発泡性原料ビーズの加熱処理の工程の改良に係
るものであり、従来から知られているこの工程について
さらに詳細に説明する。
【0005】特開昭57−174223号公報には、図
6の工程図に示される加熱工程が記載されている。図中
(a)(b)(c)(d)は、金型内の空気をスチーム
と置換するとともに、原料ビーズ間の空気をスチームと
置換するための予備排気工程を示し、(e)は、原料ビ
ーズを融着させるための融着加熱工程を表示している。
この図では、黒塗りつぶしの弁記号は閉鎖状態を、白抜
き弁記号は開放状態を示す。
【0006】それによると、(a)キャビティ1内に発
泡性原料ビーズを充填した後、ごく短時間、スチーム弁
41、51を開き、0.7〜1.0kg/cm2 程度の
スチームをチャンバ2、3に供給するとともに、吸引弁
42、52を開いて金型内の特にチャンバ2、3内の空
気を吸引排出する。この場合、次の(b)工程で原料ビ
ーズ間の空気を短時間に排出できるように、原料ビーズ
間にも一旦スチームを侵入させるのが好ましく、このた
め、チャンバ2、3内をスチームでプラス圧に高めるよ
うに、前記スチームをタイマーで定めた所定短時間、例
えば2〜5秒間、供給するよう設定されている。
【0007】(b)次に、スチーム弁41、51を閉じ
て、吸引減圧操作を継続する。かくして金型内を減圧状
態にすれば、原料ビーズ間の空間に存在していた空気も
両側のインサイドに設けられているベントホールを経由
して吸引され排出される。この操作(b)は、タイマー
により3〜5秒間継続され、チャンバ内圧力はマイナス
0.5kg/cm2 程度の減圧状態に到達するよう設定
されている。
【0008】(c)次に、金型内をマイナス圧の減圧状
態としたところで上記の吸引弁42、52を閉じて、一
方のチャンバ3側のスチーム弁51を開いてタイマーに
より短時間、例えば3〜5秒間程度、スチームを供給す
る。この場合、チャンバ3に供給されたスチームは、キ
ャビティ1内の原料ビーズ間を透過して反対側のチャン
バ2に流入することになり、原料ビーズ間に僅かに残留
していた空気もスチームと置換されると同時に、金型各
部が加熱されることになる。そして通常は、スチームが
供給されるチャンバ3は、プラス圧、例えば0.5kg
/cm2 程度に達するが、反対側のチャンバ2は、0.
3kg/cm2 程度に達する。
【0009】(d)次に、スチーム弁51を閉じ、チャ
ンバ2側のスチーム弁41を開いて、同様な操作をタイ
マーにより短時間、例えば3〜5秒間程度、チャンバ2
側から行い、金型内の空気を完全に排除するとともに、
双方のインサイド21、31の温度が大きな差を生じな
いように加熱する。この場合には、チャンバ2側は所定
の最高温度、例えば0.7kg/cm2 の飽和スチーム
の温度に到達するとともに、チャンバ3側では若干低め
の0.6kg/cm2 程度まで上昇する。
【0010】(e)最後に、双方のスチーム弁41、5
1を開いた状態で、加熱用スチームを双方のチャンバ
2、3に供給して原料ビーズを加熱し、発泡を完了させ
るとともに相互に融着させ、発泡成形体を形成させる。
この操作では、0.7〜1.0kg/cm2 の飽和スチ
ーム圧(温度114℃〜120℃相当)をタイマーで定
めた所定の時間、例えば6〜15秒間、継続するよう設
定されている。
【0011】この方法は、旧来の予備加熱用スチームを
使用する方法に較べ、全生産工程のサイクル時間と消費
エネルギをそれぞれ50%以上削減するとともに、発泡
成形体の融着状態の均一化に効果的であったが、次のよ
うな問題があることが分かってきた。 (1)上記の予備排気工程(a)において、チャンバ内
を0.5kg/cm2 程度の飽和スチームでプラス圧に
するとき、部分的に過熱することがあり、発泡状態にむ
らが生じる場合があった。また、予備排気工程(b)に
おいて、タイマー制御のため、減圧の程度に安全を見込
むため深くなり過ぎることがあり、過冷却状態となり次
の加熱工程のエネルギロスを招く原因となっていた。
【0012】(2)上記の予備排気工程(c)(d)に
おいて、チャンバ間の圧力差を大きく設定できないので
スチームの十分な透過が得られないことがあるため、内
在空気を確実には排除、置換しきれないことがある。ま
た圧力差を大きくしようとすると、部分的な過熱現象が
見られる他、工程(d)の終段には融着温度に到達する
ことが多いので、そのため原料ビーズ相互に部分的に不
均質な融着が生じてしまう。その結果、その部分の断熱
性が急激に上昇して、さらに温度ムラが助長されるとい
う品質上の問題となる原因を惹起する他、凹型、凸型の
インサイドが均熱状態に到達しにくいという問題もあっ
た。
【0013】(3)上記(e)の融着加熱工程において
は、その当初から原料ビーズが部分的に融着反応を開始
している状態であるので、その部分の断熱性が高くなり
内部に向かって熱伝導性が失われるから、内部まで充分
に発泡融着させるため、やや高めの温度を与える必要が
あった。このため、供給スチームのエネルギのロスや、
冷却工程での冷却水と冷却時間のロスが生じるうえ、冷
却工程の所要時間として、代表的な製品、魚箱本体の場
合、約100秒間を要していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、加熱用スチー
ムによる発泡性原料ビーズの発泡処理における予備排気
工程、融着加熱工程において、過熱現象を防止して、キ
ャビティ内の温度ムラを極力低減したうえ、成形体内部
の融着操作と表皮の形成操作とをコントロールして、発
泡状態の均質性を向上させるとともに、工程サイクルタ
イムの短縮化とエネルギロスの低減をも可能とする発泡
成形方法を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の問題は、凸型およ
び凹型のインサイドに包囲形成されたキャビティに充填
した発泡性原料ビーズを、前記インサイドの裏面側に形
成したチャンバに送入したスチームにより加熱して発泡
させ融着させる発泡成形方法であって、前記チャンバ内
にスチームを送入しチャンバ内および発泡性原料ビーズ
間の空気と置換する予備排気工程と、チャンバの排気口
を閉じてスチームを送入してチャンバ内の圧力を予め設
定された第2圧力設定値に昇圧し、前記発泡性原料ビー
ズ相互を融着させる昇圧融着工程と、この昇圧融着工程
に続いてチャンバ内の圧力を低下させ予め設定された第
4圧力設定値に制御しながら発泡成形体の表皮の形成を
完成させる仕上加熱工程とを含むことを特徴とする発泡
成形方法により解決することができる。
【0016】また、本発明は、前記予備排気工程におい
て、スチームが送入されるチャンバ内の最高圧力を予め
設定した第1圧力設定値以下に制御して、前記発泡性原
料ビーズをその融着温度未満の雰囲気下に保持する形態
として具体化することができる。この場合、前記予備排
気工程の初期において、チャンバ内を減圧して前記発泡
性原料ビーズ間の空気を排出する操作を行うよう、さら
に具体化することができる。
【0017】さらに、本発明は、前記昇圧融着工程から
仕上げ加熱工程に移行するときの圧力制御において、チ
ャンバ内の圧力が前記第2圧力設定値と前記第4圧力設
定値の中間に位置する第3圧力設定値を経由するよう制
御して、前記圧力が前記第4圧力設定値を一時的に下回
るのを防止しつつチャンバ内の圧力を低下させる形態と
して具体化することもできる。
【0018】また、上記の問題は、以下に示すより具体
化した発明によって解決することができる。それは、凸
型および凹型のインサイドに包囲形成されたキャビティ
1に充填したポリスチレン系発泡性原料ビーズを、前記
インサイドの裏面側に形成したチャンバに送入したスチ
ームにより加熱して発泡させ融着させる発泡成形方法で
あって、前記チャンバ内に送入されたスチームの最高圧
力を0.2〜0.6kg/cm2 の範囲内の設定値以下
に制御し、前記発泡性原料ビーズをその融着温度未満の
雰囲気下に保持しつつ、チャンバ内および発泡性原料ビ
ーズ間の空気を排気して前記スチームと置換する予備排
気工程と、チャンバの排気口を閉じてスチームを送入し
てチャンバ内の圧力を0.6〜1.5kg/cm2 の範
囲内の設定値に昇圧し、前記発泡性原料ビーズ相互を融
着させる昇圧融着工程と、この昇圧融着工程に続いてチ
ャンバ内の圧力を低下させ0.3〜1.3kg/cm2
の範囲内の設定値に制御しながら発泡成形体の表皮の形
成を完成させる仕上げ加熱工程とを含むことを特徴とす
る発泡成形方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の発泡成形方法の1
実施形態を図1、図2に示す(イ)〜(リ)の工程図に
従い説明する。なお、必要に応じて発泡成形用金型装置
を示す図3を参照する。なお、図1、(イ)〜(ト)は
従来の予備排気工程に相当し、図2、(チ)(リ)は従
来の融着加熱工程に相当するものである。
【0020】先ず、操作(イ)では、上部のスチーム弁
41、51と下部の吸引弁42、52を開き、スチーム
をチャンバ2、3内に、短時間、例えば1秒以下の時間
だけ送入して、内部の空気を吸引、排出する。
【0021】次に、操作(ロ)では、上部のスチーム弁
41、51を開いたまま、吸引弁42、52を閉じ、下
部のドレン弁43、53を開き、スチームをチャンバ
2、3に1〜2秒間送入して、内部の空気をドレン弁4
3、53を通じて大気側に排出する。この場合、チャン
バ2、3内の圧力を、後記操作(ハ)の排気のために常
圧より若干プラスの加圧状態にして、キャビティ内に収
容した発泡性原料ビーズの相互間にスチームを侵入させ
ることが必要であるが、原料ビーズを融着反応が生じな
い雰囲気下に保持しておくことが重要であり、この実施
形態では、融着反応が生じない温度として予め設定した
供給飽和スチームの圧力である第1圧力設定値を超えな
いように圧力センサにより測定しつつ制御している。
【0022】次に図1、操作(ハ)では、スチームの送
入とドレン弁からの排気を停止し、上下の吸引弁42、
52、および42b、52b開いて、チャンバ2、3内
の圧力がマイナス圧力になるまで減圧して、上記
(イ)、(ロ)で導入したスチームとともに、原料ビー
ズの相互間に存在した空気をも排出する。この場合に所
要時間は1〜2秒程度であるが、圧力センサで圧力を計
測していて、減圧の度合いが深くなり過ぎないよう監視
し、例えば最低でもマイナス0.3kg/cm2 程度に
制御するのが好ましい。
【0023】次の操作(ニ)では、操作(ハ)の後、一
方のスチーム弁、例えば固定側スチーム弁41からスチ
ームの供給を再開し、移動側吸引弁52から吸引を継続
する。このとき、スチームは、チャンバ2からキャビテ
ィ1内の原料ビーズの間を透過してチャンバ3を経て減
圧化装置(図示せず)に吸引される。同時に、操作
(ハ)によってもなお残留した空気も排出され、金型内
の空気からスチームへの置換が迅速に進行することにな
る。なお、この操作(ニ)を約1秒間行い、次の操作
(ホ)に移る。
【0024】操作(ホ)では、開放していた吸引弁52
を閉じ、スチーム弁41からのスチームの供給を継続す
る。そして、圧力センサで圧力を計測して、チャンバ内
圧力がマイナス圧の状態から実質的に大気圧に到達した
ときに、次の操作(ヘ)に移る。
【0025】操作(ヘ)では、スチーム弁41からのス
チームの供給を継続しつつ、ドレン弁53を開いて、チ
ャンバ3を大気圧に開放する。ここで、1〜2秒間、ス
チームをチャンバ2から3に向けて適度な圧力差のもと
で透過させ、原料ビーズ間の残留空気の排除を充分に行
う。
【0026】次いで操作(ト)では、前記操作(ヘ)の
反対の態様で、1〜2秒間、スチームをチャンバ3から
2の方向へ透過させて、スチームの流れを切り換えるこ
とにより、残留空気を余すことなく確実に排除して置換
を完了するとともに、先の操作(ヘ)とこの操作(ト)
により、充填された原料ビーズおよびキャビティ1の周
辺部品の部分的な温度むら、偏りなどを可能なかぎり少
なくして、次の昇圧融着工程のため準備工程である予備
排気工程(イ)〜(ト)を完了させる。
【0027】以上説明したこれらの操作(ニ)(ホ)に
おいて、後段の原料ビーズの融着に必要なスチーム圧力
に短時間に到達させて、エネルギロスを削減するために
は、チャンバ2、3内の圧力をできるだけ高めて、発泡
性原料ビーズの間にスチームを侵入させることが好まし
い反面、製品の融着ムラを防止するためには、原料ビー
ズの相互間の部分的な融着反応が生じないよう抑制して
おくことが特に重要である。そこで、この操作(ニ)
(ホ)において、先の操作(イ)(ロ)の場合に同じ
く、融着現象が生じない温度に相当する蒸気圧として予
め設定した第1圧力設定値を超えないように圧力センサ
により測定しつつ、チャンバ内の最高圧力を制御してい
る。これにより、キャビティ内の原料ビーズを融着温度
未満の雰囲気下に保持しているのである。
【0028】このようにして、この実施形態では、予備
排気工程である操作(イ)〜(ト)のそれぞれにおい
て、チャンバ内圧力が第1圧力設定値を超えないように
制御されているのである。そして、発泡性原料ビーズが
ポリスチレンまたはポリエチレン系発泡性ビーズである
場合には、この第1圧力設定値は、好ましくは、0.2
〜0.6kg/cm2 の範囲内に設定されるのがよい。
【0029】次に、従来方法では融着加熱工程に相当す
る工程に移行するのであるが、ここでは昇圧融着工程
(チ)、と仕上げ加熱工程(リ)に分けて説明する。先
ず、この昇圧融着工程(チ)では、チャンバの排気口を
閉じたうえ、スチームを送入してチャンバ内の圧力を、
前記原料ビーズ相互の融着を急速に進行させる温度を持
った蒸気圧として予め設定された第2圧力設定値に昇圧
させ、ごく短時間暴露する。この場合、前記原料ビーズ
は、インサイドに接している部分より内部の方が先に急
速に融着温度に到達して、直ちに相互に融着して発泡成
形体として形成、一体化が進むことが判明してきた。
【0030】なお、この昇圧融着工程(チ)において設
定される前記の第2圧力設定値としては、発泡性原料ビ
ーズがポリスチレンまたはポリエチレン系発泡性ビーズ
である場合には、好ましくは0.6〜1.5kg/cm
2 の範囲内の値に設定される。
【0031】次に、本発明のこの昇圧融着工程(チ)に
おいて、発泡成形体として融着、一体化が、その内部か
ら先に進行する理由を説明する。前記予備排気工程が完
了した段階では、原料ビーズは、加熱されて発泡がかな
り進行した状態になったうえ、周囲を包囲しているイン
サイドとともに、融着温度未満ではあるが融着直前の状
態に到達している。そこで、昇圧融着工程(チ)に移行
して、高温スチームが送入され急激に昇圧されて融着温
度雰囲気に曝されることになるが、未融着の原料ビーズ
とそれに接している金属製のインサイドでは、比熱と重
量が顕著に異なり、原料ビーズ部分の熱容量はインサイ
ドのそれより1/100以下であるから、原料ビーズの
大部分は瞬時に融着温度に到達するが、インサイド部分
は温度上昇に遅れが生じ、約3〜4秒程度の遅延が実測
され、最大10℃程度の温度差が生じることが分かっ
た。
【0032】本発明では、このような現象が起きるた
め、発泡成形体の内部ではビーズ相互の融着反応がある
程度進行しても、低温のインサイド金属に接触している
表面部分は融着反応が進行しにくい状態に止まっている
から、原料ビーズの固有の融着開始温度よりかなり高め
の温度の高温スチームを用いても、より容易に成形体の
内部にまで侵入させて、融着反応を迅速に進行させるこ
とができるというように、融着状態をある程度制御する
ことが可能となるのである。
【0033】このようにして、本発明では、発泡成形体
の表皮の形成前にその内部の融着の進行度合いを調整で
きるので、完成発泡成形体の圧縮強度、曲げ強度を制御
することが可能となる利点が得られた。なお、そのよう
な制御のためにも、昇圧融着工程(チ)では高圧スチー
ムの供給にあたって可及的に流路抵抗を減少させる配慮
を行い、急速に所定の第2圧力設定値に到達させること
が重要である。
【0034】次に、本発明の仕上げ加熱工程(リ)で
は、前工程の昇圧融着工程(チ)で到達したチャンバ内
の圧力を若干低下させるところに特長がある。すなわ
ち、原料ビーズの融着温度以上の蒸気圧ではあるが先の
第2圧力設定値より低く予め設定された第4圧力設定値
に保持しながら発泡成形体の表皮の形成を完成させるの
である。この仕上げ加熱工程(リ)では、先の昇圧融着
工程(チ)においては温度上昇が遅れていたインサイド
などの金型部分の温度も原料ビーズの融着に寄与する程
度の温度に到達するので、発泡成形体の表面温度を融着
温度に保持するのに好都合となり、先の第2圧力設定値
より低い圧力である第4圧力設定値の状況下でも、成形
体の表面部分の融着が進行して、所望の硬度の表皮を得
ることができるようになる。
【0035】なお、この仕上げ加熱工程(リ)の所要時
間は、通常約5秒間であるが、表皮の要求硬度によって
調節され得る。また、第4圧力設定値としては、発泡性
原料ビーズがポリスチレンまたはポリエチレン系発泡性
ビーズである場合には、好ましくは0.3〜1.3kg
/cm2 の範囲内に設定される。
【0036】本発明においては、第2圧力設定値と第4
圧力設定値の2種類の圧力が、いずれも原料ビーズの融
着温度以上の蒸気圧として予め設定されるが、その理由
を、チャンバ内圧力の時間経過を示すグラフを示す図3
を参照して説明する。曲線1は、本発明の場合を例示す
る経過曲線であり、昇圧融着工程はa点から圧力がpB
に昇圧するb点まで、仕上げ加熱工程はb点から降圧し
て圧力pDを維持しc1点に至るまで、その後の冷却工
程は冷却操作によってc1点から降圧して離型可能な内
圧に至るd1点まで、等の経過曲線により示されてい
る。
【0037】また、曲線2は、従来の発泡成形方法の場
合を重ね合わせて記載した経過曲線であり、b点までは
本発明と同一として仮定し、仕上げ加熱工程(b点〜c
2点)において、圧力pBを保持して、c2点から冷却
工程に入りd2点で終了している。なお、曲線1、2と
も昇圧融着工程および仕上げ加熱工程の経過曲線ではチ
ャンバの圧力を基準としているが、冷却工程では発泡成
形体内部の圧力を基準に表示してある。
【0038】このグラフ図3に示される特長的なこと
は、冷却完了までの所要時間を比較すると、本発明を例
示する曲線1と、従来を例示する曲線2との差が示すよ
うに、本発明ではごく短時間で済んでいる点が指摘でき
る。その具体的な時間の1例を以下に挙げる。本発明の
曲線1では、仕上げ加熱工程の所要時間t2〜t4は5
〜10秒であり、冷却工程の所要時間t3〜t5は40
〜50秒程度必要である。一方、従来例の曲線2では、
仕上げ加熱工程の所要時間t2−t4は、8〜15秒を
要し、冷却工程の所要時間t4〜t6は、100秒程度
が必要とされた。
【0039】このような大きな時間差が生じる理由は、
仕上げ加熱工程では、曲線1と2とも成形体表面の融着
に要する時間であるからあまり差が生じないが、冷却工
程では、発泡成形体が断熱性が大きいので、内部まで冷
却するには仕上げ加熱工程の数倍の時間を必要とするう
え、冷却速度も近似しているところから、冷却開始時の
圧力差すなわち温度差がこの例示のような大きな時間差
となるのである。
【0040】以上説明したように、本発明においては、
原料ビーズの融着温度以上の蒸気圧として予め設定した
2種類の第2圧力設定値と第4圧力設定値を、前記した
ように昇圧融着工程および仕上げ加熱工程において工程
の制御要素として用いるので、成形体内部の発泡性原料
ビーズの相互間の融着反応と発泡成形体の表面皮膜の形
成反応のそれぞれを制御できるから、所望の品質の発泡
成形体を得ることができるという利点に加え、冷却工程
を含めた発泡成形総所要時間を大幅に短縮できるという
効果を奏するのである。また、仕上げ加熱工程で低圧ス
チームを用いるので、不測の過熱現象も抑制されるの
で、仕上がりムラが防止できるほか、原料ビーズの一部
分が金型に、特にベントホールの開口付近に焼き付い
て、製品表面に傷を付けるという不良もあわせて防止で
きる効果も得られた。
【0041】また、先に説明したこの実施形態の予備排
気工程(イ)〜(ト)では、チャンバ圧力を融着現象が
生じない温度に相当する蒸気圧として予め設定したた第
1圧力設定値を超えないように制御しているので、部分
的な過熱現象が確実防止できるから、温度むらが生じな
いうえ、スチームの侵入、透過などが円滑に行われる利
点が得られる。また、その原料ビーズがむらのない均熱
状態でもって、続く昇圧融着工程に一斉に移行できるの
で、前記したところの、発泡性原料ビーズの相互間の融
着反応と発泡成形体の表面皮膜の形成反応のそれぞれを
制御できるという本発明の特長を一層有効なものにする
ことができる。
【0042】さらに、本発明においては、前記昇圧融着
工程(チ)から仕上げ加熱工程(リ)に移行する圧力制
御において、チャンバ内の圧力が所定時間経過後に前記
第2圧力設定値と前記第4圧力設定値の中間に位置する
第3圧力設定値を経由するよう制御して、チャンバ内の
スチーム圧力が前記第4圧力設定値を一時的に下回るの
を防止しつつチャンバ内の圧力を低下させる形態として
具体化するのが好ましい。
【0043】この第3圧力設定値の意義を図4を参照し
ながら説明する。図4では、曲線1は本発明の圧力−時
間経過曲線であり、鎖線の曲線2は参考例の同経過曲線
である。一般に高い圧力b点(圧力pB、時間t1)か
ら次の制御圧力であるpDに短時間に降圧させる場合、
制御系か落ち着くまでの過渡的現象として、圧力が一時
的にpDを下回るc2点(圧力px)を通ってからd2
点で圧力pDに復帰するという、行き過ぎ現象(この場
合はアンダーシューットともいわれる)が生じることに
なる。
【0044】そこで、行き過ぎ現象のない曲線1に比較
して曲線2の場合が示すように、仕上げ加熱工程の処理
時間を行き過ぎ時間分だけ延長しなければならなくな
る。つまり、行き過ぎ時間(t1〜t2、この実施形態
では約5秒程度となる)相当分を時間t3に追加して時
間t4まで延長する必要が生じるので、全体として約1
5秒前後の所要時間になる。ところが、この実施形態の
ように、減圧開始から所定時間経過後に第3圧力設定値
を経由するよう制御すれば、前記したような過渡的現象
が発生しない円滑な曲線1の経過を経ることになる。こ
のようにして、曲線1では、この行き過ぎ時間をカット
できるので、参考例の曲線2に比較して、約30%の時
間短縮が可能とな利点が得られるのである。
【0045】
【発明の効果】本発明の発泡成形方法は、以上に説明し
たように構成されているので、予備排気工程において、
過熱現象を防止して、キャビティ内の温度ムラを極力低
減したうえ、また融着加熱工程において、成形体内部の
融着操作と表皮の形成操作とが制御可能となり、発泡状
態の均質性を向上させるとともに、冷却工程の所要時間
を短縮できるなど工程サイクルタイムの短縮化とエネル
ギロスの低減をも達成できるという優れた効果がある。
よって本発明は従来の問題点を解消した発泡成形方法と
して、その工業的価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための工程前半略
図。
【図2】本発明の実施形態を説明するための工程後半略
図。
【図3】昇圧融着工程〜冷却工程の圧力の時間経過を示
すグラフ。
【図4】昇圧融着工程から仕上げ加熱工程への圧力の移
行状態を示すグラフ。
【図5】発泡成形装置の要部断面略図。
【図6】従来の発泡成形方法を説明するための工程図。
【符号の説明】
1 キャビティ 2、3 チャンバ 21、31 インサイド 22、32 フレーム 23、33 裏板 41、51 スチーム弁 42、52 吸引弁 43、53 ドレン弁

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凸型および凹型のインサイドに包囲形成
    されたキャビティに充填した発泡性原料ビーズを、前記
    インサイドの裏面側に形成したチャンバに送入したスチ
    ームにより加熱して発泡させ融着させる発泡成形方法で
    あって、前記チャンバ内にスチームを送入しチャンバ内
    および発泡性原料ビーズ間の空気と置換する予備排気工
    程と、チャンバの排気口を閉じてスチームを送入してチ
    ャンバ内の圧力を予め設定された第2圧力設定値に昇圧
    し、前記発泡性原料ビーズ相互を融着させる昇圧融着工
    程と、この昇圧融着工程に続いてチャンバ内の圧力を低
    下させ予め設定された第4圧力設定値に制御しながら発
    泡成形体の表皮の形成を完成させる仕上げ加熱工程とを
    含むことを特徴とする発泡成形方法。
  2. 【請求項2】 前記予備排気工程において、スチームが
    送入されるチャンバ内の最高圧力を予め設定した第1圧
    力設定値以下に制御して、前記発泡性原料ビーズをその
    融着温度未満の雰囲気下に保持する請求項1に記載の発
    泡成形方法。
  3. 【請求項3】 前記予備排気工程の初期において、チャ
    ンバ内を減圧して前記発泡性原料ビーズ間の空気を排出
    する操作を行う請求項2に記載の発泡成形方法。
  4. 【請求項4】 前記昇圧融着工程から仕上げ加熱工程に
    移行するときの圧力制御において、チャンバ内の圧力が
    前記第2圧力設定値と前記第4圧力設定値の中間に位置
    する第3圧力設定値を経由するよう制御して、前記圧力
    が前記第4圧力設定値を一時的に下回るのを防止しつつ
    チャンバ内の圧力を低下させる請求項1、2または3に
    記載の発泡成形方法。
  5. 【請求項5】 凸型および凹型のインサイドに包囲形成
    されたキャビティ1に充填したポリスチレンまたはポリ
    エチレン系発泡性原料ビーズを、前記インサイドの裏面
    側に形成したチャンバに送入したスチームにより加熱し
    て発泡させ融着させる発泡成形方法であって、前記チャ
    ンバ内に送入されたスチームの最高圧力を0.2〜0.
    6kg/cm2 の範囲内の設定値以下に制御し、前記発
    泡性原料ビーズをその融着温度未満の雰囲気下に保持し
    つつ、チャンバ内および発泡性原料ビーズ間の空気を排
    気して前記スチームと置換する予備排気工程と、チャン
    バの排気口を閉じてスチームを送入してチャンバ内の圧
    力を0.6〜1.5kg/cm2 の範囲内の設定値に昇
    圧し、前記発泡性原料ビーズ相互を融着させる昇圧融着
    工程と、この昇圧融着工程に続いてチャンバ内の圧力を
    低下させ0.3〜1.3kg/cm2 の範囲内の設定値
    に制御しながら発泡成形体の表皮の形成を完成させる仕
    上げ加熱工程とを含むことを特徴とする発泡成形方法。
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