JPH1146780A - 耐熱性アミロマルターゼ - Google Patents

耐熱性アミロマルターゼ

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JPH1146780A
JPH1146780A JP10125121A JP12512198A JPH1146780A JP H1146780 A JPH1146780 A JP H1146780A JP 10125121 A JP10125121 A JP 10125121A JP 12512198 A JP12512198 A JP 12512198A JP H1146780 A JPH1146780 A JP H1146780A
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美千代 柳瀬
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洋樹 高田
Takeshi Takaba
武史 鷹羽
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐熱性のアミロマルターゼの提供。該酵素を
利用する、高効果で高収率な環状グルカンの製造方法の
確立および該酵素の利用による食品の改質。 【解決手段】 α-グルカンを基質として、分子内転移
反応により環状グルカンを生成する作用を有し、実質的
に加水分解反応を触媒せず、至適温度が65℃から70℃で
あり、60℃で10分間以上活性を維持し、かつ100℃で15
分間で失活し、反応至適pH5.5である性質を有するアミ
ロマルターゼ。該酵素遺伝子を有する組み換え遺伝子で
形質転換した微生物による該酵素の製造方法。該酵素を
用いてα-グルカンを環状化する工程、および環状グル
カンを回収および精製する工程を含む、環状グルカンの
製造方法。該酵素を食品に添加する工程、および該食品
を加熱処理する工程を含む、食品の製造方法。該酵素を
含有する食品素材、食品添加物、または食品改質剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な耐熱性アミ
ロマルターゼ、このアミロマルターゼをコードする遺伝
子、およびこのアミロマルターゼの製造方法に関する。
本発明はまた、耐熱性アミロマルターゼを用いる、環状
グルカンの製造方法、および食品の改質方法にも関す
る。
【0002】
【従来の技術】 アミロマルターゼ(EC.2.4.1.25)
は、D酵素、4-α-グルカノトランスフェラーゼなどの
別名を有する酵素である。この酵素は、あるα-グルカ
ン分子から別のα-グルカン分子(またはグルコース)
にα-グルカン鎖を転移する反応を触媒する。アミロマ
ルターゼは大腸菌などの微生物、および馬鈴薯塊茎、麦
芽大麦、さつまいも、ホウレンソウなどの植物組織に広
く分布している。一般的に、微生物由来の酵素はアミロ
マルターゼ、植物由来の酵素はD酵素と呼ばれる。微生
物由来のアミロマルターゼと植物由来のD酵素とは、ア
ミノ酸配列に類似性を有する。
【0003】近年、アミロマルターゼは、α-グルカン
の環状化反応を触媒し得ることが見出されている。例え
ば、アミロマルターゼは、アミロースの分子内転移反応
(環状化反応)を触媒して、重合度17以上の環状α-グ
ルカンであるサイクロアミロースを合成し得ることが報
告されている。アミロマルターゼはまた、アミロペクチ
ンなどのα-1,6-結合を有する分岐構造を含むα-グルカ
ンの環状化反応を触媒し、分岐型環状グルカンを合成し
得ることが報告されている(特開平8-311103号を参
照)。この反応を利用することによって、内分岐型環状
グルカン、および外分岐型環状グルカンなどの様々な構
造を有する分岐型環状グルカンを合成することが可能で
ある。
【0004】このような環状グルカンは、包接化合物を
形成する能力を有し、かつ水への溶解性が非常に高いと
いう特性のため、食品、医薬品などへの応用が期待され
ている。環状グルカンは、特に、デンプン加工工業にお
ける原料、飲食用組成物、食品添加用組成物、輸液、接
着用組成物、包接物もしくは吸着物、デンプンの老化防
止剤、または生分解性プラスチック用のデンプンの代替
物質として有用である(特開平8-311103号を参照)。
【0005】現在までのところ、植物由来のアミロマル
ターゼ(D酵素)は、馬鈴薯塊茎、発芽大麦、サツマイ
モ、ホウレンソウ緑葉など、さまざまな植物組織におい
てその存在が認められている。馬鈴薯由来のアミロマル
ターゼについては、cDNAが単離され、塩基配列が決定さ
れている(J.Biol.Chem. vol.268, pp.1391-1396, (199
3))。馬鈴薯由来のアミロマルターゼは大腸菌において
活性を持った状態で発現され、実験室スケールでのサイ
クロアミロースの生産に利用されている(J.Biol.Chem.
vol.271, pp.2902-2908, (1996))。
【0006】一方、微生物由来のアミロマルターゼとし
ては、中温菌である大腸菌由来の酵素が良く研究されて
いる(Eur.J.Biochem. vol.69, pp.105-115,(197
6))。また、やはり中温菌であるインフルエンザ菌、
ストレプトコッカス、およびクロストリディウム菌のア
ミロマルターゼ遺伝子の塩基配列がそれぞれ決定されて
いる(GenBank アクセス番号U32760、JO1796、L3787
4)。
【0007】アミロマルターゼは、様々な工業的用途に
適用され得る。一つの例として、アミロマルターゼは環
状グルカンの生産のようなα-グルカン加工において利
用され得る。工業的に酵素を使用する場合は、できるだ
け高温で、できれば約60℃以上で反応を行うことが望ま
しい。これは、基質であるα-グルカンの老化を抑制
し、そして雑菌による反応系の汚染を防止するためであ
る。しかし、上述した公知のアミロマルターゼのうち、
その性質が判明しているものは、全て30℃〜45℃程度の
中温域で高い活性を有する酵素である。例えば、大腸菌
由来のアミロマルターゼの反応至適温度は約35℃であり
(Agric.Biol.Chem. vol.53, pp.2653-2659,(198
9))、馬鈴薯由来のアミロマルターゼの反応至適温度
は約45℃である(J.Chem.Soc. pp.44-53,(1956))。
一方、インフルエンザ菌、ストレプトコッカス、クロス
トリディウム菌のアミロマルターゼについては、その精
製および諸性質の検討は行われていない。しかし、これ
らの菌の生育温度から推測すると、これら酵素の至適温
度もまた30℃〜45℃程度の中温域であると考えられる。
このように、これまで知られているアミロマルターゼ
は、実質上、中温域で高い活性を有する酵素に限定され
る。これらの酵素は、約60℃以上の高温での反応に用い
ることが困難であるため、工業的規模でのα-グルカン
加工への利用には適さない。
【0008】また、アミロマルターゼは、α-グルカン
鎖の環状化反応を触媒すると同時にグルコースなどの受
容体が存在する条件下においては、環状グルカンを切断
して受容体に転移する反応(開環反応)をも触媒し、環
状グルカンを分解することが知られている(Takahaら、
J.Biol.Chem. vol.271, pp.2902-2908, (1996))。従
って、図1で示した環状グルカン生産プロセスにおい
て、多量のグルコースが生ずるグルコアミラーゼ処理工
程に、活性のあるアミロマルターゼが存在してしまう
と、環状グルカンの分解が進み、環状グルカンの収率が
大きく低下してしまう。このため、環状グルカンを効率
的に生産するためには、環状化工程終了後、グルコアミ
ラーゼ処理工程に移行する前に、アミロマルターゼを完
全に失活させることが望ましい。工業的用途への適用を
考慮すると、酵素失活方法としては加熱失活が好まし
く、より実用的には約90℃から100℃に数分保持するこ
とにより、完全に失活させることが好ましい。それゆ
え、たとえ耐熱性であったとしても、至適生育温度が極
めて高い超好熱性の古細菌および始原菌から単離され得
るアミロマルターゼのような、その耐熱性が必要以上に
高い酵素は適切ではない。
【0009】さらに、大腸菌由来のアミロマルターゼな
どは、加水分解活性を合わせて有することが知られてい
る。このため、環状化反応における基質である鎖状グル
カンのみならず、生成物である環状グルカンもまた、こ
の酵素の作用で加水分解される。その結果、目的とする
生成物である環状グルカンの収率が低下するという問題
が生じる。
【0010】このように、雑菌による汚染およびα-グ
ルカンの老化を防止しつつ環状グルカンを効率よく製造
することが困難であるという従来の問題点は、十分に解
決されていなかった。それゆえ、60℃程度の反応温度に
おいて耐熱性であると共に、反応後の失活が容易であ
り、かつ実質的に加水分解反応を触媒しないという特性
を有する、環状グルカン生産に適したアミロマルターゼ
が期待されていた。
【0011】アミロマルターゼを工業的用途に適用する
別の例として、アミロマルターゼは、デンプンを多く含
む食品を改質するために直接利用され得る。
【0012】デンプンは、穀物中の主成分であり、非常
に多くの食品において多量に含まれている。しかし、デ
ンプンは、老化しやすい、粘性が高い、および溶解性が
低いという性質を有する。そのため、デンプンを多く含
む食品では、製造後、経時的に品質(例えば、物性およ
び食感)が低下するということがある。その結果、食品
の保形性、消化性、および冷凍または冷蔵耐性の低下な
どが付随して生じ、商品価値が著しく損なわれ得るとい
う問題がある。そのため、食品中のデンプンの老化を抑
制する技術が強く望まれており、従来、2つの方法が用
いられてきた。
【0013】第1の方法は、食品中に、デンプン老化防
止および粘性の低下に対して効果を有する物質を添加す
る方法である。現在までに、糖類、多糖類、糖アルコー
ル、タンパク質、および脂肪酸エステルを添加する方法
が、数多く試みられている。上述のように、環状グルカ
ンをデンプンに添加することによって、デンプンの老化
が防止されたことが報告されている(特開平8-311103号
を参照)。
【0014】第2の方法は、デンプンに作用する酵素を
食品素材に直接添加して、デンプンを低分子化させる方
法である。従来この方法に用いられてきた酵素は主に、
デンプンを加水分解するアミラーゼである。例えば、耐
熱性β-アミラーゼを用いる方法(特開昭62-79745号お
よび特開昭62-79746号を参照)およびマルトース生成α
-アミラーゼを用いる方法(欧州特許出願公開第494233
号明細書を参照)が報告されている。しかし、アミラー
ゼは加水分解活酵素であるため、甘味を有する低分子糖
を生じるという点で、その用途が制限される。従って、
アミラーゼは、デンプンを含む食品を改質するためには
不十分である。
【0015】食品を改質するために、グルカノトランス
フェラーゼ、例えば、アミロマルターゼを酵素として使
用することも検討されている(例えば、PCT出願WO97/41
735を参照)。これは、アミロマルターゼがデンプンを
環状化反応により低分子化して、老化抑制効果のある環
状グルカンを生じさせるためである。しかし、上述のよ
うに、これまでに知られているアミロマルターゼの多く
は、加水分解活性を合わせて有するために低分子の還元
糖を蓄積させるという問題点を有する。さらに、至適温
度が30℃〜45℃程度の中温域である酵素は、食品素材の
加熱調理における高温条件で失活し得るために、使用範
囲が著しく制限される。
【0016】それゆえ、実質的に加水分解反応を触媒せ
ず、かつ耐熱性という特性を有する、食品の改質への利
用に適したアミロマルターゼが求められている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決するためのものであり、その目的とするところは以
下の点を含む: (1)環状グルカンを生産するために適した耐熱性を有
し、かつ実質的に加水分解反応を触媒しないアミロマル
ターゼを提供すること; (2)上記アミロマルターゼの組換え生産を可能とす
る、アミロマルターゼをコードする遺伝子を提供するこ
と; (3)上記アミロマルターゼを用いて、高効果かつ高収
率で環状グルカンを製造する方法を提供すること; (4)上記アミロマルターゼを加熱調理前または加熱調
理直後に、食品素材に添加することによって、デンプン
を低分子化すること、かつ環状グルカンを生成すること
により、改質された食品を製造する方法を提供するこ
と;および (5)食品を改質するための上記アミロマルターゼを含
有する食品素材、食品添加物、および食品改質剤を提供
すること。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、今までに
発見された同種の酵素中で、環状グルカンを生産するた
め、および食品を改質するために特に優れた性質を有す
るアミロマルターゼを、Thermus Flavus ATCC 33923株
から単離し、これに基づいて本発明を完成した。
【0019】本発明のアミロマルターゼは、α-グルカ
ンを基質として、分子内転移反応により環状グルカンを
生成する作用を有し、実質的に加水分解反応を触媒せ
ず、至適温度が65℃から70℃であり、60℃で10分間以上
活性を維持し、かつ100℃で15分間で失活し、反応至適p
HがpH5.5である性質を有する。
【0020】1つの実施態様においては、上記のアミロ
マルターゼは、Thermus flavus ATCC 33923由来であ
る。
【0021】さらに本発明は、(a)配列表の配列番号
1の1位のMetから500位のLeuまでのアミノ酸配列を有
するアミロマルターゼ;または(b)アミノ酸配列
(a)において、1またはそれ以上のアミノ酸が欠失、
置換、または付加されたアミノ酸配列を有し、耐熱性で
あるアミロマルターゼに関する。
【0022】本発明はまた、(a)配列表の配列番号1
の1位のMetから500位のLeuまでのアミノ酸配列を有す
るアミロマルターゼ;または(b)アミノ酸配列(a)
において、1またはそれ以上のアミノ酸が欠失、置換、
または付加されたアミノ酸配列を有し、耐熱性であるア
ミロマルターゼをコードする遺伝子に関する。
【0023】さらに本発明は、(a)配列表の配列番号
2に記載の塩基配列からなるDNA;または(b)塩基配
列(a)を有するDNAとストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズし、耐熱性であるアミロマルターゼ活性を
有するタンパク質をコードするDNAからなるアミロマル
ターゼ遺伝子に関する。
【0024】さらに本発明は、耐熱性であるアミロマル
ターゼ遺伝子を含有する発現ベクターに関し、そして、
かかる発現ベクターで形質転換された微生物に関する。
【0025】さらに本発明は、形質転換された微生物を
培養する工程、および該培養により生産されるアミロマ
ルターゼを回収および精製する工程を含む、耐熱性であ
るアミロマルターゼの製造方法に関する。本発明はま
た、かかる方法によって製造されるアミロマルターゼに
関する。
【0026】本発明はまた、上記のアミロマルターゼの
いずれかを用いてα-グルカンを環状化する工程、およ
び該環状グルカンを回収および精製する工程を含む、環
状グルカンの製造方法に関する。
【0027】1つの実施態様においては、上記の環状グ
ルカンは、環状α-1,4-グルカンを含む。
【0028】1つの実施態様においては、上記の環状グ
ルカンは、分岐型環状グルカンを含む。
【0029】1つの実施態様においては、上記の環状化
する工程において、枝つくり酵素をさらに使用する。
【0030】さらに本発明は、上記のアミロマルターゼ
のいずれかを食品素材に、素材の加熱調理前または加熱
調理直後に添加する工程であって、ここで、アミロマル
ターゼが該食品素材中のデンプンから環状グルカンを生
成する、工程を含む、食品の製造方法に関する。
【0031】1つの実施態様においては、上記の食品
は、米飯類、和菓子、スナック菓子類、ベーカリー類、
麺類、餃子およびシュウマイの皮、水産練り商品、冷凍
もしくは冷蔵流通の加工食品、離乳食、ベビーフード、
ペットフード、動物用飼料、飲料、スポーツ食品、なら
びに栄養補助食品からなる群より選択される。
【0032】1つの実施態様においては、上記の食品
は、和菓子である。
【0033】本発明はまた、上記のアミロマルターゼの
いずれかを含有することを特徴とする食品素材、食品添
加物、および食品改質剤に関する。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0035】本明細書において、「α-グルカン」と
は、α-1,4-グルカン(マルトースを構成二糖単位とす
る鎖状構造の多糖類)、またはα-1,6-分岐構造を有す
るα-1,4-グルカンであり、アミロース、アミロペクチ
ン、デンプンおよびグリコーゲンの他、ワキシースター
チ、ハイアミロースデンプン、可溶性デンプン、デキス
トリン、デンプン加水分解産物、ホスホリラーゼによる
酵素合成アミロペクチンなどを含む。
【0036】本明細書において、「環状グルカン」と
は、α-1,4-グルコシド結合のみを有する環状α-1,4-グ
ルカン、ならびにα-1,4-グルコシド結合およびα-1,6-
グルコシド結合の両方を有する分岐型環状グルカンを含
む。「分岐型」とは、少なくとも1つのα-1,4-結合以
外のグルコシド結合を有することをいう。分岐型環状グ
ルカンの例としては、α-1,6-結合を有する分岐構造を
環状構造内部に含む内分岐型環状グルカン、および環状
構造に加えてさらに非環状構造部分を有する外分岐型環
状グルカンなどが挙げられる。
【0037】本明細書において、「サイクロアミロース
(CA)」とは、重合度17以上の環状α-1,4-グルカンであ
る。
【0038】本明細書において、「アミロマルターゼ活
性」とは、100mM 酢酸ナトリウム(pH5.5)、0.2%(w/v)
マルトトリオースからなる組成液中で、70℃で10分間、
アミロマルターゼを作用させたときに生じるグルコース
を定量することによって、測定される活性をいう。1分
間に1μモルのグルコースを生じる活性を1ユニットと
する。
【0039】本明細書において、「実質的に加水分解反
応を触媒しない」とは、終濃度0.2%(w/v)の酵素合成
アミロースAS-320を含む緩衝液(100mM 酢酸ナトリウム
(pH5.5)、9%(v/v)DMSO)中で、0.07ユニット/mlの
アミロマルターゼを、70℃で6時間作用させた場合に、
サイクロアミロースの収率について、最高収率からの低
下がみとめられないことをいう。
【0040】本明細書において、「サイクロアミロース
の定量」とは、アミロースにアミロマルターゼを作用さ
せることにより、得られる反応産物中のサイクロアミロ
ースを定量することをいう。サイクロアミロース量は、
反応産物をグルコアミラーゼで消化した際、グルコアミ
ラーゼにより分解されないグルカン量として測定され
る。
【0041】本明細書において、「サイクロアミロース
の収率」とは、定量されたサイクロアミロース量を、基
質に対する重量比として算出した値をいう。
【0042】本明細書において、「60℃で10分間以上活
性を維持する」とは、緩衝液A(10mM KH2PO4-Na2HP
O4、pH7.0)中でアミロマルターゼを、60℃で10分間処
理した場合に、活性の低下がみとめられないことをい
う。「100℃で15分間で失活」とは、緩衝液A(10mM KH
2PO4-Na2HPO4、pH7.0)中でアミロマルターゼを、100℃
で15分間処理した場合に、活性がみとめられないことを
いう。
【0043】本明細書において、「反応至適pH」とは、
Britton-Rhobinson緩衝液中で、0.2%(w/v)のマルトト
リオースが存在する条件下、各pHにおいて70℃で、10分
間、アミロマルターゼを作用させた際に最も活性が高い
pHを意味する。
【0044】本明細書において、「反応至適温度」と
は、緩衝液(100mM 酢酸ナトリウム(pH5.5))中で、
0.2%(w/v)のマルトトリオースが存在する条件下、各
温度において、pH5.5で10分間、アミロマルターゼを作
用させた際に最も活性が高い温度を意味する。
【0045】本明細書において、「好熱性菌」とは、生育
至適温度が50℃〜105℃で、30℃以下ではほとんど増殖
しない微生物をいう。このうち、生育至適温度が90℃以
上である微生物を「超好熱性菌」という。
【0046】本明細書において、「中温菌」とは、生育
温度が通常の温度環境にある微生物のことであり、特に
生育至適温度が20℃〜40℃である微生物をいう。
【0047】(アミロマルターゼおよびその精製) 本発明のアミロマルターゼは、上述のように、耐熱性で
あることを特徴とする。この酵素は、好ましくは70℃10
分間で、より好ましくは80℃10分間でも活性を維持し、
好ましくは100℃10分間で、より好ましくは100℃で5分
間で失活する。また、この酵素は、好ましくは70℃にお
いても実質的に加水分解反応を触媒しない。
【0048】配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配
列を有するアミロマルターゼ、および配列表の配列番号
1で示されるアミノ酸配列中の1またはそれ以上のアミ
ノ酸の欠失、置換、または付加による変異を含むアミロ
マルターゼは、本発明において意図される酵素である。
変異を含む後者のアミロマルターゼは、変異を含まない
前者のアミロマルターゼと同等またはそれ以上の活性を
有し、同様の耐熱性を示し、そして実質的に加水分解反
応を触媒しない。上記のような変異は、天然に生じる
か、または変異原物質の作用によって、もしくは人為的
に部位特異的突然変異の導入を用いて生じさせ得る。部
位特異的突然変異の手法は、当該分野では周知である。
例えば、Nucl. Acid Research, Vol.10, pp.6487-6500
(1982)を参照。本明細書において、「1またはそれ以
上のアミノ酸の欠失、置換、または付加」とは、部位特
異的突然変異により導入できる程度の数の欠失、置換、
または付加をいう。当業者は、所望の性質を有するアミ
ロマルターゼ変異体を容易に選択することができる。
【0049】本発明のアミロマルターゼは以下のように
して得ることができる。アミロマルターゼを産生する好
熱性菌、例えばThermus Flavus ATCC 33923株の菌体を
大量培養した後、例えば培養物を破砕して、遠心分離ま
たは濾過することによって培養物破砕物を分離して上清
を得、これを粗酵素液とする。さらにこの粗酵素液を、
透析、凍結乾燥、等電点電気泳動、イオン交換クロマト
グラフィー、晶出などの通常の酵素の精製手段を適宜組
み合わせることによって、比活性の向上した精製酵素を
得ることができる。
【0050】(アミロマルターゼ遺伝子) 本発明のアミロマルターゼをコードする遺伝子は、本発
明において意図される遺伝子である。この遺伝子は、本
明細書の開示に基づいて、当該分野で公知の方法を用い
て得ることができる。例えば、Thermus Flavus ATCC 33
923株由来の精製アミロマルターゼをトリプシン処理し
て、得られる消化断片をHPLCにより分離し、得られたピ
ークに相当するペプチド断片のN末端配列を、ペプチド
シークエンサーにより同定する。次いで、同定した配列
をもとに作製した合成オリゴヌクレオチドプローブを用
いて、適切なゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリ
ーをスクリーニングすることにより、本発明のアミロマ
ルターゼ遺伝子を得ることができる。オリゴヌクレオチ
ドプローブおよびDNAライブラリーを調製するための、
ならびに核酸のハイブリダイゼーションによりそれらを
スクリーニングするための基本的な戦略は、当業者に周
知である。例えば、Sambrookら, MolecularCloning: A
Laboratory Manual (1989); DNA Cloning,第IおよびII
巻(D. N. Glover編 1985); Oligonucleotide Synthes
is (M. J. Gait編 1984); Nucleic Acid Hybridization
(B. D. Hames & S. J. Higgins編 1984)を参照。
【0051】ゲノムライブラリーをスクリーニングする
場合、得られた遺伝子は、当業者に周知の方法を用いて
サブクローニングし得る。例えば、目的の遺伝子を含む
λファージと、適切な大腸菌と、適切なヘルパーファー
ジとを混合することにより、容易に目的の遺伝子を含有
するプラスミドを得ることができる。その後、プラスミ
ドを含有する溶液を用いて、適切な大腸菌を形質転換す
ることにより、目的の遺伝子をサブクローニングし得
る。得られた形質転換体を培養して、例えばアルカリSD
S法によりプラスミドDNAを得、目的の遺伝子の塩基配列
を決定し得る。塩基配列を決定する方法は、当業者に周
知である。さらに、DNAフラグメントの塩基配列を基に
合成されたプライマーを用い、Thermus Flavus ATCC 33
923株のゲノムDNAなどを鋳型に、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)を用いて直接アミロマルターゼ遺伝子を増幅する
こともできる。
【0052】配列表の配列番号2で示される塩基配列を
有するDNAからなる遺伝子、および配列表の配列番号2
で示される塩基配列を有するDNAとストリンジェントな
条件下でハイブリダイズするDNAからなる遺伝子は、本
発明において意図される遺伝子である。後者の遺伝子に
よりコードされるアミロマルターゼは、前者の遺伝子に
よりコードされるアミロマルターゼと同等またはそれ以
上の活性を有し、同様の耐熱性を示し、そして実質的に
加水分解反応を触媒しない。当業者は、所望のアミロマ
ルターゼ遺伝子を容易に選択することができる。
【0053】本明細書中で使用する用語「ストリンジェ
ントな条件」とは、特異的な配列にはハイブリダイズす
るが、非特異的な配列にはハイブリダイズしない条件を
いう。ストリンジェントな条件の設定は、当業者に周知
であり、例えば、MoleculerCloning(Sambrookら、前
出)に記載される。
【0054】(アミロマルターゼ組換え発現) クローン化された遺伝子の発現は、クローン化DNAを挿
入した適切な発現ベクターの構築、発現ベクターの微生
物への導入、ならびに組換え微生物の培養および生産物
の回収により達成される。これらの方法は、当業者に周
知である。本発明に用いられる微生物宿主には、原核生
物および真核生物が含まれる。好ましい原核生物宿主に
は、中温菌、例えば大腸菌が含まれる。
【0055】発現ベクターは、目的の遺伝子が転写およ
び翻訳されるように作動可能に連結されており、さらに
必要に応じて微生物内での複製および組換え体の選択に
必要な因子を備えた媒体をいう。また、発現産物の分泌
生産が意図される場合は、分泌シグナルペプチドをコー
ドする塩基配列が、目的のタンパク質をコードするDNA
の上流に正しいリーディングフレームで結合される。適
切な発現ベクターの種類が使用する微生物宿主に応じて
変わり得ることは、当業者に周知である。
【0056】上記発現ベクター内の転写および翻訳に必
要な因子に作動可能に連結するために、目的のアミロマ
ルターゼ遺伝子を加工すべき場合がある。これらは例え
ばプロモーターとコード領域との間が長すぎて転写効率
の低下が予想される場合、またはリボゾーム結合部位と
翻訳開始コドンとの間隔が適切でない場合などである。
加工の手段としては、制限酵素による消化、Bal31、Exo
IIIなどのエキソヌクレアーゼによる消化、あるいはM13
などの一本鎖DNAまたはPCRを使用した部位特異的突然変
異の導入が挙げられる。
【0057】発現ベクターが導入されてアミロマルター
ゼ生産能力を獲得した形質転換株の培養には、使用する
宿主微生物および発現ベクター内の発現を調節する因子
の種類、ならびに発現される物質に応じて、適切な条件
が選択される。例えば、通常の振とう培養方法が用いら
れ得る。
【0058】用いる培地は、使用する宿主微生物が生育
し得るものであれば特に限定されない。培地には炭素
源、窒素源の他、無機塩、例えば、リン酸、Mg2+、C
a2+、Mn2+、Fe2+、Fe3+、Zn2+、Co2+、Ni2+、Na+、K+
どの塩が必要に応じて、適宜混合して、または単独で用
いられ得る。また、必要に応じて形質転換体の生育、酵
素の生産に必要な各種無機物、有機物が添加され得る。
【0059】培養の温度は、用いる形質転換体の生育に
適するように選択される。通常15℃〜60℃である。形質
転換株の培養は、アミロマルターゼの生産のために十分
な時間続行される。
【0060】誘導性のプロモーターを有する発現ベクタ
ーを使用する場合は、誘導物質の添加、培養温度の変
更、培地成分の調整などにより発現が制御され得る。例
えば、ラクトース誘導性プロモーターを有する発現ベク
ターを使用する場合は、イソプロピル-β-D-チオガラク
トピラノシド(IPTG)を添加することにより発現が誘導さ
れ得る。
【0061】このようにして形質転換体を培養した後、
例えば発現産物が菌体外に分泌する場合、培養物を遠心
分離または濾過することによって菌体を分離して上清を
得る。次に、このアミロマルターゼを含む上清を通常の
手段(例えば、塩析法、溶媒沈澱、限外濾過)を用いて濃
縮し、アミロマルターゼを含む画分を得る。この画分を
濾過、あるいは遠心分離、脱塩処理などの処理を行い粗
酵素液を得る。さらにこの粗酵素液を、凍結乾燥、等電
点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、晶出など
の通常の酵素の精製手段を適宜組み合わせることによっ
て、比活性が向上した粗酵素あるいは精製酵素が得られ
る。α-アミラーゼなどのα-グルカンを加水分解する酵
素が含まれていなければ、粗酵素をそのまま環状グルカ
ンの生産に用い得る。
【0062】上述のような組換え発現により、本発明の
アミロマルターゼの生産性を大幅に向上させることが可
能となる。また、発現させた場合、アミロマルターゼ
は、その耐熱性を利用して簡便に精製し得る。簡単に述
べると、アミロマルターゼを含む菌体抽出液を60℃程度
で加熱処理することにより、夾雑酵素が不溶化する。こ
の不溶化物を遠心分離などで除去して透析処理を行えば
よい。
【0063】(アミロマルターゼによる環状化反応) (1)環状α-1,4-グルカンの生産 本発明のアミロマルターゼを用いて、α-グルカンを基
質として、環状α-1,4-グルカンであるサイクロアミロ
ースを生産し得る。この際、アミロマルターゼは、固定
化酵素として使用することも可能である。
【0064】サイクロアミロースの生産は、適切な濃度
のα-グルカンを含む緩衝液中で、アミロマルターゼを
作用させることにより行い得る。α-グルカンとしては
直鎖状α-1,4-グルカンが好ましく、重合度が少なくと
も20以上である高重合度のアミロースがより好ましい。
本発明のアミロマルターゼを用いることにより、環状化
反応が円滑に進行して、代表的には重合度約20〜400の
サイクロアミロースが生産され得る。主生成物として、
特に重合度約20〜200のサイクロアミロースが生産され
ることが好ましい。
【0065】反応温度は60℃以上、好ましくは60℃〜80
℃、特に好ましくは65〜70℃である。このことにより、
基質であるアミロースの老化および雑菌による反応系の
汚染が防止される。
【0066】環状化反応が十分に進行した後、アミロマ
ルターゼを高温で完全に失活させることにより、精製工
程での逆反応を防止することができる。好ましくは、失
活温度は90〜100℃である。
【0067】反応液中から、サイクロアミロースを回収
し、精製する。非環状グルカンの除去を容易にするた
め、アミロマルターゼを失活させた後の反応液にグルコ
アミラーゼをさらに添加して、非環状グルカンをグルコ
ースに分解することができる。エタノール沈澱またはク
ロマトグラフィーなどの慣用的な精製方法を用いて、純
粋なサイクロアミロースを得ることができる。
【0068】本発明の酵素は実質的に加水分解反応を触
媒しないため、環状化反応においてサイクロアミロース
収率が長時間、高レベルで維持され、本明細書における
代表的な反応条件では、反応開始から少なくとも6時間
後まで収率の低下は観察されない。従って、高収率の反
応を再現性良く行うことができる。本発明の方法によれ
ば、サイクロアミロースの生産を、少なくとも約70%以
上、代表的には約75〜85%の収率で達成することができ
る。
【0069】(2)分岐型環状グルカンの生産 また、本発明のアミロマルターゼを用いて、アミロペク
チンなどのα-1,6-結合を有する分岐構造を含むα-グル
カンの環状化反応を触媒し、内分岐型環状グルカンおよ
び外分岐型環状グルカンなどのさまざまな構造を有する
分岐型環状グルカンを生産し得る。この際、アミロマル
ターゼは固定化酵素として使用することも可能である。
【0070】分岐型環状グルカンの生産は、適切な濃度
のα-グルカンを含む緩衝溶液中で、アミロマルターゼ
を作用させることにより行い得る。α-グルカンとして
は、α-1,6-結合を有する分岐構造を含むα-グルカンが
好ましく、アミロペクチン、グリコーゲン、デンプン、
ワキシースターチなどが特に好ましい。本発明のアミロ
マルターゼを用いることにより、環状化反応が円滑に進
行して、代表的には、重合度が約17〜5000の分岐型環状
グルカンが生産され得る。特に、重合度約21〜3000の分
岐型環状グルカンが生産されることが好ましい。
【0071】また、より複雑な構造の分岐型環状グルカ
ンを生産するために、本発明のアミロマルターゼをさら
なる酵素とともに使用し得る。例えば、アミロマルター
ゼとともに枝つくり酵素(EC. 2.4.1.18)を使用し得
る。枝つくり酵素は、α-1,4-グルカン分岐酵素とも呼
ばれており、α-1,4-グルカン鎖の一部を6位に転移し
て分岐を作製する反応を触媒する酵素である(例えば、
欧州特許出願公開第418945号明細書を参照)。2種類以
上の酵素を併用することにより、より複雑な分岐型環状
グルカンを生産することが可能である。
【0072】反応温度は60℃以上、好ましくは60℃〜80
℃、特に好ましくは65〜70℃である。このことにより、
基質であるアミロースの老化および雑菌による反応系の
汚染が防止される。
【0073】本発明のアミロマルターゼをアミロペクチ
ンなどのα-グルカンに作用させると、分岐型環状グル
カンと環状α-1,4-グルカンとの混合物が得られる。こ
の混合物中から分岐型環状グルカンのみを精製する方法
としては、当業者に周知の任意の方法が用いられ得る。
例えば、以下の手順により分岐型環状グルカンを精製し
得る。アミロマルターゼを失活させた後の反応液中か
ら、分岐型環状グルカンと環状α-1,4-グルカンとを、
例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーによって分離す
る。次いで、エタノール沈澱などの慣用的な精製方法を
用いて、分岐型環状グルカンを得ることができる。
【0074】本発明の酵素は実質的に加水分解反応を触
媒しないため、環状化反応において環状グルカン収率が
長時間、高レベルで維持される。
【0075】上述の(1)および(2)において生産さ
れた環状グルカンの老化性、粘性、デンプンの老化防止
効果、包接化合物形成能、消化性、およびエネルギー変
換効率などの特性は、当業者に公知の任意の方法を用い
て評価し得る。例えば、特開平8-311103号に記載される
試験方法を用い得る。
【0076】(食品を改質するためのアミロマルターゼ
の使用) 本発明のアミロマルターゼは、食品中のデンプンに作用
してデンプンの環状化反応を触媒する。その結果、食品
中のデンプンは低分子化されて環状グルカンを生じる。
この反応により生じる環状グルカンは、上述のように、
非常に粘性が低く、溶解性に優れ、デンプンの老化抑制
効果を有し、そして様々な物質を包接する能力を有す
る。従って、本発明のアミロマルターゼを使用して食品
を改質し得る。代表的には、食品中のデンプンにアミロ
マルターゼを作用させて環状グルカンを蓄積させること
により、食品の物性(特に、保存時の安定性)および食
感を改質させる。
【0077】さらに、デンプンの環状化反応により生じ
る環状グルカンは、α-1,4-グルコシド結合およびα-1,
6-グルコシド結合を有する構造を有する。この環状グル
カンは、生物体内に存在する酵素によって容易にグルコ
ースに分解される。従って、環状グルカンはまた、消化
性に優れ、エネルギー変換効率が高いという特性を有す
る。
【0078】本発明のアミロマルターゼは、上述のよう
に非常に耐熱性に優れており、かつ実質的に加水分解活
性を有さない。それゆえ、食品を改質するためにアミロ
マルターゼを使用するにおいて、食品素材の加熱調理前
または加熱調理直後に酵素を添加することが可能である
という利点を有する。さらに、低分子の還元糖の不必要
な蓄積が生じないという利点を有する。
【0079】本発明のアミロマルターゼは、幅広い食品
(すなわち、デンプンを含む任意の食品)を改質するた
めに使用され得る。
【0080】デンプンを多く含む食品としては、米飯類
(例えば、おにぎり、寿司めし、および弁当のご飯)、
和菓子(例えば、ワラビモチ、まんじゅう、モチ、うい
ろ、およびおはぎ)、スナック菓子類(例えば、煎餅、
おかき、ポテトチップス、および他のスナック類)、ベ
ーカリー類(例えば、パン、パイ、ピザ、ケーキ、クッ
キー、ビスケット、およびクラッカー)、麺類(例え
ば、うどん、そば、およびラーメン)、ならびに、スパ
ゲッティーおよびマカロニなどのパスタ類)、餃子およ
びシュウマイの皮、水産練り商品(例えば、ちくわおよ
びかまぼこ)、冷凍もしくは冷蔵流通の加工食品、離乳
食、ベビーフード、ペットフード、動物用飼料、飲料
(例えば、スポーツ飲料)、スポーツ食品、ならびに栄
養補助食品などが挙げられる。
【0081】デンプンを特に多く含む、米飯類、和菓
子、スナック菓子類、ベーカリー類、麺類は、本発明の
対象として好ましい食品の例である。低温保存時の安定
性が重要である冷凍もしくは冷蔵流通の加工食品は、好
ましい食品の他の例である。
【0082】本発明において、食品素材とは、上述の食
品を製造するための任意の材料、および食品への加工過
程における任意の調製物をいう。
【0083】本発明のアミロマルターゼを作用させた食
品が改質されたことは、食品中のデンプンが低分子化さ
れ、環状グルカンが生成されたことを調べることによっ
て確認し得る。本発明においては、本発明の酵素を添加
した食品中において、酵素を添加しない食品と比べて、
環状グルカンの有意な生成が観察された場合に、その食
品が改質されているという。
【0084】本発明のアミロマルターゼを含有する食品
素材、食品添加物、および食品改質剤は、上述のように
改質された食品を製造するために有用である。添加する
酵素の量は、当業者によって適宜選択され得る。
【0085】食品添加物としては、調味料類(例えば、
しょうゆ、たれ、ソース、だしの素、シチューの素、カ
レーの素、スープの素、マヨネーズ、ドレッシング、ケ
チャップ、および複合調味料)などが挙げられる。
【0086】食品改質剤としては、デンプン老化防止
剤、米飯改質剤などが挙げられる。
【0087】
【実施例】以下に具体的に実施例を用いて説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されない。 (実施例1:Thermus flavus ATCC 33923株菌体抽出液
からのアミロマルターゼの精製) (1)アミロマルターゼの精製 Thermus flavus ATCC 33923株を、33リットルの培地
(1% マルトース、0.4%イーストイクストラクト、0.8%
ポリペプトン、0.2% NaCl, pH7.5)で70℃、18時間振と
うした。菌体を遠心分離により集め、10mM KH2PO4-Na2H
PO4(pH7.5)(緩衝液A)で洗浄した後、この緩衝液に
再び懸濁し、超音波により菌体を破砕した。これを遠心
分離して上清を粗酵素液とした。粗酵素液に終濃度1M
となるように硫酸アンモニウムを添加し、4℃にて、一
晩放置した後、1M硫酸アンモニウムを含む緩衝液Aで
平衡化したフェニルトヨパールカラム(TOSOH製)にロ
ードした。300mM硫酸アンモニウムを含む緩衝液Aで洗
浄した後、緩衝液A中の硫酸アンモニウム濃度を300mM
から0mMに変化させることによって酵素を溶出させ、活
性画分を回収した。得られた酵素液を緩衝液Aに対して
透析した。
【0088】透析した酵素液を緩衝液Aで平衡化したSo
urce 15Qカラム(ファルマシア製)にロードした。緩衝
液Aで洗浄した後、緩衝液中のNaCl濃度を0mMから400m
Mに変化させることによって酵素を溶出させ、活性画分
を回収した。得られた酵素液を緩衝液Aに対して透析し
た。
【0089】透析した酵素液を150mM NaClを含む50mM K
H2PO4-Na2HPO4(pH7.5)で平衡化したSuperdex 75pgカラ
ム(ファルマシア製)にロードし、緩衝液Aで酵素を溶
出させた。得られた酵素液を緩衝液Aに対して透析し
て、精製酵素液とした。精製酵素はSDSポリアクリルア
ミトゲル電気泳動で単一バンドを示した(図2) 。SDS-
PAGEにおける移動度から求めたアミロマルターゼの分子
量は、57,000であった。
【0090】(2)アミロマルターゼの活性測定 アミロマルターゼの活性は、100mM酢酸ナトリウム緩衝
液(pH5.5)中で、0.2%(w/v)マルトトリオースにアミ
ロマルターゼを70℃で10分間作用させたときに生じるグ
ルコースを、定量することにより測定した(J.Biol.Che
m. vol.268, pp.1391-1396, (1993))。
【0091】1分間に1μmolのグルコースを遊離する
酵素量を1ユニットとし、活性のユニットを算出した。
【0092】(実施例2:Thermus flavus ATCC 33923
株アミロマルターゼの諸性質) 実施例1で精製したアミロマルターゼの酵素学的性質
を、当業者に周知の方法を用いて分析した。本酵素の反
応至適温度は65〜70℃であり(図3)、反応至適pHは5.
5であった(図4)。また、本酵素は80℃にて10分間の
熱処理を行っても、ほぼ100%の残存活性を有しており、
ほとんど失活が認められなかった(図5)。しかし、10
0℃、10分間の熱処理により完全に失活した(図5)。
【0093】(実施例3:Thermus flavus ATCC 33923
株アミロマルターゼのマルトオリゴ糖への作用) 実施例1で精製したアミロマルターゼのマルトオリゴ糖
への作用を調べた。終濃度1%のマルトオリゴ糖(マル
トース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マル
トペンタオース)に精製酵素を作用させ、反応産物を薄
層クロマトグラフィー(TLC)で分析した。図6に示す
ように、本発明のアミロマルターゼは、これらマルトオ
リゴ糖の重合度不均化反応を触媒し、様々な重合度のマ
ルトオリゴ糖およびグルコースを生成した。
【0094】(実施例4:Thermus flavus ATCC 33923
株アミロマルターゼの部分アミノ酸配列決定) (1)精製アミロマルターゼN末端アミノ酸配列の決定 実施例1と同様にして、フェニルトヨパールカラムを用
いるクロマトグラフィーにより酵素液を得た。0.1%ト
リフルオロ酢酸(TFA)を含む48.4%アセトニトリル溶
離液で平衡化したHPLC用C4カラム(Vydac 214TP54(0.4
6×25cm)、Vydac製)に酵素液をロードし、溶離液中の
アセトニトリル濃度を48.4%から52.4%まで変化させる
ことにより酵素を溶出した。得られた酵素液を減圧濃縮
した。ペプチドシークエンサーを用いて、酵素のN末端
アミノ酸配列を決定した。得られた配列はM-E-L-P-
R-A-であった。
【0095】(2)精製アミロマルターゼトリプシン消
化断片のアミノ酸配列の決定 上記(1)と同様にして、HPLC用C4カラムから酵素を溶
出した。得られた酵素液を、減圧乾燥した後、8M尿
素、0.4M NH4HCO3、4.5mM ジチオトレイトール(DT
T)、10mMヨードアセトアミド(Iodeacetoamide)を含
む溶液に溶解し、トリプシンを加えて、37℃にて24時間
反応させた。このようにして得られたトリプシン消化断
片を、0.06% TFAを含む1.6%アセトニトリル溶離液で
平衡化したHPLC用ODSカラム(Vydac 218TP54(0.46×25
cm)、Vydac製)にロードし、溶離液中のアセトニトリ
ル濃度を1.6%から78.4%まで変化させることにより溶
出した。他のピークと良好に分離した3本のピーク画分
を集め、減圧濃縮した。ペプチドシーケンサーにより、
これらのペプチド断片のN末端アミノ酸配列を決定し
た。得られた配列は以下の3種であった。S-V-A-R-
L-A-V-Y-P-V-Q-D-V-L-A- M-N-Y-P-G-R-P-S-G-N-?-A- I-I-G-D-M-P-I-F-V-A-E-D-
【0096】(実施例5:Thermus flavus ATCC 33923
株アミロマルターゼ遺伝子の単離) (A)Thermus flavus ATCC 33923株のゲノムライブラ
リーの作成 (A1)ゲノムDNAの調製 本菌株を1000mlの0.89% トリプトン、0.4%イーストイク
ストラクト、0.2%塩化ナトリウムを含む培地を入れた
2Lの坂口フラスコ中で、70℃で、10〜16時間、振とう
培養した。遠心分離により菌体を回収し、ゲノムDNAを
フェノール法(SaitoおよびMiura、Biochimica et Biop
hysica Acta, 72, 619(1963))により調製した。
【0097】(A2)ゲノムDNAのλ-ZAP expressへの
挿入 上記(A1)で得られたゲノムDNAを、制限酵素Sau3AI
を用いて部分消化した後、塩化ナトリウム密度勾配遠心
分離にかけ、5〜10KbpのDNA断片を有する画分を得た。
得られたDNA断片画分と、BamHIで処理したλ-ZAP expre
ssベクター(ストラタジーン社製)とを、T4DNAリガー
ゼを用いて連結した。この反応液をインビトロパッケー
ジングキットであるラムダイン(ニッポンジーン社製)
を用いて処理し、組換えλファージ懸濁液を得た。
【0098】(A3)組換えλファージの大腸菌への導
入 大腸菌VCS257株を、10mMの塩化マグネシウムを含むL培
地(10g/l トリプトン(Difco)、5g/l イーストイク
ストラクト(Difco)、10g/l NaCl、pH7.0)で振とう培
養し、10mMの塩化マグネシウム溶液20mlに懸濁した。次
いで、組換えλファージと混合して37℃で20分間保温し
た。その後、L寒天培地(10g/l トリプトン(Difc
o)、5g/l イーストイクストラクト(Difco)、10g/l
NaCl、pH7.0、1.5%(w/v)Agar)上に、L上層寒天培地
(10g/l トリプトン(Difco)、5g/l イーストイクス
トラクト(Difco)、10g/l NaCl、pH7.0、0.8%(w/v)A
gar)を用いて重層し、37℃で一晩インキュベートし
て、溶菌斑が点在するプレートを得た。
【0099】(B)Thermus flavus ATCC 33923株のゲ
ノムライブラリーのオリゴヌクレオチドプローブによる
スクリーニング (B1)アミロマルターゼ遺伝子単離のためのオリゴヌ
クレオチドプローブの作製 実施例4で決定したThermus flavus ATCC 33923株アミ
ロマルターゼの部分アミノ酸配列(A-V-Y-P-V-Q-
D-V)に対応する合成オリゴDNA(5'-GCIGTITAYCCIGTI
CARGAYGT-3'(核酸の記載はIUPAC核酸コードに従う))
を作製した。この合成オリゴDNAを、放射線ラベルし
て、アミロマルターゼ遺伝子単離のためのプローブとし
て使用した。
【0100】(B2)アミロマルターゼ遺伝子を含む組
換えλファージの選択 上記(A3)で作製したプレートにナイロンフィルター
(アマシャム社製)を密着させ、アルカリ処理して、溶
菌斑中の組換えλファージDNAを変性させ、フィルター
に固定した。このフィルターを(B1)で作製したプロ
ーブの溶液に浸して、ハイブリダイゼーションを行っ
た。X線フィルムに密着させてシグナルを検出すること
により、アミロマルターゼ遺伝子を含む組換えλファー
ジを選択した。
【0101】(B3)アミロマルターゼ遺伝子を含む組
換えλファージのプラスミドベクターへのサブクローニ
ング 上述(B2)で得られた組換えλファージと、大腸菌
(XLI-Blue MRF株)と、ヘルパーファージ(ExAssist)
とを混合して、37℃で15分間保温した。その後、5mlの
L培地を加え、37℃で、4〜6時間振とう培養した。そ
の培養液を、70℃で、20分間加熱処理した後、遠心分離
することにより上清を取り出し、ファージ溶液を得た。
このファージ溶液20μlと大腸菌(XLOLR株)200μlとを
混合して、37℃で15分間保温した。そして、その一部も
しくは全量を、50μg/μlのカナマイシンを含有するL
寒天培地にプレーティングし、10〜18時間、37℃で、保
温した。出現したコロニーからプラスミドDNAを、アル
カリ-SDS法(Sambrookら、Molecular Cloning、前出)
により抽出して、アミロマルターゼ遺伝子を含むプラス
ミドDNAを得た。
【0102】(C)Thermus flavus ATCC 33923株アミ
ロマルターゼ遺伝子の塩基配列決定 上記で得られたプラスミドDNAについて、DNAシークエン
サー(ABI社製)を用いて塩基配列を決定した。アミロ
マルターゼ遺伝子の全塩基配列を配列表の配列番号2に
示す。配列表の配列番号1は、対応する推定アミノ酸配
列である。
【0103】(実施例6:耐熱性アミロマルターゼの組
換え生産) (A)アミロマルターゼ遺伝子のPCRによる増幅 実施例5で得られたThermus flavus ATCC 33923株由来
ゲノムDNAまたはプラスミドを鋳型とし、2種類のオリ
ゴヌクレオチド(P1:5'-TTTCATATGGAGCTTCCCCGCGCT
TTCGGTCTGCTT−3'、P2:5'-TTTGAATTCGGGCTGGTCCAC
CTAGAGCCGTTCCGT)をプライマーとして用いて、終濃度1
0%のグリセロールを含む条件下でPCR(98℃10秒、68℃
1分を25サイクル)を行った。この増幅により、アミロ
マルターゼの構造遺伝子のN末側に制限酵素NdeI部位、
およびC末端側に制限酵素EcoRI部位が付加されたアミ
ロマルターゼ遺伝子を得た。増幅DNAを制限酵素NdeIお
よびEcoRIで完全消化した後、アガロース電気泳動を行
い、アミロマルターゼ遺伝子を含む約1.5kbのDNA断片を
回収した。
【0104】(B)発現ベクターの作製 市販の大腸菌発現ベクターpGEX-5X-3(ファルマシア
製)のBamHI部位に、以下の配列を有するオリゴヌクレ
オチドアダプターを挿入し、プラスミドpGEX-Ndeを得た
(図7を参照)。
【0105】
【化1】 新たに作製した、発現プラスミドpGEX-NdeのNdeI-EcoRI
部位に、(A)で調製したアミロマルターゼ遺伝子を含
む約1.5kbのDNA断片を導入し、アミロマルターゼ発現プ
ラスミドpFQG8を得た(図7を参照)。
【0106】(C)耐熱性アミロマルターゼの大腸菌に
おける発現 アミロマルターゼ発現プラスミドpFQG8で形質転換され
た大腸菌TG-1株を終濃度100μg/mlのアンピシリンを含
む1リットルのLB培地(1% トリプトン、0.5%イースト
エキストラクト、1% NaCl、pH7.5)で対数増殖期後期
まで(約6時間)、37℃で培養した後、最終濃度0.1mM
のIPTGを加えた。さらに37℃で16時間培養を継続した
後、遠心分離を行い集菌した。得られた菌体を300mlの
緩衝液Aで2回洗浄し、次いで60mlの緩衝液Aに分散さ
せた。超音波により菌体を破砕し、遠心上清を粗酵素液
とした。このようにして得られた粗酵素液のアミロマル
ターゼ活性は、30ユニット/mlであり、Thermus flavus
ATCC 33923株を培養した際に得られる活性の約500倍
(培養液1ml当たり)であった。
【0107】(実施例7:環状グルカンの生産) (A)環状α-1,4-グルカンの生産 (本発明のアミロマルターゼを用いたサイクロアミロー
スの生産) 終濃度0.2%の酵素合成アミロースAS-320(中埜酢店
製)を含む、1mlの緩衝液(100mM 酢酸ナトリウム緩衝
液(pH5.5)、9%(v/v)DMSO)中で、実施例1で得ら
れた精製アミロマルターゼ0.07ユニットを70℃で作用さ
せた。未反応の非環状アミロースをグルコアミラーゼに
よりグルコースに分解した後に、反応産物中のサイクロ
アミロースを定量した。本発明の酵素はアミロースを環
状化し、反応2時間後まで、ほぼ直線的にサイクロアミ
ロースが増加し、最終的に約80%の収率(基質アミロー
スに対する重量比)に達した(図8)。比較として、大腸
菌由来アミロマルターゼを、反応温度を30℃とする以外
は同様の条件で作用させた。この場合、最大収率は約50
%と低く、反応の経過とともに収率は低下した。これ
は、大腸菌アミロマルターゼが、環状化反応を触媒する
一方で、微弱な加水分解活性を有しているので、生産さ
れたサイクロアミロースを分解するからである。本発明
のアミロマルターゼについては、6時間後においても、
サイクロアミロースの収率の低下は観察されなかった。
従って、本発明のアミロマルターゼは、実質的に加水分
解反応を触媒せず、サイクロアミロースを生産するため
の酵素として非常に適していることが明らかである。
【0108】反応6時間目のサンプルをグルコアミラー
ゼ消化して、未反応の非環状アミロースをグルコースに
分解した後、サイクロアミロースをエタノール沈殿して
精製した。このようにして得られたサイクロアミロース
をダイオネクス社製の糖分析システム(送液システム:
DX300、検出器:PAD-2、分析カラム:CarboPacPA100)
により分析した。溶出は、流速:1ml/分、NaOH濃度:1
50mM、酢酸ナトリウム濃度:0分-50mM、2分-50mM、37
分-350mM(Gradient curve NO.3)、45分-850mM(Grad
ient curve No.7)、47分-850mMの条件で行った。
【0109】図9に示すように、精製されたサイクロア
ミロースは、重合度21以上の混合物であった。なおサイ
クロアミロースの重合度は、重合度23から26のサイクロ
アミローススタンダード(Takahaら、J.Biol.Chem. vo
l.271, pp.2902-2908, (1996))の溶出位置より決定し
た。
【0110】(B)分岐型環状グルカンの生産 (B1)本発明のアミロマルターゼを用いた分岐型環状
グルカンの生産 2gのワキシーコーンスターチ(三和澱粉工業(株))
を400mlの10mMクエン酸緩衝液(pH7.0)に加熱溶解させ
た後、実施例6で得られた酵素を、10単位添加し、70℃
で6時間反応させた。
【0111】反応液を100℃で10分間加熱して酵素を失
活させた後、遠心分離により変性タンパク質を除去し
た。上清に10倍量のエタノールを添加してグルカンを沈
殿させた。次いで、得られた沈殿を凍結乾燥して環状グ
ルカンを含む1.8gの粉末を得た。この粉末をゲル濾過ク
ロマトグラフィーで分析した。粉末状の沈澱20mgを1ml
の100mM塩化ナトリウム水溶液に溶解して、そのうち250
μlをSuperose6(φ1cm×30cm、ファルマシア製)とS
uperdex30(φ1cm×30cm、ファルマシア製)とを連結
したカラムに、ロードした。
【0112】このカラムを、100mM塩化ナトリウム水溶
液を用いて溶出した。図10に示すように、この溶出条
件でアミロペクチンはボイドボリュームに溶出された。
一方、アミロマルターゼの反応により低分子化された生
成物では、平均分子量が30,000であるピークIおよび平
均分子量が3000であるピークIIの2種類の画分が示され
た。ピークIIは、主としてα-1,4-グルコシド結合のみ
を有する環状グルカンであった。一方、ピークIは、α
-1,6-グルコシド結合を有する分岐型環状グルカンであ
った。このクロマトグラフィー手順を4回繰り返してピ
ークIの画分を分取し、これに10倍容量のエタノールを
加えて分岐型環状グルカンを沈澱させた。沈澱を、遠心
分離して回収した後に、凍結乾燥した。このようにして
分岐型環状グルカン15mgを得た。なお、環状グルカンの
分子量は、酵素合成アミロース(中埜酢店製)をスタン
ダードとして用いて算出した。
【0113】(B2)ピークIのグルカン中のα-1,6-結
合の定量 上記(B1)で得られたピークIのグルカンが、α-1,6-
結合を有することを以下の方法により証明した。グルカ
ン中のα-1,6-結合は、枝切り酵素(EC. 3.2.1.68およ
びEC. 3.2.1.41)により選択的に加水分解される。この
際に生じる還元力の増加を測定することにより、グルカ
ン中のα-1,6-結合を定量することが可能である。これ
は、当該分野において慣用的な方法である。上記(B
1)で得られたピークIの画分の1mgを1mlの10mM酢酸
ナトリウム緩衝液(pH 5.5)に溶解し、そして十分な
量の枝切り酵素を作用させた。加熱により反応を停止し
た後、還元力の増加および全糖量を測定した。この結
果、(B1)で得られたピークIのグルカンは、約7%の
α-1,6-結合を有することが示された。
【0114】(B3)ピークIのグルカン中の環状構造
部分の解析 上記(B1)で得られたピークIのグルカンが環状構造
を有していること、およびこのグルカン中の環状構造部
分の構造を以下の方法で解析した。
【0115】グルコアミラーゼは、デンプンなどのグル
カンの非還元末端から順次α-1,4-グルコシド結合を加
水分解する酵素である。速度は遅いが、非還元末端から
α-1,6-グルコシド結合をも加水分解し得ることが知ら
れている。図11に示すように、環状構造を有しないア
ミロース(1)およびアミロペクチン(3)は、グルコ
アミラーゼにより完全にグルコース(6)にまで分解さ
れる。しかし、分子内に環状構造を有するグルカン
(4)および(2)は、その非環状構造部分のみがグル
コアミラーゼにより分解され、その環状構造部分は、グ
ルコアミラーゼによって分解されない物質(以下、グル
コアミラーゼ耐性成分という)として残る。さらに、こ
のグルコアミラーゼ耐性成分は、枝切り酵素に対する感
受性によって、内分岐型環状グルカン(5)と環状α-
1,4-グルカン(2)とに分類することができる。すなわ
ち、枝切り酵素とグルコアミラーゼとを併せて使用した
場合に分解されないグルコアミラーゼ耐性成分は、環状
α-1,4-グルカン(2)であると考えられる。この環状
α-1,4-グルカン(2)は、エンド型α−アミラーゼと
グルコアミラーゼとを併わせて使用することにより、完
全にグルコースまで分解され得る。一方、枝切り酵素と
グルコアミラーゼとを併わせて使用することによって分
解されるグルコアミラーゼ耐性成分は、内分岐型環状グ
ルカン(5)であると考えられる。
【0116】以上の方法を用いて、(B1)で得られた
分岐型環状グルカン(ピークIの画分)およびコントロ
ールとしてのアミロペクチンについて、それぞれ環状構
造の解析を行った。
【0117】分岐型環状グルカン10mg((B1)で得ら
れたもの)およびアミロペクチン10mgを、それぞれ1ml
のDMSOに溶解した後、8mlの100mMの酢酸ナトリウム緩
衝液を用いて、すばやく希釈した。この希釈液を900μl
ずつ4本のチューブに分注した。次いで、それぞれのチ
ューブに(i)蒸留水、(ii)グルコアミラーゼ液、(i
ii)枝切り酵素とグルコアミラーゼとの混合液、および
(iv)エンド型α−アミラーゼとグルコアミラーゼとの
混合液を、それぞれ、100μl加えて40℃にて4時間反
応させた。反応終了後、生成したグルコースを市販のグ
ルコース定量キット(和光純薬)を用いて測定した。そ
して、試料グルカン中の非環状構造部分、α-1,4-結合
のみを有する環状構造部分およびα-1,6-結合を有する
環状構造部分を、それぞれ、以下の計算式により求め
た。
【0118】
【数1】 ここで、c、x、y、およびzはそれぞれ、(i)、(i
i)、(iii)、および(iv)の反応液から生じたグルコ
ース量である。結果を表1に示す。
【0119】
【表1】 上記の分岐型環状グルカンは、その環状構造部分に少な
くとも1個のα-1,6-グルコシド結合を含む内分岐型環
状グルカン構造を含むことが示された。
【0120】(実施例8:本発明のアミロマルターゼの
食品への利用) 鍋に、90gの市販のワラビモチ粉(主成分:甘藷デンプ
ン、製造業者:山本貢資商店)と360mlの水とを十分に
混合した。絶えず撹拌しながら鍋を火にかけ、ワラビ粉
が透明なモチ状になった時点で鍋を火から下ろし、その
まま撹拌を続けた。鍋の温度が80℃程度にまで下がった
時点で、200単位の実施例6で得られた酵素を加え、そ
の後15分間、70℃程度で撹拌を続けた。このようにして
できたモチを平らな容器に流し入れ、そして冷蔵庫で冷
やしてワラビモチを作製した。コントロールとして酵素
を添加しないワラビモチを同様に作製した。
【0121】得られたワラビモチ1gを、それぞれ、20m
lの水に加熱溶解してデンプンを抽出した。抽出したデ
ンプンを実施例7の(B1)に記載と同様の方法を用い
て、ゲル濾過クロマトグラフ分析した。結果を図12に
示す。酵素を添加したワラビモチのデンプンは、環状化
反応により低分子化されたことが示される。
【0122】さらに、実施例7と同様の実験を行い、こ
の低分子化されたグルカンが、環状構造を有することを
確認した。
【0123】
【発明の効果】本発明の酵素は、今までに発見された中
で、環状グルカンを生産するため、および食品を改質す
るために特に優れた性質を有するアミロマルターゼであ
る。前述の実施例で示されるように、当該酵素は、反応
至適温度が65〜70℃であり、80℃でも十分に使用し得
る。また当該酵素は、α-グルカンの環状化後、100℃で
15分間加熱することにより容易に失活されるため、逆反
応を防止し得る。従って、環状グルカンを生産するにお
いては、反応温度が低いために生じる雑菌の汚染および
α-グルカンの老化、生成物の加水分解、ならびに逆反
応に伴う問題を克服し、環状グルカンを効率よく製造す
ることが可能となった。また、食品の改質においては、
食品の加熱調理前または加熱調理直後に酵素を添加し
て、食品中のデンプンを低分子化して環状グルカンを生
成することが可能になった。
【0124】
【配列表】
配列番号1 配列の長さ:500 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列番号1の配列 Met Glu Leu Pro Arg Ala Phe Gly Leu Leu Leu His Pro Thr Ser Leu 5 10 15 Pro Gly Pro Tyr Gly Val Gly Val Leu Gly Arg Glu Ala Arg Asp Phe 20 25 30 Leu Arg Phe Leu Lys Glu Ala Gly Gly Arg Tyr Trp Gln Val Leu Pro 35 40 45 Leu Gly Pro Thr Gly Tyr Gly Asp Ser Pro Tyr Gln Ser Phe Ser Ala 50 55 60 Phe Ala Gly Asn Pro Tyr Leu Ile Asp Leu Arg Pro Leu Ala Glu Arg 65 70 75 80 Gly Tyr Val Arg Leu Glu Asp Pro Gly Phe Pro Gln Gly Arg Val Asp 85 90 95 Tyr Gly Leu Leu Tyr Ala Trp Lys Trp Pro Ala Leu Lys Glu Ala Phe 100 105 110 Arg Gly Phe Lys Glu Lys Ala Ser Pro Glu Glu Arg Glu Ala Phe Ala 115 120 125 Ala Phe Arg Glu Arg Glu Ala Trp Trp Leu Glu Asp Tyr Ala Leu Phe 130 135 140 Met Ala Leu Lys Gly Ala His Gly Gly Leu Pro Trp Asn Arg Trp Pro 145 150 155 160 Leu Pro Leu Arg Lys Arg Glu Glu Lys Ala Leu Arg Glu Ala Lys Ser 165 170 175 Ala Leu Ala Glu Glu Val Ala Phe His Ala Phe Thr Gln Trp Leu Phe 180 185 190 Phe Arg Gln Trp Gly Ala Leu Lys Ala Glu Ala Glu Ala Leu Gly Ile 195 200 205 Arg Ile Ile Gly Asp Met Pro Ile Phe Val Ala Glu Asp Ser Ala Glu 210 215 220 Val Trp Ala His Pro Glu Trp Phe His Leu Asp Glu Glu Gly Arg Pro 225 230 235 240 Thr Val Val Ala Gly Val Pro Pro Asp Tyr Phe Ser Glu Thr Gly Gln 245 250 255 Arg Trp Gly Asn Pro Leu Tyr Arg Trp Asp Val Leu Glu Arg Glu Gly 260 265 270 Phe Ser Phe Trp Ile Arg Arg Leu Glu Lys Ala Leu Glu Leu Phe His 275 280 285 Leu Val Arg Ile Asp His Phe Arg Gly Phe Glu Ala Tyr Trp Glu Ile 290 295 300 Pro Ala Ser Cys Pro Thr Ala Val Glu Gly Arg Trp Val Lys Ala Pro 305 310 315 320 Gly Glu Lys Leu Phe Gln Lys Ile Gln Glu Val Phe Gly Glu Val Pro 325 330 335 Val Leu Ala Glu Asp Leu Gly Val Ile Thr Pro Glu Val Glu Ala Leu 340 345 350 Arg Asp Arg Phe Gly Leu Pro Gly Met Lys Val Leu Gln Phe Ala Phe 355 360 365 Asp Asp Gly Met Glu Asn Pro Phe Leu Pro His Asn Tyr Pro Ala His 370 375 380 Gly Arg Val Val Val Tyr Thr Gly Thr His Asp Asn Asp Thr Thr Leu 385 390 395 400 Gly Trp Tyr Arg Thr Ala Thr Pro His Glu Lys Ala Phe Met Ala Arg 405 410 415 Tyr Leu Ala Asp Trp Gly Ile Thr Phe Arg Glu Glu Glu Glu Val Pro 420 425 430 Trp Ala Leu Met His Leu Gly Met Lys Ser Val Ala Arg Leu Ala Val 435 440 445 Tyr Pro Val Gln Asp Val Leu Ala Leu Gly Ser Glu Ala Arg Met Asn 450 455 460 Tyr Pro Gly Arg Pro Ser Gly Asn Trp Ala Trp Arg Leu Leu Pro Gly 465 470 475 480 Glu Leu Ser Pro Glu His Gly Ala Arg Leu Arg Ala Met Ala Glu Ala 485 490 495 Thr Glu Arg Leu 500
【0125】配列番号2 配列の長さ:1503 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:Thermus flavus 株名:ATCC 33923 配列番号2の配列 ATGGAGCTTC CCCGCGCTTT CGGTCTGCTT CTCCACCCCA CGAGCCTCCC CGGCCCCTAC 60 GGCGTCGGCG TCCTGGGCCG GGAGGCCCGG GACTTCCTCC GCTTCCTCAA GGAGGCGGGG 120 GGGCGGTACT GGCAGGTCCT CCCCTTGGGC CCCACGGGCT ATGGCGACTC CCCCTACCAG 180 TCCTTCAGCG CCTTCGCCGG AAACCCCTAC CTCATAGACC TGAGGCCCCT CGCGGAAAGG 240 GGCTACGTGC GCCTGGAGGA CCCCGGCTTC CCCCAAGGCC GGGTGGACTA CGGCCTCCTC 300 TACGCCTGGA AGTGGCCCGC CCTGAAGGAG GCCTTCCGGG GCTTCAAGGA AAAGGCCTCC 360 CCGGAGGAGC GGGAGGCCTT CGCCGCCTTC CGGGAGAGGG AGGCCTGGTG GCTCGAGGAC 420 TACGCCCTCT TCATGGCCCT GAAGGGGGCG CACGGGGGGC TTCCCTGGAA CCGGTGGCCC 480 CTTCCCCTGC GGAAGCGGGA AGAGAAGGCC CTTAGGGAGG CGAAAAGCGC CTTGGCCGAG 540 GAGGTGGCCT TCCACGCCTT CACCCAGTGG CTCTTCTTCC GCCAGTGGGG GGCCTTGAAG 600 GCGGAGGCCG AGGCGTTGGG CATCCGGATC ATCGGGGACA TGCCCATCTT CGTGGCCGAG 660 GACTCCGCCG AGGTCTGGGC CCACCCCGAG TGGTTTCACC TGGACGAGGA GGGCCGCCCC 720 ACGGTGGTGG CGGGGGTGCC CCCCGACTAC TTCTCGGAGA CGGGCCAGCG CTGGGGTAAC 780 CCCCTTTACC GCTGGGACGT TTTGGAGCGG GAGGGGTTCT CCTTCTGGAT CCGCCGTCTG 840 GAGAAGGCCC TGGAGCTCTT CCACCTGGTG CGCATAGACC ACTTCCGCGG CTTTGAGGCC 900 TACTGGGAGA TCCCCGCAAG CTGCCCCACG GCGGTGGAGG GGCGCTGGGT CAAGGCCCCG 960 GGGGAGAAGC TCTTCCAGAA GATCCAGGAG GTCTTCGGCG AGGTCCCCGT CCTCGCCGAG 1020 GACCTGGGGG TCATCACCCC CGAGGTGGAG GCCCTGCGCG ACCGCTTCGG CCTTCCCGGG 1080 ATGAAGGTCC TGCAGTTCGC CTTTGACGAC GGGATGGAAA ACCCCTTCCT CCCCCACAAC 1140 TACCCTGCCC ACGGCCGGGT GGTGGTCTAC ACCGGCACCC ACGACAACGA CACCACCCTG 1200 GGCTGGTACC GCACGGCCAC CCCCCACGAG AAGGCCTTCA TGGCGCGGTA CCTGGCGGAC 1260 TGGGGGATCA CCTTCCGGGA AGAGGAGGAG GTGCCCTGGG CCCTGATGCA CCTGGGGATG 1320 AAGTCCGTGG CCCGGCTCGC CGTCTACCCG GTGCAGGACG TCCTGGCCCT GGGCAGCGAG 1380 GCCCGGATGA ACTACCCGGG AAGGCCCTCG GGGAACTGGG CCTGGCGGCT CCTCCCGGGG 1440 GAGCTTTCCC CGGAGCACGG GGCGAGGCTT AGGGCCATGG CCGAGGCCAC GGAACGGCTC 1500 TAG 1503
【図面の簡単な説明】
【図1】アミロマルターゼを用いたサイクロアミロース
の生産工程を示す模式図である。
【図2】精製した本発明のアミロマルターゼをSDSポリ
アクリルアミド電気泳動した結果を示す写真である。
【図3】本発明のアミロマルターゼの反応至適温度を示
したグラフである。
【図4】本発明のアミロマルターゼの至適pHを示したグ
ラフである。
【図5】本発明のアミロマルターゼの耐熱性を示したグ
ラフである。緩衝液A中で、示した温度にて10分間加熱
した後の残存活性を示す。
【図6】本発明のアミロマルターゼの重合度不均化反応
の触媒活性を示す薄層クロマトグラフィーの結果を示す
写真である。
【図7】アミロマルターゼ発現ベクターの作製工程を示
す模式図である。
【図8】本発明のアミロマルターゼおよび大腸菌由来の
アミロマルターゼを用い、アミロースからのサイクロア
ミロースの生産を経時的に定量したグラフである。
【図9】本発明のアミロマルターゼを用いて生産された
サイクロアミロースをダイオネクス社製の糖分析システ
ムにより分析した結果を示すグラフである。
【図10】本発明のアミロマルターゼを作用させる前、
および作用させた後のワキシーコーンスターチのゲル濾
過による溶出パターンを示すグラフである。
【図11】実施例7の(B3)における、環状グルカン
の構造を解析する過程を示す模式図である。
【図12】酵素を添加したワラビモチ(B)において、
環状グルカンが生産されたことを示すグラフである。コ
ントロールとして、酵素を添加しないワラビモチを用い
た(A)。
【符号の説明】
1 アミロース 2 環状α-1,4-グルカン 3 アミロペクチン 4 外分岐型環状グルカン 5 内分岐型環状グルカン 6 グルコース
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 9/10 C12N 9/10 C12P 19/18 C12P 19/18 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:01) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/10 C12R 1:19) (72)発明者 鷹羽 武史 兵庫県神戸市北区日の峰4−7−16 (72)発明者 岡田 茂孝 奈良県生駒市東生駒3−207−269

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の性質を有するアミロマルターゼ: 1)作用:α-グルカンを基質として、分子内転移反応
    により環状グルカンを生成する; 2)反応特異性:実質的に加水分解反応を触媒しない; 3)反応至適温度:65℃から70℃; 4)耐熱性:60℃で10分間以上活性を維持し、かつ100℃
    で15分間で失活する;および 5)反応至適pH:pH5.5。
  2. 【請求項2】 Thermus flavus ATCC 33923由来であ
    る、請求項1に記載のアミロマルターゼ。
  3. 【請求項3】以下の(a)または(b)のアミロマルタ
    ーゼ: (a)配列表の配列番号1の1位のMetから500位のLeu
    までのアミノ酸配列を有するアミロマルターゼ;または (b)アミノ酸配列(a)において、1またはそれ以上
    のアミノ酸が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配
    列を有し、耐熱性であるアミロマルターゼ。
  4. 【請求項4】 以下の(a)または(b)のアミロマル
    ターゼをコードする遺伝子: (a)配列表の配列番号1の1位のMetから500位のLeu
    までのアミノ酸配列を有するアミロマルターゼ;または (b)アミノ酸配列(a)において、1またはそれ以上
    のアミノ酸が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配
    列を有し、耐熱性であるアミロマルターゼ。
  5. 【請求項5】 以下の(a)または(b)のDNAからな
    るアミロマルターゼ遺伝子: (a)配列表の配列番号2に記載の塩基配列を有するDN
    A;または (b)塩基配列(a)を有するDNAとストリンジェント
    な条件下でハイブリダイズし、耐熱性であるアミロマル
    ターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の耐熱性アミロ
    マルターゼ遺伝子を含有する発現ベクター。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の発現ベクターで形質転
    換された微生物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の形質転換された微生物
    を培養する工程、および該培養により生産されたアミロ
    マルターゼを回収および精製する工程を含む、アミロマ
    ルターゼの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法によって製造され
    るアミロマルターゼ。
  10. 【請求項10】 請求項1から3および9のいずれかの
    項に記載のアミロマルターゼを用いてα-グルカンを環
    状化する工程、および該環状グルカンを回収および精製
    する工程を含む、環状グルカンの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記環状グルカンが、環状α-1,4-グ
    ルカンを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記環状グルカンが、分岐型環状グル
    カンを含む、請求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記環状化する工程において、枝つく
    り酵素をさらに用いる、請求項10に記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項1から3および9のいずれかの
    項に記載のアミロマルターゼを食品素材に、該素材の加
    熱処理前または加熱処理直後に添加する工程であって、
    ここで該アミロマルターゼが該食品素材中のデンプンか
    ら環状グルカンを生成する工程、を含む、食品の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 前記食品が、米飯類、和菓子、スナッ
    ク菓子類、ベーカリー類、麺類、餃子およびシュウマイ
    の皮、水産練り商品、冷凍もしくは冷蔵流通の加工食
    品、離乳食、ベビーフード、ペットフード、動物用飼
    料、飲料、スポーツ食品、ならびに栄養補助食品からな
    る群より選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記食品が和菓子である、請求項15
    に記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項1から3および9のいずれかの
    項に記載のアミロマルターゼを含有することを特徴とす
    る、食品素材、食品添加物、および食品改質剤。
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