JPH1145842A - 投影露光装置と露光方法、該露光装置の調整方法、及び回路デバイス製造方法 - Google Patents

投影露光装置と露光方法、該露光装置の調整方法、及び回路デバイス製造方法

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JPH1145842A
JPH1145842A JP9198154A JP19815497A JPH1145842A JP H1145842 A JPH1145842 A JP H1145842A JP 9198154 A JP9198154 A JP 9198154A JP 19815497 A JP19815497 A JP 19815497A JP H1145842 A JPH1145842 A JP H1145842A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外照明光を用いる投影露光装置の投影光学
系や照明光学系で生じる各種の収差を低減した露光方式
を提供する。 【構成】 投影露光装置によってマスク上のパターンを
感光基板上に走査露光する際に、走査方向については投
影領域内の幅に渡ってスタティックな像歪み特性が平均
化されてダイナミックな像歪み特性になることに着目
し、そのダイナミックな像歪み特性のうちの少なくとも
ランダムな成分についは、透明な平行平板の表面を局所
的に研磨加工した像歪み補正板を投影光路内に配置する
ことで補正する。また、その他の収差についても走査露
光時に平均化されてダイナミックに収差特性になること
を考慮して、事前に他の収差を最小にするような補正板
を作製して投影光路内に装着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、原版に形成されたパタ
ーンを投影光学系を通して感応性の基板上に精密に露光
する方法と露光装置に関し、特に半導体回路素子や液晶
表示素子等の回路デバイスを製造するリソグラフィ工程
で使用される走査型の投影露光装置と、それによる露光
方法及び回路デバイス製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、半導体デバイスの製造現場では、
波長365nmの水銀ランプのi線を照明光とした縮小
投影露光装置、所謂ステッパーを使って最小線幅が0.
3〜0.35μm程度の回路デバイス(256Mビット
のD−RAM等)を量産製造している。同時に、1Gビ
ットD−RAM、4GビットD−RAMクラスの集積度
を有し、最小線幅が0.25μm以下の次世代の回路デ
バイスを量産製造するための露光装置の導入が始まって
いる。
【0003】その次世代の回路デバイス製造用の露光装
置として、KrFエキシマレーザ光源からの波長248
nmの紫外パルスレーザ光、或いはArFエキシマレー
ザ光源からの波長193nmの紫外パルスレーザ光を照
明光とし、回路パターンが描画されたレチクル(原版、
マスク基板)と半導体ウェハとを縮小投影レンズ系の投
影視野に対して相対的に1次元走査することで、ウェハ
上の1つのショット領域内にレチクルの回路パターン全
体を走査露光するステップアンドスキャン方式の投影露
光装置が有力視されている。
【0004】このようなステップアンドスキャン方式の
投影露光装置は、屈折光学素子(レンズ素子)と反射光
学素子(凹面鏡等)とで構成される縮小投影光学系を搭
載したパーキンエルマー社のマイクラ・スキャン露光装
置として製品化され、市販されてきた。そのマイクラ・
スキャン露光装置は、例えば1989年のSPIE,V
ol.1088のp.424〜433に詳細に説明され
ているように、円弧スリット状に制限された実効投影領
域を介してレチクルのパターンの一部をウェハ上に投影
しつつ、レチクルとウェハとを投影倍率(1/4縮小)
に応じた速度比で走査移動させることで、ウェハ上のシ
ョット領域を露光するものである。
【0005】またステップアンドスキャン方式の投影露
光方式として、エキシマレーザ光を照明光とし、円形の
投影視野を有する縮小投影レンズ系の実効投影領域を多
角形(六角形)に制限し、その実効投影領域の非走査方
向の両端を部分的にオーバーラップさせる方法、所謂ス
キャン&ステッチング法を組合わせたものが、例えば特
開平2−229423号公報(Jain)で知られている。
また、そのような走査露光方式を採用した投影露光装置
の例は、特開平4−196513号公報(NC:西)、
特開平4−277612号公報(NC:西)、特開平4
−307720号公報(NC:太田)等にも開示されて
いる。
【0006】従来の走査露光方式の投影露光装置のう
ち、投影光学系による実効投影領域を円弧スリット状、
或いは直線スリット状に制限した方式では、走査露光の
結果としてウェハ上に転写されるパターンの像歪み(デ
ィストーション)は、当然のことながら投影光学系自体
の各種収差、或いは照明光学系による照明条件に依存す
る。このような像歪みは、従来のステッパーのように投
影視野内に包含されるレチクルの回路パターン像をウェ
ハ上のショット領域内に一括転写する方式(静止露光方
式)の場合にも重要な誤差バジェットになっていた。
【0007】そのため、従来のステッパーに搭載される
投影光学系では、理想格子点を投影像面内に投影させた
ときに各格子点像で生じる像歪みベクトル(理想格子点
の各点像の理想位置からのずれの方向と量)が、投影視
野内の全体において平均的に小さくなるような条件で光
学設計されている。そして、その像歪みベクトルを設計
時の許容範囲内に収めるべく、高精度にレンズ素子や光
学部材を加工し、複雑で手間のかかる検査を繰り返しな
がら投影光学系として組み上げていた。
【0008】そこで、このような高精度な投影光学系の
製造上の難しさを少しでも緩和するために、組み立てら
れた投影光学系の像歪み特性を実測し、その実測された
像歪み特性が投影視野内の各点で最小になるように、投
影視野内の各点を通る主光線を部分的に偏向するように
研磨された光学補正板(石英板)を投影光路内に挿入す
る手法が、例えば特開平8−203805号公報(N
C)に開示されている。
【0009】さらに特開平6−349702号公報(ニ
コン)には、走査露光によって転写された感光基板上の
レジスト像に生じる像歪み特性を改善するために、投影
光学系を構成する一部のレンズ素子を光軸を中心にして
回転させて投影光学系の収差特性を調整する方法が開示
されている。またその他に、特開平4−127514号
公報(NC:谷口)、特開平4−134813号公報
(NC:白石)に開示されているように、投影光学系を
構成する一部のレンズ素子を微動させて投影倍率、歪曲
収差等を調整することも知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のように、投影光
学系の一部のレンズ素子を回転させたり、或いは光軸に
対する偏心、傾斜を加えたりして収差特性を調整する場
合は、それで必ず良好な収差特性(像歪み特性)が得ら
れる保証がないといった問題がある。さらにそのような
調整手法は、安定な精度を確保することも困難であり、
調整作業も試行錯誤的な要素が強く、手間がかかるとい
った問題もある。そしてこの手法の何よりもの問題は、
投影光学系の実効投影領域内の全体的な像歪み特性があ
る傾向になるように一様に調整、修正することはできて
も、実効投影領域内の局所的な像歪み特性のみを部分的
に調整、修正することが困難なことである。
【0011】そこで、特開平8−203805号公報
(NC:ニコン)に開示されているような光学補正板を
作成し、それを投影光路中に挿入すると、実効投影領域
内の局所的な像歪み特性を容易に改善できることが予測
される。しかしながら、特開平8−203805号公報
(NC:ニコン)に説明された従来の光学補正板は、走
査露光に使われる投影光学系に適用することを想定した
ものではない。そのために、そこに開示された手法のま
ま光学補正板を製作すると、その設計、製造が極めて複
雑になり、特に光学補正板の局所的な表面形状を波長オ
ーダー(nm〜μmのオーダー)で加工する精度も厳し
くなってくる。
【0012】そこで本発明は、走査露光方法に適した光
学補正素子を搭載した投影光学系を用いて、走査露光時
に生じる像歪み誤差を容易に低減させる露光方法を提供
することを目的とする。さらに本発明は、そのような光
学補正素子を搭載した投影露光装置と、その露光装置を
用いて回路デバイスを製造する方法を提供することを目
的とする。
【0013】また本発明は、走査方式の投影露光装置に
搭載された状態で未加工の光学補正素子を含む投影光学
系の像歪み誤差を計測し、その計測結果に基づいて加工
すべき光学補正素子の面形状等の加工条件や投影光学系
への取付け条件(傾斜等)を自動的にシミュレーション
可能なリソグラフィ装置用の結像性能自動計測システム
を提供することを目的とする。
【0014】また本発明は、そのような結像性能自動計
測システムを用いて、定期的に、或いは必要時に投影露
光装置の性能を簡単に自己検定できるようにすることを
目的とし、それによって、投影露光装置が製造ラインで
使用されている間に生じ得る結像性能の変化、特にラン
ダムな像歪み誤差(収差特性)の変化を直ちに求めるこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決する為の手段】本発明は、マスク(レチク
ルR)のパターンを感応性の基板(レジスト層が形成さ
れたウェハW)上に投影光学系(PL)を通して結像投
影しつつ、マスク(R)と感応基板(W)とを投影光学
系(PL)の視野に対して走査移動する方式の投影露光
装置に適用すること、或いはそのような方式の投影露光
装置を用いて回路デバイスを製造することを前提として
いる。
【0016】請求項1に記載した発明は、所定の結像特
性を有する投影光学系(PL)と、投影光学系(PL)
の物体面側に保持されるマスク基板(R)と投影光学系
(PL)の像面側に保持される感応基板(W)を投影光
学系(PL)に対して1次元走査方向(Y方向)に移動
させる駆動機構(レチクルステージ8とウェハステージ
14)と、像面側に投影されるマスク基板(R)の部分
的な像を1次元走査方向に所定の幅を有する実効投影領
域(EIA)内に制限する制限手段(例えば照明用のレ
チクルブラインド7Lや投影光学系の中間像面のスリッ
ト開口等)とを備え、マスク基板(R)のパターンを感
応基板(W)上に走査露光する投影露光装置に適用され
る。
【0017】そして本発明では、投影光学系(PL)の
物体面側に配置した理想格子点(例えばテストレチクル
TR上の計測用マーク)を像面側に投影すると理想格子
点の夫々に対応した各像点が実効投影領域(EIA)内
で像歪みベクトルを伴うものとしたとき、実効投影領域
(EIA)内で1次元走査方向に並ぶ複数の像点の各像
歪みベクトルを平均した平均ベクトル(VP(Xi))を実
効投影領域(EIA)の1次元走査方向と交差した非走
査方向(X方向)の複数の位置の各々において所定の状
態に補正するように光学加工された少なくとも1つの光
学補正素子(像歪み補正板G1、アスコマ補正板G3、
像面湾曲補正板G4)を、投影光学系(PL)内の所定
位置に保持する補正素子保持手段(支持プレート12
0,プレート保持部130等)を設けるようにした。
【0018】以上の構成により本発明では、走査露光の
際に照明光学系と投影光学系の両方の収差の影響を受け
た像歪みベクトル、特にダイナミックなディストーショ
ン特性、アス・コマ特性、像面湾曲特性を良好に補正す
ることが可能となる。また請求項2に記載した発明で
は、請求項1の装置における光学補正素子(G1、G
3、G4)を、投影光学系による結像光路中で主光線が
投影光学系の物体面または像面とほぼ垂直になるテレセ
ントリック部に配置するようにした。
【0019】また請求項3に記載した発明では、請求項
2の装置における補正光学素子(G1、G3、G4)
を、物体面側と像面側の少なくとも一方に配置された透
過性光学硝材で構成し、その透過性光学硝材の実効投影
領域(EIA)に対応した表面部分を、非走査方向(X
方向)の複数の位置の各々における平均ベクトル(VP
(Xi))をほぼ同一にするように、局所的に異なる面形状
に光学加工した。これによって、ダイナミックなディス
トーション特性、アス・コマ特性、像面湾曲特性の各々
に含まれるランダムな成分が良好に補正される。
【0020】また請求項4に記載した発明では、請求項
3の装置における補正素子保持手段(120,130
等)が、透過性光学硝材を投影光学系(PL)の物体面
または像面と平行な状態、或いは物体面または像面に対
して微少傾斜した状態で保持するように構成した。これ
により、光学加工された透過性光学硝材(光学補正素子
G1,G3,G4)を投影光路内に装着するときの調整
や、照明条件切替え時の微調整が容易に行なえるといっ
た利点がある。
【0021】また請求項5に記載した発明では、請求項
3の装置において非走査方向(X方向)の複数の位置の
各々における平均ベクトル(VP(Xi))の方向性と絶対
値が所定の関数に近似されるように、透過性光学硝材の
表面を局所的に異なる面形状に光学加工した。これによ
って、ダイナミックなディストーション特性のうちのラ
ンダム成分は透過性光学硝材(光学補正素子G1,G
3,G4)によって補正し、関数近似可能な残留成分は
装置内の他の補正機構によって対応するとった振り分け
補正が可能となり、光学補正素子(G1,G3,G4)
の光学加工が容易になるといった利点がある。
【0022】また請求項6に記載した発明では、請求項
3の装置における投影光学系を介して像面側に解像可能
なパターン像の最小サイズをΔrとしたとき、非走査方
向(X方向)の複数の位置の各々における平均ベクトル
の夫々から線形誤差成分、或いは関数近似可能な誤差成
分を除いたランダム誤差成分を±(Δr/10)以内に
するように、透過性光学硝材の表面の面形状を局所的に
光学加工する。これによって、最小線幅0.08〜0.
15μm程度を解像する投影光学系に要求される収差規
格を満たすことが可能となり、1G〜4Gビットクラス
の集積度の回路デバイスを量産製造することが可能とな
る。
【0023】さらに本願の請求項7に記載した発明は、
所定の結像特性を有する投影光学系(PL)の物体面側
に原版(レチクルR)を配置するとともに投影光学系の
像面側に感応基板(ウェハW)を配置し、像面側に投影
される原版(R)の部分的な像を1次元走査の方向(Y
方向)に所定の幅を有する実効投影領域(EIA)内に
制限した状態で、原版(R)と感応基板(W)とを1次
元走査方向に移動させて原版(R)のパターンを感応基
板(W)上に走査露光する方法に適用される。
【0024】そして本発明においては、物体面側に配置
した理想格子点(例えばテストレチクルTR上の計測用
マークの座標位置等)を像面側に投影するとその理想格
子点の夫々に対応した各像点が実効投影領域(EIA)
内で像歪みベクトル(スタティックな像歪みベクトルD
V(i,j))を伴うものとしたとき、実効投影領域(EI
A)内で1次元走査方向に並ぶ複数の像点の各像歪みベ
クトル(DV(i,j))を平均化した平均ベクトル(ダイ
ナミックな像歪みベクトルVP(Xi))が実効投影領域
(EIA)の1次元走査方向と交差した非走査方向
(X)の複数の位置の各々において所定の状態になるよ
うに光学加工された少なくとも1つの光学補正素子(像
歪み補正板G1,アス・コマ補正板G3,像面湾曲補正
板G4)を、投影光学系(PL)による結像光路内に配
置した状態で原版(R)のパターンを感応基板(W)上
に走査露光するようにした。
【0025】以上の構成の本発明によれば、走査露光の
際に照明光学系と投影光学系の両方による収差の影響を
受けた像歪みベクトル、特にダイナミックなディストー
ション特性、アス・コマ特性、像面湾曲特性を良好に補
正することが可能となる。また請求項8に記載した発明
では、請求項7に記載の原版(R)を回路デバイス製造
用のパターンが形成されたマスク基板(R)とし、請求
項7に記載の感応基板(W)をレジストの塗布された半
導体ウェハ(W)とし、請求項7に記載の光学補正素子
(G1,G3,G4)を含む投影光学系(PL)を屈折
光学素子のみ、屈折光学素子と反射光学素子の組合わ
せ、或いは反射光学素子のみで構成される縮小投影系
(PL)とし、その縮小投影系を用いてマスク基板
(R)のパターンを半導体ウェハ(W)上に走査露光す
ることで半導体ウェハ(W)上に回路デバイス(ショッ
ト領域内に露光)を形成するようにした。
【0026】そして請求項9の発明では、請求項8の光
学補正素子として、投影光学系(PL)の物体面側に配
置されて、投影光学系(PL)を用いた走査露光時の平
均化で生じ得る前記平均ベクトル(VP(Xi))で規定さ
れるダイナミックなディストーション特性を補正する像
歪み補正板(G1)を設けるようにした。また請求項1
0の発明では、請求項8の光学補正素子として、投影光
学系(PL)の像面側に配置されて、投影光学系(P
L)を用いた走査露光時に平均化されて生じ得る平均ベ
クトル(VP(Xi))に基づいて規定されるダイナミック
なアス収差特性を補正するアス補正板(G3)を設ける
ようにした。
【0027】また請求項11の発明では、平均化された
平均ベクトル(VP(Xi))が非走査方向(X方向)の位
置に応じた所定の関数(1次関数や2次関数等)に近似
されるか、又はその位置によらずほぼ一定(例えばゼ
ロ)に近似されるように、光学補正素子(G1,G3,
G4)の表面を局所的に光学研磨して作製するようにし
た。
【0028】さらに請求項12に記載した発明は、マス
ク(レチクルR)上のパターン領域の一部を照明系
(7)からの照明エネルギー(ILB)で照射し、その
パターン領域の一部を投影光学系(PL)を介して感応
性の基板(W)上に投影しつつレチクル(R)と基板
(W)とを投影光学系の視野(IF)に対して1次元移
動させることにより、基板(W)上にマスクのパターン
領域の全体像を走査露光する露光装置の調整方法に適用
される。
【0029】そして本発明においては、投影光学系(P
L)の物体面側または像面側における照明エネルギーの
光学的な収差を補正するための照明収差補正部材(照明
NA補正板7F)を照明系内に調整して設置する第1の
工程と、理想格子点またそれに準じた点の各々に計測用
マーク(TM(i,j))が形成されたテストレチクル(T
R)を投影光学系の物体面に配置し、第1の工程によっ
て補正された収差状態の照明エネルギーをテストレチク
ル(TR)に照射することによって複数の計測用マーク
(TM(i,j))の各像を投影光学系(P)の像面側に投
影する第2の工程と、計測用マーク(TM(i,j))の各
投影像に含まれるスタティックな像歪み量(DV(i,
j))を計測し、そのスタティックな像歪み量(DV(i,
j))に基づいて走査露光時に平均化されるダイナミック
な像歪み量(VP(Xi))を非走査方向(X方向)の所定
の位置毎に決定する第3の工程と、ダイナミックな像歪
み量(VP(Xi))のうちの少なくともランダムな成分が
補正されるように加工された投影収差補正部材(像歪み
補正板G1)を投影光学系(PL)の物体面と像面との
間に調整して設置する第4の工程とを実施するようにし
た。
【0030】これによって本発明では走査方式の投影露
光装置の結像性能を、1G〜4Gビットクラスの集積度
(線幅0.08〜0.15μm)を有する回路デバイス
の量産製造に適したものに調整可能となる。また請求項
13の発明では、請求項12における照明収差補正部材
が、マスク(R)又はテストレチクル(TR)に照射さ
れる照明エネルギーの全体的なテレセン誤差、局所的な
テレセン誤差、及び投影光学系(PL)の視野内の位置
に応じて変化する照明開口数の誤差の少なくとも1つの
誤差による収差を補正するように構成した。
【0031】これによって投影光学系自体のダイナミッ
クなディストーション特性、ダイナミックなアス・コマ
特性、ダイナミックな像面湾曲特性等の諸収差を計測す
る際の精度が向上し、各種の光学補正素子(G1,G
3,G4)を高精度に製作できるといった利点がある。
また請求項14の発明では、請求項12における投影収
差補正部材として、投影光学系による投影光路内の像面
近傍に配置されて、第3の工程で計測されたスタティッ
クな像歪み量(DV(i,j))に基づいて特定されるアス
収差特性、又は像面湾曲特性を補正するように表面を局
所的に研磨加工したアス収差補正板(G3)、又は像面
湾曲補正板(G4)を設けるようにした。
【0032】また請求項15の発明では、請求項12に
おける投影収差補正部材として、投影光学系による投影
光路内の物体面近傍に配置されて、第3の工程で決定さ
れたダイナミックな像歪み量(VP(Xi))に基づいて特
定されるダイナミックなディストーション特性を補正す
るように表面を局所的に研磨加工した像歪み補正板(G
1)を設けるようにした。
【0033】また請求項16に記載された発明は、所定
形状の照明領域内のマスクパターンの像を感応性の基板
(ウェハW)上に投影するために複数のレンズ素子(G
2,Ga;GS1〜GS4等)から成る投影光学系(P
L)を有し、照明領域に対してマスク(レチクルR)を
所定方向に走査し、照明領域と共役な所定形状の投影領
域(EIA)に対して基板(W)を所定方向に走査する
ことによって、マスク(R)のパターン像を基板(W)
上に走査露光する投影露光装置を用いた露光方法に適用
される。
【0034】そして本発明では、走査方向(Y)及び非
走査方向(X)に配列されたマスク(例えばテストレチ
クルTR)上の複数の計測マーク(TM(i,j))の各投
影像を投影光学系(PL)を介して感応性の基板(W)
上に走査露光する第1の工程と(図30)、計測マーク
の投影像(TM’(i,j))の感応性基板への露光結果に
基づいて、理想格子点位置からの各ずれ量をダイナミッ
クな収差誤差として計測する第2の工程と、その計測さ
れた収差誤差を各計測点の走査方向に並ぶ計測点(例え
ば図31中の線JLa〜JLd上の各々に沿った投影像
TM’(i,j))について加算平均して平均的な収差誤差
を算出する第3の工程と、その算出された平均的な収差
誤差に基づいて加工された少なくとも1つの光学補正部
材(例えば像歪み補正板G1)を投影光学系(PL)の
物体面と像面との間の投影光路内に挿入する第4の工程
と、その光学補正部材(G1)を投影光路内に挿入した
状態でマスク(R)と感応性基板(W)とを走査する
で、感応性の基板上に投影されるパターン像に生じる得
る平均的な収差誤差を補正して露光する第5の工程とを
実施するようにした。
【0035】本発明は、所謂試し焼きによってウェハ上
に形成された計測用マークの投影像を計測していくもの
であり、実際の走査露光時と全く同じ条件で露光された
マーク投影像を検出することから、レジストの特性を含
めた実測が可能となり、光学補正部材(G1)の作成を
より高精度にすることができる。また請求項17に記載
された発明は、所定形状の照明領域内のマスクパターン
の像を感応性の基板(ウェハW)上に投影するために複
数のレンズ素子(G2,Ga;GS1〜GS4等)から
成る投影光学系(PL)を有し、照明領域に対してマス
ク(レチクルR)を所定方向に走査し、照明領域と共役
な所定形状の投影領域(EIA)に対して基板(W)を
所定方向に走査することによって、マスク(R)のパタ
ーン像を基板(W)上に走査露光する投影露光装置を用
いた露光方法に適用される。
【0036】そして本発明では、走査方向(Y)及び非
走査方向(X)に配列されたマスク(テストレチクルT
R)上の計測マーク(TM(i,j))の各投影像を投影光
学系(PL)を介して感応性の基板(W)上に静止露光
する第1の工程と、計測マーク(TM(i,j))の投影像
の感応性基板(W)への露光結果に基づいて理想格子点
位置からの各ずれ量(スタティックな像歪みベクトルD
V(i,j))を計測する第2の工程と、その計測された各
ずれ量(DV(i,j))を各計測点の走査方向に並ぶ計測
点について加算平均して平均ずれ量(ダイナミックな像
歪みベクトルVP(Xi))を算出する第3の工程と、その
算出された平均ずれ量(VP(Xi))に基づいて加工され
た少なくとも1つの光学補正部材(例えば像歪み補正板
G1)を投影光学系(PL)の物体面と像面との間の投
影光路内に挿入する第4の工程と、光学補正部材(G
1)を投影光路内に挿入した状態でマスク(R)と感応
性基板(W)とを走査することにより、感応性の基板上
に投影されるパターン像に生じ得る平均ずれ量(VP(X
i))を補正して露光する第5の工程とを実施するように
した。
【0037】さらに請求項18に記載の発明は、所定形
状の照明領域内のマスクパターンの像を感応性の基板
(ウェハW)上に投影するために複数のレンズ素子(G
2,Ga;GS1〜GS4等)から成る投影光学系(P
L)を有し、照明領域に対してマスク(レチクルR)を
所定方向に走査し、照明領域と共役な所定形状の投影領
域(EIA)に対して基板(W)を所定方向に走査する
ことで、マスクのパターン像を基板上に走査露光する投
影露光装置を用いた露光方法に適用される。
【0038】そして本発明では、マスク(例えばテスト
レチクルTR)上で走査方向(Y方向)及び非走査方向
(X方向)に配列された複数の計測マーク(TM(i,
j))の各投影像を投影光学系(PL)の像面側で光電的
に検出し、その検出結果に基づいて計測マーク(TM
(i,j))の投影像の理想格子点位置からの各ずれ量(ス
タティックな像歪みベクトルDV(i,j))を計測する第
1の工程と、複数の計測マーク(TM(i,j))のうちで
走査方向に並んだ計測マークの各々について第1の工程
で計測された各ずれ量(DV(i,j))を加算平均して平
均ずれ量(ダイナミックな像歪みベクトルVP(Xi))を
算出する第2の工程と、その算出された平均ずれ量(V
P(Xi))に基づいて加工された少なくとも1つの光学補
正部材(像歪み補正板G1,アス収差補正板G3,像面
湾曲補正板G4の少なくとも1つ)を投影光学系(P
L)の物体面と像面との間の投影光路内に挿入する第3
の工程と、光学補正部材(G1,G3,G4)を投影光
路内に挿入した状態でマスク(R)と感応性基板(W)
とを走査することにより、感応性の基板上に投影される
パターン像に生じ得る平均ずれ量(VP(Xi))を補正し
て露光する第4の工程とを実施するようにした。
【0039】そして請求項19の発明では、請求項18
で規定した第1の工程においては、投影露光装置内で感
応性の基板を保持して移動可能な基板ステージ(ウェハ
ステージ14とテーブルTB)の一部に取り付けられて
計測マーク(TM(i,j))の投影像を受光する微小開口
(141)を備えた空間像検出器(KES)を使って実
行するようにした。
【0040】このような空間像検出器(KES)を使う
と、オンボディ状態で投影光学系の結像特性上の各種収
差(ディストーション特性、テレセン誤差、アスコマ特
性、像面湾曲特性等)を計測できるため、投影光学系単
体の収差性能を別の計測装置で検査するよりも迅速とな
り、実際の収差性能を正確に把握できるとともに、オン
ボディ状態での経時的な収差変化も簡単に調べられると
いった利点もある。
【0041】
【発明の実施形態】そこで本発明の実施に好適な投影露
光装置の全体的な構成を図1、図2を参照して説明す
る。図1の投影露光装置は、マスク基板としてのレチク
ルに描画された回路パターンの一部の像を投影光学系P
Lを介して感応基板としての半導体ウェハW上に投影し
つつ、レチクルとウェハWとを投影光学系PLの視野に
対して1次元方向(ここではY方向)に相対走査するこ
とによって、レチクルの回路パターンの全体をウェハW
上の複数のショット領域の各々にステップアンドスキャ
ン方式で転写するものである。
【0042】そして図1の投影露光装置は、64M〜1
Gbitクラス以上の半導体メモリ素子(D−RAM)相
当の集積度と微細度とを持つマイクロ回路デバイスの量
産製造に必要とされる最小線幅0.3〜0.15μm程
度のパターン解像力を得るために、エキシマレーザ光源
1からの紫外域のパルスレーザ光を露光用照明光として
利用する。エキシマレーザ光源1は、代表的には波長2
48nmのKrFエキシマレーザ光、或いは波長193
nmのArFエキシマレーザ光をパルス発光する。
【0043】そのエキシマレーザ光の波長幅は、露光装
置の照明系や投影光学系PLを構成する各種の屈折光学
素子に起因した色収差が許容範囲内になるように狭帯化
されている。狭帯化すべき中心波長の絶対値や狭帯化幅
(0.2pm〜300pmの間)の値は、操作パネル2
上に表示されるとともに、必要に応じて操作パネル2か
ら微調整できるようになっている。また操作パネル2か
らはパルス発光のモード(代表的には自励発振、外部ト
リガー発振、メンテナンス用発振の3つのモード)が設
定できる。
【0044】尚、エキシマレーザ光源1は、通常は露光
装置本体が設置される超クリーンルームから隔離された
別の部屋(クリーン度の低いサービスルーム)に設置さ
れるため、操作パネル2もそのサービスルーム内に設け
られる。さらに、エキシマレーザ光源1には操作パネル
2とインターフェイスされる制御用コンピュータが内蔵
され、このコンピュータは通常の露光動作の間は、後述
する露光装置制御用のミニコンピュータ32からの指令
に応答してエキシマレーザ光源1のパルス発光を制御す
る。
【0045】さて、エキシマレーザ光源1からのエキシ
マレーザ光は遮光性の管3を介して露光装置のビーム受
光系5に導かれる。ビーム受光系5内には、露光装置の
照明光学系7の光軸に対してエキシマレーザ光が常に所
定の位置関係で入射するように、エキシマレーザ光の照
明光学系7への入射位置や入射角度を最適に調整する複
数の可動反射鏡が設けられている。
【0046】このように、エキシマレーザを光源とする
露光装置の一例は、特開昭57−198631号公報
(IBM)、特開平1−259533号公報(NC:市
原)、特開平2−135723号公報(NC:間)、特
開平2−294013号公報(NC:植村)等に開示さ
れ、エキシマレーザ光源をステップアンドスキャン露光
に利用した露光装置の一例は、特開平2−229423
号公報、特開平6−132195号公報、特開平7−1
42354号公報等に開示されている。従って図1の露
光装置においても、上記の各特許公報に開示された基礎
技術をそのまま、或いは部分的に変更して適用すること
が可能である。
【0047】ところで照明光学系7内には、後で図2を
参照して詳細に説明するが、エキシマレーザ光のパルス
毎の平均エネルギーを調整する可変減光器、エキシマレ
ーザ光を一様な強度分布の照明光にするフライアイレン
ズ(オプチカルインテグレータ)系、走査露光時のレチ
クル照明光を矩形スリット状に制限するレチクルブライ
ンド(照明視野絞り)、ブラインドの矩形スリット状の
開口をレチクル上の回路パターン領域に結像する結像系
(コンデンサーレンズを含む)等が設けられている。
【0048】レチクルに照射される矩形スリット状の照
明光は、図1中の投影光学系PLの円形投影視野の中央
にX方向(非走査方向)に細長く延びるように設定さ
れ、その照明光のY方向(走査方向)の幅はほぼ一定に
設定されている。尚、レチクル上の回路パターン領域周
辺の遮光帯の幅を狭くしたり、レチクルの走査移動スト
ロークを極力短くしたい場合は、例えば特開平4−19
6513号公報に開示されているように走査露光中にレ
チクルブラインドの走査方向の幅を変化させる機構を設
けるのが望ましい。
【0049】さて、レチクルは図1中のレチクルステー
ジ8上に吸着保持され、レチクルステージ8は走査露光
のためにリニアモータ等によってレチクルベース定盤1
0上をY方向に大きなストロークで直線移動するととも
に、X方向とθ方向に関してもボイスコイルモータ(V
CM)、ピエゾ素子等によって微小移動可能に設けられ
ている。そしてレチクルベース定盤10は、投影光学系
PLのフランジを固定する本体コラム定盤12から上方
に立設された4本の支柱11の上に固定されている。
【0050】本体コラム定盤12は、本実施例では内部
を空洞にした箱状に形成され、その空洞内にはウェハW
を載置する可動ステージ本体14を支持するベース定盤
15が固定されている。また図1には、可動ステージ本
体14のX方向の位置を計測するレーザ干渉計16Xの
みが示されているが、可動ステージ本体14のY方向の
位置を計測するレーザ干渉計16Yも同様に設けられて
いる。そして図1中の可動ステージ本体14は、ウェハ
搬送ロボット20のアーム22の先端に支持されたウェ
ハWを受け取るローディング位置、又は可動ステージ本
体14のホルダー上のウェハをアーム22に受け渡すア
ンローディング位置に静止しているものとする。
【0051】さらに本体コラム定盤12の4隅の各々に
は、装置全体を床から支持するための防振機能付のマウ
ント台18が設けられている。そのマウント台18は装
置全体の自重をエアシリンダを介して支えるとともに、
装置全体の傾き、Z方向の変位、及び装置全体のX,Y
方向の変位を、フィードバック制御やフィードフォワー
ド制御によりアクティブに補正するためのアクチュエー
タと各種のセンサーを備えている。
【0052】ところで、図1に示した露光装置本体の全
体的な動作は、装置本体内の各構成部分(エキシマレー
ザ光源1、照明光学系7、レチクルステージ8、ウェハ
用の可動ステージ本体14、搬送ロボット20等)の各
々を個別に制御する複数のユニット制御ボード31、各
制御ボード31を統括的に制御するミニコンピュータ3
2、そして操作パネル33とディスプレー34等を含む
制御ラック30によって管理される。各制御ボード31
内にはマイクロプロセッサ等のユニット側コンピュータ
が設けられ、これらのユニット側コンピュータがミニコ
ンピュータ32と連携することによって複数枚のウェハ
の一連の露光処理が実行される。
【0053】その一連の露光処理の全体的なシーケンス
はミニコンピュータ(以下、ミニコンとする)32内に
記憶されたプロセスプログラムによって管理される。プ
ロセスプログラムはオペレータが作成した露光処理ファ
イル名のもとに、露光すべきウェハに関する情報(処理
枚数、ショットサイズ、ショット配列データ、アライメ
ントマーク配置データ、アライメント条件等)、使用す
るレチクルに関する情報(パターンの種別データ、各マ
ークの配置データ、回路パターン領域のサイズ等)、そ
して露光条件に関する情報(露光量、フォーカスオフセ
ット量、走査速度のオフセット量、投影倍率オフセット
量、各種の収差や像歪みの補正量、照明系のσ値や照明
光NA等の設定、投影レンズ系のNA値設定等)をパラ
メータ群のパッケージとして記憶するものである。
【0054】ミニコン32は、実行指示されたプロセス
プログラムを解読してウェハの露光処理に必要な各構成
要素の動作を、対応するユニット側コンピュータにコマ
ンドとして次々に指令していく。このとき、各ユニット
側コンピュータは1つのコマンドを正常終了すると、そ
の旨のステータスをミニコン32に送出し、これを受け
たミニコン32はユニット側コンピュータに対して次の
コマンドを送る。このような一連の動作のなかで、ウェ
ハ交換のコマンドがミニコン32から送出されると、可
動ステージ本体14の制御ユニットとウェハ搬送ロボッ
ト20の制御ユニットとが協同して、可動ステージ本体
14とアーム22(ウェハW)とは図1のような位置関
係に設定される。
【0055】さらにミニコン32には、本発明の実施と
関連した複数のユーティリティソフトウェアが搭載され
ている。そのソフトウェアの代表的なものは、(1)投
影光学系や照明光学系の光学特性を自動的に計測し、投
影像の質(ディストーション特性、アス・コマ特性、テ
レセン特性、照明開口数特性等)を評価するための計測
プログラム、(2)評価された投影像の質に応じた各種
の補正処理を実施するための補正プログラムの2種類で
ある。これらのプログラムは、図1の装置構成を詳細に
示した図2中の対応する構成部分と協同して動作するよ
うに構成され、その動作については後述する。さて、図
2の構成において図1中の構成部材と同一の機能のもの
については同じ符号を付けてある。図2において、エキ
シマレーザ光源1からの紫外パルス光は管3を通って可
変減光器7Aによって所定のピーク強度に調整された
後、ビーム整形器7Bによって所定の断面形状に整形さ
れる。その断面形状は照明光の強度分布を一様化するた
めの第1フライアイレンズ系7Cの入射端の全体形状と
相似になるように設定される。
【0056】第1フライアイレンズ系7Cの射出端側に
生成された多数の点光源の各々から発散する紫外パルス
光は、被照射面(レチクル面又はウェハ面)に生じる干
渉縞や微弱なスペックを平滑化するための振動ミラー7
D、集光レンズ系7E、照明光の被照射面における開口
数の方向性(照明NA差)を調整する照明NA補正板7
Fを介して第2フライアイレンズ系7Gに入射する。そ
の第2フライアイレンズ系7Gは、第1フライアイレン
ズ系7C、集光レンズ系7Eと協同してダブルフライア
イレンズ系を構成する。そのようなダブルフライアイレ
ンズ系と振動ミラー7Bとを組み合わせた構成について
は、例えば特開平1−235289号公報(NC:市
原)、特開平7−142354号公報(NC:小沢)に
詳しく開示されている。
【0057】さて、第2フライアイレンズ系7Gの射出
端側には、ケーラー照明における光源面形状を輪帯、小
円形、大円形、或いは4つ目等に制限するための切り替
え式の照明σ絞り板7Hが配置され、その絞り板7Hを
通った紫外パルス光はミラー7Jで反射され、集光レン
ズ系7Kによって照明視野絞り(レチクルブラインド)
7Lの開口部を一様な強度分布となって照射する。
【0058】但しその強度分布には、エキシマレーザ光
源1からの紫外パルス光の可干渉性に依存した干渉縞や
微弱なスペックルが数%程度のコントラストで重畳し得
る。そのためウェハ面上には、干渉縞や微弱なスペック
ルによる露光量むらが生じ得るが、その露光量むらは先
に挙げた特開平7−142354号公報のように、走査
露光時のレチクルやウェハWの移動と紫外パルス光の発
振とに同期させて振動ミラー7Dを振ることで平滑化さ
れる。
【0059】こうしてレチクルブラインド7Lの開口部
を通った紫外パルス光は、集光レンズ系7M、照明テレ
セン補正板(傾斜可能な石英の平行平板板)7N、ミラ
ー7P、及び主コンデンサーレンズ系7Qを介してレチ
クルR上に照射される。その際、レチクルR上にはレチ
クルブラインド7Lの開口部と相似形の照明領域が形成
されるが、本実施例ではその照明領域を走査露光時のレ
チクルRの移動方向(Y方向)と直交したX方向に直線
的に伸びたスリット状又は矩形状にする。
【0060】そこでレチクルブラインド7Lの開口部
は、集光レンズ系7M、コンデンサーレンズ系7Qによ
ってレチクルRと共役に設定され、その開口部もX方向
に伸びたスリット状又は矩形状に形成されている。この
ようなレチクルブラインド7Lの開口部によって、レチ
クルR上の回路パターン領域のうちの一部分が照明さ
れ、その照明された回路パターン部分からの結像光束が
投影レンズ系PLを介してウェハW上に1/4又は1/
5に縮小されて投影される。
【0061】本実施例において、投影レンズ系PLは物
体面(レチクルR)側と像面(ウェハW)側の両方でテ
レセントリック系になっており、円形の投影視野を有し
ているものとする。また投影レンズ系PLは、本実施例
では屈折光学素子(レンズ素子)のみで構成されている
ものとするが、特開平3−282527号公報(NC)
に開示されているように屈折光学素子と反射光学素子
(凹面鏡やビームスプリッタ等)を組み合わせたカタデ
ィオプトリック系としてもよい。
【0062】この投影レンズ系PL内の物体面に近い位
置には、光軸方向への微小移動や微小傾斜が可能なテレ
セン部レンズ系G2が含まれており、このレンズ系G2
の作動によって投影レンズ系PLの倍率(等方的な歪曲
収差)、或いは樽形、糸巻き形、台形等の非等方的な歪
曲収差を微小に調整することができる。さらに投影レン
ズ系PL内の像面に近い位置には、投影される像のうち
特に像高の大きい部分(投影視野内の周辺に近い部分)
に生じ易いアス・コマ収差を低減させるためのアス・コ
マ収差補正板G3が含まれている。
【0063】そして本実施例では、円形視野内の実効的
な像投影領域(レチクルブラインド7Lの開口部で規
定)に形成される投影像に含まれるランダムなディスト
ーション成分を有効に低減させるための像歪み補正板G
1が、投影レンズ系PLのレンズ系G2とレチクルRと
の間に設けられる。この補正板G1は、数ミリ程度の厚
みを持つ平行な石英板の表面を局所的に研磨し、その研
磨部分を通る結像光束を微小に偏向させるものである。
【0064】このような補正板G1の作り方の一例は、
特開平8−203805号公報(ニコン)に詳細に開示
されており、本実施例においても基本的にはその公報に
示された手法を応用するものとするが、その補正板G1
が走査露光用の投影光学系に適用される点でその作り方
には差異があり、詳しくは後で述べる。以上の照明光
路、投影光路を成す各光学部材に対して、本実施例の装
置では、可変減光器7Aの減光フィルターを切り替えた
り、或いは連続可変したりするための駆動機構40、振
動ミラー7Bの振動(偏向角)を制御する駆動系41、
レチクルブラインド7Lの開口部形状、特にスリット幅
を連続的に可変にするためにブラインドのブレードを移
動させる駆動機構42、投影レンズ系PL内のレンズ系
G2を上述のように微動させる駆動系43が設けられて
いる。
【0065】さらに本実施例においては、投影レンズ系
PL内の特定の空気間隔室を外気に対して密封し、その
密封室内の気体圧力を例えば±20mmHg程度の範囲内で
加減圧することによって等方的な歪曲収差(投影倍率)
を補正するレンズ制御器44も設けられている。このレ
ンズ制御器44はレンズ系G2の駆動系43に対する制
御系にもなっており、レンズ系G2の駆動によって投影
像の倍率を変えるか、投影レンズ系PL内の密封室の圧
力制御によって投影像の倍率を変えるかを切替え制御し
たり、或いは併用制御したりする。
【0066】ただし、波長193nmのArFエキシマ
レーザ光源を照明光とした場合は、照明光路内と投影レ
ンズ系PLの鏡筒内とが窒素ガスやヘリウムガスで置換
されるため、投影レンズ系PL内の特定の空気間隔室内
の圧力を加減圧する機構を省略してもよい。さて、レチ
クルRを保持するレチクルステージ8の一部には、その
移動位置や移動量を計測するためのレーザ干渉計46か
らの測長ビームを反射する移動鏡48が取り付けられて
いる。図2において、干渉計46はX方向(走査方向)
計測に適するように示されているが、実際にはY方向の
位置計測用の干渉計とθ方向(回転方向)計測用の干渉
計とが設けられ、それらの各干渉計に対応した移動鏡が
レチクルステージ8に固定されている。そこで以下の説
明では、便宜上、レーザ干渉計46によってX,Y,θ
方向計測が同時に個別に行われるものとする。
【0067】その干渉計46によって計測されるレチク
ルステージ8(即ちレチクルR)の位置情報(又は速度
情報)はステージ制御系50に送られる。ステージ制御
系50は、基本的には干渉計46から出力される位置情
報(或いは速度情報)が指令値(目標位置、目標速度)
と一致するようにレチクルステージ8を移動させる駆動
系(リニアモータ、ボイスコイルモータ、ピエゾモータ
等)52を制御する。
【0068】一方、ウェハステージ14上にはウェハW
を真空吸着によって平坦化矯正して保持するテーブルT
Bが設けられる。このテーブルTBは、ウェハステージ
14に設けられた3つのアクチュエータ(ピエゾ、ボイ
スコイル等)ZACによってZ方向(投影光学系PLの
光軸方向)とXY平面に対する傾斜方向とに微動され
る。これらのアクチュエータZACの駆動は駆動系56
によって行われ、その駆動系56に対する駆動指令はウ
ェハステージの制御系58から出力される。
【0069】尚、図2には示していないが、投影光学系
PLの結像面とウェハWの表面とのZ方向の偏差(フォ
ーカス誤差)や傾斜(レベリング誤差)を検出するフォ
ーカス・レベリングセンサーが投影光学系PLの近傍に
設けられ、制御系58はそのセンサーからのフォーカス
誤差信号やレベリング誤差信号に応答して駆動系56を
制御する。そのようなフォーカス・レベリング検出系の
一例は、特開平7−201699号公報(NC:奥村)
に詳細に開示されている。
【0070】またテーブルTBの一部には、ウェハステ
ージ14の移動によるウェハWのXY平面内での座標位
置を計測するために使われる移動鏡60が固定されてい
る。そして移動鏡60の位置がレーザ干渉計62によっ
て計測される。ここでは、移動鏡60がステージ14の
X方向の移動位置(或いは速度)を計測するために設け
られているが、実際にはY方向の移動位置計測用の移動
鏡も設けられ、そのY方向用移動鏡に対しても同様にレ
ーザ干渉計からの測長ビームが照射される。尚、図2中
のレーザ干渉計62は図1中のレーザ干渉計16Xに相
当している。
【0071】さらにレーザ干渉計62は、ウェハステー
ジ14のXY移動やテーブルTBの微動によってXY面
内で生じ得る微小回転誤差(ヨーイング成分も含む)を
リアルタイムに計測する差動干渉計も備えており、計測
したウェハWのX,Y,θ方向の各位置情報はウェハス
テージ制御系58に送られる。その制御系58は干渉計
62で計測される位置情報や速度情報と指令値とに基づ
いて、ウェハステージ14をX,Y方向に駆動する駆動
系(例えば3つのリニアモータ)64に駆動信号を出力
する。
【0072】また同期制御系66は、特に走査露光時に
レチクルステージ8とウェハステージ14とを同期移動
させる場合、レチクルステージ制御系50による駆動系
52の制御とウェハステージ制御系58による駆動系6
4の制御とを相互に連動させるために、各干渉計46,
62で計測されるレチクルRとウェハWの各位置や各速
度の状態をリアルタイムにモニターし、それらの相互の
関係が所定のものとなるように管理する。その同期制御
系66は図1中に示したミニコン32からの各種のコマ
ンドやパラメータによって制御される。
【0073】さて本実施例では、投影光学系PLを通し
て投影されるレチクルR上のテストパターンの像やアラ
イメントマークの像を光電検出するための空間像検出器
KESがテーブルTBの一部に固定されている。この空
間像検出器KESは、その表面がウェハWの表面の高さ
位置とほぼ同じになるように取り付けられている。ただ
し実際には、テーブルTBをZ方向の全移動ストローク
(例えば1mm)の中心に設定したときに、投影光学系P
Lの結像面と空間像検出器KESの表面とが合致するよ
うに設定されている。
【0074】そして空間像検出器KESの表面には、投
影光学系PLによって投影された像の一部を透過するマ
ルチスリット、或いは矩形開口が形成され、それらのス
リットや開口を透過した像光束は光電素子によって光量
として検出される。本実施例では、空間像検出器KES
によって投影光学系PLの結像性能や照明光学系の照明
特性を計測し、その計測結果に基づいて図2中に示した
各種の光学要素や機構を調整することができる。また本
実施例の図2に示した装置構成においては、ウェハW上
の各ショット領域毎に形成されたアライメントマーク
や、空間像検出器KESの表面に形成された基準マーク
を光学的に検出するオフアクシス方式のアライメント光
学系ALGが投影光学系PLの直近に配置されている。
このアライメント光学系ALGは、ウェハW上のレジス
ト層に対して非感光性の照明光(一様照明又はスポット
照明)を対物レンズを通して照射し、アライメントマー
クや基準マークからの反射光を対物レンズを介して光電
的に検出する。
【0075】その光電検出されたマーク検出信号は信号
処理回路68によって所定のアルゴリズムの下で波形処
理され、マークの中心がアライメント光学系ALG内の
検出中心(指標マーク、撮像面上の基準画素、受光スリ
ット、或いはスポット光等)と合致するようなウェハス
テージ14の座標位置(ショットアライメント位置)、
或いは検出中心に対するウェハマーク、基準マークの位
置ずれ量が干渉計62と共同して求められる。その求め
られたアライメント位置または位置ずれ量の情報はミニ
コン32に送られ、ウェハステージ14の位置決め、ウ
ェハW上の各ショット領域に対する走査露光の開始位置
の設定等に使われる。次に、本実施例における1つの特
徴的な構成としての像歪み補正板G1の作用、構成とそ
の製造方法について詳述するが、その前に円形投影視野
を有する投影光学系におけるディストーション特性につ
いて、図3を参照して簡単に説明しておく。
【0076】図3において、円形の投影視野IFはウェ
ハW側(像面側)の視野を表わし、座標系XYの原点を
投影光学系PLの光軸AXと一致させてあるものとす
る。また図3中の座標系XY内に規則的に配列された複
数の点GP(Xi,Yj) は光軸AXを原点とする理想格子点
を表わし、各理想格子点GP(Xi,Yj)における矢印がそ
の像面内位置でのディストーション量(像歪みベクト
ル)DV(Xi,Yj)を表わしている。
【0077】図3のディストーション特性からも判るよ
うに、この種の投影光学系では光軸AXの近傍では像歪
みベクトルを20nm以下に抑えることが可能であるが、
投影視野IFの外周に近づくにつれて、一般的には像歪
みベクトルの絶対値も大きくなる傾向にある。それらの
像歪みベクトルDV(Xi,Yj)が像高値(光軸AXからの
距離)やXY位置に応じた簡単な関数に従ったものであ
れば、その関数に応じた補正が可能な可動レンズ素子G
2やレンズ制御系44を用いて、像歪みベクトルDV(X
i,Yj)を投影視野IF内で全体的に小さくすることが可
能である。
【0078】しかしながら図3に示したディストーショ
ン特性からも理解できるように、各像歪みベクトルDV
(Xi,Yj)は互いにランダムな成分も含んでおり、例え特
定の関数に応じた補正を行ったとしても、ランダム成分
は残存することになる。そのような像歪みベクトルDV
(Xi,Yj)に含まれるランダムな誤差成分の残存は、静止
露光の場合は投影された回路パターン像内の各点でその
ままランダムなディストーション誤差として現れる。
【0079】一方、走査露光の場合は、走査露光時のウ
ェハWの移動方向に並んだ複数の像点の各々でスタティ
ックに生じている像歪みベクトルが実効的な露光視野
(露光スリットの幅)内で平均化、或いは積算化された
ダイナミックな像歪みベクトルとなって現れる。この場
合も、特定の関数に従ったスタティックなディストーシ
ョン特性を補正したとしても、像面内の各点に残存する
ランダムなディストーション誤差成分によって、結果的
にはランダムな像歪みベクトルが残存してしまう。
【0080】そこで、このようなランダムな像歪みベク
トルを低減し、走査露光時に最良のディストーション特
性を得るために設けられたものが、図2中に示した像歪
み補正板G1である。本実施例における補正板G1は、
石英や螢石の平行平板の表面の一部分を波長オーダの精
度で研磨し、その表面の一部に所定の微小斜面を形成し
たものとして構成され、その微小斜面を通る局所的な像
光束中の主光線の傾きを極めて僅かな量だけ偏向させる
ことにより、像面内でのスタティックな像歪みベクトル
を変化させものである。
【0081】ここで、投影視野IF内で生じるスタティ
ックなディストーション特性と、走査露光時に生じるダ
イナミックなディストーション特性との関係について、
図4を参照して説明する。図4において、円形視野IF
は投影光学系PLの像面側の視野を表し、その中心(光
軸AXの位置)に座標系XYの原点があるものと仮定す
る。
【0082】図1,2の装置ではレチクルRとウェハW
とがY方向に相対走査されるため、実効的な投影領域E
IAは視野IF内でX軸を中心としてY方向に対称的な
一様な幅を有し、X方向にほぼ視野IFの直径(30m
m程度)に渡って延びた細長い矩形状またはスリット状
に設定される。その領域EIAは、実際には図2中に示
したブラインド7Lの開口部によって規定されるレチク
ルRへの照明光の分布形状によって決まるものである
が、投影光学系PLの構成によっては、投影光学系PL
内の中間結像面に矩形開口の視野絞りを配置することで
同様に規定できる。
【0083】さて図4において、領域EIA内にはX方
向に13行(SL1〜SL13)、Y方向に7列(1〜
7)で配列された理想格子点GP(Xi,Yj) が設定されて
いる。理想格子点GP(Xi,Yj) の添字iは1〜13のい
ずれかの整数であり、添字jは1〜7のいずれかの整数
であり、i=7,j=4の格子点GP(X7,Y4) は円形視
野IFの中心に位置する。
【0084】このような理想格子点GP(Xi,Yj) の各々
において生じる像歪ベクトルがスタティックなディスト
ーション特性であり、ここでは一例として走査露光の方
向であるY方向に一列に並んだ行SL1上の7つの格子
点GP(X1,Y1)〜GP(X1,Y7)についてのスタティックな
像歪ベクトルDV(1,p1)〜DV(1,p7)を示す。その像歪
ベクトルDV(1,p1)〜DV(1,p7)は、行SL1上の各理
想格子点の位置を表す白丸から伸びる線分として表され
る。
【0085】静止露光の場合、レチクルR上の1点のパ
ターンはその点での像歪ベクトルのみを伴って投影され
る。これに対して走査露光の場合は、レチクルR上の1
点のパターンが、投影領域EIA内を例えば行SL1に
沿ってY方向に等速移動することで投影されるため、そ
の点パターンの像は図4中のスタティックな像歪ベクト
ルDV(1,p1)〜DV(1,p7)の全ての影響を受けてウェハ
W上に形成される。
【0086】レチクルRは図2に示したようにレーザ干
渉計46によって±15nm以下の総合精度でXYθ方
向に位置制御されているため、レチクルR上の1点のパ
ターンの投影像が投影領域EIA内をY方向に直線移動
する際の直線性、直進性は投影倍率分だけ縮小され、像
歪ベクトルDV(1,p1)〜DV(1,p7)よりも十分に小さく
することができる。従って走査露光でウェハW上に形成
されるレチクルR上の1点のパターンの投影像は、殆ど
の場合、投影光学系PLが有する像歪ベクトルDV(1,p
1)〜DV(1,p7)を平均化したダイナミックな像歪ベクト
ルVP(SL1) を伴ったものとなる。
【0087】従って投影領域EIA内の走査方向の行S
L1で得られるダイナミックな像歪ベクトルVP(SL1)
は、スタティックな像歪ベクトルDV(1,p1)〜DV(1,p
7)の各々のX方向成分の平均値とY方向成分の平均値と
を計算することで求められ、そのようなダイナミックな
像歪ベクトルVP(Xi)をX方向の各行SL1〜SL13
毎に求めれば、投影領域EIAを介した走査露光の結果
としてウェハW上に転写されるパターン像(或いは理想
格子点像)のディストーション特性が決定できる。
【0088】走査露光方式の場合、ウェハW上の1ショ
ット領域内の全域で生じるディストーション特性は、レ
チクルRとウェハWの走査移動が精密に行われるものと
すれば、ショット内のどの点もダイナミックな像歪ベク
トルVP(Xi)に従ったものとなる。このため走査露光に
よるディストーション特性は、例えば図5に示すように
X方向(非走査方向)に一列に並べた理想格子点の各々
で生じるダイナミックな像歪ベクトルVP(Xi)として特
定される。
【0089】図5(A)〜(D)は、円形視野IF内の
投影領域EIAのスタティックなディストーション特性
によって様々な傾向となるダイナミックな像歪ベクトル
VP(Xi)(但しi=1〜13)の一例を示したものであ
る。図5(A)は、ダイナミックな像歪ベクトルVP(X
i)の各々がいずれも走査方向(Y方向)とほぼ平行にな
り、かつX方向の位置に応じてその絶対値がほぼ一定の
割合で変化する1次関数に近似されるような傾向となる
ディストーション特性の例である。
【0090】図5(B)は、ダイナミックな像歪ベクト
ルVP(Xi)の各々がいずれも走査方向(Y方向)とほぼ
平行になり、かつX方向の位置に応じてその絶対値がほ
ぼ2次関数に近似されるような傾向で変化するディスト
ーション特性の例であり、図5(C)は図5(B)のデ
ィストーション特性の傾向に、非走査方向への倍率誤差
が重畳したように傾向のディストーション特性の例であ
る。そして図5(D)は、ダイナミックな像歪ベクトル
VP(Xi)の各々がランダムな方向性と大きさとで変化す
るディストーション特性の例である。
【0091】図5(A)のようなダイナミックなディス
トーション特性は、所謂スキューと呼ばれ、投影光学系
PL自体の特性を補正板G1の面形状によって補正する
以外に、レチクルRとウェハWとを所期の状態から相対
的に微小回転させた状態で走査露光することでも補正で
きる。また図5(B)のようなダイナミックなディスト
ーション特性の場合は、投影光学系PL自体の特性を補
正板G1の面形状によって補正する以外に、図2中のレ
ンズ系G2、アス・コマ補正板G3、像歪み補正板G
1、或いはレチクルRやウェハWを、投影レンズ系PL
の光軸AXと垂直な面に対して相対的に微小傾斜させて
も補正できる。
【0092】さらに図5(C)のようなダイナミックな
ディストーション特性の場合は、投影光学系PL自体の
特性を補正板G1の面形状によって補正する以外に、図
5(B)と同様にレンズ系G2、アス・コマ補正板G
3、像歪み補正板G1、或いはレチクルRやウェハWの
微小傾斜と、レンズ系G1の光軸AX方向への並進微動
や投影光学系PL内の空気間隔室の圧力制御による倍率
調整とを併用すれば補正できる。
【0093】また図5(D)のようにダイナミックな像
歪ベクトルVP(Xi)の各々がランダムな傾向となる場合
は、投影光学系PL自体の特性を補正板G1の面形状に
よって補正することで対応することになる。尚、図5
(D)のランダムなディストーション特性は、図5
(A)〜(C)のように関数近似可能なディストーショ
ン特性にも重畳して現れるため、関数近似されるディス
トーション成分を補正したとしても、ランダムなディス
トーション成分が残存する。そこで補正板G1の面形状
加工によるディストーション補正は、ダイナミックなデ
ィストーション特性のうちの主にランダム成分に対して
行うようにするのが望ましい。そこで、図5(D)のよ
うなダイナミックなランダム・ディストーション特性を
補正するために好適な像歪み補正板G1の製作手法につ
いて、図6〜8を参照して説明する。図6(A)は、未
加工の像歪み補正板G1を投影光学系PLによる結像光
路内の所定の位置に配置した状態で計測されるランダム
なディストーション特性VP(X1)〜VP(X13)の一例を
示し、図6(B)は図6(A)の特性を像歪み補正板G
1によって補正した後のダイナミックなディストーショ
ン特性VP'(X1)〜VP'(X13)の一例を表す。
【0094】ランダムなディストーション特性の補正と
しては、図6(A)のように非走査方向(X方向)に並
んだ各積算像点でのダイナミックな像歪みベクトルVP
(X1)〜VP(X13)の各々を極力ゼロに追い込む手法(ゼ
ロ補正)と、それらの像歪みベクトルVP(X1)〜VP(X
13)の各々を1次関数や2次関数等のある傾向に近似さ
せる手法(関数補正)との2つの考え方がある。
【0095】ここでは像歪み補正板G1の研磨加工が比
較的容易になるといった利点を得るため、図6(B)に
示すような関数補正の手法を採用するものとするが、像
歪みベクトルVP(X1)〜VP(X13)がそれ程大きくない
ときは、ゼロ補正を適用してランダムなディストーショ
ン特性(ダイナミック)をゼロに追い込んでしまっても
よい。ただし関数補正の手法、ゼロ補正の手法のいずれ
であっても、加工された像歪み補正板G1は投影光路内
に再設置する際にその設置姿勢(特に傾き)を微小量調
整する必要がある。
【0096】図6(B)のディストーション特性VP'
(X1)〜VP'(X13)は、ここでは走査方向(Y方向)に一
律のオフセット量を有し、同時に非走査方向(X方向)
に一定の倍率誤差を有するように補正されたものであ
り、それらのオフセット量と倍率誤差とはいずれも1次
元関数であって、像歪み補正板G1のX軸回りの微少傾
斜による像シフト調整や投影光学系PL内のレンズ素子
G2による倍率調整等の別の補正機構により十分に補正
可能である。
【0097】さて、像歪み補正板G1の加工に当たって
は、まず図6(A)のようなダイナミックなディストー
ション特性を奏する像歪みベクトルVP(X1)〜VP(X1
3)を計測する作業が必要である。その計測作業の手法に
は、試し焼き(テスト露光)によるオフライン計測と、
図2に示した投影露光装置のウェハテーブルTB上に固
定された空間像検出器KESを使ったオンボディ計測と
の2種類がある。
【0098】テスト露光の手法は、テストレチクル上の
理想格子点に形成されたテストマークを投影光学系PL
を介して、フラットネスが特別に管理されたウェハW上
に静止露光し、露光されたウェハWを現像してから投影
露光装置とは異なる計測装置に搬送して、転写されたテ
ストマークの座標位置や位置ずれ量を計測することで、
投影光学系PLの円形視野IF内の各点、或いは実効投
影領域EIA内の各点におけるスタティックな像歪みベ
クトルを求めるものである。
【0099】これに対して空間像検出器KESを使った
手法は、テストレチクル上の各理想格子点の各々に形成
されたテストマークの像を露光用照明光で投影しつつ、
その像を空間像検出器KESのナイフエッジで走査する
ようにウェハステージ14をX,Y方向に移動させ、そ
の際に空間像検出器KESから出力される光電信号の波
形を解析してスタティックな像歪みベクトルを求めるも
のである。
【0100】このように、空間像検出器KESを使った
オンボディ計測の手法は、円形視野IF内または実効投
影領域EIA内の各理想格子点でのスタティックな像歪
みベクトルのデータを図2中の主制御系32の記憶媒体
内に逐次記憶するため、それらのデータを用いてソフト
ウェア上で像歪み補正板G1の加工シミュレーションを
行う場合や、加工装置によって実際に研磨加工する場合
に好都合である。なお、テスト露光、或いは空間像検出
器KESによるディストーション特性計測の詳細につい
ては後で詳しく説明する。
【0101】さて、スタティックな像歪みベクトルが求
まったら、計算機(コンピュータ,ワークステーション
等)によって矩形状の実効投影領域EIA内のY方向に
ついて各像歪みベクトルを平均化し、図6(A)のよう
なダイナミックなディストーション特性を求める。その
後、例えば図6(B)のようなダイナミック・ディスト
ーション特性を得るように、図6(A)中の像歪みベク
トルVP(X1)〜VP(X13)の各々に対する修正ベクトル
(方向と大きさ)ΔVP(Xn)を決定する。すなわち、V
P'(Xn)=VP(Xn)−ΔVP(Xn)〔nは1〜13の整
数〕となるような修正ベクトルΔVP(Xn)を決定する。
【0102】次に、修正ベクトルΔVP(Xn)に基づいて
非走査方向(X方向)の各平均化点毎に、スタティック
な像歪みベクトルDV(i,pj)をどのように補正す
るかを決定する。その決定にあたっては様々な手法が考
えられるが、ここでは、例えば図4に示したようなY方
向に平均化される7点のスタティックな像歪みベクトル
DV(i,p1)〜DV(i,p7)のうち最も大きなベ
クトルから補正を加えていき、その1点での補正量が所
定の許容値よりも大きくなるときは、その他の点の像歪
みベクトルDV(i,pj)に対しても補正を加えるよ
うにする。
【0103】図7は、矩形状の実効投影領域EIA内の
Y方向(走査方向)に並んだ7点の各々での像歪みベク
トルDV(i,p1)〜DV(i,p7)と、それらのベ
クトルを平均化したダイナミックな像歪みベクトルVP
(Xi)との一例を示し、補正目標となる像歪みベクトルは
VP'(Xi)、修正ベクトルはΔVP(Xi)である。この図
7のようなディストーション特性の場合、修正ベクトル
ΔVP(Xi)に基づく補正は、主に点(i,p1)におけるス
タティックな像歪みベクトルDV(i,p1)に対して
行われるが、場合によっては点(i,p2)におけるスタテ
ィックな像歪みベクトルDV(i,p2)に対しても行
われる。
【0104】具体的には、図7中の像歪みベクトルDV
(i,p7)、或いは像歪みベクトルDV(i,p6)の
絶対値を小さくするとともに、その方向性も微小変更す
るように補正する。そのためには、像歪みベクトルDV
(i,p1)、或いは像歪みベクトルDV(i,p2)が
観測された投影視野内の計測点(理想格子点)を通る主
光線を、像歪み補正板G1の位置で微小に偏向するよう
な面を決定してやればよい。そこで、その様子を図8,
9を参照して簡単に説明する。
【0105】図8は、レチクルR、像歪み補正板G1、
及び投影光学系PL(可動レンズ素子G2)の位置関係
を部分的に示した拡大図であり、ここでは図4中の矩形
の投影領域EIA内に設定された複数の格子点GP(X
i,Yj)のうち、Y方向の1行目の部分をX方向に断面と
したものである。従って、図8において走査露光の方向
は同図中の紙面と垂直な方向になる。
【0106】さて図8において、レチクルRの下面には
理想格子点の各位置毎にテストマーク(計測用のバーニ
アパターン等)が形成され、ここでは、図7中の像歪み
ベクトルDV(i,p1)が生じている線SL1上の格
子点GP(1,1)のテストマークから発生して投影光学
系PLに入射する像光束LB(1,1)と、その主光線M
L(1,1)とに対して、像歪み補正板G1の対応する表
面部分9-9’の局所的な研磨によって補正を加えるも
のとする。
【0107】具体的には、図7中の像歪みベクトルDV
(i,p1)を小さくするように、表面部分9-9’の局
所傾斜面によって主光線ML(1,1)を微小量だけ所定
の方向に傾けた主光線ML’(1,1)に変換する。この
際、格子点GP(1,1)からの像光束LB(1,1)も表
面部分9-9’の波長オーダーの局所傾斜面によって微
小量だけ傾いた像光束LB’(1,1)に変換される。
尚、図8においては、レチクルR上の他の理想格子点G
P(2,1)〜GP(13,1)のうち格子点GP(2,1)
〜GP(7,1)を通る主光線も破線で示してあるが、こ
こではそれら他の主光線及び像光束に対しては補正を行
わないものとする。
【0108】図9は、図8に示した像歪み補正板G1の
局所的な表面部分9-9’の拡大図を示し、説明を容易
にするために表面部分9-9’に形成される局所傾斜面
の傾斜量を誇張して表わしてある。図8で説明したよう
に、像歪み補正板G1の上面で、レチクルR上の理想格
子点GP(1,1)からの主光線ML(1,1)と像光束L
B(1,1)とが通る部分S(1,1)には、補正すべき主
光線ML’(1,1)と像光束LB’(1,1)の傾きに応
じた傾斜量Δθ(1,1)でテーパーが形成されている。
【0109】先の図7を参照して説明したように、格子
点GP(1,1)で発生するスタティックな像歪みベクト
ルDV(1,p1)はX方向,Y方向の各々について負方
向に縮小補正する必要があるため、図9に示した部分S
(1,1)も実際にはX,Y方向の両方に微小傾斜したも
のとなる。また、像歪み補正板G1上の研磨部分S
(1,1)の面積或いはXY方向の大きさは、理想的には
投影露光に寄与する像光束LB(1,1)の広がり角2θ
naを考慮して、その像光束LB(1,1)がほぼ完全にカ
バーされるように定められる。
【0110】実際の投影光学系PLでは、ウェハW側の
開口数(NAw)が0.6〜0.8程度が見込まれてお
り、投影倍率を1/4縮小とすると、レチクルR側の開
口数NArは0.15〜0.2程度になる。そしてレチク
ル側の開口数NArと図9中の広がり角2θnaとは、NAr=
sin(θna)の関係にあるから、研磨加工すべき部分S
(1,1)の面積或いはXY方向の大きさは、レチクルR
のパターン面(下面)と像歪み補正板G1の表面とのZ
方向の間隔Hrと開口数Narとの関係から一義的に求め
られる。
【0111】尚、ここでは理想格子点GP(1,1)のX
方向の隣りに位置する格子点GP(2,1)からの主光線
ML(2,1)を含む像光束による像歪みベクトルDV
(1,p6)に対しては補正しないこととしたので、像歪
み補正板G1上の格子点GP(2,1)からの像光束に対
応した部分S(2,1)は、平行平面が保存されるように
研磨加工されることは言うまでもない。
【0112】また図9中で、研磨加工した部分S(1,
1)の左隣りの部分S(0,1)は元の平行平面に戻るよ
うに左上りの斜面に研磨されているが、そこを通る像光
束の有無や主光線の補正の有無によっては、想像線で表
わしたように部分S(1,1)からの面と緩やかにつなげ
る場合もある。さらに、図8、図9では像歪み補正板G
1の平行平面を投影光学系PLの光軸AXに対して垂直
に配置したが、調整機構によって像歪み補正板G1全体
を微小傾斜させれば、投影像面側に表れるディストーシ
ョン特性(スタティックな像歪みベクトル)を全体的に
X又はY方向に微小シフトさせることができる。
【0113】以上の図8、9に示した手法を使って、先
の図6(A)のようなランダムなディストーション特性
を図6(B)に示すような規則的なディストーション特
性に補正すべく、非走査方向(X方向)に並んだ13本
の線SL1〜SL13(図4参照)の各々に沿って像歪
み補正板G1の表面を局所的に傾斜させるように研磨加
工する。
【0114】図10は、そのような研磨加工によって作
られた像歪み補正板G1の平面図であり、本実施例では
像歪み補正板G1の全体形状をレチクルRと相似の正方
形に設定した。これは、平行平面の精度、平坦度等を厳
しく管理して作られるレチクルRのブランクス(母材)
が像歪み補正板G1としてそのまま利用できるからであ
る。もちろん、特別に両面研磨された専用のブランクス
を使ってもよい。
【0115】図10において、矩形の実効投影領域EI
Aとその内部の13×7の点は、先の図4に示したもの
と同じであり、それらの13×7点のうち四隅に位置す
る理想格子点をGP(1,1),(1,7),(13,1),
(13,7)とし、Y軸上の両端に位置する理想格子点を
GP(7,1),(7,7)としてある。そして実効投影領
域EIAの外側にほぼ一定の幅で広がる領域EIA’
は、レチクルR上で投影領域EIAの最外辺に位置する
点から開口数NArを伴って像歪み補正板G1に達する像
光束の広がり部分を表わしている。
【0116】図10において、便宜上、円形又は楕円形
で示した斜線部の領域S(1,a),S(2,a),S(3,a),S
(4,a),S(5,a),S(6,a),S(6,b),S(7,a),S(8,
a),S(9,a),S(10,a),S(11,a),S(12,a),S(13,
a)の各々は、図9のような研磨加工によってスタティッ
クな像歪みベクトルを補正する部分である。それらの領
域S(i,a),S(i,b)のうちで領域S(1,a)は先の図9に
示した研磨領域S(1,1)に相当している。
【0117】図10に示したように、スタティックな像
歪みベクトルVD(i,j)の補正のための研磨加工は、
基本的には走査方向(Y方向)に並ぶ7個の格子点を結
んだ線分(図4に示した走査線SL1〜SL13)上の
どこか一ヵ所に対して行われる。しかしながら、一ヵ所
での補正量(研磨による傾斜量)が大きくなりすぎる場
合や修正すべき像歪みベクトルの方向性によっては、図
10中の領域S(6,a),S(6,b)のように、同一の走査線
上の複数部分に研磨領域(テーパー部)を設定すること
もある。
【0118】また、各研磨領域S(i,a),S(i,b)の面積
や研磨によるテーパー量とその傾斜方向は、先に図8,
9で説明したような手法で決定されるが、互いに隣り合
った研磨領域間については、そのつなぎ面が滑らかにな
るように研磨加工される。さらに図10の場合、各研磨
領域S(i,a),S(i,b)は比較的に離散して設定される
が、このように離散的にした方が研磨加工上は有利であ
る。
【0119】なぜなら、例えば図10中で互いに隣り合
った研磨領域S(2,a),S(3,a)について見てみると、そ
の2つの研磨領域の傾斜方向がほぼ同じ向きになると計
算されたとすると、2つの研磨領域S(2,a),S(3,a)の
境界部には比較的急峻な逆テーパーが生じるからであ
る。そのような逆テーパーは、本来意図していた像歪み
ベクトルの補正と逆向きの補正成分を与えるため、投影
されたレチクルパターンの像質を局所的に劣化させるこ
とにもなる。
【0120】そこで、像歪み補正板G1上でY方向に隣
接する研磨領域同志が同一の傾斜方向になるときは、先
の図6(A)のようなダイナミックなディストーション
特性を図6(B)のような所望状態にするために選択さ
れるスタティックな像歪みベクトルDV(i,j)を見直
し、研磨領域を相互にX方向にずらすような修正を試み
るのが良い。
【0121】このように、走査露光を前提としたスタテ
ィックなディストーション特性の補正は、静止露光を前
提としたディストーション特性の補正と比べると、像歪
み補正板G1上の研磨領域S(i,a),S(i,b)を分散させ
ることが可能となるので、研磨加工の精度(特に面のつ
なぎ)を比較的緩くできるといった利点がある。このこ
とは逆に、指定された研磨領域S(i,a),S(i,b)の面形
状をその周囲の他の研磨領域の面形状に左右されること
なく精密に加工できることを意味する。
【0122】ところで、図10に示した像歪み補正板G
1用のブランクスは、専用の研磨加工機のXYステージ
上にセットされ、回転研磨ヘッド部に対して比較的精密
にX,Y方向に移動しては、回転研磨ヘッド部を計算さ
れた傾斜角度で所望の研磨領域に所定の力で押圧するこ
とにより研磨加工される。この場合、加工後の像歪み補
正板G1を投影視野内の各理想格子点の位置に対して正
確に合致させる必要があるので、像歪み補正板G1の外
周辺のY軸と平行な一辺とX軸と平行な一辺には、研磨
加工機のXYステージ上、又は投影露光装置内の補正板
G1の保持フレーム上に植設された基準ピン(ローラ)
Kpa,KPb,KPcの各々と当接する基準端面部Pr-a,Pr-
b,Pr-cが設定されている。
【0123】ここで、特開平8−203805号公報に
も開示されてはいるが、図11を参照して研磨加工機の
具体的な一例を説明する。図11において、像歪み補正
板G1のブランクスは、研磨加工機の本体100上を
X,Y方向に移動可能なXYステージ101上に基準ピ
ンKpa,KPb,KPcで規定されて載置される。そのXYス
テージ101は駆動機構102によって移動され、駆動
機構102は研磨制御系103からの指令によって駆動
される。
【0124】さらに研磨制御系103は、研磨部105
の先端に取り付けられた回転研磨ヘッド104の回転
と、ヘッド104の先端とブランクス(G1)との接触
角度を調整する角度調整部106とを制御する。そして
研磨制御系103は、データ記録媒体(ディスク、テー
プ、カード等)或いはオンライン通信からのディストー
ション特性計測データに基づいて解析用のコンピュータ
107で解析されたXYステージ101の移動位置と研
磨中の移動速度、回転研磨ヘッド104の回転速度と押
圧力、ヘッド104の接触角度等の各情報を受信する。
【0125】以上のような研磨加工機は、投影露光装置
の組立て製造現場に設置され、装置の最終的な結像性能
を検査、調整する段階で使用される。もちろん、図11
のような研磨加工機は、投影光学系PLの組立て製造ラ
インにて使用してもよく、その場合は投影光学系PLを
露光装置本体に取り付ける前の単体状態での結像特性を
像歪み補正板G1で補正することができる。しかしなが
ら、投影光学系PLの単体状態での結像特性は装置本体
に取り付けた状態とは若干異なることがあり、望ましく
は投影光学系PLを露光装置に取り付けて露光装置自体
の照明系を使って結像特性を検査した結果(ディストー
ション特性)に基づいて、図11の研磨加工機を使って
像歪み補正板G1を加工するのがよい。
【0126】ところで研磨加工機の解析用コンピュータ
107は、例えば図10に示したような像歪み補正板G
1のブランクス上の各研磨領域の決定、各研磨領域にお
ける面形状(主に傾斜量と傾斜方向)の決定等を、計測
されたスタティックなディストーション特性やダイナミ
ックなディストーション特性に基づいて実行する。その
際、解析用コンピュータ107内の記憶部には、計測さ
れた各種のディストーション特性データに基づいて最終
的な研磨加工の状態をシミュレーションするプログラム
が保持され、そのシミュレーション結果がオペレータの
ためにディスプレー上に表示される。これによってオペ
レータは、シミュレートされた研磨加工の状態や条件を
ディスプレー上で確認することができ、様々なパラメー
タを細かく変更、編集して最適な加工状態を設定するこ
とができる。
【0127】以上のようにして製作された像歪み補正板
G1は、図12に示したような支持フレーム120上に
固定される。その支持フレーム120には、実効投影領
域EIAを通る結像光束が遮蔽されないような矩形開口
部120aが形成され、その開口部120aの周辺には
像歪み補正板G1の下面を支える複数の凸部121a〜
121kが形成されている。
【0128】凸部121a〜121dは像歪み補正板G
1のほぼ四隅を支持し、凸部121e〜121hは開口
部120aの中央近傍で補正板G1を支持し、凸部12
1i,jはそれぞれ補正板G1の右端部辺の中央と上端
部辺の中央とを支持し、そして凸部121kは補正板G
1の下端部辺の中央を支持する。これらの凸部121a
〜121kによって像歪み補正板G1はたわみが最も少
なくなるように支持フレーム120上に載置される。
【0129】さらに支持フレーム120上には、像歪み
補正板G1の下側の基準辺に当接する2つの基準ローラ
KPa,KPbと、像歪み補正板G1の左側の基準辺に
当接する1つの基準ローラKPcとが転動可能に植設さ
れている。そして像歪み補正板G1は、支持フレーム1
20上の凸部121i,jの上方にそれぞれX,Y方向
にスライド可能に設けられた押圧子122a,122b
によって、基準ローラKPa,KPb,KPcの方向に
所定の付勢力で押圧される。尚、図12中には示してい
ないが、像歪み補正板G1を支持フレーム120の各凸
部に所定の押圧力で付勢するための弾性部材(板バネ、
スプリング等)が像歪み補正板G1の周辺の上方空間に
設けられている。
【0130】そして図12のような支持フレーム120
は、図13に示すような支持フレーム保持部材130上
に取り付けられる。図13は投影光学系PLの上端部分
の構造を示す部分断面であり、保持部材130は投影光
学系PLの鏡筒上端部に対して上下方向(Z方向)と
X,Y方向とに変動しないように複数のスペーサー13
5a,135bを介して拘束されている。
【0131】また保持部材130には、投影光学系PL
の視野を遮らないような開口部が形成され、その上面に
は支持フレーム120をX,Y,θ方向に位置決めする
複数の基準部材131a,131bが設けられている。
さらに保持部材130の下側の3ヵ所には、支持フレー
ム120をXY平面に対して微小傾斜させるための直動
型のピストンやピエゾ素子等による上下動駆動子133
a,133b,133c(133cの図示は省略)と、
各駆動子133a,133b(133c)を駆動させる
モータ等の駆動ユニット132a,132b,132c
(132cの図示は省略)とが設けられている。
【0132】そして各駆動ユニット132a,132b
(132c)の各々は、傾斜制御系137からの制御指
令に応答して各駆動子133a,133b(133c)
を最適な量で上下動させ、支持フレーム120、すなわ
ち像歪み補正板G1を所定の方向に所定の量だけ傾斜さ
せる。その傾斜方向と傾斜量は、図2中の主制御系32
内に予め記憶されたプリセット情報、或いは像歪み補正
板G1を装着した後に再計測されるディストーション特
性の計測結果に基づいて主制御系32によって決定され
る。また3ヵ所の駆動子133a,133b(133
c)は、XY平面内でみたとき、投影光学系PLの光軸
AXを中心とする一定半径の円周上に約120°の角度
で配置され、各駆動子133a,133b(133c)
を同時に上下動させることで、像歪み補正板G1とレチ
クルRとの間隔(図9中に示したHr)も調整すること
ができる。
【0133】尚、図13に示した投影光学系PL内のレ
ンズ素子G2は、図2中でも示したように、投影光学系
PLの光軸AXに沿って上下動可能または傾斜可能に設
けられ、ウェハW上に投影される投影像の倍率誤差や実
効投影領域EIA内の全体で生じる対称的な歪曲収差
(糸巻き型、樽型、台形等のディストーション)を補正
することができる。
【0134】以上のようにして、研磨加工された像歪み
補正板G1が投影光路内の所期の位置、すなわち研磨加
工前のディストーション特性計測の時点で設置されてい
た位置に戻されると、再びテストレチクルを使ったディ
ストーション特性の計測作業を行い、ダイナミックなデ
ィストーション特性が例えば先の図6(B)のようにな
っているか否かを確認する。
【0135】ただし、先の図6(B)の例では関数近似
可能なディストーション成分が重畳しているため、最終
的には像歪み補正板G1の傾斜、レンズ素子G2の上下
動と傾斜微動、或いは圧力制御による倍率微調によって
関数近似可能なディストーション成分をほぼ零に追い込
む必要がある。そしてその追い込む調整の後に再計測さ
れるダイナミックなディストーション特性に、ランダム
成分なディストーション成分がどれぐらい含まれている
かを確認し、そのランダム成分が規格値に入っていれ
ば、像歪み補正板G1の一連の製作過程が終了する。
【0136】一方、ダイナミックなディストーション特
性中のランダム成分が規格値に入らないときには、再計
測したディストーション誤差のデータに基づいて図11
のコンピュータ107を使って再シミュレーションを行
い、必要に応じて像歪み補正板G1が再研磨される。以
上、本実施例では、走査露光時の実効投影領域EIAに
おけるスタティックなディストーション特性(歪曲収差
特性)ではなく、投影領域EIAの走査方向の幅に渡る
積算(平均化)によって生じるダイナミックなディスト
ーション特性に着目し、そのダイナミックなディストー
ション特性に含まれる主にランダムな成分を補正するよ
うに像歪み補正板G1を研磨した。このため、投影領域
EIA内の例えば13×7個の理想格子点の全てで像歪
みベクトルを最小にするように研磨加工する場合と比
べ、その加工が格段に楽になり、研磨領域の面つなぎも
高精度にできるといった利点がある。
【0137】さらに本実施例では、ダイナミックなディ
ストーション特性をゼロに追い込んだ状態、或いは所定
の関数に近似されるように追い込んだ状態にするのに必
要な像歪み補正板G1上の研磨領域を離散的に設定する
ことが可能となるので、互いに隣接した研磨領域での不
自然な面つなぎも減少し、投影光学系PLによる投影像
の局所的な像質の劣化も最小にすることが可能となる。
【0138】尚、不自然な面つなぎとは、レチクルR上
の物点のXY方向の位置によっては、その物点からの結
像光束が互いに隣接した複数の研磨領域を同時に通るこ
とで生じる像歪みベクトルが不自然な補正にならないよ
うに、各研磨領域の研磨面を計算上で1次的に定められ
た状態から僅かに修正して隣接した複数の研磨領域の全
体での面を滑らかにつなぐ操作を意味する。
【0139】以上の実施例では、専ら像歪み補正板G1
の製作手法とその調整手法について説明したが、像歪み
補正板G1の製作に当たっては先に述べたようにテスト
レチクルを用いてスタティックなディストーション誤差
を複数の理想格子点の各々について精密に計測する必要
がある。そのようなディストーション特性の計測は試し
焼きによる方法以外に、図2中に示した空間像検出器K
ESによっても実施可能である。
【0140】そこで、空間像検出器KESによるディス
トーション計測について図14を参照して簡単に説明す
る。図14は、図2中の露光装置のウェハテーブルTB
上に取り付けられた空間像検出器KESの構成とそれに
関連した信号処理系の構成とを示し、本実施例ではナイ
フエッジ計測法を利用して投影光学系PLから投影され
るテストパターン像の座標位置を求めるものとする。
【0141】図14において、空間像検出器KESは、
テーブルTB上のウェハWの表面とほぼ同じ高さ(例え
ば±1mm程度の範囲)になるように設けられた遮光板
140、その遮光板140の所定位置に形成された数十
μm〜数百μm程度の矩形開口(ナイフエッジ開口)1
41、開口141を透過した投影光学系PLからの結像
光束を大きなNA(開口数)で入射する石英の光パイプ
142、そして光パイプ142によってほぼ損失なく伝
送される結像光束の光量を光電検出する半導体受光素子
(シリコンフォトダイオード、PINフォトダイオード
等)143で構成される。
【0142】以上の空間像検出器KESの構成におい
て、遮光板140は紫外域の光に対して高い透過率を有
する石英や蛍石の板材の表面にクロム層を蒸着し、その
クロム層の一部に開口141を形成して構成され、光パ
イプ142は石英の光学繊維の多数本を密に束ねて全体
として数ミリ程度の太さに形成したもの、または石英を
断面が正方形の細長い角柱に切り出してその内面を全反
射面にしたもので構成される。
【0143】このような光パイプ142を用いて遮光板
140と受光素子143とを空間的に離しておくと、遮
光板140上に長時間に渡って結像光束が照射されるこ
とにで生じる遮光板140の温度上昇に伴う受光素子1
43への影響が低減され、受光素子143をほぼ一定温
度に保つことが可能となり、合わせて開口141を透過
してくる結像光束をロスなく受光することが可能とな
る。
【0144】一方、空間像検出器KESによる投影像の
検出には、図2中に示したレーザ干渉計62が使われ
る。レーザ干渉計62には、図14に示すように周波数
が安定化されたレーザ光源62A、そのレーザビームを
テーブルTB上に固定された移動鏡60と投影光学系P
Lの鏡筒下部に固定された基準鏡62Eとに向けて分割
するビームスプリッタ62B,62C、及び移動鏡60
と基準鏡62Eの各々で反射されてビームスプリッタ6
2Bで互いに干渉したビームを受光するレシーバ62D
等で構成される。
【0145】レシーバ62Dは、干渉したビームのフリ
ンジの変化に応じた光電信号に基づいてテーブルTBの
移動量を10nmの分解能でインクリメンタルに計数す
る高速デジタルカウンタを備え、そのカウンタによるデ
ジタル計数値をテーブルTB(ウェハW)のX(又は
Y)方向の座標位置として図2中に示したウェハステー
ジ制御系58に送る。さて、図1,2に示したように露
光用照明光をエキシマレーザ光源1から得る場合、空間
像検出器KESの受光素子143からの光電信号は、エ
キシマレーザ光源1のパルス発光に応答したパルス波形
となる。すなわち、投影光学系PLの物体面に設置され
たテストレチクル上のある物点からの像光路を図14に
示すようにMLeとすると、その像光路MLeが空間像
検出器KESの矩形開口141に合致するようにテーブ
ルTB(即ちウェハステージ14)をX,Y方向に位置
決めした状態で、図2中のエキシマレーザ光源1をパル
ス発光させると、受光素子143からの光電信号も時間
幅が10〜20ns程度のパルス波形となる。
【0146】そこで受光素子143からの光電信号を、
図14のような増幅作用を有するサンプルホールド(S
/Hとする)回路150Aに入力するように構成し、そ
のS/H回路150Aはレーザ干渉計62内のレシーバ
62Eで作られる10nm毎の計数用パルス信号に応答
してサンプル動作とホールド動作とを切り替えるように
構成する。
【0147】そして図2に示したエキシマレーザ光源1
の制御系2は、レーザ干渉計62からステージ制御系5
8を経由して図2中の同期制御系66、主制御系32に
送られる座標位置情報に応じてパルス発光のトリガを行
う。即ち本実施例では、エキシマレーザ光源1のパルス
発光がテーブルTBの座標位置に応じて行われ、そのパ
ルス発光に同期してS/H回路150Aが受光素子14
3からのパルス信号波形のピーク値をホールドするよう
に構成される。
【0148】S/H回路150Aでホールドされたピー
ク値は、アナログ−デジタル(A−Dとする)変換器1
52Aによってデジタル値に変換され、そのデジタル値
は波形メモリ回路(RAM)153Aに記憶される。R
AM153Aの記憶動作時の番地は、レーザ干渉計62
から送られてくる10nm毎の計数用パルス信号を計数
するアップダウンカウンタ151によって作られ、テー
ブルTBの移動位置とRAM153Aの記憶動作時の番
地とが一義的に対応付けられる。
【0149】ところで、エキシマレーザ光源1からのパ
ルス光のピーク強度は各パルス毎に数%程度の変動があ
る。そこで本実施例の処理回路では、その変動による像
計測精度の劣化を防止するために、図2中の照明光学系
(7A〜7Q)内に強度検出用の光電検出器155を設
ける。そして光電検出器155からの光電信号(パルス
波形)は、先のS/H回路150A、A−D変換器15
2A、RAM153Aの各々と同等のS/H回路150
B、A−D変換器152B、RAM153B(記憶動作
時のアドレス生成はRAM153Aと共通)によって取
り込まれる。
【0150】これによってテーブルTBの移動位置とR
AM153Bの記憶動作時の番地とが一義的に対応付け
られた状態で、エキシマレーザ光源1からの各パルス光
のピーク強度がRAM153Bに記憶される。尚、光電
検出器155は、図2に示した照明光学系内のミラー7
Jを部分透過ミラーとし、その背面側に透過してきた1
〜数%程度のパルス光を集光レンズを介して受光するよ
うに配置される。また光電検出器155をそのような位
置に配置した場合は、ウェハW上の各ショット領域を露
光する際の露光量を制御するための光量モニターとして
も動作する。
【0151】以上のようにして各RAM153A,15
3Bに記憶されたデジタル波形は波形解析用のコンピュ
ータ(CPU)154に読み込まれ、RAM153Aに
記憶された像強度に応じた計測波形がRAM153Bに
記憶された照明パルス光の強度ゆらぎ波形で規格化(除
算)される。規格化された計測波形はCPU154内の
メモリに一時的に保持されるとともに、計測すべき像強
度の中心位置が各種の波形処理プログラムによって求め
られる。
【0152】本実施例では、空間像検出器KESの開口
141のエッジを使ってテストレチクル上のテストパタ
ーン像を検出するので、CPU154によって解析され
る像の中心位置は、テストパターン像の中心と開口14
1のエッジとがXY面内で合致する場合にレーザ干渉計
62によって計測されるテーブルTB(ウェハステージ
14)の座標位置として求まる。
【0153】こうして解析されたテストパターン像の中
心位置の情報は図2に示した主制御系32に送られ、主
制御系32はテストレチクル上の複数点(例えば理想格
子点)に形成されたテストパターンの各投影像の位置を
順次計測するための動作を、図2中のエキシマレーザ光
源1の制御系2、ウェハステージ制御系58、及び図1
4中のCPU154に指示する。
【0154】ここで、本実施例に好適なテストレチクル
TRについて図15を参照して簡単に説明する。図15
はテストレチクルTRの全体のパターン配置を示す平面
図であり、テストレチクルTRの中心をXY座標系の原
点と仮定してある。そして図15においても走査露光の
方向はY方向である。また図15のテストレチクルTR
の左側には破線で示した実効投影領域EIAも示され、
投影領域EIAの非走査方向(X方向)の両端部は、テ
ストレチクルTRのパターン領域を矩形に囲む遮光帯L
SBのうちY方向に延びる2辺の各々と合致するように
設定される。
【0155】そしてテストレチクルTRの遮光帯LSB
の外側には、十字状のレチクルアライメントマークRM
a,RMbが形成され、テストレチクルTRが露光装置
のレチクルステージ8(図2参照)上に載置された状態
でレチクルアライメント用の顕微鏡によってマークRM
a,RMbを検出することで、テストレチクルTRは装
置内の基準点に対して位置合わせされる。
【0156】さてテストレチクルTRの遮光帯LSBの
内側にはXY方向に一定ピッチでマトリックス状に配列
されたテストパターン領域TM(i,j)が形成されて
いる。このテストパターン領域TM(i,j)は、図1
5の下段に拡大して示すように全体的に1〜2mm角程
度の大きさの矩形の遮光層(斜線部)で形成される。そ
してその遮光層の中には、空間像検出器KESによる検
出のためにX方向の周期を有するライン&スペース(L
&S)のパターンMX(i,j)と、Y方向の周期を有
するL&SのパターンMY(i,j)とが形成され
る。、さらに透明な窓MZ内には解像力の検査や重ね合
わせ精度の検査に使われるランパスマークMLPやバー
ニアマークMvnも形成されている。
【0157】また、テストパターン領域TM(i,j)
の矩形遮光層の中で、L&SパターンMX(i,j)の
X方向の両側には、所定の大きさの遮光部TSa,TS
cが確保されるようにデザインされる。この遮光部TS
a,TScの面積は、投影像面側において空間像検出器
KESの矩形開口141の面積よりも大きくなるように
設定されている。同様に、L&SパターンMY(i,
j)のY方向の両側にも、所定の大きさの遮光部TS
a,TSbが確保される。
【0158】尚、図15に示したL&SパターンMX
(i,j)、MY(i,j)は遮光層中に10本の透明
ラインを有し、各透明ラインの間の遮光ラインの幅と透
明ラインの幅とを同一としたが、その透明ラインの本
数、透明ラインと遮光ラインの幅の比(デューティ)等
は任意に設定し得る。ただし各透明ラインの周期方向の
幅は、投影光学系PLによって十分に解像可能であって
極端に太くならないように設定され、一例としては投影
光学系PLによる解像可能な線幅値Δrから4Δr程度
の範囲に設定される。
【0159】さて、図15のようなテストレチクルTR
が露光装置のレチクルステージ8上に載置されてアライ
メントされると、ウェハステージ14は空間像検出器K
ESの矩形開口141が計測すべき1つのテストパター
ン領域TM(i,j)に対して図16のように配置する
ように位置決めされる。図16は、1つのテストパター
ンTM(i,j)内のL&SパターンMY(i,j)の
投影像MYS(i,j)を矩形開口141がY方向に走
査する直前の位置関係を示したもので、図16の状態に
おいて矩形開口141は図15中に示した遮光部TSb
(又はTSa)によって完全に遮光されている。そして
この図16の位置から矩形開口141はほぼ一定速度で
投影像MYS(i,j)の1本目のスリット像(透明ラ
インの像)Ms1に向けて右方向に移動していく。
【0160】このとき、受光素子143からの光電信号
のレベルは、図17に示すように矩形開口141の右側
のエッジ141Aが1本目のスリット像Ms1を横切っ
た瞬間(位置ya)から立ち上がり、矩形開口141の
左側のエッジ141Bが10本目のスリット像Ms10
を横切った瞬間(位置yd)以降に零に戻るように変化
する。
【0161】図17は、横軸にウェハステージ14(矩
形開口141)のY(又はX)方向の座標位置を取り、
縦軸に受光素子143の光電信号の電圧レベルを取って
表わした信号波形EVを示すものであり、信号波形EV
は投影像MYS(i,j)の1本目のスリット像Ms1
から10本目のスリット像Ms10までが矩形開口14
1内に順次入るに従って階段状に増加し、位置ybで最
大値EVpに達する。その後、ウェハステージ14が位
置ycを過ぎると、信号波形EVはスリット像がMs1
からMs10の順で矩形開口141から外れるのに応じ
て階段状に減少する。
【0162】このような階段状の波形EVを構成するス
テップ毎の電圧変化分ΔVeは、投影像MYS(i,
j)中の1本のスリット像の光量に対応したものであ
る。そして信号波形EVを使った位置計測において重要
な部分は、各ステップ間の立ち上がり部分と立ち下がり
部分である。この階段状の信号波形EVは図14中のR
AM153Aに一時的に記憶され、その後CPU154
によって照明パルス光毎の強度ゆらぎに対する補正(除
算)がRAM153Aの各アドレス内のデータ(電圧
値)毎に行なわれる。
【0163】以上のようにして規格化された信号波形E
Vは、さらにCPU154によって平滑化(スムージン
グ)され、その平滑化された信号波形は各ステップ間の
立ち上がり位置と立ち下がり位置とを強調するために微
分される。その微分波形は図18(B)に示すように、
位置ya〜ybまでの期間は、図18(A)に再度示し
た信号波形EVの各ステップ間が立ち上がり波形である
ために正の微分パルス状になり、位置yc〜ydまでの
期間は信号波形EVの各ステップ間が立ち下がり波形で
あるために負の微分パルス状になる。尚、図18(A)
は、図18(B)中の微分パルス波形上の位置と原信号
波形EV上の各ステップ位置との対応関係をわかり易く
するために図17を再度図示したものである。
【0164】そこで図14に示したCPU154は、図
18(B)のような微分波形をY(或いはX)座標位置
と対応付けて内部のメモリに記憶した後、微分波形中の
20個のパルス波形毎にその重心位置Yg1,Yg2,
… ,Yg20を算出し、各位置Yg1〜Yg20を加
算平均した位置YG(i,j)を決定する。この位置Y
G(i,j)は、図16中の投影像MYS(i,j)の
Y方向の中心点と、矩形開口141の2つのエッジ14
1A,141BをY方向に結ぶ線分の中点とが正確に合
致するときにレーザ干渉計62で計測されるウェハステ
ージ14のY座標値である。
【0165】以上のようにして、テストレチクルTR上
の複数ヶ所に形成されたテストパターン領域TM(i,
j)内の各L&SパターンMY(i,j)の投影像MY
S(i,j)のY座標位置が順次計測されるが、テスト
パターン領域TM(i,j)内の各L&SパターンMX
(i,j)の投影像MXS(i,j)のX座標位置につ
いても全く同様の手順によって計測される。
【0166】その場合、空間像検出器KESの矩形開口
141は投影像MXS(i,j)に対してX方向に走査
され、図16中の矩形開口141のX方向の幅を規定す
る1対のエッジ141C,141Dが投影像MXS
(i,j)に対するナイフエッジとして作用する。従っ
て受光素子143からの光電信号の波形EVやその微分
波形は先の図18(A),(B)と全く同様になる。た
だし、投影像MXS(i,j)のX方向の中心位置XG
(i,j)を求める必要があるので、図14中に示され
たレーザ干渉計62のレシーバ62Dからの計数用パル
ス信号は、ウェハステージ14のX方向の移動位置を計
測するレーザ干渉計(図1中の16X)内のレシーバか
ら得られる計数用パルス信号に切り替えられる。
【0167】以上のようにして、テストレチクルTR上
の各テストパターン領域TM(i,j)内のL&Sパタ
ーンMX(i,j)、MY(i,j)で規定される理想
格子点の投影座標位置〔XG(i,j),YG(i,
j)〕が計測でき、その計測結果とテストレチクルTR
上の各理想格子点の座標位置とのXY方向の差分を求め
ることによって、先の図3又は図4で説明したような各
理想格子点におけるスタティックな像歪みベクトルDV
(Xi,Yj)が求められる。
【0168】ところで以上のディストーション計測法で
は、L&SパターンMX(i,j)、MY(i,j)の
各投影座標位置〔XG(i,j),YG(i,j)〕を
計測してからスタティックな像歪みベクトルDV(Xi,
Yj)を求めていたが、そのような各投影座標位置〔XG
(i,j),YG(i,j)〕を実測しなくても像歪み
ベクトルDV(Xi,Yj)を求めることが可能である。
【0169】すなわち、テストレチクルTR上の各L&
SパターンMX(i,j)、MY(i,j)で規定され
る理想格子点の座標位置は設計上で予め判っているの
で、その理想格子点を理想的な投影光学系PLを通して
投影したときの投影像位置(理想投影位置)も設計上で
予め判っている。そこで、例えば図18(B)のような
微分波形がメモリ上に生成された段階で、そのメモリの
番地上で理想投影位置に対応した基準番地をソフトウェ
アで設定し、図18(B)中の20個の微分パルス波形
の各重心位置を加算平均した位置をメモリ上の特定番地
として決定し、その特定番地と先の基準番地との差値に
レーザ干渉計62(又は16X)からの計測用パルス信
号の分解能(例えば10nm)の値を乗算すれば、直接
的に像歪みベクトルDV(Xi,Yj)を算出することがで
きる。
【0170】以上の空間像検出器KESを用いた投影像
の検出に当たっては、さらに考慮すべき事項がある。そ
れは、図2中に示した第1フライアイレンズ7Cと第2
フライアイレンズ7Gを使うことによって、レチクルR
上に照射されるパルス照明光の強度分布に不要な干渉縞
の強度分布が数%程度のコントラストで重畳することで
ある。
【0171】そのため、ウェハWの走査露光時には図2
中の第1フライアイレンズ7Cと第2フライアイレンズ
7Gとの間に設けられた振動ミラー7Dを振動させ、第
2フライアイレンズ7Gに入射するパルス照明光を走査
露光時のレチクルRの移動方向(Y方向)と交差した非
走査方向に微小量だけ偏向させつつ複数のパルス照明光
を照射し、干渉縞を複数のパルス照明光毎にレチクルR
(及びウェハW)上で非走査方向に微小移動させること
で、ウェハW上に投影露光されるパターン像に重畳した
干渉縞のコントラストをレジスト層の積算効果によって
十分に減少させるようにしてある。
【0172】ところが空間像検出器KESによる投影像
の検出の際は、ウェハWの走査露光の場合と異なり、レ
ジスト層による積算効果が利用できない。そこで、同様
の積算効果を電気的な処理、例えば図14中の信号処理
回路を一部変更した回路構成によるハードウェア処理、
或いはCPU154によるソフトウェア処理で得るよう
にすることが望ましい。
【0173】具体的には、図16のようにL&Sパター
ンの投影像MYS(i,j)又はMXS(i,j)を矩
形開口141で走査する際の移動速度を十分に小さく
し、振動ミラー7Dを高速に振動させた状態でレーザ干
渉計62(又は図1中の16X)からの計数用パルス信
号の1パルスに応答して複数個のトリガ信号をエキシマ
レーザ光源1の制御系2に与える方式が採用できる。
【0174】そこで、図19,20を参照してハードウ
ェア処理によって積算効果を得る方式について簡単に説
明する。まず、図19に示すようにウェハステージ14
の位置計測用のレーザ干渉計62(又は16X)からの
計数用パルス信号CTPの1パルスに対して、例えば3
つのトリガパルスTP1,TP2,TP3を生成するよ
うに構成し、そのトリガパルスTP1,TP2,TP3
の各々に応答してエキシマレーザ光源1を発振させるよ
うにする。
【0175】そして図14の信号処理回路の一部を図2
0のように変更する。図20において、空間像検出器K
ESの受光素子143からの光電信号のピーク値をデジ
タル値に変換するA−D変換器152Aの後には、A−
D変換器152Aの出力データとレジスタ157Bに一
時的に保持されたデータとを加算するアキュムレータ1
57Aが接続され、その加算結果が図14と同様のRA
M153Aに記憶されるように構成する。
【0176】さらにシーケンスを同期させるために、干
渉計からの計数用パルス信号CTPに応答してトリガパ
ルスTP1,TP2,TP3を出力する同期回路157
Cを設け、そのトリガパルスTP1,TP2,TP3の
各々でS/H回路150Aのサンプル動作とホールド動
作とを切り替えるように構成する。そしてトリガパルス
TP1,TP2,TP3はアキュムレータ157Aにも
送られ、各トリガパルスTP1,TP2,TP3毎(3
個のパルス発光毎)にA−D変換器152Aから出力さ
れるデータがアキュムレータ157Aによって順次加算
される。
【0177】このような構成において、レジスタ157
Bは干渉計の計数用パルス信号CTPの立ち上がりでゼ
ロリセットされるように動作し、同期回路157Cはそ
のゼロリセット後に1番目のトリガパルスTP1を出力
する。これに応答してS/H回路150AとA−D変換
器152Aが作動し、1番目のパルス発光に応じて受光
素子143から出力された信号のピーク値EV1がアキ
ュムレータ157Aの一方の入力端に印加される。
【0178】このときレジスタ157Bのデータはゼロ
であるので、アキュムレータ157Aの出力にはピーク
値EV1が現れる。その出力はただちにレジスタ157
Bに送られて保持される。そして一定時間の後、同期回
路157Cは2番目のトリガパルスTP1を出力し、同
様にして2番目のパルス発光に応じて受光素子143か
ら出力された信号のピーク値EV2がアキュムレータ1
57Aの一方の入力端に印加される。
【0179】これによってアキュムレータ157Aの出
力には、A−D変換器152Aからのピーク値EV2と
レジスタ157Bからのピーク値EV1との加算値が現
れ、その加算値が再びレジスタ157Bに送られる。そ
して3番目のトリガパルスTP3に対しても同様に動作
し、結局、アキュムレータ157Aの出力には3つのパ
ルス発光の各々によって得られたピーク値EV1,EV
2,EV3の加算値が現れ、その加算値はRAM153
Aの指定された番地に記憶される。
【0180】以上の本実施例では、干渉計の計数用パル
ス信号の1パルスに対して3個のトリガパルスTP1,
TP2,TP3を発生させるが、そのトリガパルスが発
生する間、振動ミラー7Dの角度を微小に変化させるた
め、空間像検出器KESの遮光板140上に投影される
像MXS(i,j)又はMYS(i,j)に各パルス発
光毎に重畳した干渉縞のコントラスト成分が平均化さ
れ、図17のような信号波形EVが干渉縞によるコント
ラストによって歪むことが低減される。
【0181】以上の方式以外にも、空間像検出器KES
を使った像計測時の干渉縞による精度劣化を低減する方
式があり、その1つは、投影された1つのL&Sパター
ン像MXS(i,j)又はMYS(i,j)に対して空
間像検出器KESの矩形開口141を複数回走査する方
式である。この場合、信号処理回路は先の図14のもの
とし、矩形開口141の複数回の走査の各々で図18
(A),(B)のような波形処理を行い、投影像の中心
位置(又は像歪みベクトル)を各走査毎に求めた後に、
その中心位置(又は像歪みベクトル)をCPU154の
ソフトウェア上で平均化する。
【0182】このように矩形開口141を複数回走査す
る間、振動ミラー7Dの角度は微小に変化されるため、
矩形開口141の各走査毎に干渉縞の位置が微小にシフ
トすることになり、干渉縞コントラストの影響によりば
らついて計測され得る投影像の中心位置(又は像歪みベ
クトル)を平均化して求めることができ、それだけ計測
精度を高めることが可能となる。
【0183】また以上の構成においては、空間像検出器
KESを用いて投影像を検出する際に、ウェハステージ
14をX又はY方向に走査したが、空間像検出器KES
の方をある計測位置に静止させておき、レチクルRの方
をX又はY方向に微動させるようにしても同様のディス
トーション計測が可能である。さらに、空間像検出器K
ES(ウェハステージ14)とレチクルRとを、例えば
Y方向(走査露光方向)に所期の速度比と異なる速度比
で同期移動させ、その間に受光素子143から得られる
信号波形を解析するようにしてもよい。
【0184】この場合、例えば図16中の矩形開口14
1と投影像MYS(i,j)とは一定の速度差を伴って
共にY方向に沿った一方向に移動することになり、その
速度差によって投影像MYS(i,j)が矩形開口14
1によって相対走査され、受光素子143からの信号も
図17のような階段状の波形になる。このようにレチク
ルRと空間像検出器KESとを共に同期移動させる場合
は、厳密な意味では理想格子点でのスタティックなディ
ストーション特性を計測したことにならない。しかしな
がら、そのときの光電信号の波形を解析すれば、L&S
パターンの投影像MYS(i,j)が投影視野IF内で
走査移動される局所範囲内での平均化された像歪みベク
トル、即ちダイナミックなディストーション特性を知る
ことが可能である。さて、以上のような自動計測の結果
に基づいて図11のような研磨加工機で像歪み補正板G
1を研磨加工する際、先の図9のように像歪み補正板G
1の片面だけではなく、図21に示したように両面を研
磨するようにしてもよい。図21は、図9と同様にレチ
クルR又はテストレチクルTR上の1つの格子点GP
(1,1)からの結像光束LB’(1,1)が通る像歪
み補正板G1の一部分の断面を誇張して示したものであ
る。
【0185】この図21の場合、像歪み補正板G1の下
面(投影光学系PL側)には上面の研磨領域S(1,
1)、S(0,1)に対応して研磨領域S’(1,
1)、S’(0,1)が設定され、下面の研磨領域S’
(1,1)、S’(0,1)もそれぞれ結像光束(主光
線)に対して最適な微小偏向角を与えるように波長オー
ダーの傾斜面に研磨されている。
【0186】例えば、図21中に示した結像光束LB’
(1,1)は研磨領域S(1,1)と研磨領域S’
(1,1)の2つの微小斜面によって偏向されるため、
各研磨領域S(1,1)、S’(1,1)の斜面方向と
傾斜量とをほぼ同じにしておくと、その局所的な領域だ
けを傾いた平行平板に整形することができ、偏向補正さ
れた主光線MB’(1,1)を光軸AXとほぼ平行な状
態に戻すことが可能となる。このため、物点GP(1,
1)からの主光線MB’(1,1)は、投影光学系PL
の投影像面に対して垂直に近くなり、テレセントリック
な状態が維持されるといった利点がある。
【0187】また、像歪み補正板G1の両面を研磨加工
することにすれば、先に図10を参照して説明したよう
に、研磨領域S(i,a),S(i,b)のうち互いに
オーバーラップせざるを得ない隣接した複数の研磨領域
が存在した場合でも、それらの研磨領域を像歪み補正板
G1の上面と下面とに振り分けることができ、同一面側
での研磨面のつなぎが滑らかになって、よりきめ細かな
ディストーション補正が可能になるといった利点もあ
る。次に、本実施例においてディストーション特性を計
測する際に考慮しなければならない投影露光装置の照明
光学系の光学条件に関して説明する。先の図2で説明し
たように、この種の投影露光装置の照明光学系は、一般
に第2フライアイレンズ7Gの射出側に形成される面光
源像(実際は5千〜1万個の輝点の集合)を投影光学系
PLの入射瞳または射出瞳に結像するケーラー照明系と
して構成される。これによって、エキシマレーザ光の可
干渉性により生じる干渉縞(又はスペックル)のコント
ラストが無いものと仮定したとき、第1の被照射面とし
てのブラインド7Lの位置、第2の被照射面としてのレ
チクルRのパターン面位置、及び第3の被照射面として
の投影光学系PLの像面(ウェハ面)位置の各々で、±
1%程度の均一な照度分布を得ている。
【0188】しかしながら近年の半導体デバイスの高密
度化、微細化に伴って、被照射面における照度分布の均
一性の問題だけではなく、被照射面(特にウェハ面)上
に照射される照明光のテレセントリックな条件からのず
れ、所謂テレセン誤差も問題となってきている。ただし
このテレセン誤差は投影光学系PL単体が有するテレセ
ン誤差も含んだものとして捉えられる。
【0189】特に近年は、図2中に示したように第2フ
ライアイレンズ7Gの射出側に輪帯開口、4開口、円形
小開口、円形大開口等の各種の照明σ絞り板(以下、空
間フィルターとする)7Hを交換可能に設け、照明光源
面の形状をレチクルR上のパターンに応じて変更するこ
とが行われている。この場合、空間フィルター7Hを光
路内に挿入しない状態、或いは円形大開口の空間フィル
ターを光路内に入れた状態で、ウェハW側に到達する照
明光のテレセン誤差を被照射面内の各点毎に計測し、各
点毎のテレセン誤差が補正されるように、図2中のコン
デンサーレンズ系の近傍に設けられたテレセン補正板7
Nを、像歪み補正板G1の製作手法と同様の手法で研磨
加工して光路内に挿入すればよい。或いは図2中のコン
デンサーレンズ系7K,7Q等に含まれる特定のレンズ
素子に対して、計測されたテレセン誤差が補正されるよ
うな非球面加工(図11の研磨加工機により球面を局所
的に研磨した場合も含む)を施してもよい。
【0190】そこで、投影光学系PLの像面側における
照明光のテレセン誤差を正確に計測することが必要とな
るが、その計測には先に図14〜18を参照して説明し
た空間像検出器KESとテストレチクルTRがそのまま
利用できる。ただし、テレセン誤差を求めるためには、
ウェハテーブルTBのZ方向の位置を斜入射光式の焦点
検出系の検出結果に基づいて一定量(例えば0.5μ
m)だけ変えてはテストレチクルTR上のL&Sパター
ンの投影像を矩形開口141で走査して、その投影像の
XY座標位置を計測することを繰り返し、1つのL&S
パターン像のZ方向位置に応じたXY座標位置の変化、
即ちL&Sパターン像の主光線のZ軸に対する傾きの方
向と量とを計測することになる。
【0191】そして、このようなテレセン誤差(結像主
光線の傾き誤差)をテストレチクルTR上の各理想格子
点に配置されたL&Sパターンの各投影像毎に行うこと
で、投影像面内、或いは実効投影領域EIA内でのテレ
セン誤差の分布が、例えば図22のように分かる。図2
2は、投影領域EIA内で生じる局所的なテレセン誤差
の分布を誇張して表わした一例であり、同図中の黒点は
理想格子点又はそれに準じた点を表わし、各黒点から延
びる線分がテレセン誤差ベクトル(向きと大きさ)Δθ
t(i,j)を表わしている。
【0192】このテレセン誤差ベクトルΔθt(i,j)は、
一例として投影像点の主光線がZ方向の距離1000μ
m当たりどれぐらいX,Y方向にシフトしているかを表
わしたものであり、この図22に示したベクトルマップ
の全体傾向は、ディストーション特性と同様にして関数
近似可能な成分とランダムな成分とが混在したものとな
っている。
【0193】従って、図22のようなテレセン誤差ベク
トルのマップを計測することによって、修正(補正)す
べきテレセン誤差が発生している投影視野IF内での座
標位置を決定し、その座標位置における主光線の傾き補
正量を計算し、その計算結果に基づいてテレセン補正板
7N(又はレンズ素子)の表面を局所的に研磨して波長
オーダーの微小傾斜を形成すればよい。
【0194】また、空間像検出器KESにより照明光の
テレセン誤差特性を計測してテレセン補正板7Nの研磨
状態をシミュレーションし、その結果に基づいて実際の
研磨加工を行うとともに、その加工されたテレセン補正
板7Nを挿入して試し焼き(走査露光)を行ったときの
レジスト像の状態を光学顕微鏡、電子顕微鏡により観
察、計測した結果を勘案して、テレセン補正板7Nを再
度研磨加工(修正研磨)することが望ましい。
【0195】このように投影像の空間的な強度分布の光
電的な検出結果と、試し焼きによってレジスト層に実際
に蝕刻される像の質の計測結果との双方に基づいて研磨
加工するやり方は、テレセン補正板7Nの他に像歪み補
正板G1の製作の際にも同様に適用でき、実際のデバイ
スパターンをウェハW上に走査露光するときの投影性能
を最大限に引き出すことが可能となる。
【0196】さらにテレセン補正板7Nは、先に説明し
た像歪み補正板G1と同様に照明系の光軸AXと垂直な
面に対して任意の方向に傾斜可能にしておくと、投影視
野内の各点で一律に生じているテレセン誤差(オフセッ
ト分)を投影視野内で一括して補正することができる。
ところで、空間像検出器KESを用いたL&Sパターン
の投影像の計測によって、投影視野IF内、又は矩形の
投影領域EIA内の各点で生じる像面アス、コマ収差、
或いは像面湾曲等を計測することができる。そこで図2
中に示した投影光学系PLの下端部のアスコマ補正板G
3についても、投影視野IF内または矩形投影領域EI
A内の各点において計測されたアスやコマの収差量に基
づいて、その収差量が走査露光時の平均化によってゼロ
に追い込まれるように、或いはスタティックな状態のま
までゼロに追い込まれるように同様に研磨加工され、研
磨後に投影光学系PLの下端部に挿入される。
【0197】また図2では省略したが、投影光学系PL
の下端部には投影像面の湾曲を補正するような面形状を
持った像面湾曲補正板(石英板)G4が図23のように
アスコマ補正板G3と並んで装着される。図23は投影
光学系PLの下端部の部分断面を示し、投影像面PF3
に最も近い位置にあるレンズ素子Gaが環状の保持金物
175を介して投影光学系PLの鏡筒内に固定されてい
る様子を示す。そしてアスコマ補正板G3と像面湾曲補
正板G4は、レンズ素子Gaと像面PF3との間で環状
の保持金物176を介して鏡筒内に固定される。
【0198】ここで像面PF3は、レチクルRのパター
ン面と光学的に共役なベストフォーカス面であり、その
像面PF3上の像点ISP2’に収斂する結像光束L
B'(i,j)の主光線ML'(i,j)は、レンズ素子Gaと
像面PF3との間では光軸AXと平行になっているもの
とする。このとき結像光束LB'(i,j)の開口数NAw
は、レチクル側での開口数NArに比べて投影倍率(1
/4,1/5等)の逆数分だけ大きく、NAw=0.5
〜0.7程度になっている。
【0199】そのため、アスコマ補正板G3、像面湾曲
補正板G4を通るときの結像光束LB'(i,j)の広がり
面積は、レチクル側の像歪み補正板G1に比べて格段に
大きくなってしまう。このため、像点ISP2’の近傍
に位置する別の像点を作る結像光と図23中に示した結
像光束LB'(i,j)とがアスコマ補正板G3中で重なっ
てくることは避けられない。
【0200】しかしながら、アスコマ補正板G3の表面
の研磨加工は、矩形投影領域EIA内の幅方向(走査方
向)に関する収差特性も走査露光により平均化されるこ
とを勘案すれば、アスコマ補正板G3の全面で考慮する
必要はなく、走査露光時の平均化を考慮して局所領域に
対して行えばよく、アスコマ補正板G3の研磨加工時の
研磨面のつなぎは比較的容易に行なえる。
【0201】一方、像面湾曲は、ある照明条件のもとで
投影されたテストレチクルTR上の各点のL&Sパター
ンの像について、そのベストフォーカス位置(Z位置)
を試し焼きによるオフライン方式や空間像検出器KES
を使って計測し、計測された各点でのベストフォーカス
位置を最小二乗法等により近似した近似面(曲面)を求
めることで決定される。
【0202】この場合、空間像検出器KESによる投影
像の検出は、テレセン誤差計測のときのように、斜入射
光方式等の焦点検出系で遮光板140の表面高さ位置を
計測しつつテーブルTBのZ位置を変えて行われ、L&
Sパターンの投影像のコントラスト(微分波形のピーク
値、ボトム値のレベル)が最も高くなるようなテーブル
TBのZ位置をベストフォーカス位置として計測する。
【0203】そのようにして決定された投影像面の近似
面のフラットネスが、少なくとも走査露光時の矩形投影
領域EIA内で許容範囲内にないときは、投影光学系P
Lから像面湾曲補正板G4を取り出して像面湾曲を修正
するような研磨加工が行なわれる。この場合、像面湾曲
補正板G4は、一般的には一方の表面が全体的に正の曲
率で研磨され、他方の表面がほぼ同じ負の曲率で研磨さ
れ、投影視野内の全体的な像面湾曲の傾向を補正するよ
うに製作される。
【0204】しかしながら、投影視野内(矩形投影領域
EIA内)で局所的に像面湾曲が大きくなっているとこ
ろがあれば、その部分については局所的に追加研磨を行
なって補正することもできる。また以上のアスコマ補正
板G3、像面湾曲補正板G4の製作にあたっても、空間
像検出器KESによる投影像の光電的な計測結果に頼る
だけでなく、試し焼きによって転写された実際のレジス
ト像のプロフィール等を計測し、その計測結果も勘案す
ることが望ましい。次に、上述のディストーション特
性、アスコマ収差、像面湾曲等の計測時に考慮しなけれ
ばならない他の照明条件に関して説明する。先に述べた
ように、図2に示した第1フライアイレンズ7C、第2
フライアイレンズ7Gの作用によってブラインド7Lの
位置、レチクルR(テストレチクルTR)のパターン面
位置、及び投影光学系PLの像面(ウェハ面)位置等の
被照射面で、±1%程度の均一な照度分布を得ることが
できる。
【0205】ところが照明光の照射状態は、被照射面に
おける照度分布の均一性の問題だけではなく、被照射面
内の位置に応じて照明光の開口数(NA)が部分的に異
なる現象、即ち光軸AXからの距離である像高に応じた
NA差(照明角度内のむら)の発生によって、解像力、
ディストーション誤差、各種収差等を含む総合的な結像
性能が局所的に劣化するといった問題があることも判明
した。この現象は、照明系の像高位置に依存したσ値の
変化の他に、図2中に示した第2フライアイレンズ7G
からレチクルRまでの照明光学系による各種収差、その
照明光学系を構成する複数の光学部材の組立て製造時の
配置誤差、又は各光学部材にコートされる反射防止用の
薄膜の角度特性等によっても引き起こされる。
【0206】またこのような像高に応じた照明光のNA
差は、投影光学系PL単体の収差によっても生じ得る現
象であり、結局のところ、図24に誇張して示すよう
に、例えば投影像面PF3上に3つの像点ISPa,I
SPb,ISPcの各々を形成するための結像光束LB
a,LBb,LBcの開口数NAa,NAb,NAcが
像高位置±ΔHxに応じて異なる現象となって生じる。
【0207】図24は、レチクルR上の光軸AXの位置
にある物点(理想格子点)GPb、その物点GPbから
X軸(非走査方向の軸)に沿った正方向に距離M・ΔH
xだけ離れた物点GPc、及び物点GPbからX軸の負
方向に距離M・ΔHxだけ離れた物点GPaの各々を、
縮小倍率1/M(Mは2〜10程度)の両側テレセント
リックな投影光学系PLを介して投影像面PF3上に像
点ISPa,ISPb,ISPcとして結像投影する様
子を表したものである。
【0208】この際、レチクルRは所定の開口数、所定
のσ値に調整された照明光ILBによってほぼ一様な強
度分布で照射され、各物点から像歪み補正板G1を介し
て投影光学系PLに入射する光のうち、投影光学系PL
の瞳(絞り開口)Epで遮光されることなく像面PF3
側に向かう結像光束LBa,LBb,LBcが各像点の
結像に寄与する。
【0209】また図24において、結像光束LBa,L
Bcの各々の左側に破線で示した部分光束は、本来の開
口状態から照明角度内のむらとなって欠落、或いは減衰
した部分を表す。このように像高位置に応じたNA差が
生じると、像高+ΔHxでの結像光束LBaと像高−Δ
Hxでの結像光束LBcの各主光線は瞳Epの中心点
(光軸AX)を通るものの、各結像光束LBa,LBc
の断面内での光量重心で決まる重心線は像面PF3にお
いて主光線から傾いたものとなってしまう。
【0210】このような照明光の像高に応じたNA差が
ある状態で、例えばレチクルR上の照明領域の中央、即
ち投影光学系PLの光軸AXの近傍に位置するほぼ解像
限界のL&Sパターンと、光軸AXから離れた照明領域
の周辺部に位置するほぼ解像限界のL&Sパターンとを
投影露光する場合を考えてみる。この場合、その2ヶ所
のL&Sパターンの各々を照射する照明光の強度分布が
同一であっても、光軸AX近傍のL&Sパターンに対す
る照明光の方が光軸AXから離れたL&Sパターンに対
する照明光に比べて実効的なNAが大きく(場合によっ
ては小さく)なっている。このため最終的にウェハW上
に転写されるL&Sパターンの解像は光軸AX近傍のも
のと周辺部のものとで異なることになり、同一ライン
幅、同一ピッチのL&Sパターンであるにも関わらず、
像面内の位置に応じて転写される像のコントラストやラ
イン幅が異なってしまうといった問題がある。
【0211】さらに照明光のNA差は、ピッチ方向を異
ならせた同一デザインの2つのL&Sパターンがレチク
ル上に近接して設けられているとき、その2つのL&S
パターンの投影像の線幅やデューティをピッチの方向に
応じて微小に変えてしまうといった問題を引き起こす。
尚、照明領域の中央と周辺とで実効的なNAの差は無い
ものの、レチクルR(又はウェハW)に照射される照明
光束の全体が光軸AXに対して対称な角度でなく、ある
方向に僅かに傾くといった問題も起り得るが、その場合
は第2フライアイレンズ7Gやその他の照明光学系内の
光学素子の位置をX,Y,Z又はθ方向に微動させるこ
とによって調整可能である。
【0212】以上のような照明光の像高に応じたNA差
は、先の図14〜17のようにしてディストーション特
性を計測する場合、図22のようなテレセン誤差マップ
を計測する場合、或いはアスコマ収差や像面湾曲を計測
する場合にも当然問題となり、計測されるスタティック
な像歪みベクトルやテレセン誤差ベクトル等に誤差が含
まれてしまう。
【0213】そこで、デバイス製造ラインでのウェハ露
光の際は言うに及ばず、像歪み補正板G1の製作時のデ
ィストーション計測、テレセン誤差の計測時、アスコマ
収差の計測時、或いは像面湾曲の計測時のときから、レ
チクルRへの照明光の像高に応じたNA差を調整してお
くことが望ましい。そのために設けられたのが、図2中
の第2フライアイレンズ7Gの入射面側に配置した照明
NA差の補正板(照明NA補正板とする)7Fである。
【0214】ところで、先に図14で説明した空間像検
出器KESは、投影像面上の矩形開口141内の光量を
検出するものであり、投影像面での照明光の照度と照明
光の像高に応じたNA差とを区別して検出することはで
きない。これに対してウェハW上のレジスト層は、照明
光の像高に応じたNA差と照度変化とに対して敏感であ
り、レジスト層に投影されたパターン像の結像特性(レ
ジストのプロファイル)に明確な違いとなって現れる。
【0215】そこで本実施例では、装置稼働中の任意の
タイミングで照明光の像高に応じたNA差を自動的に計
測することが可能な照明NA計測センサー200を、例
えば図25に示すように図2中のウェハテーブルTB上
に取付け金具Acmを介して着脱可能に設ける。図25
は、照明NA計測センサー200が取り付けられるテー
ブルTBの部分構造と投影光学系PLの下端部とを示す
拡大図であり、センサー200の上面には、石英板の表
面全体にクロム等による遮光層を形成した遮光板201
が設けられ、その遮光層の一部には照明光の波長λ、投
影光学系PLの像側の開口数NAw等に基づいて決まる
直径のピンホール202が形成されている。
【0216】そして遮光板201のピンホール202の
下には、ピンホール202を透過してきた照明光を平行
光束に変換するレンズ素子203、所謂フーリエ変換レ
ンズが設けられ、そのレンズ素子203によるフーリエ
変換面には2次元撮像素子としてのCCD204が配置
され、それらの遮光板201、レンズ素子203、及び
CCD204はセンサー200のケース205内に一体
に保持される。そのCCD204からの画像信号は、信
号ケーブル206を介して装置外部に配置された画像処
理回路210と映像信号ミキサー回路211とに送られ
る。
【0217】ミキサー回路211は、画像処理回路21
0で作られるスケール信号やカーソル信号とケーブル2
06からの画像信号とを合成してディスプレー212上
に瞳Epに形成される光源像SSiを表示するように制
御する。尚、画像処理回路210は、光源像SSiの光
強度分布を第2フライアイレンズ7Gのレンズ素子の配
置と対応付けて検出するとともに、その強度分布の中で
特に不均一となっている部分を解析するソフトウェアを
備え、その解析結果を図2中の主制御系32に送出する
機能を有している。
【0218】以上のセンサー200の構成において、セ
ンサー200の遮光板201の表面は、照明光のNA差
の計測時には焦点検出系とアクチュエータZACとによ
って投影光学系PLの投影像面PF3と一致したZ位
置、若しくは投影像面PF3から一定のオフセットを伴
ったZ位置に所定のレベリング状態で設定される。さら
にXYステージ14は、投影光学系PLの投影視野IF
内または矩形投影領域EIA内の任意のX,Y位置にピ
ンホール202が配置されるように駆動系64によって
駆動される。
【0219】そして計測時には、パターンが描画されて
いない素レチクルをレチクルステージ8上に装着し、そ
の素レチクルを照明光ILBで一様照明するとともに、
投影視野IF内または矩形投影領域EIA内の計測した
い像高位置にピンホール202を位置付ける。その際、
照明光ILBがパルス光であるため、CCD204を電
荷蓄積型にしておけば、照明光ILBを予め指定された
パルス数で照射している間にピンホール202を透過し
てきた照明光がCCD204で積算されて光電検出され
る。
【0220】そのCCD204の撮像面はフーリエ変換
面になっているため、CCD204は投影光学系PLの
瞳Epに結像される光源像SSiの強度分布を撮像する
ことになる。ただし瞳Epに形成される光源像SSi
は、図2中の第2フライアイレンズ7Gの射出面側に形
成された無数の輝点の集合面のうち、空間フィルター7
Hの開口を通ってきた部分の形状と相似になっている。
【0221】ところで本実施例においては、矩形投影領
域EIAの幅方向(Y方向)に走査露光する装置を前提
としているので、ウェハW上に転写されるパターン像の
質の照明NA差による影響も、投影領域EIAの幅方向
の寸法に渡って照明NA差を平均化したものとなってい
る。そこでディストーション計測の場合と同様に、投影
領域EIAを非走査方向(X方向)に一定間隔で複数の
領域に分割し、その分割された領域毎に走査方向のスタ
ティックな照明NA差を平均化してダイナミックな照明
NA差を求めるのが望ましい。
【0222】そこで、まず図26(A),(B)を参照
してスタティックな照明NA差の計測について説明す
る。図26(A),(B)はピンホール202を投影領
域EIA内の異なる位置に配置したときにディスプレー
212上にそれぞれ表示される光源像SSiの一例を模
式的に示した図である。ディスプレー212の画面上に
は、第2フライアイレンズ7Gの射出側のレンズ素子の
配列7G’(光源像SSi)を表わすカーソル線や、
X,Y方向の位置を表わすスケール線SCLx,SCL
yが同時に表示されている。
【0223】図26(A),(B)において、第2フラ
イアイレンズ7Gの射出面側の配列7G’は全体として
ほぼ正方形に整形され、個々のレンズ素子の断面形状は
投影領域EIAとほぼ相似の長方形になっている。即ち
個々のレンズ素子の入射面側は被照射面(ブラインド
面、レチクル面、或いは投影像面)と共役になっている
ため、個々のレンズ素子の断面は被照射面上での投影領
域EIAを効率的に照射するように走査方向(Y方向)
の寸法が非走査方向(X方向)の寸法よりも小さくなっ
ている。
【0224】そして図26(A)の場合、配列7G’内
の左上隅の領域KLa、最上部列の領域KLb、右下隅
の領域KLcの各々の強度が、その周囲の強度よりも許
容値以下になっており、図26(B)の場合は、配列7
G’内の右上隅の領域KLdと右下隅の領域KLeの各
々の強度がその周囲の強度よりも許容値以下になってい
る例を示す。
【0225】このように投影光学系PLの瞳Epに形成
される光源像SSiの強度分布は、ピンホール202の
投影視野内での位置、即ち像高に応じて変化するため、
投影されるレチクルR(又はTR)のパターン像の質が
投影視野内の位置に応じて劣化することがある。例え
ば、図26(A)のように光源像SSi(配列7G’)
の全体的な分布の重心が同図中の座標原点(光軸AX)
から左下の方に偏心している場合は、その像高位置で投
影されるパターンの結像光束がテレセントリックな状態
から劣化したものとなる。また図26(A)と図26
(B)とを比べてみると、図26(A)の場合の方が投
影像面PF3上での照明光束のNAが全体的に小さくな
っている。
【0226】尚、実際にウェハWを走査露光するときの
光源像SSiの形状は、第2フライアイレンズ7Gの射
出側に配置された空間フィルター7Hの開口形状によっ
て設定されているため、実際は図26(A),(B)の
ような正方形の配列7G’のうちの空間フィルター7H
で制限された開口形状(円形、輪帯、4開口等)となっ
ている。
【0227】さて、このような投影視野内の像高に応じ
た照明NA差を走査方向に平均化するには、先の図4と
同様に矩形投影領域EIA内にマトリックス状の複数の
計測点を設定し、その各計測点毎にピンホール202を
位置付けしてはCCD204からの画像信号をディスプ
レー212上で観察するとともに、画像処理回路210
によって光源像SSi(配列7G’)の強度分布中の不
均一な領域を解析し、その解析結果に基づいて計測点毎
のスタティックな照明NA特性(NAの方向性とその程
度を表すベクトル)を順次記憶していく。
【0228】その後、各計測点のスタティックな照明N
A特性のうち、走査方向に並んだ幾つかの計測点での照
明NA特性を平均化してダイナミックな照明NA特性を
算出する。このダイナミックな照明NA特性は、矩形投
影領域EIAの非走査方向の一定間隔毎に求められ、そ
れらのダイナミックな照明NA特性を比較することで、
特に非走査方向に関しての像高に応じた照明NA差が求
められる。そして、以上のようにして求められたダイナ
ミックな照明NA特性に基づいて、図2中の第2フライ
アイレンズ7Gの入射面側に配置された照明NA補正板
7Fが加工され、非走査方向に関するダイナミックな照
明NAの差がほぼゼロになるように補正される。本実施
例の場合、投影光学系PLの円形投影視野IF内の非走
査方向に延びる直径に沿って矩形投影領域EIAが設定
されているため、ダイナミックな照明NAは光軸AXか
らの像高に応じたものになっている。
【0229】従って、非走査方向に関するダイナミック
な照明NA差を補正するためには、非走査方向について
の各像高毎の照明σ値にオフセットを持たせるように照
明NA補正板7Fを製作すればよい。照明σ値を像高に
応じて変化させる手法としては、例えば第2フライアイ
レンズ7Gの入射面側で周辺のレンズ素子(ロッドレン
ズ)毎に、そのレンズ素子に入射する照明光束の大きさ
や強度を変えたり、強度分布を偏心させたりするための
減光部を、照明NA補正板7Fの透明基板(石英)上に
局所的に形成すればよい。
【0230】そこで、まず図27を参照して被照射面上
における照明光の状態について簡単に説明する。図27
は、図2に示した第2フライアイレンズ7Gから被照射
面PF1までの系を模式的に示したものであり、集光レ
ンズ系180は図2に示したミラー7J,集光レンズ7
Kと7M,ミラー7P及びコンデンサーレンズ系7Qの
合成系を表わしている。従って被照射面PF1は、説明
を簡単にするために第2の被照射面であるレチクルRの
パターン面とする。ただし実際に評価すべき照明NA差
は、投影光学系PLを含めて第3の被照射面であるウェ
ハW(又は計測センサー200の遮光板201)側の投
影像面PF3で求められる。
【0231】さて図27において、第2フライアイレン
ズ7Gは複数個の角柱状のロッドレンズを束ねたもので
あり、被照射面PF1と共役な入射面PF0に入射する
照明光束ILBは各ロッドレンズによって分割され、射
出面Ep’側に複数個の点光源像(集光点)となって集
光される。ここで、第2フライアイレンズ7G中の光軸
AXから離れたロッドレンズの射出面Ep’側に形成さ
れる光源像をそれぞれQPa,QPbとする。
【0232】ただし先の図2で説明したように、本実施
例では第1フライアイレンズ7Cが設けられているた
め、第2フライアイレンズの1つのロッドレンズの射出
面Ep’側に形成される光源像は、第1フライアイレン
ズ7Cの射出側に形成される複数個の点光源像の集合体
をリレーしたものとなっている。被照射面PF1からみ
て第2フライアイレンズ7Gの射出面Ep’はフーリエ
変換面(瞳面)となっており、第2フライアイレンズ7
Gのロッドレンズの各々から発散して進む分割光は集光
レンズ180によってほぼ平行光束に変換されて被照射
面PF1上で重畳(インテグレート)される。これによ
って被照射面PF1上での照明光の強度分布は一様化さ
れる。ところが、被照射面PF1上の光軸AXから非走
査方向(X方向)に離れた周辺の被照射点ISP1に照
射される照明光束の状態を見てみると、図27中の右下
に斜視図で示したように、点ISP1に収斂される照明
光束の開口数は、光束中の強度減衰した部分DK1のた
めに相対的にX方向に小さくなっている。尚、同図にお
いてML1は投影光学系PLの瞳の中心点を通って被照
射点ISP1に至る主光線を表わす。
【0233】このように部分DK1のような減衰(又は
増大)部を含む照明光束は、図27において、第2フラ
イアイレンズ7Gの左端に位置するロッドレンズで形成
される光源像QPaの強度が極端に小さい(或いは極端
に大きい)場合、又は第2フライアイレンズ7Gの右端
に位置するロッドレンズで形成される光源像QPbの強
度が極端に大きい(或いは極端に小さい)場合などに発
生し得る。そこで例えば図28(A)に示すように、第
2フライアイレンズ7Gの左端側又は右端側のロッドレ
ンズに入射する幅DFxの照明光束が全体的若しくは部
分的に減光されるような薄膜フィルター部SGa又はS
Gbを遮光部として照明NA補正板7F上に形成する。
尚、図28(A)は第2フライアイレンズ7Gと照明N
A補正板7Fとの位置関係をXZ平面内で拡大して示し
た図であり、図28(B)は照明NA補正板7F上に形
成されるフィルター部SGa,SGbと、第2フライア
イレンズ7Gのロッドレンズ(長方形の断面)の配列と
の平面的な位置関係を示した図である。
【0234】図28(B)に示すように、第2フライア
イレンズ7Gの各ロッドレンズの断面は非走査方向(X
方向)に延びた長方形であり、各ロッドレンズの配列の
うちX方向の両端側でY方向に一列に並んだロッドレン
ズの各々に対応してフィルター部SGa,SGbが個別
に設けられている。本実施例では、特に非走査方向に関
するダイナミックな照明NA差を補正するようにしたの
で、第2フライアイレンズ7Gのロッドレンズの配列に
ついても、主にX方向に配列したロッドレンズの並びの
両端側に着目して、フィルター部SGa,SGbを設定
した。
【0235】このため、フィルター部SGa又はSGb
はどちらか一方のみでもよく、またフィルター部SGa
又はSGbの形状はY方向に並んだロッドレンズに対し
て同一にすることもできる。しかしながらここでは、フ
ィルター部SGa,SGbをY方向に並んだロッドレン
ズの位置に応じて少しずつ異なる形状、配置に設定し、
非走査方向だけでなく走査方向(Y方向)についてもダ
イナミックな照明NA差が小さくなるようにした。
【0236】以上のようにして照明NA補正板7Fを作
成する場合も、先の像歪み補正板G1の作成時と同様
に、照明NA補正板7Fの母材となる完全な透明基板
(石英)を図2に示すように第2フライアイレンズ7G
の入射面側に配置し、レチクルRを素レチクルに交換し
た状態で、図25の計測センサー200を用いてダイナ
ミックな照明NA特性を計測する。そしてその計測結果
に基づいて、露光装置から取り外した母材となる透明基
板(又はその同等品)に対して減光部となるフィルター
部SGa,SGb等を形成すればよい。
【0237】もちろん、製作された照明NA補正板7F
を照明光路内の所定位置に取り付けた後、再び図25の
計測センサー200を用いてダイナミックな照明NA特
性を計測し、像高に応じたダイナミックな照明NA差の
補正が良好に行なわれているか否かを検定しておくこと
が望ましい。また以上のような照明NA補正板7Fの製
作とそれによる照明NAの補正は、像歪み補正板G3、
アスコマ収差補正板G3、像面湾曲補正板G4の製作時
のテストレチクルTRによる各種の計測作業の前に行な
っておく必要があることは言うまでもない。ところで図
2に示した通り、第2フライアイレンズ7Gの射出側に
は、投影光学系PLの瞳Epに形成される光源像SSi
の形状やサイズを変更するための空間フィルター7Hが
切り替え可能に設けられている。このため空間フィルタ
ー7Hが、通常の円形開口から輪帯開口に切り替えられ
たり、輪帯開口から4開口に切り替えられたりすると、
レチクルRやテストレチクルTRを照射する照明光束の
光学特性が異なり、投影光学系PLに対する影響も異な
ったものとなる。
【0238】そこで空間フィルター7Hの切替えに連動
して、先に説明した像歪み補正板G1、アスコマ収差補
正板G3、像面湾曲補正板G4、照明NA補正板7Fの
各々を、空間フィルター7Hの開口形状に応じた最適な
ものに交換可能に構成しておくのがよい。図29は、像
歪み補正板G1、アスコマ収差補正板G3、像面湾曲補
正板G4、照明NA補正板7Fの各々を交換可能にした
投影露光装置の概略構成を示し、照明光学系内の集光レ
ンズ7Eから投影光学系PLの投影像面PF3までの各
光学部材の基本配置は図2の構成と同じである。そして
図29において、像歪み補正板G1は、空間フィルター
7Hの開口形状や寸法に応じて予め研磨加工されてライ
ブラリー220内にストックされた複数枚の像歪み補正
板G1’と交換可能になっており、その交換作業は主制
御系32からのコマンドに応答して動作する自動交換機
構222によって行なわれる。
【0239】またターレットやリニアスライダー等の切
替え機構224上には複数枚の照明NA補正板7Fが取
り付け可能になっており、その複数枚の補正板7Fの各
々は空間フィルター7Hの開口形状や寸法に応じてダイ
ナミックな照明NA差が最小となるように予め作成さ
れ、どの照明NA補正板を選択するかは主制御系32か
らのコマンドに応答して選ばれた空間フィルター7Hに
対応して決定される。
【0240】さらにアスコマ補正板G3と像面湾曲補正
板G4についても、空間フィルター7Hの切替えに対応
して予め作成された複数枚がライブラリー226内にス
トックされており、そのうちの適合した補正板G3,G
4が主制御系32からのコマンドに応答して自動交換機
構227によって選択されて、投影光学系PLの下端部
に装着される。
【0241】尚、テレセン補正板7Nについても、主制
御系32からのコマンドに応答して照明条件(空間フィ
ルター7H)に応じて予め研磨加工されたテレセン補正
板と交換する自動交換機構228が設けられるが、照明
光束の全体の平均的なテレセン誤差を一様に直すだけで
あれば、自動交換機構228は単にテレセン補正板7N
の傾斜を2次元に調整するアクチュエータで構成しても
よい。
【0242】以上のような構成により、主制御系32か
らのコマンドに応答して照明条件の変更に伴って生じる
照明光束の光学特性と投影光学系PLの結像特性との各
変動を最適に補正することができ、常に収差(等方的な
倍率誤差を含むディストーション誤差、像面湾曲誤差、
アス、コマ、テレセン誤差等)が少ない状態でレチクル
Rのパターン像をウェハW上に投影転写することができ
る。以上の各実施例で例示した投影光学系PLは、石英
や螢石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ)のみで
構成される縮小投影レンズとしたが、その他のタイプの
投影光学系であっても本発明は全く同様に適用できる。
そこで図30を参照して、その他のタイプの投影光学系
について簡単に説明する。
【0243】図30(A)は、屈折光学素子(レンズ
系)GS1〜GS4、凹面鏡MRs、ビームスプリッタ
PBSを組み合わせた縮小投影光学系であり、この系の
特徴は、レチクルRからの結像光束を大きなビームスプ
リッタPBSを介して凹面鏡MRsで反射させて再びビ
ームスプリッタPBSに戻し、屈折レンズ系GS4で縮
小率を稼いで投影像面PF3(ウェハW)上に結像する
点であり、詳しくは特開平3−282527号公報(N
C)に開示されている。
【0244】図30(B)は、屈折光学素子(レンズ
系)GS1〜GS4、小ミラーMRa、凹面鏡MRsを
組み合わせた縮小投影光学系であり、この系の特徴は、
レチクルRからの結像光束を、レンズ系GS1,GS
2,凹面鏡MRsからなるほぼ等倍の第1結像系PL
1、偏心配置の小ミラーMRa、そしてレンズ系GS
3,GS4で構成されてほぼ所望の縮小率を持った第2
結像系PL2を通して投影像面PF3(ウェハW)上に
結像させる点であり、詳しくは特開平8−304705
号公報(NC:高橋)に開示されている。
【0245】図30(C)は、屈折光学素子(レンズ
系)GS1と凹面鏡MRsを組み合わせた等倍投影光学
系であり、この系の特徴は、レチクルRからの結像光束
を、それぞれプリズム反射鏡MRe、レンズ系GS1、
凹面鏡MRsとで構成される第1のダイソン結像系PL
1と第2のダイソン結像系PL2とを通して投影像面P
F3(ウェハW)上に等倍の正像として結像させる点で
あり、詳しくは特開平7−57986号公報(NC:田
中)に開示されている。
【0246】以上の図30(A),(B),(C)に示
した投影光学系の各々を搭載した露光装置に対しても、
先に説明した像歪み補正板G1、アスコマ補正板G3、
像面湾曲補正板G4が同様に装着可能である。特に図3
0(B),(C)の投影光学系ではレチクルR上の照明
領域内のパターンとほぼ等倍の中間結像面PF4が形成
されるため、その中間結像面PF4の近傍に像歪み補正
板G1、アスコマ補正板G3、像面湾曲補正板G4の少
なくとも1つを配置することができる。
【0247】また図30(A),(B),(C)に示し
た投影光学系は、使用する光学硝材や表面コート材等を
選択することにより、ArFエキシマレーザ光等の中心
波長が200nm以下の紫外線に対しても十分適用可能
な系である。このような投影光学系を使う場合であって
も、先に説明した実施例と同様に、(1)設定された照
明条件のもとでダイナミックな光学特性(ディストーシ
ョン、アスコマ収差、照明NA差等)の計測、(2)そ
の計測結果に基づいて各種補正板の加工、(3)作成さ
れた各種補正板の装着と調整(再計測も含む)、といっ
た一連のシーケンスを実施することによって、最終的に
感光基板上に転写されるパターン像の歪み、絶対的な投
影位置の誤差、或いはローカルな重ね合わせ誤差が、転
写すべきパターン像の最小線幅の1/10程度(十数n
m程度)以下に抑えられるといった顕著な効果が得られ
る。ところで、先の図2、図30に示した投影光学系の
うち、図2と図30(A)とに示した投影光学系は円形
の投影視野を有し、図30(B),(C)に示した投影
光学系はほぼ半円形の投影視野を有している。そして、
いずれの投影光学系を使う場合も、投影視野内で矩形ス
リット状に制限した実効投影領域EIAを走査露光に利
用するものとしたが、場合によっては円弧上のスリット
投影領域を設定してもよい。
【0248】その場合、レチクルR(TR)を照明する
照明光の強度分布形状を単に円弧状スリットにすればよ
いが、照明光がパルス光であることを考慮すると円弧状
スリットの走査方向の幅は、先に従来技術で挙げた19
89年の文献SPIE,Vol.1088のp.424
〜433に示されている程に細くするのは得策ではな
く、ある程度の幅が必要となる。
【0249】例えば、走査方向に関する円弧状スリット
のウェハ上での幅Dapを1mm、走査中にその幅分だ
けウェハが移動していく間に撃つべきパルス光の数Nm
(整数)を20パルスとし、照明光のパルス発振の最大
周波数fpを1000Hz(レーザ光源の規格による)
とすると、ウェハ上の1ショット領域を走査露光してい
る間のウェハの移動速度Vwsは、Vws=Dap/
(Nm/fp)の関係から50mm/Sec.となり、
スリット幅Dapを大きくすればそれだけスループット
向上が図れることがわかる。
【0250】従って円弧状スリットの照明光にする場合
であっても、従来の方式よりも幅の広いもの、例えばウ
ェハ上で3〜8mm程度を採用する必要がある。ただし
そのときは、円弧状スリット照明光の内側の円弧と外側
の円弧とは同心にはせずに、円弧状スリットの走査露光
の幅が円弧スリットの非走査方向のどの位置においても
同じになるような三日月形にするのが望ましい。
【0251】尚、本発明の実施態様で説明した像歪み補
正板G1、アスコマ補正板G3、像面湾曲補正板G4、
テレセン補正板7N、照明NA補正板7Fによる各種の
光学収差補正の考え方は、図30に示したカタディオプ
トリック系(屈折素子と反射素子の組合わせ系)の投影
光学系以外に、反射素子(凹面鏡、凸面鏡、トロイダル
反射鏡、平面鏡等)のみで構成された縮小投影系を備え
た波長50nm以下のX線露光装置にも同様に適用可能
である。
【0252】このような極短波長の照明光に対しては良
好な屈折作用を持つ光学材料が皆無であるため、ディス
トーション特性、アスコマ収差特性、テレセン特性等の
補正は、専ら反射素子の反射表面の面形状を局所的に微
小変形させることで達成可能である。その微小変形の手
法としては、例えば投影光路内の物体面や像面に近い位
置に配置される反射鏡の母材となる材料(低膨張ガラ
ス、石英、ファインセラミックス等)の表面に比較的厚
く堆積された反射層を研磨加工する方法、反射鏡の反射
面の裏側や側面から母材に局所的な応力を加えて反射面
形状を制御可能な範囲で故意に微小変形させる方法、反
射鏡の裏面に温度調整器(ペルチェ素子、ヒートパイプ
等)を取り付けて温度膨張により反射面形状を微小変形
させる方法などが考えられる。ところで、像歪み補正板
G1の作製時、テレセン補正板7Nの作製時、或いはア
ス・コマ収差補正板G3の作製時には、走査露光の際の
平均化を考慮したダイナミックなディストーション特
性、ダイナミックなテレセン誤差特性、或いはダイナミ
ックなアス特性等を計測によって求める必要があるが、
そのような各種のダイナミックな収差特性はテストレチ
クルTR上の計測用マークパターンをウェハ上に走査露
光方式で試し焼きした結果からも得ることができる。そ
こで以下にその場合の計測手法とシーケンスについて図
31,32を参照して説明する。
【0253】先に説明したように、図1,2の露光装置
を使って投影光学系PLの物体面上に位置する特定の物
点を走査露光してウェハW上に転写すると、その物点の
ウェハWへの投影像は、投影光学系PLの実効投影領域
EIA内の走査方向位置毎のスタティックなディストー
ション特性による変調を受けて平均化され、ウェハW上
に転写された段階で既にダイナミックなディストーショ
ン特性(ダイナミックな像歪み誤差)を含んだものとな
っている。
【0254】従って、図15に示したテストレチクルT
Rの計測用マークTM(i,j)をテストウェハ上に走
査露光すると、テストレチクルTR上の理想格子点位置
またはそれに相当する位置に形成されたL&Sパターン
MX(i,j),MY(i,j)の各投影像は、いずれ
もダイナミックな像歪みベクトル(ディストーション誤
差)を伴ったものとなる。
【0255】そこで図31に示すように、試し焼きに適
したノッチNT付きのスーパーフラットウェハWにレジ
スト層を塗布して図2の露光装置のテーブルTB上に載
置する。そしてテストレチクルTR上のパターン領域
(図15中の遮光帯LSBの内側)を、ウェハW上の例
えば3×3のショット領域TS1〜TS9の各々にステ
ップアンドスキャン方式で順次転写する。このとき、図
31中の各ショット領域TS1〜TS9はTS1,TS
2,…,TS9の順に同図中の矢印のようにY方向に交
互に走査される。
【0256】これによって各ショット領域TS1〜TS
9には、図31の下側に拡大して示すように、テストレ
チクルTR内のマトリックス状に並んだテストマークT
M(i,j)の各投影像TM’(i,j)が、ウェハW
上のレジスト層に潜像として転写される。その後ウェハ
Wはコーターデベロッパーに送られ、実デバイス製造時
と同等の条件でレジスト層が現像される。
【0257】現像されたウェハWは専用の検査測定装置
に設置され、各ショット領域TS1〜TS9内にレジス
ト層の凹凸で形成された各投影像TM’(i,j)の理
想格子点からの位置ずれ量を計測する。この際に計測さ
れる投影像TM’(i,j)は、図15の下側に示した
ようなL&SパターンMX(i,j),MY(i,j)、十字
状のランパスマークMLP、或いはバーニアパターンM
vn等のいずれの像であってもよく、検査計測装置にあ
ったものが使われる。
【0258】尚、各投影像TM’(i,j)の理想格子
点からの位置ずれ計測は、投影露光装置に搭載されたア
ライメント検出系を利用するようにしてもよく、例えば
特開平2−54103号公報に開示されているようなL
SA系、FIA系、又はLIA系を搭載した投影露光装
置に現像後のウェハWを装着し、レジスト層で形成され
たパターンやマークを同様に計測することができる。
【0259】以上の計測作業で求められる各投影像T
M’(i,j)の理想格子点からの位置ずれ量は、各理
想格子点でのダイナミックな像歪ベクトルVP(Xi)を直
接的に表わしたものとなる。そこで、例えば1つのショ
ット領域TS9内の非走査方向(X方向)に一列に並ん
だ投影像TM’(i,j)の組GF(1),GF(2)
の各々について像歪ベクトルVP(Xi)を計測してみる
と、各組GF(1),GF(2)内での像歪みベクトル
は例えば先の図5(D)のようなディストーション特性
を直接的に表わす。
【0260】しかしながら特定の1組のみでダイナミッ
クなディストーション特性を決定しても、走査露光時の
レチクルステージ、ウェハステージの移動制御精度や投
影像TM’(i,j)の計測誤差等によってばらつきが
生じ得るため、各投影像TM’(i,j)のうちで例え
ば走査方向(X方向)に伸びた線JLa,JLb,JL
cの各々に沿った複数個の投影像TM’(i,j)の各
像歪ベクトルVP(Xi)を、線JLa,JLb,JLc毎
に計算上で平均化する。
【0261】このようにすると、例えば線JLb上の複
数の投影像TM’(i,j)の各像歪ベクトルVP(Xi)
の平均値から、実効投影領域EIA内の線JLb上の位
置またはその近傍におけるダイナミックなディストーシ
ョン特性が正確に求まることになる。ただしショット領
域TSn内で線JLa,JLb,JLcの各々に沿った
全ての投影像TM’(i,j)の各像歪ベクトルVP(X
i)を平均化すると、走査露光時のレチクルステージ8、
ウェハステージ14の走り誤差(走査軸の相対回転誤
差、ヨーイング誤差等)も、ショット領域TSn内の走
査方向の寸法に渡って平均化されてしまう。
【0262】そこで図32に示すように、ショット領域
TSn内の走査方向(Y方向)の右端側の組GF
(1)、中央の組GF(2)、そして左端側の組GF
(3)の各々についてダイナミックな像歪ベクトルVP
(Xi)を実測によって求め、その実測された像歪ベクトル
VP(Xi)から各走査位置(ショット領域内のY方向位
置)におけるステージ8,14の走り誤差分を差し引い
たものをダイナミックなディストーション特性とする。
【0263】そして走り誤差分が取り除かれた各組GF
(1),GF(2),GF(3)毎のディストーション
特性を平均化すればよい。尚、ステージ8,14の走り
誤差は走査露光時の干渉計46,62等の計測値(X,
Y,θ)を各組GF(1),GF(2),GF(3)の
走査位置の近傍範囲でリアルタイムに記憶しておけば、
後から計算上で容易に求めることが可能である。
【0264】また、各組GF(1),GF(2),GF
(3)内でX方向の任意の位置におけるダイナミックな
像歪ベクトルVP(Xi)を決定する場合、その位置の周辺
に位置する投影像TM’(i,j)の像歪ベクトルVP
(Xi)の実測結果を使って平均化してもよい。例えば図3
2に示したように、投影像TM’(i,j)のうち右上
隅をTM’(0,0)とし、組GF(1)内の線JLb
上の像歪みベクトルを決定する場合は、その位置にある
投影像TM’(7,1)と、周辺に位置した投影像T
M’(6,0),TM’(6,2),TM’(8,
0),TM’(8,2)の各々とにおける像歪ベクトル
VP(Xi)の実測値を平均化する。
【0265】同様に、組GF(1)内の線JLd(線J
Lbの隣の位置)上の像歪みベクトルを決定する場合
は、その位置の周辺に位置した投影像TM’(5,
1),TM’(6,0),TM’(6,2),TM’
(7,1)の各々における像歪ベクトルVP(Xi)の実測
値を平均化すればよく、組GF(2)内の線JLb上の
像歪みベクトルを決定する場合は、その位置を中心とす
る楕円Gu(i,j)内に存在する4つの投影像TM’
(i,j)の各々における像歪ベクトルVP(Xi)の実測
値を平均化すればよい。
【0266】さらに本実施例の場合、ウェハW上に複数
個のショット領域TSnが形成されるので、ショット領
域内の特定位置における像歪みベクトルを決定する場合
は、他のショット領域内における同一位置でのダイナミ
ックな像歪みベクトル(走り誤差分の補正後)を加算平
均することでランダムな計測誤差を低減できるといった
利点がある。
【0267】以上のように本実施例の場合は、実際に走
査露光方式で試し焼きを行った結果に基づいてダイナミ
ックなディストーション特性を決定したが、この手法は
ダイナミックなテレセン誤差特性、ダイナミックなアス
・コマ特性等の各種の結像諸収差を計測する場合にも全
く同様に適用可能である。また本実施例では、試し焼き
されたウェハ上の複数ヶ所のマーク投影像TM’(i,
j)を検査測定するための専用の装置、或いは投影露光
装置のアライメント系を必要とするが、実際にレジスト
層に形成されたマーク投影像の位置、投影像の解像状
態、L&Sパターン像の方向性による差異等を実測する
ため、その投影露光装置の照明光学系と投影光学系PL
との実際の光学特性に基づいた計測が可能である。
【0268】
【発明の効果】以上の様に本発明によれば、走査露光方
式に特有の走査方向に加算平均化されるダイナミックな
収差情報を用いて、そのダイナミックな収差特性が補正
されるように局所的に研磨加工された補正光学部材(G
1,G3,G4等)をマスク(レチクルR)と被露光基
板(ウェハW)との間の投影光路内に挿入するようにし
たので、研磨加工すべき補正光学部材の表面形状と領域
とを高精度に設計できるといった効果がある。更に、そ
の研磨加工すべき表面形状も非常に緩やかに設定できる
為、加工精度も向上するといった顕著な効果が得られ
る。その結果、露光時の収差補正精度は非常に高いもの
が得られる事になる。
【0269】また本発明は、投影露光方式の場合に問題
となる収差諸特性のうちのディストーション特性以外の
収差、例えばアス・コマ収差や像面湾曲またはテレセン
誤差に対しても同様に適用することができる。一般に、
静止露光方式の場合に発生するアス収差は投影光学系の
最も像側のレンズ素子と被露光基板との間に挿入された
平行平板(石英等)を投影光軸と垂直な面に対して微小
に傾斜させることで補正可能である。
【0270】ところが走査露光方式の場合は、投影視野
内の露光に寄与する領域が矩形スリット状または円弧ス
リット状になっており、しかも走査方向には加算平均化
されるダイナミックなアス特性となることを考慮する
と、そのスリット状の投影領域のセンター部分でダイナ
ミックなアス収差が大きくなったり、非線形(又はラン
ダム)なアスが発生したりすることがある。従ってこの
様な場合も、本発明の手法を利用して投影光路内の像面
近傍に配置されるアスコマ補正板の表面を局所的に面整
形しておくことで高精度なアス補正が可能となり、これ
らの収差を除去できるといった顕著な効果が得られる。
【0271】また光学諸収差のうちの像面湾曲について
は、静止露光方式であれば投影光学系と被露光基板の間
に配置される曲率半径が大きなレンズ素子を、僅かに曲
率半径が異なる同径のレンズ素子に交換したりして補正
することが可能である。しかしながら走査露光方式の場
合は、走査方向についてスタティックな像面湾曲特性が
加算平均化されてしまうため、静止露光方式のようなレ
ンズ素子の交換による像面傾斜、像面湾曲の補正だけで
は修正し切れない非線形(ランダム)な像面湾曲誤差が
残存する可能性がある。
【0272】従ってこの場合も、本発明の手法を利用す
れば非線形(ランダム)な像面湾曲誤差を高精度に補正
可能な像面湾曲補正板を作成することができるので、投
影光学系による投影像面を全体的、局所的に均一な平面
にすることができ、焦点深度(DOF:Depth Of Focu
s)を大幅に向上できるといった顕著な効果が期待でき
る。
【0273】以上の本発明のような各種収差特性の補正
技術や補正板の製造技術は、特に像側開口数が0.65
以上の高NA投影光学系を介して平坦化技術が適用され
た被露光基板上に最小線幅0.08〜0.2μm程度の
回路パターン像を投影露光する際には不可欠な技術とな
る。ただし本願の実施態様で説明した走査露光方式にお
いては、投影領域内のスタティックな諸収差が走査方向
に関しては平均化されるため、投影領域内でスタティッ
クな諸収差が最小な部分と比べると、被露光基板に転写
される像に生じる収差(像質)が劣化してくる可能性は
ある。
【0274】このため、像劣化が発生する様な状態での
平均化は行うべきではないので、投影光学系単体の組立
て、調整時に可能な限り諸収差が小さくなるようにレン
ズ素子や光学部材の微動により追い込み補正し、更に、
その投影光学系の鏡筒を装置ボディに取り付けた状態で
鏡筒内のレンズ素子や光学部材の位置を微調整する等の
作業を行ない、線形な収差(関数近似可能な収差特性)
は可能な限り計算値から取り除くような努力が必要であ
る。
【0275】そして線形収差を取り除いた後に残存する
非線形誤差(ランダム成分)に対して収差補正が行われ
るように補正光学部材を加工しておけば、線形収差成分
とランダムな収差成分とをほぼゼロに抑えることが可能
となる。このため、複数台の投影露光装置を半導体デバ
イスの製造ライン内の重ね合わせ露光時に混用する場
合、ディストーション・マッチングやミックス&マッチ
の精度を数nm〜十数nm程度に維持でき、半導体デバ
イス製造上の歩留まりを向上させることができるといっ
た顕著な効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施に好適な投影露光装置の全体
的な外観を模式的に示す斜視図である。
【図2】 図1中の投影露光装置の本体の詳細な構成
を示す図である。
【図3】 図1,2中の投影光学系の投影視野内に生
じるディストーション特性の一例を模式的に示す図であ
る。
【図4】 走査露光方式によってディストーション特
性(像歪みベクトル)が平均化される様子を説明する図
である。
【図5】 平均化されたダイナミックなディストーシ
ョン特性の代表的ないくつかの例を説明する図である。
【図6】 ランダムに生じるダイナミックな像歪みベ
クトルを所定の関数に近似されるように補正する場合を
説明する図である。
【図7】 ダイナミックな像歪みベクトルを補正する
ための補正ベクトルの求め方を説明する図である。
【図8】 像歪み補正板によって結像光束が補正され
る様子を説明する部分拡大図である。
【図9】 図8中に示した像歪み補正板の表面を局所
的に研磨加工した状態を誇張して示す部分断面の拡大図
である。
【図10】 最終的に研磨加工された像歪み補正板の局
所的な研磨領域の分布状態の一例を模式的に示す平面図
である。
【図11】 図10の像歪み補正板を研磨加工すのに好
適な研磨加工機の簡単な構成を示す図である。
【図12】 図10の像歪み補正板が取り付けられる支
持プレートの構成を示す平面図である。
【図13】 図12の支持プレートとともに投影露光装
置の投影光学系の光路内に装着された像歪み補正板の様
子と、その保持構造を示す部分断面図である。
【図14】 投影露光装置のウェハステージ上に取り付
けられた空間像検出器の構造とその処理回路の構成とを
示す図である。
【図15】 各種の収差特性を計測するための計測用マ
ークが形成されたテストレチクルの構成を示す平面図
と、一ヶ所の計測用マーク領域内に形成された計測パタ
ーン群の様子を示す平面図である。
【図16】 投影像面内の1ヶ所に投影されたテストレ
チクル上のL&Sパターンの像を空間像検出器によって
検出する様子を説明する図である。
【図17】 空間像検出器によって出力される光電信号
の波形の一例を説明する波形図である。
【図18】 空間像検出器からの信号波形とその微分信
号の波形を示す波形図である。
【図19】 ウェハステージ用のレーザ干渉計の計数用
パルスとエキシマレーザ光源のトリガパルスとの関連を
説明するタイミングチャート図である。
【図20】 空間像検出器からの光電信号をデジタル変
換して記憶する処理回路の変形例を示す回路ブロック図
である。
【図21】 像歪み補正板の両面を研磨加工した場合の
一例を誇張して示す部分断面の拡大図である。
【図22】 空間像検出器によって計測される投影光学
系のテレセン誤差の一例を示す図である。
【図23】 投影光学系の像面側に配置されるアス・コ
マ補正板と像面湾曲補正板との状態を示す部分断面図で
ある。
【図24】 投影光学系を通して投影像面側に投影され
る結像光束(又は照明光束)の像高に応じた開口数(N
A)の違いを説明する図である。
【図25】 照明光束の像高に応じたNA差を計測する
ための計測センサーの構造とその処理回路を示す図であ
る。
【図26】 図25の計測センサーによって計測された
照明光学系内の光源像の一例を模式的に示す図である。
【図27】 照明光学系を構成するフライアイレンズか
ら被照射面までの光路と、被照射面上の1点に集光する
照明光のNA差を説明する図である。
【図28】 照明光の像高に応じたNA差を補正するた
めの照明NA補正板の配置と、その補正板の平面構造と
を示す図である。
【図29】 投影露光装置に搭載される各種の収差補正
板の交換機構と調整機構とを模式的に説明する図であ
る。
【図30】 本願の発明が適用される投影光学系の他の
タイプを模式的に説明する図である。
【図31】 試し焼きの際にテストレチクルのパターン
が走査露光されるウェハ上のショット領域の配列と、そ
の配列中の1つのショット領域の様子とを示す図であ
る。
【図32】 試し焼きされた1つのショット領域内の計
測用マークパターンの各投影像を計測する場合の組分け
と平均化の様子とを説明する図である。
【符号の簡単な説明】
1 … エキシマレーザ光源 7 … 照明系 7C,7G … フライアイレンズ系 7F … 照明NA補正板 7N … テレセン誤差補正板 8 … レチクルステージ 14 … ウェハステージ 32 … 露光装置の主制御系 G1 … 像歪み補正板 G3 … アス・コマ収差補正板 G4 … 像面湾曲補正板 100 … 研磨加工機の本体 120 … 像歪み補正板の支持プレート 200 … ピンホールによる計測センサー 222 … 像歪み補正板の交換機構 224 … 照明NA補正板の交換機構 227 … アス・コマ収差補正板と像面湾曲補正板
の交換機構 228 … テレセン誤差補正板の交換機構、或いは
調整機構 R … レチクル TR … テストレチクル W … ウェハ TB … テーブル PL … 投影光学系 IF … 円形投影視野 EIA … 走査露光時の実効投影領域 DV(i,j) … スタティックな像歪みベクトル VP(Xi) … ダイナミックな像歪みベクトル TM(i,j) … テストレチクル上の計測用マーク
パターン KES … 空間像検出器

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の結像特性を有する投影光学系
    と、該投影光学系の物体面側に保持されるマスク基板と
    前記投影光学系の像面側に保持される感応基板を前記投
    影光学系に対して1次元走査方向に移動させる駆動機構
    と、前記像面側に投影される前記マスク基板の部分的な
    像を前記1次元走査方向に所定の幅を有する実効投影領
    域内に制限する制限手段とを備え、前記マスク基板のパ
    ターンを前記感応基板上に走査露光する投影露光装置に
    おいて、 前記投影光学系の物体面側に配置した理想格子点を前記
    像面側に投影すると該理想格子点の夫々に対応した各像
    点が前記実効投影領域内で像歪みベクトルを伴うものと
    したとき、前記実効投影領域内で前記1次元走査方向に
    並ぶ複数の像点の各像歪みベクトルを平均した平均ベク
    トルを前記実効投影領域の前記1次元走査方向と交差し
    た非走査方向の複数の位置の各々において所定の状態に
    補正するように光学加工された少なくとも1つの光学補
    正素子を、前記投影光学系内の所定位置に保持する補正
    素子保持手段を備えたことを特徴とする投影露光装置。
  2. 【請求項2】 前記光学補正素子は、前記投影光学系
    による結像光路中で主光線が前記投影光学系の物体面ま
    たは像面とほぼ垂直になるテレセントリック部に配置さ
    れることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記補正光学素子は前記物体面側と像
    面側の少なくとも一方に配置された透過性光学硝材で構
    成され、該透過性光学硝材の前記実効投影領域に対応し
    た表面部分は、前記非走査方向の複数の位置の各々にお
    ける前記平均ベクトルをほぼ同一にするように、局所的
    に異なる面形状に光学加工されていることを特徴とする
    請求項2に記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記補正素子保持手段は、前記透過性
    光学硝材を前記投影光学系の物体面または像面と平行な
    状態、或いは前記物体面または像面に対して微少傾斜し
    た状態で保持することを特徴とする請求項3に記載の装
    置。
  5. 【請求項5】 前記非走査方向の複数の位置の各々に
    おける前記平均ベクトルの方向性と絶対値が所定の関数
    に近似されるように、前記透過性光学硝材の表面を局所
    的に異なる面形状に光学加工したことを特徴とする請求
    項3に記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記投影光学系を介して前記像面側に
    解像可能なパターン像の最小サイズをΔrとしたとき、
    前記非走査方向の複数の位置の各々における前記平均ベ
    クトルの夫々から線形誤差成分を除いたランダム誤差成
    分を±(Δr/10)以内にするように、前記透過性光
    学硝材の表面の面形状を局所的に光学加工したことを特
    徴とする請求項3に記載の装置。
  7. 【請求項7】 所定の結像特性を有する投影光学系の
    物体面側に原版を配置するとともに前記投影光学系の像
    面側に感応基板を配置し、前記像面側に投影される前記
    原版の部分的な像を1次元走査の方向に所定の幅を有す
    る実効投影領域内に制限した状態で、前記原版と感応基
    板とを前記1次元走査方向に移動させて前記原版のパタ
    ーンを前記感応基板上に走査露光する方法において、 前記物体面側に配置した理想格子点を前記像面側に投影
    すると該理想格子点の夫々に対応した各像点が前記実効
    投影領域内で像歪みベクトルを伴うものとしたとき、前
    記実効投影領域内で前記1次元走査方向に並ぶ複数の像
    点の各像歪みベクトルを平均化した平均ベクトルが前記
    実効投影領域の前記1次元走査方向と交差した非走査方
    向の複数の位置の各々において所定の状態になるように
    光学加工された少なくとも1つの光学補正素子を、前記
    投影光学系による結像光路内に配置した状態で前記原版
    のパターンを前記感応基板上に走査露光することを特徴
    とする露光方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の原版を回路デバイス
    製造用のパターンが形成されたマスク基板とし、請求項
    7に記載の感応基板をレジストの塗布された半導体ウェ
    ハとし、請求項7に記載の光学補正素子を含む投影光学
    系を屈折光学素子のみ、屈折光学素子と反射光学素子の
    組合わせ、或いは反射光学素子のみで構成される縮小投
    影系とし、該縮小投影系を用いて前記マスク基板のパタ
    ーンを前記半導体ウェハ上に走査露光することで前記半
    導体ウェハ上に回路デバイスを形成することを特徴とす
    る回路デバイス製造方法。
  9. 【請求項9】 前記光学補正素子は、前記投影光学系
    の物体面側に配置されて、前記投影光学系を用いた走査
    露光時に平均化されて生じ得る前記平均ベクトルで規定
    されるダイナミックなディストーション特性を補正する
    像歪み補正板を含むことを特徴とする請求項8に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 前記光学補正素子は、前記投影光学系
    の像面側に配置されて、前記投影光学系を用いた走査露
    光時に平均化されて生じ得る前記平均ベクトルで規定さ
    れるダイナミックなアス収差特性を補正するアス補正板
    を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記光学補正素子は、前記平均化され
    た平均ベクトルが前記非走査方向の位置に応じた所定の
    関数に近似されるか、又はその位置によらずほぼ一定に
    近似されるように、表面を局所的に光学研磨して作製さ
    れることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  12. 【請求項12】 マスク上のパターン領域の一部を照
    明系からの照明エネルギーで照射し、そのパターン領域
    の一部を投影光学系を介して感応性の基板上に投影しつ
    つ前記レチクルと前記基板とを前記投影光学系の視野に
    対して1次元移動させることにより、前記基板上に前記
    マスクのパターン領域の全体像を走査露光する露光装置
    の調整方法において、 前記投影光学系の物体面側または像面側における前記照
    明エネルギーの光学的な収差を補正するための照明収差
    補正部材を前記照明系内に調整して設置する第1の工程
    と;理想格子点またそれに準じた点の各々に計測用マー
    クが形成されたテストレチクルを前記投影光学系の物体
    面に配置し、前記第1の工程によって補正された収差状
    態の照明エネルギーを前記テストレチクルに照射するこ
    とによって前記複数の計測用マークの各像を前記投影光
    学系の像面側に投影する第2の工程と;前記計測用マー
    クの各投影像に含まれるスタティックな像歪み量を計測
    し、そのスタティックな像歪み量に基づいて走査露光時
    に平均化されるダイナミックな像歪み量を非走査方向の
    所定の位置毎に決定する第3の工程と;前記ダイナミッ
    クな像歪み量のうちの少なくともランダムな成分が補正
    されるように加工された投影収差補正部材を前記投影光
    学系の物体面と像面との間に調整して設置する第4の工
    程とを含むことを特徴とする露光装置の調整方法。
  13. 【請求項13】 前記照明収差補正部材は、前記マス
    ク又はテストレチクルに照射される照明エネルギーの全
    体的なテレセン誤差、局所的なテレセン誤差、及び前記
    投影光学系の視野内の位置に応じて変化する照明開口数
    の誤差の少なくとも1つの誤差による収差を補正するこ
    とを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記投影収差補正部材は、前記投影
    光学系による投影光路内の像面近傍に配置されて、前記
    第3の工程で計測されたスタティックな像歪み量に基づ
    いて特定されるアス収差特性、又は像面湾曲特性を補正
    するように表面を局所的に研磨加工したアス収差補正
    板、又は像面湾曲補正板を含むことを特徴とする請求項
    12に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記投影収差補正部材は、前記投影
    光学系による投影光路内の物体面近傍に配置されて、前
    記第3の工程で決定されたダイナミックな像歪み量に基
    づいて特定されるダイナミックなディストーション特性
    を補正するように表面を局所的に研磨加工した像歪み補
    正板を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  16. 【請求項16】 所定形状の照明領域内のマスクパタ
    ーンの像を感応性の基板上に投影するために複数のレン
    ズ素子から成る投影光学系を有し、前記照明領域に対し
    てマスクを所定方向に走査し、前記照明領域と共役な所
    定形状の投影領域に対して前記基板を所定方向に走査す
    ることによって、前記マスクのパターン像を前記基板上
    に走査露光する投影露光装置を用いた露光方法におい
    て、 走査方向及び非走査方向に配列されたマスク上の複数の
    計測マークの各投影像を前記投影光学系を介して感応性
    の基板上に走査露光する第1の工程と;前記計測マーク
    の投影像の感応性基板への露光結果に基づいて、理想格
    子点位置からの各ずれ量をダイナミックな収差誤差とし
    て計測する第2の工程と;該計測された収差誤差を各計
    測点の走査方向に並ぶ計測点について加算平均して平均
    的な収差誤差を算出する第3の工程と;該算出された平
    均的な収差誤差に基づいて加工された少なくとも1つの
    光学補正部材を前記投影光学系の物体面と像面との間の
    投影光路内に挿入する第4の工程と;前記光学補正部材
    を投影光路内に挿入した状態でマスクと感応性基板とを
    走査するで、感応性の基板上に投影されるパターン像に
    生じる得る前記平均的な収差誤差を補正して露光する第
    5の工程とを含むことを特徴とする露光方法。
  17. 【請求項17】 所定形状の照明領域内のマスクパタ
    ーンの像を感応性の基板上に投影するために複数のレン
    ズ素子から成る投影光学系を有し、前記照明領域に対し
    てマスクを所定方向に走査し、前記照明領域と共役な所
    定形状の投影領域に対して前記基板を所定方向に走査す
    ることによって、前記マスクのパターン像を前記基板上
    に走査露光する投影露光装置を用いた露光方法におい
    て、 走査方向及び非走査方向に配列されたマスク上の計測マ
    ークの各投影像を前記投影光学系を介して感応性の基板
    上に静止露光する第1の工程と;前記計測マークの投影
    像の感応性基板への露光結果に基づいて理想格子点位置
    からの各ずれ量を計測する第2の工程と;該計測された
    各ずれ量を各計測点の走査方向に並ぶ計測点について加
    算平均して平均ずれ量を算出する第3の工程と;該算出
    された平均ずれ量に基づいて加工された少なくとも1つ
    の光学補正部材を前記投影光学系の物体面と像面との間
    の投影光路内に挿入する第4の工程と;前記光学補正部
    材を投影光路内に挿入した状態でマスクと感応性基板と
    を走査することにより、感応性の基板上に投影されるパ
    ターン像に生じ得る前記平均ずれ量を補正して露光する
    第5の工程とを含むことを特徴とする露光方法。
  18. 【請求項18】 所定形状の照明領域内のマスクパタ
    ーンの像を感応性の基板上に投影するために複数のレン
    ズ素子から成る投影光学系を有し、前記照明領域に対し
    てマスクを所定方向に走査し、前記照明領域と共役な所
    定形状の投影領域に対して前記基板を所定方向に走査す
    ることによって、前記マスクのパターン像を前記基板上
    に走査露光する投影露光装置を用いた露光方法におい
    て、 マスク上で走査方向及び非走査方向に配列された複数の
    計測マークの各投影像を前記投影光学系の像面側で光電
    的に検出し、その検出結果に基づいて前記計測マークの
    投影像の理想格子点位置からの各ずれ量を計測する第1
    の工程と;前記複数の計測マークのうちで走査方向に並
    んだ計測マークの各々について前記第1の工程で計測さ
    れた各ずれ量を加算平均して平均ずれ量を算出する第2
    の工程と;該算出された平均ずれ量に基づいて加工され
    た少なくとも1つの光学補正部材を前記投影光学系の物
    体面と像面との間の投影光路内に挿入する第3の工程
    と;前記光学補正部材を投影光路内に挿入した状態でマ
    スクと感応性基板とを走査することにより、感応性の基
    板上に投影されるパターン像に生じ得る前記平均ずれ量
    を補正して露光する第4の工程とを含むことを特徴とす
    る露光方法。
  19. 【請求項19】 前記第1の工程は、前記投影露光装
    置内で前記感応性の基板を保持して移動可能な基板ステ
    ージの一部に取り付けられて前記計測マークの投影像を
    受光する微小開口を備えた空間像検出器を使って実行す
    ることを特徴とする請求項第18項に記載の露光方法。
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