JPH1144949A - 感光性ペーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

感光性ペーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法

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JPH1144949A
JPH1144949A JP20039797A JP20039797A JPH1144949A JP H1144949 A JPH1144949 A JP H1144949A JP 20039797 A JP20039797 A JP 20039797A JP 20039797 A JP20039797 A JP 20039797A JP H1144949 A JPH1144949 A JP H1144949A
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JP
Japan
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photosensitive paste
photosensitive
weight
oxide
paste
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Application number
JP20039797A
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English (en)
Inventor
Takeshi Horiuchi
健 堀内
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Yuichiro Iguchi
雄一朗 井口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高アスペクト比かつ高精度のパターン加工を可
能にする感光性ペーストとそれを用いたプラズマディス
プレイパネルの製造方法を提供する。 【解決手段】無機微粒子と感光性化合物を含む有機成分
を必須成分とする感光性ペーストにおいて、該ペースト
を基板上に塗布・乾燥後、露光した塗布膜の最下部での
光硬化度を60%以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマディスプレ
イパネル、プラズマアドレス液晶ディスプレイパネルな
どの隔壁のパターン加工に用いられる、新規な感光性ペ
ーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネル
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、回路材料やディスプレイにおい
て、小型・高精細化が進んでおり、それに伴い、隔壁パ
ターン加工技術の向上が望まれている。特に、プラズマ
ディスプレイパネルにおいては、ガラスなどの無機材料
を高精度かつ高アスペクト比でパタ−ン加工することが
望まれている。
【0003】従来から無機材料に対する隔壁パターン加
工には、無機粉末と有機バインダからなるペーストによ
るスクリーン印刷が多く用いられている。しかしなが
ら、スクリーン印刷は精度の高い隔壁パターンが形成で
きないという欠点があった。
【0004】この問題を改良する方法として、特開平1
−296534号公報、特開平2−165538号公
報、特開平5−342992号公報には、感光性ペース
トを用いてフォトリソグラフィ技術で隔壁パターンを形
成する方法が提案されている。しかしながら、これらの
方法においては、感光性ペ−ストの感度や解像度が低い
ために高アスペクト比、高精細の隔壁が得られない。こ
のため、例えば80μmを越えるような厚いものをパタ
ーン加工する場合、加工工程(スクリ−ン印刷・露光・
現像)を複数回繰り返す必要があり、工程が長くなる欠
点があった。
【0005】また、特開平2−165538号公報に
は、感光性ペーストを転写紙上にコーティングした後、
転写フィルムをガラス基板上に転写して隔壁を形成する
方法が、特開平3−57138号公報には、フォトレジ
スト層の溝に誘電体ペーストを充填して隔壁を形成する
方法がそれぞれ提案されている。また特開平4−109
536号公報には、感光性有機フィルムを用いて隔壁を
形成する方法が提案されている。
【0006】しかしながら、これらの方法では、転写フ
ィルムやフォトレジスト層あるいは感光性有機フィルム
を必要とするために工程が増えるという問題点があり、
また、高精細度や高アスペクト比を有する隔壁を得るに
は至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の欠点を改良し、高アスペクト比かつ高精度の隔壁パ
タ−ン加工が可能な感光性ペーストおよびそれを用いた
プラズマディスプレイパネルの製造方法の提供をその目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、無機微粒子と感光性化合物を含む有機成分を必須成
分とする感光性ペ−ストにおいて、該ペーストを基板上
に塗布・乾燥後、露光した塗布膜の最下部での光硬化度
が60%以上であることを特徴とする感光性ペーストに
よって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の感光性ペーストは、無機
微粒子と感光性化合物を含む有機成分からなり、露光部
の感光性ペースト中の有機成分を光硬化し、隔壁パター
ン形成した後に焼成を行い、感光性ペースト中の有機成
分を除去し無機物の隔壁パターンを形成するものであ
る。
【0010】すなわち本発明の感光性ペーストは、光エ
ネルギーを吸収した部分の有機成分が光反応で硬化し現
像液不溶になるタイプであり、その硬化の程度は、所望
のパターン形状を示すパターンを得るためには重要な要
件である。硬化の程度が低いと現像の際に溶解したり、
膨潤したりして、パターン形状が不安定となり、隔壁を
形成するのに不都合なものとなってしまう。
【0011】本発明者らは、感光性ペーストの光硬化の
程度(光硬化度)がどの位になればストライプ状パター
ンの蛇行や倒れのない所望の隔壁パターンが得られるか
を検討した結果、基板上に塗布・乾燥後、露光した塗布
膜の最下部での光硬化度が60%以上であることが必要
なことを見出だしたものである。
【0012】本発明において光硬化度は、次の方法によ
り測定されたものを意味する。
【0013】すなわち、所望の厚さの感光性ペースト塗
布膜に対して、一定量の露光を与えた後、塗布膜を厚み
方向に6分割し、それぞれの薄膜について、テトラヒド
ロフランを溶媒として、反応した有機成分のテトラヒド
ロフラン不溶分の割合を測定し、これを光硬化度とす
る。従って塗布膜上部の薄膜ほど光硬化度は高くなり、
最下部の薄膜の光硬化度が一番低くなる。本発明におい
てはこの場合の最下部の薄膜の光硬化度が60%以上で
あることが、隔壁パターン形成を確実にするために必要
である。露光量は感光性ペーストの組成比、感光性成分
および開始剤、増感剤の種類、塗布膜の厚みにより変化
する。そのため、隔壁断面が矩形形状または台形形状に
なり、現像残りが発生しない範囲を選ぶのが好ましい。
塗布膜の厚みは、所望の隔壁の高さ如何により変化する
が、通常は80〜220μmの範囲で選定される。
【0014】本発明の感光性ペーストを用いたパターン
形成のための現像操作には、主として有機アルカリを用
いた水溶液が使用されるが、最下部での光硬化度が60
%未満であると、現像時にストライプ状で形成される隔
壁パターンが歪んだり、倒れたりする。光硬化度が80
%以上であることが好ましい。
【0015】感光性ペ−ストの塗布膜の光硬化を進める
には、感光性ペースト中の光重合開始剤や増感剤が吸収
する波長の光を照射する。したがって、塗布膜の最下部
の光硬化度を高めるだけならばより多くの光量を与えれ
ばよいと考えられるが、通常、ある値以上の照射をおこ
なっても、光硬化度が飽和してしまう。また、パターン
形成においては、過剰の光照射は種々の障害をもたら
す。さらに感光性ペーストは多くのガラス等の無機微粒
子成分を分散状態で含有するので、内部の光散乱は避け
難く、それが原因と考えられるパターン形状の太りやパ
ターン間の埋り(残膜形成)が発生しやすい。従って、
単に露光量を増やすような手段では、本発明の目的とす
る所望のパターン形状を実現することは困難である。
【0016】したがって、本発明の感光性ペーストは、
感光性ペーストの光硬化に必要な光を塗布膜の最下部ま
で問うかさせる必要があり、光線透過率の高い組成を有
し、活性光の有効活用を行うための役割を有する成分が
配合されていることが必要である。そして、このような
配合組成を有する感光性ペーストに対して、塗布膜の最
下部での光硬化度が60%以上、好ましくは80%以上
になるのに必要な最低の露光量を与えることが目的とす
る隔壁パターン形状を得るために望ましい。
【0017】このように形成された隔壁パターンを焼成
することにより、優れた隔壁性能を有するプラズマディ
スプレイパネルを製造することが可能になる。
【0018】以下、本発明の感光性ペーストの好ましい
組成について説明する。
【0019】本発明の感光性ペーストは、無機微粒子と
感光性化合物を含む有機成分を必須成分とするが、無機
微粒子としては、ガラス粉末やセラミックスが好まし
く、特に、ガラス粉末が好ましい。
【0020】感光性ペースト中の無機微粒子の含有率は
50〜90重量%、さらには、70〜90重量%である
ことが、焼成時の収縮率が小さく、焼成による形状変化
を小さくできる点で好ましい。
【0021】このように多量の無機微粒子を含む感光性
ペーストに光照射して、効率よく化学変化を起こさせる
ためには、光反応させるべき部分に十分な光エネルギー
が供給されるようにして、有機成分を十分に光硬化しな
ければならない。このためには、感光性ペーストの光線
透過率が高く、下部まで光を到達させることが必要であ
る。
【0022】光線透過率は、全光線透過率および直進透
過率で評価することができる。これらを高めることが、
高アスペクト比のパターン加工を行う上で有効な方法で
ある。 特に、全光線透過率(T1)と拡散透過率(T
2)の差を全光線透過率(T1)で除した値T3=(T
1−T2)/T1を直進透過率とした場合、直進透過率
T3が高いほど、高アスペクト比の優れた形状のパター
ン化が可能である。すなわち、感光性ペーストの内部を
できる限り直線的に透過する光の割合を高めることが重
要である。
【0023】全光線透過率を高くするためには、全光線
透過率が高い有機成分および無機微量糸を用いることが
有効である。また、直進透過率を高くするためには、感
光ペースト中で無機微粒子がより均一に分散しているこ
とが有効である。
【0024】特に無機微粒子に関しては、全光線透過率
が高いことに加え、微粒子内部の組成が均一で、気泡な
どの組成ムラが無いことも重要である。
【0025】また異なる成分の分散体の光線透過率を高
めるには、それぞれの成分の屈折率を一致させるか、近
似させることが好ましいことが知られている。このため
本発明の感光性ペーストにおいても、光線透過率を向上
させるために、無機微粒子の屈折率と有機成分の屈折率
をできるだけ近付けることが好ましい。これらの屈折率
は、全光線透過率を向上するのみでなく、直進透過率の
向上にも寄与し、本発明が目的とする高アスペクト比で
高精度のパターンを形成する感光性ペーストに対しては
重要な要件となる。
【0026】無機微粒子の屈折率は、その組成によって
制御でき、有機成分の屈折率も用いる感光性化合物の組
成によって制御することが可能である。したがって、両
者の屈折率を整合させることは可能であり、このような
観点で無機微粒子組成および感光性化合物を含む有機成
分の組成を選定することができる。
【0027】例えば、本発明の無機微粒子として好まし
いガラス粉末において、屈折率が1.5〜1.65であ
ることが、有機成分の屈折率に近似し感光性ペーストの
光線透過率が高くなり、塗布膜の下部まで光が到達し硬
化させる点で好ましい。
【0028】本発明における無機微粒子の屈折率測定
は、ベッケ法により行うことができる。測定する光の波
長は感光性ペーストを塗布した後に、露光する光の波長
で測定することが効果を確認する上で正確である。特
に、350〜650nmの範囲の波長で測定することが
好ましい。さらには、i線(365nm)もしくはg線
(436nm)での屈折率測定が好ましい。
【0029】プラズマディスプレイやプラズマアドレス
液晶ディスプレイの隔壁に用いる場合は、ガラス転移
点、軟化点の低いガラス基板上にパターンを形成するた
め、隔壁材質として、ガラス転移点が430〜500
℃、軟化点が470〜580℃のガラス材料を用いるこ
とが好ましい。ガラス転移点が500℃、軟化点が58
0℃より高いと、高温で焼成しなければならず、焼成の
際に基板に歪みが生じる。またガラス転移点が430
℃、軟化点が470℃より低い材料は緻密な隔壁層が得
られず、隔壁の剥がれ、断線、蛇行の原因となる。
【0030】ガラス転移点、軟化点の測定は次のように
するのが好ましい。示差熱分析(DTA)法を用いて、
ガラス試料100mgを20℃/分で空気中で加熱し、
横軸に温度、縦軸に熱量をプロットし、DTA曲線を描
く。DTA曲線により、ガラス転移点と軟化点を読みと
る。
【0031】さらに本発明において、好ましいガラス粉
末の構成組成として次のものが挙げられる。
【0032】 酸化リチウム : 3〜10重量% 酸化ケイ素 :10〜30重量% 酸化硼素 :20〜40重量% 酸化バリウム : 2〜15重量% 酸化アルミニウム :10〜25重量% ガラス粉末が酸化リチウムを3〜10重量%含有するも
のであると、軟化点、熱膨脹係数のコントロールが容易
になるだけでなく、ガラス粉末の屈折率を低くできるた
め、有機成分との屈折率差を小さくすることが容易にな
る。また感光性ペ−ストの安定性を向上させる点でも1
0重量%以下が好ましく、より好ましくは8重量%以下
である。
【0033】上記の組成において、酸化リチウムの代わ
りに、酸化ナトリウム、酸化カリウム等のアルカリ金属
酸化物を用いることも可能であるが、感光性ペーストの
安定性の点で酸化リチウムが好ましい。また、酸化カリ
ウムには比較的少量の添加でも屈折率の制御ができる利
点があることから、酸化リチウムと酸化カリウムを同時
に用いることも好ましい。その場合、両者の合計がガラ
ス粉末中3〜10重量%含有されることが好ましい。
【0034】ガラス粉末が酸化ケイ素を10〜30重量
%含有するものであると、隔壁の緻密性、強度や安定性
の点や、熱膨脹係数を所望の値とし、軟化点を低くし、
基板への焼き付けを容易にする点で好ましい。
【0035】ガラス粉末が酸化硼素を20〜40重量%
含有するものであると、隔壁の強度、ガラスの安定性の
点で好ましい。酸化硼素は、ガラス粉末を800〜12
00℃付近の温度で溶解させるため、さらに、酸化ケイ
素が多い場合でも電気絶縁性、強度、熱膨脹係数、隔壁
の緻密性などの電気、機械および熱的特性を損なうこと
ないように、焼き付け温度を540〜610℃の範囲に
制御するために配合されることが好ましい。
【0036】ガラス粉末が酸化バリウムを2〜15重量
%含有するものであると、感光性ペーストの焼き付け温
度および電気絶縁性の制御、隔壁の安定性や緻密性の点
で好ましい。
【0037】ガラス粉末が酸化アルミニウムを10〜2
5重量%含有するものであると、隔壁層の強度や、ガラ
スの耐熱温度の点、さらには緻密な隔壁が得られやすい
点で好ましい。なお酸化アルミニウムはガラス粉末の歪
み点を高めるためのものである。
【0038】本発明においては、ガラス粉末が前記した
金属酸化物に加え、さらに酸化亜鉛、酸化カルシウム、
酸化マグネシウムを含有することが好ましい。
【0039】ガラス粉末が酸化亜鉛を1.5〜10重量
%含有するものであると、隔壁の緻密性向上や、基板上
の焼き付け温度、絶縁抵抗を適度に保つ点で好ましい。
【0040】酸化カルシウムは、ガラスを溶融し易くす
るとともに熱膨脹係数を制御するもので、2〜10重量
%含有されることが好ましい。2重量%未満であると歪
み点が低くなる傾向がある。
【0041】酸化マグネシウムは、ガラスを溶融し易く
するとともに熱膨脹係数を制御するもので、1〜10重
量%含有されることが好ましい。10重量%を越えると
ガラスが失透する傾向がある。
【0042】加えてガラス粉末は、酸化チタン、酸化ジ
ルコニウムなどを含有してもよいが、その量は2重量%
未満であることが好ましい。特に酸化ジルコニウムはガ
ラスの軟化点、ガラス転移点および電気絶縁性を制御す
るのに効果がある。
【0043】例えば、金属酸化物成分の配合を酸化ケイ
素20重量%、酸化バリウム4重量%、酸化アルミニウ
ム24重量%、酸化硼素31重量%、酸化リチウム9重
量%、酸化マグネシウム6重量%、酸化カルシウム4重
量%および酸化ジルコニウム2重量%のものが挙げられ
る。該ガラス粉末の転移点は490℃、軟化点は528
℃であり、g線波長( 436nm)においての屈折率
は1.59と、本発明の無機微粒子として好ましい条件
を満足するものである。
【0044】前記ガラス粉末の粒子径は、作製しようと
する隔壁の線幅や高さを考慮して選ばれるが、50体積
%粒子径(平均粒子径D50)が1〜6μm 、最大粒
子径サイズが30μm 以下 、比表面積 1.5〜4m2
/gであることが好ましい。より好ましくは10体積%
粒子径(D10)0.4〜2μm、50体積%粒子径
(D50)1.5〜6μm、90体積%粒子径(D9
0)4〜15μm、最大粒子径サイズが25μm以下、
比表面積 1.5〜3.5m2/gを有していることが好
ましい。更に好ましくはD50が2〜3.5μm、比表
面積 1.5〜3m2/gである。
【0045】ここでD10、D50、D90は、それぞ
れ、粒径の小さいガラス粉末から累積していき、全量の
10体積%になった粒径をD10、同様に50体積%、
90体積%になった粒径をD50、D90と定義する。
【0046】上記のような粒度分布を持ったガラス粉末
を用いることにより、粉末の充填性が向上し、感光性ペ
ースト中の粉末比率を増加させても気泡を巻き込むこと
が少なくなり、余分な光散乱が小さいため、好ましい隔
壁パターンが形成できる。
【0047】ガラス粉末の作製法としては、例えば、原
料である酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウ
ム、酸化硼素、酸化バリウムおよび酸化亜鉛などを所定
の配合組成となるように混合し、900〜1200℃で
溶融後、急冷し、ガラスフリットにしてから粉砕して1
〜5μm の微細な粉末にする。原料は高純度の炭酸
塩、酸化物、水酸化物などを使用できる。また、ガラス
粉末の種類や組成によっては 99.99%以上の超高
純度なアルコキシドや有機金属の原料を使用し、ゾル・
ゲル法で均質化に作製した粉末を使用すると高電気抵抗
で緻密な気孔の少ない、高強度な絶縁層が得られ好まし
い。
【0048】本発明において感光性化合物を含む有機成
分とは、感光性ペースト中の無機成分を除いた部分であ
り、感光性ペースト中の5〜50重量部を占めることが
好ましい。
【0049】感光性化合物を含む有機成分は、感光性モ
ノマ、感光性オリゴマ、感光性ポリマのうち少なくとも
1種類から選ばれた感光性化合物およびバインダ、光重
合開始剤、紫外線吸光剤、増感剤、増感助剤、重合禁止
剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、
有機あるいは無機の沈殿防止剤などの添加剤成分を必要
に応じて加えたものである。
【0050】感光性モノマとしては、活性な炭素−炭素
2重結合を有する化合物が挙げられ、官能基としてビニ
ル基、アリル基、アクリレ−ト基、メタクリレート基、
アクリルアミド基を有する単官能および多官能化合物が
挙げられる。
【0051】本発明において、特に多官能アクリレート
化合物および/またはメタクリレート化合物を有機成分
中に10〜80重量%含有させたものが好ましい。多官
能アクリレート化合物および/またはメタクリレート化
合物としては、多様な種類の化合物が開発されているの
で、それらから反応性、屈折率などを考慮して選択する
ことが可能である。
【0052】また有機成分の屈折率は、感光性モノマの
屈折率により容易に制御できるので、感光性モノマの屈
折率は1.55〜1.8であることが好ましい。
【0053】このような高屈折率化の観点から、ベンゼ
ン環、ナフタレン環などの芳香環や硫黄原子を含有する
アクリレートモノマもしくはメタクリレートモノマを用
いることが好ましい。特に、光反応による硬化時の架橋
密度を高くし、パターン形成性を向上させる点で、多官
能アクリレートモノマもしくはメタクリレートモノマで
あることが有効である。
【0054】芳香環を含有するアクリレートモノマもし
くはメタクリレートモノマとして具体的には、ペンタエ
リスリトールのトリアクリレートまたはテトラアクリレ
ート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス
フェノールA−エチレンオキサイド付加物のジ(メタ)
アクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイ
ド付加物のジ(メタ)アクリレート、チオフェノール
(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メタ)
アクリレートまたはこれらの芳香環中の1〜5個の水素
原子を塩素または臭素原子に置換した化合物などが挙げ
られる。
【0055】また、硫黄原子を含有するアクリレートモ
ノマもしくはメタクリレートモノマとしては、チオール
(メタ)アクリレート基を有するモノマやフェニルスル
フィド構造を含有するモノマが挙げられる。これらの屈
折率を向上させる感光性モノマを複数を組み合わせても
よい。
【0056】その他、有機成分には、光反応で形成され
る硬化物の物性の向上や感光性ペーストの粘度の調整な
どの役割を果たすオリゴマまたはポリマが含有されてい
ることが好ましい。そのオリゴマまたはポリマとして
は、炭素−炭素2重結合を有する化合物から選ばれた成
分の重合体または共重合体等が挙げられる。
【0057】この時、共重合成分としては、不飽和カル
ボン酸などの不飽和酸が挙げられ、これにより感光後の
アルカリ水溶液による現像性を向上することができる。
不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フ
マル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などが挙げ
られる。
【0058】特に有機成分が、分子内にカルボキシル基
と不飽和2重結合を含有する重量平均分子量 500〜
10万のオリゴマもしくはポリマを10〜90重量%を
含有することが好ましい。
【0059】前記したポリマもしくはオリゴマは、現像
許容幅、未露光部の現像液に対する溶解性の点から、酸
価(AV)が50〜180、さらには70〜140であ
ることが好ましい。
【0060】また前記したポリマもしくはオリゴマに対
して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させるこ
とが、感光性ポリマや感光性オリゴマとすることがで
き、このましい。
【0061】光反応性基としては、エチレン性不飽和基
を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビ
ニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙
げられる。
【0062】このような側鎖をオリゴマやポリマに付加
させる方法としては、ポリマ中のメルカプト基、アミノ
基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基や
イソシアネ−ト基を有するエチレン性不飽和化合物やア
クリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはア
リルクロライドを付加反応させて作る方法が挙げられ
る。
【0063】グリシジル基を有するエチレン性不飽和化
合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グ
リシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル
酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロト
ン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエ
ーテルなどが挙げられる。
【0064】イソシアネート基を有するエチレン性不飽
和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネー
ト、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネートなどが
ある。
【0065】また、グリシジル基やイソシアネート基を
有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライ
ド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライド
は、ポリマ中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカル
ボキシル基に対して0.05〜1モル等量付加させるこ
とが好ましい。
【0066】さらに有機成分がバインダを含有する場
合、バインダとしては、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリ
ル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル
酸エステル共重合体、ブチルメタクリレート樹脂などが
挙げられる。このバインダの高屈折率化を行うことも、
有機成分の高屈折率化に効果的である。
【0067】なお無機微粒子および感光性化合物は、そ
れ自身では紫外線などの活性光線のエネルギーを吸収し
ないので、光反応を起こさない。このため感光性ペース
トに光反応を起こすためには、光エネルギーを吸収し、
感光性の官能基に反応を開始させるための光重合開始剤
や増感剤を有機成分に含有させる必要である。光重合開
始剤や増感剤は照射された光エネルギーを吸収して直接
に活性なラジカルを発生させたり、あるいは吸収したエ
ネルギーを転移させて反応を促進したりする作用を有す
る。これらの作用により、感光性ペースト中の有機成分
が反応し、光硬化が進行して、その部分が現像液に不溶
となって隔壁パターン形成が行われる。
【0068】感光性ペーストによる隔壁パターン形成
は、露光された部分の感光性成分(モノマ、オリゴマ、
ポリマ)を重合および架橋させて溶剤不溶性にすること
によるものであり、前記した好ましい感光性成分の官能
基はラジカル重合性であるため、その光重合開始剤はラ
ジカル種を発生するものから選ばれることが好ましい。
【0069】このような光重合開始剤の具体的な例とし
て、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、
4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,
4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−
ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチル
フェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、
2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキ
シ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブ
チルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メ
チルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−
イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサント
ン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメ
トキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチ
ルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノ
ン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアント
ラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベ
ンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロ
ン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス
(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−
ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘ
キサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−
(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニルプ
ロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシ
ム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−
エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル−[4−
(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プ
ロパノン、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリ
ンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリド
ン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニル
ジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフ
ェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、
トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよび
エオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアス
コルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み
合わせなどが挙げられる。
【0070】本発明においては、有機成分にこれらの光
重合開始剤が1種または2種以上組み合わせて含有され
ていればよく、光感度や露光部の残存率の点から、有機
成分中の感光性化合物に対し、0.05〜30重量%含
有されることが好ましい。
【0071】光重合開始剤に加え、増感剤が含まれてい
ると、感度を向上させたり、反応に有効な波長範囲を拡
大することができる点で好ましい。
【0072】増感剤の具体例としては、2,4−ジエチ
ルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,
3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタ
ノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シ
クロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベ
ンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラ−ケト
ン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、
4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビ
ス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシ
ンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリ
デンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビ
ニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジ
メチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾー
ル、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセ
トン、1,3−カルボニルビス(4−ジエチルアミノベ
ンザル)アセトン、3,3−カルボニルビス(7−ジエ
チルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタ
ノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−ト
リルジエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソ
アミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェ
ニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル
−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げ
られる。これらを1種または2種以上含有することがで
きる。なお、増感剤の中には前記した光重合開始剤とし
て挙げたものもあるが、いずれとしても使用可能なこと
を意味するものである。
【0073】増感剤は、有機成分中の感光性化合物に対
して0.05〜30重量%含有されることが、光感度を
向上させる効果および露光部の隔壁パターンの残存率の
点から好ましく、0.1〜30重量%がより好ましい。
【0074】さらに本発明の感光性ペーストは、紫外線
吸光剤を含有していることが好ましい。紫外光や可視光
の吸収効果が高い化合物を含有することによって、より
高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。
【0075】この時紫外線吸光剤としては有機染料から
なるもの、中でも 350〜450nmの波長範囲で高
い吸収係数を有するものが好ましい。具体的にはアゾ系
染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリ
ン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染
料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン
系染料、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。
有機染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成後の隔
壁中に残存しないので隔壁の絶縁特性の低下を少なくで
きるので好ましい。これらの中でも、アゾ系およびベン
ゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の含有量は無機
微粒子0.05〜1重量%であることが好ましい。
【0076】有機染料からなる紫外線吸収剤の添加方法
の一例を挙げると、有機染料を予め有機溶媒に溶解した
溶液を作製し、それを感光ペースト作製時に混練する方
法や、該有機溶媒中に無機微粒子を混合後、乾燥する方
法が挙げられる。この方法によって無機微粒子の個々の
粉末表面に有機染料膜をコートしたいわゆるカプセル状
の粉末が作製できる。これにより、無機微粒子の界面に
おける乱反射が抑制され、不要な光反応が阻止されるの
で、パターンの太りや残膜発生が防止されるものと推定
される。
【0077】感光性ペーストには、その他必要に応じ
て、保存時の熱安定性を向上させるための重合禁止剤、
アクリル系共重合体の酸化を防ぐための酸化防止剤、そ
の他の可塑剤などが含まれていてもよい。
【0078】本発明の感光性ペーストは、無機微粒子、
紫外線吸光剤、感光性化合物、光重合開始剤、増感剤、
および溶媒などの各種成分を所定の組成となるように調
合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し製造
することができる。
【0079】なお本発明の感光性ペーストは、基板に塗
布する時の粘度を塗布方法に応じて有機溶媒で調整して
用いることが好ましい。
【0080】有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケト
ン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロ
ペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアル
コール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシ
ド、γ−ブチルラクトン、ブロモベンゼン、クロロベン
ゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安
息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上
を含有する有機溶媒混合物が挙げられる。
【0081】本発明の感光性ペースト使用時の粘度は、
無機微粒子、増粘剤、可塑剤、沈殿防止剤および有機溶
媒など添加割合によって、2000〜20万cps(セ
ンチ・ポイズ)に適宜調整される。例えば、ガラス基板
への塗布をスピンコート法で行う場合は、2000〜5
000cpsが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布
して膜厚10〜20μm を得るには、5万〜20万c
psが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法
などを用いる場合は、1万〜5万cpsが好ましい。
【0082】次に本発明の感光性ペーストを用いたパタ
ーン加工方法について具体例を挙げて説明する。
【0083】ガラス基板やセラミックの基板上に、感光
性ペーストを全面塗布、もしくは部分的に塗布する。塗
布方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロ
ールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなど公
知の方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回
数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶこと
によって調整できる。
【0084】ここでペーストを基板上に塗布する場合、
基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理
を行うことが好ましい。表面処理液としては、シランカ
ップリング剤、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ト
リス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリ
ロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(2−アミ
ノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシランなど、あるいは有機金属例えば、有機チタ
ン、有機アルミニウム、有機ジルコニウムなどが挙げら
れる。
【0085】シランカップリング剤あるいは有機金属を
有機溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチル
アルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、
ブチルアルコールなどで0.1〜5重量%の濃度に希釈
したものを用いる。次にこの表面処理液をスピナーなど
で基板上に均一に塗布した後に80〜140℃で10〜
60分間乾燥することによって表面処理ができる。
【0086】感光性ペーストを塗布した後、露光装置を
用いて露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィで
行われるように、フォトマスクを介して露光する方法が
一般的である。また、フォトマスクを用いずに、レーザ
光などで直接描画する方法を用いてもよい。
【0087】露光装置としては、ステッパー露光機、プ
ロキシミティ露光機などを用いることができる。また、
大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に
感光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行
うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面
積を露光することができる。
【0088】この際使用される活性光源は、例えば、近
紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザ光などが挙げら
れる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源と
して例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、
ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのな
かでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚み
によって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の超
高圧水銀灯を用いて 20秒〜30分間露光を行うこと
が好ましい。
【0089】なお露光前に、塗布した感光性ペースト表
面に、さらに酸素遮断膜を設けることによってパターン
形状を向上することができる。酸素遮断膜の一例として
は、ポリビニルアルコールやセルロースなどの膜、ある
いは、ポリエステルなどのフィルムが挙げられる。
【0090】ポリビニルアルコール膜の形成は、濃度が
1〜3重量%の水溶液をスピナーなどの方法で基板上に
均一に塗布した後に、70〜90℃で10〜60分間乾
燥することによって水分を蒸発させて行うとよい。
【0091】ポリビニルアルコール膜等によって感度が
向上する理由は次のように推定されている。すなわち、
感光性成分が光反応する際に、空気中の酸素があると光
硬化の反応を妨害されるが、ポリビニルアルコール膜な
どがあると余分な酸素を遮断できるので露光時に感度が
向上すると考えられる。
【0092】ポリエステルやポリプロピレン、ポリエチ
レンなどの透明なフィルムを用いる場合は、感光性ペー
ストの塗布後、これらのフィルムを張り付けてとよい。
【0093】露光後、硬化された露光部分と未硬化の非
露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を
行うが、この場合、浸漬法やスプレー法、ブラシ法で行
う。現像液としては、感光性ペースト中の有機成分が溶
解可能である有機溶媒が用いられる。該有機溶媒にその
溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。
【0094】また感光性ペースト中にカルボキシル基な
どの酸性基をもつ化合物が存在する場合は、アルカリ水
溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては水酸化ナト
リウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム等の水溶液
が使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成
時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0095】有機アルカリとしては、一般的なアミン化
合物を用いることができる。具体的には、テトラメチル
アンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアン
モニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミンなどが挙げられる。
【0096】アルカリ水溶液の濃度が低すぎれば可溶部
が除去されず、高すぎればパターン部を剥離させ、また
非可溶部を腐食させるおそれがあるので、0.05〜5
重量%が好ましく、0.1〜1重量%がより好ましい。
また、現像温度は、20〜50℃であることが工程管理
上好ましい。現像後、さらに焼成炉にて焼成を行う。焼
成雰囲気や温度は、感光性ペーストや基板の種類によっ
て異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で40
0〜1000℃で焼成することが好ましい。特にガラス
基板上にパターン加工する場合は、 520〜 610℃
の温度で10〜60分間保持して焼成を行うとよい。焼
成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼
成炉を用いることができる。
【0097】特に、基板上に本発明の感光性ペーストを
塗布後、フォトマスクを介して露光を行い、光照射され
ていない部分を現像により溶出し、パターンを形成した
後、焼成により有機物を除去して隔壁を形成し、現像後
の隔壁パターン最下部の光硬化度が60%以上としてプ
ラズマディスプレイパネルを製造すると、高精度で、高
アスペクト比の隔壁を容易に得ることができる。
【0098】以下に、本発明を実施例により具体的に説
明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではな
い。また、実施例中の濃度(%)は重量%であり、各略
記号は以下の通りである。
【0099】X−4007:40%メタクリル酸、30
%メチルメタクリレート、30%スチレンからなる共重
合体のカルボキシル基に対して0.4当量のメタクリル
酸グリシジルを付加重合させた重量平均分子量43,0
00、酸価95の感光性ポリマ MGP400:下記の化学式で示される化合物
【化1】 GX:下記の化学式で示される化合物
【化2】 IC−369:Irgacure−369(チバ・ガイ
ギー製) 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフ
ォリノフェニル)ブタノン−1 IC−907:Irgacure−907(チバ・ガイ
ギー製) 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2
−モルフォリノプロパノン DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン スダンIV:アゾ系有機染料(東京化成工業(株)
製)、化学式C24204O、分子量380.45 TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート EPA:p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
【0100】
【実施例】
実施例1 ガラス微粒子として、酸化リチウム:9%、酸化ケイ
素:22%、酸化アルミニウム:23%、酸化硼素:3
3%、酸化バリウム:4%、酸化亜鉛:2%、酸化マグ
ネシウム:7%からなり、平均屈折率1.586、ガラ
ス転移点476℃、ガラス軟化点519℃、平均粒子径
2.6μm のものを用意し、該ガラス微粒子を、ガラ
ス微粒子に対して0.08%の紫外線吸光剤でコーティ
ング処理した。この時、紫外線吸光剤としてはスダンIV
を用いた。
【0101】前記ガラス微粒子70重量部に対し、有機
成分として、感光性ポリマ(X−4007):15重量
部、感光性モノマ(MGP400):15重量部、光重
合開始剤(IC−369):2.4重量部および増感剤
(DETX−S):2.4重量部を用意し、有機成分の
各成分を80℃に加熱しながら溶解した。有機成分の屈
折率は1.59であった。
【0102】その後、紫外線吸光剤をコート処理したガ
ラス微粒子を有機成分に添加し、混練機で混練するとい
う手順で、感光性ペーストを作成した。感光性ペースト
中のγ−ブチロラクトンの量を10〜40%とし粘度を
調整した。得られた感光性ペーストのg線波長領域での
直進透過率は74%である。
【0103】ガラス基板上に、スクリーン印刷により、
得られた感光性ペーストを均一に塗布した。塗布膜にピ
ンホールなどの発生を回避するために塗布、乾燥を数回
以上繰り返し行い、乾燥厚みが 180μm になるよう
に塗布した。途中の乾燥は80℃で10分間行った。そ
の後、80℃で40分乾燥した。
【0104】プラズマディスプレイ用の隔壁パタ−ン形
成を目的としたフォトマスク(ストライプ状パターン、
パターンピッチ 150μm 、線幅20μm )を介し
て露光を行う。露光は、30mW/cm2の出力の超高
圧水銀灯で1J/cm2の紫外線露光を行った。その
後、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.3重
量%水溶液をシャワーで120秒間かけることにより現
像し、その後シャワースプレイを用いて水洗浄し、光硬
化していないスペース部分を除去してガラス基板上にス
トライプ状の隔壁を形成した。
【0105】隔壁パターンの加工を終了したガラス基板
を80℃で15分乾燥した後、560℃で15分焼成し
隔壁を形成した。焼成により約30%程度の収縮が生じ
る。
【0106】この感光性ペースト塗布膜について露光・
現像を行って形成したパターンの形状を電子顕微鏡観察
したところ、高さ180μm、半値幅48μm、矩形形
状であった。塗布膜最下部の光硬化度を測定したとこ
ろ、87%であった。
【0107】焼成後、得られた隔壁は高さ130μm
、半値幅33μmである良好なものであり、高精度で
高アスペクト比の隔壁が得られた。
【0108】実施例2 有機成分の組成を感光性ポリマ(X−4007):10
重量部、感光性モノマ(GX):20重量部を主体と
し、それに光重合開始剤(IC-369):3重量部お
よび増感剤(DETX−S):1.8重量部にした以外
は、実施例1と同様に行った。これらの有機成分の屈折
率は1.58であり、感光性ペーストのg線での直進透
過率はそれぞれ81%であった。
【0109】得られたパターン断面形状は、高さ180
μm、半値幅45μmであり、矩形形状であった。塗布
膜の最下部の光硬化度を測定したところ、90%であっ
た。
【0110】焼成後に得られた隔壁について観察を行っ
たところ、高さ128μm、半値幅30μmであり、高
精度で高アスペクト比の隔壁が得られた。
【0111】比較例1 紫外線吸光剤の量をガラス微粒子に対し0.20%とし
たこと以外は、実施例1と同じ組成のガラス微粒子を用
い、それに組み合わせる有機成分としては次の組成を有
するものを用いた。感光性ポリマ(X−4007):4
6.7%、感光性モノマ(TMPTA):33%、光重
合開始剤(IC−907):10%、増感剤(DETX
−S):10%、増感助剤(EPA):1.1%。この
有機成分の乾燥膜の屈折率は1.55であった。ガラス
微粒子を85重量部、有機成分15重量部とし、実施例
1と同様に感光性ペーストの作成を行った。得られた感
光性ペ−ストのg線波長領域での直進透過率は50%以
下であった。
【0112】さらに実施例1と同様に感光性ペーストを
用いプラズディプレイ用の隔壁パターンを形成した。得
られたパターンの形状を電子顕微鏡で観察したところ、
パターンの側面に膨らみが生じていた。また塗布膜最下
部の光硬化度は55%で不十分なため、下部のサイドが
削り取られたような形状を示していた。
【0113】
【発明の効果】本発明の感光性ペーストは、無機微粒子
と感光性化合物を含む有機成分を必須成分とする感光性
ペーストにおいて、該ペーストを基板上に塗布・乾燥
後、露光した塗布膜の最下部での光硬化度が60%以上
であるため、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工
が可能になると共に、パターン形状が良好となり、焼成
後に形成される隔壁をより優れたものにすることができ
る。
【0114】これによって、ディスプレイ、回路材料な
どの厚膜、高精度のパターン加工が可能になり、精細性
の向上、工程の簡略化が可能になる。さらに、簡便に高
精度の隔壁を形成することができるので、効率的にプラ
ズマディスプレイパネルが製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 5/00 C09D 5/00 C 7/12 7/12 Z G03F 7/027 502 G03F 7/027 502 H01J 9/02 H01J 9/02 F

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機微粒子と感光性化合物を含む有機成分
    を必須成分とする感光性ペーストにおいて、該ペースト
    を基板上に塗布・乾燥後、露光した塗布膜の最下部での
    光硬化度が60%以上であることを特徴とする感光性ペ
    ースト。
  2. 【請求項2】無機微粒子が、平均屈折率1.5〜1.6
    5のガラス粉末であることを特徴とする請求項1記載の
    感光性ペースト。
  3. 【請求項3】ガラス粉末が、酸化リチウム、酸化ナトリ
    ウム、酸化カリウムのうち少なくとも1種類を3〜10
    重量%含むことを特徴とする請求項2記載の感光性ペー
    スト。
  4. 【請求項4】ガラス粉末が、酸化物換算表記で、 酸化リチウム : 3〜10重量% 酸化ケイ素 :10〜30重量% 酸化硼素 :20〜40重量% 酸化バリウム : 2〜15重量% 酸化アルミニウム:10〜25重量% で構成されることを特徴とする請求項2記載の感光性ペ
    ースト。
  5. 【請求項5】ガラス粉末のガラス転移点が430〜50
    0℃、軟化点が470〜580℃であることを特徴とす
    る請求項2〜4いずれか1項記載の感光性ペースト。
  6. 【請求項6】有機染料からなる紫外線吸光剤を、無機微
    粒子に対し0.05〜1重量%含むことを特徴とする請
    求項1〜5いずれか1項記載の感光性ペースト。
  7. 【請求項7】感光性化合物を含む有機成分が、感光性化
    合物として、多官能アクリレート化合物および/または
    メタクリレート化合物を10〜80重量%含むことを特
    徴とする請求項1〜6項いずれか1項記載の感光性ペー
    スト。
  8. 【請求項8】感光性化合物を含む有機成分が、分子内に
    カルボキシル基と不飽和2重結合を含有する重量平均分
    子量 500〜10万のオリゴマもしくはポリマを10
    〜90重量%含むことを特徴とする請求項1〜7いずれ
    か1項記載の感光性ペースト。
  9. 【請求項9】基板上に無機微粒子と感光性化合物を含む
    有機成分を必須成分とする感光性ペーストを塗布後、フ
    ォトマスクを介して露光を行い、未露光部分の感光性ペ
    ーストを現像により溶出し、隔壁パターンを形成した
    後、焼成により露光部の感光ペースト中の有機成分を除
    去して隔壁を形成する方法において、現像後の隔壁パタ
    ーン最下部の光硬化度が60%以上であることを特徴と
    する請求項1〜8項いずれか1項記載の感光性ペースト
    を用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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JP (1) JPH1144949A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000250204A (ja) * 1999-03-04 2000-09-14 Shin Etsu Chem Co Ltd フォトレジスト材料およびパターン形成方法

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