JPH1142611A - 木質ボードの製法 - Google Patents

木質ボードの製法

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JPH1142611A
JPH1142611A JP19991697A JP19991697A JPH1142611A JP H1142611 A JPH1142611 A JP H1142611A JP 19991697 A JP19991697 A JP 19991697A JP 19991697 A JP19991697 A JP 19991697A JP H1142611 A JPH1142611 A JP H1142611A
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wood
board
plasma treatment
mat body
binder
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JP19991697A
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Kenji Onishi
兼司 大西
Yuzo Okudaira
有三 奥平
Akira Sugawara
亮 菅原
Koji Sawada
康志 澤田
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)
  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度を低下させることなく、耐水性、耐湿性
に優れた改質された製品が得られる木質ボードの製法の
提供。 【解決手段】 木質要素片をボード状に形成してマット
体を得、このマット体を熱圧成形してボードを得る木質
ボードの製法において、木質要素片にバインダーを付着
させてマット体を形成し、このマット体を還元性ガスの
雰囲気で、常圧下でグロー放電することにより励起させ
たプラズマ中でプラズマ処理した後、熱圧成形を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は木質ボードの製法に
関し、より詳しくは、安価な木質粉、木質ファイバー、
木質チップ、木質単板などの木質要素片を利用したもの
でありながら、耐水性、耐湿性に優れる改質された木質
ボードの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、木質粉、ファイバー、木質チ
ップ、木質単板等の木質要素片で構成される木質ボード
は、通常、木質要素片にバインダーを添加し、熱プレス
することにより製造されている。一般に木質材は親水基
を有し、吸水性を持つため、耐水性、耐湿性が低く、寸
法安定性が劣るのが現状であり、木質ボードの耐水性、
耐湿性を改質したいという要求は多い。
【0003】そのため、木質ボードに塗料や表面処理剤
を塗布する方法や、樹脂を含浸する方法が一般に用いら
れている。しかしながら、このような方法によって得ら
れた木質ボードは、表面に塗膜層または樹脂層が形成さ
れるため、木質感がなくなるという欠点や重くなるとい
った問題がある。また、耐久性や耐候性にも問題があ
り、長時間の屋外使用や、水との接触においては、塗膜
剥離が生じるという欠点がある。
【0004】また、木材を化学的に処理することによ
り、耐水性、耐湿性を向上させる方法も試みられてい
る。つまり、この方法は木質材料表面の親水性を有する
水酸基を化学反応させることにより、耐水性、耐湿性を
改善するものであり、ホルマール化などの化学処理が代
表的に例示される。しかし、この場合、ホルムアルデヒ
ドなどの化学物質が木質ボードから遊離するなどの問題
がある。
【0005】また、別法として、特開平8−17451
7号公報には、プラズマ処理によって改質された木質ボ
ードを得る方法が記載されている。この方法では、木質
要素片をプラズマ処理して耐水性を向上させた後、ボー
ド状に形成してマット体を得、このマット体を熱圧成形
して木質ボードを得るようにしている。このようなプラ
ズマ処理によれば、化学的な処理よりも工程が簡略化さ
れるものであり、軽量で木質感にも優れ、有害な化学物
質の遊離もないという利点もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
プラズマ処理を行う従来例にあっては、木質ボードを成
形する前の木質要素片にプラズマ処理を施しているの
で、木質要素片の表面の親水基が還元されて疎水性に改
質されている。このため、木質要素片表面のバインダー
として用いられる接着剤に対する濡れ性が悪くなり、接
着性が阻害され、成形した木質ボードの強度が低下する
といった問題がある。
【0007】本発明は、以上のような問題点を解決する
ためになされたものであり、その目的は、強度を低下さ
せることなく、耐水性、耐湿性に優れた改質された製品
が得られる木質ボードの製法の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1記載の発明は、木質要素片をボード状に形成してマ
ット体を得、このマット体を熱圧成形してボードを得る
木質ボードの製法において、木質要素片にバインダーを
付着させてマット体を形成し、このマット体を還元性ガ
スの雰囲気で、常圧下でグロー放電することにより励起
させたプラズマ中でプラズマ処理した後、熱圧成形を行
うことを特徴として構成している。
【0009】以下、さらにこの発明を詳述する。以上に
述べた木質要素片としては、木質粉、木質ファイバー、
木質チップ、木質単板等を例示することができる。原料
とする木質要素片の樹種、形状、サイズ等については特
に限定しない。また、木材の代替材料として使用される
ケナフ、バガス、油やし、稲わら等の繊維質の生物材料
を木質要素片として使用しても良い。本発明に係る木質
ボードは、ファイバーボード、パーティクルボード、L
VL、合板等であり、原料の木質要素片、製造方法およ
び密度によってJIS で規定されている。たとばパーティ
クルボードはJIS A 5 908 、ファイバーボードの一種で
ある中質繊維板はJIS A 5906で規定されている。
【0010】また、木質要素片に塗布するバインダーの
種類およびその付着方法については特に限定しないが、
ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、イソシアネート系樹脂などを例示することがで
きる。また、バインダーの付着方法としては、木質要素
片を流動させた槽内に、バインダーをスプレーで塗布す
る方法等が一般的に行われる。
【0011】また、プラズマ処理に使用する還元性ガス
の種類としては、水素、アンモニア等が上げられ、特に
還元性の強い水素を使用することがより好ましい。
【0012】また、常圧下でのグロー放電による大気圧
プラズマ処理では、真空設備等が不要であり、木質材料
のように、内部に水分や精油成分等、真空中で揮発する
成分を大量に含んだ材料に対して、本方法は特に有効で
ある。プラズマ処理条件、すなわち周波数、印加電力、
処理時間などは所望の処理の程度により適宜設定され
る。
【0013】また、熱圧成形の方法としては、バッチ式
の平板プレスまたは連続プレス等を適宜選択して行うこ
とができる。
【0014】このような木質ボードの製法によれば、木
質ボードを乾式で成形するためのマット体に、還元性ガ
ス雰囲気中でのプラズマ処理を施すことにより、木質要
素片表面の親水基が還元され、木質要素片に疎水性が付
与される。つまり、還元性ガスのプラズマ中で生成した
水素のラジカルにより、表面の親水基が還元されるため
表面が疎水性になり、耐水性、耐湿性が向上するのであ
る。また、マット体の状態で疎水性が付与されるため、
成形された木質ボードにおける表面に位置する木質要素
片だけでなく、内部に位置する木質要素片にまで疎水性
を付与できるため、耐水性、耐湿性が向上する。
【0015】その上、あらかじめ木質要素片にバインダ
ーを塗布し、マット体を形成した後に、プラズマ処理に
より疎水性を付与するため、バインダーの濡れ性がプラ
ズマ処理によって阻害されることがない。このため、得
られる木質ボードの強度低下を引き起こすことなく、耐
水性、耐湿性が向上している。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、プラズマ処理したマット体にさらにバイン
ダーを付着させた後、熱圧成形を行うことを特徴として
構成している。
【0017】このような木質ボードの製法によれば、還
元性ガス雰囲気中でのプラズマ処理により、疎水性を付
与した後、さらにバインダーを塗布するため、このバイ
ンダーによって木質要素片間の接着がより確実に行わ
れ、強度低下を引き起こすことなく、耐水性、耐湿性が
向上している。
【0018】請求項3記載の発明は、請求項1または2
のいずれかに記載の発明において、酸化性ガスの雰囲気
で、常圧下でグロー放電することにより励起させたプラ
ズマ中で、木質要素片をプラズマ処理した後、この木質
要素片にバインダーを付着させてマット体を形成するこ
とを特徴として構成している。
【0019】上記の酸化性ガスの種類としては、空気、
酸素、二酸化炭素等が例示される。このような木質ボー
ドの製法によれば、木質要素片への酸化性ガスでのプラ
ズマ処理により、木質要素片に親水性が付与される結
果、バインダーの濡れ性が高まり、接着性が向上する。
【0020】つまり、プレス成形して得られる木質ボー
ドの強度には、バインダーとして用いられる接着剤の木
質要素片に対する濡れ性が大きく影響する。上記のよう
に、木質要素片とバインダーとの濡れ性が高まり、接着
性が向上することで、木質ボード強度を高めると同時
に、耐水性、耐湿性が向上した改質木質ボードが得られ
る。
【0021】また、木質要素片に含有されている油脂
分、抽出物等により、木質要素片表面へのバインダーの
濡れ性が悪い場合には、この発明のように酸化性ガス雰
囲気中でのプラズマ処理によってバインダーの濡れ性が
向上していることは、得られる木質ボードの強度向上に
特に有効である。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項1ないし3
のいずれかに記載の発明において、プラズマ処理する前
のマット体の含水率を木質要素片の繊維飽和点以下に調
整することを特徴として構成している。
【0023】なお、一般的な木質要素片の繊維飽和点で
の含水率は、通常約30%程度である。
【0024】このような木質ボードの製法によれば、マ
ット体の含水率がこの繊維飽和点である30%以上の場
合、木質要素片内部に自由水が存在するため、プラズマ
処理中に自由水が蒸発し、疎水性の付与に悪影響を及ぼ
す。しかし、バインダー塗布後のマット体含水率を30
%以下にすることで、プラズマ処理による疎水性付与が
安定して行われ、耐水性、耐湿性の向上がより確実にな
される。
【0025】請求項5記載の発明は、請求項1ないし4
のいずれかに記載の発明において、還元性ガスまたは酸
化性ガスに不活性ガスを混合し、この混合ガス雰囲気中
でプラズマ処理を施すことを特徴として構成している。
【0026】このような木質ボードの製法によれば、不
活性ガスの存在により、常圧下での放電が安定化し、均
一なグロー放電を生成する。その結果、木質要素片への
均一なプラズマ処理が可能となり、安定した耐水性およ
び耐湿性の付与がなされる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図1およ
び図2を参照して以下に説明する。
【0028】図1はこの実施の形態に係る木質ボードの
製法の工程を示す説明図であり、図2は同製法の一工程
であるプラズマ処理を行うプラズマ処理装置を示す構成
図である。
【0029】図1に示すように、この木質ボードの製法
では、まず木質要素片にバインダーを付着させ、この木
質要素片をボード状に形成してマット体Aを得ている。
そして、このマット体Aを還元性ガスの雰囲気で、常圧
下でグロー放電することにより励起させたプラズマ中で
プラズマ処理してマット体Bとし、このマット体Bを熱
圧成形することによって木質ボードを得ている。
【0030】以上の工程でマット体Bは還元性ガスのプ
ラズマ処理を経ているので、その内部まで木質要素片の
親水基が還元され、その内部の木質要素片にも疎水性が
付与される。したがって、熱圧成形によって得られる木
質ボードは耐水性、耐湿性が向上したものになってい
る。また、あらかじめ木質要素片にバインダーを付着さ
せているため、バインダーの濡れ性が後工程のプラズマ
処理によって阻害されることがないものになっている。
したがって、得られる木質ボードの強度低下を引き起こ
すことなく、耐水性、耐湿性が向上しているものであ
る。
【0031】図2を参照して、上記のプラズマ処理につ
いて以下に説明する。この図に示すように、処理槽
(5)内には、その上下に平行平板型電極(1)および
(2)が設置されており、下部電極(2)の上に固体誘
電体(3)が置かれている。処理槽(5)の高電圧導入
部と設置導出部には絶縁体(6)が設けられている。固
体誘電体(3)は下部電極(2)に代えて上部電極
(1)に設けられてもよく、上下の電極(1)(2)双
方に設けられてもよい。木質ボードを乾式で成形する過
程のマット体(4)を上下の電極(1)(2)の間に置
き、ガスを流通させながら、上部電極(1)に高周波電
源(7)より高電圧の交流電界を印加すると、上下の電
極(1)(2)の間でプラズマが発生し、木質ボードを
乾式で成形する過程のマット体(4)は、このプラズマ
の作用を受けて疎水性が付与される。
【0032】なお、以上の製法において、プラズマ処理
したマット体にさらにバインダーを付着させた後、熱圧
成形を行う方法も好ましい形態の一つである。また、酸
化性ガスの雰囲気で、常圧下でグロー放電することによ
り励起させたプラズマ中で、木質要素片を先にプラズマ
処理した後、この木質要素片にバインダーを付着させて
マット体を形成する方法も好ましい形態の一つである。
また、プラズマ処理する前のマット体の含水率を木質要
素片の繊維飽和点以下に調整する方法も好ましい形態の
一つである。また、還元性ガスまたは酸化性ガスに不活
性ガスを混合し、この混合ガス雰囲気中でプラズマ処理
を施す方法も好ましい方法の一つである。
【0033】
【実施例】以下、具体的な実施例と対応する比較例を上
げて、上記木質ボードの製法をより詳細に説明する。
【0034】(実施例1)木質要素片として、平均繊維
束径220μm、平均繊維束長5mmの針葉樹ファイバー
を選び、バインダーとしてフェノール系接着剤を10重
量部の割合で前記木質要素片にスプレーを用い添加して
付着させた。バインダー添加後のファイバーをマット体
に成形した後、プラズマ処理装置で還元性ガス雰囲気中
での大気圧プラズマ処理を施した。処理条件は以下に示
す通りである。 (1)使用ガス流量 還元性ガス 100sccm 不活性ガス 5000sccm (2)プラズマ処理条件 周波数 15kHz 印加電力 100W 処理時間 10分 処理圧力 1 気圧 還元性ガスとしては水素ガスを用い、不活性ガスとして
ヘリウムガスを用いた。プラズマ処理後のマット体に対
して、200℃、10分の熱プレスを行い、改質された
木質ボード(木質繊維板)を得た。なお、sccmはスタン
ダードsccm(25℃、1 気圧の時のcc/min)である。
【0035】(実施例2)木質要素片として、平均繊維
束径220μm、平均繊維束長5mmの針葉樹ファイバー
を用い、この木質要素片に酸化性ガス雰囲気中でプラズ
マ処理を施した後、バインダーとしてフェノール系接着
剤を10重量部の割合で添加した。
【0036】前記酸化性ガス雰囲気中でのプラズマ処理
条件は、反応ガスとして酸素ガスを用いる以外は、実施
例1と同条件とした。
【0037】バインダー添加後の木質要素片をマット体
に成形した後、プラズマ処理装置で実施例1と同じ還元
性ガス雰囲気中での大気圧プラズマ処理を施した。プラ
ズマ処理後のマット体に対して、200℃、10分の熱
プレスを行い、改質された木質ボードを得た。
【0038】(実施例3)バインダー添加後の木質要素
片をマット体に成形した後、このマット体の含水率を3
0%以下に調整する以外は実施例1と同様にして、還元
性ガス雰囲気中での大気圧プラズマ処理を施し、改質さ
れた木質ボードを得た。
【0039】(実施例4)木質要素片として、平均径1
5mmのラワン材チップを用い、バインダーとしてイソシ
アネート系接着剤を10重量部の割合で添加し、還元性
ガスとしてアンモニアガスを用いる以外は、実施例1と
同様にして改質された木質ボードを得た。
【0040】(実施例5)木質要素片として、平均繊維
束径220μm、平均繊維束長5mmの針葉樹ファイバー
を用い、この木質要素片に酸化性ガス雰囲気中でプラズ
マ処理を施した後、バインダーとしてフェノール系接着
剤を5重量部の割合で添加した。酸化性ガス雰囲気中で
のプラズマ処理条件は、実施例2と同条件とした。バイ
ンダー添加後の木質要素片をマット体に成形した後、プ
ラズマ処理装置で実施例2と同じ還元性ガス雰囲気中で
の大気圧プラズマ処理を施した。プラズマ処理後のマッ
ト体に対し、さらにバインダーとしてフェノール系接着
剤を5重量部の割合で添加した後、200℃、10分の
熱プレスを行い、改質された木質ボード(木質繊維板)
を得た。
【0041】(実施例6)木質要素片として、平均径1
5mmのラワン材チップを用い、バインダーとしてイソシ
アネート系接着剤を、還元性ガスとしてアンモニアガス
を用いる以外は、実施例5と同様にして改質木質ボード
を得た。
【0042】(比較例1)木質要素片として、平均繊維
束径220μm、平均繊維束長5mmの針葉樹ファイバー
を選び、バインダーとしてフェノール系接着剤を10重
量部の割合で前記木質要素片にスプレーを用いて添加
し、付着させた。バインダー添加後のファイバーをマッ
ト体に成形した後、プラズマ処理を施さずに、実施例1
と同様に、200℃、10分の熱プレスを行い、木質ボ
ードを得た。
【0043】(比較例2)木質要素片として、平均繊維
束径220μm、平均繊維束長5mmの針葉樹ファイバー
を選び、この木質要素片に対して、実施例1と同じ還元
性ガス雰囲気中での大気圧プラズマ処理を施した。プラ
ズマ処理後の木質要素片に、バインダーとしてフェノー
ル系接着剤を10重量部の割合でスプレーを用い添加
し、付着させた。バインダー添加後の木質要素片をマッ
ト体に成形した後、プラズマ処理を施さずに、実施例1
と同様に、200℃、10分の熱プレスを行い、木質ボ
ードを得た。
【0044】(比較例3)木質要素片として、平均径1
5mmのラワン材チップを用い、バインダーとしてイソシ
アネート系接着剤を用いる以外は、比較例1と同様にし
て木質ボードを得た。
【0045】(比較例4)木質要素片として、平均径1
5mmのラワン材チップを用い、この木質要素片にバイン
ダーとしてイソシアネート系接着剤を10重量部の割合
で添加し、付着させた。還元性ガスとしてアンモニアガ
スを用いる以外は、比較例1と同様にして改質木質ボー
ドを得た。
【0046】なお、以上の各実施例および比較例におけ
る熱プレスによる熱圧成形の際には、厚み調節用のディ
スタンスバーをプレス板の間に挟み込むことで、木質ボ
ード厚みが5mmになるようにした。
【0047】以上の各実施例で得られた改質された木質
ボードと、比較例における木質ボードとの物性比較評価
として、密度、吸水試験時の重量増加率、厚さ膨潤率お
よび曲げ強度を測定した。以下に、上記実施例および比
較例における処理条件を表1に、また得られた木質ボー
ドの物性評価の結果を表2に、それぞれ一覧表で示し
た。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】なお、吸水試験時の重量増加率および厚さ
膨潤率は、木質ボードを室温で2時間水中浸漬した後の
重量増加率および厚さ膨潤率であり、吸水試験時のサン
プルは50mm角とした。
【0051】ここで、重量増加率は以下の式に基づいて
算出した。 重量増加率(%)= 〔(W1ーW0)/W0〕×100 W0:試験前の木質ボードの重量(g) W1:試験後の木質ボードの重量(g) また、厚さ膨潤率については以下の式に基づいて算出し
た。
【0052】 厚さ膨潤率(%)= 〔(T1ーT0)/T0〕×100 T0:試験前の木質ボードの厚さ(mm) T1:試験後の木質ボードの厚さ(mm) また、曲げ強度については、木質ボード幅10mm、長さ
150mmの短冊状の試験片を、支持スパン100mmで、
3点曲げ試験を行い、破壊荷重から曲げ強度を求めた。
【0053】以上の表2に示されるように、実施例1、
実施例2、実施例3および実施例5のファイバーを木質
要素片とした改質木質ボードは、比較例1と比べて、重
量増加率および厚さ膨潤率が小さくなっている。同様
に、実施例4および実施例6のチップを木質要素片とし
た改質木質ボードは、比較例3と比べて、重量増加率お
よび厚さ膨潤率が小さくなっている。
【0054】また、実施例1と実施例3とを比較する
と、バインダー添加後にマット体の含水率を30%以下
に調整した実施例3の方が、重量増加率、厚さ膨潤率が
共に小さくなっており、含水率の調整によって、プラズ
マ処理による疎水性付与が安定したためだと考えられ
る。
【0055】また、従来のプラズマ処理方法である、比
較例2、比較例4の木質ボードの強度は、比較例1およ
び比較例3のプラズマ処理を施さないものに比べ、曲げ
強度が低下していることがわかる。これに対し、本発明
における実施例1ないし実施例6のいずれの実施例にお
いても、比較例1および比較例3のプラズマ処理を施さ
ないものと、ほぼ同等の曲げ強度が確認できた。
【0056】したがって、この発明の製法によれば、耐
水性、耐湿性が向上し、かつ曲げ強度の低下がほとんど
なく、改質された木質ボードが得られることが確認でき
た。
【0057】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る改質木質ボード
の製造方法によると、あらかじめ木質要素片にバインダ
ーを付着させてマット体を形成した後に、このマット体
に還元性ガス雰囲気中でのプラズマ処理を施すため、得
られる木質ボードの強度低下をおこすことがなくなって
いる。したがって、強度が十分に高く、耐水性、耐湿性
が向上した木質ボードが得られる。
【0058】本発明の請求項2に係る改質木質ボードの
製造方法によると、マット体を還元性ガス雰囲気中にお
いてプラズマ処理を施した後、さらにバインダーを塗布
し、熱圧成形するため、木質要素片どうしの接着がより
強くなり、より強度の高い木質ボードが得られる。
【0059】本発明の請求項3に係る改質木質ボードの
製造方法によると、マット体を形成する前の木質要素片
への酸化性ガスでのプラズマ処理により、木質要素片が
バインダーに塗れやすくなり、接着性がさらに向上す
る。このため、得られる木質ボードの強度がより向上す
る。
【0060】本発明の請求項4に係る改質木質ボードの
製造方法では、マット体の含水率が木質要素片の繊維飽
和点以下の含水率になっているので、還元性ガス雰囲気
中でのプラズマ処理においても、自由水が蒸発してプラ
ズマ処理に悪影響を与えることがなくなっている。した
がって、疎水性付与による、耐水性、耐湿性の向上が安
定して行われ、より耐水性、耐湿性の向上した木質ボー
ドが得られる。
【0061】本発明の請求項5に係る改質木質ボードの
製造方法によると、He、Ar等の不活性ガスの存在による
均一なグロー放電の結果、木質要素片への均一なプラズ
マ処理が可能となり、耐水性、耐湿性が高い均一な性能
の木質ボードが安定して得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る木質ボードの製法の
工程を示す説明図である。
【図2】同上の製法の一工程であるプラズマ処理を行う
プラズマ処理装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 上部電極 2 下部電極 3 固体誘電体 4 マット体 5 処理槽 6 絶縁体 7 高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澤田 康志 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木質要素片をボード状に形成してマット
    体を得、このマット体を熱圧成形してボードを得る木質
    ボードの製法において、木質要素片にバインダーを付着
    させてマット体を形成し、このマット体を還元性ガスの
    雰囲気で、常圧下でグロー放電することにより励起させ
    たプラズマ中でプラズマ処理した後、熱圧成形を行うこ
    とを特徴とする木質ボードの製法。
  2. 【請求項2】 プラズマ処理したマット体にさらにバイ
    ンダーを付着させた後、熱圧成形を行うことを特徴とす
    る請求項1記載の木質ボードの製法。
  3. 【請求項3】 酸化性ガスの雰囲気で、常圧下でグロー
    放電することにより励起させたプラズマ中で、木質要素
    片をプラズマ処理した後、この木質要素片にバインダー
    を付着させてマット体を形成することを特徴とする請求
    項1または2のいずれかに記載の木質ボードの製法。
  4. 【請求項4】 プラズマ処理する前のマット体の含水率
    を木質要素片の繊維飽和点以下に調整することを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれかに記載の木質ボードの
    製法。
  5. 【請求項5】 還元性ガスまたは酸化性ガスに不活性ガ
    スを混合し、この混合ガス雰囲気中でプラズマ処理を施
    すことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載
    の木質ボードの製法。
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