JPH1137596A - 化学ヒートポンプ - Google Patents

化学ヒートポンプ

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JPH1137596A
JPH1137596A JP19407697A JP19407697A JPH1137596A JP H1137596 A JPH1137596 A JP H1137596A JP 19407697 A JP19407697 A JP 19407697A JP 19407697 A JP19407697 A JP 19407697A JP H1137596 A JPH1137596 A JP H1137596A
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reactor
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refrigerant vapor
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Masayoshi Hiramatsu
正義 平松
Tomoko Kasuga
智子 春日
Michito Kanamori
道人 金森
Masanobu Katani
昌信 架谷
Hitoki Matsuda
仁樹 松田
Fujio Watanabe
藤雄 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも低温の熱源を利用して冷熱を発生
させることができる化学ヒートポンプを提供すること。 【解決手段】 反応器14と凝縮器16と蒸発器18と
の備え、それらの順に冷媒13を循環移動させて、再生
過程、冷凍過程を繰り返す構成の化学ヒートポンプ。冷
媒13が、廃熱などの熱エネルギーから生成する化学的
平衡圧力差と、気体輸送機で生成する機械的圧力差の2
つの圧力差により移送する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学反応を利用
し、高温熱源から熱を吸収し、低温の熱を生成する化学
ヒートポンプ(化学冷凍装置)、あるいは低温熱源から
熱を吸収し高温の熱を発生させる化学ヒートポンプに関
し、特に、廃熱としてほとんど捨てられていた60℃以
下の温熱を、再生過程における再生熱源としての有効利
用が可能な化学ヒートポンプに関する。
【0002】そして、本発明の化学ヒートポンプは、冷
凍・冷蔵庫・空気調和機などの冷凍機としてもちろん、
該ヒートポンプから発生する反応熱(吸収熱、吸着熱)
を、暖房、給湯、スチーム生成等の需要に応じた熱の供
給機器としての利用も期待できるものである。
【0003】
【従来の技術】
(1) 図1は、従来における化学ヒートポンプ(化学冷凍
装置)の一般的な構成を示す図である。
【0004】基本的には、反応媒体12が充填された反
応器14と、反応媒体12と化学結合(吸着)・脱離
(脱着)をする冷媒13が充填された凝縮器16と蒸発
器18とを備えた密閉系である。そして、反応器14は
反応媒体12を加熱・冷却する第1熱交換器20を備
え、凝縮器16は冷媒蒸気を凝縮する第2熱交換器22
を備え、また、蒸発器18は冷媒を蒸発させる第3熱交
換器30を備えている。反応器14と凝縮器16との
間、該蒸発器18と反応器14との間には、それぞれ第
1・2冷媒蒸気通路24、26が配されるとともに、該
蒸発器18と凝縮器16との間に冷媒通路28が形成さ
れ、反応器14→凝縮器16→蒸発器18→反応器14
と冷媒13が循環可能とされている。系内は脱気され真
空の状態にあり、循環する物質は冷媒、あるいは冷媒蒸
気のみである。
【0005】また、冷媒蒸気が反応器14から凝縮器1
6へ、及び、蒸発器18から反応器14へ、それぞれ交
互に移動するように、第1冷媒蒸気通路24には第1二
方向弁32が、第2冷媒蒸気通路26には第2二方向弁
34が、それぞれ配されている。これらの弁は、通常、
電磁弁とされている。
【0006】(2) 冷凍機の運転態様を説明する。
【0007】シリカゲル(化学反応媒体:吸着剤)およ
び水(冷媒)により構成される吸着式の化学ヒートポン
プ(化学冷凍機)において、利用する熱源を高温側80
℃(再生熱源)、中温側30℃(冷却熱源)の2種類と
し、10℃(冷凍設定温度)の冷水を得る場合の運転を
例に採る。
【0008】以下の説明で、蒸気圧は特に断らない限
り、所定温度における水の飽和蒸気圧を意味する。
【0009】なお、図2は、シリカゲル/水系の関係湿
度(RH)と平衡吸着量(平衡結合量)との関係を示
し、RHが0〜略50%の間においては、 平衡吸着量≒0.25/50×RH… の略線形グラフとなる。
【0010】関係湿度(RH)は以下の式で定義され
るものである。
【0011】RH(%)={雰囲気温度(凝縮/蒸発温
度)における蒸気圧(kPa) }/{シリカゲル温度におけ
る蒸気圧(kPa) }×100… a)準備過程(運転開始) 運転開始は連続運転の待機中に吸着した水蒸気(量は条
件により異なる。)を脱着させるため、次の準備過程で
始まる。
【0012】第1冷媒蒸気通路24の第1二方向弁32
を開とするとともに、第2冷媒蒸気通路26の第2二方
向弁34を閉とする。即ち、反応器14と凝縮器16と
が連通し、蒸発器18と反応器14とが非連通となる。
【0013】そして、第1熱交換器20から80℃の熱
水(再生熱源)を反応器(シリカゲル)14に供給する
とともに、凝縮器16の第2熱交換器22には、30℃
の冷却水(冷却熱源)を供給する。
【0014】この準備過程においては、雰囲気温度30
℃、シリカゲル温度80℃であり各温度における蒸気圧
は、それぞれ4.24 kPa、47.4 kPaである。この
ため、再生過程のRHは、前記式から4.24/4
7.4×100≒9(%)となる。従って、図2から、
80℃の再生過程におけるシリカゲルの平衡吸着量は、
再生平衡点Aの0.05mL/gとなる。
【0015】従って、シリカゲルは、運転待機中に吸着
した余分の水蒸気を脱着する。この脱着した冷媒蒸気
は、第1冷媒蒸気通路24を通り凝縮器16に移動し、
凝縮器16内で凝縮熱を放出し液化する。凝縮熱は第2
熱交換器22を流れる温度30℃の冷却水(冷却熱源)
により取り除かれる。凝縮器16で凝縮した冷媒は、冷
媒通路28を通り蒸発器18に戻る。該準備過程を経た
後、シリカゲルは乾燥状態になり、水蒸気を吸着できる
状態となる。
【0016】b)冷凍過程 冷凍過程では、第1冷媒蒸気通路24の第1二方向弁3
2を閉とし、第2冷媒蒸気通路26の第2二方向弁34
を開とする。即ち、反応器14と凝縮器16とが非連通
となり、蒸発器18と反応器14とが連通となる。そし
て、第1熱交換器20の熱源を、80℃の熱水から30
℃の冷却水に切り替えて、30℃の冷却水(冷却熱源)
を反応器14に供給する。
【0017】同時に、図示しない電磁バルブ等を開とす
ることにより、第3熱交換器30に、冷熱負荷側で熱を
吸収して温度が上昇し冷凍機(蒸発器18)に戻ってく
る冷水(温度10〜15℃)を循環可能とする。反応器
(シリカゲル)14が30℃の冷却熱源で冷却され、雰
囲気温度が冷凍設定温度(例えば10℃)と同温度であ
り、各温度における蒸気圧は、それぞれ、4.24kPa
及び1.23kPa である。このため、冷凍過程のRH
は、前記式から1.23/4.24×100≒29
(%)となる。従って、冷凍過程では、シリカゲルは、
最大、図2の冷凍平衡点B点の平衡吸着量0.15mL
/gの水分を吸着して終了することになる。
【0018】このため、シリカゲルは、冷凍過程におい
て、準備過程の平衡吸着量0.05mLとの差分である
0.10mL/gの水蒸気を吸着することができる。
【0019】従って、水(冷媒)は蒸発して蒸発器18
から第2冷媒蒸気通路26を通り反応器14に移動し
て、シリカゲルに吸着される。このとき、蒸発器18に
おいては、水の蒸発潜熱による冷凍効果が得られ、第3
熱交換器30により温度の低下した冷水(10℃以下)
を冷熱負荷側に連続して循環供給することができる。
【0020】一方、反応器14では、水分の吸収に伴い
シリカゲルが発熱するため、第1熱交換器20から供給
される30℃の冷却水により、吸着熱を取り除く。
【0021】水分の吸収が進みシリカゲルに冷凍平衡点
Bの平衡吸着量(飽和点)0.15mL/g近くまで水
が吸着されると、蒸発は止まる。
【0022】c)再生過程 再生過程は準備過程と同様の条件で行われる。即ち、第
1冷媒蒸気通路24の第1二方向弁32を開とするとと
もに第2冷媒蒸気通路26の第2二方向弁34を閉とす
る。即ち、反応器14と凝縮器16とが連通し、蒸発器
18と反応器14とが非連通となる。
【0023】そして、第1熱交換器20から80℃の熱
水(再生熱源)を反応器(シリカゲル)12に供給する
とともに、凝縮器16の第2熱交換器22には、30℃
の冷却水(冷却源)を供給する。同時に、図示しない電
磁バルブ等を閉とすることにより、第3熱交換器30へ
の冷水の循環を停止させる。
【0024】再生過程においては、雰囲気温度30℃、
シリカゲル温度80℃であり各温度における蒸気圧は、
それぞれ4.24kPa 、47.4kPa である。このた
め、再生過程のRHは、前記式から4.24/47.
4×100≒9(%)となる。従って、図2から、80
℃の再生過程におけるシリカゲルの平衡吸着量は、再生
平衡点Aの0.05mL/gとなる。
【0025】従って、シリカゲルは、再生過程におい
て、冷凍過程の平衡吸着量0.15mLとの差分である
0.10mL/gの水蒸気を脱着することができる。
【0026】上記b)、c)の過程を繰り返すことによ
り、最大0.10mLの水を(脱離→凝縮)→(蒸発→
結合)の各過程を繰り返しながら循環移動させることに
より、ヒートポンプ(冷凍装置)を操作できる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の吸着式冷凍
装置では、シリカゲルの吸着平衡に基づくRH/水分吸
着量との平衡関係から、移送させる冷媒蒸気の量が熱源
の温度条件により決定されてしまう。コジェネレーショ
ンや燃料電池の廃熱などでよく報告されているように、
再生熱源の温度が安定して得られない場合は、移送でき
る冷媒(蒸気)の量が刻一刻と変化してしまい、冷熱出
力が不安定となる。
【0028】例えば、再生熱源として60℃(蒸気圧:
19.9 kPa)の熱源しか利用できない場合は、凝縮器
の冷却(凝縮)熱源が前述の如く30℃(蒸気圧:4.
24kPa)のとき、RHが4.24/19.9×100
≒21%であり、60℃の再生平衡点が図2のRH/平
衡吸着量関係線のC点に位置する。このため、循環移送
できる水蒸気の量は図2中のB−C間、即ち、0.05
mL/gとなり、80℃の場合0.1mL/gの半分と
なってしまう。冷凍能力もその分低下することになる。
【0029】また、再生熱源が50℃(蒸気圧:12.
3 kPa)の熱源では、冷却水を前述の如く30℃(蒸気
圧:4.24 kPa)とした場合、RHが4.24/1
2.3×100≒34%であり、50℃の再生平衡点が
図2のD点に位置する。このD点におけるシリカゲルの
水分吸着量は0.17mL/gであり、冷凍過程(蒸発
過程)における冷凍平衡点Bにおけるそれより高く、シ
リカゲルの再生ができないこととなる。
【0030】即ち、現状の技術では、50℃以下の熱源
と環境温度付近の30℃の冷却水を利用して冷凍効果を
得ることは不可能である。一方、廃熱の種類は、種々あ
るものの、そのほとんどが100℃以下であり、特に環
境温度付近から60℃程度までの温度範囲の廃熱を有効
に利用する技術の開発が強く求められているのが現状で
ある。
【0031】これら従来廃棄されてしまう温度域の熱エ
ネルギーを利用し、冷房用の冷風熱、あるいは工場にお
ける冷却水などを生成させることができれば、エネルギ
ーの総合的な利用効率は飛躍的に向上することが期待さ
れる。
【0032】本発明は、上記にかんがみて、従来よりも
低温の熱源を利用して冷熱を発生させることができる化
学ヒートポンプを提供することを目的とする。
【0033】本発明の他の目的は、従来の化学ヒートポ
ンプ(化学冷凍装置)の共通の課題であるコンパクト
化、高出力化の課題に対して、対応が容易となる化学ヒ
ートポンプを提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明の化学ヒートポン
プは、上記課題を、下記構成により解決するものであ
る。
【0035】反応媒体が充填された反応器と、反応媒体
と化学結合・脱離をする冷媒が封入された凝縮器と蒸発
器とを備えた密閉系であって、反応器は反応媒体を加熱
・冷却して冷媒をそれぞれ脱離・結合させる第1熱交換
器を備え、凝縮器は冷媒蒸気を凝縮させる第2熱交換器
を備え、反応器と凝縮器、及び、蒸発器と反応器との間
にはそれぞれ第1・第2冷媒蒸気通路が配されるととも
に、凝縮器と蒸発器との間には冷媒通路が配されて、反
応器→凝縮器→蒸発器→反応器と冷媒が循環可能とされ
ている構成の化学ヒートポンプにおいて、第1冷媒蒸気
通路に、気体輸送機が凝縮器方向に輸送方向を向けて配
されていることを特徴とする。
【0036】本発明は、上記構成において、更に、第2
冷媒蒸気通路に、気体輸送機を反応器方向に輸送方向を
向けて配してもよい。
【0037】
【発明の作用】本発明においては、上記構成を備えてい
るため、反応器で吐き出された冷媒蒸気は、気体輸送機
(ポンプ)によって吸引され、加圧(加速)された状態
で凝縮器に入り凝縮する。吸引により入り口側の圧力は
低下するため、平衡圧力の関係がずれ、より多くの冷媒
蒸気を吐き出させることができるようになる。
【0038】一方、二方向弁により冷媒蒸気通路を反応
器と凝縮器との間から、蒸発器から反応器との間に切り
替えた場合は、蒸発器で蒸発した冷媒蒸気は気体輸送機
により加圧された後、反応器に入り吸収される。
【0039】制御の利便な電気エネルギーを利用する気
体輸送機を併用することにより、冷媒蒸気の移送量の制
御が容易となり、安定した出力を生むことになる。ま
た、冷媒の負荷変動に対する制御性が高まる。
【0040】
【発明の実施の形態】図3に本発明の概略構成を示す。
既述例と同一部分については、同一図符号を付してそれ
らの説明の全部または一部を省略する。
【0041】(1) 前述の構成と同様、反応媒体12が充
填された反応器14と、反応媒体12と化学結合・脱離
をする冷媒13が充填された凝縮器16と蒸発器18と
を備えた密閉系である。そして、反応器14は反応媒体
12を加熱・冷却する第1熱交換器20を備え、凝縮器
16は冷媒蒸気を凝縮する第2熱交換器22を備え、ま
た、蒸発器18は冷媒を蒸発させる第3熱交換器30を
備えている。反応器12と凝縮器16との間、該蒸発器
18と反応器14との間には、それぞれ第1・2冷媒蒸
気通路(配管部)24、26が配されるとともに、該蒸
発器18と凝縮器16との間に冷媒通路(配管部)28
が形成され、反応器14→凝縮器16→蒸発器18→反
応器14と冷媒が循環可能とされている。
【0042】反応器14内に充填される反応媒体として
は、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、活性アルミナ等
の化学吸着剤、あるいは臭化リチウム、アンモニア、酸
化カルシウムなど化学反応物質が使用される。
【0043】凝縮器16及び蒸発器18には、水、アル
コール、フロン等の冷媒13が封入される。蒸発器18
は、冷水利用のための第3熱交換器30を備えている。
【0044】また、冷媒蒸気が反応器14から凝縮器1
6へ、及び、蒸発器18から反応器14へ、それぞれ交
互に移動するように、第1冷媒蒸気通路24には第1二
方向弁32が、第2冷媒蒸気通路26には第2ニ方向弁
34が、それぞれ配されている。
【0045】(2) 本実施形態では、上記化学ヒートポン
プ(化学冷凍装置)において、反応器14と凝縮器16
を連結する第1冷媒蒸気通路24において、気体輸送機
36が、凝縮器16側に輸送方向を向けて配されてい
る。
【0046】ここで気体輸送機とは、気体を強制的に輸
送する機構を備えたものをいい、圧縮ポンプ、真空ポン
プ、吸引ポンプ、送風機、ブロアー、加圧機、圧縮器な
どと称呼されているものを含む。
【0047】(3) 次に、上記実施形態の運転態様を説明
する。
【0048】シリカゲル(化学反応媒体:吸着剤)およ
び水(冷媒)により構成される吸着式の化学ヒートポン
プ(化学冷凍機)において、利用する熱源は、再生熱源
を80℃を60℃にした以外は同様である。即ち、中温
側30℃(冷却熱源)、冷凍設定温度10℃とする場合
の運転を例に採る。
【0049】a)準備過程(運転開始) 運転開始は連続運転の待機中に吸着した水蒸気(量は条
件により異なる)を脱着させるため、次の準備過程で始
まる。第1冷媒蒸気通路24の第1二方向弁32を開と
するとともに、第2冷媒蒸気通路26の第2二方向弁3
4を閉とする。即ち、反応器14と凝縮器16とが連通
し、蒸発器18と反応器14とが非連通となる。
【0050】そして、第1熱交換器20から60℃の熱
水(再生熱源)を反応器(シリカゲル)14に供給する
とともに、凝縮器16の第2熱交換器22には、30℃
の冷却水(冷却熱源)を供給する。
【0051】この準備過程においては、雰囲気温度30
℃、シリカゲル温度60℃であり各温度における蒸気圧
は、それぞれ4.24 kPa、19.9 kPaである。この
ため、準備過程のRHは、前記式から4.24/1
9.9×100≒21(%)となる。従って、図2か
ら、60℃の準備過程におけるシリカゲルの平衡吸着量
は、再生平衡点Cの0.1mL/gとなる。
【0052】このとき、シリカゲルは、余分の水蒸気を
脱着(脱離)することとなるが、気体輸送機(ポンプ)
36により反応器14側から凝縮器16側へ冷媒蒸気を
強制移動(吸引)することにより、さらに多くの冷媒蒸
気を反応器14から凝縮器16に送り込む。化学的平衡
圧力差に加えて、気体輸送機36で生成する機械的圧力
差の2つの圧力差により移送される結果となり、再生平
衡点が60℃のC点から、見かけ上80℃における再生
平衡点Aの近くへ移動する。
【0053】たとえば、差圧2.4 kPaを発生させる気
体輸送機(吸引ポンプ)36を設置することにより、凝
縮器16側で、見かけ上の蒸気圧が4.24−2.4=
1.84 kPaとなり、RHは、1.84/19.9×1
00≒9(%)となり、見かけ上の再生平衡点が図中の
A点近くに下がる。従って、60℃の再生熱源で、80
℃の再生熱源と同様、準備過程におけるシリカゲルの平
衡吸着量を0.05mL/gに低減させることが可能と
なる。この脱着した冷媒蒸気は、第1冷媒蒸気通路24
を通り凝縮器16に移動し、凝縮器16内で凝縮熱を放
出し液化する。凝縮熱は第2熱交換器22を流れる温度
30℃の冷却水(冷却熱源)により取り除かれる。凝縮
器16で凝縮した冷媒は、冷媒通路28を通り蒸発器1
8に戻る。該準備過程を経た後、シリカゲルは乾燥状態
になり、水蒸気を吸着する状態が整う。
【0054】b)冷凍過程 冷凍過程では、第1冷媒蒸気通路24の第1二方向弁3
2を閉とし、第2冷媒蒸気通路26の第2二方向弁34
を開とする。即ち、反応器14と凝縮器16とが非連通
となり、蒸発器18と反応器14とが連通となる。そし
て、第1熱交換器20の熱源を、80℃の熱水から30
℃の冷却水に切り替えて、30℃の冷却水(冷却熱源)
を反応器14に供給する。同時に、図示しない電磁バル
ブ等を開とすることにより、第3熱交換器30に、冷却
水から冷熱負荷側で熱を吸収して温度が上昇し、冷凍機
(蒸発器18)に戻ってくる冷水(温度10〜15℃)
を循環可能とする。反応器(シリカゲル)14が30℃
の冷却熱源で冷却され、雰囲気温度が冷凍設定温度(例
えば10℃)と同温度であり、各温度における蒸気圧
は、それぞれ、4.24kPa 及び1.23kPa である。
このため、冷凍過程のRHは、前記式から1.23/
4.24×100≒29(%)となる。従って、冷凍過
程では、シリカゲルは、最大、図2の冷凍平衡点Bの平
衡吸着量0.15mL/gの水分を吸着して終了するこ
とになる。
【0055】このため、シリカゲルは、冷凍過程におい
て、60℃の熱源で再生した場合も、80℃の熱源で再
生した場合と同様、準備過程の平衡吸着量0.05mL
との差分である0.10mL/gの水蒸気を吸着(結
合)することができる。
【0056】従って、水(冷媒)は蒸発して蒸発器18
から第2冷媒蒸気通路26を通り反応器14に移動し
て、シリカゲルに吸着される。このとき、蒸発器18に
おいては、水の蒸発潜熱による冷凍効果が得られ、第3
熱交換器30により温度の低下した冷水(10℃以下)
を冷熱負荷側に連続して循環供給することができる。
【0057】一方、反応器14では、水分の吸着に伴い
シリカゲルが発熱するため、第1熱交換器20から供給
される30℃の冷却水により、吸着熱を取り除く。
【0058】水分の吸収が進みシリカゲルに冷凍平衡点
Bの平衡吸着量(飽和点)0.15mL/g近くまで水
が吸着されると、蒸発は止まる。
【0059】c)再生過程再生過程は準備過程と同様の
条件で行われる。第1冷媒蒸気通路24の第1二方向弁
32を開とするとともに第2冷媒蒸気通路26の第2二
方向弁34を閉とする。即ち、反応器14と凝縮器16
とが連通し、蒸発器18と反応器14とが非連通とな
る。
【0060】そして、第1熱交換器20から60℃の熱
水(再生熱源)を反応器(シリカゲル)14に供給する
とともに、凝縮器16の第2熱交換器22には、30℃
の冷却水(冷却源)を供給する。同時に、図示しない電
磁バルブ等を閉とすることにより、第3熱交換器30へ
の冷水の循環を停止させる。
【0061】再生過程においては、雰囲気温度30℃、
シリカゲル温度60℃であり各温度における蒸気圧は、
前述の如く、それぞれ4.24kPa 、19.9kPa であ
る。このため、再生過程のRHは、前記式から4.2
4/19.9×100≒21(%)となる。従って、図
2から、60℃の再生過程におけるシリカゲルの平衡吸
着量は、再生平衡点Cの0.10mL/gとなる。
【0062】このとき、シリカゲルは、余分の水蒸気を
脱着(脱離)することとなるが、気体輸送機(吸引ポン
プ)36により反応器14側から凝縮器16側へ冷媒蒸
気を強制移動(吸引)することにより、さらに多くの冷
媒蒸気を反応器14から凝縮器16に送り込む。
【0063】えば、前述の如く差圧2.4 kPaを発生
させる気体輸送機(吸引ポンプ)36を設置することに
より凝縮器16側で、見かけ上の蒸気圧が4.24−
2.4=1.84 kPaとなり、RHは、1.84/1
9.9×100≒9%となり、見かけ上の再生平衡点が
図中のA点近くに下がる。即ち、化学的平衡圧力差に加
えて、気体輸送機36で生成する機械的圧力差の2つの
圧力差により移送される結果となり、再生平衡点が60
℃のB点から、見かけ上80℃における再生平衡点Aの
近くへ移動する。
【0064】従って、60℃の再生熱源で、80℃の再
生熱源と同様、再生過程におけるシリカゲルの平衡吸着
量を0.05mL/gに低減させることが可能となる。
即ち、60℃の再生熱源では、0.05mLの水分(水
蒸気)しか循環させることができなかったが、気体輸送
機を冷媒蒸気通路に組み込むことにより、80℃の再生
熱源を使用した場合と同様、冷凍過程の平衡吸着量0.
15mLとの差分である0.10mL/gの水蒸気を脱
着することができる。
【0065】この脱着した冷媒蒸気は、第1冷媒蒸気通
路24を通り凝縮器16に移動し、凝縮器16内で凝縮
熱を放出し液化する。凝縮熱は第2熱交換器22を流れ
る温度30℃の冷却水(冷却熱源)により取り除かれ
る。
【0066】上記b)、c)の過程を繰り返すことによ
り、最大0.10mL/gの水を(脱離→凝縮)→(蒸
発→結合)の各過程を繰り返しながら循環移動させるこ
とによりヒートポンプ(冷凍装置)を操作できる。
【0067】上記実施態様において、気体輸送機36
を、反応器14と凝縮器16との間の第1冷媒蒸気通路
24に加えて、蒸発器18と反応器14との間の第2冷
媒蒸気通路26に設けて、更に、冷凍能力を増大させる
ことも可能である。
【0068】この場合は、図4に示す如く、第1・第2
三方向電磁弁32A、34Aを用いて一台の気体輸送機
36を、再生過程(1) 及び、冷凍過程(2) の双方に兼用
できるようにすることが望ましい。
【0069】ここで、例えば、反応器14側の第1熱交
換器20に温度30℃(蒸気圧:4.24 kPa)の冷却
水を供給して、シリカゲルを30℃まで冷却する。蒸発
器の温度を10℃(蒸気圧:1.23 kPa)に設定した
する。
【0070】この温度条件で、気体輸送機36で差圧
2.4 kPaを発生させた場合、30℃における見かけ上
の蒸気圧が4.24−2.4=1.84 kPaとなり、R
Hは、1.23/1.84≒66(%)となり、見かけ
上の冷却平衡点が図2の枠の外に位置し、このときの吸
着平衡量は約0.3mL/gであり、再生平衡点Aの吸
着平衡量0.05mL/gとの差分である0.25mL
/gの水分(水蒸気)を循環させることができるように
なり、格段に冷凍能力を増大させることができる。
【0071】
【発明の効果】本発明の化学ヒートポンプは、上記のよ
うな構成により、下記のような効果を奏する。
【0072】より低温の熱源により、従来と同様、ある
いは気体輸送機による冷媒蒸気移送の加速効果により、
従来以上の再生能力を得ることができる。
【0073】一方、冷媒を蒸発させる冷凍過程におい
て、気体輸送機による吸引、加圧機能を付加させた場合
は、同じ量の化学反応媒体(吸着剤)により得られる蒸
発潜熱の量が多くなることになる。
【0074】即ち、化学ヒートポンプの冷媒蒸気の移送
手段として、化学的平衡圧力差と機械的圧力差を併用さ
せて、反応物質の単位重量あたりに循環させることので
きる冷媒蒸気を増大させることができるため、従来より
も装置のコンパクト化が可能となる。
【0075】本発明のヒートポンプにより、従来の化学
冷凍装置では稼働しない温度レベルでの廃熱の有効利用
が可能になり熱エネルギーの利用効率を向上させるシス
テムが提供できる。従って、熱エネルギーの利用量の伸
びを低減でき、ひいては炭酸ガスの排出を抑制すること
が期待できる。
【0076】また、本発明の化学ヒートポンプは、シリ
カゲル/水で構成される冷凍装置をはじめとし、臭化リ
チウム/水で構成される吸収ヒートポンプ、あるいは吸
収冷凍機、酸化カルシウム/水、酸化カルシウム/炭酸
ガスで構成される化学ヒートポンプなどあらゆる化学冷
凍装置に適用できる。
【0077】更に、太陽熱集熱機器を備えた熱エネルギ
ー供給システムに、本発明により提供される化学ヒート
ポンプ(化学冷凍装置)を適用させることにより、太陽
エネルギーを利用する冷房、冷却装置が構成でき、冷熱
・温熱の双方を提供するエネルギーシステムを構築でき
る。
【0078】なお、蒸発器と反応器との間の第2冷媒蒸
気通路に気体輸送機(加圧機・ポンプ)を配して、冷却
過程(蒸発過程)で機械的加圧を行う技術を開示した公
知文献がある(特開平4−316965・6−7449
7号)。
【0079】しかし、これらの技術では、本願発明の如
く、従来より低いレベルの廃熱を再生熱源として利用は
できない。即ち、本願発明では、少なくとも、反応器と
蒸発器との間の第1冷媒蒸気通路に気体輸送機を配し
て、再生過程で機械的加圧を行うことにより、初めて、
従来より低い温度レベルの廃熱を再生熱源として利用可
能となるものである。従って、上記公知文献が本願発明
を開示は勿論、示唆してているとは認められない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の化学ヒートポンプ(化学冷凍装置)を示
すシステム図である。
【図2】シリカゲルの関係湿度/水平衡吸着量関係線図
である。
【図3】本発明の化学ヒートポンプの一態様を示すシス
テム図である。
【図4】同じく他の態様における配管図である。
【符号の説明】
12 反応媒体(吸着剤:シリカゲル) 13 冷媒(水) 14 反応器 16 凝縮器 18 蒸発器 20 第1熱交換器 22 第2熱交換器 24 第1冷媒蒸気通路 26 第2冷媒蒸気通路 28 冷媒通路 36 気体輸送機(吸引ポンプ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金森 道人 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社技術開発本部電気 利用技術研究所内 (72)発明者 架谷 昌信 愛知県名古屋市守山区下志段味穴ガ洞2271 の334 (72)発明者 松田 仁樹 愛知県名古屋市天白区一本松1丁目602番 地 (72)発明者 渡辺 藤雄 愛知県尾張旭市新居町上の田2897の6

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応媒体が充填された反応器と、前記反
    応媒体と化学結合・離脱をする冷媒が封入された凝縮器
    と蒸発器とを備えた密閉系であって、前記反応器は前記
    反応媒体を加熱・冷却して冷媒をそれぞれ離脱・結合さ
    せる第1熱交換器を備え、前記凝縮器は冷媒蒸気を凝縮
    させる第2熱交換器を備え、前記反応器と前記凝縮器、
    及び、前記蒸発器と前記反応器との間にはそれぞれ第1
    ・第2冷媒蒸気通路が配されるとともに、前記凝縮器と
    前記蒸発器との間には冷媒通路が配されて、反応器→凝
    縮器→蒸発器→反応器と冷媒が循環可能とされている構
    成の化学ヒートポンプにおいて、 前記第1冷媒蒸気通路に、気体輸送機が凝縮器方向に輸
    送方向を向けて配されていることを特徴とする化学ヒー
    トポンプ。
  2. 【請求項2】 更に、前記第2冷媒蒸気通路に、気体輸
    送機が反応器方向に輸送方向を向けて配されていること
    を特徴とする請求項1記載の化学ヒートポンプ。
  3. 【請求項3】 前記反応媒体がシリカゲルであるととも
    に、前記冷媒が水であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の化学ヒートポンブ。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の化学ヒートポンプを用
    いて、 (1) 再生過程:前記反応器で第1熱交換器に再生熱源を
    供給するとともに、前記凝縮器で第2熱交換器に冷却熱
    源を供給して、前記反応媒体に結合している冷媒を脱離
    させるとともに、該脱離冷媒蒸気を凝縮させる。 (2) 冷凍過程:前記反応器で第1熱交換器に冷却熱源を
    供給し、反応媒体の化学平衡点を冷媒結合方向へ移動さ
    せることにより、前記反応媒体に冷媒を結合させるとと
    もに、前記蒸発器で冷媒を蒸発させる。 の各過程を繰り返す化学ヒートポンプの操作方法におい
    て、前記再生過程で前記気体輸送機により冷媒蒸気に前
    記反応器と前記凝縮器との間に機械的圧力差を発生させ
    て、平衡冷媒蒸気結合量を再生熱源の温度におけるもの
    より見かけ上減少させることを特徴とする化学ヒートポ
    ンプの操作方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の化学ヒートポンプを用
    いて、 (1) 再生過程:前記反応器で第1熱交換器に再生熱源を
    供給するとともに、前記凝縮器で第2熱交換器に冷却熱
    源を供給して、前記反応媒体に結合している冷媒を脱離
    させるとともに、該脱離冷媒蒸気を凝縮させる。 (2) 冷凍過程:前記反応器で第1熱交換器に冷却熱源を
    供給し、反応媒体の化学平衡点を冷媒結合方向へ移動さ
    せることにより、前記反応媒体に冷媒を結合させるとと
    もに、前記蒸発器で冷媒を蒸発させる。 の各過程を繰り返す化学ヒートポンプの操作方法におい
    て、 前記再生過程で前記気体輸送機により冷媒蒸気に前記反
    応器と前記凝縮器との間に機械的圧力差を発生させて、
    平衡冷媒蒸気結合量を再生熱源の温度におけるものより
    見かけ上減少させ、 更に、前記冷却過程で前記第2冷媒蒸気通路に配された
    前記気体輸送機により、冷媒蒸気に前記蒸発器と前記反
    応器との間に機械的圧力差を発生させて、平衡冷媒蒸気
    結合量を冷却熱源の温度におけるものより見かけ上増大
    させることを特徴とする化学ヒートポンプの操作方法。
  6. 【請求項6】 前記反応媒体がシリカゲルであるととも
    に、前記冷媒が水であることを特徴とする請求項4又は
    5記載の化学ヒートポンプの操作方法。
  7. 【請求項7】 反応器と凝縮器と蒸発器とを備え、それ
    らの順に冷媒を循環移動させて、再生過程、冷凍過程を
    繰り返す構成の化学ヒートポンプにおいて、 前記冷媒が、廃熱などの熱エネルギーから生成する化学
    的平衡圧力差と、気体輸送機で生成する機械的圧力差の
    2つの圧力差により移送されることを特徴とする化学ヒ
    ートポンプ。
  8. 【請求項8】 熱エネルギーの温度レベルにより一義的
    に決定されてしまう化学的平衡関係に、動力で得られる
    二次的な圧力差を付加させることによって化学的平衡を
    操作し、より低温の熱源を利用して冷熱を発生させるこ
    とができることを特徴とする化学ヒートポンプ。
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