JPH1136943A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置

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JPH1136943A
JPH1136943A JP19564997A JP19564997A JPH1136943A JP H1136943 A JPH1136943 A JP H1136943A JP 19564997 A JP19564997 A JP 19564997A JP 19564997 A JP19564997 A JP 19564997A JP H1136943 A JPH1136943 A JP H1136943A
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気圧やコンプレッション圧力等の始動条件
が異なっても始動時の燃料噴射量が過剰となることがな
いようにする。 【解決手段】 充填効率が100%のときのシリンダ空
気量Ga0を演算手段21が演算し、このシリンダ空気
量を燃料噴射量単位に換算した値TP100をシリンダ
空気量相当の燃料噴射量TPとして設定手段23が設定
し、始動時かつ回転数の読み込みが不可能であるときに
この設定した噴射量の燃料を供給手段25が供給するこ
とで、従来装置の場合より、TPエラーを小さくするこ
とができる。ただし、平地大気圧状態に対する充填効率
が100%のときのシリンダ空気量を高地始動時にも用
いたのでは、大きなTPエラーが生じるのであるが、高
地始動時にTPエラーがほぼ安定するまでの時間が約1
秒であることを考えると、始動時噴射量全体に対して殆
ど影響することはない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はエンジンの空燃比
制御装置、特に始動時の燃料噴射量を制御するものに関
する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの始動時(クランキング時)の
燃料噴射量を始動時水温に応じて演算するもの(特開昭
58−25533号公報参照)、エンジン始動時の燃料
噴射量の初期値を始動時吸気温に応じて与えるととも
に、エンジン始動時の燃料噴射量をその初期値から始動
後時間とともに徐々に減少させるようにしたもの(特開
昭59−168231号公報参照)、エンジン始動時の
燃料噴射量を回転数により補正するもの(特開平3−2
25046号公報参照)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特に低温始
動時においては、吸気ポートの壁温、吸気バルブ温度、
シリンダ壁温等がエンジン暖機後の平衡温度まで十分に
上昇しておらず(燃料の気化がしにくく)空気との混合
状態が悪いため、始動時の燃料噴射量を多めに設定して
あることが多い。燃料性状の違いすなわち重質燃料の気
化の悪さや燃料噴射弁やエアフローメータの部品バラツ
キ等も考慮するときは、始動時の燃料噴射量をさらに多
めで設定している。このように始動時の燃料噴射量をも
ともと多めで設定している事情は、始動時の燃料噴射量
を始動時水温や始動時吸気温に応じて設定する上記の従
来装置においても変わらない。
【0004】しかしながら、上記の従来装置では、シリ
ンダに流入する空気量(以下、単にシリンダ空気量とい
う)に影響を与える大気圧やコンプレッション圧力等の
始動条件が異なっても同じ量の燃料噴射量しか設定され
ないため、始動時の空燃比が過剰にリッチとなることが
ある。たとえば、始動時水温や始動時吸気温に応じた始
動時の燃料噴射量を平地(標高0m)の大気圧状態でマ
ッチングした場合に、高地(たとえば3000m)で始
動を行うときは、もともと多めの燃料噴射量に対して大
気圧の低下分だけシリンダ空気量が減少するので、始動
時の空燃比が理論空燃比(始動時の目標値)を大きく外
れて過剰にリッチとなってしまうのである。
【0005】一方、エンジンの過渡時(加減速時だけで
なく始動時や燃料リカバー時を含む)における空燃比の
目標値からのずれは、吸気マニホールドや吸気ポートに
付着し、液状のまま壁面を伝ってシリンダーへと流れ込
む、いわゆる壁流燃料の量的変化に起因するものであ
り、この壁流燃料による過不足分を過渡補正量KATH
OSとして燃料補正を行うものが提案されている(特開
平3−134237号公報参照)。
【0006】このものでは、付着倍率MFHTVOと分
量割合KMFとの2つの値を、エンジン負荷、エンジン
回転数およびエンジン温度に基づいて予め定めており、
そのときのエンジン負荷、エンジン回転数およびエンジ
ン温度(あるいは燃料付着部の温度予測値)に基づいて
付着倍率MFHTVOと分量割合KMFを求め、これら
から MFH=TP×MFHTVO …(31) ただし、TP:シリンダ空気量相当の燃料噴射パルス幅 の式により平衡付着量MFHを計算し、このMFHとK
MFおよび付着量MFを用いて VMF=(MFH−MF)×KMF …(32) の式で1サイクル当たり(一噴射当たり)の付着量(こ
れを付着速度という)VMFを求め、最終的に Ti=(TP×KBLRC+KATHOS)×α+Ts …(33) ただし、α:空燃比フィードバック補正係数 KBLRC:空燃比学習値 Ts:無効パルス幅 の式により同期燃料噴射パルス幅Tiを計算している。
【0007】ここで、(32)式のMFは1サイクル毎
(1噴射毎)に MF=MF-1Ref+VMF …(34) ただし、MF-1Ref:1噴射前(1サイクル前)のMF の式によりVMFの積算値としてサイクリックに求めら
れる値(予測変数である)のことで、MFHがステップ
的に変化するとき、このMFHに対して一次遅れで応答
する。また、分量割合KMFはMFHとその時点での付
着量MFの差(MFH−MF)の燃料を燃料噴射量の補
正にどの程度反映させるのかを示す係数のことである。
【0008】さて、低温始動時には吸気ポートの壁面
(以下、単にポート壁面という)だけでなくシリンダ内
壁にも気化できない燃料が付着する。しかしながら、特
開平3−134237号公報の装置では、このシリンダ
内壁に付着する壁流燃料については全く考慮していない
ので、始動時の空燃比の理論空燃比への制御性に改善の
余地が残っている。
【0009】そこで本発明は、シリンダ空気量に基づい
て始動時の燃料噴射量を演算することにより、大気圧や
コンプレッション圧力等の始動条件が異なっても始動時
の燃料噴射量が過剰となることがないようにすることを
第1の目的とし、ポート壁面だけでなくシリンダ内壁に
も付着する壁流燃料を考慮して過渡補正量を演算するこ
とにより、空燃比の始動時の目標値への制御性を改善す
ることを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図21に
示すように、充填効率が100%のときのシリンダ空気
量Ga0を演算する手段21と、このシリンダ空気量を
燃料噴射量単位に換算する手段22と、この換算した値
TP100をシリンダ空気量相当の燃料噴射量TPとし
て設定する手段23と、始動時かつ回転数の読み込みが
不可能であるかどうかを判定する手段24と、この判定
結果より始動時かつ回転数の読み込みが不可能であると
きに前記設定した噴射量の燃料をシリンダまたはシリン
ダ近傍に供給する手段25とを設けた。
【0011】第2の発明では、第1の発明において前記
換算した値TP100が始動時水温TWINTに応じた
値(始動時水温が低くなるほど換算した値TP100が
大きくなる)である。
【0012】第3の発明は、図22に示すように、始動
時かつ回転数の読み込みが可能となったかどうかを判定
する手段31と、この判定結果より始動時かつ回転数の
読み込みが可能となったときこの読み込み可能となった
回転数と空気量検出手段により検出される吸入空気量G
aに基づいて基本噴射量TP0を演算する手段32と、
この基本噴射量TP0に対して平滑化を行う手段33
と、この平滑化した噴射量をシリンダ空気量相当の燃料
噴射量TPとして設定する手段34と、始動時かつ回転
数の読み込みが可能となったとき前記設定した噴射量の
燃料をシリンダまたはシリンダ近傍に供給する手段35
とを設けた。
【0013】第4の発明では、第3の発明において前記
平滑化係数DUMPをエンジン安定性から決まるシリン
ダ空気量相当の燃料噴射量TPの要求変動率から決定す
る。第5の発明では、第3または第4の発明において、
図23に示すように始動後になったかどうかを判定する
手段41と、この判定結果より始動後になったとき、こ
のときの回転数と空気量検出手段により検出される吸入
空気量Gaに基づいて基本噴射量TP0を演算する手段
42と、この基本噴射量TP0に対して加重平均を行う
手段43と、この加重平均した噴射量をシリンダ空気量
相当の燃料噴射量TPとして設定する手段44と、始動
後になったとき前記設定した噴射量の燃料をシリンダま
たはシリンダ近傍に供給する手段45とを設けた。
【0014】第6の発明では、第5の発明において前記
加重平均係数FLOADがエンジンの負荷と回転数に応
じた値である。
【0015】第7の発明は、図24に示すように、運転
条件に応じた基本噴射量を演算する手段51と、ポート
壁面およびシリンダ内壁に付着する壁流燃料に関する過
渡補正量KATHOSを演算する手段52と、この過渡
補正量KATHOSで前記基本噴射量を補正して燃料噴
射量を求める手段53と、この噴射量の燃料をエンジン
に供給する手段54とを設けた。
【0016】第8の発明では、第7の発明において図2
5に示すように、シリンダ壁面に付着する壁流燃料が存
在するときに前記過渡補正量を演算する手段が、少なく
ともエンジン温度に基づいてポート部平衡付着量MFH
を演算する手段61と、エンジン温度と始動後時間に基
づいてポート部分量割合KMFを演算する手段62と、
前記ポート部平衡付着量MFHとその時点でのポート部
付着量MFとの差(MFH−MF)を演算する手段63
と、少なくともエンジン温度に基づいてシリンダ内平衡
付着量MFCHを演算する手段64と、エンジン温度と
始動後時間に基づいてシリンダ内分量割合KMFCを演
算する手段65と、前記シリンダ内平衡付着量MFCH
とその時点でのシリンダ内付着量MFCとの差(MFC
H−MFC)を演算する手段66と、このシリンダ内付
着量差(MFCH−MFC)と前記シリンダ内分量割合
KMFCとに基づいてシリンダ内付着速度VMFC(た
とえばVMFC=(MFCH−MFC)×KMFC)を
演算する手段67と、燃料噴射に同期して今回噴射時の
前記シリンダ内付着速度VMFCを今回噴射前の前記シ
リンダ内付着量MFCに加算することによりシリンダ内
付着量MFCを更新する手段68と、前記ポート部付着
量差(MFH−MF)、前記ポート部分量割合KMF、
前記シリンダ内平衡付着量MFCHおよび前記シリンダ
内分量割合KMFCに基づいてポート部付着速度VMF
(たとえばVMF=(MFH−MF)×KMF−MFC
×KMFC×係数ABYOMA)を演算する手段69
と、燃料噴射に同期して今回噴射時の前記ポート部付着
速度VMFを今回噴射前の前記ポート部付着量MFに加
算することによりポート部付着量MFを更新する手段7
0と、前記ポート部付着速度VMF、前記シリンダ内付
着量MFCおよび前記シリンダ内分量割合KMFCに基
づいて過渡補正量KATHOS(たとえばKATHOS
=VMF−MFC×KMFC)を演算する手段71とか
らなる。
【0017】第9の発明では、第8の発明において始動
初回の燃料噴射時だけ始動初回の燃料噴射量と始動時水
温に基づいて前記シリンダ内付着速度VMFCおよび前
記ポート部付着速度VMFを演算する。
【0018】第10の発明では、第8の発明において前
回エンジン停止時の冷却水温に基づいて前記シリンダ内
付着量MFCおよび前記ポート部付着量MFの残存量を
推定し、その推定値を前記シリンダ内付着量MFCおよ
び前記ポート部付着量MFの初期値として設定する。
【0019】第11の発明では、第8から第10までの
いずれか一つの発明において図26に示すように、シリ
ンダ壁面に付着する壁流燃料が存在しなくなったときに
前記過渡補正量を演算する手段が、エンジン負荷、エン
ジン回転数および温度に基づいてポート部平衡付着量M
FHを演算する手段81と、エンジン負荷、エンジン回
転数および温度に基づいてポート部分量割合KMFを演
算する手段82と、前記ポート部平衡付着量MFHとそ
の時点でのポート部付着量MFとの差(MFH−MF)
を演算する手段83と、このポート部付着量差(MFH
−MF)と前記ポート部分量割合KMFとに基づいてポ
ート部付着速度VMF(たとえばVMF=(MFH−M
F)×KMF)を演算する手段84と、燃料噴射に同期
して今回噴射時の前記ポート部付着速度VMFを今回噴
射前の前記ポート部付着量MFに加算することによりポ
ート部付着量MFを更新する手段85と、前記ポート部
付着速度VMFを前記過渡補正量KATHOS(たとえ
ばKATHOS=VMF)として演算する手段86とか
らなる。
【0020】第12の発明では、第1から第6までのい
ずれか一つの発明においてポート壁面およびシリンダ壁
面に付着する壁流燃料に関する過渡補正量KATHOS
を演算する手段と、この過渡補正量KATHOSで前記
シリンダ空気量相当の燃料噴射量TPを補正する手段と
を設けた。
【0021】第13の発明では、第12の発明において
図25に示すように、シリンダ壁面に付着する壁流燃料
が存在するときに前記過渡補正量を演算する手段が、少
なくともエンジン温度に基づいてポート部平衡付着量M
FHを演算する手段61と、エンジン温度と始動後時間
に基づいてポート部分量割合KMFを演算する手段62
と、前記ポート部平衡付着量MFHとその時点でのポー
ト部付着量MFとの差(MFH−MF)を演算する手段
63と、少なくともエンジン温度に基づいてシリンダ内
平衡付着量MFCHを演算する手段64と、エンジン温
度と始動後時間に基づいてシリンダ内分量割合KMFC
を演算する手段65と、前記シリンダ内平衡付着量MF
CHとその時点でのシリンダ内付着量MFCとの差(M
FCH−MFC)を演算する手段66と、このシリンダ
内付着量差(MFCH−MFC)と前記シリンダ内分量
割合KMFCとに基づいてシリンダ内付着速度VMFC
(たとえばVMFC=(MFCH−MFC)×KMF
C)を演算する手段67と、燃料噴射に同期して今回噴
射時の前記シリンダ内付着速度VMFCを今回噴射前の
前記シリンダ内付着量MFCに加算することによりシリ
ンダ内付着量MFCを更新する手段68と、前記ポート
部付着量差(MFH−MF)、前記ポート部分量割合K
MF、前記シリンダ内平衡付着量MFCHおよび前記シ
リンダ内分量割合KMFCに基づいてポート部付着速度
VMF(たとえばVMF=(MFH−MF)×KMF−
MFC×KMFC×係数ABYOMA)を演算する手段
69と、燃料噴射に同期して今回噴射時の前記ポート部
付着速度VMFを今回噴射前の前記ポート部付着量MF
に加算することによりポート部付着量MFを更新する手
段70と、前記ポート部付着速度VMF、前記シリンダ
内付着量MFCおよび前記シリンダ内分量割合KMFC
に基づいて過渡補正量KATHOS(たとえばKATH
OS=VMF−MFC×KMFC)を演算する手段71
とからなる。
【0022】第14の発明では、第13の発明において
始動初回の燃料噴射時だけ始動初回の燃料噴射量と始動
時水温に基づいて前記シリンダ内付着速度VMFCおよ
び前記ポート部付着速度VMFを演算する。
【0023】第15の発明では、第13の発明において
前回エンジン停止時の冷却水温に基づいて前記シリンダ
内付着量MFCおよび前記ポート部付着量MFの残存量
を推定し、その推定値を前記シリンダ内付着量MFCお
よび前記ポート部付着量MFの初期値として設定する。
【0024】第16の発明では、第13から第15まで
のいずれか一つの発明において図26に示すように、シ
リンダ壁面に付着する壁流燃料が存在しなくなったとき
に前記過渡補正量を演算する手段が、エンジン負荷、エ
ンジン回転数および温度に基づいてポート部平衡付着量
MFHを演算する手段61と、エンジン負荷、エンジン
回転数および温度に基づいてポート部分量割合KMFを
演算する手段62と、前記ポート部平衡付着量MFHと
その時点でのポート部付着量MFとの差(MFH−M
F)を演算する手段63と、このポート部付着量差(M
FH−MF)と前記ポート部分量割合KMFとに基づい
てポート部付着速度VMF(たとえばVMF=(MFH
−MF)×KMF)を演算する手段81と、燃料噴射に
同期して今回噴射時の前記ポート部付着速度VMFを今
回噴射前の前記ポート部付着量MFに加算することによ
りポート部付着量MFを更新する手段70と、前記ポー
ト部付着速度VMFを前記過渡補正量KATHOS(た
とえばKATHOS=VMF)として演算する手段82
とからなる。
【0025】第17の発明では、第1から第6まで、第
12から第16までのいずれか一つの発明において未燃
分補正率Kubで前記シリンダ空気量相当の燃料噴射量
TPを増量補正(たとえば(1+Kub)をTPに乗
算)する。
【0026】第18の発明では、第7から第11までの
いずれか一つの発明において未燃分補正率Kubで前記
基本噴射量を増量補正(たとえば(1+Kub)を基本
噴射量に乗算)する。
【0027】第19の発明では、第8、第9、第10、
第11、第18のいずれか一つの発明において前記シリ
ンダ内付着速度VMFCを演算する際に用いるシリンダ
内付着量MFCを前記未燃分補正率Kubで増量補正
(たとえば(1+Kub)をMFCに乗算)しかつ前記
ポート部付着速度VMFを演算する際に用いるシリンダ
内付着量MFCを前記未燃分補正率Kubで減量補正
(たとえば(1−Kub)をMFCに乗算)する。
【0028】第20の発明では、第19の発明において
前記シリンダ内付着量MFCを増量補正する際の未燃分
補正率Kubを未燃分のシリンダ内残存率Cで補正(た
とえばCをKubに乗算)する。
【0029】第21の発明では、第1から第6まで、第
12から第17まで、第19、第20のいずれか一つの
発明において安定性補正率KSTBで前記シリンダ空気
量相当の燃料噴射量TPを増量補正する。
【0030】第22の発明では、第7から第11まで、
第18のいずれか一つの発明において安定性補正率KS
TBで前記基本噴射量を増量補正する。
【0031】
【発明の効果】特に、クランク角に同期した基準信号を
入力し、この基準信号間の時間を計測することによって
エンジン回転数を演算する従来装置では、始動時に2回
目の基準信号が入力するまでは回転数の読み込みができ
ないため、不確かな回転数初期値を用いて燃料噴射量を
演算させたり、第1回目の噴射量を2回目以降の噴射量
よりも多めに設定せざるを得ないのであるが、第1の発
明では、この回転数の読み込みが不可能のあいだ充填効
率が100%のときのシリンダ空気量を燃料噴射量単位
に換算した値をシリンダ空気量相当の燃料噴射量として
設定するので、従来装置の場合より、TPエラー(真の
シリンダ空気量から決まるシリンダ空気量相当の燃料噴
射量からの誤差のこと)を小さくすることができる。
【0032】ただし、高地(たとえば3000m)では
大気密度が平地(0m)より約30%小さくなるため、
平地大気圧状態に対する充填効率が100%のときのシ
リンダ空気量を高地始動時にも用いたのでは、40%以
上ものTPエラーが生じるのであるが(実験結果)、高
地始動時にTPエラーがほぼ安定するまでの時間が約1
秒であることを考えると、大気圧に関係なく、平地大気
圧状態に対する充填効率が100%のときのシリンダ空
気量を用いても、始動時噴射量全体に対して殆ど影響す
ることはない。
【0033】第2の発明では、始動時水温が相違して
も、充填効率が100%のときのシリンダ空気量を燃料
噴射量単位に換算した値を精度良く与えることができ
る。
【0034】始動完了の前に空気量検出手段により検出
される空気量に基づいて燃料噴射量を演算することのな
い従来例に対して、第3の発明では、始動時かつ回転数
の読み込みが可能となったタイミングより始動完了まで
のあいだも、シリンダ空気量に見合った燃料噴射量を与
えることができ、もともと多めの燃料を供給する低温始
動時に大気圧やコンプレッション圧力等の始動条件が異
なることがあっても、低温始動時の空燃比が過剰にリッ
チになることがない。
【0035】ただし、始動クランキング時はエンジン回
転数が低くかつシリンダへの間欠的な吸気により脈動す
る空気量が若干の位相差を伴いつつ空気量検出手段で検
出されるため、空気量検出手段により検出される空気量
に基づいて通常時(始動後)と同じに基本噴射パルス幅
TP0を演算したのでは、TP0が空気量検出値と同じ
ように振動波形となり、好ましくないのであるが、第3
の発明では、脈動するTP0に対して平滑化係数DUM
Pにより平滑化を行った値をシリンダ空気量相当の燃料
噴射量としているので、始動クランキング時の吸気脈動
の影響を抑制することができる。
【0036】第4の発明では、エンジン安定性を許容範
囲内に収めることができる。
【0037】一方、低温始動時にはポート壁面だけでな
くシリンダ内壁にも燃料が付着するのに、このシリンダ
内壁に付着する壁流燃料について考慮していないので
は、そのシリンダ内壁に付着する壁流燃料の分がエラー
となって空燃比の理論空燃比への制御性が落ちるのであ
るが、第7と第11の各発明では、ポート壁面およびシ
リンダ内壁に付着する壁流燃料を考慮して過渡補正量を
演算するので、低温始動時にシリンダ内壁に付着する壁
流燃料が存在する場合でも、空燃比の理論空燃比への制
御性が向上する。
【0038】第8と第13の各発明では、ポート壁面に
付着する壁流燃料だけなく、シリンダ内壁に付着する壁
流燃料をも対象にして始動時燃料モデルを作り、これを
理論的に解いて得られた過渡補正量KATHOSの式に
したがって、壁流燃料に関する補正量を求めているの
で、過渡補正量を精度良く求めることができる。
【0039】始動初回の燃料噴射時においてエンジンの
状態検出に信憑性が乏しいときは、始動初回のシリンダ
内とポート部の各付着速度が実際と大きく異なる場合が
考えられるが、第9と第14の各発明では、始動初回の
噴射時のみ燃料噴射量と水温に基づいて各付着速度を演
算するので、始動初回にもシリンダ内とポート部の各付
着速度を実際に近づけることができる。
【0040】シリンダ内付着量とポート部付着量の初期
値を0としてよいのは、前回のエンジン運転時にエンジ
ンの暖機が完了しており(このときシリンダ内壁に付着
する壁流燃料が存在しない)、かつ前回のエンジン停止
後の放置時間が充分なとき(このときポート壁面に付着
する壁流燃料が存在しない)である。したがって、前回
のエンジン運転時にエンジンの暖機が完了する前にエン
ジンを停止したときにもシリンダ内付着量に初期値の0
を入れたり、ポート壁面に付着する壁流燃料が存在して
いる状態で再始動するようなときにもポート部付着量に
初期値の0を入れたのでは、シリンダ内壁やポート壁面
に残存する壁流燃料の分だけ壁流燃料の量と変化の見積
もりに誤差が生じてくるのであるが、第10と第15の
各発明では、シリンダ内壁やポート壁面に壁流燃料が残
存していても、今回の始動当初から壁流燃料の量と変化
の見積もりに誤差が生じてくることがない。
【0041】第17と第18の各発明では、シリンダ内
に吸入された燃料のうち気化が不十分で燃焼に寄与しな
い分(未燃分)があっても理論空燃比の混合気が得られ
る。
【0042】第19の発明では、未燃分があるときで
も、シリンダ内付着速度を演算する際に用いるシリンダ
内付着量とポート部付着速度を演算する際に用いるシリ
ンダ内付着量とを精度良く与えることができる。
【0043】第20の発明では、シリンダ内壁に付着す
る壁流燃料が排気行程で排出されずに、あるいはオイル
溶解分として排出されずに次サイクルまで残存する場合
でも、シリンダ内付着速度を演算する際に用いるシリン
ダ内付着量を精度良く与えることができる。
【0044】第21と第22の各発明では、燃焼安定性
から要求される空燃比(理論空燃比よりもリッチ側の
値)となるようにシリンダ空気量相当の燃料噴射量また
は基本噴射量を増量補正するので、低温始動時に燃焼速
度が低下しても安定した燃焼が得られる。
【0045】
【発明の実施の形態】図1において、1はエンジン本体
で、吸入空気はエアクリーナから吸気通路2を通ってシ
リンダ3に供給される。燃料は、運転条件に応じて所定
の空燃比となるようにコントロールユニット11よりの
噴射信号に基づき燃料噴射弁4からエンジンの吸気ポー
ト2aに向けて噴射される。
【0046】コントロールユニット11にはクランク角
センサ5からのRef信号(4気筒では180°ごと、
6気筒では120°ごとに発生)と1°信号、エアフロ
ーメータ6からの吸入空気量信号、水温センサ7からの
冷却水温信号等が入力され、これらに基づいて基本噴射
パルス幅TP0を算出するとともに、排気通路8の三元
触媒(図示しない)の上流側に設置したO2センサ9か
らの空燃比(酸素濃度)信号に基づいて空燃比のフィー
ドバック制御を行うほか、壁流燃料に関する補正を行
う。
【0047】コントロールユニット11ではまた、未燃
分補正と安定性補正を行う。シリンダ3内に吸入された
燃料のうち気化が不十分で燃焼に寄与しない燃料(未燃
分)があり、この未燃分だけ増量補正するようにしたの
が未燃分補正である。また、低温時の燃焼速度の低下に
より理論空燃比では安定した燃焼が得られない場合があ
るので、燃焼安定性から要求される空燃比(理論空燃比
よりもリッチ側の値)となるように燃料増量するのが安
定性補正である。なお、未燃分補正については特願平8
−173803号に、また安定性補正については特願平
7−55890号に詳しい説明がある。
【0048】さて、特に燃焼の不安定な低温始動時には
多めの燃料噴射量を設定しなければならないのである
が、始動時の燃料噴射量を始動時水温や始動時吸気温に
応じて設定する従来装置では、シリンダ空気量に影響を
与える大気圧やコンプレッション圧力等の始動条件が異
なっても同じ量の燃料噴射量しか設定されないため、始
動時の空燃比が理論空燃比を外れて過剰にリッチとなる
ことがある。たとえば、始動時水温や始動時吸気温に応
じた始動時の燃料噴射量を平地(標高0m)の大気圧状
態でマッチングした場合に、高地(たとえば標高300
0m)で始動を行うときは、もともと多めの燃料噴射量
に対して大気圧の低下分だけシリンダ空気量が減少する
ので、始動時の空燃比が理論空燃比を外れて過剰にリッ
チとなってしまうのである。
【0049】一方、低温始動時にはポート壁面に付着す
る壁流燃料だけでなくシリンダ内壁に付着する壁流燃料
が存在する。しかしながら、従来装置(たとえば特開平
3−134237号公報参照)では、このシリンダ内壁
に付着する壁流燃料についてまでは考慮していないの
で、空燃比の始動時の目標値(理論空燃比)への制御性
に改善の余地が残っている。
【0050】そこで本発明は、シリンダ空気量に基づい
て始動時の燃料噴射量を演算するとともに、シリンダ内
壁に付着する壁流燃料が存在すると推定されるあいだは
ポート壁面だけでなくシリンダ内壁にも付着する壁流燃
料を考慮して過渡補正量を演算する。
【0051】コントロールユニット2で実行されるこの
発明の制御の内容を、以下のフローチャートにしたがっ
て説明する。
【0052】図2のフローチャートは、シリンダ空気量
相当の燃料噴射パルス幅TPを演算するためのもので、
一定時間毎(たとえば4ms毎)に実行する。ただし、
始動時の燃料噴射量に限って別のフローにより演算され
る従来装置と相違して、本発明ではクランキング時(始
動時)から図2によりTPを演算する。
【0053】ステップ1では始動時であるかどうかをス
タータースイッチ(図2、図1ではSt/Swで略記)
からの信号により判定する。スタータースイッチがON
のとき(始動時)はステップ2に進み、エンジン回転数
の読み込みが可能かどうかを判断する。Ref信号間の
時間を計測し、その計測時間よりエンジン回転数を演算
しているので、始動時には2回目のRef信号が入力す
るまで回転数の読み込みができないからである。したが
って、始動時に2回目のRef信号が入力するまでは回
転数の読み込みが不可能であると判断し、ステップ3、
4、5に進む。ステップ3〜5は始動時かつ2回目のR
ef信号が入力するまでの操作である。ステップ3で
は、始動時水温TWINTより図3を内容とするテーブ
ルを検索してシリンダ空気量相当の燃料噴射パルス幅の
初期値TP100を求め、これをステップ4においてT
Pに移す。TP100は、充填効率ηcを100%とし
たときのシリンダ空気量相当の燃料噴射パルス幅であ
る。
【0054】詳述すると、シリンダ空気量Ga[kg/
サイクル]は Ga=ηc×Ve×ρa …(1) ただし、Ve:行程容積[m3/サイクル] ρa:空気密度[kg/m3] の式により求めることができ、これは TP=K0×Ga …(2) K0:パルス幅換算のための定数[ms/kg]の式よ
りシリンダ空気量相当の燃料噴射パルス幅TP[ms/
サイクル]に換算することができる。なお、GaやTP
の単位の1サイクル当たりは、1気筒の1回の吸気行程
当たりのことである。
【0055】ここで、(1)式のηcが100%のとき
のシリンダ空気量相当の燃料噴射パルス幅をTP100
[ms/サイクル]とおけば、(1)、(2)式より TP100=K0×Ve×ρa …(3) の式が得られる。(3)式のK0、Veは一定値、ρa
は温度の関数であるから、TP100は始動時水温TW
INTの関数となる。そこで、図3に示したようにTW
INTをパラメータとしてTP100のテーブルを予め
作成してあるわけである。
【0056】TP100をTPの初期値とするのは次の
理由からである。エンジン回転数が低くかつシリンダ3
への間欠的な吸気により脈動する空気量が若干の位相差
を伴いつつエアフローメータ6で検出される始動クラン
キング時に回転数とエアフローメータ検出値から、通常
時(始動後)と同じに基本噴射パルス幅TP0を演算す
ると、TP0がエアフローメータ検出値と同じように振
動波形となり、さらに始動時に2回目のRef信号が入
力するまで回転数が不明であるので、始動時に2回目の
Ref信号が入力する前にはなんらかの回転数初期値を
用いてTP0を演算せざるを得ない。つまり、始動時に
2回目のRef信号が入力する前は、不確かな回転数初
期値を用いてTP0を演算して用いるより、充填効率を
100%としてTPを演算したほうが後述するTPエラ
ーが小さくなるため、本発明では回転数の検出が可能と
なる前は始動時水温で決まるTP100をTPの初期値
として用いるようにしているのである。
【0057】ステップ5ではTP100の値をさらにメ
モリのTP(old)に移す。TP(old)はTPの
前回値を格納しておくためのものである。
【0058】これに対して、始動時に回転数の読み込み
が可能となったときは、ステップ2よりステップ6、
7、8、9に進む。つまり、ステップ6〜9はスタータ
ースイッチONかつ2回目のRef信号の入力時よりス
タータースイッチがONよりOFFに切換わる直前まで
(始動時かつ回転数の読み込みが可能のとき)の操作で
ある。ただし2回目のRef信号の入力と同時にエンジ
ン回転数が演算されるものとする。
【0059】ステップ6では、エンジン回転数Neとエ
アフローメータにより検出される吸入空気量Gaとから TP0=K×Ga/Ne …(4) ただし、K:定数 の式により基本噴射パルス幅TP0を計算する。
【0060】ここで、MPI(マルチポイントインジェ
クション)かつシーケンシャル噴射方式の場合で考える
と、TP0は TP0[ms/サイクル]=K0[ms/kg]×Ga[kg/サイクル] /{(Ne[回転/サイクル]/60[sec/min]) ×2[サイクル/回転])} …(5) であり、この(5)式においてK0×60/2=Kとお
くことで(4)式が得られるのである。
【0061】ステップ7では始動クランキング中におけ
る基本噴射パルス幅TP0の平滑化係数DUMPを演算
し、このDUMPを用い、ステップ8において TP=DUMP×TP0+(1−DUMP)×TP(old) …(6) ただし、TP(old):TPの前回値 の式によりシリンダ空気量相当の燃料噴射パルス幅TP
を更新する。
【0062】(4)式により演算される基本噴射パルス
幅TP0は振動波形であるためこのままでは燃料噴射パ
ルス幅として用いることができないので、この吸気振動
の影響を抑制するため、(6)式により平滑化処理を行
うわけである。
【0063】この場合、(6)式のDUMPの値は、エ
ンジン安定性から決まるTPの要求変動率に基づいて定
める。たとえば、TP変動率とエンジン安定性との間に
はおよそ図4の関係があり、エンジン安定性を許容範囲
内に収めるためにはTP変動率を図示の基準レベル以下
にする必要があるので、TP変動率がこの基準レベル以
下になるようにフィルターゲイン(つまり平滑化係数)
を定めるのである。なお、後述する加重平均係数FLO
ADとの関係では、FLOADのうちTP0を平滑化す
る機能だけを取り出したものがDUMPに相当する。
【0064】ステップ9では次回演算のためTPの値を
メモリのTP(old)に移しておく。なお、ステップ
5においてTP100をTP(old)に移しているこ
とより、上記(6)式におけるTP(old)の初期値
はTP100である。
【0065】一方、スタータースイッチがOFFのとき
(始動完了後)はステップ1よりステップ10、11、
12、13に進む。
【0066】ステップ10〜13は従来と同じである。
ステップ10ではエンジン回転数Neとエアフローメー
タで検出される吸入空気量Gaから TP0=K×Ga/Ne …(7) の式により基本パルス幅TP0を求め、ステップ11で
は回転数と負荷(たとえばTP)から図5を内容とする
マップを検索して加重平均係数FLOADを求める。ス
テップ12では TP=FLOAD×TP0+(1−FLOAD)×TP(old) …(8) ただし、TP(old):TPの前回値 の式によりシリンダ空気量相当の燃料噴射パルスTPを
更新する。ステップ13では次回演算のためTPの値を
メモリのTP(old)に移しておく。
【0067】(8)式の加重平均係数FLOADには定
常時に基本噴射パルス幅TP0を平滑化する機能と、過
渡時に吸気系容積による位相差(エアフローメータで検
出される空気量よりもシリンダ空気量のほうが位相が遅
れる)を補正するための機能がある。ステップ7のDU
MPとの関係では、FLOADのうちTP0を平滑化す
る機能だけを取り出したものがDUMPになるわけであ
る。
【0068】なお、(8)式のTP(old)の初期値
は、スタータースイッチがONに切換わる直前に上記
(6)式で更新されたTPの値である。
【0069】図6は平地(標高0m)の大気圧状態での
TP100を用いて図2のルーチンによりTPを演算し
た場合に、高地(たとえば標高3000m)での影響が
TPエラーにどの程度出るのかを示した実験データであ
る。ただし、TPエラーは TPエラー[%]=100−(TP/TPr)×100 …(9) ただし、TPr:真のシリンダ空気量から決まるシリン
ダ空気量相当の燃料噴射パルス幅 の式で与えられる値である。
【0070】図6より平地大気圧状態のとき初期エラー
はほとんどない(ただし、そのごは基本噴射パルス幅T
P0の変動に伴い加重平均処理だけでは消すことができ
ない変動分が残っている)。ところが、高地での大気密
度が平地より約30%小さくなるため、平地大気圧状態
でのTP初期値(=TP100)を高地で用いたので
は、40%以上ものTPエラーが生じ、そのごはエアフ
ローメータで検出された真の空気量をもとにTPを演算
するため、時間経過とともに徐々にTPエラーが小さく
なっている。このように、平地大気圧状態でのTP10
0を始動時のTP初期値として設定したとき、高地始動
時での初期エラーが大きくなるのであるが、高地始動時
にTPエラーがほぼ安定するまでの時間が約1秒である
ことを考えると、始動時噴射量全体に対して殆ど影響す
ることはないと考えられる。
【0071】図7のフローチャートは目標燃空比相当量
TFBYAを演算するためのもので、図2とは独立に1
0ms毎に実行する。
【0072】ステップ21では、冷却水温TWと始動後
時間TASより図8を内容とするマップを検索して未燃
分補正率Kubを、またステップ22では冷却水温TW
から図9を内容とするテーブルを検索して安定性補正率
KSTBをそれぞれ求め、ステップ23において TFBYA=(1+Kub)×KSTB …(10) の式により目標燃空比相当量TFBYAを計算する。
【0073】ここで、シリンダ3内に吸入された燃料の
うち気化が不十分で燃焼に寄与しない燃料パーセント
(たとえばピストンリングからクランクケース内に流れ
こみオイルに溶けこむ燃料や燃焼されずにそのまま排出
されるHCがある)を未燃分といい、この未燃分により
理論空燃比よりもリーン側の空燃比となる。そこで、
(10)式のKubによりこの未燃分だけ燃料を増量補
正するわけである。未燃分の量に影響する燃料と空気の
混合状態は、一般に吸気ポート2a壁面や吸気バルブ表
面の各温度、シリンダ3の壁温等により決まり、これら
の温度は、冷却水温TWと始動後時間TASにより推定
できるので、Kubの特性を図8としたものである。ま
た、低温時には燃焼速度の低下から理論空燃比では安定
した燃焼が得られない場合があり、燃焼安定性から要求
される空燃比(理論空燃比よりもリッチ側の値)に設定
するための増量補正率が(10)式のKSTBである。
【0074】たとえば、図20は低温始動より空燃比フ
ィードバック制御が開始される前の様子を示し、同図に
おいて、KubとKSTBはずっと働いている(冷却水
温の上昇とともに減少してゆく)。
【0075】図10のフローチャートは過渡補正値KA
THOSを演算するためのもので、図2、図7とは独立
に10ms毎に実行する。ただし、KATHOSの演算
には目標燃空比相当量TFBYAが必要となるので、図
7の後に図10を実行する。また、TPもKATHOS
の演算に必要となるが、図2の演算周期のほうが図10
の演算周期より短いので、図10の演算タイミングでは
TPはすでに演算されている。
【0076】なお、燃料供給だけについていえば、エン
ジン始動時における理論空燃比からのずれは、MPIの
場合、吸気ポート2a壁面(吸気バルブ表面を含む)に
付着し、液状のまま壁面を伝ってシリンダ3へと流れ込
む、いわゆる壁流燃料の量的変化に起因するものであ
り、この壁流燃料による過不足分を過渡補正量Kath
osとして燃料補正を行うものが公知である(たとえば
特開平3−134237号公報参照)。
【0077】本発明では、この壁流燃料について、吸気
ポート2a壁面に付着する壁流燃料に加えて、シリンダ
3内壁に付着する壁流燃料についても新たに考慮するの
で、吸気ポート2a壁面に付着する壁流燃料についての
値であるときは「ポート部」を、これに対してシリンダ
3内壁に付着する壁流燃料についての値であるときは
「シリンダ内」を名称の前に付けて両者を区別する。ま
た、従来より壁流燃料を扱う際の変数として平衡付着量
MFH、付着倍率MFHTVO、分量割合KMF、付着
速度VMF、付着量MFなどが知られており、これらは
もともと吸気ポート壁面に付着する壁流燃料についての
値であるため、そのまま吸気ポート壁面に付着する壁流
燃料についての変数として使用し、シリンダ内壁に付着
する壁流燃料については、別の記号を用いる(シリンダ
内平衡付着量をMFCH、シリンダ内付着倍率をMFC
HTV、シリンダ内分量割合をKMFC、シリンダ内付
着速度をVMFC、シリンダ内付着量をMFCとす
る)。
【0078】なお、MPI、シーケンシャル噴射で考え
ると、実際の現象としては、1気筒毎に独立に状態量
(壁流量)が決まるので、1サイクル(エンジン2回
転)毎の変化量を演算する必要がある。しかしながら、
演算負荷やメモリの節約等の理由によりSPIと同様
に、各気筒を区別することなく全気筒分の状態量として
扱う。したがって、Ref信号の入力毎(4気筒の場
合、半回転毎)の変化量を演算している。全気筒分状態
量として扱うことによる誤差はわずかであることは確認
済みである。
【0079】ステップ31では、シリンダ内付着量MF
C(後述する図18により演算される)をみてシリンダ
内壁に付着する壁流燃料が存在するかどうかを判定す
る。ここで、冷間始動直後はシリンダ内壁に付着する壁
流燃料が存在し、始動後の時間が経過するとともに減少
し、やがてなくなるため、このシリンダ内壁に付着する
壁流燃料の予測値であるMFCは低温始動直後に正の値
をもち、始動よりの時間経過とともに減少し、やがて0
になる。したがって、MFC>0のときはシリンダ内壁
に付着する壁流燃料が存在すると判断してステップ3
2、33、34、35、36、37、38に進む。つま
り、ステップ32〜38はシリンダ内壁に付着する壁流
燃料が存在するときにKATHOSを演算するための操
作である。
【0080】ステップ32では、TP(図2によりすで
に得ている)とTFBYA(図7によりすでに得てい
る)を用いて MFCH=MFCHTV×TP×TFBYA …(11) ただし、FCHTV:シリンダ内付着倍率 の式によりシリンダ内平衡付着量MFCHを計算する。
【0081】ここで、MFCHTVは、単位シリンダ空
気量相当燃料噴射パルス幅当たりかつ全気筒分のシリン
ダ内平衡付着量のことで、冷却水温TWから図11を内
容とするテーブルを検索して求める。MFCHTVをT
Wに応じて求めるのは、後述するポート部付着倍率MF
HTVOと同様に、温度の影響が非常に大きいからであ
る。
【0082】また、MFCHTVは、後述するMFHT
VOと同様に、目標燃空比相当量TFBYA=1.0に
対するマッチングデータであり、シリンダ内平衡付着量
MFCHはTFBYAにほぼ比例することから、(1
1)式に示したように、TFBYA=1.0に対する値
(MFCHTV×TP)をTFBYA倍することによっ
て、そのときのTFBYAに対応して過不足なくシリン
ダ内平衡付着量MFCHを与えるのである。
【0083】ステップ33では冷却水温TWと始動後時
間TASから図12を内容とするマップを検索してシリ
ンダ内分量割合KMFCを求める。KMFCは、後述す
るポート部分量割合KMFと同様に、シリンダ内平衡付
着量MFCHに対して現時点でのシリンダ内付着量MF
Cが1サイクル当たり(4気筒でエンジン半回転毎)に
どの程度の割合で接近するのかの割合を表す係数であ
る。
【0084】このようにして求めたMFCH、KMFC
と、後述する図18により演算されるシリンダ内付着量
MFCとを用い、ステップ34において、 VMFC=MFCH−(C×Kub+1)×MFC×KMFC…(12) ただし、C:未燃分のシリンダ内残存率 の式によりシリンダ内付着速度VMFCを計算する。
【0085】ここで、Cはシリンダ内壁に付着する壁流
燃料が排気行程で排出されずに、あるいはオイル溶解分
として排出されずに次サイクルまで残存する率を表す。
このCはシリンダ内壁温の影響が大きいため、冷却水温
TWと始動後時間TASから図13を内容とするマップ
を検索して求める。
【0086】なお、(12)式は、すぐ後で述べる(1
4)、(15)式とともに、始動時燃料モデルを用いて
理論的に求めたもので、これらの式がどのようにして得
られるかは、後で詳述する。
【0087】ステップ32〜34がシリンダ内壁に付着
する壁流燃料に関する値を求めたのに対して、ステップ
35〜37はポート部に付着する壁流燃料に関する値を
求める部分である。まず、ステップ35では、ステップ
32と同様にTP(図2によりすでに得ている)とTF
BYA(図7によりすでに得ている)を用いて MFH=MFHTVO×TP×TFBYA …(13) ただし、MFHTVO:ポート部付着倍率 の式によりポート部平衡付着量MFHを計算する。
【0088】ここで、(13)式のポート部付着倍率M
FHTVOは、単位シリンダ空気量相当燃料噴射パルス
幅当たり、かつ全気筒分のポート部平衡付着量のことで
あり、冷却水温TWから図14を内容とするテーブルを
検索して求める。
【0089】また、MFHTVOは、目標燃空比相当量
TFBYA=1.0に対するマッチングデータであり、
ポート部平衡付着量MFHはTFBYAにほぼ比例する
ことから、(13)式に示したように、TFBYA=
1.0に対する値(MFHTVO×TP)をTFBYA
倍することによって、そのときのTFBYAに対応して
過不足なくポート部平衡付着量MFHを与えるのであ
る。
【0090】ステップ36では、ポート部平衡付着量M
FHに対して、現時点でのポート部付着量(予測変数)
MFが1サイクル当たり(4気筒でエンジン半回転毎)
にどの程度の割合で接近するかの割合を表す係数(つま
り分量割合)KMFをステップ36において負荷(T
P)と始動後時間TASから図15を内容とするマップ
を検索して求める。
【0091】このようにして求めたMFH、KMF、前
述のKMFC(ステップ33ですでに得ている)と、後
述する図18により演算されるポート部付着量MF、シ
リンダ内付着量MFCとを用い、ステップ37におい
て、 VMF=(MFH−MF)×KMF −(1+Kub)×MFC×KMFC×ABYOMA…(14) ただし、ABYOMA:係数 の式よりポート部付着速度(1サイクル当たりのポート
部付着量のこと)VMFを計算する。
【0092】(14)式のABYOMAは低周波分の応
答ゲインAに基づく数値であり、ポート部壁温の影響が
大きいため、冷却水温TWから図16を内容とするテー
ブルを検索して求める。
【0093】このVMF、前述のKMFC(ステップ3
3ですでに得ている)と、後述する図18により演算さ
れるシリンダ内付着量MFCとを用い、ステップ38で
は KATHOS=VMF−(1+Kub)×MFC×KMFC …(15) の式により過渡補正量KATHOSを計算する。
【0094】一方、シリンダ内付着量MFCが存在しな
くなった(つまりMFC=0)ときは、ステップ31よ
りステップ39、40、41、42に進む。ステップ3
9〜42は従来と同様である。ステップ39、40では
ステップ35、36と同じにポート部平衡付着量MFH
とポート部分量割合KMFを求め、これらと後述する図
18により演算されるポート部付着量MFとを用い、ス
テップ41において VMF=(MFH−MF)×KMF …(16) の式によりポート部付着速度VMFを計算し、この値を
ステップ42でKATHOSに入れる。
【0095】このようにして、図10のルーチンによれ
ば、冷間始動直後でシリンダ内壁に付着する壁流燃料の
影響が大きい場合からその影響がなくなるときまで、シ
リンダ内とポート部に付着する各壁流燃料量を精度良く
予測し、その各壁流燃料の変化と量に応じた過渡補正量
KATHOSを設定するので、冷間始動直後のような壁
流燃料の状態変化が激しい場合でも空燃比を理論空燃比
へと最適に保つことができる。
【0096】図17のフローチャートは同期燃料噴射パ
ルス幅Tiを演算するためのもので、図2、図7、図1
0と独立に10ms毎に実行する。ただし、Tiの演算
には目標燃空比相当量TFBYA、過渡補正量KATH
OSが必要となるので、図7、図10の後に続けて実行
する。TPもTiの演算に必要となるが、図2の演算周
期のほうが図17の演算周期より短いので、図17の演
算タイミングではTPはすでに演算されている。
【0097】ステップ51ではすでに得ているTP、T
FBYA、KATHOSを用いて Ti=(TP×TFBYA+KATHOS) ×(α+KBLRC−1)×2+Ts …(17) ただし、α:空燃比フィードバック補正係数 KBLRC:空燃比学習値 Ts:無効噴射パルス幅 の式により燃料噴射弁に与える同期燃料噴射パルス幅T
iを計算する。
【0098】(17)式の空燃比フィードバック補正係
数αは制御空燃比が理論空燃比を中心とするいわゆるウ
ィンドウに収まるようにO2センサ出力に基づいて演算
される値、KBLRCはαに基づいて演算される空燃比
学習値、無効噴射パルス幅Tsは噴射弁が噴射信号を受
けてから実際に開弁するまでの作動遅れを補償するため
の値である。また、(17)式はシーケンシャル噴射
(1気筒当たりエンジン2回転に1回)の場合の式であ
るため、数字の2が入っている。なお、O2センサが活
性化するまではαがクランプされている(α=1.
0)。
【0099】ただし、従来と相違して、始動時も(1
7)式でTiが演算されるのであり、従来装置のように
始動時の噴射量を演算するフローが別にあるわけではな
い。
【0100】次に、図18のフローチャートは噴射タイ
ミングに同期(具体的にはRef信号同期)したフロー
チャートである。
【0101】所定の各気筒の噴射タイミングになると、
ステップ61において噴射を実行したあと、ステップ6
2でMFCよりシリンダ内壁に付着する壁流燃料が存在
するかどうかを判定する。MFC>0(シリンダ内壁に
付着する壁流燃料が存在する)のときはステップ63に
進んで、後述するポート部付着量MFと同様に、上記の
(12)式で得たシリンダ内付着速度VMFCを用いて
次回の処理時に用いるシリンダ内付着量MFCを、 MFC=MFC-1Ref+VMFC …(18) ただし、MFC-1Ref:1噴射前(1サイクル前)のM
FC の式により更新し、このMFCを次回噴射タイミングで
の処理のため、ステップ64においてメモリのMFC
-1Refに移しておく。
【0102】(18)式中の右辺のMFC-1Refは前回
噴射終了時(4気筒でエンジン半回転前)の全気筒分の
シリンダ内付着量であり、これに今回の噴射時に加えら
れるシリンダ内付着速度VMFCを加算した値が今回の
噴射終了時点での全気筒分のシリンダ内付着量MFC
(左辺のMFC)となる。この左辺の全気筒分のシリン
ダ内付着量MFCの値が次回のVMFCの演算時に用い
られる。(18)式で左辺と右辺にシリンダ内付着量が
出てくるのは、全気筒分のシリンダ内付着量を各気筒を
区別することなく噴射タイミング毎にサイクリックに更
新していく構成であるからである。
【0103】ステップ65では上記の(14)式で得た
ポート部付着速度VMFを用いて次回の処理時に用いる
ポート部付着量MFを、 MF=MF-1Ref+VMF …(19) ただし、MF-1Ref:1噴射前(1サイクル前)のMF の式により更新し、このMFを次回噴射タイミングでの
処理のため、ステップ66においてメモリのMF-1Ref
に移しておく。
【0104】(19)式中の右辺のMF-1Refは前回噴
射終了時(4気筒でエンジン半回転前)の全気筒分のポ
ート部付着量であり、これに今回の噴射時に加えられる
ポート部付着速度VMFを加算した値が今回の噴射終了
時点での全気筒分のポート部付着量MF(左辺のMF)
となる。この左辺の全気筒分のポート部付着量MFの値
が次回のVMFの演算時に用いられる。(19)式で左
辺と右辺にシリンダ内付着量が出てくるのも、全気筒分
のポート部付着量を各気筒を区別することなく噴射タイ
ミング毎にサイクリックに更新していく構成であるから
である。
【0105】シリンダ内壁に付着する壁流燃料が存在し
ないときは、ステップ62よりステップ63、64を飛
ばして、ステップ65、66の操作を実行する。このと
きは従来と同じである。
【0106】図19のフローチャートは、シリンダ内付
着量MFC、ポート部付着量MFの初期設定を行うため
のもので、イグニッションスイッチがOFFよりONへ
の切換時に1度だけ実行する。
【0107】ステップ71、72ではシリンダ内付着量
MFCとポート部付着量MFにそれぞれ初期値の0を入
れる。ただし、MFCとMFの初期値を0としてよいの
は、前回のエンジン運転時にエンジンの暖機が完了して
おり(このときシリンダ内壁に付着する壁流燃料が存在
しない)、かつ前回のエンジン停止後の放置時間が充分
なとき(このときポート壁面に付着する壁流燃料が存在
しない)である。
【0108】したがって、前回のエンジン運転時にエン
ジンの暖機が完了する前にエンジンを停止したときにも
シリンダ内付着量MFCに初期値の0を入れたり、ポー
ト壁面に付着する壁流燃料が存在している状態で再始動
するようなときにもポート部付着量MFに初期値の0を
入れたのでは、シリンダ内壁やポート壁面に残存する壁
流燃料の分だけ壁流燃料の量と変化の見積もりに誤差が
生じてくる。しかしながら、シリンダ壁面やポート壁面
に残存する壁流燃料の量は前回停止時の冷却水温に基づ
いて推定することができるので、その推定した値をMF
CやMFの初期値として与えればよい。
【0109】上記の(12)、(14)、(15)式は
始動時燃料モデルを用いて理論的に求めたもので、これ
らの式をどのようにして得たのかを次に述べる。
【0110】燃料状態式を、 燃料噴射量: Gfi(k)=Gfst(k)×Tfa×(1+Kub)+Gftr(k) …1− シリンダ内吸入燃料量: Gfc(k)=(1−A)×Gfi(k) +Gwf(k−1)×Δt/τp …1− 燃焼寄与燃料量: Gfbn(k)=Gfc(k)/(1+Kub) +Gwfc(k−1)×Δt/τc …1− ポート部壁流変化量: ΔGwf(k)=A×Gfi(k)−Gwf(k−1)×Δt/τp …1− シリンダ内壁流変化量: ΔGwfc(k)={C×Kub/(1+Kub)}×Gfc(k) −Gwfc(k−1)×Δt/τc …1− ただし、Gfst(k):kサイクル目の定常噴射量
(理論空燃比時) Gftr(k):kサイクル目の過渡補正量 Gwf(k−1):k−1サイクル目のポート部壁流燃
料量 Gwfc(k−1):k−1サイクル目のシリンダ内壁
流燃料量 Tfa:定常時の空燃比補正率 Kub:未燃分補正率 A:低周波分の1サイクル目の応答ゲイン C:未燃分燃料の筒内残存率 τp:ポート部壁流燃料の時定数 τc:シリンダ内壁流燃料の時定数 Δt:制御周期 の各基本式で表す。
【0111】なお、1−〜1−式においてGfi
(k)、Gfst(k)、Gftr(k)、Gfc
(k)、Gwf(k−1)、Gfbn(k)、Gwfc
(k−1)、ΔGwf(k)、ΔGwfc(k)の単位
は1サイクル当たり(4気筒ではエンジン半回転毎)の
燃料質量である。また、低周波分の1サイクル目の応答
ゲインAは特願平8−173802号で詳細に開示して
いるが、本発明とは直接関係しないのでその説明は省略
する。
【0112】ここで、シリンダ内燃焼寄与燃料量を要求
値通りとするための過渡補正量と壁流変化量を考える。
【0113】 Gfbn(k)=Gfst(k)×Tfa …2− 2−式に1−式、1−式、1−式を代入して過
渡補正量Gftr(k)について整理すると、 Gftr(k) ={(A×τP/Δt)×Gfst(k)×Tfa×(1+Kub) −Gwf(k−1)}×{1/(1−A)}×Δt/τp −(1+Kub)×Gwfc(k−1)×{1/(1−A)} ×Δt/τc …2− の式が得られる。
【0114】1−式に1−式、2−式を代入して
ポート部壁流変化量ΔGwf(k)について整理する
と、 ΔGwf(k) ={A/(1−A)}×Gfst(k−1)×Tfa×(1+Kub) −{1/(1−A)}×Gwf(k−1)×Δt/τp −(1+Kub)×Gwfc(k−1)×{A/(1−A)} ×Δt/τc …2− の式が得られる。
【0115】1−式に1−式、1−式、2−式
を代入してシリンダ内壁流変化量ΔGwfc(k)につ
いて整理すると、 ΔGwfc(k) =C×Kub×Gfst(k)×Tfa −(C×Kub+1)×Gwfc(k)×Δt/τc …2− の式が得られる。
【0116】2−式に対して、 Gfst(k)→TP(k)、 Tfa×(1+Kub)→TFBYA、 Gfi(n)→Ti(k)、 {C×Kub/(1+Kub)}×(τc/Δt)→M
FCHTV、 MFCHTV×TP(k)×TFBYA→MFCH
(k)、 Gwfc(k)→MFC(k)、 ΔGwfc(k)→VMFC(k)、 Δt/τc→KMFC の置き換えを行うと、2−式は VMFC(k) =MFCH(k)−(C×Kub+1)×MFC(k−1)×KMFC …3− MFC(k)=MFC(k−1)+VMFC(k) …3− となる。
【0117】2−式に対して A×τP/Δt→MFHTVO、 MFHTVO×TP(k)×TFBYA→MFH
(k)、 Gwf(k)→MF(k)、 ΔGwf(k)→VMF(k)、 (Δt/τP)/(1−A)→KMF A/(1−A)→ABYOMA、 1/A→ONEBYA、 の置き換えを行うと、2−式は、 VMF(k) ={MFH(k)−MF(k−1)}×KMF −(1+Kub)×MFC(k−1)×KMFC×ABYOMA …3− MF(k)=MF(k−1)+VMF(k) …3− となる。
【0118】2−式に対して Gftr(k)→KATHOS(k) の置き換えを行うと、2−式は、 KATHOS(k) ={MFH(k)−MF(k−1)}KMF −(1+Kub)×MFC(k−1)×KMFC×ABYOMA ×ONEBYA =VMF(k)−(1+Kub)×MFC(k−1)×KMFC …3− となる。
【0119】このようにして、(12)、(14)、
(15)式に対応する式とともに、(18)、(19)
式が得られた。
【0120】なお、上記の(12)、(14)式から類
推すれば、 VMFC(k) =MFCH(k)−(C×Kub+1)×MFC(k)×KMFC …(20) VMF(k) ={MFH(k)−MF(k)}×KMF −(1+Kub)×MFC(k)×KMFC×ABYOMA …(21) となり、MFCのサイクル数が3−、3−式と、ま
たMFのサイクル数が3−式と異なり、1だけずれて
いるようにも思えるが、上記の(12)、(14)式は
演算ルーチン上における式、3−、3−式は理論式
であるため、両者が矛盾するものではない。
【0121】ここで、本発明の実施形態の作用を説明す
る。
【0122】始動完了の前にエアフローメータにより検
出される空気量Gaに基づいて燃料噴射パルス幅を演算
することのない従来例に対して、実施形態では、始動時
かつ回転数の読み込みが可能となったタイミングより始
動完了までのあいだも、エアフローメータにより検出さ
れる空気量Gaに基づいてシリンダ空気量相当の燃料噴
射パルス幅TPを求めている。
【0123】ここで、ホットワイヤー式(あるいはベー
ン式、カルマン渦式)のエアフローメータにより検出さ
れる空気量は質量流量であり、大気圧やコンプレッショ
ン圧力等の始動条件が異なっても、その異なる条件での
質量流量が検出される。たとえば大気圧が低下する高地
でのGaは低地より小さくなる。そして、この小さくな
るGaに比例してTPを定めているので、高地ではTP
も大気圧の低下分だけ低地より小さくなる。つまり、低
地と高地とで空気量と燃料量の割合が変わることがない
ため、もともと多めの燃料を供給する低温始動時に、大
気圧やコンプレッション圧力等の始動条件が異なること
があっても、低温始動時の空燃比が過剰にリッチになる
ことがないのである。
【0124】ただし、始動クランキング時はエンジン回
転数が低くかつシリンダ3への間欠的な吸気により脈動
する空気量が若干の位相差を伴いつつエアフローメータ
6で検出されるため、回転数とエアフローメータ検出値
から、通常時(始動後)と同じに基本噴射パルス幅TP
0を演算したのでは、TP0がエアフローメータ検出値
と同じように振動波形となり、好ましくないのである
が、実施形態では、脈動するTP0に対して平滑化係数
DUMPにより平滑化を行った値をシリンダ空気量相当
の燃料噴射パルス幅TPとしているので、始動クランキ
ング時の吸気脈動の影響を抑制することができる。
【0125】実施形態ではまた、始動時かつ回転数の読
み込みが不可能のあいだは充填効率が100%のときの
シリンダ空気量相当の燃料噴射パルス幅TP100を用
いるので、始動時に2回目のRef信号が入力する前に
不確かな回転数初期値を用いて燃料噴射量を演算して用
いる従来装置の場合より、TPエラーを小さくすること
ができる。
【0126】ただし、高地では大気密度が平地より約3
0%小さくなるため、平地大気圧状態でのTP初期値
(=TP100)を高地始動時にも用いたのでは、40
%以上ものTPエラーが生じるのであるが(実験結
果)、高地始動時にTPエラーがほぼ安定するまでの時
間が約1秒であることを考えると、始動時噴射量全体に
対して殆ど影響することはない。
【0127】実施形態ではまた、未燃分補正を行うの
で、シリンダ内に吸入された燃料のうち気化が不十分で
燃焼に寄与しない分(つまり未燃分)があっても理論空
燃比の混合気が得られる。さらに燃焼安定性から要求さ
れる空燃比(理論空燃比よりもリッチ側の値)となるよ
うにTPを増量補正するので、低温始動時に燃焼速度が
低下しても安定した燃焼が得られる。
【0128】実施形態ではその一方で、ポート壁面に付
着する壁流燃料だけなく、シリンダ内壁に付着する壁流
燃料をも対象にして始動時燃料モデルを作り、これを理
論的に解いて得られた過渡補正量KATHOSの式にし
たがって、壁流燃料に関する補正量を求めているので、
低温始動時にシリンダ内壁に付着する壁流燃料が存在す
る場合でも、始動時の空燃比の理論空燃比への制御性が
向上する。
【0129】このようにして、実施形態では、始動時に
シリンダ空気量に見合ったTPと、混合状態や燃焼安定
性から要求される空燃比に設定するための定常空燃比補
正率である目標燃空比相当量TFBYAと、ポート壁面
のほかシリンダ内壁に付着する壁流燃料をも考慮した過
渡補正量KATHOSとで始動時の燃料噴射量が最適に
設定されることから、図20に示したように、エンジン
要求値に対して過不足のない空燃比の実現が可能となっ
ている。なお、図20は、実施形態による始動時の各変
数TP、TFBYA、KATHOS、Ti、Neおよび
空燃比の変化を示している。
【0130】なお、図20において現行固定パルス幅と
して示したもの(破線参照)は、(1)クランキング時
に TIST=TST×KNST×KTST …(22) ただし、TST:始動時基本噴射パルス幅 KNST:回転数補正係数 KTST:時間補正係数 の式により始動時燃料噴射パルス幅TIST計算し、
(2)イグニッションスイッチがスタート位置からON
位置になったとき(始動完了後) Ti=(TP+KATHOS)×TFBYA ×(α+KBLRC−1)×2+Ts …(23) ただし、α:空燃比フィードバック補正係数 KBLRC:空燃比学習値 Ts:無効噴射パルス幅 の式により同期燃料噴射パルス幅Tiを計算するように
した場合のものである。なお、(22)式のTSTは水
温により定まり低水温側で大きくなる値、KNSTは回
転数により定まり高回転側で減少する値、KTSTは始
動後時間により定まり始動後時間とともに減少する値で
ある。また、(23)式のKATHOSの演算に使用さ
れる平衡付着量MFHは MFH=MFHTVO×TP …(24) の式により計算される値であり、実施形態のMFHの計
算式である上記の(13)式と相違する(TFBYAを
もパラメータとして演算するものでない)。
【0131】実施形態では、シリンダ内壁に付着する壁
流燃料が存在するときの付着倍率(MFCHTV、MF
HTVO)を冷却水温TWから、またシリンダ内壁に付
着する壁流燃料が存在するときの分量割合(KMFC、
KMF)を冷却水温と始動後時間TASからそれぞれ演
算しているが、さらにエンジン負荷や回転数をもパラメ
ータとして演算するようにしてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御システム図である。
【図2】シリンダ空気量相当の燃料噴射パルス幅TPの
演算を説明するためのフローチャートである。
【図3】TP100の内容を示す特性図である。
【図4】TP変動率とエンジン安定性の関係を示す図で
ある。
【図5】加重平均係数FLOADの内容を示す特性図で
ある。
【図6】平地始動のときと高地始動のときの各TPエラ
ーの特性図である。
【図7】目標燃空比相当量TFBYAの演算を説明する
ためのフローチャートである。
【図8】未燃分補正率Kubの内容を示す特性図であ
る。
【図9】安定性補正率KSTBの内容を示す特性図であ
る。
【図10】過渡補正量KATHOSの演算を説明するた
めのフローチャートである。
【図11】シリンダ内付着倍率MFCHTVの内容を示
す特性図である。
【図12】シリンダ内分量割合KMFCの内容を示す特
性図である。
【図13】未燃分のシリンダ内残存率Cの内容を示す特
性図である。
【図14】ポート部付着倍率MFHTVOの内容を示す
特性図である。
【図15】ポート部分量割合KMFの内容を示す特性図
である。
【図16】係数ABYOMAの内容を示す特性図であ
る。
【図17】同期燃料噴射パルス幅Tiの演算を説明する
ためのフローチャートである。
【図18】噴射タイミング毎に実行するフローチャート
である。
【図19】付着量の初期設定を説明するためのフローチ
ャートである。
【図20】第1実施形態の作用を説明するための波形図
である。
【図21】第1の発明のクレーム対応図である。
【図22】第3の発明のクレーム対応図である。
【図23】第5の発明のクレーム対応図である。
【図24】第7の発明のクレーム対応図である。
【図25】第8と第13の各発明のクレーム対応図であ
る。
【図26】第11と第16の各発明のクレーム対応図で
ある。
【符号の説明】
1 エンジン本体 2a 吸気ポート 3 シリンダ 4 燃料噴射弁 5 クランク角センサ 6 エアフローメータ 11 コントロールユニット

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】充填効率が100%のときのシリンダ空気
    量を演算する手段と、 このシリンダ空気量を燃料噴射量単位に換算する手段
    と、 この換算した値シリンダ空気量相当の燃料噴射量として
    設定する手段と、 始動時かつ回転数の読み込みが不可能であるかどうかを
    判定する手段と、 この判定結果より始動時かつ回転数の読み込みが不可能
    であるときに前記設定した噴射量の燃料をシリンダまた
    はシリンダ近傍に供給する手段とを設けたことを特徴と
    するエンジンの空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】前記換算した値は始動時水温に応じた値で
    あることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】始動時かつ回転数の読み込みが可能となっ
    たかどうかを判定する手段と、 この判定結果より始動時かつ回転数の読み込みが可能と
    なったときこの読み込み可能となった回転数と空気量検
    出手段により検出される吸入空気量に基づいて基本噴射
    量を演算する手段と、 この基本噴射量に対して平滑化を行う手段と、 この平滑化した噴射量をシリンダ空気量相当の燃料噴射
    量として設定する手段と、 始動時かつ回転数の読み込みが可能となったとき前記設
    定した噴射量の燃料をシリンダまたはシリンダ近傍に供
    給する手段とを設けたことを特徴とするエンジンの空燃
    比制御装置。
  4. 【請求項4】前記平滑化係数をエンジン安定性から決ま
    るシリンダ空気量相当の燃料噴射量の要求変動率から決
    定することを特徴とする請求項3に記載のエンジンの空
    燃比制御装置。
  5. 【請求項5】始動後になったかどうかを判定する手段
    と、 この判定結果より始動後になったとき、このときの回転
    数と空気量検出手段により検出される吸入空気量に基づ
    いて基本噴射量を演算する手段と、 この基本噴射量に対して加重平均を行う手段と、 この加重平均した噴射量をシリンダ空気量相当の燃料噴
    射量として設定する手段と、 始動後になったとき前記設定した噴射量の燃料をシリン
    ダまたはシリンダ近傍に供給する手段とを設けたことを
    特徴とする請求項3または4に記載のエンジンの空燃比
    制御装置。
  6. 【請求項6】前記加重平均係数はエンジンの負荷と回転
    数に応じた値であることを特徴とする請求項5に記載の
    エンジンの空燃比制御装置。
  7. 【請求項7】運転条件に応じた基本噴射量を演算する手
    段と、 ポート壁面およびシリンダ内壁に付着する壁流燃料に関
    する過渡補正量を演算する手段と、 この過渡補正量で前記基本噴射量を補正して燃料噴射量
    を求める手段と、 この噴射量の燃料をエンジンに供給する手段とを設けた
    ことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  8. 【請求項8】シリンダ壁面に付着する壁流燃料が存在す
    るときに前記過渡補正量を演算する手段は、少なくとも
    エンジン温度に基づいてポート部平衡付着量を演算する
    手段と、エンジン温度と始動後時間に基づいてポート部
    分量割合を演算する手段と、前記ポート部平衡付着量と
    その時点でのポート部付着量との差を演算する手段と、
    少なくともエンジン温度に基づいてシリンダ内平衡付着
    量を演算する手段と、エンジン温度と始動後時間に基づ
    いてシリンダ内分量割合を演算する手段と、前記シリン
    ダ内平衡付着量とその時点でのシリンダ内付着量との差
    を演算する手段と、このシリンダ内付着量差と前記シリ
    ンダ内分量割合とに基づいてシリンダ内付着速度を演算
    する手段と、燃料噴射に同期して今回噴射時の前記シリ
    ンダ内付着速度を今回噴射前の前記シリンダ内付着量に
    加算することによりシリンダ内付着量を更新する手段
    と、前記ポート部付着量差、前記ポート部分量割合、前
    記シリンダ内平衡付着量および前記シリンダ内分量割合
    に基づいてポート部付着速度を演算する手段と、燃料噴
    射に同期して今回噴射時の前記ポート部付着速度を今回
    噴射前の前記ポート部付着量に加算することによりポー
    ト部付着量を更新する手段と、前記ポート部付着速度、
    前記シリンダ内付着量および前記シリンダ内分量割合に
    基づいて過渡補正量を演算する手段とからなることを特
    徴とする請求項7に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  9. 【請求項9】始動初回の燃料噴射時だけ始動初回の燃料
    噴射量と始動時水温に基づいて前記シリンダ内付着速度
    および前記ポート部付着速度を演算することを特徴とす
    る請求項8に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  10. 【請求項10】回エンジン停止時の冷却水温に基づいて
    前記シリンダ内付着量および前記ポート部付着量の残存
    量を推定し、その推定値を前記シリンダ内付着量および
    前記ポート部付着量の初期値として設定することを特徴
    とする請求項8に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  11. 【請求項11】シリンダ壁面に付着する壁流燃料が存在
    しなくなったときに前記過渡補正量を演算する手段は、
    エンジン負荷、エンジン回転数および温度に基づいてポ
    ート部平衡付着量を演算する手段と、エンジン負荷、エ
    ンジン回転数および温度に基づいてポート部分量割合を
    演算する手段と、前記ポート部平衡付着量とその時点で
    のポート部付着量との差を演算する手段と、このポート
    部付着量差と前記ポート部分量割合とに基づいてポート
    部付着速度を演算する手段と、燃料噴射に同期して今回
    噴射時の前記ポート部付着速度を今回噴射前の前記ポー
    ト部付着量に加算することによりポート部付着量を更新
    する手段と、前記ポート部付着速度を前記過渡補正量と
    して演算する手段とからなることを特徴とする請求項8
    から10までのいずれか一つに記載のエンジンの空燃比
    制御装置。
  12. 【請求項12】ポート壁面およびシリンダ壁面に付着す
    る壁流燃料に関する過渡補正量を演算する手段と、この
    過渡補正量で前記シリンダ空気量相当の燃料噴射量を補
    正する手段とを設けたことを特徴とする請求項1から6
    までのいずれか一つに記載のエンジンの空燃比制御装
    置。
  13. 【請求項13】シリンダ壁面に付着する壁流燃料が存在
    するときに前記過渡補正量を演算する手段は、少なくと
    もエンジン温度に基づいてポート部平衡付着量を演算す
    る手段と、エンジン温度と始動後時間に基づいてポート
    部分量割合を演算する手段と、前記ポート部平衡付着量
    とその時点でのポート部付着量との差を演算する手段
    と、少なくともエンジン温度に基づいてシリンダ内平衡
    付着量を演算する手段と、エンジン温度と始動後時間に
    基づいてシリンダ内分量割合を演算する手段と、前記シ
    リンダ内平衡付着量とその時点でのシリンダ内付着量と
    の差を演算する手段と、このシリンダ内付着量差と前記
    シリンダ内分量割合とに基づいてシリンダ内付着速度を
    演算する手段と、燃料噴射に同期して今回噴射時の前記
    シリンダ内付着速度を今回噴射前の前記シリンダ内付着
    量に加算することによりシリンダ内付着量を更新する手
    段と、前記ポート部付着量差、前記ポート部分量割合、
    前記シリンダ内平衡付着量および前記シリンダ内分量割
    合に基づいてポート部付着速度を演算する手段と、燃料
    噴射に同期して今回噴射時の前記ポート部付着速度を今
    回噴射前の前記ポート部付着量に加算することによりポ
    ート部付着量を更新する手段と、前記ポート部付着速
    度、前記シリンダ内付着量および前記シリンダ内分量割
    合に基づいて過渡補正量を演算する手段とからなること
    を特徴とする請求項12に記載のエンジンの空燃比制御
    装置。
  14. 【請求項14】始動初回の燃料噴射時だけ始動初回の燃
    料噴射量と始動時水温に基づいて前記シリンダ内付着速
    度および前記ポート部付着速度を演算することを特徴と
    する請求項13に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  15. 【請求項15】回エンジン停止時の冷却水温に基づいて
    前記シリンダ内付着量および前記ポート部付着量の残存
    量を推定し、その推定値を前記シリンダ内付着量および
    前記ポート部付着量の初期値として設定することを特徴
    とする請求項13に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  16. 【請求項16】シリンダ壁面に付着する壁流燃料が存在
    しなくなったときに前記過渡補正量を演算する手段は、
    エンジン負荷、エンジン回転数および温度に基づいてポ
    ート部平衡付着量を演算する手段と、エンジン負荷、エ
    ンジン回転数および温度に基づいてポート部分量割合を
    演算する手段と、前記ポート部平衡付着量とその時点で
    のポート部付着量との差を演算する手段と、このポート
    部付着量差と前記ポート部分量割合とに基づいてポート
    部付着速度を演算する手段と、燃料噴射に同期して今回
    噴射時の前記ポート部付着速度を今回噴射前の前記ポー
    ト部付着量に加算することによりポート部付着量を更新
    する手段と、前記ポート部付着速度を前記過渡補正量と
    して演算する手段とからなることを特徴とする請求項1
    3から15までのいずれか一つに記載のエンジンの空燃
    比制御装置。
  17. 【請求項17】未燃分補正率で前記シリンダ空気量相当
    の燃料噴射量を増量補正することを特徴とする請求項1
    から6まで、12から16までのいずれか一つに記載の
    エンジンの空燃比制御装置。
  18. 【請求項18】未燃分補正率で前記基本噴射量を増量補
    正することを特徴とする請求項7から11までのいずれ
    か一つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
  19. 【請求項19】前記シリンダ内付着速度を演算する際に
    用いるシリンダ内付着量を前記未燃分補正率で増量補正
    しかつ前記ポート部付着速度を演算する際に用いるシリ
    ンダ内付着量を前記未燃分補正率で減量補正することを
    特徴とする請求項8、9、10、11、18のいずれか
    一つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
  20. 【請求項20】前記シリンダ内付着量を増量補正する際
    の未燃分補正率を未燃分のシリンダ内残存率で補正する
    ことを特徴とする請求項19に記載のエンジンの空燃比
    制御装置。
  21. 【請求項21】安定性補正率で前記シリンダ空気量相当
    の燃料噴射量を増量補正することを特徴とする請求項1
    から6まで、12から17まで、19、20のいずれか
    一つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
  22. 【請求項22】安定性補正率で前記基本噴射量を増量補
    正することを特徴とする請求項7から11まで、18の
    いずれか一つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
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