JPH113648A - 開閉器および開閉器のクロスバーの製造方法 - Google Patents

開閉器および開閉器のクロスバーの製造方法

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JPH113648A
JPH113648A JP15385397A JP15385397A JPH113648A JP H113648 A JPH113648 A JP H113648A JP 15385397 A JP15385397 A JP 15385397A JP 15385397 A JP15385397 A JP 15385397A JP H113648 A JPH113648 A JP H113648A
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JP
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crossbar
weight
contact
switch
strength
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JP15385397A
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Inventor
Shunichi Katsube
俊一 勝部
Kazunori Fukutani
和則 福谷
Toshikazu Uemoto
利和 上元
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開閉器のクロスバーの強度とクリープ特性を
向上させ、信頼性の高い開閉器を得ると共にクロスバー
の製造方法を提供する。 【解決手段】 フェノール樹脂26〜35重量%、ガラ
ス繊維41〜49重量%、無機質21〜29重量%の組
成からなる材料を金型の長手方向端部より注入して成形
することにより、高温クリープ特性を有し、かつ、強度
を有するモールドクロスバー30が得られる。また、軸
係合部、側壁部およびバリア部を一体成形することによ
り、部品点数および組立工程数が減少し、高品質の開閉
器を低コストで製造できる。さらに、無機質としてクレ
ーを用いることにより、クロスバー30の長期耐熱強度
をより一層向上させることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開閉器、特に強度
およびクリープ特性に優れたクロスバーを備えた開閉器
とクロスバーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、特開平5−28899号公報に
記載された従来の回路遮断器の、開閉操作機構部を有す
る極の閉路(オン)状態を示す断面図である。図におい
て、1はベース1aとカバー1bからなる遮断器ケー
ス、2はベース1aに固定した電源側の固定導体、3は
固定導体2に固着した固定接点、4は可動接点、5は可
動接点4を固着した可動接触子、6は可動接触子5を接
続導体7を介してヒータ8に接続するための可とう導
体、9はヒータ8に接続した負荷側の固定導体、10は
可動接触子5を保持するコンタクトアームで、後述の開
閉操作機構が連ぱんされる第一のコンタクトアーム10
aと可動接触子5がピン11により回転可能に支持され
る第二のコンタクトアーム10bとに分割形成されてい
る。12はコンタクトアーム10の支軸で、第一のコン
タクトアーム10aと第二のコンタクトアーム10bと
がそれぞれ回転可能に支持されている。13はクロスバ
ーで、クランプ14によって、各極のコンタクトアーム
10aにかしめ固着で連結されている。15は、絶縁バ
リアで、極間の見通しをなくすようクロスバー13に固
着されている。16は、異常電流を検出し、動作する引
き外し装置、17は可動接触子5と第二のコンタクトア
ーム10bとの間に設けた接圧ばねである。18は遮断
器の操作ハンドル、19は遮断器の開閉操作機構で、2
0はストッパーピン、21は開閉操作機構19を第一の
コンタクトアーム10aに連ぱんするための連結ピンで
ある。
【0003】図5に示す閉路(オン)状態から、固定導
体2及びこれに固着された固定接点3を取り去ると、可
動接触子5は、コンタクトアーム10を介して、開閉操
作機構19によって、さらに押し込まれた位置で静止す
る。この時の可動接点4の移動量がオーバートラベル量
で、オーバートラベルは、通常接点の厚さの1〜2倍程
度である。これは、開閉操作の繰り返しや電流開閉時の
アークによって、接点が機械的および電気的に磨耗、消
耗した場合でも接触の安定性を得るために設けられてい
るものである。
【0004】次に、動作について説明する。閉路状態で
は、電源側固定導体2、固定接点3、可動接点4、可動
接触子5、可とう導体6、接続導体7、ヒータ8、負荷
側固定導体9の方向に電流が流れる。操作ハンドル18
をオフ操作(図5の矢印50方向に操作)すると、開閉
操作機構19により、コンタクトアーム10が持ち上げ
られて可動接触子5と共に可動接点4が図6に示すよう
に固定接点3より開離する。また、閉路状態で過電流が
流れると、引き外し装置16が検出、動作し、開閉操作
機構19を動作させ、可動接点4が固定接点3より開離
する。短絡事故等の大電流が流れると、固定導体2と可
動接触子5との間、及び固定接点3と可動接点4との間
に電磁反発力が発生し、引き外し装置16の動作を待た
ず、瞬時に可動接触子5が反発開離する。その結果、コ
ンタクトアーム10はピン11を介して回転力を受け、
支軸12を中心に回転し、ストッパーピン20に衝突す
る。その後、引き外し装置16が動作し、開閉操作機構
19を動作させ、回路遮断器が開路(トリップ)する。
これら一連の動作は、数10ミリ秒のうちに完了する。
上記のような電磁反発力は、各極一様でない。そのた
め、各極を連結するクロスバー13には、ねじり力が加
わる。また、コンタクトアーム10がストッパーピン2
0に衝突した後の反作用で逆向きの回転力を受けると、
クロスバー13は、更に大きなねじり力を受けることに
なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の回
路遮断器では、各極を連結するクロスバー13は、ねじ
り力に対する強度及び各極間の絶縁性を確保するため、
金属角棒の全外周面を絶縁成型物で覆ったり、図7に示
すように絶縁バリア15を固着するなどしている。ま
た、コンタクトアーム10とクランプ14をかしめ固着
することにより各極を連結するため、部品数や組立作業
工程の多さに課題があった。一方、小型の回路遮断器に
適用するものとして、例えばフェノール樹脂45重量
%、ガラス繊維45重量%、炭酸カルシウム10重量%
からなる組成材料や、フェノール樹脂45重量%、ガラ
ス繊維40重量%、炭酸カルシウム15重量%の組成材
料からなるクロスバーが一体成形されたものもあった。
しかしながら、回路遮断器の外形寸法や遮断容量が増大
すると、強度又はクリープ特性に支障をきたすという問
題があった。例えば、定格電流が大きい回路遮断器な
ど、クロスバーの全長が長くなるとねじりモーメントが
大きくなり、クリープにより、クロスバーの両端側の反
りが大きくなり、接点の磨耗、消耗がなくてもオーバー
トラベル量が減少し、通電の信頼性が損なわれる。ま
た、短絡電流遮断時の電磁反発力により発生するねじれ
力により、一体成形したクロスバーに破断や亀裂が生じ
るという問題があった。
【0006】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、開閉器のクロスバーの強度とク
リープ特性を向上させ、信頼性に優れたクロスバーを有
する開閉器並びにその製造方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる開閉器
は、固定導体に固着された第1の接点と、この第1の接
点に対して相対的に移動し、第1の接点に接離する第2
の接点を有する可動接触子と、複数の可動接触子を軸支
するクロスバーを備え、このクロスバーの組成が、フェ
ノール樹脂26〜35重量%、ガラス繊維41〜49重
量%、無機質21〜29重量%からなるものである。ま
た、クロスバーは、軸係合部、可動接触子を固定するた
めの側壁部およびこの側壁部相互間を絶縁するためのバ
リア部を有し、軸係合部、側壁部およびバリア部は一体
成形されているものである。さらに、無機質として、ク
レーを用いるものである。また、本発明に係わる開閉器
のクロスバーの製造方法は、フェノール樹脂26〜35
重量%、ガラス繊維41〜49重量%、無機質21〜2
9重量%の組成からなる混合材料を、金型の長手方向端
部に位置する注入口より注入して成形する工程を含んで
製造するようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.以下に、本発明の実施の形態1である開
閉器の一例として、回路遮断器について説明する。図1
は、本発明の実施の形態1に係わるモールドクロスバー
を用いた回路遮断器の開閉操作機構部を有する極の閉路
状態を示す断面図である。図2は、モールドクロスバー
を示す斜視図である。図において、1はベース1aとカ
バー1bからなる遮断器ケース、2はベース1aに固定
した電源側の固定導体、3は固定導体2に固着した固定
接点、4は可動接点、5は可動接点4を固着した可動接
触子、7は接続導体、9はヒータ8に接続した負荷側の
固定導体である。16は、異常電流を検出し、動作する
引き外し装置、17は接圧ばね、18は遮断器の操作ハ
ンドル、19は遮断器の開閉操作機構、20はストッパ
ーピン、21は連結ピンである。30は、複数の可動接
触子5を軸支するモールドクロスバーであり、極間を絶
縁するためのバリア30A、軸係合部30Bおよび可動
接触子5を固定するクロスバー側壁30Cより構成され
ている。絶縁バリア30Aは、クロスバー側壁30C相
互間を絶縁するよう設けられているものである。
【0009】本実施の形態によるクロスバー30は、フ
ェノール樹脂が26〜35重量%、ガラス繊維が41〜
49重量%、無機質が21〜29重量%からなる組成、
好ましくはフェノール樹脂が28〜33重量%、ガラス
繊維が43〜47重量%、無機質が23〜27重量%か
らなる組成の材料を用いると、強度および耐クリープ性
に優れることを実験により見い出した。フェノール樹脂
の含有率が26重量%未満の場合、ガラス繊維とフェノ
ール樹脂との密着性が悪くなるため、クロスバー30の
強度が低下し、35重量%を越える場合、クロスバー3
0の耐クリープ性が低下すると推定される。また、ガラ
ス繊維が41重量%未満の場合、クロスバー30の強度
が低下し、49重量%を越えると、ガラス繊維とフェノ
ール樹脂との密着性が悪くなること、無機質の補強効果
が不十分となることから、クロスバー30の強度が低下
すると推定される。無機質が21重量%未満の場合、補
強効果が不十分となり、29重量%を越えると脆くな
り、いずれもクロスバーの強度が低下すると推定され
る。
【0010】フェノール樹脂は、熱可塑性樹脂や不飽和
ポリエステルと比較して、高温クリープ特性が優れる。
また、フェノール樹脂は、熱硬化性樹脂であるから、過
負荷電流が流れた時など導電部が異常発熱を生じた場合
にも、溶融することなく、部品形状を保持するという利
点がある。また、フェノール樹脂は、射出成形、圧縮成
形いずれにも対応可能であり、容易に成形できる利点を
有する。本発明に用いるフェノール樹脂は、ノボラック
系、レゾール系いずれでも良いが、成型品の寸法安定性
の点からノボラック系フェノール樹脂が望ましい。
【0011】本実施の形態にて用いるクロスバー30の
組成において、ガラス繊維は、強度を向上するために用
いる。ガラス繊維とは、ガラスからなる繊維状物質のこ
とをいい、周期律表1A族の金属の合計含有量の条件を
満たした化合物であれば、特に限定されない。ガラス素
材としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス
またはシリカガラスなどが挙げられる。一般的に知られ
るように、ガラス繊維の直径が6〜13μm、アスペク
ト比が10以上であることが耐衝撃強度向上の点から好
ましい。また、本実施の形態にて用いるクロスバー30
の組成において、無機質は、寸法安定性向上、強度向上
の補強のために用いられる。従来はほとんどの場合にお
いて、コスト面から炭酸カルシウムが使用されていた。
また、回路遮断器の製造メーカーは、材料メーカーで作
成された上述の従来例で説明したような組成、例えばフ
ェノール樹脂45重量%、ガラス繊維45重量%、炭酸
カルシウム10重量%の組成からなるクロスバーを使用
していた。一方、本発明の発明者らは、無機質として、
アルミナ、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、タルク、
カオリンなどを用いて検討し、長期耐熱強度保持性の点
からは、クレーが特に望ましいことを見い出した。
【0012】本実施の形態に係わるクロスバー30を製
造する際には、フェノール樹脂が26〜35重量%、ガ
ラス繊維が41〜49重量%、無機質が21〜29重量
%からなる組成の混合材を、金型の長手方向端部に位置
する注入口から注入して成形する。この製造方法によ
り、軸方向強度が高く、ねじり力に強いクロスバー30
が得られた。さらに、本実施の形態によるクロスバー3
0は、絶縁バリア30A、軸係合部30Bおよび可動接
触子5を固定するためのクロスバー側壁30Cを一体成
形するため、図5に示した従来例と比較して、絶縁バリ
ア15、コンタクトアーム10、クランプ14の部品が
不要となる。このため、部品数および組立工程が減少
し、強度およびクリープ特性に優れたクロスバー30が
低コストで製造できる効果がある。
【0013】
【実施例】
実施例1.以下、本発明の実施例を具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。本発明の開閉器に組み込むクロスバー30の製造方
法について説明する。なお、本実施例によるクロスバー
30およびこれを用いた回路遮断器の構成は、上述の実
施の形態1に示した図1および図2の回路遮断器および
クロスバー30と同様であるので、説明を省略する。
【0014】(サンプル例1−(1)〜(13)フェノ
ール材料の製造方法)100リットルニーダーにノボラ
ックフェノール、架橋剤、硬化助剤、離型剤、表面処理
剤を入れ、常温で10分間混練する。その後、ガラス繊
維、無機質としてアルミナ、炭酸カルシウム、またはク
レーを添加し、更に15分間混練する。混練時には、メ
タノールを適量加え、粘度調整を行う。次に、95度の
恒温槽で、100分間乾燥させる。続いて、メタノール
を適量加えながら、100リットルミキサーで造粒す
る。さらに、95度の恒温槽で、100分間乾燥させ
る。その後、常温で冷却する。
【0015】(サンプル例1−(1)〜(13)クロス
バーの成形)図3は、本発明の実施例1に係わるクロス
バー成形用の金型を示す図である。図において、40
は、上金型40Aおよび下金型40Bからなり、その内
部がクロスバー30に沿った形に形成された金型であ
る。41は、上金型40Aおよび下金型40Bにより形
成される混合材料の注入口である。上記の通り製造した
フェノール材料を、金型40の長手方向端部に位置する
注入口41から200トン射出成形機で、金型温度17
0度、シリンダー前部温度を80度、シリンダー後部温
度を70度、射出時間20秒の条件で成形する。成形し
たクロスバー30は、130度で2時間、さらに170
度で8時間熱処理を行った。このようにして、表1に示
すサンプル例1−(1)〜(13)を得た。
【0016】
【表1】
【0017】このように、金型40の長手方向端部に位
置する注入口41から混合材料を注入することにより、
ガラス繊維の方向がクロスバー30の軸方向に揃うの
で、クロスバー30の軸方向に対する強度が強くなる。
以下で説明するクロスバー30の成形についても同様の
金型40を用いて同様の方向から混合材料を注入する。
一方、従来は、成形されるクロスバー30の長手方向以
外から注入していたので、特に注入口近傍のクロスバー
部分、例えばクロスバー側壁30Cの強度が弱かった。
【0018】(比較例2−(1)の製造方法および成
形)まず、不飽和ポリエステル、スチレンビーズ、スチ
レンモノマー、有機過酸化物、離型剤、増粘剤、カーボ
ンブラック、炭酸カルシウムを40度に保持したニーダ
ーに入れ、40分間混練した。その後、この混練物にガ
ラス繊維を加え、更に5分間混練した。次に、ニーダー
から混練物を取り出し、室温で冷却した。その後、冷却
した混練物をポリエチレン袋で密封し、20度の恒温室
で72時間保持し、成形材料とした。上記の通り製造し
たポリエステル材料を、100トン圧縮成形機で、金型
温度150度、型締め速度16秒、硬化圧力150kg/
cm2 の条件で成形した。
【0019】(比較例2−(2)の製造方法および成
形)比較例2−(2)は、サンプル例1−(1)〜(1
3)と同様に成形材料を製造し、同様の条件で成形を行
った。ただし、成形材料として、無機質は加えなかっ
た。このようにして、表2に示すように比較例2−
(1)、2−(2)を得た。
【0020】
【表2】
【0021】次に、試験方法と判定方法および結果につ
いて述べる。 (短絡遮断試験)サンプル例1−(1)〜(13)およ
び比較例2−(1)〜(2)を上述の方法で成形したク
ロスバー30を用いて、回路遮断器(400アンペアフ
レーム)を組立、短絡遮断試験を実施した。条件は、3
相460V/50KAの短絡回路とし、JIS−C83
70に基づき、アーク電流を遮断でき、遮断後の回路遮
断器の内部部品や筐体に破損や亀裂がないことをもって
合格とした。
【0022】(高温クリープ試験)サンプル例1−
(1)〜(13)および比較例2−(1)〜(2)を上
述の方法で成形したクロスバー30を用いて、回路遮断
器(400アンペアフレーム)を組立、高温クリープ試
験を実施した。試験は、回路遮断器を閉路状態で、13
5度の恒温槽に、4000時間放置した後取り出し、各
極の可動接点4のオーバートラベル量を測定した。この
試験の目的は、以下に示す通りである。クリープ特性
は、応力が加わる時間に比例し、高温になると加速され
る。また、変形量は応力が加わっている限り、飽和する
ことはなく、最終的にはクリープ破壊に至る。
【0023】図1に示す回路遮断器の構造では、閉路状
態にした時、クロスバー30に加わる応力は、オーバー
トラベル量を減少させる方向に働く。回路遮断器の場
合、使用される期間は、通常10〜15年である。この
間、高温でオン状態が維持されたならば、クリープ性の
悪い材料のクロスバー30を使用した場合、オーバート
ラベル量が減少し続け、接点の接触圧力がほとんどなく
なり、通電の信頼性を損なう。そのため、135度、4
000時間のクリープ特性の結果から、20年後のオー
バートラベル量の減少を推定し、接点の厚さを基準値と
し、それ以下の場合を良好と判定した。
【0024】短絡遮断試験結果および高温クリープ試験
結果を表1、表2に示す。クロスバー30成型品中のフ
ェノール樹脂量が26重量%未満の場合、ガラス繊維と
樹脂との密着性が悪く、対衝撃強度が低下し、短絡遮断
の衝撃によって、クロスバー30に亀裂を生じた。ま
た、クロスバー30成型品中のフェノール樹脂量が35
重量%を越える場合、高温クリープ試験において、基準
値を越えるクリープ変形をした。クロスバー30成型品
中のガラス繊維量が41重量%未満の場合、対衝撃強度
が低下し、短絡遮断の衝撃によって、クロスバー30に
亀裂が生じた。また、クロスバー30成型品中のガラス
繊維量が49重量%を超える場合、ガラス繊維と樹脂と
の密着性が不十分となり、かつ無機質の補強効果が不十
分となり、短絡遮断後、クロスバー30に亀裂を生じ
た。
【0025】クロスバー30成型品中の無機質が21重
量%未満の場合、無機質の補強効果が不十分となり、短
絡遮断の衝撃によって、クロスバー30に亀裂を生じ
た。クロスバー30成型品中の無機質が29重量%を超
える場合、クロスバー30成型品が脆くなり、短絡遮断
の衝撃によって、クロスバー30に亀裂を生じた。比較
例2−(1)として試験を実施した不飽和ポリエステル
で成形したクロスバー30は、高温クリープが基準を満
たさなかった。同じく、NBRゴムで変成したフェノー
ルで成形した比較例2−(2)のクロスバー30は、N
BRゴムのクリープ性が悪く、高温クリープが基準を満
たさなかった。
【0026】以上は、短絡遮断試験および高温クリープ
試験結果として、共に合格および不合格の判定をする場
合について説明した。以下は、高温クリープ試験の定性
的な実験結果について説明する。図4は、本発明および
従来のクロスバーのクリープ量と時間との関係を示す図
である。図において、横軸は時間、縦軸はクリープ量で
あり、曲線G1は従来例のクリープ曲線、曲線G2はサ
ンプル1−(9)すなわちフェノール樹脂が35重量%
の時のクリープ曲線、曲線G3はサンプル1−(8)す
なわちフェノール樹脂が26重量%の時のクリープ曲線
である。本発明によるクロスバーでは、クリープ量が従
来の1/2〜1/3程度であった。つまり、従来品と比
較して、格段に耐クリープ特性に優れていることが明ら
かである。
【0027】実施例2.上述の実施例1では、無機質の
種類に関して特に言及していないが、実施例2では、無
機質としてクレーを選択し、さらに特性の優れるクロス
バー30を作成する場合について説明する。
【0028】(サンプル例3−(1)フェノール材料の
製造方法)100リットルニーダーにノボラックフェノ
ール、架橋剤、硬化助剤、離型剤、表面処理剤を合わせ
て30重量%入れ、常温で10分間混練する。その後、
ガラス繊維を45重量%、無機質としてクレーを25重
量%添加し、更に15分間混練する。混練時には、メタ
ノールを適量加え、粘度調整を行う。次に、95度の恒
温槽で、100分間乾燥させる。続いて、メタノールを
適量加えながら、100リットルミキサーで造粒する。
さらに、95度の恒温槽で、100分間乾燥させる。そ
の後、常温で冷却する。
【0029】(サンプル例3−(1)クロスバーの成
形)上記の通り製造したフェノール材料を、松田200
トン射出成形機で、金型温度170度、シリンダー前部
温度を80度、シリンダー後部温度を70度、射出時間
20秒の条件で成形する。成形したクロスバー30は、
130度で2時間、さらに170度で8時間熱処理を行
った。
【0030】(比較例4−(1)の製造方法および成
形)比較例4−(1)は、100リットルニーダーにノ
ボラックフェノール、架橋剤、硬化助剤、離型剤、表面
処理剤を合わせて30重量%入れ、常温で10分間混練
する。その後、ガラス繊維を45重量%、無機質として
炭酸カルシウムを25重量%添加し、更に15分間混練
する。混練時には、メタノールを適量加え、粘度調整を
行う。次に、95度の恒温槽で、100分間乾燥させ
る。続いて、メタノールを適量加えながら、100リッ
トルミキサーで造粒する。さらに、95度の恒温槽で、
100分間乾燥させる。その後、常温で冷却する。成形
は、サンプル例3−(1)と同様に行った。以上のよう
にして、表3に示すサンプル例3−(1)および比較例
4−(1)を得た。
【0031】
【表3】
【0032】(長期耐熱処理後の短絡遮断試験)サンプ
ル例3−(1)および比較例4−(1)のクロスバー3
0を用いて、回路遮断器(400アンペアフレーム)を
組立、これを140度の恒温槽に2800時間放置した
後、取り出し、短絡遮断試験を実施した。条件は、3相
460V/50KAの短絡回路とし、JIS−C837
0に基づき、アーク電流を遮断でき、遮断後の回路遮断
器の内部部品や筐体に破損や亀裂がないことをもって合
格とした。
【0033】長期耐熱処理後の短絡遮断試験の結果を表
3に示す。無機質に炭酸カルシウムを用いた比較例4−
(1)の場合、長期耐熱処理後の短絡遮断試験にてクロ
スバー30に亀裂を生じた。一方、本発明の無機質にク
レーを用いたサンプル例3−(1)のクロスバー30
は、亀裂破損などがなく、良好であった。これは、無機
質に炭酸カルシウムを用いた場合、酸素の存在下で高温
にさらされると、炭酸カルシウムに含有されている重金
属酸化物がフェノール樹脂のメチレン結合を酸化し、ヒ
ドロペルオキシドを生成し、これがラジカル的に酸化を
促進し、フェノール樹脂を分解して強度低下をもたらす
ものである。無機質にクレーを用いる場合、ヒドロペル
オキシドの生成が極めて少ないと推定され、クロスバー
30の強度低下が少ないものである。
【0034】なお、本実施例では、クレーが25重量%
の場合について説明したが、無機質が21〜29重量%
の時には、長期耐熱処理後の短絡遮断試験に対して、破
損や亀裂の発生がなく良好であった。
【0035】また、上述の実施の形態および実施例で
は、フェノール樹脂が26〜35重量%、ガラス繊維が
41〜49重量%、無機質が21〜29重量%からなる
組成の材料を開閉器、例えば回路遮断器のクロスバー3
0に適用する場合について説明したが、本発明の技術分
野としては、開閉器に限らず、高温クリープ特性を有
し、かつ強度の優れた有機材料として、広範囲に有効な
ものである。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、開閉器
のクロスバーを、フェノール樹脂26〜35重量%、ガ
ラス繊維41〜49重量%、無機質21〜29重量%の
組成からなる材料で構成したので、高温クリープ特性を
有し、かつ、強度の優れたクロスバーが得られ、開閉器
の信頼性が向上する効果がある。
【0037】また、クロスバーは、軸係合部、側壁部お
よびバリア部を一体成形されているので、部品点数およ
び組立工程数が減少し、高品質の開閉器を低コストで製
造できる効果がある。
【0038】さらに、無機質としてクレーを用いること
により、開閉器のクロスバーの長期耐熱強度がより一層
向上する。
【0039】また、混合材を金型の長手方向端部の注入
口より注入してクロスバーを成形するようにしたので、
クロスバーの軸方向の強度が高いものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係わるモールドクロ
スバーを用いた回路遮断器の、開閉操作機構部を有する
極の閉路状態を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係わるモールドクロ
スバーを示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施例1に係わるクロスバー成形用
の金型を示す図である。
【図4】 本発明および従来のクロスバーのクリープ量
と時間との関係を示す図である。
【図5】 従来の回路遮断器の開閉操作機構部を有する
極の閉路状態を示す断面図である。
【図6】 従来の回路遮断器の開閉操作機構部を有する
極の開路状態を示す断面図である。
【図7】 従来のクロスバーを示す構造図である。
【符号の説明】
1 遮断器ケース、1a ベース、1b カバー、2
電源側の固定導体、3 固定接点、4 可動接点、5
可動接触子、6 可とう導体、7 接続導体、8 ヒー
タ、9 負荷側固定導体、10 コンタクトアーム、1
1 ピン、12 支軸、13 クロスバー、14 クラ
ンプ、15 絶縁バリア、16 引き外し装置、17
接圧ばね、18 操作ハンドル、19 開閉操作機構、
20 ストッパーピン、21 連結ピン、30 クロス
バー、30A 絶縁バリア、30B 軸係合部、30C
クロスバー側壁、40 金型、40A 上金型、40
B 下金型、41 注入口。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定導体に固着された第1の接点、 この第1の接点に対して相対的に移動し、上記第1の接
    点に接離する第2の接点を有する可動接触子、 複数の上記可動接触子を軸支するクロスバーを備え、こ
    のクロスバーの組成が、フェノール樹脂26〜35重量
    %、ガラス繊維41〜49重量%、無機質21〜29重
    量%であることを特徴とする開閉器。
  2. 【請求項2】 クロスバーは、軸係合部、可動接触子を
    固定するための側壁部およびこの側壁部相互間を絶縁す
    るためのバリア部を有し、上記軸係合部、側壁部および
    バリア部は一体成形されていることを特徴とする請求項
    1記載の開閉器。
  3. 【請求項3】 無機質は、クレーであることを特徴とす
    る請求項1または2記載の開閉器。
  4. 【請求項4】 フェノール樹脂26〜35重量%、ガラ
    ス繊維41〜49重量%、無機質21〜29重量%の組
    成からなる混合材料を、金型の長手方向端部に位置する
    注入口より注入して成形する工程を含むことを特徴とす
    る開閉器のクロスバーの製造方法。
JP15385397A 1997-06-11 1997-06-11 開閉器および開閉器のクロスバーの製造方法 Pending JPH113648A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4664595A (en) * 1983-09-30 1987-05-12 Ebara Corporation Combination of slide members
US6570481B2 (en) 2000-04-14 2003-05-27 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Circuit breaker

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US4664595A (en) * 1983-09-30 1987-05-12 Ebara Corporation Combination of slide members
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