JPH1136141A - 嵩高複合繊維およびこの繊維を用いた繊維成形体 - Google Patents

嵩高複合繊維およびこの繊維を用いた繊維成形体

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JPH1136141A
JPH1136141A JP20376297A JP20376297A JPH1136141A JP H1136141 A JPH1136141 A JP H1136141A JP 20376297 A JP20376297 A JP 20376297A JP 20376297 A JP20376297 A JP 20376297A JP H1136141 A JPH1136141 A JP H1136141A
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fiber
bulky
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resin
conjugate fiber
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JP20376297A
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Yasuhiro Yabuuchi
康弘 藪内
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】嵩高度、嵩高圧縮弾性率等の優れた嵩高複合繊
維とこの繊維を用いた圧縮残留歪み率、繰り返し圧縮回
復率に優れる繊維成形体を提供する。 【解決手段】融点差が少なくとも10℃以上である低融
点樹脂と高融点樹脂で構成され、かつ該高融点樹脂が繊
維表面円周比の少なくとも50%を占め、かつ捲縮を有
する単糸繊度1.6〜556texの熱可塑性複合繊維で
あって、該熱可塑性複合繊維は下記式(I)および(I
I)の関係を同時に満たしていることを特長とする嵩高
複合繊維、およびこれを用いた繊維成形体。 B/A≧0.8 ・・・(I) B/C≧20 ・・・(II) ただし、式(I)および(II)においてAは捲縮コイル
の幅であり、Bは捲縮コイルの直径であり、Cは伸長し
て捲縮コイルを消失したときの単糸直径である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、嵩高度や嵩高圧縮
弾性率などに優れる捲縮を有する嵩高複合繊維およびそ
の繊維を用いた繰り返し圧縮残留歪み率、繰り返し圧縮
回復率などに優れる繊維成形体などに関する。
【0002】
【従来の技術】衣料用では、ポリエチレンテレフタレー
ト長繊維やポリアミド長繊維、ポリプロピレン長繊維な
どのマルチフィラメント1種類または数種類を仮撚加工
して嵩高な長繊維糸条を製造することが一般によく知ら
れている。また、特公昭62ー52056号公報、特公昭62ー520
57号公報ではモノフィラメントを加撚−解撚して立体カ
ールフィラメントを得る方法が提案されている。しか
し、前述のような単一樹脂よりなる繊維を仮撚加工した
物は嵩高性の改良はされているが伸縮性や嵩高圧縮弾性
率が劣るという特徴がある。
【0003】また、特開昭52ー8153号公報、特開平2ー269
32号公報などに複合繊維を用いた熱可塑性複合繊維が提
案されている。特開平2-26932号公報には低収縮性ポリ
アミドと高収縮性ポリアミド系共重合体からなる並列
型、偏心鞘芯型の自己捲縮を有する潜在捲縮性複合長繊
維が開示されている。さらに、特開平1ー272823には融点
差が20℃以上ある2種類の樹脂からなる複合繊維で立
体カールフィラメントを製造する方法が提案されてい
る。このような収縮率の異なる2種類の樹脂で構成され
る熱可塑性複合長繊維から得られる嵩高複合繊維は、単
一樹脂を紡出して得られた繊維の仮撚加工糸に比べ捲縮
山数が極めて多くかつ均一であり、捲縮堅牢度に優れて
いる。
【0004】しかし前記熱可塑性複合長繊維から得られ
る嵩高複合繊維は、フィラメント数が多いとフィラメン
トが重なり合って捲縮を発生してしまい嵩高にならな
い、フィラメント間の摩擦力により捲縮の発生がじゃま
される、デニールが小さいと捲縮の発生が十分でない、
などの状態になり、期待したような嵩高性、嵩高圧縮弾
性率に優れた嵩高複合繊維は得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、嵩高度や嵩
高圧縮弾性率などに優れる捲縮を有した嵩高複合繊維を
提供することにある。さらに、該嵩高複合繊維で構成さ
れ繊維同士が接着された嵩高な繊維成形体を提供するこ
とにある。本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究
を重ねた結果、熱可塑性複合長繊維を、高融点樹脂が繊
維表面円周上の少なくとも50%をしめる繊維断面構造
とすることにより上記課題を解決できる見通しを得て、
本発明を完成するにいたった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成をとる。 (1)融点差が少なくとも10℃以上である低融点樹脂
と高融点樹脂で構成され、かつ該高融点樹脂が繊維表面
円周比の少なくとも50%を占め、かつ捲縮を有する単
糸繊度1.6〜556texの熱可塑性複合繊維であっ
て、該熱可塑性複合繊維は下記式(I)および(II)の
関係を同時に満たしていることを特長とする嵩高複合繊
維。 B/A≧0.8 ・・・(I) B/C≧20 ・・・(II) ただし、式(I)および(II)においてAは捲縮コイル
の幅であり、Bは捲縮コイルの直径であり、Cは伸長し
て捲縮コイルを消失したときの単糸直径である。 (2)嵩高圧縮弾性率が60〜100%である(1)項
に記載の嵩高複合繊維。 (3)熱可塑性複合繊維がポリオレフィン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が用
いられた繊維である(1)に記載の嵩高複合繊維。 (4)低融点樹脂が、プロピレン99〜85重量%(以
下単に%と略す)とエチレン1〜15%のオレフィン系
二元共重合体である(1)項に記載の嵩高複合繊維。 (5)低融点樹脂が、プロピレン99〜50%と1−ブ
テンが1〜50%のオレフィン系二元共重合体である
(1)項に記載の嵩高複合繊維。 (6)低融点樹脂が、プロピレン、84%〜97%、エ
チレン1〜10%および1−ブテンが1〜15%のオレ
フィン系三元共重合体である(1)項にに記載の嵩高複
合繊維。 (7)繊維長が30〜140mmである(1)項に記載
の嵩高複合繊維。 (8)(1)項から(7)項のいずれかに記載された嵩
高複合繊維を少なくとも40重量%含む繊維成形体。 (9)構成する繊維同士が接着固定された(8)項に記
載の繊維成形体。 (10)繰り返し圧縮回復率が80%以上で、繰り返し
圧縮残留歪み率が12%以下である(8)または(9)
項に記載の繊維成形体。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明の嵩高複合繊維は、融点差が少なくとも10℃以上
である低融点樹脂と高融点樹脂で構成され、かつ該高融
点樹脂が繊維表面円周比の少なくとも50%を占め、か
つ捲縮を有する熱可塑性複合繊維であり、捲縮コイルの
幅や捲縮コイルの直径、単糸直径などが指定の関係を有
し、伸縮伸張率、嵩高圧縮弾性率などに優れた嵩高複合
繊維である。また、本発明の繊維成形体は、前記嵩高複
合繊維を少なくとも40重量%含み繊維同士が固定され
た、繰り返し圧縮回復率、繰り返し圧縮残留歪み率に優
れた繊維成形体である。
【0008】本発明の嵩高複合繊維の原料となる熱可塑
性樹脂は各種のポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑
性ポリエステル、ポリアミドなどを例示でき、とりわけ
好ましくはポリオレフィンである。複合繊維の組み合わ
せの例として、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、
直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポ
リエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のαオレ
フィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロ
ピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種の
ポリエチレン/熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレン
/熱可塑性ポリエステル、プロピレンと他のαオレフィ
ンとの二元共重合体または三元共重合体/熱可塑性ポリ
エステル、低融点熱可塑性ポリエステル/熱可塑性ポリ
エステル、各種のポリエチレン/ナイロン6、ポリプロ
ピレン/ナイロン6、プロピレンと他のαオレフィンと
の二元共重合体または三元共重合体/ナイロン6、ナイ
ロン6/ナイロン66、ナイロン6/熱可塑性ポリエス
テルなどを挙げることができる。
【0009】これらの中ではポリオレフィン同士若しく
はポリオレフィンとポリエステルからなる組み合わせが
好ましく、その具体例としては高密度ポリエチレン/ポ
リプロピレン、エチレン・プロピレン二元共重合体/ポ
リプロピレン、1−ブテンプロピレン二元共重合体/ポ
リプロピレン、エチレン・プロピレン・1−ブテン三元
共重合体/ポリプロピレンあるいは高密度ポリエチレン
/ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができ
る。
【0010】複合繊維を構成する樹脂が熱可塑性樹脂の
場合、融点が異なる樹脂、すなわち収縮率の異なる樹脂
を並列型、偏心鞘芯型に組み合わせると自己捲縮能力の
ある複合繊維を得ることができる。このような複合繊維
では低融点樹脂の熱収縮が開始する温度以上、高融点樹
脂の融点以下で熱処理を行うとコイル状の捲縮を発生す
る。また、複合繊維を緊張させた状態から急激に緩和さ
せると同様のコイル状の捲縮を発生する。前者は高融点
樹脂と低融点樹脂の間での熱収縮力の差によって発生し
た捲縮であり、後者は、弾性収縮あるいは塑性変形によ
って発生する応力によって発生した捲縮である。
【0011】低融点樹脂の熱収縮が開始する温度付近で
熱処理を行うと、発生する熱収縮は低融点樹脂の方が大
きい。そのため低融点樹脂側に高融点樹脂が引っ張ら
れ、捲縮の外側が高融点樹脂、内側が低融点樹脂にな
る。また、両者の熱収縮率差が大きいほど捲縮は発生し
やすい。
【0012】高融点樹脂と低融点樹脂の熱収縮率差によ
り捲縮を発生させるため、自己発生した応力により両樹
脂が簡単に剥離を起こしてしまうと望まれる捲縮は得に
くい。そのため高融点樹脂と低融点樹脂は剥離しにくい
樹脂の組み合わせが望ましい。上記例示した樹脂の組み
合わせはいずれも剥離し難いが、この観点から最も好ま
しい組み合わせとして、ポリオレフィン同士、例えば高
密度ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン・プロピ
レン二元共重合体/ポリプロピレン、1−ブテン・プロ
ピレン二元共重合体/ポリプロピレン、エチレン・プロ
ピレン・1−ブテン三元共重合体/ポリプロピレン等を
挙げることができる。
【0013】繊維断面がほぼ円形であり、本発明のよう
に高融点樹脂が繊維表面円周比の少なくとも50%を占
める並列型、偏心鞘芯型複合繊維の場合、繊維断面の高
融点樹脂部分の形状は異形になるため(真円から離れて
いくため)発生する応力は分散する。低融点樹脂部分の
形状は円形に近くなり発生する応力は集中するため、両
者には応力差が生じやすくなる。
【0014】このような構造の捲縮は、繊維表面円周比
の少なくとも50%を占めかつ捲縮の外側に位置するよ
うに高融点樹脂を配置することによって捲縮を固定する
ことになり、外力に対して抵抗力が強く、嵩高度、嵩高
圧縮弾性率に優れる嵩高複合繊維が得られる。高融点樹
脂の繊維表面円周比は好ましくは55〜100%、さら
に好ましくは約60〜100%である。このような樹脂
の配置は、前述の式(I)、(II)を同時に満足する捲
縮を持った複合繊維を得るためには好ましい。高融点樹
脂の繊維表面円周比が50%未満の場合、嵩高性や伸縮
伸長性、嵩高圧縮弾性率などのいずれかが劣る。特に嵩
高圧縮弾性率が劣るようになる。
【0015】この場合の複合繊維に用いられる高融点樹
脂と低融点樹脂は、熱収縮率差が大きい樹脂を選択する
と捲縮を発生しやすい。この場合、高融点樹脂と低融点
樹脂の融点差が10℃以下であると熱収縮力差、熱収縮
量差が小さくなり捲縮が発生しにくくなる。また、両者
の面積比率を変更することで捲縮の発生を変化させるこ
とが可能である。すなわち、低融点樹脂成分比率を多く
(高融点樹脂成分を逆に少なく)すれば収縮応力差が大
きくなり捲縮が顕著になるのである。この結果、細かい
捲縮を生じ、逆にすれば粗い捲縮となる。
【0016】また本発明の嵩高複合繊維は、単糸繊度が
約1.6〜556texである。該複合繊維の用途が土木
資材の場合は3〜556tex、フィルター用途には約3
〜222tex、シートや椅子などの詰め物用、クッショ
ン用には1.7〜333texである。
【0017】本発明の嵩高複合繊維は、嵩高度が比容積
で約1.6〜9.0×10-23/kg、好ましくは約
1.7〜6.5×10-23/kg、さらに好ましくは約
1.8〜6.0×10-23/kgである。比容積が約
1.6×10-23/kg未満では嵩高性が不足したり耐
圧縮性能が劣るので使用分野が限定される。また本発明
の嵩高複合繊維は、嵩高圧縮弾性率が約60〜100
%、好ましくは約62〜98%、さらに好ましくは約6
3%〜96%である。嵩高圧縮弾性率が約60%未満で
あると高荷重下で使用されるような用途や、低荷重でも
長時間使用されるような用途には不向きである。
【0018】嵩高複合繊維の製造方法について説明す
る。融点差が少なくとも10℃以上である低融点樹脂と
高融点樹脂で構成し、重量比率が20/80〜80/2
0で、高融点樹脂が繊維表面円周比の少なくとも50%
を占めるように紡糸し得られた複合繊維未延伸糸を40
〜120℃で3〜9倍に延伸する。この場合の繊維断面
構造は図1に示すような並列型、偏芯鞘芯型が望まし
い。
【0019】低融点樹脂と高融点樹脂の重量比率(%)
は複合繊維の製造が可能な限り変更しても良いが、捲縮
の発現性や作業性などを考慮すると望ましくは20/8
0〜80/20であり、より好ましくは30/70〜7
0/30である。複合繊維の製造は紡糸、延伸が行いや
すい既知の方法が使用できる。用途により、着色剤、耐
光剤、難燃剤、抗菌剤などが添加されていても良い。
【0020】延伸した複合繊維を、無張力下で80〜1
50℃で熱処理し嵩高な捲縮を発生させ、嵩高複合繊維
を得る。その後、任意の繊維長に切断するが、任意の繊
維長に切断後捲縮を発現させても良い。なお、繊維長
は、ウエブ製造時のカードやエアレイド等の工程等で均
一なウエブを得る必要があるので約30〜140mmであ
ることが望ましい。発現した捲縮の一例を図2に示す。
紡糸、延伸、捲縮加工などは連続法でも不連続法でも良
いが、好ましくは連続法である。
【0021】本発明の嵩高複合繊維はまた、前述したよ
うな性能を有するために、図2に示すAおよびBの長さ
と単糸直径の関係が以下に示す両式を同時に満たすこと
を特徴としている。 B/A≧0.8 ・・・(I) B/C≧20 ・・・(II) ただし、式(I)および(II)においてAは捲縮コイル
の幅であり、Bは捲縮コイルの直径であり、Cは伸長し
て捲縮コイルを消失したときの単糸直径である。これら
の式は、本発明の嵩高複合繊維およびそれを用いた繊維
成形体が十分な力学的強度を持つ場合の好ましい捲縮の
形状を経験的に表したものである。すなわち、捲縮コイ
ルの幅(A)が密であっても捲縮コイルの直径(B)が
ある程度大きくないと繊維自体が嵩高なものとならず、
また、捲縮コイルの直径(B)がある程度大きくてもコ
イルの幅(A)が相対的に粗であると繊維の嵩高圧縮弾
性率が十分なものとならず、このような繊維を用いた場
合十分な繰り返し圧縮回復率を持った(繰り返し圧縮残
留歪み率が十分に低い)繊維成形体が得られない。さら
に、単糸直径(C)に比べて捲縮コイルの直径(B)が
ある程度大きなものでないとやはり繊維自体が嵩高なも
のとならない。
【0022】つまり、複合繊維の捲縮コイルの形状が上
記式(I)、(II)を同時に満たす形状である場合、そ
の繊維の嵩高圧縮弾性率は60%以上となり、それを用
いて得られる繊維成形体の繰り返し圧縮回復率が80%
以上(繰り返し圧縮残留歪み率が12%以下)となる。
現在のところB/Aの値が最高4.9、B/Cの値が最
高37.6の繊維が得られているが(実施例3)、繊維
または繊維成形体の力学的強度を損なわない範囲ならば
これらの値はさらに高くてもよい。本発明者は、B/A
の値は最高6程度まで、B/Cの値は最高50程度まで
ならば十分な力学的強度を持ちさらに嵩高な繊維が得ら
れると考えている。なお、本発明の嵩高複合繊維におい
て、その伸縮伸張率が40〜400%となる場合は、繊
維の弾力性に関わる物性がさらに改善されるので、より
好ましい態様と言える。
【0023】上記式(I)、(II)を同時に満たす嵩高
複合繊維を得るための条件について、本発明者は複合繊
維に用いる熱可塑性樹脂の選択、紡糸条件、延伸条件、
捲縮加工条件などを実験的に試行錯誤した結果、次のよ
うな知見を得ている。高融点樹脂が繊維表面円周の少な
くとも50%を占める場合において、低融点樹脂の成分
比が繊維全体の50〜90%となるよう並列型または偏
心鞘芯型に紡糸することは有効である。また、両成分の
熱収縮率差を大きくして捲縮を発現させるために両樹脂
の紡糸温度差を大きくすることも有効である。この場
合、紡糸温度は樹脂によって異なるが、高融点樹脂の紡
糸温度は樹脂が劣化しない程度まで上げることができ、
低融点樹脂の紡糸温度は紡糸が可能な温度(少なくとも
融点以上)まで下げることができる。さらに紡糸後の延
伸工程において、第一の延伸ロールと第二の延伸ロール
の温度を変え、第一の延伸ロールを比較的高温(繊維の
成分の樹脂の融点を越えない範囲で)とし、第二の延伸
ロールを比較的低温とするかまたはその逆で延伸するこ
とも有効である。これらの方法を単独でまたはいくつか
を組み合わせて実施することにより、上記式(I)(I
I)を同時に満たした捲縮を発現させることができる。
【0024】例えば、ポリプロピレン(鞘)/エチレン
・プロピレン・1−ブテン三元共重合体(芯)複合繊維
の場合、芯成分を偏心させたり、あるいは芯成分を偏心
させかつ芯成分の成分比を50〜90%にするとよい。
【0025】また、本発明の繊維成形体は前記嵩高複合
繊維を少なくとも40重量%含有する繊維成形体であ
る。またこの繊維成形体は、繊維集合体が後述のごと
く、結合、接着剤による接着等で実質的に一体化した物
であればよい。
【0026】本発明の繊維成形体は、好ましくは前記嵩
高複合繊維40〜100重量%、他の繊維60〜0重量
%、さらに好ましくは前記嵩高複合繊維45〜100重
量%、他の繊維55〜0重量%である。前記嵩高複合繊
維が40重量%未満の場合、繰り返し圧縮回復性能、繰
り返し圧縮残留歪み性能が低下し、繰り返して圧縮され
るような用途だと繊維成形体の厚みが減少することにな
る。
【0027】他の繊維としては、繊度0.2〜20tex
の天然繊維、再生繊維、熱可塑性繊維等が使用できる。
例えば他の繊維としてヤシ繊維、レーヨン等を使用した
場合、親水性などに優れた繊維成形体が得られる。ま
た、熱可塑性繊維からなる単一樹脂で構成される繊維や
複数の樹脂で構成される複合繊維等を使用した場合、透
水性や通気性、また風合いや形状保持性、成形体加工性
に優れた繊維成形体が得られる。
【0028】次に嵩高複合繊維を用いて繊維成形体に加
工する方法を説明する。前述の嵩高複合繊維のみで繊維
成形体とする場合は、カード法やエアレイト゛法、ランダ
ムウエバー法などの既知の方法で嵩高複合繊維をウエブ
とするが、太繊度繊維を積層できるランダムウエバー法
が特に望ましい。他の繊維を混合する場合も前述の既知
の方法が使用できる。太繊度繊維が積層可能、空中飛散
作用によりさらに均一な混合が可能、30〜140mm程
度の繊維が積層可能等から、ランダムウエバー法が特に
望ましい。
【0029】また、本発明の繊維成形体は、繊維の結
合、接着剤の使用による繊維同士の接着、該嵩高複合繊
維による熱接着、他の熱接着性単一樹脂繊維による熱熱
接着、他の熱接着性複合繊維による熱接着等で繊維同士
が実質的に一体化された物であればよい。
【0030】ニードルパンチ等による繊維の結合による
ものは、比較的低荷重下で使用される分野、例えばシー
トやイス、布団等のクッション用充填材や人工地盤や屋
上緑化等の緑化用資材、各種フィルター材等に使用され
る。また、該嵩高複合繊維や他の熱接着性複合繊維等に
よる熱接着により繊維同士が固定されたもの、または接
着剤で繊維同士が固定されたものは、比較的高荷重下で
使用されるような分野、例えばドレーン材や軟弱地盤安
定材、緩衝材といった土木農業用資材、また敷き布団の
クッション材等に使用される。ここで使用する接着剤は
市販の中から適宜選んで良い。代表的な接着剤としては
スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジ
エンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエン
−メチルメタクリレートゴムなどの合成ゴムや天然ゴ
ム、また酢酸ビニル系接着剤、酢酸セルロース系接着
剤、アクリル系接着剤などである。この場合、接着剤単
独でも数種併用して使用することもできる。接着処理
は、接着剤を噴霧または含浸などの方法でウエブに塗布
しその後乾燥させる既知の方法を用いることができる。
また、粉状や粒状の低融点樹脂などの接着材を用いるこ
ともできる。
【0031】他の繊維を混綿し繊維の固定を行う場合は
熱接着の利用が有効な手段である。そのため接着性繊維
には、本発明の嵩高複合繊維の高融点樹脂と接着しやす
い樹脂で構成されていることが望ましく、単一樹脂から
なる繊維でも、数種の樹脂で構成されている複合繊維で
も良い。
【0032】このような接着性繊維と本発明の嵩高複合
繊維を、お互いが均一に分散するように混綿し、前述の
ランダムウエバーでウエブとした後、熱処理する。この
場合、ランダムウエバー内で混綿分散させて、ウエブと
し、熱処理しても良い。熱処理には、非加圧型、加圧型
などいずれの装置を用いても行うことができる。例えば
熱風エアスル−型、遠赤外加熱型、熱風循環型、あるい
は、加熱後、ロ−ル押圧型とを組み合わせた装置、型枠
充填型などの装置が使用できる。なかでも加熱とウェブ
の厚み調節機能を備えた装置を使用し、適度の加圧をし
ながら加熱するか、加熱後冷却以前にわずかに加圧する
ことなどにより厚みの均一な繊維成形体が得られる。
【0033】また、本発明の繊維成形体は、厚み維持性
や高耐圧性が要求されている分野には、繰り返し圧縮回
復率80%以上で繰り返し圧縮残留歪み率が12%以下
のものが使用できる。繰り返し圧縮回復率が80%以下
で繰り返し圧縮残留歪み率が12%以上だと、繰り返し
て圧縮された場合、維成形体の厚みが減少する。ドレー
ン材であれば、排水機能低下や地盤沈下等が発生する。
敷き布団などのクッション材であれば、厚みの減少や変
形などで底突き感などの不快を感じる。
【0034】本発明の嵩高複合繊維およびこの繊維を用
いた繊維成形体は、耐圧縮性が要求される分野、例えば
ドレーン材、緩衝材等の土木用資材、緑化マットなどの
農業・緑化用資材、またはマットレスあるいは敷き布団
などのクッション材、工業用プレフィルター或いは排気
ダクト用フィルター等のエアフィルターまたは水処理フ
ィルター等のフィルター類、等の用途に利用することが
できる。また、シートや椅子のクッション材、敷き布団
の中綿などの詰め物で使用する場合は嵩高複合繊維をそ
のまま中に詰めても使用でき、さらにランダムウエバー
でできたウエブのまま詰め物として使用することもき
る。
【0035】
【実施例】以下実施例で本発明をさらに詳細に説明す
る。実施例、比較例の繊維形態を表1に示した。嵩高複
合繊維の伸縮伸張率、嵩高度、嵩高圧縮弾性率測定結果
は表2に示した。これらの測定は 合成繊維フィラメン
トかさ高加工糸試験方法(JIS L1090)に従っ
て行った。繊維成形体の繰り返し圧縮残留歪み率、繰り
返し圧縮回復率は表3に示した。繰り返し圧縮残留歪み
率の測定は クッション用軟質ウレタンフォーム(JI
S K6401)の5.6繰り返し圧縮残留歪み試験に
従って行った。繰り返し圧縮回復率は以下の方法によっ
て測定した。繊維成形体を10×10cmの大きさに切
り取り、この試験片を自記型圧縮試験機を使用し、圧縮
部の大きさ直径10cmの接圧子で圧縮、解放を80回
繰り返した。なお第1回目の圧縮は、荷重が30kgに
達した後1分間この状態で加圧を停止し、その圧力を解
放し、この操作を80回繰り返した後、30分放置後、
繊維成形体の高さを測定し圧縮回復率を測定した。 圧縮回復率(%)=(1−((H0−H80)/H0))×1
00 H0 :圧縮前の厚み H80:80回繰り返し圧縮後30分放置後の厚み
【0036】(実施例1)低融点樹脂がエチレン分4.
1重量%(以下各実施例、比較例中では単に%と略
す)、1−ブテン分4.2%、プロピレン分91.7%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、、高融
点樹脂が融点166℃のポリプロピレンを、通常の複合
紡糸装置を用いて鞘/芯の複合比が50/50重量%の
偏心鞘芯型複合繊維に紡糸、延伸し2texの複合繊維を
得た。この複合繊維は高融点樹脂が繊維表面円周をおお
っており、低融点樹脂は繊維表面にでていなかった。こ
の複合繊維を無緊張下で熱処理し良好な捲縮を有する嵩
高複合繊維を得た。表2から優れた伸縮伸長率、嵩高
度、嵩高圧縮弾性率を示すことがわかる。また、この嵩
高複合繊維は 式(I)より B/A=1.6 式(II)より B/C=22.3であった。
【0037】(実施例2)低融点樹脂がエチレン分5.
2%、プロピレン分94.8%で融点141℃のオレフ
ィン系二元共重合体で、高融点樹脂が融点166℃のポ
リプロピレンを、通常の複合紡糸装置を用いて鞘/芯の
複合比が50/50重量%の偏心鞘芯型複合繊維に紡
糸、延伸し200texの複合繊維を得た。この複合繊維
は高融点樹脂が繊維表面円周をおおっており、低融点樹
脂は繊維表面にでていなかった。この複合繊維を無緊張
下で熱処理し良好な捲縮を有する嵩高複合繊維を得た。
表2から優れた伸縮伸長率、嵩高度、嵩高圧縮弾性率を
示すことがわかる。また、この嵩高複合繊維は 式(I)より B/A=3.5 式(II)より B/C=25.5 であった。
【0038】(実施例3)低融点樹脂がエチレン分8.
0%、1−ブテン分5.2%、プロピレン分86.8%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、高融点
樹脂が融点166℃のポリプロピレンを、通常の複合紡
糸装置を用いて鞘/芯の複合比が50/50重量%の偏
心鞘芯型複合繊維に紡糸、延伸し555texの複合繊維
を得た。この複合繊維は高融点樹脂が繊維表面円周をお
おっており、低融点樹脂は繊維表面にでていなかった。
この複合繊維を無緊張下で熱処理し良好な捲縮を有する
嵩高複合繊維を得た。表2から優れた伸縮伸長率、嵩高
度、嵩高圧縮弾性率を示すことがわかる。また、この嵩
高複合繊維は 式(I)より B/A=4.9 式(II)より B/C=37.6 であった。
【0039】(実施例4)低融点樹脂が1−ブテン分2
0.1%、プロピレン分79.9%で融点130℃のオ
レフィン系二元共重合体で、高融点樹脂が融点166℃
のポリプロピレンを、通常の複合紡糸装置を用いて鞘/
芯の複合比が50/50重量%の偏心鞘芯型複合繊維に
紡糸、延伸し100texの複合繊維を得た。この複合繊
維は高融点樹脂が繊維表面円周をおおっており、低融点
樹脂は繊維表面にでていなかった。この複合繊維を無緊
張下で熱処理し良好な捲縮を有する嵩高複合繊維を得
た。表2から優れた伸縮伸長率、嵩高度、嵩高圧縮弾性
率を示すことがわかる。また、この嵩高複合繊維は 式(I)より B/A=2.3 式(II)より B/C=27.6 であった。
【0040】(実施例5)低融点樹脂がエチレン分4.
1%、1−ブテン分4.2%、プロピレン分91.7%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、高融点
樹脂が融点166℃のポリプロピレンを、通常の複合紡
糸装置を用いて鞘/芯の複合比が30/70重量%の偏
心鞘芯型複合繊維に紡糸、延伸し100texの複合繊維
を得た。この複合繊維は高融点樹脂が繊維表面円周をお
おっており、低融点樹脂は繊維表面にでていなかった。
この複合繊維を無緊張下で熱処理し良好な捲縮を有する
嵩高複合繊維を得た。表2から優れた伸縮伸長率、嵩高
度、嵩高圧縮弾性率を示すことがわかる。また、この嵩
高複合繊維は 式(I)より B/A=2.4 式(II)より B/C=30.0 であった。
【0041】(実施例6)低融点樹脂がエチレン分4.
1%、1−ブテン分4.2%、プロピレン分91.7%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、高融点
樹脂が融点166℃のポリプロピレンを、通常の複合紡
糸装置を用いて鞘/芯の複合比が50/50重量%の並
列型複合繊維に紡糸、延伸し、200texの複合繊維を
得た。この複合繊維は高融点樹脂が繊維表面円周比の8
0%、低融点樹脂が20%であった。この複合繊維を無
緊張下で熱処理し良好な捲縮を有する嵩高複合繊維を得
た。表2から優れた伸縮伸長率、嵩高度、嵩高圧縮弾性
率を示すことがわかる。また、この嵩高複合繊維は 式(I)より B/A=2.6 式(II)より B/C=33.2 であった。
【0042】(実施例7)低融点樹脂がエチレン分6.
1%、プロピレン分93.9%で融点132℃のオレフ
ィン系二元共重合体で、高融点樹脂が融点166℃のポ
リプロピレンを、通常の複合紡糸装置を用いて鞘/芯の
複合比が40/60重量%の並列型複合繊維に紡糸、延
伸し170texの複合繊維を得た。この複合繊維は高融
点樹脂が繊維表面円周比の60%、低融点樹脂が40%
であった。この複合繊維を無緊張下で熱処理し良好な捲
縮を有する嵩高複合繊維を得た。表2から優れた伸縮伸
長率、嵩高度、嵩高圧縮弾性率を示すことがわかる。ま
た、この嵩高複合繊維は 式(I)より B/A=2.8 式(II)より B/C=28.6 であった。
【0043】(実施例8)低融点樹脂がエチレン分8.
0%、1−ブテン分5.2%、プロピレン分86.8%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、高融点
樹脂が融点265℃のポリエステルを、通常の複合紡糸
装置を用いて鞘/芯の複合比が50/50重量%の偏心
鞘芯型複合繊維に紡糸、延伸し200texの複合繊維を
得た。この複合繊維は高融点樹脂が繊維表面円周をおお
っており、低融点樹脂は繊維表面にでていなかった。こ
の複合繊維を無緊張下で熱処理し良好な捲縮を有する嵩
高複合繊維を得た。表2から優れた伸縮伸長率、嵩高
度、嵩高圧縮弾性率を示すことがわかる。また、この嵩
高複合繊維は 式(I)より B/A=2.4 式(II)より B/C=32.5 であった。
【0044】(実施例9)実施例1の嵩高複合繊維を繊
維長128mmに切断した後、ランダムウエバーを用い
て目付2.0kg/m2のウェブとし、このウェブに天然
ゴム系接着剤を噴霧し接着処理を行い乾燥で適度に加圧
して厚みを規制し、繊維同士が固定された繊維成形体を
得た。表3から優れた繰り返し圧縮残留歪み率、繰り返
し圧縮回復率を示すことがわかる。
【0045】(実施例10)実施例2の嵩高複合繊維を
繊維長128mmに切断した後、ランダムウエバーを用
いて目付2.5kg/m2のウェブとし、このウェブをス
チレン−ブタジエン系接着剤中に浸漬して接着処理を行
い乾燥で適度に加圧して厚みを規制し、繊維同士が接着
により固定された繊維成形体を得た。表3から優れた繰
り返し圧縮残留歪み率、繰り返し圧縮回復率を示すこと
がわかる。
【0046】(実施例11)実施例4の嵩高複合繊維を
繊維長102mmに切断した後該繊維70重量%と、鞘
成分が融点132℃のエチレン、1−ブテン、プロピレ
ンのオレフィン系三元共重合体で、芯成分が融点166
℃のポリプロピレンからなる、二次元捲縮の付与された
2tex、繊維長64mmの同心鞘芯型複合繊維を30重
量%混合し、ランダムウエバーを用いて互いの繊維がよ
く混合した目付1.8kg/m2のウェブを得た。このウ
ェブをネットコンベア狭持型の熱風エアスル−型の加熱
機で、温度145℃、時間5分間加熱処理をし、冷却前
に適度に加圧して、繊維同士が熱接着により固定された
繊維成形体を得た。表3から優れた繰り返し圧縮残留歪
み率、繰り返し圧縮回復率を示すことがわかる。
【0047】(実施例12)実施例5の嵩高複合繊維を
繊維長128mmに切断した後、ランダムウエバーを用
いて目付2.0kg/m2のウェブとし、連続して適度に
ニードルパンチ処理し厚みがほぼ一定になった繊維成形
体を得た。この繊維成形体は、繊維が絡み合いにより固
定されていた。表3から優れた繰り返し圧縮残留歪み
率、繰り返し圧縮回復率を示すことがわかる。
【0048】(実施例13)実施例6の嵩高複合繊維を
繊維長102mmに切断した後該繊維70重量%と、鞘
成分が融点132℃のエチレン、1−ブテン、プロピレ
ンのオレフィン系三元共重合体で、芯成分が融点166
℃のポリプロピレンからなる、二次元捲縮の付与された
2tex、繊維長64mmの同心鞘芯型複合繊維を30重
量%混合し、ランダムウエバーを用いて互いの繊維がよ
く混ざりあった目付2.5kg/m2のウェブを得た。こ
のウェブを適度にニードルパンチ処理した後ネットコン
ベア狭持型の熱風エアスル−型の加熱機で、温度148
℃、時間5分間加熱処理をし、冷却前に適度に加圧し
て、繊維同士が熱接着により固定された繊維成形体を得
た。表3から優れた繰り返し圧縮残留歪み率、繰り返し
圧縮回復率を示すことがわかる。
【0049】(実施例14)実施例8の嵩高複合繊維を
繊維長128mmに切断した後、ランダムウエバーを用
いて目付2.5kg/m2のウェブとし、このウェブに天
然ゴム系接着剤を噴霧し接着処理を行い乾燥で適度に加
圧して厚みを規制し、繊維同士が接着により固定された
繊維成形体を得た。表3から優れた繰り返し圧縮残留歪
み率、繰り返し圧縮回復率を示すことがわかる。
【0050】(比較例1)低融点樹脂がエチレン分4.
1%、1−ブテン分4.2%、プロピレン分91.7%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、高融点
樹脂が融点166℃のポリプロピレンを、通常の複合紡
糸装置を用いて鞘/芯の複合比が50/50重量%の偏
心鞘芯型複合繊維に紡糸、延伸し2texの複合繊維を得
た。この複合繊維は低融点樹脂が繊維表面円周をおおっ
ており、高融点樹脂は繊維表面にでていなかった。この
複合繊維を無緊張下で熱処理したところ捲縮は発生した
が、表2に示すように伸縮伸長率、嵩高度、嵩高圧縮弾
性率のいずれかが劣っている。また、この熱可塑性複合
繊維は 式(I)より B/A=0.4 式(II)より B/C=14.7 であった。
【0051】(比較例2)低融点樹脂がエチレン分5.
2%、プロピレン分94.8%で融点141℃のオレフ
ィン系二元共重合体で、高融点樹脂が融点166℃のポ
リプロピレンを、通常の複合紡糸装置を用いて鞘/芯の
複合比が50/50重量%の偏心鞘芯型複合繊維に紡
糸、延伸し555texの複合繊維を得た。この複合繊維
は低融点樹脂が繊維表面円周をおおっており、高融点樹
脂は繊維表面にでていなかった。この複合繊維を無緊張
下で熱処理したところ捲縮は発生したが、表2に示すよ
うに伸縮伸長率、嵩高度、嵩高圧縮弾性率のいずれかが
劣っている。また、この熱可塑性複合繊維は 式(I)より B/A=1.1 式(II)より B/C=18.6 であった。
【0052】(比較例3)低融点樹脂がエチレン分8.
0%、1−ブテン分5.2%、プロピレン分86.8%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、高融点
樹脂が融点166℃のポリプロピレンを、通常の複合紡
糸装置を用いて鞘/芯の複合比が30/70重量%の偏
心鞘芯型複合繊維に紡糸、延伸し100texの複合繊維
を得た。この複合繊維は低融点樹脂が繊維表面円周をお
おっており、高融点樹脂は繊維表面にでていなかった。
この複合繊維を無緊張下で熱処理したところ捲縮は発生
したが、嵩高ではなかった。表2に示すように伸縮伸長
率、嵩高度、嵩高圧縮弾性率のいずれかが劣っている。
また、この熱可塑性複合繊維は 式(I)より B/A=0.6 式(II)より B/C=16.2 であった。
【0053】(比較例4)融点樹脂が1−ブテン分2
0.1%、プロピレン分79.9%で融点130℃のオ
レフィン系二元共重合体で、高融点樹脂が融点166℃
のポリプロピレンを、通常の複合紡糸装置を用いて鞘/
芯の複合比が50/50重量%の並列型複合繊維に紡
糸、延伸し、200texの複合繊維を得た。この複合繊
維は低融点樹脂が繊維表面円周比の70%、高融点樹脂
が30%でこの複合繊維を無緊張下で熱処理したところ
捲縮は発生したが、嵩高ではなかった。表2に示すよう
に伸縮伸長率、嵩高度、嵩高圧縮弾性率のいずれかが劣
っている。また、この熱可塑性複合繊維は 式(I)より B/A=1.0 式(II)より B/C=13.2 であった。
【0054】(比較例5)低融点樹脂がエチレン分4.
1%、1−ブテン分4.2%、プロピレン分86.8%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、高融点
樹脂が融点265℃のポリエステルを、通常の複合紡糸
装置を用いて鞘/芯の複合比が50/50重量%の偏心
鞘芯型複合繊維に紡糸、延伸し200texの複合繊維を
得た。この複合繊維は低融点樹脂が繊維表面円周をおお
っており、高融点樹脂は繊維表面にでていなかった。こ
の複合繊維を無緊張下で熱処理したところ捲縮は発生し
たが、嵩高ではなかった。表2に示すように伸縮伸長
率、嵩高度、嵩高圧縮弾性率のいずれかが劣っている。
また、この熱可塑性複合繊維は 式(I)より B/A=0.9 式(II)より B/C=19.0 であった。
【0055】(比較例6)低融点樹脂がエチレン分8.
0%、1−ブテン分5.2%、プロピレン分86.8%
で融点132℃のオレフィン系三元共重合体で、高融点
樹脂が融点166℃のポリプロピレンを、通常の複合紡
糸装置を用いて鞘/芯の複合比が50/50重量%の偏
心鞘芯型複合繊維に紡糸、延伸し1texの複合繊維を得
た。この複合繊維は高融点樹脂が繊維表面円周をおおっ
ており、低融点樹脂は繊維表面にでていなかった。この
複合繊維を無緊張下で熱処理したところ捲縮は発生した
が、嵩高ではなかった。表2に示すように伸縮伸長率、
嵩高度、嵩高圧縮弾性率のいずれかが劣っている。ま
た、この熱可塑性複合繊維は 式(I)より B/A=0.3 式(II)より B/C=11.1 であった。
【0056】(比較例7)比較例1の嵩高複合繊維を繊
維長128mmに切断した後、ランダムウエバーを用い
て目付2.0kg/m2のウェブとし、このウェブに天然
ゴム系接着剤を噴霧し接着処理を行い乾燥で適度に加圧
して厚みを規制し、繊維同士が接着により固定された繊
維成形体を得た。表3に示すように繰り返し圧縮残留歪
み率、繰り返し圧縮回復率のいずれかが劣っている。
【0057】(比較例8)比較例2の嵩高複合繊維を繊
維長128mmに切断した後、ランダムウエバーを用い
て目付2.5kg/m2のウェブとし、ネットコンベア狭
持型の熱風エアスル−型の加熱機で、温度145℃、時
間5分間加熱処理をし、冷却前に適度に加圧して、繊維
成形体を得た。繊維同士は熱接着により固定されていた
が、表3に示すように繰り返し圧縮残留歪み率、繰り返
し圧縮回復率のいずれかが劣っている。
【0058】(比較例9)比較例3の嵩高複合繊維を繊
維長102mmに切断した後該繊維70重量%と、鞘成
分が融点132℃のエチレン、1−ブテン、プロピレン
のオレフィン系三元共重合体で、芯成分が融点166℃
のポリプロピレンからなる、二次元捲縮の付与された2
tex、繊維長さ64mmの同心鞘芯型複合繊維を30重
量%混合し、ランダムウエバーを用いて互いの繊維がよ
く混ざりあった目付2.5kg/m2のウェブを得た。こ
のウェブを適度にニードルパンチ処理した後ネットコン
ベア狭持型の熱風エアスル−型の加熱機で、温度148
℃、時間5分間加熱処理をし、冷却前に適度に加圧し
て、繊維成形体を得た。繊維同士は熱接着により固定さ
れていたが、表3に示すように繰り返し圧縮残留歪み
率、繰り返し圧縮回復率のいずれかが劣っている。
【0059】(比較例10)比較例5の嵩高複合繊維を
繊維長128mmに切断した後、ランダムウエバーを用
いて目付2.5kg/m2のウェブとし、このウェブに天
然ゴム系接着剤を噴霧し接着処理を行い乾燥で適度に加
圧して厚みを規制し、繊維同士が熱接着により固定され
た繊維成形体を得た。表3に示すように繰り返し圧縮残
留歪み率および繰り返し圧縮回復率が劣っている。
【0060】(比較例11)比較例6の嵩高複合繊維を
繊維長128mmに切断した後、ランダムウエバーを用
いて目付2.0kg/m2のウェブとし、このウェブに天
然ゴム系接着剤を噴霧し接着処理を行い乾燥で適度に加
圧して厚みを規制し、繊維同士が熱接着により固定され
た繊維成形体を得た。表3に示すように繰り返し圧縮残
留歪み率および繰り返し圧縮回復率が劣っている。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【発明の効果】本発明の嵩高複合繊維およびこの繊維を
用いた繊維成形体は、嵩高性や繰り返し圧縮残留歪み
率、繰り返し圧縮回復率に優れているため、以下のよう
な各種実用的な用途に好適に使用される。例えばドレー
ン材、緩衝材等の土木用資材、緑化マットなどの農業用
資材、またはマットレスあるいは敷き布団などのクッシ
ョン材、工業用プレフィルターあるいは排気ダクト用フ
ィルター等のエアフィルターまたは水処理フィルター等
のフィルター類、等の用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単糸断面模式図である。
【図2】捲縮コイル状態の単糸繊維の模式図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】融点差が少なくとも10℃以上である低融
    点樹脂と高融点樹脂で構成され、かつ該高融点樹脂が繊
    維表面円周比の少なくとも50%を占め、かつ捲縮を有
    する単糸繊度1.6〜556texの熱可塑性複合繊維で
    あって、該熱可塑性複合繊維は下記式(I)および(I
    I)の関係を同時に満たしていることを特長とする嵩高
    複合繊維。 B/A≧0.8 ・・・(I) B/C≧20 ・・・(II) ただし、式(I)および(II)においてAは捲縮コイル
    の幅であり、Bは捲縮コイルの直径であり、Cは伸長し
    て捲縮コイルを消失したときの単糸直径である。
  2. 【請求項2】嵩高圧縮弾性率が60〜100%である請
    求項1に記載の嵩高複合繊維。
  3. 【請求項3】熱可塑性複合繊維がポリオレフィン系樹
    脂、ポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種の
    樹脂が用いられた繊維である請求項1に記載の嵩高複合
    繊維。
  4. 【請求項4】低融点樹脂が、プロピレン99〜85重量
    %(以下単に%と略す)とエチレン1〜15%のオレフ
    ィン系二元共重合体である請求項1に記載の嵩高複合繊
    維。
  5. 【請求項5】低融点樹脂が、プロピレン99〜50%と
    1−ブテンが1〜50%のオレフィン系二元共重合体で
    ある請求項1に記載の嵩高複合繊維。
  6. 【請求項6】低融点樹脂が、プロピレン、84%〜97
    %、エチレン1〜10%および1−ブテンが1〜15%
    のオレフィン系三元共重合体である請求項1に記載の嵩
    高複合繊維。
  7. 【請求項7】繊維長が30〜140mmである請求項1
    に記載の嵩高複合繊維。
  8. 【請求項8】請求項1から7のいずれかに記載された嵩
    高複合繊維を少なくとも40重量%含む嵩高繊維成形
    体。
  9. 【請求項9】構成する繊維同士が接着固定された請求項
    8に記載の繊維成形体。
  10. 【請求項10】繰り返し圧縮回復率が80%以上で、繰
    り返し圧縮残留歪み率が12%以下である請求項8また
    は9に記載の繊維成形体。
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