JPH1135947A - 超高収率エチレン熱分解炉 - Google Patents

超高収率エチレン熱分解炉

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JPH1135947A
JPH1135947A JP21268997A JP21268997A JPH1135947A JP H1135947 A JPH1135947 A JP H1135947A JP 21268997 A JP21268997 A JP 21268997A JP 21268997 A JP21268997 A JP 21268997A JP H1135947 A JPH1135947 A JP H1135947A
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furnace
ethylene
reaction coil
reaction
outlet
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JP21268997A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Ishii
範往 石井
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WESTON KK
Original Assignee
WESTON KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 分解ガス温度を問題ない範囲に抑制した運転
でも超高収率でエチレンが得られ,かつ,熱効率の大幅
な改善によってCO排出量を大幅に削減し地球温暖化
の防止に役立つ。 【解決手段】 設計の異なる3種類の炭化水素熱分解炉
を用いて,設計条件・運転条件とエチレン収率等に関す
るデーターを得,これに基づいて,エチレン収率の向上
に寄与している分解ガス温度や反応コイル内の圧力等の
主な要因について解析し,これら要因の寄与している大
きさを具体的数値で把握し,かつ,これら要因を最大限
に活用する設計基準で炭化水素熱分解炉を設計・建設
し,または既設熱分解炉を改造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はナフサ(粗製ガソリ
ン)などの炭化水素を熱分解する炉に係り,特にエチレ
ン収率を大幅に向上させるように熱分解反応の最適条件
を総合的に備える超高収率でエチレンが得られる熱分解
炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のナフサなどの炭化水素の熱分解炉
は図1,2,3の如く,2列各1本の反応コイルが炉の
長手側の壁面に平行で,かつ,水平または垂直の方向に
蛇行しながら炉の入口から出口に向かって出るように設
置されている。また,炉の長手側の壁面または炉の中央
部には多数の特殊バーナーが設置されており,このバー
ナーで炉内のコイルを加熱するようになっている。反応
コイル内に送られた炭化水素は400〜500℃に予熱
された後,スーパー・ヒート・ゾーンの反応コイル内で
更に高温に加熱されることによって熱分解反応が起こ
り,エチレン,プロピレン,ベンゼン,キシレン等の分
解ガスが生成されるが,この分解ガスは炉の出口付近で
700〜800℃になるように運転されているのが一般
的である。炭化水素の分解は吸熱反応であるため,炉内
の温度を上昇させることによって,熱量の供給を増大さ
せれば,分解反応も一層進み,エチレンの収率は上昇す
る。このことは経験的にも実証されている。ところで,
エチレンを製造する会社はエチレン収率をできるだけ高
くしたい場合が多く,このため,分解ガス温度を850
℃前後またはこれ以上で運転することが望ましいのであ
る。しかし,この場合,反応コイルの表面温度が高くな
り過ぎて,燃料中の微量金属が反応コイルの表面に付着
したり,反応コイルの表面がアバタ状になるなど反応コ
イル等の傷みが激しくなる。従って,分解ガス温度は8
00℃前後で抑制しエチレン収率を犠牲にした熱分解炉
の運転をしているのが現状である。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】従来の炭化水素の熱
分解炉は,原料をナフサとした場合,エチレン収率を2
5%程度にしようとすれば,分解ガス温度(炉内の出
口)は850℃前後まで上昇するように,炉内の温度を
上昇させて熱量の供給を増大させる必要がある。しか
し,反応コイルの表面温度が限界近くまで上昇するた
め,コイル表面がアバタ状になったり,燃料中の微量金
属類が付着するなどで,反応コイル等の傷みが激しくな
り,長期連続運転性や安全性・耐久性に大きな問題を生
じる。ましてや,これまでの考え方や経験的知識に基づ
く設計の熱分解炉では,画期的に高いエチレン収率,例
えば35%〜45%という大きな目標を達成することは
不可能であり,この大きな目標を達成するには新しい考
え方や設計思想を構築する必要がある。本発明は,エチ
レン収率に寄与していると考えられる要因を新手法で具
体的に解析・把握することによって超高収率エチレン熱
分解炉に対する新しい設計基準を確立するものであり,
石油化学産業の根幹を成しているエチレン製造装置から
得られるエチレンその他オレフィン・モノマーや芳香族
モノマーの製造コストを大幅に引き下げ,以って,石油
化学産業の国際競争力を極めて強いものにすることがで
きる。
【0004】
【課題を解決するための手段】炭化水素の熱分解によっ
て得られるエチレンの収率は,主に大きく影響する要因
は次の4つと考えられ,これらはこれまでの知識や経験
と熱分解炉の常識的設計条件や運転条件の範囲では次の
ように言える。第1の要因は,反応コイル内の分解ガス
温度(炉内の出口)であり,明らかにこの効果は大き
い。ナフサは650℃付近から激しく分解反応が始ま
り,エチレンの収率は650℃を起点として分解ガス温
度にほぼ比例して増大する。これは,炭化水素の熱分解
反応が吸熱反応であり,反応コイル内の炭化水素に熱量
をより多く供給することによりエチレンへの分解がより
多く起こるのである。第2の要因は,反応コイル内の圧
力であり,二次反応によるエチレンの増減に影響する。
エチレンの代表的二次反応は化1であり,シャトリエの
法則から圧力が下がれば,この平衡状態はエチレンの生
成側に移行するのであり,エチレンの収率は圧力に反比
例して増大する。
【化1】 第3の要因は,反応コイル内における炭化水素ガス流体
の滞留時間が挙げられる。この時間が極端に短いと炭化
水素の分解反応がC4 やC5 で止まってしまい,C4
5 留分の収率がかなり高くなってしまう。0.5〜2
秒程度の狭い範囲では,滞留時間は長い方がC4 やC5
分のエチレンへの分解が更に進むのであり,エチレン収
率は滞留時間に比例して増大する。第4の要因は,反応
コイルに対する炭化水素等のガス流体の負荷(単位内断
面積当たり,時間当たり,kg/cm2 ・時間)である。こ
の負荷は小さい方が炭化水素に供給する熱量は増大し,
エチレンへの分解反応はより多く進むのである。経験的
にも負荷は小さい方がエチレン収率は高くなっており,
エチレンの収率は負荷に反比例して増大する。エチレン
製造装置から得られるエチレンの収率は前述したこれら
4つの要因からもたらされるエチレン収率を総合したも
のである。そこで,前述の要因が具体的にどのように寄
与しているかを解析するために,図1及び2のような設
計の異なる熱分解炉3種類による設計条件・運転条件と
エチレンの収率などに関するデータを得て,表1にまと
めた。
【0005】
【表1】
【0006】表1のデーターを基に,エチレン収率の内
訳を解析した結果は表2の通りである。
【表2】 この解析結果から,次のことが判明した。エチレン収率
の向上に寄与している要因は,分解ガス温度及び反応コ
イル内の圧力,並びに反応コイルに対する負荷の3つが
最も大きく,エチレン収率値の90〜95%が,この3
要因によってもたらされている。先ず,第一に,分解ガ
ス温度の効果は最も大きく,この温度が840℃の場
合,つまり,ハイシビアリティ・クラッキングの運転で
はエチレン収率値の50%近くがこの効果によってもた
らされている。炭化水素の熱分解は吸熱反応であるた
め,より多くの熱量を反応コイル内の炭化水素に供給す
ることにより,エチレン収率は向上するのである。反応
コイル内炭化水素等のガス流体に対する熱量供給は,炉
内温度や輻射熱によって上昇する反応コイル表面温度と
反応コイル内のガス流体温度との温度差によって行われ
ており,実際の運転操作ではバーナーへの燃料供給を増
大させてこの温度差をより大きくすることによって熱量
供給を増大させている。しかし,分解ガス温度(炉内の
出口)が850℃付近になると既に述べたように大きな
問題を生ずる。従って,分解ガス温度は問題ない範囲に
抑制して,反応コイルへの熱量供給を大幅に増大させる
には,反応コイルの全表面積を増大させることが肝要で
あるが,本発明はこれを可能とするものである。次に,
反応コイル内の圧力及び反応コイルに対する負荷の要因
も大きく,この2つの効果を合わせると,エチレン収率
値の50%はこれらによってもたらされている。これら
要因は反応コイルの内断面と直接的に関係するが,本発
明はこれら要因も十分考慮することができる。最後に,
滞留時間であるが,0.5〜2秒程度の範囲ではエチレ
ン収率値の5〜10%の効果で全体としては小さい。し
かし,この時間があまり短いとC4 ,C5 の収率が大き
くなってしまう。これはC4 ,C5 が更に分解してエチ
レンになるもので,分解に必要な時間はある程度長い方
が望ましい。これは反応コイルの中を流れる炭化水素等
のガス流体の距離を考慮すればよいので,本発明は,こ
の要因についても考慮することができるものである。以
上を総合して述べると,本発明は,エチレン収率の向上
に対して効果の大きい要因を最大限にその効力を発揮さ
せることによって,超高収率でエチレンを得る熱分解炉
を設計建設することが可能であり,また既設の熱分解炉
についても本発明に基づいて,改造することによってエ
チレン収率を大幅に改善することもできるものである。
【0007】
【発明の実施の形体】炭化水素の熱分解炉を全面更新或
いは新規に建設する場合に,本発明に基づいて最適なも
のを設計建設することができるばかりではなく,既設の
熱分解炉の場合でも本発明に基づいて改造することによ
ってエチレン収率を大幅に改善し製造コストを引き下げ
るものである。
【0008】
【実施例】本実施例は,従来技術による既設の熱分解炉
(図1,水平型)について,本発明に基づいて改造を行
いエチレン収率を画期的に改善する場合の一例である。
既設熱分解炉のプレヒート・ゾーン(図1,(14))
及びスーパー・ヒート・ゾーン(図1(15))には2
列,各々1本づつのコイルが設置してあるが,本発明に
基づいてスーパー・ヒート・ゾーンの反応コイルを2
列,各々2本に分流させて反応コイルの全表面積を分流
前の1.44倍(内断面積の合計は分流前の1.04
倍)とし,炉の出口側で合流(合流後の反応コイル内断
面積は合流前の内断面積合計の2倍)して炉の出口に至
り,かつ,反応コイルの重量増加分に対するラックの補
強等も含めて改造を行うものである。(炉の出口から急
冷装置(クエンチャー)までのパイプライン取替工事も
付随するが,ここではこの説明は省略する) 以下,添付図面(図4)に従って,この一実施例を説明
する。プレヒート・ゾーンには2列,各々1本づつの予
熱コイル(図4,(1))が水平方向に蛇行しつつ,ス
ーパーヒート・ゾーンの入口側(図4,(5))に向か
うように設置され,かつ,プレヒート・ゾーンを出た後
に,均等な2本の流れに分流される特殊なベンド(図
4,(6))によって,スーパー・ヒート・ゾーンの2
列,各々2本の反応コイル(図4,(3))に接続され
て,蛇行しつつ炉の出口側に向かい,出口側(図4,
(8))では,特殊な部品(図4,(7))により2
列,各々1本づつの反応コイルに合流している。
【0009】ナフサは,プレヒート・ゾーンの入口(図
4,(9))から予熱コイル内(負荷は35.66kg/
cm2 ,HR)へ供給され,スーパー・ヒート・ゾーンの
燃焼ガス廃熱により加熱される。ナフサ流体が完全にガ
ス化された後,カーボン・プラッギングの防止や二次反
応の抑制を目的としてスチームが図4の(16)より混
入され,さらに加熱されて炭化水素の熱分解を始める付
近の温度に達したナフサ等のガス流体はスーパー・ヒー
ト・ゾーンの反応コイル内(負荷は33.06 kg/cm4 ,H
R)を流れながら,長手方向の両壁面に設置された特殊
バーナー(図4,(4))により加熱されてエチレン等
に熱分解される。反応コイルの全表面積は,改造前に比
べて1.44倍(内断積は1.04倍)になっているた
め,反応コイル内のガス流体に対する熱量の供給は大幅
に上昇し,熱分解も早く,効率的に行われ,炉の出口に
至る(滞留時間は改造前と同じ)までに熱分解はほぼ終
了し,反応コイルの出口付近(図4,(8))では分解
熱を殆ど必要としない状態で1本の反応コイルに合流
し,分解ガス温度(炉の出口)は840℃にコントロー
ルされて炉の出口に至る。炉の出口側における合流後の
反応コイル内断面積は合流前の内断面積合計の2.0倍
となっているので,コイル内の圧力は低下しエチレンの
水添反応における平衡状態はエチレン生成側に移行し,
エチレン収率をさらに向上させるものである。
【0010】本発明に基づく既設熱分解炉の改造によっ
て,分解ガス温度840℃で運転しても反応コイル表面
の傷みなどもなく,しかも,エチレン収率37%という
画期的成果が得られる。これは,熱分解に必要な熱量は
十分に供給され,しかも,炉の出口に至る前の段階で熱
分解はほぼ終了しており,炉の出口付近では分解熱を殆
ど必要とせず,受ける熱量は小さくて済むのである。実
際の運転操作を述べると,分解ガス温度(炉の出口)は
840℃になるように燃料ガスの供給量をコントロール
しているので,改造された熱分解炉の分解ガス温度84
0℃における反応コイル表面温度は,改造前の同一条件
による運転におけるその温度より低くなっているでのあ
る。
【0011】
【発明の効果】本発明の超高収率エチレン熱分解炉は,
安全性や耐久性を損なうことなく,エチレン収率を画期
的に向上させ,エチレン等の製造コすトを大幅に引き下
げることは勿論,エチレンを中心とするので,分留棟や
機械機器類も大幅に合理化されて,建設用地は縮小さ
れ,建設費も大いに合理化されて,しかも,既設の熱分
解炉においても,本発明に基づく改造を行うことによっ
て,分解ガス温度を850℃未満に抑制した熱分解炉の
運転で,エチレン収率を大幅に改善することができ,エ
チレン等の製造コストを引き下げることに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の技術による水平型の熱分解炉を示す正面
図と側面図であるが,特殊バーナーは両壁面に設置され
ている。
【図2】従来の技術による水平型の熱分解炉を示す正面
図と側面図であるが,特殊バーナーは炉の底部中央に設
置されている。
【図3】従来の技術による垂直型の熱分解を示す正面図
と側面図であるが,特殊バーナーは両壁に設置されてい
る。
【図4】本発明による超高収率エチレン熱分解炉の一実
施例を示す正面図と側面図である。
【符号の説明】
1 予熱コイル(プレヒート・ゾーン内) 2 反応コイル(スーパー・ヒート・ゾーン内) 3 分解炉本体長手方向の壁 4 特殊バーナー 5 スーパー・ヒート・ゾーンにおけるナフサなどのガ
ス流体の入口 6 プレヒート・ゾーンにおけるナフサ等ガス流体の1
本の流れを2本の流れに分流するための特殊ベンド 7 反応コイル内を流れる2本の流れを1本の流れに合
流させるための特殊部品 8 分解ガス流体の出口 9 プレヒート・ゾーンにおけるナフサの入口 10 熱分解炉本体の側壁 11 燃焼廃ガスの出口 12 熱分解炉の底部 13 図中の矢印はナフサと分解ガス等の流体の流れ方
向を示す 14 プレヒート・ゾーン 15 スーパー・ヒート・ゾーン 16 スチーム注入口
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年8月15日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【発明の効果】本発明の超高収率エチレン熱分解炉は,
安全性や耐久性を損なうことなく,エチレン収率を画期
的に向上させ,エチレン等の製造コトを大幅に引き下
げることは勿論,エチレンを中心とするので,分留棟や
機械機器類も大幅に合理化されて,建設用地は縮小さ
れ,建設費も大いに合理化されて,しかも,既設の熱分
解炉においても,本発明に基づく改造を行うことによっ
て,分解ガス温度を850℃未満に抑制した熱分解炉の
運転で,エチレン収率を大幅に改善することができ,エ
チレン等の製造コストを引き下げることに役立つ。
【手続補正書】
【提出日】平成9年9月19日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項4】 請求項1の前半で説明しているものと同
様の水平型または垂直型の熱分解炉において,スーパー
・ヒート・ゾーン内における炭化水素等のガス流体の流
れの本数は2列各々2本以上になるように,内断面積
0.78cm〜2000cmの反応コイルが配置さ
れていることを特徴とする炭化水素の熱分解炉。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はナフサ(粗製ガソリ
ン)などの炭化水素を熱分解する炉に係り,特にエチレ
ン収率を大幅に向上させるように熱分解反応の最適条件
を総合的に備える超高収率でエチレンが得られ,かつ,
熱効率の大幅な改善によりCO排出量の大幅な削減が
できる熱分解炉に関するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】従来のナフサなどの炭化水素の熱分解炉
は図1,2,3の如く,2列各1本計2本の反応コイル
が炉の長手側の壁面に平行で,かつ,水平または垂直の
方向に蛇行しながら炉の入口から出口に向かって出るよ
うに設置されている。また,炉の長手側の壁面または炉
の中央部には多数の特殊バーナーが設置されており,こ
のバーナーで炉内のコイルを加熱するようになってい
る。反応コイル内に送られた炭化水素は400〜500
℃に予熱された後,スーパー・ヒート・ゾーンの反応コ
イル内で更に高温に加熱されることによって熱分解反応
が起こり,エチレン,プロピレン,ベンゼン,キシレン
等の分解ガスが生成されるが,この分解ガスは炉の出口
付近で700〜800℃になるように運転されているの
が一般的である。炭化水素の分解は吸熱反応であるた
め,炉内の温度を上昇させることによって,熱量の供給
を増大させれば,分解反応も一層進み,エチレンの収率
は上昇する。このことは経験的にも実証されている。と
ころで,エチレンを製造する会社はエチレン収率をでき
るだけ高くしたい場合が多く,このため,分解ガス温度
を850℃前後またはこれ以上で運転することが望まし
いのである。しかし,この場合,反応コイルの表面温度
が高くなり過ぎて,燃料中の微量金属が反応コイルの表
面に付着したり,反応コイルの表面がアバタ状になるな
ど反応コイル等の傷みが激しくなる。従って,分解ガス
温度は800℃前後で抑制しエチレン収率を犠牲にした
熱分解炉の運転をしているのが現状である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】従来の炭化水素の熱
分解炉は,原料をナフサとした場合,エチレン収率を2
5%程度にしようとすれば,分解ガス温度(炉内の出
口)は850℃前後まで上昇するように,炉内の温度を
上昇させて熱量の供給を増大させる必要がある。しか
し,反応コイルの表面温度が限界近くまで上昇するた
め,コイル表面がアバタ状になったり,燃料中の微量金
属類が付着するなどで,反応コイル等の傷みが激しくな
り,長期連続運転性や安全性・耐久性に大きな問題を生
じる。ましてや,これまでの考え方や経験的知識に基づ
く設計の熱分解炉では,画期的に高いエチレン収率,例
えば35%〜45%という大きな目標を達成することは
不可能であり,この大きな目標を達成するには新しい考
え方や設計思想を構築する必要がある。本発明は,エチ
レン収率に寄与していると考えられる要因を新手法で具
体的に解析・把握することによって熱効率の大幅に改善
された超高収率エチレン熱分解炉に対する新しい設計基
準を確立するものであり,石油化学産業の根幹を成して
いるエチレン製造装置から得られるエチレンその他オレ
フィン・モノマーや芳香族モノマーの製造コストを大幅
に引き下げ,更に今後一層厳しくなると予想されるCO
削減に対処することができ,以って,石油化学産業の
国際競争力を極めて強いものにすることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】表1のデーターを基に,エチレン収率の内
訳を解析した結果は表2の通りである。
【表2】 この解析結果から,次のことが判明した。エチレン収率
の向上に寄与している要因は,分解ガス温度及び反応コ
イル内の圧力,並びに反応コイルに対する負荷の3つが
最も大きく,エチレン収率値の90〜95%が,この3
要因によってもたらされている。先ず,第一に,分解ガ
ス温度の効果は最も大きく,この温度が840℃の場
合,つまり,ハイシビアリティ・クラッキングの運転で
はエチレン収率値の50%近くがこの効果によってもた
らされている。炭化水素の熱分解は吸熱反応であるた
め,より多くの熱量を反応コイル内の炭化水素に供給す
ることにより,エチレン収率は向上するのである。反応
コイル内炭化水素等のガス流体に対する熱量供給は,炉
内温度や輻射熱によって上昇する反応コイル表面温度と
反応コイル内のガス流体温度との温度差によって行われ
ており,実際の運転操作ではバーナーへの燃料供給を増
大させてこの温度差をより大きくすることによって熱量
供給を増大させている。しかし,分解ガス温度(炉内の
出口)が850℃付近になると既に述べたように大きな
問題を生ずる。従って,分解ガス温度は問題ない範囲に
抑制して,反応コイルへの熱量供給を大幅に増大させる
には,反応コイルの全表面積を増大させ,熱効率を大幅
に向上させることが肝要であり,本発明はこれを可能と
するものである。次に,反応コイル内の圧力及び反応コ
イルに対する負荷の要因も大きく,この2つの効果を合
わせると,エチレン収率値の50%はこれらによっても
たらされている。これら要因は反応コイルの内断面と直
接的に関係しており,本発明はこれら要因も十分考慮す
ることができる。最後に,滞留時間であるが,0.5〜
2秒程度の範囲ではエチレン収率値の5〜10%の効果
で全体としては小さい。しかし,この時間があまり短い
とC,Cの収率が大きくなってしまう。これは
,Cが更に分解してエチレンなどになるもので,
分解に必要な時間はある程度長い方が望ましい。これは
反応コイルの中を流れる炭化水素等のガス流体の距離を
考慮すればよいので,本発明は,この要因についても考
慮することができるものである。以上を総合して述べる
と,本発明は,エチレン収率の向上に対して効果の大き
い要因を最大限にその効力を発揮させることによって,
超高収率でエチレンを得る熱分解炉を設計建設すること
が可能であり,また既設の熱分解炉についても本発明に
基づいて,改造することによってエチレン収率を大幅に
改善することもできるものである。また同時に,いずれ
の場合も熱効率は大幅に改善されるので,CO排出量
の大幅に削減することが可能となる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【発明の実施の形態】炭化水素の熱分解炉を全面更新或
いは新規に建設する場合に,本発明に基づいて最適なも
のを設計建設することができるばかりではなく,既設の
熱分解炉の場合でも本発明に基づいて改造することによ
ってエチレン収率を大幅に改善し製造コストを引き下げ
と共に,熱効率の大幅な改善によってCO排出量を
大幅に削減することができるものである。またマイルド
・クラッキングを行う場合は,分解ガス温度を下げるこ
とにより可能であり,この場合も当然のことながら,熱
効率の高い運転ができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】ナフサは,プレヒート・ゾーンの入口(図
4,(9))から予熱コイル内(負荷は35.66kg
/cm,HR)へ供給され,スーパー・ヒート・ゾー
ンの燃焼ガス廃熱により加熱される。ナフサ流体が完全
にガス化された後,カーボン・プラッギングの防止や二
次反応の抑制を目的としてスチームが図4の(16)よ
り混入され,さらに加熱されて炭化水素の熱分解を始め
る付近の温度に達したナフサ等のガス流体はスーパー・
ヒート・ゾーンの反応コイル内(負荷は33.06kg
/cm,HR)を流れながら,長手方向の両壁面に設
置された特殊バーナー(図4,(4))により加熱され
てエチレン等に熱分解される。反応コイルの全表面積
は,改造前に比べて1.44倍(内断積は1.04倍)
になって熱効率も大幅に改善されているため,反応コイ
ル内のガス流体に対する熱量の供給は大幅に上昇し,熱
分解も早く,効率的に行われ,炉の出口に至る(滞留時
間は改造前と同じ)までに熱分解はほぼ終了し,反応コ
イルの出口付近(図4,(8))では分解熱を殆ど必要
としない状態で1本の反応コイルに合流し,分解ガス温
度(炉の出口)は840℃にコントロールされて炉の出
口に至る。炉の出口側における合流後の反応コイル内断
面積は合流前の内断面積合計の2.0倍となっているの
で,コイル内の圧力は低下しエチレンの水添反応におけ
る平衡状態はエチレン生成側に移行し,エチレン収率を
さらに向上させるものである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】本発明に基づく既設熱分解炉の改造によっ
て,分解ガス温度840℃で運転しても反応コイル表面
の傷みなどもなく,しかも,エチレン収率37%という
画期的成果が得られる。これは,熱分解に必要な熱量は
十分に供給され,しかも,炉の出口に至る前の段階で熱
分解はほぼ終了しており,炉の出口付近では分解熱を殆
ど必要とせず,受ける熱量は小さくて済むのである。実
際の運転操作を述べると,分解ガス温度(炉の出口)は
840℃になるように燃料ガスの供給量をコントロール
しているので,改造された熱分解炉の分解ガス温度84
0℃における反応コイル表面温度は,改造前の同一条件
による運転におけるその温度より低くなっているでのあ
る。また,熱効率も大幅に改善されているので,炭化水
素等の燃料使用量も大幅に削減することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【発明の効果】本発明の超高収率エチレン熱分解炉は,
安全性や耐久性を損なうことなく,エチレン収率を画期
的に向上させ,エチレン等の製造コトを大幅に引き下
げることは勿論,エチレンを中心とするので,分留棟や
機械機器類も大幅に合理化されて,建設用地は縮小さ
れ,建設費も大いに合理化されて,しかも,既設の熱分
解炉においても,本発明に基づく改造を行うことによっ
て,分解ガス温度を850℃未満に抑制した熱分解炉の
運転で,エチレン収率を大幅に改善することができ,エ
チレン等の製造コストを引き下げることができ,かつ,
熱効率の大幅な改善によってCO排出量を大幅に削減
することもでき,地球温暖化の防止に役立つ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉内に炭化水素熱分解用の反応コイルが
    概ね,水平方向または垂直方向に,かつ,長手方向の壁
    面と概ね平行に設置され,しかも,炉内の側壁付近また
    は炉内の上部や底部付近の曲がり部で流れ方向を逆転し
    つつ出口側に向かい,出口に連結・設置されている水平
    型または垂直型の熱分解炉において,スーパー・ヒート
    ・ゾーン入口側における炭化水素等のガス流体の流れの
    本数は2本以上で,出口に至る途中で必要に応じて炉内
    で合流や分流を行い,出口側における流れの本数は入口
    側における流れの本数より小さく,かつ,出口側反応コ
    イルの内断面積合計は入口側反応コイルの内断面積合計
    の1/3以上となるように反応コイルが配置されている
    ことを特徴とする炭化水素の熱分解炉。
  2. 【請求項2】 請求項1の前半で説明しているものと同
    様の水平型また垂直型の熱分解炉において,スーパー・
    ヒート・ゾーン入口側における炭化水素等のガス流体の
    流れの本数は1本で,反応コイルは炉内でその口径を拡
    大し,または出口に至る途中で必要に応じて分流や合流
    を行い,出口側における流れの本数は1本または2本以
    上とし,かつ,出口側反応コイルの内断面積合計は入口
    側反応コイルの内断面積合計の1/3以上となるように
    反応コイルが配置されていることを特徴とする炭化水素
    の熱分解炉。
JP21268997A 1997-07-24 1997-07-24 超高収率エチレン熱分解炉 Pending JPH1135947A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103275747A (zh) * 2013-05-22 2013-09-04 中国石油天然气股份有限公司吉林石化分公司 乙烯装置裂解炉燃料气负荷分配方法
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CN104371754A (zh) * 2014-11-01 2015-02-25 韩清 乙烯裂解炉

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