JPH11355007A - マイクロ波・ミリ波回路 - Google Patents

マイクロ波・ミリ波回路

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JPH11355007A
JPH11355007A JP34518698A JP34518698A JPH11355007A JP H11355007 A JPH11355007 A JP H11355007A JP 34518698 A JP34518698 A JP 34518698A JP 34518698 A JP34518698 A JP 34518698A JP H11355007 A JPH11355007 A JP H11355007A
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capacitor
circuit
connection point
transmission line
characteristic impedance
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JP34518698A
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Takashi Inoue
隆 井上
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動作領域に影響を与えずに、中間周波数の信
号を十分に抑制する。 【解決手段】 特性インピーダンスZ0の伝送路に接続
されたDCカット用のキャパシタ1(容量値C1)の両端
に、特性インピーダンスZ(Z>Z0)の伝送線路4及び
7と、容量値C2(C2>C1)のキャパシタ5と、実抵抗6
を直列接続した回路を接続する。DCを含めて比較的低
い周波数は、キャパシタ1及びキャパシタ2で阻止され
る。中間の周波数(20〜40GHz)は、キャパシタ1では阻
止となるが、キャパシタ5では通過となり、抵抗Rでダ
ンピングされる。動作周波数(76GHz帯)は、キャパシ
タ1では通過となるが、これに並列接続された回路部分
は伝送線路4、7が高インピーダンス線路なのでインダク
タンスとして働いてこの周波数帯の信号は阻止され、こ
の分岐回路が動作周波数に影響を及ぼすことはない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマイクロ波・ミリ波
回路に関し、特に、マイクロ波帯あるいはミリ波帯用の
フィルタ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マイクロ波・ミリ波集積回路を構
成する場合、増幅器などに用いるDCカット用回路とし
ては、図5に示すように、単純にキャパシタ(キャパシ
タンスC0)のみからなる構成が用いられてきた。すな
わち、特性インピーダンスZ0(例えば50Ω)の伝送
線路1、2の間にキャパシタ12(キャパシタンスC)
を直列に接続した構成となっている。
【0003】この構成は単純かつ小型であり、キャパシ
タンスC0の値を適当な値に設定することによって、マ
イクロ波領域でも10GHz位まではハイパス・フィル
タ、低周波阻止フィルタとして十分に機能させることが
できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、例えば、6
0GHz帯、76GHz帯などのミリ波領域の能動回
路、特に多段増幅器を構成する場合には、このような単
純なキャパシタだけのDCカット(及びハイパスつまり
低周波阻止)フィルタでは、動作領域(60GHz帯、
76GHz帯)の信号に影響を与えることなく、20〜
40GHzの中間周波数の信号を十分に抑制することは
困難である。
【0005】そのため、高出力をねらったミリ波帯能動
回路、特に多段高出力増幅器を構成する場合には、中間
周波数領域におけるルート伝送線路を介しての不要な段
間干渉を十分に阻止することができず、また、中間周波
数領域での増幅器の安定性を十分に確保することができ
ないという問題があった。
【0006】本発明は、前記の問題点に鑑み、ミリ波帯
能動回路、特に多段高出力増幅器を構成する場合に好適
なDCカットフィルタ回路を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ルート伝送線
路に接続されるDCカット(低周波阻止)フィルタ用の
キャパシタと並列に、動作周波数帯域の略1/2の周波
数帯域をダンプして減衰させる回路を接続することを特
徴とするものである。
【0008】具体的には、前記DCカット用のキャパシ
タと並列に、ルート伝送路の特性インピーダンスよりも
大きい特性インピーダンスを有する伝送路と、前記DC
カット用のキャパシタよりも大きいキャパシタンスを有
する第2のキャパシタと、ダンピング用の実抵抗とから
なる直列回路を分岐回路として接続したことを特徴とし
ている。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のフィルタ回路の
第1の実施の形態を示すものであり、本発明の第1の実
施の形態では、前述の従来技術におけるキャパシタ1
(キャパシタンスC1)の両端に、特性インピーダンス
Z(Z>Z0)の伝送線路4および7と、キャパシタン
スC2(C2>C1)のキャパシタ5と、実抵抗6を直列
接続した回路が並列に接続される。
【0010】図1のフィルタ回路では、まずDCを含め
て比較的低い20GHz位までの周波数は、キャパシタ
1及びキャパシタ2が信号の阻止を行う。また、中間周
波数(20から40GHz)においては、キャパシタ1
は容量が比較的小さいので信号阻止となるが、キャパシ
タ5は容量が比較的大きく設定されているために信号通
過となり、中間周波数の信号は抵抗Rでダンピングされ
ることになる。
【0011】一方、増幅器等の動作にとって肝心の最も
高い周波数(60GHzあるいは76GHz帯)におい
ては、キャパシタ1は低インピーダンスとなってルート
伝送線路と共にインピーダンスZ0のインピーダンス整
合線路を形成して信号通過となるが、これに並列接続さ
れた回路部分は伝送線路4、7が高インピーダンス線路
なのでインダクタンスとして働いてこの周波数帯の信号
阻止する(つまりオープンになる)ので、この分岐回路
が動作周波数に影響を及ぼすことはない。ここで、特
に、キャパシタ1の両端の伝送線路1,2の特性インピ
ーダンスをルート伝送線路の特性インピーダンス
(Z0)より大きくすると、ルート伝送線路のインピー
ダンスとキャパシタ1のインピーダンス(>Z0)との
整合を段階的にとることができ、フィルタの挿入損失を
低減するのに有効である。
【0012】図2は、本発明のフィルタ回路の第2の実
施の形態を示すものであり、図1の回路構成において、
キャパシタ5を省いて簡略化したものである。機能のう
えでは図1の回路構成において、キャパシタ5のキャパ
シタンス値が比較的大きい場合に相当する。この実施の
形態は、フィルタがDCカットの機能をもたなくてもよ
いときに使用することができ、回路を小型化することが
できる。
【0013】図3は、本発明のフィルタ回路の第3の実
施の形態を示すものであり、図1の回路構成において、
分岐回路を複数(図では2個)並列に接続して構成した
ものである。すなわち、図3においては、従来技術にお
けるキャパシタ1(キャパシタンスC1)の両端に、特
性インピーダンスZ(Z>Z0)の伝送線路8および1
1と、キャパシタンスC3(2C3>C1)のキャパシタ
9と、実抵抗10を直列接続した回路が2個並列に接続
される。したがって図1の回路と同様の作用効果を有し
ている。図3の回路を図1の回路と同じ特性をもたせる
ように設計すると、キャパシタ9のキャパシタンスC3
<キャパシタ5のキャパシタンスC2抵抗10の抵抗値
2>抵抗6の抵抗値R1となり、回路の製造プロセス上
の問題で、1個のキャパシタで比較的大きな容量のキャ
パシタンスをもたせにくいときや、1個の抵抗器で比較
的小さな抵抗値をもたせにくいときには、図3の回路構
成に基づくフィルタ回路の方が図1の回路構成に基づく
フィルタ回路よりも実現しやすい。
【0014】図4は、本発明のフィルタ回路の第4の実
施の形態を示すものであり、図3の回路構成において、
回路構成においてキャパシタ9を省いて簡略化したもの
である。機能のうえでは図3の回路構成においてキャパ
シタ9のキャパシタンス値が比較的大きい場合に相当す
る。図2の場合と同様に、フィルタがDCカットの機能
をもたなくてもよいときに使用することができ、回路を
小型化することができる。
【0015】図6は、本発明のフィルタ回路を1段増幅
器に適用した実施の形態を示すものであり、入力信号
は、本発明のフィルタ回路14を介して増幅器13に入
力され、増幅される。フィルタ回路14としては、図1
ないし図4に示されているフィルタ回路のいずれかが使
用される。また、フィルタ回路14は、増幅器13の出
力端子側あるいは入出力端子の両方に接続することもで
きる。この実施の形態では、本発明のフィルタ回路の効
果によって、動作周波数(60GHz、76GHz帯な
ど)での利得などの肝心の特性を劣化させることなく、
増幅器等の安定性が増大する。
【0016】図7は、本発明のフィルタ回路を多段増幅
器に適用した実施の形態を示すものであり、縦続接続さ
れた増幅器15、16、17の入力端、段間及び出力端
に本発明によるフィルタ回路14が接続されている。こ
の実施の形態では、本発明のフィルタ回路の効果によっ
て、動作周波数(60GHz、76GHz帯など)での
利得などの肝心の特性を劣化させることなく、増幅器等
の安定性が増大するとともに、中間周波数(20から4
0GHz)における不要な段間干渉を阻止することがで
きる。
【0017】なお、図7においては、縦続接続された増
幅器15、16、17の入力端、段間及び出力端の全て
に本発明によるフィルタ回路14を接続しているが、必
ずしも入力端、段間及び出力端の全てに接続する必要は
なく、一部にのみ接続しても本発明の作用効果を得るこ
とはできる。
【0018】
【実施例】次に、本発明のフィルタ回路及び該フィルタ
回路を適用した能動回路の具体例について説明する。
【0019】能動回路として、GaAs系MMIC(マ
イクロ波モノリシック集積回路)で作製した増幅器を用
いた。GaAs基板の比誘電率は12.6である。基板
厚は40μmで配線厚は2μmとした。伝送線路には金
薄膜を利用したマイクロストリップ線路を用いた。
【0020】本MMICでは、配線巾が30μmのとき
伝送線路の特性インピーダンスはルート伝送線路の特性
インピーダンスと同じ50Ωである。実抵抗にはエピタ
キシャル抵抗を用い、キャパシタには金属−絶縁体−金
属(MIM)構造を用いた。能動素子には、ゲート長
0.15μmのT型ゲートAlGaAs/InGaAs
ヘテロ接合電界効果トランジスタ(FET)を用いた。
【0021】ここでは前述のフィルタ回路や能動回路の
代表として、76GHzのミリ波W帯を動作周波数とし
てもつ図1のフィルタと、このフィルタを適用した1段
及び3段高出力増幅器を取り上げて説明する。図8は、
図1に該当する本発明のフィルタを基板上に集積回路と
して構成した場合の具体的数値を示している。図8にお
いて、A点、B点が、特性インピーダンス50Ωのルー
ト伝送線路に接続される接点である。伝送線路19、2
0は線幅30μmで、特性インピーダンスが50Ωとな
っている。
【0022】図9は、図8の回路における分岐回路の伝
送線路21、24の線幅をW=5μm、線路長をL=6
5μmとしたときのフィルタの通過特性(S12)であ
り、分岐回路のキャパシタ22の値への依存性を示して
いる。本フィルタの中間周波数での信号阻止周波数帯域
は、分岐回路のキャパシタ22、実抵抗23、及び分布
定数の伝送線路21、24の特性で決定されるが、集中
定数的にはRC時定数で決定されるので、キャパシタ2
2の値は重要である。第9図から、本フィルタの信号阻
止帯域を38GHzを中心に設定するならば、キャパシ
タ22のキャパシタンス値はC=5.0pFあたりが適
当であることがわかる。
【0023】図10は、図8の回路における分岐回路の
キャパシタ22のキャパシタンス値をC=5.0pF、
伝送線路21、24の線路長をL=65μmとしたとき
のフィルタの通過特性であり、分岐回路の伝送線路2
1、24の線幅Wへの依存性を示している。本フィルタ
の信号阻止帯域を38GHz付近に設定するのであれ
ば、図10から、線幅Wは、5μmと高インピーダンス
線路にする方がよいことがわかる。
【0024】図11は、図8の回路における分岐回路の
キャパシタ22のキャパシタンス値をC=5.0pF、
分岐回路21、24の線幅Wを5μmとしたときのフィ
ルタの通過特性であり、分岐回路の伝送線路21、24
の線路長Lへの依存性を示している。信号阻止帯域は集
中定数近似では分岐回路のRC時定数で決定される。し
かし、本フィルタは分岐回路に分布定数伝送線路を含
み、マイクロ波・ミリ波の領域で動作するものであるの
で、フィルタの通過特性に伝送線路21、24の分布定
数的性質が大きく影響する。
【0025】分岐回路の伝送線路21、24の線路長L
が30μmと短いときには、阻止帯域は50GHzが中
心の比較的広帯域のものになる。線路長Lが100μm
と長いときには、阻止帯域は30GHzが中心の比較的
狭帯域のものとなることがわかる。一方、線路長Lが6
5μmのときには、信号阻止中心周波数は38GHz付
近となり、増幅器等の能動回路の動作周波数を76GH
zと設定する場合には、阻止帯域も適当であり、かつ、
肝心の76GHzの動作周波数にはフィルタ回路は影響
を及ぼさず、76GHzの1/2付近の周波数の不要な
信号を阻止するという実用上たいへん有効な特性を有す
ることがわかる。
【0026】以上の説明は、図1記載のフィルタ回路の
特性であるが、図2ないし図4記載のフィルタ回路にお
いても同様の結果が得られる。
【0027】すなわち、図2のフィルタ回路の場合は、
図1の回路構成においてキャパシタ2を省いて簡略化し
たものであるが、機能のうえでは図1の回路構成におい
て、キャパシタ5のキャパシタンス値が比較的大きい
(この場合では5pF以上)場合に相当する。このフィ
ルタがDCカットの機能をもたなくてもよいときには、
回路を小型化できて実用上の効果がある。
【0028】また、図3の回路構成は、基本的には図1
と同様のもので、図1の回路構成において分岐回路1を
複数並列に接続して構成したものである。したがって図
1の回路と同様の効果をもっている。ただし、図3の回
路を図1の回路と同じ特性をもたせるように設計した場
合、回路の製造プロセス上の問題で、1個のキャパシタ
で比較的大きな容量のキャパシタンスをもたせにくいと
きや、1個の抵抗器で比較的小さな抵抗値をもたせにく
いときには、図3の回路構成に基づくフィルタ回路の方
が図1の回路構成に基づくフィルタ回路よりも製造プロ
セス上実現しやすいというメリットがある。
【0029】また、図4は、図3の回路構成においてキ
ャパシタ9を省いて簡略化したものであるが、機能のう
えでは図3の回路構成においてキャパシタ9のキャパシ
タンス値が比較的大きい(この場合では5pF以上)場
合に相当する。このフィルタがDCカットの機能をもた
なくてもよいときに回路を小型化できて実用上の効果が
ある。
【0030】以上、本発明の安定化フィルタの特性につ
いて述べたが、これらをモノリシック集積回路として構
成した場合、具体的回路要素の寸法値からわかる通り、
どれも回路レイアウト上大きな面積を占めることなくコ
ンパクトに構成することができるメリットをもってい
る。
【0031】次に、本発明の安定化フィルタを具体的に
能動回路に適用した場合の特性について説明する。ここ
では能動回路を、高出力増幅器MMIC(マイクロ波モ
ノリシック集積回路)として構成した場合について説明
する。
【0032】第12図(a)、(b)は、従来の1段増
幅器(図6の増幅器13に相当する)の小信号特性の例
である。1段増幅器13の能動素子にはゲート巾Wg=
200μmのヘテロ接合FETを用いた。入出力整合回
路は通常の伝送線路とオープンスタブの組み合わせを用
い、動作周波数はW帯ミリ波の76GHzに設定した。
バイアス回路には、4分の1波長線路と接地キャパシタ
を用い、15GHz以下の低周波数での寄生発振を抑制
するために、RCバイアスネットワークを適用してい
る。
【0033】図12(a)は、小信号利得、及び入出力
の反射特性をプロットしたものであり、76GHzでの
入出力特性は良好で、利得も7dBを越えていることが
わかる。図12(b)は、上記の1段増幅器の安定性係
数K及び安定性ファクタF2について定量的にプロット
したものである。
【0034】一般に、回路が絶対安定であるためには、
安定係数K及び安定性に関する係数(ファクタ)F1
2に関して D=S11*S22−S12*S21 としたとき、 K=(1−|S112−|S222+|D|2)/(2|
12*S21|)>1 であり、しかも、 F1=|S112−|D|2+|S12*S212>0 であるか、あるいは、 K=(1−|S112−|S222+|D|2)/(2|
12*S21|)>1 であり、しかも、 F2=|S222−|D|2+|S12*S212>0 なる条件が成り立てばよいことが知られている(例え
ば、福田、平地著 「GaAs電界効果トランジスタの
基礎」1992、電子情報通信学会発行参照)。
【0035】図12(b)をみると、この従来の構成で
の1段増幅器では、F2はF2>0を満たしているが、安
定係数Kの値は30GHzを中心にして1を大きく下回
っており、負荷条件によっては、回路が寄生発振を起こ
す危険性をもっていることがわかる。
【0036】図13(a)、(b)は、上記した従来の
1段増幅器13の前段に、図8に示す本発明のフィルタ
回路14を接続した場合の小信号特性をプロットしたも
のである。この特性図は、図8において、分岐回路のキ
ャパシタ22のキャパシタンス値C=5.0pF、伝送
線路21、24の線路長L=65μm、線路幅W=5μ
mとした場合のものである。
【0037】図13(a)から、本発明のフィルタ回路
を従来の1段アンプに適用した場合の利得及び反射特性
への影響は、動作周波数の76GHzにおいてほとんど
ないことがわかる。一方、図13(b)から、安定性に
関しては、ファクターF2も少々上昇しているが、安定
係数Kはアウト・オブ・バンドで大幅な上昇が得られて
いることがわかる。
【0038】すなわち、本発明のフィルタ回路は、増幅
器等の能動素子の動作周波数(実施例の場合76GH
z)での特性にほとんど影響を与えることなく、中間周
波数(実施例の場合38GHz)で回路を大きく安定化
させる働きをもっていることがわかる。また、一般的に
は、能動回路の前段だけでなく後段にも本発明のフィル
タ回路を適用すれば、より一層、回路全体の安定化が得
られる。
【0039】図14(a)、(b)は、図7において本
発明のフィルタを取り去り、増幅器コンポーネント1
5、16、17を縦列接続した3段増幅器の小信号特性
をプロットした例を示している。各段を構成する1段増
幅器15、16、17の能動素子には、それぞれゲート
巾Wg=200、300、600μmのヘテロ接合FE
Tを用いた。
【0040】入出力整合回路は、通常の伝送線路とオー
プンスタブの組み合わせを用い、動作周波数はW帯ミリ
波の76GHzに設定した。バイアス回路には4分の1
波長線路と接地キャパシタを用い、15GHz以下の低
周波数での寄生発振を抑制するために、RCバイアスネ
ットワークを適用している。
【0041】図14(a)をみると、小信号利得、及び
入出力の反射特性は、76GHzでの入出力特性は良好
で、利得も19dBを越えていることがわかる。一方、
図14(b)をみると、安定係数Kは、50GHz付近
で大きく1を下回り、ファクタF2もところどころの周
波数で0を下回るところが見られる。
【0042】すなわち、この従来構成の3段増幅器は、
負荷条件によっては寄生発振を生じる高い危険性をもっ
ていることがわかる。このように、この不安定性や寄生
発振の問題は、ミリ波領域において高い出力電力を期待
される多段高出力増幅器等の能動回路において一般的な
ものであり、この問題の克服が、ミリ波高出力増幅器を
構成する場合の大きな課題となっている。
【0043】図15(a)、(b)は、上記した従来の
3段増幅器(コンポーネント15、16、17の縦列接
続回路)に、図8に示す本発明のフィルタ(コンポーネ
ント14)を適用した図7の回路の小信号特性をプロッ
トしたものである。この特性図は、図8において、分岐
回路のキャパシタ22のキャパシタンス値C=5.0p
F、伝送線路21、24の線路長L=65μm、線路幅
W=5μmとした場合ものである。
【0044】図15(a)から、本発明のフィルタ回路
を従来の3段アンプに適用した場合の利得及び反射特性
への影響は、動作周波数の76GHzにおいてほとんど
ないことがわかる。一方、図15(b)から、安定性に
関しては、ファクターF2は全周波数で0を越え、安定
係数Kはアウト・オブ・バンドで100以上の値が得ら
れていることがわかる。
【0045】すなわち、本発明のフィルタは増幅器等の
能動素子の動作周波数(実施例の場合76GHz)での
特性にほとんど影響を与えることなく、中間周波数(実
施例の場合38GHz付近)で回路を大きく安定化させ
る働きをもっていることがわかる。さらに、中間周波数
を持つ不要信号は本発明のフィルタでダンピングされる
ため、例えば図7において、各増幅器段の段間の中間周
波数領域の不要な相互干渉も抑制されることになり、回
路動作の安定化に併せて、回路設計性の向上や回路レイ
アウト面積の縮小が可能となる。
【0046】このように、本発明のフィルタを適用する
ことにより、従来から問題であったマイクロ波・ミリ波
動作の高出力増幅器等の能動回路の不安定性や寄生発振
等の問題が克服でき、マイクロ波・ミリ波の動作周波数
領域をもつ能動回路を、所望の特性を劣化させることな
く安定に動作させることができる。また、従来構成の増
幅器を安定化させる設計変更も容易であり、さらに、段
間を狭めることができるので、回路レイアウト面積も縮
小(2/3に)できる。
【0047】なお、上記実施例で説明したように、図7
の3段増幅器では、本発明の安定化フィルタ回路(コン
ポーネント14)を各増幅器コンポーネント15、1
6、17の段間と前後に全て接続した構成となっている
が、一般的には、多段増幅器に代表される能動回路を、
本発明のフィルタ回路(コンポーネント14)を用いて
安定動作するように設計する場合には、通常使用されて
いる段間のDCカット・キャパシタ(デカップリング・
コンデンサ)の内のいくつかを、レイアウト面積上もコ
ンパクトな本発明のフィルタ回路(コンポーネント1
4)で置き換えることによって所望の安定化を得ること
が可能であり、設計上、非常に簡単な変更で実現するこ
とができる。
【0048】また、本明細書では、能動素子として、増
幅器を対象とした場合について説明したが、発振器、周
波数逓倍器、周波数変換器等、その他の能動素子に対し
て本発明のフィルタ回路を適用できることはいうまでも
ない。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、マイクロ波・ミリ波動
作の高出力増幅器等の能動回路の不安定性や寄生発振等
の問題が克服でき、マイクロ波・ミリ波の動作周波数領
域をもつ能動回路を、所望の特性を劣化させることなく
安定に動作させることができる。また、従来構成の増幅
器を安定化させる設計変更も容易であり、さらに、段間
を狭めることができるので、回路レイアウト面積も縮小
することができる。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明フィルタ回路の第1の実施の形態を示す
図である。
【図2】本発明フィルタ回路の第2の実施の形態を示す
図である。
【図3】本発明フィルタ回路の第3の実施の形態を示す
図である。
【図4】本発明フィルタ回路の第3の実施の形態を示す
図である。
【図5】従来のDCカット用フィルタを示す図である。
【図6】本発明のフィルタ回路を適用した1段増幅器の
構成を示す図である。
【図7】本発明のフィルタ回路を適用した多段(3段)
増幅器の構成を示す図である。
【図8】図1のフィルタ回路の具体例を示す図である。
【図9】図8のフィルタ回路の通過特性を示す図であ
る。
【図10】図8のフィルタ回路の通過特性を示す図であ
る。
【図11】図8のフィルタ回路の通過特性を示す図であ
る。
【図12】従来の1段増幅器の小信号特性(a)及び安
定特性(b)を示す図である。
【図13】本発明のフィルタを適用した1段増幅器の小
信号特性(a)及び安定特性(b)を示す図である。
【図14】従来の3段増幅器の小信号特性(a)及び安
定特性(b)を示す図である。
【図15】本発明のフィルタを適用した3段増幅器の小
信号特性(a)及び安定特性(b)を示す図である。
【符号の説明】
1 キャパシタ(キャパシタンスC1) 2、3 伝送線路(特性インピーダンス≧Z0(=5
0Ω)) 4、7、8、11 伝送線路(特性インピーダンス>
0) 5 キャパシタ(キャパシタンスC2>C1) 6 実抵抗(抵抗値R1) 9 キャパシタ(キャパシタンスC3>C1/2) 10 実抵抗(抵抗値R2>R1) 12 キャパシタ(キャパシタンスC。) 13 1段増幅器(ゲート幅200μmのFET) 14 フィルタ回路 15 1段増幅器(ゲート幅200μmのFET) 16 1段増幅器(ゲート幅300μmのFET) 17 1段増幅器4(ゲート幅600μmのFET) 18 キャパシタ(C=0.2pF) 19、20 伝送線路(長さ10μm、巾30μmの
50Ω線路) 21、24 伝送線路(長さLμm、幅Wμm、) 22 キャパシタ(CpF、) 23 実抵抗(R=10Ω)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ルート伝送線路の第1の接続点と第2の接
    続点の間に挿入するフィルタ回路において、前記第1の
    接続点と前記第2の接続点の間に、第1のキャパシタを
    接続するとともに、該第1のキャパシタと並列になるよ
    うに前記第1の接続点と前記第2の接続点の間に、前記
    ルート伝送路の特性インピーダンスよりも大きい特性イ
    ンピーダンスを有する第2の伝送路と、前記第1のキャ
    パシタよりも大きいキャパシタンスを有する第2のキャ
    パシタと、実抵抗と、前記ルート伝送路の特性インピー
    ダンスよりも大きい特性インピーダンスを有する第3の
    伝送路とを直列接続した分岐回路を接続したことを特徴
    とするマイクロ波・ミリ波フィルタ回路。
  2. 【請求項2】ルート伝送線路の第1の接続点と第2の接
    続点の間に挿入するフィルタ回路において、前記第1の
    接続点と前記第2の接続点の間に、第1のキャパシタを
    接続するとともに、該第1のキャパシタと並列になるよ
    うに前記第1の接続点と前記第2の接続点の間に、前記
    ルート伝送路の特性インピーダンスよりも大きい特性イ
    ンピーダンスを有する第2の伝送路と、実抵抗と、前記
    ルート伝送路の特性インピーダンスよりも大きい特性イ
    ンピーダンスを有する第3の伝送路とを直列接続した分
    岐回路を接続したことを特徴とするマイクロ波・ミリ波
    フィルタ回路。
  3. 【請求項3】ルート伝送線路の第1の接続点と第2の接
    続点の間に挿入するフィルタ回路において、前記第1の
    接続点と前記第2の接続点の間に、第1のキャパシタを
    接続するとともに、該第1のキャパシタと並列になるよ
    うに前記第1の接続点と前記第2の接続点の間に、前記
    ルート伝送路の特性インピーダンスよりも大きい特性イ
    ンピーダンスを有する第2の伝送路と、第2のキャパシ
    タと、実抵抗と、前記ルート伝送路の特性インピーダン
    スよりも大きい特性インピーダンスを有する第3の伝送
    路とを直列接続した分岐回路をn個(n≧2)並列に接
    続し、かつ前記n個の第2のキャパシタのキャパシタン
    スの和は、前記第1のキャパシタンスよりも大きいこと
    を特徴とするマイクロ波・ミリ波フィルタ回路。
  4. 【請求項4】ルート伝送線路の第1の接続点と第2の接
    続点の間に挿入するフィルタ回路において、前記第1の
    接続点と前記第2の接続点の間に、第1のキャパシタを
    接続するとともに、該第1のキャパシタと並列になるよ
    うに前記第1の接続点と前記第2の接続点の間に、前記
    ルート伝送路の特性インピーダンスよりも大きい特性イ
    ンピーダンスを有する第2の伝送路と、実抵抗と、前記
    ルート伝送路の特性インピーダンスよりも大きい特性イ
    ンピーダンスを有する第3の伝送路とを直列接続した分
    岐回路をn個(n≧2)並列に接続したことを特徴とす
    るマイクロ波・ミリ波フィルタ回路。
  5. 【請求項5】前記第1のキャパシタは、前記ルート伝送
    路の特性インピーダンスと同じ特性インピーダンスを有
    する伝送路を介して前記第1の接続点及び前記第2の接
    続点に接続されていることを特徴とする請求項1から4
    記載のマイクロ波・ミリ波フィルタ回路。
  6. 【請求項6】前記第1のキャパシタは、前記ルート伝送
    路の特性インピーダンスより大きい特性インピーダンス
    を有する伝送路を介して前記第1の接続点及び前記第2
    の接続点に接続されていることを特徴とする請求項1か
    ら4記載のマイクロ波・ミリ波フィルタ回路。
  7. 【請求項7】能動回路の入力端子または出力端子あるい
    はその両端子に請求項1ないし6のいずれかに記載のマ
    イクロ波・ミリ波フィルタ回路を接続したことを特徴と
    するマイクロ波・ミリ波能動回路。
  8. 【請求項8】多段接続された能動回路の入力端子、出力
    端子、あるいは各段の段間のすべてあるいは1部に請求
    項1ないし6のいずれかに記載のマイクロ波・ミリ波フ
    ィルタ回路を接続したことを特徴とするマイクロ波・ミ
    リ波能動回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010068112A (ja) * 2008-09-09 2010-03-25 Mitsubishi Electric Corp 伝送線路基板

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JP2010068112A (ja) * 2008-09-09 2010-03-25 Mitsubishi Electric Corp 伝送線路基板

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