JP3127989B2 - モノリシックマイクロ波集積回路 - Google Patents

モノリシックマイクロ波集積回路

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JP3127989B2 JP09358891A JP35889197A JP3127989B2 JP 3127989 B2 JP3127989 B2 JP 3127989B2 JP 09358891 A JP09358891 A JP 09358891A JP 35889197 A JP35889197 A JP 35889197A JP 3127989 B2 JP3127989 B2 JP 3127989B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波帯やミ
リ波帯にて使用されるモノリシックマイクロ波集積回路
(以下、MMICと記す)に関し、特に、電界効果トラ
ンジスタ(以下、FETと記す)などにより構成される
ネガティブフィードバック増幅器を有するMMICに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のMMICにおいて用いられるフィ
ードバック増幅器の等価回路図を図9に示す。同図に示
されるように、FET1のドレイン−ゲート間はフィー
ドバックインピーダンスを構成するキャパシタC2と抵
抗器R6との直列回路で接続される。ゲートはRF入力
端子5に接続されるとともに抵抗器R5を介してゲート
バイアス電源VGGに接続される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のMMI
Cでは、使用周波数帯域外(特に高い周波数)で動作が
不安定になる可能性がある。ここで、MMICに使用さ
れるFETの単体での特性例を図10に示す。この例で
は50GHz以上および30GHz以下の周波数で安定
指数として知られるKファクタが1以下となっている。
Kファクタは安定性を示す指標として一般的に用いられ
ているもので、安定動作のためには全ての周波数領域で
1以上であることが求められる。このFETのGMAX
(その周波数で利用しうる最大利得)は、0〜60GH
zまで7dB以上あり、fmax(GMAXが1以上で
ある最大周波数。この周波数以上では発振は起こり得な
い)はもっと高い周波数にある。従って、従来のFET
を使用する回路では例えば60GHz以下でKが1以下
の周波数では負荷のインピーダンスによっては発振する
可能性がある。
【0004】このFETを用いて図9に示すMMICを
構成した場合のGMAXとKファクタのシミュレーショ
ン結果を図11に示す。この例において、1GHz以下
と55GHz以上の周波数でKが1以下となっており、
またこの周波数帯でのGMAXが7dB以上のゲインが
あるため、負荷のインピーダンスによっては発振する可
能性がある。
【0005】一般に使用周波数帯域外では、MMICの
入出力負荷インピーダンスが、特性インピーダンスであ
る50Ωではないため、MMICの入出力の不安定円に
負荷インピーダンスがくると、負性抵抗による不要なゲ
インの盛り上がりが生じ、さらにMMICにポジティブ
なフィードバックがかかると発振が起こる。また、低温
になるとMMIC内のFETのgmが増大し、MMIC
のゲインが高くなるため、常温では発振しない場合で
も、発振する場合がある。さらに、1段の増幅器では発
振しない場合でも、多段にカスケード接続して使用する
と発振することがある。本発明の課題は、上述の従来の
MMICの問題点を解決することであって、その目的
は、フィードバック増幅器における使用周波数帯域外、
特に高い周波数での発振を防止して動作の安定化を図る
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明によれば、ネガティブフィードバック増幅器
を有し、前記ネガティブフィードバック増幅器の入力端
子と出力端子間にフィードバックインピーダンスを構成
する第1のインピーダンス素子と第2のインピーダンス
素子との直列接続体が接続され、両インピーダンス素子
の接続点と接地点との間に、動作周波数の波長をλとし
てλ/4のストリップ線路が接続されているモノリシッ
クマイクロ波集積回路であって、 入力端子寄りの第1の
インピーダンス素子のインピーダンスZ1と、出力端子
寄りの第2のインピーダンス素子のインピーダンスZ2
との間には、 Z1≫Z2 の関係が成立している ことを特徴とするモノリシックマ
イクロ波集積回路(MMIC)、が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態を説明するためのネガティブフィードバック増幅器の
等価回路図である。FET1のソースは接地され、ゲー
ト−ドレイン間には、ネガティブフィードバックループ
を構成する第1のインピーダンス素子3と第2のインピ
ーダンス素子4との直列接続体が接続されている。ま
た、FET1のゲートはRF入力端子5に、ドレインは
RF出力端子6に接続されている。第1、第2のインピ
ーダンス素子3、4の接続点はλ/4ストリップ線路2
を介して接地される。ここで、λは、使用周波数の波長
であって、例えば使用周波数の中心が30GHzである
場合、λは基本的には30GHz乃至その近辺の周波数
の波長に設定されるが、このとき、高い周波数での発振
を十分に抑えることができるように配慮される。λ/4
ストリップ線路は、MMIC上で、マイクロストリップ
線路として構成されることが望ましい。
【0008】第1のインピーダンス素子3のインピーダ
ンスをZ1とし、第2のインピーダンス素子4のインピ
ーダンスをZ2とするとき、両インピーダンスの間に
は、 Z1≫Z2 の関係が成立するようになされる。第1、第2のインピ
ーダンス素子3、4はそれぞれ抵抗器によって構成する
ことができ、MMIC上で薄膜抵抗または拡散抵抗など
によって形成することができる。第1のインピーダンス
素子3は、ゲートバイアス電源を接続するためにさらに
2つのインピーダンス素子の直列接続体に分割すること
ができ、その直列接続体の接続点に抵抗、チョーク素子
などのインピーダンス素子を介してゲートバイアス電源
が接続される。
【0009】図2は、本発明の第2の実施の形態を説明
するためのネガティブフィードバック増幅器の等価回路
図である。同図において、図1に示した第1の実施の形
態の部分と同一の部分には同一の参照番号が付せられて
いるので、重複する説明は省略する。本実施の形態の、
図1の実施の形態と相違する点は、λ/4ストリップ線
路2と接地間にキャパシタC1が挿入された点である。
このキャパシタC1の容量値は、使用周波数でインピー
ダンスがほぼ0Ωになるように設定される。キャパシタ
C1は、第1、第2のインピーダンス素子の接続点とλ
/4ストリップ線路2との間に挿入するようにしてもよ
い。
【0010】[作用]λ/4を与える周波数を、使用周
波数帯域の中間周波数、30GHzに設定する場合を考
える。図1において、使用周波数帯域内では、第1のイ
ンピーダンス素子3と第2のインピーダンス素子4から
λ/4ストリップ線路2をみたインピーダンスは、理想
的にはオープンにみえる。従って、この時の等価回路は
図3で表される。すなわち、このときフィードバックイ
ンピーダンスは、第1のインピーダンス素子3と第2の
インピーダンス素子4とのインピーダンスを加算した値
となる。
【0011】次に、非常に低い周波数での動作を考え
る。図1のλ/4ストリップ線路2はほぼショート状態
をみることができるため、フィードバック回路の等価回
路は図4で表される。ここで、第1、第2のインピーダ
ンス素子のインピーダンスZ1、Z2がZ1≫Z2と設
定されており、Z2≒0Ωとみなすことができるので、
FETのドレインからみた負荷インピーダンスはほぼ0
Ωになる。従ってフィードバック増幅器全体のゲイン、
出力が0となり安定化する。次に、使用周波数帯域外の
高い周波数での動作について考える。図1のλ/4スト
リップ線路2は、30GHz以上の周波数では容量性と
なり、60GHzではショート状態となる。この時のフ
ィードバック回路の等価回路は、非常に低い周波数での
場合と同様に図4で表される。従って、この周波数では
RF出力端子6はほぼ負荷が0Ωの状態となり、フィー
ドバック増幅器全体のゲイン、出力が0となり安定化す
る。なお、λ/4長を決定するための周波数の選択は、
どの周波数帯域まで安定化を図るのかと、使用周波数で
の必要なゲインとの兼ね合いによって決定される。
【0012】図2に示す本発明の第2の実施の形態の回
路の図1の回路との動作上の違いは、非常に低い周波数
ではキャパシタC1がオープンにみえるために、等価回
路が図3に示したものになる点である。そのため、図1
の回路に比較して、非常に低い周波数では安定度が劣化
する。但し、低い周波数においてネガティブフィードバ
ックループがオープンとなる図9の従来例に比較する
と、安定性は大きく改善されている。
【0013】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。 [第1の実施例]図5は、本発明の第1の実施例を示す
等価回路図である。同図において、1はFET、2aは
λ/4マイクロストリップ線路、5はRF入力端子、6
はRF出力端子、R1〜R4は抵抗器である。本実施例
においては、λを与える周波数を30GHzとし、ま
た、それぞれの抵抗器の抵抗値を、R1=50Ω、R2
=2kΩ、R3=20Ω、R4=5Ωとした。すなわ
ち、使用周波数帯域内におけるフィードバック抵抗値と
して75Ωが選択され、使用周波数帯域外におけるドレ
インからみた負荷インピーダンスがほぼ5Ωとなるよう
に設定されている。
【0014】図6は、図5に示した第1の実施例の回路
のシミュレーション結果である。図6に示されるよう
に、GMAXは、15GHzから50GHzまでの帯域
でほぼ3dB以上を確保している。また、Kファクタは
DC域から60GHzまで1以上を満足しており、安定
性のよいMMICを得られていることが分かる。尚、本
実施例回路では、ゲートバイアス供給用の抵抗器とし
て、2kΩのR2を用いたが、マイクロ波帯で無限大の
インピーダンスにみえるチョーク回路を使用することが
より望ましい。また、図には示されていないが、ドレイ
ンにも同様にチョーク回路にてDCバイアスが供給され
ている。
【0015】[第2の実施例]図7は、本発明の第2の
実施例を示す回路図である。同図において、図5に示し
た回路図と同一記号で示されるものは、同等の部品を示
している。本実施例の先の第1の実施例と相違する点
は、λ/4マイクロストリップ線路2aと直列にキャパ
シタC1が接続されている点である。この実施例では、
キャパシタC1の容量値は2pFである。図8は、図7
に示した第2の実施例の回路のシミュレーション結果で
ある。本実施例においても、DCから60GHzまでK
ファクタは1以上を満足しているが、本実施例では、非
常に低い周波数ではフィードバック抵抗として75Ωが
実効的に挿入されることになるために、安定度は第1の
実施例と比較して、少し劣化している。
【0016】以上好ましい実施例について説明したが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、特許
請求の範囲に記載される範囲内において適宜の変更が可
能である。例えば、実施例では1段の増幅器について説
明したが、本発明は1段増幅器に限ったものではなく、
多段に接続されたFET増幅器のネガティブフィードバ
ック回路にも適用が可能なものである。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ドレイ
ン−ゲート間を接続するフィードバックインピーダンス
をドレイン側が低インピーダンスの2つのインピーダン
スに分割しその分割点をλ/4ストリップ線路にて接地
したものであるので、動作周波数においてネガティブフ
ィードバック増幅器として動作させることができるとと
もに、極めて低い周波数および動作周波数の2倍の周波
数でドレインを低インピーダンスにて接地することがで
きる。したがって、本発明によれば、使用周波数外での
Kファクターを1以上に維持することが可能になり、広
帯域に渡って動作安定なMMICを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す等価回路
図。
【図2】 本発明の第2の実施の形態を示す等価回路
図。
【図3】 本発明の実施の形態の作用を説明するための
等価回路図。
【図4】 本発明の実施の形態の作用を説明するための
等価回路図。
【図5】 本発明の第1の実施例を示す等価回路図。
【図6】 本発明の第1の実施例のシミュレーション結
果を示す特性図。
【図7】 本発明の第2の実施例を示す等価回路図。
【図8】 本発明の第2の実施例のシミュレーション結
果を示す特性図。
【図9】 従来例の等価回路図。
【図10】 FET単体に対するシミュレーション結果
を示す特性図。
【図11】 図9に示す従来例のシミュレーション結果
を示す特性図。
【符号の説明】
1 電界効果トランジスタ(FET) 2 λ/4ストリップ線路 2a λ/4マイクロストリップ線路 3 第1のインピーダンス素子 4 第2のインピーダンス素子 5 RF入力端子 6 RF出力端子 C1、C2 キャパシタ R1〜R6 抵抗器

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ネガティブフィードバック増幅器を有す
    るモノリシックマイクロ波集積回路において、前記ネガ
    ティブフィードバック増幅器の入力端子と出力端子間に
    フィードバックインピーダンスを構成する第1のインピ
    ーダンス素子と第2のインピーダンス素子との直列接続
    体が接続され、両インピーダンス素子の接続点と接地点
    との間に、動作周波数の波長をλとしてλ/4のストリ
    ップ線路が接続されているモノリシックマイクロ波集積
    回路であって、 入力端子寄りの第1のインピーダンス素子のインピーダ
    ンスZ1と、出力端子寄りの第2のインピーダンス素子
    のインピーダンスZ2との間には、 Z1≫Z2 の関係が成立している ことを特徴とするモノリシックマ
    イクロ波集積回路。
  2. 【請求項2】 第1および第2のインピーダンス素子が
    それぞれ抵抗器であることを特徴とする請求項1記載の
    モノリシックマイクロ波集積回路。
  3. 【請求項3】 前記ストリップ線路がマイクロストリッ
    プ線路であることを特徴とする請求項1記載のモノリシ
    ックマイクロ波集積回路。
  4. 【請求項4】 前記ネガティブフィードバック増幅器が
    ソース接地のFETによって構成されていることを特徴
    とする請求項1記載のモノリシックマイクロ波集積回
    路。
  5. 【請求項5】 入力端子寄りの第1のインピーダンス素
    子は、入力端子側インピーダンス素子と出力端子側イン
    ピーダンス素子との二つのインピーダンス素子によって
    構成され、これら二つのインピーダンス素子の接続点は
    第3のインピーダンス素子を介してゲートバイアス電源
    に接続されていることを特徴とする請求項4記載のモノ
    リシックマイクロ波集積回路。
  6. 【請求項6】 前記ストリップ線路と前記第1および第
    2のインピーダンス素子の接続点との間、または、前記
    ストリップ線路と接地点との間にはキャパシタが接続さ
    れていることを特徴とする請求項1記載のモノリシック
    マイクロ波集積回路。
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