JPH11350097A - 表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 - Google Patents

表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法

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JPH11350097A JP15413398A JP15413398A JPH11350097A JP H11350097 A JPH11350097 A JP H11350097A JP 15413398 A JP15413398 A JP 15413398A JP 15413398 A JP15413398 A JP 15413398A JP H11350097 A JPH11350097 A JP H11350097A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性を低下させることなく、また、既存の
製造設備に対して大規模な改造を必要とせずに、表面外
観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造する。 【解決手段】 メッキ槽内の溶融亜鉛浴に鋼板を連続的
に通板・浸漬して溶融メッキを行った後、前記鋼板を加
熱してメッキ層を合金化する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
の製造方法において、浴中Al濃度を0.15±0.01wt%の範
囲内に保持する。ドロスがδ1相とFe−Al相間の相変態
を繰り返す過程で微細化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面外観に優れた
合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛メッキ鋼板はプレス成形
性、耐食性、溶接性など種々の特性に優れているため
に、巾広く使用されている。最近では、合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板は、冷延鋼板や電気メッキ鋼板に代わり、自
動車車体の外板用途など、美麗な表面外観を必要とされ
る用途に使用されるようになった。
【0003】しかしながら、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
は、冷延鋼板や電気メッキ鋼板と比較し、美麗な表面外
観を得ることが困難である。その一因として、溶融亜鉛
メッキ鋼板の製造ラインにおいて不可避的に発生するド
ロスと呼ばれる金属間化合物が付着することがある。
【0004】通常、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造す
る場合、被メッキ鋼板をメッキ槽内の溶融亜鉛浴に浸漬
し、浴中のシンクロールによって方向転換させてメッキ
槽から引き上げ、ワイピング装置によって所定のメッキ
付着量に調整した後に、合金化処理を行う。このような
製造設備において、被メッキ鋼板や浴中機器から溶出し
たFeと、溶融亜鉛浴中のZnやAlとの化学反応によってFe
−Zn系および/またはFe−Al系の金属間化合物が生成す
ることは避けられない。通常、これらの浴中に生成した
金属間化合物をドロスと称している。
【0005】生成したドロスは、溶融亜鉛浴が静かな状
態であれば、溶融亜鉛との比重差によって、メッキ槽底
部に沈降し堆積するか、もしくは浴面に浮上する。しか
しながら、溶融亜鉛浴は被メッキ鋼板の通過やシンクロ
ールなどの浴中ロールの回転により常に撹拌されてい
る。Fe−Zn系のドロスは溶融Znより比重が高いがその比
重差が比較的小さいので、浴の撹拌が強くなると浮遊し
やすく浴中で鋼板に付着する。一方、Fe−Al系のドロス
は溶融Znとの比重差が大きいので浴面に浮上しやすく、
鋼板が浴面を通過する際に付着しやすい。付着したドロ
スは、調質圧延時やプレス加工時に押しつぶされ、ドロ
ス欠陥と呼ばれる点状の欠陥の原因となる。
【0006】そこで、このようなドロス欠陥防止を目的
に、操業を停止することなく溶融亜鉛浴中からドロスを
除去する手段として、ドロスを含む溶融亜鉛浴をメッキ
槽から取り出してサブポットに送り、サブポット内で溶
融亜鉛浴を清浄化した後、メッキ槽に戻す技術は数多く
提案されている。
【0007】これらの従来技術の中で、例えば特開平5-
98405号公報では、より効率的にドロス除去を行う方法
として、溶融亜鉛浴中の球相当径50μm以上のドロスを
サブポット内で沈降分離した後にメッキ槽に戻し、除去
することが困難な球相当径50μm以下のドロスを鋼板に
付着させて除去し、合金化処理や調質圧延により消滅さ
せ無害化するする方法を提案している。
【0008】また、特開平3-211262号公報では、被メッ
キ鋼板に、該鋼板とZn、Alが反応してできた微小な直径
50μm以下のFe−Zn合金および/またはFe−Al合金のド
ロスを付着させたまま引き出し、ついで合金化処理ある
いは調質圧延によって付着したドロスを消滅させ無害化
する溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法、および、メッキ槽
内に被メッキ鋼板の周囲にカバーを備えた溶融亜鉛メッ
キ鋼板の製造装置を提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平5-98405号公報に代表される従来技術では、溶
融亜鉛浴からドロスを除去するために、溶融亜鉛浴をく
み出すポンプやサブポットの新設など設備の大規模な改
造を必要とするため、多額の設備投資を必要とする。ま
た、既存の製造ラインに設置する場合は設置スペースの
問題が生じる。あるいは、装置の保守、点検等に労力を
必要とし、必ずしも生産性の改善につながらない。
【0010】また、特開平3-211262号公報では、付着し
た直径50μm以下のドロスを、合金化処理時間中のFe、
Al、Znの拡散により消滅させるために、合金化処理条件
に制約が生じパウダリング性など表面品質以外の品質の
劣化が懸念される。調質圧延により無害化させる場合も
同様に調質圧延条件に制約が生じる。
【0011】また、付着するドロスを直径50μm以下の
大きさに制限するには、前記したメッキ槽内のカバーや
特開平5-98405号公報に提案されているようなサブポッ
トなどの亜鉛浴清浄化装置などが必要であり、設備投資
と保守作業の労力が必要である。
【0012】本発明は、生産性を低下させることなく、
かつ、既存の製造設備に対して大規模な改造を必要とせ
ずに表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造
する方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め手段は、メッキ槽内の溶融亜鉛浴に鋼板を連続的に通
板・浸漬して溶融メッキを行った後、前記鋼板を加熱し
てメッキ層を合金化する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製
造方法において、浴中Al濃度を0.15±0.01wt%の範囲内
に保持することを特徴とする表面外観に優れた合金化溶
融亜鉛メッキ鋼板の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
浴中のドロスを完全に除去した後、清浄な浴で操業を開
始し溶融メッキ鋼板の製造を続けると、次第に鋼板や浴
中機器からFeが供給され、ドロスが発生する。ドロスは
最初は微細でも次第に成長し、一定以上の直径のドロス
が鋼板に付着すると、点状の表面欠陥が発生する。例え
ば、特開平3-211262号公報では直径50μm以上のドロス
が付着した溶融メッキ鋼板は合金化処理後、表面欠陥が
発生するとしている。
【0015】ここで、ドロスの組成は浴中Al濃度と密接
な関係に有ることが知られている。例えば、465℃に保
持した亜鉛浴において、浴中Al濃度が約0.15%以上では
生成するドロスはFe−Al系のものであるのに対し、これ
より低い浴中Al濃度では、生成するドロスはFe−Zn系の
δ1相のドロスが発生する。さらに浴中Al濃度を下げる
とFe−Zn系のζ相のドロスが発生する。即ち、浴中にお
いて平衡なドロス相は、浴の保持温度と浴中Al濃度によ
って決定される。いずれのドロス相が安定な領域に温
度、浴中Al濃度を維持して操業を行っても、時間ととも
にドロスは増加、粗大化し、ドロス欠陥の原因となる。
【0016】また、既にドロスが存在する浴の浴中Al濃
度を大きく変化させた場合でも上記の変化が生じ、浴中
のドロスは浴組成や温度に応じて安定な相へと変化す
る。
【0017】本発明者らは、浴組成とドロスの関係につ
いて鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
【0018】δ1相のドロスが存在する亜鉛浴のAl濃度
を上昇させて、Fe−Al相が安定な組成へと変化させる
と、浴中のドロスはFe−Al相へと変化する。この際に、
Fe−Al相のドロスは、δ1相のドロスの表面で核生成、
成長する。また、一つのδ1相のドロスから複数のFe−A
l相のドロスが発生する。即ち、浴条件を変更し、安定
なドロス相の変化が生じる時、一つのドロスは複数の粒
子に分割される。逆方向に浴組成を変化させても同様の
現象が再び生じる。
【0019】浴中Al濃度を0.15wt%を越えた組成で保持
し操業を行うと、Fe−Al相が安定の領域となって、時間
の経過とともにFe−Al相のドロスが成長する。一方、浴
中Al濃度を0.15wt%を下回って操業を行うと、δ1相安定
の領域となって、時間の経過とともにδ1相のドロスが
成長する。例えば、浴組成が0.15wt%以上でFe−Al相の
ドロスを含む亜鉛浴の組成を、0.15wt%以下に変化させ
ると、浴中の存在するドロスは浴組成によって決定され
る安定な相、即ちδ1相へ変化する過程において微細化
する。
【0020】しかしながら、ドロス微細化処理のために
浴組成を大きく変動させることは、合金化溶融亜鉛メッ
キ鋼板を安定して製造する点から問題が大きい。例え
ば、浴組成を急速に変更することは難しく、特にAl濃度
を低下させることは困難である。また、Al濃度を大きく
上昇させると、その間に製造する合金化溶融亜鉛メッキ
鋼板は合金化処理が困難になる。
【0021】そこでさらに検討を進めた結果、浴中Al濃
度を相変態が生ずる濃度の付近、即ち、0.15±0.01wt%
の範囲内に保持することによって、ドロスの成長を抑制
することが可能であり、また、抑制効果がより高いこと
が判明した。実操業では、浴条件を一定に保つ努力を行
っても、実際は局所的な温度や浴組成の不均一は避けら
れない。例えば、亜鉛浴の供給は、メッキ槽内でZnイン
ゴット、もしくはZn合金インゴットを溶解することで行
われるので、インゴット周囲では浴組成が異なる。ま
た、浴面付近や前記インゴット周囲では当然ながら亜鉛
浴は冷却され浴温が低下する。一方で、浴温維持のため
に設けられている加熱装置によって、部分的に浴温が高
い領域が存在する。さらに被メッキ鋼板の周囲の亜鉛浴
は、被メッキ鋼板と亜鉛浴の温度差によって加熱あるい
は冷却されている。
【0022】このように、メッキ槽中の大部分は温度、
組成が均一であるが、局所的に亜鉛浴の組成、温度が異
なる部分が不可避的に存在する。したがって、浴中Al濃
度が0.15wt%に近いドロスを含む亜鉛浴が、前述の浴組
成が異なる領域に達した時、浴組成が0.15wt%を超えて
変化することによって、安定なドロス相が変化しドロス
の相変態に伴う微細化が起こる。またこの浴がメッキ槽
の大部分と同じ組成に回復する際に、再びドロスの相変
態に伴うドロスの微細化が起こり、連続的にドロスの微
細化が行われるので、その結果としてメッキ槽全体では
ドロスの成長が抑制されるためである。
【0023】本発明者らは、メッキ槽内の浴温の不可避
な不均一部分を利用してドロスの成長を抑制するには、
メッキ槽中の大部分を占める均一な部分の浴組成を、0.
15%±0.01wt%の範囲内に管理することによってなされ
ることを知見した。すなわち、通常操業管理で測定して
いる浴組成を、同様に測定している浴温によって決定さ
れる0.15±0.01wt%の範囲内に管理することによってな
されることを知見した。
【0024】この方法ではメッキ槽中の大部分の浴組成
は変動しないので、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造す
る点で安定性が高い。また、メッキ後の鋼板にドロスが
付着しても微細なので、さらに合金化処理を施して製造
される合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の表面外観を損なうこ
とがない。
【0025】本発明では、浴中Al濃度を0.15±0.01wt%
の範囲内に保持することによりドロスの粗大化を抑制す
ることによってなされるので、合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板の下地鋼板になんら制限はない。また、製造時のメッ
キ槽への侵入板温、溶融亜鉛浴温度、メッキ付着量等の
メッキ条件、合金化処理温度、合金化処理時間、合金化
処理装置の種類等の合金化処理条件になんら制限はな
い。合金化処理はメッキに引き続いて行うことが有利だ
が、別の設備で行ってもよい。
【0026】なお、本発明は、ドロスの粗大化を抑制
し、浴中のドロスを微細なままに維持することによって
優れた表面外観を得るものであって、ドロスの発生量を
削減するものではない。実際に有害な浴中のドロスは、
あるサイズを越えたものであるので、例えば50μm以下
の微細なドロスが浴中に大量に存在しても無害である。
【0027】
【実施例】(実施例1)CGLにおいて、平均粒径が100μ
mのドロスを含む亜鉛浴を460℃に保持し、合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板を継続して製造し、亜鉛浴に含まれるドロ
スの粒子径の経時変化を調査した。この間、亜鉛浴の供
給、浴温の維持のための加熱、浴面での冷却などの不可
避の要因によって、局所的な浴温、浴組成の変動が生じ
ている。調査結果を図1に示す。
【0028】Al濃度を0.15±0.01wt%から外れた範囲に
保持した浴では、時間とともにドロスが粗大化してい
た。一方、Al濃度を境界濃度0.15±0.01wt%の範囲内に
保持した浴では、メッキ中に不可避的に起こる局所的な
浴温や浴組成の変動によってドロスが微細化されてい
た。
【0029】前記微細化された亜鉛浴で鋼板にメッキす
ると、優れた表面外観の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得
られる。
【0030】(実施例2)CGLにおいて、予め浴中にド
ロスのない溶融亜鉛メッキ浴を準備し、浴中Al濃度を種
々の組成に調整して、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を継続
して製造し、1週間後、採取した亜鉛浴に含まれるドロ
スの平均粒子径を調査した。前記の実験を保持温度を変
えて3水準行った。亜鉛浴の供給、浴温の維持のための
加熱、浴面での冷却など不可避の要因によって、局所的
な浴温、浴組成の変動は生じている。調査結果を図2に
示す。
【0031】Al濃度を0.15±0.01wt%から外れた範囲で
保持した浴と比較し、Al濃度を境界濃度0.15±0.01wt%
の範囲内に保持した浴では、メッキ中に不可避的に起こ
る局所的な浴温や浴組成の変動によってドロスが微細で
あり、粗大化が抑制されていた。
【0032】前記微細化された亜鉛浴で鋼板にメッキす
ると、優れた表面外観の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得
られる。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
既存の製造設備を改造しないでドロスの粗大化を抑制を
できるので、ドロス処理のために生産性を落とすことな
く、優れた表面外観を有する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドロス粒子径の経時変化を示す図。
【図2】浴中Al濃度、浴温度とドロス粒子径の関係を示
す図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メッキ槽内の溶融亜鉛浴に鋼板を連続的
    に通板・浸漬して溶融メッキを行った後、前記鋼板を加
    熱してメッキ層を合金化する合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
    の製造方法において、浴中Al濃度を0.15±0.01wt%の範
    囲内に保持することを特徴とする表面外観に優れた合金
    化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
JP15413398A 1998-06-03 1998-06-03 表面外観に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3387415B2 (ja)

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