JPH11348267A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JPH11348267A
JPH11348267A JP16083598A JP16083598A JPH11348267A JP H11348267 A JPH11348267 A JP H11348267A JP 16083598 A JP16083598 A JP 16083598A JP 16083598 A JP16083598 A JP 16083598A JP H11348267 A JPH11348267 A JP H11348267A
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JP
Japan
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surface acoustic
acoustic wave
ink
propagation
absorbing member
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JP16083598A
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English (en)
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Takayuki Yagi
隆行 八木
Yoshimasa Okamura
好真 岡村
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Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面弾性波を利用したインクジェットヘッド
において、マルチ化した場合の制御回路への負担を軽減
し、かつ、インクのリフィル時間の遅延を抑える。 【解決手段】 圧電基板1の表面の一部位に、表面弾性
波を発生させるためのIDT2が設けられている。圧電
基板1の表面近傍には、圧電基板1の表面のIDT2か
ら離れた位置にインクを供給するためのキャピラリー6
が配置される。IDT2とキャピラリー6との間には、
表面弾性波を吸収するための表面弾性波吸収部材4が、
圧電基板1の表面に対して接触及び離間するように移動
可能に設けられ、キャピラリー6により供給されたイン
ク7への表面弾性波の伝搬が制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ、ファク
シミリ、複写機等の画像形成装置に関する出力手段のう
ち、特に、インクを微細化して被記録媒体に転移させて
画像を記録するインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式としては、ノズ
ルに設けられたヒータの駆動によりインク中に気泡を形
成して、この気泡の成長に伴う圧力を利用してノズルか
らインクを吐出させる、いわゆるバブルジェット方式
や、ピエゾ圧電素子のバルクの電気機械変位を利用して
インクを吐出させる、いわゆるピエゾジェット方式が広
く用いられている。
【0003】上記の方式によるインクジェットヘッド
は、一般的に微小なインク滴を形成するために、微細な
ノズルやヒータ、あるいはピエゾ圧電素子の加工を施し
て作製されるので、ノズルでのインクの目詰まりが起こ
り易い。また、バブルジェット方式ではインクがヒータ
上で焦げるおそれがあり、これを回避するために、使用
可能なインクの材質に制限がある。ピエゾジェット方式
では、ドライバの実装やノズルへの供給エネルギーの問
題から、高密度で長尺マルチ化したインクジェットヘッ
ドを作製することは困難である。
【0004】一方、近年において、例えば、塩川等によ
り表面弾性波(surface acousticwave)のストリーミ
ング現象を利用した微小流体素子(電子情報通信学会技
術報告書、US89−51、P41−46)、および表
面弾性波をインク中に放出しインクを飛翔させる液滴ジ
ェット装置(特開平2−269058号公報)が提案さ
れている。
【0005】図9に、表面弾性波を利用した従来のイン
クジェット装置の概略図を示す。このインクジェット装
置は、圧電基板501上にIDT(交差指電極)502
を設けたものである。このIDT502に、数MHzか
ら数百MHzの高周波信号を発生する交流電気信号発生
器503と、交流電気信号を間欠にするパルス信号発生
器504とによる電気信号を入力すると、圧電基板50
1に表面弾性波が励振され、表面弾性波の進行波にて伝
搬面上の液体507が飛翔する。
【0006】このように、表面弾性波を利用したインク
ジェット装置は、ノズルが不要であるのでインク目詰ま
りがなく、しかもインクを加熱しないのでインクの焦げ
も発生しない。さらに、ピエゾ圧電素子のバルクの変位
を利用するものと比較して、弾性体の表面に集中した弾
性波エネルギーを高効率でインクに与えることができる
ため、入力パワーの点で有利となる。
【0007】このような構成のインクジェット装置にて
マルチ化して記録速度を向上させるには、IDTの数を
増やし、かつ、交流電気信号発生器やパルス信号発生器
もIDTと同じ数にする必要がある。しかし、数MHz
から数百MHzの高周波信号に対応する交流電気信号発
生器やパルス信号発生器を100〜1000素子に対応
してマルチ化することは、回路を小型集積化する上で困
難であった。
【0008】この問題を解決する方法として、インク導
入路へのインク流入を制御することによってインクの吐
出制御を実現し、制御回路に係わる負担を軽減するイン
クジェットヘッドが、特開平4−294146号公報に
開示されている。図10に、このインクジェットヘッド
の概略図を示す。
【0009】図10において、IDT512が設けられ
た圧電基板511の側面には、厚み方向に複数の溝が形
成された補助板513が密着され、これによりインク導
出路514が形成される。圧電基板511の下面には圧
電体支持部515が設けられ、この圧電体支持部515
に、複数のバイモルフ圧電体516が各インク導出路5
14に対応して支持される。バイモルフ圧電体516
は、圧電体支持部515に片持ち梁状に支持され、その
自由端部はインク導出路514の下端を塞いでいる。
【0010】圧電基板511は、不図示の支持手段によ
りインク上に支持されており、バイモルフ圧電体516
に電圧を印加してバイモルフ圧電体516を反り変形さ
せると、バイモルフ圧電体516と補助板513との間
に隙間が生じ、毛管現象によりこの隙間からインク導出
路514にインクが供給される。次いで、IDT512
を駆動して表面弾性波を発生および伝搬させ、インクが
供給されたインク導出路514からインクを吐出させ
る。このような構成のインクジェットヘッドでは、表面
弾性波を発生させる手段は一つでよく、しかも高周波に
対応した回路をIDTと同じ数だけ作製する必要がない
ため、小型集積化が可能である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、制御回
路に係わる負担を軽減するためにインク導出路へのイン
ク供給を制御したインクジェットヘッドでは、インク導
出路への毛管現象によるインク供給時間(リフィル時
間)が必要であり、他の方法に比べてリフィル時間が遅
延するため、記録速度を飛躍的に向上させることはでき
なかった。
【0012】そこで本発明は、表面弾性波を利用しつつ
も、マルチ化した場合の制御回路への負担を軽減でき、
かつ、リフィル時間を遅延させないインクジェットヘッ
ドを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明のインクジェットヘッドは、表面弾性波を発生さ
せる手段と、前記表面弾性波を発生させる手段により発
生させた表面弾性波を伝搬させる伝搬面を有する表面弾
性波伝搬部材と、前記伝搬面にインクを供給するインク
供給手段と、前記インク供給手段と前記表面弾性波を発
生させる手段との間に前記伝搬面と対向配置され、前記
伝搬面に対して接触及び離間移動可能に設けられた表面
弾性波吸収部材とを有する。
【0014】上記のとおり構成された本発明のインクジ
ェットヘッドでは、表面弾性波吸収部材を伝搬面から離
間させた状態で伝搬面上に表面弾性波を発生させると、
表面弾性波はインク供給手段により伝搬面上に供給され
たインクに伝搬し、インクが吐出する。一方、表面弾性
波吸収部材を伝搬面に接触させると、伝搬面上を伝搬し
てきた表面弾性波は表面弾性波吸収部材に吸収されるの
で、インクまでは伝搬せず、インクは吐出されない。こ
のように、本発明では、伝搬面に対して表面弾性波吸収
部材を動作させインクへの表面弾性波の伝搬を制御する
ことで、インクの吐出が制御される。
【0015】また、表面弾性波吸収部材を上記のように
移動させるための駆動手段としては、電圧の印加により
変形する圧電体素子を備えるものや、磁力を利用して表
面弾性波吸収部材を移動させるものや、2つの電極間に
電圧を印加することで発生する静電引力を利用して表面
弾性波吸収部材を移動させるものを用いることができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0017】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態であるインクジェットヘッドの概略構成を示
す斜視図である。また、図2は、図1に示したインクジ
ェットヘッドを、IDTの中心線に沿って表面弾性波の
伝搬方向に切断した断面図である。
【0018】図1に示すように、圧電性を有する圧電基
板1の表面の一部位には、表面弾性波を発生させるため
の交差指電極(以下、IDTという)2が設けられてお
り、圧電基板1の表面は、表面弾性波を伝搬する伝搬面
として用いられる。IDT2には、数MHz〜数百MH
zの高周波信号を発生する交流電気信号発生器3が接続
されている。また、圧電基板1の表面近傍の上方には、
圧電基板1の表面のIDT2から離れた位置にインク7
を供給するためのキャピラリー(毛管)6が配置されて
いる。
【0019】圧電基板1としては、LiNbO3、Li
TaO3、水晶等の圧電体単結晶からなるものや、PZ
T、PLZT等の圧電性セラミックスからなるものや、
ガラス、シリコンウェハ等の基体上にZnO、AlN、
PZN等の圧電体薄膜を形成したものなどが用いられ
る。
【0020】IDT2とキャピラリー6との間には、表
面弾性波を吸収するための表面弾性波吸収部材4が、駆
動手段5により、圧電基板1の表面に接触および離間す
るように移動可能に設けられている。
【0021】表面弾性波吸収部材4は、表面弾性波が伝
搬する伝搬面に接触することが可能な面を有しているも
のであれば、金属、半導体、絶縁体等の如何なる材料を
用いてもよい。表面弾性波の振幅は1nm〜数十nmと
小さく、表面弾性波吸収部材4が十分な表面接触を行う
には、その表面粗度が表面弾性波の振幅と同程度もしく
はそれ以下、または十分な接触面積を確保できるものが
好ましい。その中でも、表面弾性波吸収部材4として
は、樹脂、ゴム等のヤング率が小さく変形し易い高分子
材料を用いるのがより好ましい。これにより、駆動手段
5により伝搬面に接触させることにより表面弾性波吸収
部材4が変形するので、表面粗度にかかわらず、十分な
表面接触を行うことが可能となる。また、駆動手段4の
伝搬面側が、伝搬面に接触するように配置できるのであ
れば、その表面を表面弾性波吸収部材として用いること
も可能である。
【0022】本実施形態のインクジェットヘッドでは、
交流電気信号発生器3による電気信号がIDT2に入力
され、これにより圧電基板1に表面弾性波を励振させ
る。この表面弾性波は、伝搬面すなわち圧電基板1の表
面を伝搬するが、この際、図2(a)に示すように、表
面弾性波吸収部材4を圧電基板1の表面から離間させて
おくことで、表面弾性波は圧電基板1の表面上のインク
7まで伝搬し、インク滴7aを飛翔させる。一方、図2
(b)に示すように、表面弾性波吸収部材4を圧電基板
1の表面に接触させておくと、圧電基板1の表面を伝搬
してきた表面弾性波は表面弾性波吸収部材4で吸収され
る。その結果、表面弾性波はインク7まで伝搬せず、イ
ンク7は飛翔しない。
【0023】このように、表面弾性波の伝搬面への、表
面弾性波吸収部材4の接触および非接触によりインクへ
の表面弾性波の振動エネルギーの流入を制御することに
よりインク滴の吐出制御が行われる。
【0024】表面弾性波吸収部材4の移動は、駆動手段
5で行われるが、以下に、この本発明で用いられる駆動
手段5の一例について図3を参照して説明する。
【0025】図3に示すように、駆動手段5は、2つの
圧電体13を3つの電極12でサンドイッチしたバイモ
ルフ型圧電体素子11と、このバイモルフ型圧電体素子
11の一端部を支持する支持部材10とを有する。バイ
モルフ型圧電体素子11は、各電極12に印加される電
圧を調整することにより、自由端である他端部がZ軸方
向に変位することが可能である。バイモルフ型圧電体素
子11の自由端の、圧電基板1との対向面には表面弾性
波吸収部材4が形成され、この表面弾性波吸収部材4は
その表面が圧電基板1上に空隙を介して配置されてい
る。
【0026】バイモルフ型圧電体素子11に電圧を印加
することによりバイモルフ型圧電体素子11が屈曲し、
表面弾性波吸収部材4が圧電基板1に接触する。これに
より、IDT2の駆動により圧電基板1の表面に発生し
た表面弾性波は表面弾性波吸収部材4に吸収され、イン
クへの表面弾性波の流入が阻止される。
【0027】以下に、上述したインクジェットヘッドの
具体例について説明する。圧電基板1として、128°
Y−XカットLiNbO3を用いた。この圧電基板1上
に、真空蒸着法及びフォトリソグラフィプロセスにより
300nmの厚みのAl薄膜からなる櫛形電極の形状を
有するIDT2を形成した。IDT2は、交差幅は5m
mとし、また、励振周波数を50MHzに合わせた線幅
を確保した。なお、IDT2の対数は20とした。駆動
手段5を構成するバイモルフ型圧電体素子11の圧電体
13は、厚みが80μm、幅が200μm、長さ(支持
端から自由端までの長さ)が5mmのものを用いた。表
面弾性波吸収部材4としては厚さが50μmのシリコー
ン樹脂からなるものを用い、接着剤によりバイモルフ型
圧電体素子11の自由端部に接着した。また、表面弾性
波吸収部材4は、圧電基板1の表面から1μmの空隙を
介して配置した。
【0028】このようなインクジェットヘッドに、キャ
ピラリー6よりインク7を供給しつつ、交流電気信号発
生器3により励振周波数が50MHzの1Wの電力をI
DT2に入力した。すると、圧電基板1の表面に表面弾
性波が励起し、インク7がインク滴7aとなって飛翔し
た。一方、駆動手段5のバイモルフ型圧電体素子11に
20Vの電圧を印加し、表面弾性波吸収部材4を圧電基
板1の表面(伝搬面)に押し付けたところ、インク7の
飛翔は見られなかった。そして、バイモルフ型圧電体素
子11への電圧の印加を停止したところ、再度、インク
滴7aを飛翔させることができた。
【0029】以上のように、本実施形態では、表面弾性
波吸収部材4の駆動により、圧電基板1の表面での表面
弾性波の伝搬を制御するので、IDT2の制御回路への
負担を軽減して、すなわちヘッドのドライバ回路を大幅
に簡略化した構成でインク7の吐出を制御することがで
きるようになる。また、従来のようにインク導出路への
インク供給を制御する方法と比較して、インク導出路へ
の毛細管現象によるインク供給時間(リフィル時間)を
省くことができ、インクのリフィル時間の遅延を抑える
ことができる。
【0030】(第2の実施形態)図4は、本発明の第2
の実施形態であるインクジェットヘッドの概略構成を示
す斜視図である。
【0031】本実施形態では、駆動手段25は、3つの
バイモルフ型圧電体素子31を有する。各バイモルフ型
圧電体素子31は、第1の実施形態で用いたものと同様
のものであり、1つの支持部材30に並列に並べられて
支持されている。各バイモルフ型圧電体素子31の自由
端部にはそれぞれ表面弾性波吸収部材24が設けられて
いる。本実施形態では、バイモルフ型圧電体素子同士を
300μm間隔で配列した。また、圧電基板21の大き
さ及びIDT22の大きさは、バイモルフ型圧電体素子
31の配列に合わせて設定される。
【0032】圧電基板21の一側壁には、インク供給の
ためのキャピラリー26を構成するガラス板29が固定
されている。このガラス板29には、圧電基板21と対
面する部位に、バイモルフ型圧電体素子31の配列ピッ
チと等しいピッチで、3つの溝が圧電基板21の厚み方
向に沿って形成され、これら各溝と圧電基板21とで形
成される空間により3つのキャピラリー26が構成され
る。本実施形態では、溝の幅は100μmとした。
【0033】圧電基板21及びガラス板29の下部に
は、内部にインクを収容したインク供給槽28が取り付
けられている。インク供給槽28のインクが収容された
部分はキャピラリー26と連通しており、インク供給槽
28に収容されたインクは、毛細管現象によりキャピラ
リ26ー中を上昇し、圧電基板21の表面である表面弾
性波の伝搬面に供給される。
【0034】交流電気信号発生器23により、励振周波
数が50MHzの1Wの電力をIDT22に入力する
と、圧電基板21の表面に表面弾性波が励起し、インク
が液滴となって飛翔する。一方、駆動手段25のバイモ
ルフ型圧電体素子31に20Vの電圧を印加し、表面弾
性波吸収部材24を圧電基板21の表面(伝搬面)に押
し付けたところ、インクの飛翔は見られなかった。そし
て、バイモルフ型圧電体素子31への電圧の印加を停止
したところ、再度、液滴を飛翔させることができた。
【0035】以上により、各バイモルフ型圧電体素子3
1の駆動を個別に制御することで、インクの吐出をキャ
ピラリー26ごとに制御することが可能な、マルチ化し
たインクジェットヘッドが提供される。しかも、各表面
弾性波吸収部材24の駆動により表面弾性波の伝搬を制
御しているので、本実施形態のようにマルチ化した場合
であっても、交流電気信号発生器23はキャピラリー2
6ごとに設ける必要がないので、制御回路への負担を軽
減することができる。
【0036】なお、本実施形態では3つのバイモルフ型
圧電体素子31を設けた例を示したが、その数は3つに
限られるものではなく、必要に応じて増減することがで
きる。
【0037】(第3の実施形態)図5は、本発明の第3
の実施形態であるインクジェットヘッドの概略構成を示
す斜視図である。
【0038】本実施形態もマルチ化したインクジェット
ヘッドであり、駆動手段45としては、第2の実施形態
と同様に3つのバイモルフ型圧電体素子51が並列に並
べられたものを用いている。
【0039】本実施形態が第2の実施形態と異なるの
は、圧電基板41上に、3つのIDT42がバイモルフ
型圧電体素子51の配列ピッチと同じピッチで並列に設
けられている点である。このようにバイモルフ型圧電体
素子51に対応してバイモルフ型圧電体素子51と同数
のIDT42を設けたことにより、ガラス板49に形成
する溝の幅を広くし、キャピラリー46を共通にするこ
とが可能となっている。また、交流電気信号発生器43
は、3つのIDT42に共通に用いている。その他、圧
電基板41及びガラス板29の下部にインク供給槽48
が設けられている点等は第2の実施形態と同様である。
【0040】交流電気信号発生器43により、励振周波
数が50MHzの1Wの電力をIDT42に入力する
と、圧電基板41の表面に表面弾性波が励起し、キャピ
ラリー46を通じて供給されたインクが、IDT42の
数に対応した液滴となって飛翔する。一方、駆動手段4
5のバイモルフ型圧電体素子51に20Vの電圧を印加
し、表面弾性波吸収部材44を圧電基板41の表面(伝
搬面)に押し付けたところ、インクの飛翔は見られなか
った。そして、バイモルフ型圧電体素子51への電圧の
印加を停止したところ、再度、液滴を飛翔させることが
できた。
【0041】以上により、インクの吐出をバイモルフ型
圧電体素子51ごとに制御することが可能な、マルチ化
したインクジェットヘッドが提供される。しかも、各表
面弾性波吸収部材44の駆動により表面弾性波の伝搬を
制御しているので、本実施形態のようにIDT42をマ
ルチ化した場合であっても、交流電気信号発生器43は
IDT42ごとに設ける必要がないので、制御回路への
負担を軽減することができる。
【0042】(第4の実施形態)図6は、本発明の第4
の実施形態であるインクジェットヘッドの概略構成を示
す側面図である。
【0043】本実施形態では、表面弾性波吸収部材64
を変位させるための駆動手段65の構成が上述した各実
施形態と異なっている。すなわち、駆動手段65は、ス
タック型圧電体素子71と、その上端を支持する支持部
材70とで構成され、スタック型圧電体素子71の下端
に表面弾性波吸収部材64が固定されている。スタック
型圧電体素子71は、圧電体73と、圧電体73を挟ん
で互いに積層となるように形成された2つの電極74,
75からなり、電極74,75に電圧を印加することに
より、z軸方向に伸縮可能である。
【0044】表面弾性波吸収部材64は圧電基板61上
に空隙を介して配置されており、スタック型圧電体素子
71が伸びることにより表面弾性波吸収部材64が圧電
基板61の表面に接触する構成となっている。これによ
り、上述した各実施形態と同様に、圧電基板61の表面
に励起した表面弾性波は表面弾性波吸収部材64に吸収
され、インクへ表面弾性波が流入するのを阻止すること
ができる。
【0045】なお、圧電基板61、IDT62及びキャ
ピラリー(不図示)については、第1〜第3の実施形態
に示した構成、あるいはこれら各実施形態を組み合わせ
た構成とすることができる。
【0046】本実施形態では、スタック型圧電体素子7
1として、10組の積層電極対とPZT圧電体からな
り、表面弾性波の伝搬方向(y軸方向)の長さが200
μm、幅(x軸方向の長さ)が300μm、z軸方向の
高さが8mmのものを用いた。また、表面弾性波吸収部
材64は、シリコーン樹脂からなる厚さが5μmの部材
を用い、接着剤によりスタック型圧電体素子71に接着
した。また、表面弾性波吸収部材64は、圧電基板61
の表面より0.5μm上に空隙を介して配置した。
【0047】このように、スタック型圧電体素子71を
用いることで、バイモルフ型圧電体素子に比べて変位は
小さいものの、発生力が大きくなるので、表面弾性波吸
収部材64と圧電基板61との密着力を向上させること
ができ、非吐出時にインクへ表面弾性波が流入するのを
より確実に阻止することができる。
【0048】なお、本実施形態ではスタック型圧電体素
子71の下端面に表面弾性波吸収部材64を設けた例で
説明したが、スタック型圧電体素子71の下端面(圧電
基板との対向面)が圧電基板61の表面と正確に平行に
なるように配置することで、スタック型圧電体素子71
そのものを表面弾性波吸収部材として用い、スタック型
圧電体素子71のみでも表面弾性波を吸収することがで
きる。
【0049】(第5の実施形態)図7は、本発明の第5
の実施形態であるインクジェットヘッドの概略構成を示
す側面図である。
【0050】上述した各実施形態では、圧電体素子の変
形を利用して表面弾性波吸収部材を駆動した例を示した
が、本実施形態では、磁力を利用して表面弾性波吸収部
材を駆動する。
【0051】図7に示すように、圧電基81板の上方に
は、圧電基板81との対向面に表面弾性波吸収部材84
が設けられた磁石92が、ばね93を介して支持部材9
0に吊り下げられている。一方、圧電基板81の下方に
は、電流電源95に接続されたコイル94が、圧電基板
81を挟んで磁石92と対向する位置に配置されてい
る。磁石92としては、Fe、Ni、それらの合金から
なるセンダスト、パーマロイ、フェライト等の軟質磁性
体、あるいはCo、CoNi、CoSm等の硬質磁性体
を用いることが可能である。
【0052】本実施形態では、コイル94に電流が流れ
ていない状態では、表面弾性波吸収部材84は、表面弾
性波吸収部材84及び磁石92の重量によりばね93の
ばね力とバランスをとって、圧電基板81の表面から間
隙をおいて位置している。このときは、IDT82によ
り圧電基板81の表面に励起した表面弾性波は圧電基板
81の表面上を伝搬し、キャピラリー(不図示)から供
給されたインクに流入し、これによりインクがインク滴
となって飛翔する。
【0053】一方、電流電源95によりコイル94に電
流を流すと、コイル94に磁界が発生し、発生した磁界
により、磁石92はばね93のばね力に抗して圧電基板
81に向かって変位し、表面弾性波吸収部材84が圧電
基板81の表面に接触する。これにより、圧電基板81
の表面に励起した表面弾性波は表面弾性波吸収部材84
に吸収され、インクは飛翔しない。そして、コイル94
へ流す電流の向きを変えると、これにより生じる磁力及
びばね93の復元力により磁石92は圧電基板81から
遠ざかる方向に変位し、表面弾性波吸収部材84が圧電
基板81から離れる。表面弾性波吸収部材84が圧電基
板81から離れると、インクへ表面弾性波が流入し、イ
ンクはインク滴となって飛翔する。
【0054】以上のように、磁力を利用して表面弾性波
吸収部材84を駆動しても、上述した各実施形態と同様
にインクの吐出を制御することができる。
【0055】(第6の実施形態)図8は、本発明の第6
の実施形態であるインクジェットヘッドの概略構成を示
す側面図である。
【0056】本実施形態は、電極間に生じる静電引力を
利用して表面弾性波吸収部材の駆動を行うものであり、
駆動手段として、固定電極と、表面弾性波の伝搬面に接
触可能な可動電極とを有するものを用いている。
【0057】図8に示すように、固定電極となる導電性
の基板112上には、表面弾性波を伝搬する圧電薄膜1
01が形成され、この圧電薄膜101上に、表面弾性波
を発生させるためのIDT102が形成されている。圧
電薄膜101の上方には、可動電極となる導電性のカン
チレバー113が、スペーサ114を介して支持部材1
10により所定の間隙をおいて支持されている。基板1
12とカンチレバー113とは、スイッチ115及び電
源116を介して接続されている。
【0058】スイッチ115がオフのときには、IDT
102により圧電薄膜101の表面に励起した表面弾性
波は圧電薄膜101の表面上を伝搬し、キャピラリー
(不図示)から供給されたインクに流入し、これにより
インクがインク滴となって飛翔する。
【0059】一方、スイッチ115がオンされると、カ
ンチレバー113と基板112との間に静電引力が働
き、この静電引力によりカンチレバー113が変位して
先端部が圧電薄膜101の表面に接触する。これによ
り、圧電薄膜101の表面に励起した表面弾性波はカン
チレバー113の先端部に吸収され、インクは飛翔しな
い。つまり、本実施形態では、カンチレバー113その
ものを表面弾性波吸収部材として用いている。そして、
スイッチ115をオフにすると、カンチレバー113は
圧電薄膜101の表面から離れ、表面弾性波がインクに
流入し、インクはインク滴となって飛翔する。
【0060】以上のように、静電引力を用いて表面弾性
波のインクへの流入を制御しても、上述した各実施形態
と同様にインクの吐出を制御することができる。
【0061】以下に本実施形態で用いた駆動手段につい
て詳細に説明する。カンチレバー113は、マイクロメ
カニクス技術を用い、小型で共振周波数の高いものを作
製することが可能である。本実施形態では、メッキ法を
用いて作製した1μm厚のNi薄膜からなるものを用い
た。このようなカンチレバー113は、Hirano等(T.Hi
rano, T. Furuhata, H. Fujita. "Dry Releasing of El
ectroplated Rotational and Overhanging Structure
s", Technical Digest, IEEE, Micro Electromechanica
l Systems Workshop, Fort Lauderdale, USA, 1993, pp
278-281)のカンチレバーの作製方法を用いて作製し
た。
【0062】まず、支持部材110となるシリコン基板
上に、スペーサ114となるシリコン窒化膜を形成し、
この上にメッキ法及びフォトリソグラフィプロセスを用
いてNi薄膜のカンチレバーパターンを形成し、次い
で、結晶異方性エッチングにて上記シリコン基板の裏面
をエッチングし、さらにシリコン窒化膜を除去し、上記
カンチレバーパターンをシリコン基板より開放しカンチ
レバー113を形成した。このとき、カンチレバー11
3とシリコン基板との間のシリコン窒化膜は残り、スペ
ーサ114となる。
【0063】一方、基板112はシリコン基板で構成
し、この表面にZnO膜をスパッタ法により20μmの
厚さで形成することにより圧電薄膜101を得た。そし
て、この圧電薄膜101上に、真空蒸着法及びフォトリ
ソグラフィプロセスを用いて、300nmの厚みのAl
薄膜からなる櫛形電極の形状を有するIDT102を形
成した。IDT102は、交差幅は5mmとし、また、
励振周波数を50MHzに合わせた線幅を確保した。な
お、IDT102の対数は20とした。カンチレバー1
13は、ZnO薄膜の表面より0.5μmの間隙をおい
て配置した。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明のインクジェ
ットヘッドは、表面弾性波の伝搬面に対して接触及び離
間移動可能に設けられた表面弾性波吸収部材を有し、こ
の表面弾性波吸収部材の移動によりインクの吐出制御が
行われるので、マルチ化したヘッドにおいても表面弾性
波を発生させる手段の制御回路への負担を軽減でき、ド
ライバ回路を大幅に簡略化することができる。しかも、
インク導出路へのインク供給を制御する場合に比べて、
インクのリフィル時間の遅延を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるインクジェット
ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したインクジェットヘッドのインク吐
出動作を説明するための断面図である。
【図3】図1に示したインクジェットヘッドの、表面弾
性波吸収部材を駆動する駆動手段の一例の側面図であ
る。
【図4】本発明の第2の実施形態であるインクジェット
ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態であるインクジェット
ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4の実施形態であるインクジェット
ヘッドの概略構成を示す側面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態であるインクジェット
ヘッドの概略構成を示す側面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態であるインクジェット
ヘッドの概略構成を示す側面図である。
【図9】表面弾性波を利用した従来のインクジェット装
置の一例の概略構成図である。
【図10】表面弾性波を利用した従来のインクジェット
ヘッドの他の例の概略構成図である。
【符号の説明】
1,21,41,61,81 圧電基板 2,22,42,62,82,102 交差指電極
(IDT) 3,23,43 交流電気信号発生器 4,24,44,64,84 表面弾性波吸収部材 5,25,45,65 駆動手段 6,26,46 キャピラリー(毛管) 7 インク 10,30,70,90,110 支持部材 11,31 バイモルフ型圧電体素子 12,74,75 電極 13,73 圧電体 28,48 インク供給槽 29,49 ガラス板 71 スタック型圧電体素子 92 磁石 93 ばね 94 コイル 95 電流電源 101 圧電薄膜 112 基板 113 カンチレバー 114 スペーサ 115 スイッチ 116 電源

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面弾性波を発生させる手段と、 前記表面弾性波を発生させる手段により発生させた表面
    弾性波を伝搬させる伝搬面を有する表面弾性波伝搬部材
    と、 前記伝搬面にインクを供給するインク供給手段と、 前記インク供給手段と前記表面弾性波を発生させる手段
    との間に前記伝搬面と対向配置され、前記伝搬面に対し
    て接触及び離間移動可能に設けられた表面弾性波吸収部
    材とを有するインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記表面弾性波吸収部材を移動させるた
    めに、電圧の印加により変形する圧電体素子を備える駆
    動手段を有する請求項1に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記圧電体素子はバイモルフ型圧電体素
    子である請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記圧電体素子はスタック型圧電体素子
    である請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 磁力を利用して前記表面弾性波吸収部材
    を移動させる駆動手段を有する請求項1に記載のインク
    ジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記駆動手段は、ばね部材により支持さ
    れて前記伝搬面に対向して配置され前記表面弾性波吸収
    部材が設けられた磁石と、該磁石を前記ばね部材のばね
    力に抗して前記伝搬面に接触移動させるような磁界を発
    生させるために前記表面弾性波伝搬部材を間において前
    記磁石と対向配置された磁界発生手段とを有する請求項
    5に記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 2つの電極間に電圧を印加することで発
    生する静電引力を利用して前記表面弾性波吸収部材を移
    動させる駆動手段を有する請求項1に記載のインクジェ
    ットヘッド。
  8. 【請求項8】 前記駆動手段は、前記2つの電極とし
    て、片持ち梁状に支持され前記伝搬面に対向して配置さ
    れた可動電極と、該可動電極と電源を介して接続され前
    記表面弾性波伝搬部材を間において前記可動電極と対向
    配置された固定電極とを有する請求項7に記載のインク
    ジェットヘッド。
  9. 【請求項9】 前記可動電極の自由端部が前記表面弾性
    波吸収部材を兼ねている請求項8に記載のインクジェッ
    トヘッド。
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