JPH11347720A - 金属溶湯加熱用燃焼式チューブヒーターおよび 金属溶湯保持炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属溶湯保持炉における炉側壁と金属溶
湯加熱用チューブヒータ間のシール部から溶湯が炉外へ
洩れるのを防止するとともに、前記チュブヒータの長寿
命化を図りさらに放熱損失を減少する。 【解決手段】 金属溶湯加熱用燃焼式チューブヒータ１
を外筒２と内筒３の二重管から構成し、該二重管の後端
付近の外筒２と内筒３の間より先端に向けて燃料ガスと
空気を供給したのち先端部に達した燃焼ガスを内筒３内
を通過させて燃焼排ガス管６に回収する。また、前記チ
ューブヒータ１をシール部材１３を介して炉側壁１２下
部を貫通してチューブヒータ全体が溶湯面Ｌ下に完全に
浸漬するよう炉内に水平に配置した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム、ア
ルミニウム合金等の鋳造において、溶湯を最適の鋳込み
温度に維持するためのチューブヒータおよび金属溶湯保
持炉に関し詳しくはガス燃焼方式を採用したチューブヒ
ータとそのチューブヒータを最適位置に取付けた保持炉
に関する。

【０００２】

【従来の技術】アルミニウム、アルミニウム合金等の溶
湯を保持炉にて鋳込みに適した温度に加熱保持する場
合、溶湯の加熱手段および炉形等が設備の寿命、作業
性、熱効率の面に大きく影響する。出願人は、保持炉の
加熱に適した例として、実願昭６３年１２０５７９号に
示すような設備を提案したことがある。

【０００３】この保持炉はチューブヒータ全体を溶湯面
下に完全に浸漬配置させるという点で、それ以前から広
く採用されていたチューブヒータを炉に垂直に投入させ
る方式よりも、放熱量の削減やチューブヒータの寿命延
長や酸化防止の面で優れていたが、操業中に設備上予期
せぬ問題を引き越すことが判明した。

【０００４】すなわち、この炉に用いる燃焼式チューブ
ヒータは、二重管の内筒内に燃焼ガスと空気を供給し、
燃焼したガスを内筒と外筒の間に流すことによって溶湯
を加熱するようになっている。したがって当然のことな
がら内筒内より外筒と内筒の間の温度が高く、燃焼ガス
の温度は９００℃近くなる。そしてチューブヒータの炉
壁貫通部付近でも燃焼排ガスの温度は８００℃を超え、
チューブヒータと炉壁のシール面では６５０℃の高温に
なることが判明した。このためシール部材が過熱して溶
け、保持炉内の溶湯がシール面から滲み外部へ洩れる現
象が発生した。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点を
解決するためのもので、金属溶湯保持炉へのチューブヒ
ータ取付けシール面からの溶湯の洩れを防止するととも
に、チューブヒータの長寿命化を図り、さらに放熱損失
を減少することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項１に記載の金属溶湯加熱用燃焼式チ
ューブヒータは、先端を開放し後端部を燃焼排ガス管に
接続した内筒を先端が閉じた外筒内に配置して二重管と
なし、該二重管の後端付近の外筒と内筒の間より先端に
向けて燃料用空気を供給するとともに、先端に達した燃
焼ガスが内筒内を通過して燃焼排ガス管に回収されるよ
うにした。

【０００７】また、請求項２に記載の金属溶湯保持炉
は、請求項１に記載の金属溶湯加熱用燃焼式チューブヒ
ータをシール部材を介して炉側壁下部を貫通させて炉内
に水平突出されるよう配設した。

【０００８】

【作用】内筒と外筒の二重管から構成される燃焼式チュ
ーブヒータにおいて、内筒と外筒の間から燃料用空気を
供給したのち燃焼排ガスを内筒内から回収することによ
り前記チューブヒータと炉壁間のシール部を冷却し、シ
ール面の過熱による溶湯の洩れを防止する。また、前記
チューブヒータ全体を保持炉の溶湯面下に完全に浸漬さ
せてチューブヒータの長寿命化を図るとともに放熱損失
を減少させる。

【０００９】

【実例】以下、本発明の実施例を図を用いて詳述する。
図１は本発明の金属溶湯加熱用燃焼式チューブヒータお
よび該チューブヒータを取付けた金属溶湯保持炉の縦断
面を示し、図２は図１の横断面を示す。図において、金
属溶湯加熱用チューブヒータ１は先端部を閉じた外筒２
とその内側に配置した内筒３の二重管構造となってい
る。そして外筒２の後端部には燃料ガス管４と空気管５
が接続されている。一方、内筒３の先端部は開放され、
後端部は燃焼排ガス管６に接続している。一般に、外筒
２はセラミックス、内筒３はセラミックスまたは耐熱鋼
で製作される。８は熱交換用フィンである。

【００１０】燃料ガス管４と空気管５とからそれぞれ供
給された燃料ガスおよび空気は、チューブヒータ１内の
バーナ先端部７から外筒２と内筒３の間から供給され、
混合しながら燃焼を開始して外筒を加熱したのち、内筒
３の先端開放部より内筒３内を経て燃焼排ガス管６に回
収される。したっがて、内筒３より外筒２の温度の方が
低くなる。

【００１１】また、前記チューブヒータ１は溶湯保持炉
１１の側壁１２の下部を貫通してシール部材１３を介し
て炉内に水平に突出するよう配設される。この場合、チ
ューブヒータ１全体が常時溶湯面Ｌ下に浸漬するよう取
付けられる。シール部材１３はアルミナや炭化珪素を含
んだモルタル等を用いる。

【００１２】前記チューブヒータ１で溶湯保持炉１１内
の金属溶湯を加熱すると、溶湯がアルミニウムの場合約
３００℃に保持されるが、シール部材１３はチューブヒ
ータ後部付近を流れる燃料用空気に冷されて過熱される
ことなく、３６０℃〜４００℃の比較的低温に維持され
る。また、チューブヒータ１は常時溶湯面Ｌ下に浸漬し
ているため、チューブヒータ各部での温度変化が小さ
く、外筒２に割れを生じたり、大気と接して酸化すると
いうことがない。

【００１３】

【効果】金属溶湯を加熱するに際し、チューブヒータを
内筒と外筒からなる二重管で構成し、内筒と外筒の間か
ら燃料用空気を供給して燃焼を開始したのち、燃焼排ガ
スを内筒内を通過させて燃焼排ガス管に回収する。した
がって、外筒を介してシール部材を冷却することにな
り、シール部材の過熱溶解がなく、溶湯の炉外への洩れ
を防止できる。また、前記チューブヒータを溶湯保持炉
の側壁下部を貫通して水平に取付け、チューブヒータ全
体を溶湯内に完全に浸漬させるので、チューブヒータ全
長の温度差が小さくなり、大気との接触もなく長寿命化
が図れる。さらに放熱損失も減少できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による金属溶湯加熱用燃焼式チュ
ーブヒータおよび金属溶湯保持炉の縦断面図である。

【図２】 図１の横断面図である。

【符号の説明】

１・・・・チューブヒータ ２・・・・外筒 ３・・・・内筒 ４・・・・燃料ガス管 ５・・・・空気管 ６・・・・燃焼排ガス
管 １１・・・溶湯保持炉 １２・・・炉側壁 １３・・・シール部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端を開放し後端部を燃焼排ガス管に
   接続した内筒を先端部が閉じた外筒内に配置して二重管
   となし、該二重管の後端付近の外筒と内筒の間より先端
   に向けて燃料ガスおよび空気を供給するとともに、先端
   部に達した燃焼ガスが内筒内を通過して燃焼排ガス管に
   回収されるようにした金属溶湯加熱用燃焼式チューブヒ
   ータ
2. 【請求項２】 請求項１に記載の金属溶湯加熱用燃焼
   式チューブヒータをシール部材を介して炉側壁下部を貫
   通させて炉内に水平突出させるよう配設したことを特徴
   とする金属溶湯保持炉。