JPH11347413A - オゾン分解用触媒及びその製造方法並びにオゾン分解方法 - Google Patents

オゾン分解用触媒及びその製造方法並びにオゾン分解方法

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JPH11347413A
JPH11347413A JP10153026A JP15302698A JPH11347413A JP H11347413 A JPH11347413 A JP H11347413A JP 10153026 A JP10153026 A JP 10153026A JP 15302698 A JP15302698 A JP 15302698A JP H11347413 A JPH11347413 A JP H11347413A
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ozone
weight
granular
nickel
catalyst
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JP10153026A
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Toshio Furuya
利夫 古谷
Ikuo Watanabe
郁夫 渡邊
Hideyo Yamauchi
英世 山内
Saburo Tanaka
三郎 田中
Chiaki Marumo
千郷 丸茂
Satoshi Ibaraki
敏 茨木
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Kansai Electric Power Co Inc
Kanebo Ltd
Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kansai Electric Power Co Inc
Kanebo Ltd
Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オゾンの酸化処理において、オゾン処理水中、
オゾン処理ガス中に残存するオゾンの分解能を有する触
媒とする。 【解決手段】重・原油灰を主原料にして得た粒状の炭素
質多孔体に、ニッケル、鉄、コバルト、チタンより選ば
れる少なくとも1種以上の金属を1〜40重量部担持す
ることを特徴とするオゾン分解用触媒及びその製造方法
並びにオゾン分解方法による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電所等で一
般に用いられている重油燃焼式ボイラーの燃焼排ガスか
ら捕集される炭素含有率約90%以上の重・原油灰を主
原料とする粒状の炭素質多孔体に金属を担持した、気相
中、液相中に存在するオゾンを分解するのに利用される
オゾン分解用触媒及びその製造方法、並びにオゾン分解
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】廃水処理施設に於いて処理された処理水
は、通常次亜塩素酸ソーダあるいは塩素で滅菌処理を行
った後、放流されてきたが、最近では放流水の水質向上
を目的に排水の三次処理が行われつつある。その一方法
としてオゾンを用いた水中の有機成分の酸化分解が実施
されている。
【0003】このように、オゾンによる有機物の酸化処
理は、たとえば排水の高度処理、悪臭ガスの処理等とし
ては非常に有効であるため幅広い分野で利用されている
が、未反応の残留オゾンが処理水及び処理ガス中に生じ
るため、これらオゾンを液相中及びまたは気相中で効率
よく分解する好適な触媒が必要とされており、さらに処
理水または処理ガス中のオゾンを効率よく分解除去する
方法が必要とされている。
【0004】従来、オゾン分解触媒としては、活性炭に
マンガン、鉄、ニッケル、銅、銀、コバルト等を少なく
とも一種以上担持したものが知られているが、これら活
性炭はヤシ殻、石炭、木炭等の貴重な天然資源を原料と
して得られるため環境保全、資源の有効利用の観点から
新たな原料供給源を見出すことが求められている。
【0005】近年、火力発電所、工場等で一般に用いら
れている大型の重油燃焼式ボイラ−では、通常ボイラ−
排気口から煙突吸込口の途中に電気集塵機を設置し、燃
焼時に発生する重・原油灰と称される炭素系微粉末を捕
集している。この重・原油灰は燃料として用いる重油の
品質によっても異なるが、硫黄酸化物、ニッケル、バナ
ジウム、銅、クロム、鉄などの不純物を含有している場
合が多い。そのため、こうした重・原油灰は、空地など
に放置すると雨水や大気中の水分を吸収し、バナジン酸
イオンや銅イオンなどの重金属イオンや硫酸を含む排水
を放出してしまい、有害であることは明瞭である。ま
た、産業廃棄物として処理する場合においても、処理場
の確保や、処理費削減の問題もあり、該重・原油灰の有
効利用の提案が待たれていた。
【0006】一方、炭素系成形体としては、特公昭62
−30210号公報、特公昭62−30212号公報、
特公昭62−30211号公報、特公昭62−3021
3号公報にその製造法が開示されている熱硬化性の粒状
ないし粉末状フェノ−ル系樹脂をバインダ−として用い
ることにより、強度に優れた成形体が得られることが、
特公昭60−59167号公報、特公昭61−3224
7号公報などに示されている。しかしながら、これらの
成形法においては、安価で安定した供給源を有する炭素
微粉末を用い、多孔度、比表面積、細孔径分布等の特
性、及び触媒として必要な活性点となる金属の担持を十
分に制御する技術が確立されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱硬
化性の粒状ないし粉末状フェノ−ル系樹脂を用いること
により、大部分が産業廃棄物として処理されている重・
原油灰を有効利用し、例えば排水処理、悪臭処理をはじ
めとした広い分野に於いて用いることが可能な、オゾン
の酸化処理において、オゾン処理水中、オゾン処理ガス
中に残存するオゾンの分解能を有し、かつ強度的に満足
できるオゾン分解用触媒及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】さらに別の目的は、液相中、気相中に存在
するオゾンを効率的に分解する方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に於いては上記
のような課題を解決するため、鋭意研究の結果、重・原
油灰を主原料にして得た粒状の炭素質多孔体に、ニッケ
ル、鉄、コバルト、チタンより選ばれる少なくとも1種
以上の金属を1〜40重量部担持することを特徴とする
オゾン分解用触媒を開発した。
【0010】また、この発明に於いては、重・原油灰1
00重量部に対して、熱硬化性の粒状ないし粉末状フェ
ノ−ル系樹脂5〜40重量部、水溶性バインダ−3〜2
5重量部を含有する粒状成形物を600〜1100℃で
炭化及びまたは賦活処理し、かつ炭化及びまたは賦活処
理する前または後に於いて、該粒状成形物または該粒状
成形物を600〜1100℃で炭化及びまたは賦活処理
して得た粒状の炭素質多孔体にニッケル、鉄、コバル
ト、チタンより選ばれる少なくとも1種以上の金属を1
〜40重量部担持することを特徴とするオゾン分解用触
媒の製造方法を開発した。
【0011】また、この発明に於いては、液相中、気相
中のオゾンを、重・原油灰を主原料にして得た粒状の炭
素質多孔体に、ニッケル、鉄、コバルト、チタンより選
ばれる少なくとも1種以上の金属を1〜40重量部担持
するオゾン分解用触媒を用いて分解することを特徴とす
るオゾン分解方法を開発した。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用する重・原油灰は、
重油燃焼ボイラーの燃焼ガス排気部に取り付けられた集
塵装置で捕集され、使用する原料重油の種類等によりそ
の特性は異なるが、例えば、乾燥後の粒子径は10〜4
5μm程度であり、炭素含有率が約90%でありニッケ
ル、バナジウム、銅、クロム、鉄等の重金属を多く含ん
でいる。
【0013】本発明で使用する重・原油灰は、必要に応
じて乾燥し、必要に応じて水洗した後に脱水、乾燥した
ものを用いることができる。さらに、必要に応じて、重
金属類を希塩酸、希硝酸等により酸洗浄し、ついで、ア
ンモニア水等のアルカリで中和した後、水洗し、脱水、
乾燥させて金属の含有量を減らした後に用いることもで
きるが、重・原油灰が含有する金属を除去することな
く、そのまま触媒の活性点として利用することも可能で
ある。
【0014】重・原油灰の乾燥後の嵩密度は、通常0.
20〜0.40g/cc程度である。その細孔径分布
は、細孔直径0.05〜5μm程度であり、特に1〜4
μm程度が多くある。
【0015】本発明に適用される熱硬化性の粒状ないし
粉末状フェノール系樹脂は、特公昭62−30211ま
たは特公昭62−30213によって得られるものであ
り、(A)粒径0.1〜150μmの球状一次粒子およ
びその二次凝集物を含有し、そして、(B)少なくとも
全体の50重量%が100タイラーメッシュの篩を通過
しうる大きさであり、(C)明細書本文に定義したメタ
ノール溶解度が50重量%以上のものであって、しかも
(D)液体クロマトグラフィーによる測定値として、遊
離フェノール含有量が500ppm以下であることを特
徴とするが、その概要を次に示す。
【0016】室温下、15〜22重量%の塩酸と7〜1
5重量%のホルムアルデヒドからなる混合水溶液を攪拌
しながら、フェノールまたはフェノールと尿素,メラミ
ン,アニリン等の含窒素化合物とからなる混合物を該混
合水溶液に対して15分の1以下の割合で加え、反応系
内に白濁が生成する前に攪拌を停止し静置する。静置し
ている間に反応系内には白色ないしピンク色の粒状ない
し粉末状フェノール樹脂が生成,沈降する。
【0017】次に、反応系全体を攪拌しながら、必要で
あれば系全体を50℃以下の温度にまで加温して反応を
完了せしめた後、生成固形物を取り出し、水洗した後必
要に応じて、例えば 0.1〜1重量%のアンモニア水
で中和処理後、水洗,脱水,乾燥する。
【0018】粒状ないし粉末状フェノール樹脂は、その
殆どが粒径0.1〜150μmの一次粒子またはその二
次凝集物からなり、少なくとも全体の50重量%、好ま
しくは90重量%が100タイラーメッシュの篩を通過
しうる大きさであるが、1〜50μmの間にピークを有
するように分布している。
【0019】本発明に係る粒状ないし粉末状フェノール
樹脂は、液体クロマトグラフィーによる測定値としては
遊離フェノール含有量が500ppm以下、実質的には
100ppm以下のものである。
【0020】また、G.P.C(ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー)による測定値として、ポリスチレ
ン換算重量平均分子量が1000以上の高分子量物であ
りながら、100℃の温度に5分間保持した場合に実質
的に溶融または融着するものあり、バインダーとしての
効果を発揮する。
【0021】本発明に適用される粒状ないし粉末状フェ
ノール系樹脂は、実質的に無水のメタノール500ml
中で加熱還流した場合に、下記式 S={(W0 −W1 )/W0 }×100 ここで、 W0 :使用した該樹脂の重量(g) W1 :加熱還流後に残存した該樹脂の重量(g) S :該樹脂のメタノール溶解度(重量%) を示す。で表されるメタノール溶解度が50重量%以
上、好ましくは70重量%以上、最も好ましくは90重
量%以上である。
【0022】該メタノール溶解度が50重量%未満で
は、熱融着性が低下しバインダーとしての効果が得難
い。更に、該樹脂は分子内に反応性のメチロール基を有
するので、樹脂自体は熱硬化性であり、例えばメタノー
ル溶解度95重量%の樹脂の150℃におけるゲル化タ
イムは4〜5分と長いので、加熱の条件と目的に応じて
硬化を進めることができる。
【0023】本発明に適用される上記熱硬化性の粒状な
いし粉末状フェノール系樹脂のうち、特公昭62−30
211で得られた樹脂は、KBr錠剤法による赤外線吸
収スペクトルにおいて、1600cm-1(ベンゼンに帰
属する吸収ピーク)の吸収強度をD1600、990〜10
15cm-1(メチロール基に帰属する吸収ピーク)の範
囲の最も大きな吸収強度をD900-1015、890cm
-1(ベンゼン核の孤立の水素原子の吸収ピーク)の吸収
強度をD890 で表した場合に、 D900-1015/D1600=0.2〜9.0 D890 /D1600=0.09〜1.0 であり、特公昭62−30213 で得られた樹脂は、
KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルにおいて、1
450〜1500cm-1(芳香族二重結合に帰属する吸
収ピーク)の範囲の最も大きな吸収強度を
1450-1500 、そして960〜1020cm-1(メチロ
ール基に帰属する吸収ピーク)の範囲の最も大きな吸収
強度をD960-1020で表した場合、 D960-1020/D1450-1500 = 0.1〜2.0 の特徴を有しており、いずれも分子内に反応性を有する
メチロール基を含有することを示している。
【0024】本発明に規定する上記熱硬化性の粒状ない
し粉末状フェノール系樹脂の含有量は該重・原油灰10
0重量部に対し5〜40重量部、好ましくは10〜35
重量部、最も好ましくは20〜30重量部である。熱硬
化性の粒状ないし粉末状フェノ−ル系樹脂の含有量が5
重量部以下の場合には炭化およびまたは賦活した粒状の
炭素質多孔体の強度が弱く好ましくない。逆に、該フェ
ノ−ル系樹脂の含有量が40重量部以上だと造粒時の作
業性が低下してしまい、炭化およびまたは賦活後の強度
が弱くなってしまい好ましくない。
【0025】本発明に用いる水溶性バインダーとして
は、例えばポリビニルアルコール、水膨潤性セルロース
誘導体などの高分子バインダーなどがあげられる。ポリ
ビニルアルコールとしては、重合度500〜2000、
ケン化度70%以上のものが好ましく用いられる。ま
た、セルロース誘導体としては、例えばメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース等が好適に使用される。なお、水溶性
バインダ−はそのまま用いてもよいし、3〜20%の水
溶液にしたものを用いてもよい。
【0026】本発明に用いる水溶性バインダーの含有量
は、重・原油灰100重量部に対し3〜25重量部、好
ましくは4〜20重量部、最も好ましくは5〜15重量
部である。
【0027】水溶性バインダ−の含有量が3重量部以下
だと造粒時の作業性が低下して、ダイスよりの押出しが
困難になったり、形状が不揃いで粉が発生しやすくなる
等の問題が生じる。また、25重量部以上では、やはり
造粒時の作業性が低下するとともに炭化およびまたは賦
活後の強度も弱くなり好ましくない。
【0028】本発明においては、水溶性バインダ−の溶
解水のほかに水を加えることを何ら制限するものではな
く、造粒状態に合わせて添加する水分量を調整すればよ
い。
【0029】本発明で使用するニッケル、鉄、コバル
ト、チタンはそれぞれの金属の酸化物塩、硫酸塩、炭酸
塩、塩化物塩、硝酸塩等を使用することができる。これ
ら金属塩は固形物を細かく粉砕しものを使用することが
できるが、水、希酸等に溶解し所定濃度の水溶液とした
ものを使用することもできる。
【0030】本発明に規定する金属の含有量は、重・原
油灰100重量部に対し1〜40重量部、好ましくは5
〜30重量部、最も好ましくは10〜25重量部であ
る。金属の含有量が1重量部以下だとオゾン分解の触媒
活性が低く不充分である。また、40重量部以上では造
粒時の作業性が低下するとともに、炭化およびまたは賦
活後の触媒の機械的強度が弱くなり、触媒を使用中に粉
化等が生じ好ましくない。
【0031】更に本発明では、その特性を損なわない範
囲で混合および造粒時の作業性の向上のため、例えばエ
チレングリコール、ポリオキシエチレン、アルキルエー
テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボ
ン酸アンモニウム塩等の界面活性剤、ポリビニルアルコ
ールの架橋剤、押出造粒用の可塑剤等を少量加えること
ができる。
【0032】本発明においては、原料成分は、例えばリ
ボンミキサー、V型ミキサー、コーンミキサー、ニーダ
ー等の混合装置により均一に混合され、次いで粒状物に
成形される。粒状物への成形は、例えば単軸あるいは二
軸の湿式押出造粒機、バスケットリューザーの如き竪型
造粒機、半乾式ディスクペレッター等により行うことが
できる。この成形は通常室温で行われるが、場合によっ
ては加熱下で実施してもよい。
【0033】ニッケル、鉄、コバルト、チタンの添加は
酸化物塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物塩、硝酸塩等の固形
物を細かく粉砕しものを他の原料成分と一緒にして前述
の各種ミキサー、ニーダー等を用いて混合しても良い
が、金属塩を、水、希酸等に溶解し所定濃度の水溶液と
した後に、他の原料成分と一緒に混練することも可能で
ある。さらに、造粒、乾燥して得た粒状成形物、または
炭化及びまたは賦活処理して得た粒状の炭素質多孔体に
これら金属水溶液を含浸させた後に乾燥、炭化及びまた
は賦活処理して金属を担持した粒状の炭素質多孔体を得
ることも可能である。
【0034】粒状物の形状は、例えば円柱状あるいは球
状が好ましい。造粒により得られる粒状体の大きさは特
に制限されないが、例えば円柱では直径0.5〜5m
m、長さ1〜10mm程度、球状の場合には直径0.5
〜10mm程度が好ましい。
【0035】上述の如くして得られた粒状成形体を60
0〜1100℃で炭化及びまたは賦活処理することによ
り目的のオゾン分解触媒を得る。
【0036】本発明における600〜1100℃での炭
化及びまたは賦活処理とは、非酸化性雰囲気下で600
〜1100℃の温度領域で炭化をおこなうこと、あるい
は非酸化性雰囲気下で600〜1100℃の温度領域で
炭化後更に酸化性雰囲気下において600〜1100℃
の温度領域で賦活を行うこと、あるいは600〜110
0℃の酸化性雰囲気下において、炭化と賦活を同時に行
うことである。
【0037】炭化及びまたは賦活処理の温度は好ましく
は700〜950℃、最も好ましくは750〜900℃
である。炭化及びまたは賦活処理の温度が1100℃よ
り高い場合には、炭素質多孔体内部のオゾンを分解する
際に反応の場となる細孔が熱収縮して減少するためオゾ
ン分解能力が低下し好ましくない。また600℃より低
い場合には炭化及びまたは賦活が充分ではなく、細孔形
成が不充分でありオゾン分解能力が低く好ましくない。
【0038】また、この場合の非酸化性雰囲気とは、例
えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の雰囲気であり、酸
化性雰囲気とは、例えば、酸素、二酸化炭素、水蒸気も
しくはこれらの二種類以上の混合ガス、あるいはこれら
のガスを含んだ窒素、アルゴン、ヘリウム等の雰囲気で
ある。
【0039】炭化工程での最高処理温度に到達するまで
の昇温速度は特に制限するものではないが、好ましくは
5〜500℃/Hである。
【0040】本発明のオゾン触媒は通常ペレット状で、
その充填密度は0.35〜0.80g/cc、水銀圧入
法により測定される細孔径は0.01〜3μm、その細
孔容積は0.1〜1cc/g程度であり、窒素吸着法に
より測定される細孔直径は7〜100Å、その細孔容積
は0.01〜0.2cc/g程度である。また、引張強
度は20〜80kg/cm2 程度である。
【0041】また、該オゾン触媒の比表面積は通常10
0〜700m2 /g 、好ましくは150〜400m2
/gである。比表面積が100m2 /gより小さいと、
オゾンを分解する際の反応の場が充分確保されないた
め、オゾン分解能力が低く好ましくない。比表面積が7
00m2 /g以上あると触媒としての機械的強度が弱く
なり、触媒を使用中に粉化等が生じ好ましくない。
【0042】本発明のオゾン分解方法は、液相中、気相
中に存在する本発明のオゾン分解触媒を用いて分解する
ことができるが、触媒と、液相中、気相中に存在するオ
ゾンの接触は回分方式、連続方式のいずれにより行って
も良い。すなわち、例えばオゾン含有水を含有するタン
ク内に、本発明のオゾン分解触媒を所定量投入し、所定
時間溶液を攪拌することによりオゾンを分解除去するこ
とができるが、カラム等に該触媒を充填し、オゾン含有
水、またはオゾン含有ガス等を所定の速度で通過させる
ことによりオゾンを分解除去することもできる。
【0043】
【発明の効果】本発明で得られる本発明のオゾン分解触
媒は上記の如き特徴を有し、たとえば排水処理場や、脱
臭処理施設等に於いて液相中、気相中に存在するオゾン
の分解除去に好適に用いることができる。
【0044】以下、実施例を挙げて具体的に説明する。
【0045】
【実施例】(実施例1)重油燃焼式ボイラ−の燃焼排ガ
スから捕集される重・原油灰20kgに100Lの水を
加えスラリー状とし、スクリーン(目開き100μm)
で酸化鉄等の破片を除去した後、スラリーをフィルター
プレスを用いて脱水し、ケーキ層に濾液と同量の水を注
入して洗浄した。その後、105℃で12時間乾燥した
重・原油灰100重量部と、熱硬化性の粒状ないし粉末
状フェノ−ル系樹脂(鐘紡株式会社製、ベルパ−ル:平
均粒子径20μm、メタノ−ル溶解度90%)、重合度
500、けん化度99%のポリビニルアルコ−ル(以下
PVAと略す)、塩化ニッケル6水塩(重量の計算は金
属ニッケルに換算して示した。金属ニッケルの重量は塩
化ニッケル6水塩重量の25%に相当する)および水を
所定量計量し、ニ−ダ−(不二パウダル株式会社製、K
DHJ−20型)を用いて室温で15分間混和し、表1
に示すような組成の9種類の均一な混練物を得た。これ
らを半乾式造粒機(不二パウダル株式会社製、ディスク
ペレッタ− F−20/12−330型、ダイス孔径
3.0mmφ)で造粒し、その後105℃で16時間乾
燥し、直径3mm、長さ5〜15mmの円柱状の粒状成
形体を得た。
【0046】
【表1】
【0047】但し、本発明の請求範囲外となる組成の試
料1、9は造粒不可能であり、試料6ではダイスより混
練物を押出すことは可能であったが、バインダ−不足の
ため粒状の形態を保持することが困難であり物性評価を
行う試料の調整はできなかった。
【0048】造粒が可能であった試料2〜5と試料7お
よび8について、内径70mmφの円筒形電気炉を用い
て窒素雰囲気下、昇温速度50℃/Hで900℃まで昇
温し炭化させ、次いでこの温度で120分間保持(ガス
流量:2Nl/min)した。得られた粒状の炭素質多
孔体の特性値を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】各試料の細孔容積は、窒素ガスの吸着等温
線を測定、解析することにより求め、特にオゾン分解時
の反応の場として利用され、オゾン分解能に影響の大き
い20Å以下の細孔容積でその細孔特性を評価した。ま
た、オゾン分解時の反応の活性点となり、オゾン分解能
に影響の大きい金属担持量は蛍光X線分析により評価し
た。さらに、粒状成形物、粒状の炭素質多孔体の強度は
木屋式硬度計にて測定した。
【0051】強度測定で評価される引張強度は、ペレッ
トが破砕する直前の荷重値に対し、ペレット径とペレッ
ト長を考慮したもので、次式で示される。 引張強度:σ[kg/cm2 ]= 2P/πd l P: 荷重[kg] d:ペレット直径[cm] l: ペレット長[cm]
【0052】表1及び表2からわかるように、本発明の
組成範囲により製造した試料はいずれの粒状成形物、粒
状の炭素質多孔体とも高い強度を有しているが、ベルパ
−ル含有量の少ない試料2においては、粒状成形物はP
VAのバインダ−効果で強度を有しているが、粒状の炭
素質多孔体はPVAが熱分解してしまい、バインダ−成
分の大部分が無くなるため強度がかなり低いペレットに
なり実用に耐えないことが判明した。
【0053】また、表2よりいずれの試料も充填密度は
一般の活性炭等と比較して、金属を担持している分高値
を示し、金属担持量を増加した試料8はさらに大きくな
った。金属担持量は添加した重量に対応する量が担持さ
れていることが確認された。比表面積はベルパール添加
量の影響が現れており、ベルパ−ルの含有量が多いほど
大きな値になる。
【0054】細孔特性は、比表面積の値を反映してお
り、ベルパ−ル含有量が大きい試料ほどオゾン分解時の
反応の場として最も重要となる細孔径20Å以下の細孔
容積が増える。
【0055】(実施例2)実施例1と同様の処方で、水
洗、乾燥等の処理をした重・原油灰100重量部を、該
フェノ−ル樹脂粉末25重量部、PVA6重量部、水5
6重量部、塩化ニッケル6水塩5重量部(金属ニッケル
としての重量)とともにニ−ダ−で混和し、成形、乾燥
した後に、昇温速度50℃/Hで500℃、700℃、
900℃、1200℃まで昇温し炭化させ、各温度で6
0分間水蒸気賦活(ガス組成:窒素/水=1/1 ガス
流量:2Nl/min)した。得られた粒状の炭素質多
孔体の特性値を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】炭化賦活温度が500℃の試料10は、比
表面積も小さく細孔もほとんど発達していない。温度が
高くなるにつれて比表面積が大きくなり、900℃で最
大値となる。しかし、炭化賦活温度が本発明の範囲外で
ある試料13は、温度が高すぎるため比表面積、細孔容
積ともに小さくなり機械的強度も低下する。
【0058】(実施例3)実施例1の試料5、および比
較としてニッケルを担持していない実施例1の試料7の
粒状炭素質多孔体それぞれについてオゾン分解能の評価
を行った。
【0059】オゾン分解能は、内径φ15mmの塩化ビ
ニル製カラムに各試料5.0gを充填し(充填高さ=約
5.5cm)、オゾン含有酸素を200ml/minで
連続的に通気した。処理塔には超純水を2L入れ、分解
カラムを通過した排気についてオゾン濃度を連続的に測
定した。加速試験のため、分解カラムの入り口オゾン濃
度は38〜40mg/Lと排水処理等における廃オゾン
に比較して高濃度で評価した。評価装置を図1に、評価
結果を図2に示す。
【0060】
【図1】
【0061】
【図2】
【0062】ニッケルを担持していない実施例1の試料
7は通気時間と共に排気中オゾン濃度が上昇する傾向が
確認された。一方、ニッケルを担持した実施例1の試料
5では排気中のオゾン濃度が4mg/L付近で一定値を
示し、試料7に較べ良好なオゾン分解能を示すことが判
明した。
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】オゾン分解能評価装置概略図
【図2】オゾン分解能評価結果であり、オゾン分解カラ
ムにニッケルを担持した実施例1の試料5と、担持して
いない試料7の粒状炭素質多孔体それぞれを充填し、排
ガス中のオゾン濃度を経時的にモニタ−した結果であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 31/06 B01J 31/06 ZABA ZAB 31/30 M 31/30 A B01D 53/36 F (72)発明者 渡邊 郁夫 大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電 力株式会社内 (72)発明者 山内 英世 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (72)発明者 田中 三郎 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (72)発明者 丸茂 千郷 大阪府寝屋川市成田東町15番32号 (72)発明者 茨木 敏 大阪府大阪市港区夕凪2丁目18番55−305 号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重・原油灰を主原料にして得た粒状の炭
    素質多孔体に、ニッケル、鉄、コバルト、チタンより選
    ばれる少なくとも1種以上の金属を1〜40重量部担持
    することを特徴とするオゾン分解用触媒。
  2. 【請求項2】 ニッケル、鉄、コバルト、チタンより選
    ばれる少なくとも1種以上の金属がニッケルであること
    を特徴とする請求項1に記載のオゾン分解用触媒。
  3. 【請求項3】 重・原油灰100重量部に対して、熱硬
    化性の粒状ないし粉末状フェノ−ル系樹脂5〜40重量
    部を含有する粒状成形物を600〜1100℃で炭化及
    びまたは賦活処理し、かつ炭化及びまたは賦活処理する
    前または後に於いて、該粒状成形物または該粒状成形物
    を600〜1100℃で炭化及びまたは賦活処理して得
    た粒状の炭素質多孔体にニッケル、鉄、コバルト、チタ
    ンより選ばれる少なくとも1種以上の金属を1〜40重
    量部担持することを特徴とするオゾン分解用触媒の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 ニッケル、鉄、コバルト、チタンより選
    ばれる少なくとも1種以上の金属がニッケルであること
    を特徴とする請求項3に記載のオゾン分解触媒の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 液相中、気相中のオゾンを、請求項1又
    は請求項2記載のオゾン分解用触媒を用いて分解するこ
    とを特徴とするオゾン分解方法。
JP10153026A 1998-06-02 1998-06-02 オゾン分解用触媒及びその製造方法並びにオゾン分解方法 Withdrawn JPH11347413A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006231324A (ja) * 2005-01-26 2006-09-07 Nichias Corp オゾン含有排出ガスの浄化組成物及びオゾン含有排出ガスの浄化フィルタ
US8425784B2 (en) 2007-11-05 2013-04-23 University Of Kansas Ozonolysis reactions in liquid CO2 and CO2-expanded solvents

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006231324A (ja) * 2005-01-26 2006-09-07 Nichias Corp オゾン含有排出ガスの浄化組成物及びオゾン含有排出ガスの浄化フィルタ
US8425784B2 (en) 2007-11-05 2013-04-23 University Of Kansas Ozonolysis reactions in liquid CO2 and CO2-expanded solvents
US8801939B2 (en) 2007-11-05 2014-08-12 University Of Kansas Ozonolysis reactions in liquid CO2 and CO2-expanded solvents

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