JPH11347128A - バルーン付カテーテル - Google Patents

バルーン付カテーテル

Info

Publication number
JPH11347128A
JPH11347128A JP10158727A JP15872798A JPH11347128A JP H11347128 A JPH11347128 A JP H11347128A JP 10158727 A JP10158727 A JP 10158727A JP 15872798 A JP15872798 A JP 15872798A JP H11347128 A JPH11347128 A JP H11347128A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
balloon
tube
catheter
yarn
inner tube
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10158727A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Wakuta
弘 和久田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP10158727A priority Critical patent/JPH11347128A/ja
Publication of JPH11347128A publication Critical patent/JPH11347128A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】バルーン付カテーテルのチューブの径を細くす
るとともに、必要部品の数を減らす。 【解決手段】本発明のバルーン付カテーテルは、チュー
ブ1が摺動可能な内チューブ3と外チューブ4からなる
二重管式構造であり、バルーン2の一端が内チューブ3
の側に固定されて他端が外チューブ4の側に固定されて
いて、内チューブ3の曲げモーメントは内チューブ3に
必要な剛性を持たせる範囲、すなわち、20〜70g・
cmの範囲にある構成となっている。その結果、伸長用
パイプ無しで外チューブ4に対して内チューブ3を前進
させてバルーンを伸張縮径させられる上、エア抜きチュ
ーブ無しでバルーンの空気抜きも行えるので、両チュー
ブ3,4の細径化が図れてチューブ1の径を細く出来
て、また伸長用パイプとエア抜きチューブの不要化で必
要部品の数も減る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療において、狭
窄した心臓弁、または狭窄や閉塞している血管を拡張し
血流を正常にする等の治療を行う時に用いられるバルー
ン付カテーテルに係り、特に血管内に挿入されるチュー
ブの細径化と部品点数の減少を図るための技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、バルーン付カテーテルを用いた治
療方法が広く普及している。バルーンの径を収縮させた
(縮径させた)状態で狭窄あるいは閉塞した血管等に潜
り込ませておき、流体を圧入してバルーンを膨張させる
ことにより血管等を拡張し狭窄部あるいは閉塞部を正常
化する治療が行われているのである。また、老化や石灰
化あるいはリュウマチ熱の後遺症で狭窄している心臓弁
の弁切開手術や人工弁の弁置換手術に代わる非切開手術
的な経皮的弁裂開術にも、例えば特公平8−25459
81号公報に記載されているようなバルーン付カテーテ
ルが、既に多く使用されている。
【0003】従来のバルーン付カテーテルでは、図3に
示すように、チューブ51の先端部に付設されているバ
ルーン52をガイドワイヤWに沿ってチューブ51と一
緒に血管Mに潜り込ませた状態でバルーン52を膨張さ
せて治療を行うのであるが、バルーン52を血管Mに潜
り込ませたり、バルーン52を血管Mから引き出したり
する時には、図4に示すように、バルーン52を伸長さ
せて縮径させることになる。チューブ51は内チューブ
53と外チューブ54からなる二重管式チューブであ
り、バルーン52の一端が内チューブ53の側に固定さ
れて他端が外チューブ54の側に固定されていて、外チ
ューブ54は引き止めて伸長用パイプ55で内チューブ
53だけを押して外チューブ54に対し前進させること
により、バルーン52を伸長させて縮径させる構成とな
っているのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のバルーン付カテーテルには、チューブ51が太いと
いう問題がある。チューブ51が太い場合、血管Mへ挿
入し難い。従来のバルーン付カテーテルのチューブ51
が太いのは、バルーン52を縮径させる際に内チューブ
53を押す伸長用パイプ55が挿入できるよう内チュー
ブ53の径を大きくする必要があるのに加え、バルーン
52の中の空気(エア)を抜くためのエア抜きチューブ
56が挿入できるよう外チューブ54の径も大きくする
必要があるからである。それに、カテーテル本体の他
に、伸長用パイプ55およびエア抜きチューブ56が必
要部品として不可欠となり、部品点数が多い点も別の問
題としてある。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑み、チューブの
径を細くすることが出来るだけでなく、部品点数を減ら
すことが出来るバルーン付カテーテルを提供することを
課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、請求項1の発明に係るバルーン付カテーテルは、管
内に挿入されるチューブと、チューブの先端部に付設さ
れているバルーンとを備え、前記チューブは、互いに軸
方向に摺動可能なようにして同心的に挿し通されている
内チューブと外チューブからなる二重管式チューブであ
って、バルーンは一端が内チューブの側に固定されて他
端が外チューブの側に固定されており、前記内チューブ
の曲げモーメントが、20〜70g・cmの範囲にあ
る。なお、本発明の曲げモーメントは、TINIUS
OLSEN STIFFNES TESTERを用いて
測定した時の値である。
【0007】また、請求項2の発明は、請求項1に記載
のバルーン付カテーテルにおいて、バルーンが、流体の
導入により膨張する内バルーンと、流体導入に伴って膨
張した内バルーンを表側で受ける外バルーンとからなる
二重袋式バルーンである。
【0008】また、請求項3の発明は、請求項1または
2記載のバルーン付カテーテルにおいて、バルーンが、
芯用弾性糸と芯用弾性糸より自由長の大きい鞘用非弾性
糸とからなる芯鞘糸によって補強されている。
【0009】
【作用】次に、本発明のバルーン付カテーテル(以下、
適宜「カテーテル」と略記)のバルーンを伸長させて縮
径させる際の作用を説明する。本発明のカテーテルのバ
ルーンを治療対象である管(血管等)に入れたり、ある
いは管から出したりする際には、外チューブに対して内
チューブを相対的に前進させる(先に進ませる)操作を
行い、バルーンをチューブの軸方向に伸長させて縮径さ
せる。本発明においては、内チューブの曲げモーメント
が、20〜70g・cmの範囲にあり、外チューブに対
して内チューブを相対的に前進させられるだけの剛性と
カテーテルとして必要な可撓性の両方が内チューブに備
わっているのである。20g・cm未満の曲げモーメン
トでは内チューブに必要な剛性をもたせることができ
ず、逆に70g・cmを超す曲げモーメントでは内チュ
ーブに必要な可撓性をもたせることができない。
【0010】このように、本発明のカテーテルでは、伸
長用パイプを使わずにバルーンの伸張縮径が行えること
から、伸長用パイプ不要に伴う省スペース化により内チ
ューブの細径化が図れるのに加え、伸長用パイプが必要
部品ではなくなる。また、本発明のカテーテルでは、バ
ルーンを下にして拡張用液体でバルーンを膨張収縮させ
る操作を1回ないし3回程度おこなうことにより、エア
抜きチューブを使わずとも、バルーンの空気を抜けるこ
とから、エア抜きチューブ不要に伴う省スペース化によ
り外チューブの細径化が図れるのに加え、エア抜きチュ
ーブも必要部品ではなくなる。
【0011】また、請求項2の発明のカテーテルは、バ
ルーンが、流体導入により膨張する内バルーンを外バル
ーンで受け止める二重袋式構造であって、膨らませ易く
て破れ難いバルーンとなっており、十分な伸縮性と耐圧
性がバルーンに備わっている。
【0012】また、請求項3の発明のカテーテルは、芯
用弾性糸と芯用弾性糸より自由長の大きい鞘用非弾性糸
とからなる芯鞘糸によってバルーンが補強されており、
適当な伸縮性と十分な耐圧性および膨張均一性がバルー
ンに備わっている。
【0013】
【発明の実施の形態】続いて、本発明のバルーン付カテ
ーテルの実施形態を図面を参照しながら説明する。図1
は一実施形態に係るカテーテル先端近傍の詳細構成を示
す断面図、図2は一実施形態のカテーテル全体の概略構
成を示す平面図である。
【0014】図2(a)に示す実施形態のカテーテル
は、断面が丸くて表面が滑らかな細長いチューブ1と、
チューブ1の先端部に付設されているバルーン2とを備
えている他、必要に応じてチューブ1の後端に流体導入
口などを備えている構成となっている。実施形態のカテ
ーテルのチューブ1は、図1に示すように、互いに軸方
向に摺動可能なようにして同心的に挿し通されている内
チューブ3と外チューブ4とからなる二重管式チューブ
である。バルーン2は、流体の導入により膨張する内バ
ルーン5と、流体導入に伴って膨張した内バルーン5を
表側から受ける外バルーン6とからなる二重袋式バルー
ンである。
【0015】内バルーン5は筒状の弾性フィルムからな
り、内バルーン5の表裏両面にはシリコーングリースが
塗布されている。外バルーン6は、外側の筒状の弾性フ
ィルム6aと内側のバルーン補強用の筒状の芯鞘糸物6
bとからなり、バルーン補強用の芯鞘糸物6bは弾性フ
ィルム6aの内面にゴム糊等で貼り付けられていて、弾
性フィルム6aの飛散防止と共に、バルーンの膨張・収
縮によってずれたりせず、均等な膨張が得られるよう構
成されている。バルーン2の長さは自由であるが、15
〜70mmの範囲が適当である場合が多い。
【0016】このように、バルーン2の全体層構造とし
ては、前記の弾性フィルム/筒状の芯鞘糸物/弾性フィ
ルムの3層構造であることが望ましい。内バルーン5の
弾性フィルムは、2層構成の外バルーン6のうちでも、
とりわけの芯鞘糸物6bによる補強効果を受けて伸縮性
と耐圧性が十分にあって(弁を機械的に裂開させられる
2〜5気圧程度の)大きなバルーン内圧の達成が可能な
構成となっている。また、滑らかな表面の弾性フィルム
6aは、拡張したバルーンを収縮させる働きと、血管内
での通過性を良くする作用を有する。
【0017】さらに、図2(b)に示すように、バルー
ン2を膨張させた時に瓢箪形にするため、外バルーン6
の中ほどに弾性体のバンド7をゴム糊等で接着してあ
る。すなわち、弾性フィルム6aと芯鞘糸物6bとの間
にはバンド7が嵌められて接着されていて、バンド7の
ところでは膨張が他より抑えられることで瓢箪形を呈す
ることなるのである。拡張したい弁口をバンド7の位置
に合わせ、バルーンが弁口から滑り落ちない構成にされ
ている。勿論、バルーンを瓢箪形としない場合には弾性
体のバンド7は不要である。
【0018】なお、液体が導入されて膨張中の内バルー
ン5が破れる事故があって、注射筒での液体吸引も出来
ず、液体の逃げ口がなくてバルーン2を萎ませられない
事態を回避するために、外バルーン6に逃がし細孔8が
幾つか設けられている。バルーン2が膨張したままでは
カテーテルを体外に引き出せない。内バルーン5が破れ
た時には、液体が逃がし細孔8から放出されてバルーン
2が自動的に萎む(収縮する)よう構成されているので
ある。
【0019】両バルーン5,6に使われる弾性フィルム
は、伸縮性が大きく表面が滑らかな薄膜で先端側の厚み
が後端側より薄く制作されることが多い。先端側の厚み
が後端側より薄いと先端側から先に膨張する(拡張され
る)。弾性フィルムの素材としては、ポリウレタンやラ
テックス等のゴムが挙げられ、特にゴムは初期弾性率が
小さく、バルーン用として好適である。
【0020】弾性フィルムの厚みは0.1〜0.4mm
の範囲が好ましい。両バルーン5,6に使われる弾性フ
ィルムは同一厚みである必要はない。また、先端側と後
端側の厚みの差は5〜25%位でよく、例えば筒状の弾
性フィルムを製作する際に薄くするか,また簡単な方法
としては、製作した筒状の弾性フィルムの該当部分を膨
張させて、残留伸びを固定させて膜厚を薄くするなどの
方法で得られる。
【0021】一方、筒状の芯鞘糸物6bは、芯用弾性糸
と芯用弾性糸より自由長の大きい鞘用非弾性糸とからな
る芯鞘糸(複合糸)を素材として作られており、編物、
織物、組紐、大きな綾角で筒状に巻いたものが挙げられ
るが、中でも伸縮性のある筒編構造のものが好ましい。
芯用弾性糸と鞘用非弾性糸の自由長の比は0.15〜
0.5であることが好ましい。さらに好ましくは0.2
〜0.35である。この値が大きすぎるとバルーンは十
分に膨張し難くなる。また、この値が小さすぎると非弾
性糸による補強効果が十分に発揮されず、バルーン膨張
時に破損が生じ易くなる。ただし破損を回避するために
細心の注意を払って製造すれば、上記の比がより大きい
場合にも本発明の効果をいかすことができる。なお、上
記自由長の比は、芯鞘糸のS−Sカーブが高張力側に屈
折する点を測定することによって知ることができる。非
弾性糸の自由長のバラツキがあって、前記の屈折点が不
明瞭な場合は、前後の直線部から外捜することにより知
ることができる。
【0022】芯鞘糸は弾性糸を芯、非弾性糸を鞘とする
構造である。すなわち、内圧により膨張し易くするた
め、或いは膨張の部分的順序や最終的な膨張形状を設定
しておくために、あらかじめ膨張・収縮させて癖付をし
ておくような場合があり、この場合には両構成糸の分離
が悪影響を及ぼす恐れがあるのである。芯鞘糸の作り方
としては、非弾性糸をオーバーフィードしながら交撚ま
たは流体交絡する方法、特にウレタン糸(弾性糸)に合
成繊維の撚糸(非弾性糸)を螺旋状に巻いた芯鞘糸がコ
ンパクトである点で好ましい。非弾性糸は加工糸である
方が、伸縮性や弾性フィルムとの接着性等に優れていて
好ましい。加工糸の中でも伸縮性に優れる仮撚加工糸が
良い。加工糸でない場合は弾性糸との分離を起こしやす
い欠点があるが、それも撚数を十分大きくするなどの対
策により、分離し易い欠点を回避することは可能であ
る。
【0023】芯用の弾性糸としては、伸縮性のある繊維
であれば別に制約されない。例えば天然ゴムや合成ゴム
などのゴム並びにポリウレタンの単糸や撚糸が適当であ
り、巻きつける合成繊維(非弾性糸)の糸はナイロン、
ポリエステルやテフロンなどの強力糸の他、ポリイミド
やポリエチレンなどの高強力糸の単糸でもよいが、撚糸
の方が撓やかで好ましい。これらの糸の太さは作用部位
や目的に合わせて要求される耐圧性が異なるので特に限
定されないが、芯用の弾性糸は10〜50D、巻き付け
る強力糸や高強力糸の非弾性糸は30〜150Dの範囲
で選ばれることが多い。
【0024】そして、バルーン2は、図1に示すよう
に、一端が内チューブ3の側に固定されて他端が外チュ
ーブ4の側に固定されることによりチューブ1に付設さ
れている。すなわち、内チューブ3の先端に金属製先端
パイプ9を全長の半分くらいまで納まるように差し込ん
だ上から糸を縛り付けて止め付けることにより金属製先
端パイプ9が固定されていて、内バルーン5の一端が糸
で先端パイプ9の差し込み域に縛り付けられて固定され
ているとともに、外バルーン6の一端が、やはり糸で先
端パイプ9の差し込み域に縛り付けられて固定されてい
る。また、チューブ1の最先端部分では、エポキシ樹脂
系等の接着剤11によって先細りテーパー状の先端チッ
プ10が接着固定されている他、バルーン端部や接続部
はエポキシ樹脂系等の接着剤11によって滑らかに仕上
げられている。
【0025】また、外チューブ4の先端に金属製接続パ
イプ12を全長の1/3くらいまで納まるように差し込
んだ上から糸を縛り付けて止め付けることにより金属製
接続パイプ12が固定されていて、内バルーン5の他端
が接続パイプ12の先端に糸で縛り付けられて固定され
ているとともに、外バルーン6の他端が接続パイプ12
の中程に糸で縛り付けられて固定されている。また、エ
ポキシ樹脂系等の接着剤13でバルーン端部や接続部は
滑らかに仕上げられている。
【0026】血管や心臓内腔への挿入時あるいは引出時
においては、外チューブ4に対して内チューブ3を(軸
方向に)摺動前進させて、内外の両バルーン5,6を軸
方向に伸張させ縮径させる(径を縮める)操作を行うの
であるが、本発明の場合、内チューブ3の曲げモーメン
トが、TINIUS OLSEN STIFFNEST
ESTERを用いて測定した時の値で、20〜70g・
cmの範囲にあって、内チューブ3に必要な剛性が備わ
っており、伸張パイプを使わずにバルーンの縮径が行え
る。内チューブ3の曲げモーメントは、20〜50g・
cmの範囲のあることが、より好ましい。伸張パイプを
使わずに済む分、ガイドワイヤWが通過出来る程度まで
内チューブ3の径を小さくすることが出来る。
【0027】また、バルーン2を下にして拡張用液体で
バルーン2を膨張・収縮させる操作を1回ないし3回程
度おこなうことにより、エア抜きチューブを使わずにバ
ルーンの中の空気を抜けることから、エア抜きチューブ
不要に伴う省スペース化により、外チューブの径を小さ
くすることも出来る。
【0028】このように、内外の両チューブ3,4の細
径化が図れるので、チューブ1としての外径(つまり外
チューブ4の外径)を従来よりもずっと小さくすること
が可能となる。外チューブ4の外径は、通常、14Fr
以下であることが望ましく、9Fr以下であるのがより
望ましい。
【0029】チューブ1の長さについては、患者の年
齢、体格や挿入部から治療する場所までの距離によって
異なるので特定の長さに規定されるものではないが、好
ましくは20〜120cmの範囲のものが使用される。
【0030】剛性のある内チューブ3としては、例えば
ポリエチレン、テフロン、ポリプロピレン、あるいはナ
イロンのような合成樹脂製のチューブが挙げられる。こ
れらのチューブの他に、可塑剤を溶媒で抽出して剛性を
もたせた塩化ビニル樹脂製のチューブや、放射線照射で
架橋硬化させて剛性をもたせた樹脂製のチューブ、さら
には、可塑剤を少なくして剛性をもたせた樹脂製のチュ
ーブ等も使用することができる。一方、トルク性のある
硬い外チューブ4の方も、内チューブ3と同様の材質の
チューブを使用できる。さらに、これらのチューブに硫
酸バリウムやビスマスの化合物あるいはタングステンの
ような金属粉末の造影剤を混入させておくと、血管内の
位置をレントゲン撮影により知る助けとなり好ましい。
【0031】また、図1において、外チューブ4の内面
と金属製接続パイプ12の表面の間に先端が挟み付けら
れて取り付けられ、手元側へ導き出されているリード糸
(ケブラー糸)14は、外チューブ4に対して内チュー
ブ3を(軸方向に)摺動前進させて、内外の両バルーン
5,6を軸方向に伸張させ縮径させた時に、外チューブ
4が伸びないよう歯止めをかけるためのものである。外
チューブ4の伸びをおさえる糸としては、特定の素材の
ものに限られないが、弾性率の高い繊維、例えばポリア
ミド糸が適当である。さらに、外チューブ4の伸びをお
さえるのに、糸でなく編物を用いてもよい。また、外チ
ューブ4の伸びをおさえる糸や編物は、外チューブ4に
埋設してもよい。
【0032】バルーン2を膨張させる流体は、図1に矢
印RAで示すように、内チューブ3と外チューブ4の間
隙を経由して内バルーン5ヘ送り込まれる。バルーン2
を膨張させる流体としては、例えば生理食塩水や造影液
などの液体や炭酸ガスなどの気体が用いられる。これら
の流体は、注射筒等により、その一定量を圧入する方法
で用いられる。内バルーン5に流体が十分に送りこまれ
ると、図2(b)に示すように、バルーン2が瓢箪形に
膨張する。
【0033】以上に述べた実施形態のカテーテルのバル
ーン2は伸縮能が大きくてバルーン2の外径を小さく出
来る上、チューブ1の径も非常に細くすることが出来
て、血管の中に簡単なセルティンガ法により挿入するこ
とができる。したがって、治療のための傷口は小さくて
済み、術後の処置や管理が簡単で治癒までの時間が格段
に早く、患者や看護する人の負担も軽減される。また、
バルーン2を心臓内腔まで押し進める場合にも、ガイド
ワイヤや血流にのせるなどの挿入操作も容易となり、加
えてバルーン2の先端部も柔らかくて血管内壁を傷つけ
る心配もないので操作性も改善される。それに、バルー
ン用の筒状の弾性フィルムやバルーン補強用の筒状の芯
鞘糸物の製作や組み立ても簡単で、歩留りが良く、低コ
ストで製造できる。
【0034】続いて、以上に説明した実施形態のカテー
テルに則した具体的な構成を有する実施例を説明する。 〔実施例1〕30Dのポリウレタン糸(芯用弾性糸)に
50D−24fのポリエステル糸からなる仮撚加工糸
(鞘用非弾性糸)を、ポリウレタン糸に対して370%
オーバーフィードして412T/mで交撚して芯鞘糸
(複合糸)を製造した。両糸の自由長の比をS−Sカー
ブから読み取ると0.26であった。このように製造し
た芯鞘糸を、直径10mmの円周に30本の編み針を並
べた編み機で筒編みして、外バルーン6に用いる筒状の
芯鞘糸物6bを得た。
【0035】一方、外チューブ4として、DOP20部
および造影剤30%を含有する6Frで長さ650mm
の塩化ビニルチューブの中空側にリード糸14として2
00Dのポリイミド撚糸を沿わせるとともに、先端にス
テンレスパイプを金属製接続パイプ12として装着し、
後端にも同様のステンレスパイプを装着しておく。他
方、内チューブ3として、DOP8部を含有する先端部
外径1mmのポリ塩化ビニルチューブに外形0.9mm
のステンレスパイプを金属製先端パイプ9として装着
し、後端に16G長さ30mmの針基付きステンレスパ
イプを挿入した。各ステンレスパイプは70μmのナイ
ロン糸で内チューブ及び外チューブに縛り付けてしっか
り固定した。なお、内チューブ3の曲げモーメントは3
0g・cmであった。そして、内チューブ3を先ずYコ
ネクタに通してから、さらに外チューブ4に挿入した
後、外チューブ4をYコネクタに固定して、カテーテル
のチューブ1となる部分を作製した。
【0036】次に、厚さ0.3mm、長さ15mmのゴ
ムチューブを内バルーン5の弾性フィルムとして、その
一端と他端を内チューブ3および外チューブ4の先端に
70μmのナイロン糸でそれぞれ縛り付けて固定してか
らゴムチューブの表面にシリコングリースを少量塗布し
た。また、芯鞘糸物6bの中ほどに厚み0.2mm、長
さ5mmのゴム帯を弾性体のバンド7としてゴム糊で貼
りつけた後、さらにその外側に先端側の厚みが0.15
mmで後端側の厚みが0.2mmであるゴムチューブを
外バルーン6における弾性フィルム6aとして貼り付け
た。これを内バルーン5に被せて全長が18mmになる
ように合わせて、内チューブ3および外チューブ4に7
0μmのナイロン糸で縛り付けて固定した。そして、余
分の編物部分やゴム部分は切り取り、内バルーン5およ
び外バルーン6からなるバルーン2を作製した。その
後、Yコネクタに二方活栓を取り付けるとともに、バル
ーン2の両端や先端及び継ぎ部分をエポキシ樹脂系接着
剤でを滑らかに仕上げして実施例1のバルーン付カテー
テルを完成した。
【0037】完成したカテーテルに注射筒を取り付け
て、空気を抜きながら水に置き換えた後、約1ミリリッ
トルの水を注入した。バルーン2は先端のみが約10m
mに膨張した。また、さらに注入量を2.8ミリリット
ルにすると、バルーン2は約13mmに膨張した。次に
バルーン2から水を抜いてみたが、皺を生ずることなく
表面は滑らかな状態で収縮した(萎んだ)。また、ガイ
ドワイヤWを通した後、内チューブ3の針基付ステンレ
スパイプを押して内チューブ3を前進させて、バルーン
2を18mmから40mmに引き伸ばしたところ、約5
mmであったバルーン2の直径が3mmに縮み、針基付
ステンレスパイプを元に引き戻すと、バルーン2の直径
も約5mmに戻った。さらに、バルーン2を下にしてバ
ルーン2を水で膨張・収縮させる操作を1回ないし3回
程度おこなうことにより、エア抜きチューブを使わずに
バルーン2のエア抜きを完全に行えることも確認した。
【0038】続いて、実施例1のバルーン付カテーテル
の臨床応用例を説明する。以下の臨床応用例では実施例
1のカテーテルが肺動脈弁形成術に適用される。先ず、
特製のガイドワイヤWを経皮的に股静脈より肺動脈弁口
を通過後、肺動脈主幹部に留置する。続いて、実施例1
のカテーテルのバルーン2を右心室より肺動脈弁口を通
過させ、肺動脈主幹部に留置後、さらに希釈造影剤でバ
ルーン2の先端側を膨張させ、軽く引き寄せて裂開すべ
き弁口に当てた。その位置でバルーン2を膨張させたと
ころ、バルーン2は滑脱することなく、弁口を拡大させ
た。バルーン膨張収縮5秒を含む裂開術は短時間のうち
に従来よりスムーズに済み、副作用も生じることなく、
術後経過も必要入院期間の短縮が可能ほど良好であっ
た。
【0039】本発明は、上記実施の形態に限られること
はなく、下記のように変形実施することができる。 (1)図1のカテーテルは、二重袋式バルーンであった
が、バルーンが単一袋式バルーンである構成のカテーテ
ルも、変形例として挙げることができる。具体的には、
図1において内バルーン5である弾性フィルムも芯鞘糸
物6bに接着されている多層単一袋式バルーンや、さら
には芯鞘糸物6bもない単一層単一袋式バルーンのカテ
ーテル等が挙げられる。
【0040】(2)図1のカテーテルは、バルーンが瓢
箪形に膨らむ構成であったが、バルーンに弾性体のバン
ド7が取り付けられていない非瓢箪形に膨らむ構成のカ
テーテルも、変形例として挙げることができる。
【0041】(3)上記実施例はカテーテルが血管に挿
入される態様であったが、本発明のカテーテルの挿入対
象となる管が、血管以外の管である場合もあり得る。
【0042】
【発明の効果】請求項1の発明のバルーン付カテーテル
によれば、伸長用パイプを使わずとも、バルーンを伸張
させて縮径させられるとともに、エア抜きチューブを使
わずとも、バルーンの空気抜きが行えることから、内チ
ューブおよび外チューブの細径化を図することができ
る。その結果、チューブの径が十分に細くなり、挿入し
易いカテーテルとなって治療がスムーズに行われるだけ
でなく、患者の受ける苦痛も少なくて術後経過も良好と
なる上、必要部品の数が少なくなり、操作性が良くなる
とともにコストダウンも可能となる。
【0043】また、請求項2の発明のバルーン付カテー
テルによれば、バルーンが膨らませ易くて破れ難い二重
袋式構造であり、バルーンに十分な伸縮性と耐圧性を持
たせられるので、より径が細くて挿入し易いカテーテル
になるとともに、膨張時のバルーン内圧が十分で治療機
能の高いカテーテルになる。
【0044】また、請求項3の発明のバルーン付カテー
テルによれば、バルーンが芯用弾性糸と芯用弾性糸より
自由長の大きい鞘用非弾性糸とからなる芯鞘糸によって
補強されていて、バルーンに適当な伸縮性と十分な耐圧
性および膨張均一性を持たせられるので、より径が細く
て挿入し易いカテーテルになるのに加え、膨張時のバル
ーン内圧が十分であるとともに収縮時のバルーン表面に
皺が生じ難くて治療機能に優れるカテーテルとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のカテーテル先端近傍の詳
細構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態のカテーテル全体の概略構
成を示す平面図である。
【図3】従来のカテーテルのバルーン膨張時の状態を示
す断面図である。
【図4】従来のカテーテルのバルーン収縮時の状態を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 …チューブ 2 …バルーン 3 …内チューブ 4 …外チューブ 5 …内バルーン 6 …外バルーン 6b …筒状の芯鞘糸物

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】管内に挿入されるチューブと、チューブの
    先端部に付設されているバルーンとを備え、前記チュー
    ブは、互いに軸方向に摺動可能なようにして同心的に挿
    し通されている内チューブと外チューブからなる二重管
    式チューブであって、バルーンは一端が内チューブの側
    に固定されて他端が外チューブの側に固定されており、
    前記内チューブの曲げモーメントが、20〜70g・c
    mの範囲にあることを特徴とするバルーン付カテーテ
    ル。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のバルーン付カテーテルに
    おいて、バルーンが、流体の導入により膨張する内バル
    ーンと、流体導入に伴って膨張した内バルーンを表側で
    受ける外バルーンとからなる二重袋式バルーンであるバ
    ルーン付カテーテル。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のバルーン付カテー
    テルにおいて、バルーンが、芯用弾性糸と芯用弾性糸よ
    り自由長の大きい鞘用非弾性糸とからなる芯鞘糸によっ
    て補強されているバルーン付カテーテル。
JP10158727A 1998-06-08 1998-06-08 バルーン付カテーテル Pending JPH11347128A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10158727A JPH11347128A (ja) 1998-06-08 1998-06-08 バルーン付カテーテル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10158727A JPH11347128A (ja) 1998-06-08 1998-06-08 バルーン付カテーテル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11347128A true JPH11347128A (ja) 1999-12-21

Family

ID=15678025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10158727A Pending JPH11347128A (ja) 1998-06-08 1998-06-08 バルーン付カテーテル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11347128A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001047593A1 (fr) * 1999-12-24 2001-07-05 Toray Industries, Inc. Catheter a ballonnet
JP2001238956A (ja) * 1999-12-24 2001-09-04 Toray Ind Inc バルーン付カテーテル
JP2004504098A (ja) * 2000-07-19 2004-02-12 クリオヴァスキュラー・システムズ・インコーポレイテッド 改良式安全寒冷療法用カテーテル
WO2013122003A1 (ja) * 2012-02-16 2013-08-22 テルモ・クリニカルサプライ株式会社 血管閉塞用バルーンカテーテル用バルーン、血管閉塞用バルーンカテーテル、血管閉塞用バルーンカテーテル用バルーンの製造方法
WO2023190670A1 (ja) * 2022-03-29 2023-10-05 東レ株式会社 バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルシステム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001047593A1 (fr) * 1999-12-24 2001-07-05 Toray Industries, Inc. Catheter a ballonnet
JP2001238956A (ja) * 1999-12-24 2001-09-04 Toray Ind Inc バルーン付カテーテル
US7052507B2 (en) * 1999-12-24 2006-05-30 Toray Industries, Inc. Catheter with balloon
JP2004504098A (ja) * 2000-07-19 2004-02-12 クリオヴァスキュラー・システムズ・インコーポレイテッド 改良式安全寒冷療法用カテーテル
WO2013122003A1 (ja) * 2012-02-16 2013-08-22 テルモ・クリニカルサプライ株式会社 血管閉塞用バルーンカテーテル用バルーン、血管閉塞用バルーンカテーテル、血管閉塞用バルーンカテーテル用バルーンの製造方法
WO2023190670A1 (ja) * 2022-03-29 2023-10-05 東レ株式会社 バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルシステム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2545981B2 (ja) バルーン付カテーテル
WO2001047593A1 (fr) Catheter a ballonnet
US10245419B2 (en) Positionable valvuloplasty catheter
US10124153B2 (en) Balloon catheter and methods of use thereof
US7972299B2 (en) Balloon catheter with deflation mechanism
US6482221B1 (en) Manipulatable delivery catheter for occlusive devices (II)
JP3704355B2 (ja) フレキシブルなニチノール製ワイアを有する食道用拡張バルーンカテーテル
US20040006305A1 (en) Balloon catheter having an expandable distal end
JP3804351B2 (ja) バルーンカテーテル
CA2739326A1 (en) Valvuloplasty catheter and methods
JPH0511996B2 (ja)
JP2001518808A (ja) 心臓を停止させるための血管内システム
CN107158548A (zh) 一种用于扩张主动脉瓣的球囊导管
JPH11347128A (ja) バルーン付カテーテル
JP2001238956A (ja) バルーン付カテーテル
JPH033496B2 (ja)
JP2001276228A (ja) バルーン付カテーテル
JPH0838612A (ja) 医用チューブ及びその使用方法
JPS6338469A (ja) 医療用バル−ンカテ−テル
JP6750149B2 (ja) フレキシブルな高圧バルーン
JP4106115B2 (ja) バルーンカテーテル
JPH088930B2 (ja) バル−ンカテ−テル
CN216148138U (zh) 一种远端可抽吸的封堵球囊导管
JP2009291345A (ja) バルーン拡張用注入器
JP4012454B2 (ja) 容易に折り畳み可能なバルーンカテーテル