JPH11346581A - 複数水田群の水管理方法及び水管理システム - Google Patents

複数水田群の水管理方法及び水管理システム

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JPH11346581A
JPH11346581A JP15416698A JP15416698A JPH11346581A JP H11346581 A JPH11346581 A JP H11346581A JP 15416698 A JP15416698 A JP 15416698A JP 15416698 A JP15416698 A JP 15416698A JP H11346581 A JPH11346581 A JP H11346581A
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Toshifumi Abe
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Nobuhide Ouchi
信秀 大内
Ken Munakata
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水稲収量に大きな影響を及ぼす物理量として浸
透量に着目し、特殊な測定機器を用いることなく、水田
の浸透量を推定し、水田群の浸透量を適正に管理するこ
と。 【解決手段】複数水田からなる水田地域において、気象
ロボット107からの気象計測値より算出された各水田
4−jの稲の生育段階の推定結果、気象予報データに基
づいて、事前に作成しておいた目標浸透量テーブルを参
照することにより、各水田4−jの適正浸透量の目標値
を決定する。各水田4−jの水位、給排水量、雨量計測
値に基づいて、所定のアルゴリズムに従って各水田4−
jの浸透量を推定し、かつ所定のアルゴリズムに従って
上記目標浸透量を実現するための目標水位を算出し、水
田水位が上記目標水位に等しくなるよう、即ち水田浸透
量が適正浸透量となるよう、各水田4−jの給排水バル
ブ2−j、3−jの操作を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の水田から構
成された水田地域において、収量の最大化を図るべく、
水田からの地下浸透量を適正浸透量に保つように、給排
水バルブ操作、揚水ポンプ操作その他の水管理作業を行
うための水管理方法に係り、特に(ほぼ)同一土壌・土
層、同一気候を有する水田地域に対して好適な、複数水
田の水管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、給排水パイプライン、給排水路の
整備された水田地域では、稲の生育段階に応じた好まし
い水位管理を行うため、各水田に1つの水位計を設置し
ておき、水位計測値が所定の目標水位に近づくように給
排水バルブの操作を行っている。例えば、特開平9−6
5776によれば、気象観測データ、気象予報データ、
稲の生育データとに基づいて、目標水位テーブル及び該
目標水位に対応した水位許容範囲テーブルを予め用意し
ておき、水位センサを介して水田の水位を検知しなが
ら、該水田水位が目標水位に対して上記水位許容範囲内
となるように、灌水装置の操作を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術によれ
ば、田植えから落水までの間、稲の生育段階に応じた適
切な水田水位となるように、水田水位を自動的に変化さ
せながら灌水を行うことができ、農家の人の灌水作業の
省力化を図ることができる。また水位管理には、長年の
経験が必要であったが、経験の少ない人でも適切な水田
水位となるように水田の灌水を行うことができる。
【0004】ところで、「新編灌漑排水上巻(養賢
堂)」によれば、水田水の地下浸透は、水に含まれる各
種養分・酸素の根への供給、及び土壌の酸化促進等の役
割を持ち、適正浸透量と呼ばれる水稲生育に好ましい浸
透量が存在する。実際、ある地方の浸透量と水稲収量と
の関係の調査結果によれば、最低収量は減水深(蒸発散
量+浸透量)の増加とともに減少するが、最高収量は、
減水深が20〜30mm/dayのときピークを持ち、それよ
り多くても少なくても減少することが示されている。
【0005】但し、適正浸透量は水稲生育期間中一定で
はなく、時期及び各種条件によって変化する性質を持
つ。生育初期から最高分けつ中子期までは、土壌中の養
分濃度も高く、土壌の還元による障害も少ないため、浸
透量の増加は肥料分の流亡につながり、浸透は水稲収量
に対してマイナスに働く。中干し後になると、夏期の高
温のために有機物の分解が進み、土壌は著しい還元状態
となり、各種の有害物質を生じるため、適度の透水と間
断灌漑による土壌の酸化が必要となる。
【0006】即ち、植付より中干しまでは浸透を抑え、
中干し後から落水までは透水と間断灌漑を行う、といっ
たように、稲の生育段階に応じて適切な浸透量となるよ
うに目標浸透量管理を行うことが、高収量を得るために
必要不可欠となる。
【0007】しかるに、従来技術では、浅水、深水、間
断潅漑等のように水位を制御量とした目標水位管理を行
っているのみで、水田からの浸透量を全く考慮してしな
い。浸透量は水田水位のみならず地下水位等にも影響さ
れるため、偶然に水田浸透量が適正浸透量になる可能性
はありうるが、従来技術では適正浸透量となるよう水田
浸透量を能動的に操作できず、積極的な高収量化を図る
ことができない。
【0008】浸透量を制御量とした適正浸透量管理を行
うためには、水田の浸透量推定を行い、推定浸透量が適
正浸透量になるよう水位管理(給排水バルブ制御)を行
うことか必要不可欠となる。しかるに、現在の技術レベ
ルでは、浸透量を精度よく推定することは容易ではな
い。例えば、浸透量推定のためによく用いられている方
法として、水田において成り立つ水収支式:水田貯留変
化量=給水量−排水量+雨量−蒸発散量−浸透量、に対
して、水田貯留変化量、給水量、排水量、雨量を測定
し、蒸発散量を何らかの方法により推定することによ
り、残された浸透量を算出する方法がある。
【0009】しかしながら実際は、上記蒸発散量の推定
が容易でないため、上記水収支式に基づく方法は有効と
は言えない。傾度法、熱収支法等を用いれば蒸発散量推
定可能であるが、特殊な測定器を必要とするので一般水
田の水管理に用いることは現実的ではない。夜間は蒸発
散量が0になることを利用すれば、上記方法でも浸透量
の推定は可能となるが、昼間の浸透量推定には利用でき
ず一般的ではない。
【0010】また、仮に水田の浸透量を推定できたとし
ても、推定浸透量が適正浸透量になるように水管理を行
うことは容易ではない。浸透量は水田水位のみならず、
地下水位、土壌・土層の状態等にも大きく左右されるた
め、適正浸透量を実現するための水田水位を決定するこ
とが困難なためである。
【0011】本発明の目的は、水稲収量に大きな影響を
及ぼす物理量として浸透量に着目し、水田群の水位トレ
ンド、給排水・雨量情報のみから、水田の土壌・土層、
地下水位等の状態に依存することなく水田の浸透量を推
定し、各水田の浸透量が稲の生育に応じた適正浸透量と
なるよう水田水位を適切に管理することができる、水田
水管理の技術を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、次
の手段を設ける。 (手段1)複数区画からなる水田に対する水管理を行う
水田群の水管理システムにおいて、上記水田の存在する
水田地域の雨量を把握する手段と、上記各水田の水位を
計測する水位計と、各水田に給水および排水を行う給排
水装置と、各水田の浸透量の目標値およびその許容範囲
を決定する目標浸透量決定手段と、上記把握された雨量
および各水田の水位に基づいて、所定アルゴリズムに従
って各水田の浸透量を推定する浸透量推定手段と、上記
推定された浸透量の目標値の許容範囲に収まるように前
記給排水装置を動作させる制御手段とを有することを特
徴とする。
【0013】(手段2)複数区画からなる水田に対する
水管理を行う水田群の水管理システムにおいて、上記水
田の存在する水田地域の雨量を把握する手段と、上記各
水田の水位を計測する水位計と、各水田に給水および排
水を行う給排水装置と、各水田の浸透量の目標値および
その許容範囲を決定する目標浸透量決定手段と、上記把
握された雨量および各水田の水位に基づいて、所定アル
ゴリズムに従って各水田の浸透量を推定する浸透量推定
手段と、上記推定された浸透量の目標値の許容範囲に収
まるように各水田の目標水位及びその許容範囲を決定す
る目標水位決定手段とを有することを特徴とする。
【0014】(手段3)本発明の水田の水管理システム
では、手段1、2における所定のアルゴリズムは、各水
田に対して成り立つ水収支式において、蒸発散量、及び
地下水位、透水係数等の浸透に影響を及ぼす物理量が上
記各式とも共通の値を取ると仮定して、上記水収支式を
連立して解くことにより各水田の浸透量を算出するこ
と、を特徴とする。
【0015】(手段4)本発明の水田の水管理システム
では、手段1、2における所定の目標量及びその許容範
囲は、稲の生育段階又は日付と、該当希稲種の目標浸透
量及びその許容範囲との対応関係を記録したテーブルに
基づいて決定すること、を特徴とする。
【0016】(手段5)本発明の水田の水管理システム
では、水田地域の気温、水温、湿度、日射豊、日照時間
等の気象情報を把握するための手段を有し、手段1、2
における所定の目標量及びその許容範囲は、稲の生育段
階又は日付と、該当稲種の目標浸透量及びその許容範囲
との対応関係を記録したテーブルに基づいて決定し、上
記目標浸透量又はその許容範囲は、上記把握された気象
情報に基づいて所定量だけ修正すること、を特徴とす
る。
【0017】(手段6)本発明の水田の水管理システム
では、手段2における目標水位決定手段は、各水田に対
して成り立つ水収支式において、蒸発散量、及び地下水
位、透水係数等の浸透に影響を及ぼす物理量が上記各式
とも共通の値を取ると仮定し、上記水収支式を連立して
解くことにより上記物理量の値を算出し、上記算出され
た物理量の値及び前記決定された浸透量の目標値及び浸
透量の上下限値を上記各水田ごとの水収支式に代入して
解くことにより、前記各水田の目標水位及びその許容範
囲を決定すること、を特徴とする。
【0018】(手段7)本発明の水田の水管理システム
では、複数区画からなる水田地域において、上記水田地
域の雨量を把握するための手段と、上記各水田の水位を
計測するための水位計と、上記把握された雨量及び各水
田の水位に基づいて、所定のアルゴリズムに従って各水
田の水収支に関連する物理量を推定する物理量推定手段
と、を有することを特徴とする。
【0019】(手段8)本発明の水田の水管理システム
では、手段7における水収支に関連する物理量は、浸透
量、地下水位、透水係数、その他浸透に影響を及ぼす物
理量、蒸発散量、給水量、排水量のいずれかであるこ
と、を特徴とする。
【0020】(手段9)本発明の水田の水管理システム
では、手段7における所定のアルゴリズムは、各水田に
対して成り立つ水収支式において、蒸発散量、及び地下
水位、透水係数等の浸透に影響を及ぼす物理量が上記各
式とも共通の値を取ると仮定して、上記水収支式を連立
立して解くことにより各水田の任意の期間中の水の移動
に関連する物理量を算出すること、を特徴とする。
【0021】(手段10)本発明の水田の水管理システ
ムでは、複数区画からなる水田地域において、上記水田
地域の雨量を把握するための手段と、上記各水田の水位
を計測するための水位計と、各水田に給水又は排水を行
うための給排水装置と、各水田の水位変化量の目標値及
びその許容範囲を決定する目標水位変化量決定手段と、
上記把握された雨量及び各水田の水位に基づいて、所定
のアルゴリズムに従って降雨の影響又は給排水の影響又
は蒸発散の影響を取り除いた各水田の水位変化量を推定
する水位変化量推定手段と、上記推定された水位変化量
が上記水位変化量の目標値の許容範囲内に収まるように
各水田の給排水装置を動作させる制御手段と、を有する
ことを特徴とする。
【0022】(手段11)本発明の水田の水管理システ
ムでは、複数区画からなる水田地域において、上記水田
地域の雨量を把握するための手段と、上記客水田の水位
を計測するための水位計と、各水田に給水又は排水を行
うための給排水装置と、各水田の水位変化量の目標位及
びその許容範囲を決定する目標水位変化量決定手段と、
上記把握された雨量及び各水田の水位に基づいて、所定
のアルゴリズムに従って降雨の影響又は給排水の影響又
は蒸発散の影響を取り除いた各水田の水位変化量を推定
する水位変化量推定手段と、上記推定された水位変化量
が上記水位変化量の目標値の許容範囲内に収まるように
各水田の目標水位及びその許容範囲を決定する目標水位
決定手段と、を有することを特徴とする。
【0023】(手段12)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、上記水画地域の雨量を把握す
る機能と、上記客水田に設置された水位計からの水位計
測値を把握する機能と、各水田の浸透量の目標値及びそ
の許容範囲を決定する目標浸透量決定機能と、上記把握
された雨量及び各水田の水位に基づいて、所定のアルゴ
リズムに従って各水田の浸透量を推定する浸透量推定技
能と、上記推定された浸透量が上記浸透量の目標値の許
容範囲内に収まるように各水田に設置された給排水装置
を動作させる制御機能と、を実行させるためのプログラ
ムを記録したことを特徴とする。
【0024】(手段13)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、上記水田地域の雨量を把握す
る機能と、上記客水田に設置された水位計からの水位計
測値を把握する機能と、各水田の浸透量の目標値及びそ
の許容範囲を決定する目標浸透量決定機能と、上記把握
された雨量及び各水田の水位に基づいて、所定のアルゴ
リズムに従って各水田の浸透量を推定する浸透量推定機
能と、上記推定された浸透量が上記浸透量の目標値の許
容範囲内に収まるように各水田の目標水位及びその許容
範囲を決定する目標水位決定機能と、を実行させるため
のプログラムを記録したことを特徴とする。
【0025】(手段14)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、手段12、13における所定
のアルゴリズムは、各水田に対して成り立つ水収支式に
おいて、蒸発散量、及び地下水位、透水係数等の浸透に
影響を及ぼす物理量が上記各式とも共通の値を取ると仮
定して、上記水収支式を連立して解くことにより各水田
の浸透量を算出すること、を特徴とする。
【0026】(手段15)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、手段12、13における所定
の目標量及びその許容範囲は、稲の生育段階又は日付
と、該当稲種の目標浸透量及びその許容範囲との対応関
係を記録したテーブルに基づいて決定すること、を特徴
とするとする。
【0027】(手段16)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、上記水田地域の気温、水温、
湿度、日射量、日照時間等の気象情報を把握する機能を
実行させるためのプログラムを記録し、手段12、13
における所定の目標量及びその許容範囲は、稲の生育段
階又は日付と、該当稲種の目標浸透量及びその許容範囲
との対応関係を記録したテーブルに基づいて決定し、上
記目標浸透量又はその許容範囲は、上記把握された気象
情報に基づいて所定量だけ修正すること、を特徴とす
る。
【0028】(手段17)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、手段13における目標水位決
定機能は、各水田に対して成り立つ水収支式において、
蒸発散量、及び地下水位、透水係数等の浸透に影響饗を
及ぼす物理量が上記各式とも共通の値を取ると仮定し、
上記水収支式を連立して解くことにより上記物理量の値
を算出し、上記算出された物理量の値及び前記決定され
た浸透量の目標値及び浸透量の上下限値を上記各水田ご
との水収支式に代入して解くことにより、前記各水田の
目標水位及びその許容範囲を決定すること、を特徴とす
る。
【0029】(手段18)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、上記水田地域の雨量を把握す
る機能と、上記各水田に設置された水位計からの水位計
測値を把握する機能と、上記把握された雨量及び各水田
の水位に基づいて、所定のアルゴリズムに従って各水田
の水収支に関連する物理量を推定する物理量推定機能
と、を実行させるためのプログラムを記録したことを特
徴とする。
【0030】(手段19)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、手段18における水収支に関
連する物理量は、浸透量、地下水位、透水係数、その他
浸透に影響を及ぼす物理量、蒸発散量、給水量、排水量
のいずれかであることを特徴とするコンピュータ読み取
り可能な媒体。
【0031】(手段20)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、手段18における所定のアル
ゴリズムは、各水田に対して成り立つ水収支式におい
て、蒸発散量、及び地下水位、透水係数等の浸透に影響
を及ぼす物理量が上記各式とも共通の値を取ると仮定し
て、上記水収支式を連立して解くことにより各水田の任
意の期間中の水の移動に関連する物理量を算出するこ
と、を特徴とする。
【0032】(手段21)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、上記水田地域の雨量を把握す
る機能と、上記各水田に設置された水位計からの水位計
測値を把握する機能と、各水田の水位変化量の目標値及
びその許容範囲を決定する目標水位変化量決定機能と、
上記把握された雨量及び各水田の水位に基づいて、所定
のアルゴリズムに従って降雨の影響又は給排水の影響又
は蒸発散の影響を取り除いた各水田の水位変化量を推定
する水位変化量推定機能と、上記推定された水位変化量
が上記水位変化量の目標値の許容範囲内に収まるように
各水田に設置された給排水装置を動作させる制御機能
と、を実行させるためのプログラムを記録したことを特
徴とする。
【0033】(手段22)本発明の複数区画からなる水
田地域における水田の水管理を行うためのコンピュータ
読み取り可能な媒体では、上記水田地域の雨量を把握す
る機能と、上記各水田に設置された水位計からの水位計
測値を把握する機能と、各水田の水位変化量の目標値及
びその許容範囲を決定する目標水位変化量決定機能と、
上記把握された雨量及び各水田の水位に基づいて、所定
のアルゴリズムに従って降雨の影響又は給排水の影響又
は蒸発散の影響を取り除いた各水田の水位変化量を推定
する水位変化量推定機能と、上記推定された水位変化量
が上記水位変化量の目標値の許容範囲内に収まるように
各水田の目標水位及びその許容範囲を決定する目標水位
決定機能と、を実行させるためのプログラムを記録した
ことを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態によって詳細に説明する。図1は、水田群における各
水田の水位を管理する水管理システムの、実施形態を示
すシステム構成図である。本実施形態の水管理システム
は、水位計1−j(j=1、…、30)、給水バルブ2
−j、排水バルブ3−j、コンピュータ104、データ
伝送路105、気象情報提供システム106、気象ロボ
ット107、給水パイプライン108、排水パイプライ
ン109から構成される。
【0035】水管理の対象となる水田地域は、農水省が
推進している大区画水田モデル地区と同様に、30枚の
1ha規模の水田4−jによって構成される。各水田4
−j内には、水位計1−j、給水バルブ2−j、排水バ
ルブ3−jが1つづつ設置されており、所定計測周期ご
とに各水田4−jの水位、給水量、排水量をデータ伝送
路105を介してコンピュータ104に送信している。
ここで、データ伝送路105は、無線又は有線のどちら
でも構わない。上記水田地域には、気象ロボット107
が設置されており、上記水位計測周期と同じタイミング
で、上記水田地域における気温、湿度、日照時間、日射
量、風向・風速、雨量を、データ伝送路105を介して
コンピュータ104に送信している。
【0036】更に、上記気象データ(気温、湿度、日照
時間、日射量、風向・風速、雨量)の所定周期、所定時
刻先までの予報値を、日本気象協会、又は民間団体の保
有する気象情報提供システム106から、所定タイミン
グごとに、データ伝送路105を介してコンピュータ1
04に送信している。
【0037】コンピュータ104は、図2に示すよう
に、CPU221、RAM222、ハードディスク装置
223、フロッピーディスク装置224、MOディスク
装置225、DVD装置226、CD−ROM装置22
7、RAMカード装置228、入力装置229、表示装
置230によって構成される。CPU221は、水管理
システム全体の動作を制御して、水稲収量に大きな影響
を及ぼす物理量である浸透量を制御量として、給水バル
ブ2−j、排水バルブ3−jの操作を行い、各水田4−
jの水管理を行う中央処理装置である。RAM222
は、各種処理プログラムや各種データをロードする記憶
装置である。
【0038】ハードディスク装置223は、各種処理プ
ログラム201〜205、及び各種データベース21
1、212を磁気ディスクに格納する記憶装置である。
フロッピーディスク装置224は、各種処理プログラム
201〜205、及び各種データベース211、212
が記録されたフロッピーディスクの読み書きを行う装置
である。MOディスク装置225は、各種処理プログラ
ム201〜205、及び各種データベース211、21
2が記録されたMOディスク(光磁気ディスク)の読み
書きを行う装置である。
【0039】DVD装置226は、各種処理プログラム
201〜205、及び各種データベース211、212
が記録されたDVD(デジタルビデオディスク)の読み
書きを行う装置である。CD−ROM装置227は、各
種処理プログラム201〜205、及び各種データベー
ス211、212が記録されたCD−ROM(コンパク
トディスク)の読み書きを行う装置である。RAMカー
ド装置227は、各種処理プログラム201〜205、
及び各種データベース211、212が記録されたRA
Mカードの読み書きを行う装置である。
【0040】入力装置229は、水田浸透量推定プログ
ラム203実行に必要となる各水田4−jの物理形状デ
ータや、稲の生育段階推定処理プログラム201実行に
必要となる各水田4−jの稲の品種や田植え日等を入力
するための装置である。表示装置230は、各種処理プ
ログラム201〜205によって算出された各水田4−
jの目標浸透量、水田浸透量、目標水位、バルブ開閉状
態/及び稲の生育段階等、並びに気象情報提供システム
106から送信された上記水田地域の気象データ(気
温、湿度、日照時間、日射量、風向・風速、雨量)の予
報値、並びに気象ロボット107、水位計1−j、給水
バルブ2−j、排水バルブ3−jから送信された各水田
4−jの水位、給水量、及び排水量等の表示を行う装置
である。
【0041】ここで、上記各種処理プログラム201〜
205、及び各種データベース211、212は上記記
憶媒体のいずれに記録していてもかまわないため、以
下、記録媒体の読み書きを行う装置がハードディスク装
置223のみの場合を例にとって説明する。コンピュー
タ104では、各水田4−jの浸透量が稲の生育に応じ
た適正浸透量となるように、水田水位の管理を行う。上
記水田水位管理は、ハードディスク装置223に記憶さ
れた各種処理プログラム201〜205、及び各種デー
タベース211、212をRAM222にロード・記憶
し、CPU221によって、各種処理プログラム201
〜205に対応する以下の処理: (1)各水田4−jの現在の稲の生育段階を推定する処
理 (2)各水田4−jの上記生育段階に応じた適切な目標
浸透量を決定する処理 (3)各水田4−jの浸透量を推定する処理 (4)各水田4−jの上記目標浸透量に対応、する目標
水田水位を決定する処理 (5)各水田4−jの水位を上記目標水田水位の所定の
近傍内に収めるよう、給水バルブ2−j、排水バルブ3
−jの自動制御を行う処理を順次実行していくことによ
り実現される。
【0042】以下、CPU221において実行される上
記処理(1)〜(5)の実行方法について説明する。は
じめに、生育段階推定処理プログラム201によって実
現される、各水田4−jの現在の稲の生育段階を推定す
る処理(1)について、図2、図3を用いて説明する。
コンピュータ104では、気象ロボット107より計測
された気温日照時間のデータを、所定周期ごとに受信し
ている。処理プログラム201では、1日1回日没後、
上記所定周期ごとの気温、日照時間データから当日の昼
間時の平均気温、日照時間を算出する。例えば、昼間時
の平均気温は、昼間時における上記所定周期ごとの気温
の平均を取ることにより算出できる。また、昼間時の日
照時間は、昼間時における上記所定周期ごとの日照時間
を積算することにより算出できる。
【0043】生育モデルデータベース211では、稲の
品種別の生育段階推定モデルを配慮している。上記生育
段階推定モデルとしては、国内において広く用いられて
いるDVIモデルを採用する。DVIモデルによれば、
田植え後i日目の生育値DVIは、出芽日からその日ま
での生育速度DVRを積算して、
【0044】
【数1】
【0045】と記述される。ここで、図3に示すよう
に、生育速度DVRは気温が高いほど、また短日条件ほ
ど大きくなることが知られている。
【0046】処理プログラム201では、入力装置22
9より入力された各水田4−jの稲の品種に基づいて、
上記データベース211から対応する生育段階推定モデ
ルを選択する。更に、入力装置229より入力された各
水田4−jの稲の田植え日、及び処理プログラム201
にて上記算出した田植え日から当日までの昼間時におけ
る平均気温、日照時間を(数1)に代入することによ
り、各水田4−jの当日までの稲の生育段階(DVI
値)を算出する。上述のように処理プログラム201に
おいて、自動的に稲の生育段階を算出してもよいが、も
ちろん農家において稲の生育状態を観察し、生育段階
(DVI値)を処理201に代わって入力装置229か
らコンピュータ104に入力してもよい。上述のように
して、CPU221において、処理プログラム201に
より、各水田4−jの当日までの稲の生育段階の推定が
行われる。
【0047】次に、目標浸透量決定処理理プログラム2
02によって実現される、現在の稲の生育段階に応じた
適切な目標浸透量を決定する処理(2)について、図
2、図4を用いて説明する。目標浸透量データベース2
12では、稲の生育段階(DVI値)に対応した、稲の
品種別・地方別の、田植え日から収穫までの、目標浸透
量テーブル、及び当該目標浸透量データに対する許容範
囲テーブルを記憶している。
【0048】図4に、目標浸透量テーブル、及び許容範
囲テーブルの一例を示す。田植え直後では、土壌の養分
濃度も高く、土壌の還元障害も少ないため、浸透量を低
めに抑え、養分の流亡を防ぐ。有効分けつ期では地温上
昇のため浸透を増やし、無効分けつ期では、分けつを抑
制するため浸透を減らし、中干しを行う。
【0049】幼穂形成期、穂ばらみ期を通して豊熟期の
前半までは、夏期の高温のために有機物の分解が盛んで
土壌は著しい還元状態となり、各種の有害物質を生じる
ため、適度の浸透と土壌の酸化を目的とした間断灌漑を
行う。収穫期では、出穂25〜30日後を目安に落水を
行い、浸透を0にし、土壌を固め刈り取りに備える。
【0050】上記目標浸透量テーブル、及び許容範囲テ
ーブルは、過去の稲の生育データや水位・浸透量デー
タ、気象データ等に基づいて、稲の生育段階(DVI
値)から目標浸透量、及び許容範囲が特定できるよう
「低温時には目標浸透量を所定量だけ増加させる」とい
ったノウハウを組み込んでおく。また、上記テーブルは
固定ではなく、農家のオリジナリティを組み込めるよ
う、いつでも変更可能なフレキシブルなテーブルとす
る。
【0051】処理プログラム202では、処理プログラ
ム201の実行周期と同じタイミングで、以下の処理を
行う。処理プログラム202では、入力装置229より
入力された各水田4−jの稲の品種・地方に基づいて、
上記データベース212から対応する目標浸透量テーブ
ル、及び許容範囲テーブルを選択する。更に、上記処理
プログラム201より算出された各水田4−jの稲の生
育段階と、上記選択された各水田4−jの目標浸透量テ
ーブル、及び許容範囲テーブルとを比較して、各水田4
−jの適切な目標浸透量、及び許容範囲を決定する。決
定された目標浸透量、及び許容範囲は、処理プログラム
202の今回実行時から次回実行時まで有効とする。
【0052】また、コンピュータ104では、気象情報
提供システム106より、所定周期、所定時刻先までの
気象予報データを、所定タイミングごとに受信してい
る。上記目標浸透量テーブルに、例えば上記の「低温時
には目標浸透量を所定量だけ増加させる」といったノウ
ハウが対応している場合は、処理プログラム202で
は、決定された目標浸透量の有効期間(当日の所定時刻
〜次の日の該所定時刻)における気温予報データを考慮
し、決定された目標浸透量の修正を行う。上述のように
して、CPU221において、処理プログラム202に
より、各水田4−jの目標浸透量、及びその許容範囲の
決定が行われる。
【0053】次に、水田浸透量推定処理プログラム20
3によって実現される、各水田4−jの浸透量を推定す
る処理(3)について、図2、図5を用いて説明する。
コンピュータ104では、水位計1−j、給水バルブ2
−j、排水バルブ3−jより計測された各水田4−jの
水位、給水量、排水量、及び気象ロボット107より計
測された当該水田地域の雨量を、所定周期ごとに受信し
ている。処理プログラム203では、1日1回乃至数回
(例えば3時間ごと)、上記受信データを用いて、各水
田4−jの現在の浸透量の推定を行う。土壌中の浸透量
は、Darcyの法則「浸透速度は動水勾配に正比例する」
に支配され、水田4−jにおける浸透量(浸透速度)V
jは、閉鎖浸透時(負圧の土層が存在しない浸透状
態)、
【0054】
【数2】
【0055】として記述できる。ここで、土壌条件の違
いにより、浸透には閉鎖浸透と開放浸透の2つの状態が
存在しうるが、開放浸透時でも(数2)と同様の式が成
り立ち、開放浸透時に成り立つ式の方が未知変数も少な
く単純であるため、より複雑な閉鎖浸透時に的を絞って
説明を進める。
【0056】ここで、各水田4−jの水の移動に関連す
る物理量を図5に示す記号で表すことにする。通常、同
一水田地域内の各水田においては、ほぼ同一の土壌・土
層を有しており、またほほ同一の地下水位を有している
ことから、上記(数2)における合成透水係数K、全土
層厚L、地下水位H(t)は各水田4−jにおいて共通で
あると仮定できる。また同一水田地域内の各水田におい
ては、ほほ同一の気候、気温、湿度、日射、風速等)条
件下にあることから、各水田4−jの(単位面積当り
の)蒸発散量Eは共通であると仮定できる。上述のこと
から、現在までの所定期間△T(前回浸透量推定実行時
〜今回浸透量推定実行時)中の各水田4−jにおける水
収支式は、
【0057】
【数3】
【0058】として記述できる。
【0059】連立方程式(数3)において、未知変数
は、K、L、H(t)、H(t−△T)、E(t)の5個
であり、その他の変数は、コンピュータ104が計測し
ている物理量から一意かつ容易に算出できる。従って、
未知変数の個数と同じ5枚以上の水田があれば連立方程
式(数3)は求解可能となり、本実施形態では水管理の
対象水田を30枚としているため十分求解可能となる。
【0060】処理プログラム203では、所定周期ごと
に計測している各種物理量から、連立方程式(数3)を
構築し、適当な求解手法に基づいて連立方程式(数3)
の求解を行い、各水田4−jの浸透量を推定する。但
し、浸透量推定期間△T中の水田水位、及び給排水量が
完全に一致する水田が複数枚存在する場合は、該水田に
対応する(数3)の方程式が一致してしまい、連立方程
式(数3)が不定になり求解できない。
【0061】この場合、処理203プログラムでは、上
記水田に対して、後述する目標水田水位の許容範囲内に
水田水位が収まるよう給水又は排水を行い、連立方程式
(数3)が不定になるのを防止する。上述のようにし
て、CPU221において、処理プログラム203によ
り、各水田4−jの浸透量の推定が行われる。
【0062】ところで、処理プログラム203では、各
水田4−jの給水量及び排水量を計測するものと仮定し
ているが、以下の方法を用いることにより上記給排水量
は計測不要となり、更に上記給排水量は推定可能とさえ
なる。即ち、連立方程式(数3)を構成する水収支式
を、給排水を行っていない水田に対応する水収支式(給
排水量の項=0)に限定して該連立方程式(数3)の求
解を行い、各水田4−jの浸透量、合成透水係数K、全
土層厚L、地下水位(t)、蒸発散量Eを推定する。上
記推定値を、給排水を行った水田に対応する水収支式
(数3)に代入することにより、給排水量の値が推定可
能となる。なお、給排水を行っていない水田の存在は、
各水田4−jへの給排水の順序を適当に割り振ることに
より容易に実現可能となる。
【0063】ここで、本発明の大きな特徴である、上述
の水田群の浸透量推定方法の基本的考え方について説明
しておく。従来、1水田における水収支式に基づいて浸
透量を推定することは、方程式の個数より未知数(蒸発
散量、地下水位、透水係数)の個数の方が多いため、求
解不可能であった。しかしながら本発明では、対象水田
を、同一地域内に存在する複数枚の水田までに拡大する
ことにより、その求解を可能にしている。即ち、対象水
田を複数枚に増加させることで上記方程式の個数を増加
させ、更に、対象水田か何一地域内に存在することか
ら、各水田は同一土壌条件下、同一気象条件下にあると
仮定し、上記未知変数(蒸発散量、地下水位、透水係
数)は共通の値をとるとして、対象水田の増加に伴う未
知変数の増加を防止している。これにより、方程式の個
数が未知数の個数を上回るようになり、その求解を可能
としている。
【0064】次に、目標水位決定処理プログラム204
によって実現される、各水田4−jの目標浸透量に対応
する目標水田水位を決定する処理(4)について、図
2、図5を用いて説明する。処理プログラム204で
は、処理プログラム203の実行周期(浸透量推定周
期)と同じタイミングで、処理プログラム202にて算
出した各水田4−jの目標浸透量、及び許容範囲に対応
する、各水田4−jの目標水位、及び許容範囲を決定す
る。処理プログラム203の実行結果から、図5に示す
当該水田地域の土層の合成透水係数K、全土層厚L、地
下水位H(t)は全て算出されているため、上記値を
(数2)に代入すれば、(数2)は水田水位と水田浸透
量との1対1の関係を示す式となる。従って、上記各水
田4−jにおける3つの浸透量(目標浸透量、上限浸透
量、下限浸透量)を上記関係式に代入することにより、
各水田4−jの目標水位、及び許容範囲を決定する。決
定された目標水位、及び許容範囲は、処理204の今回
実行時から次回実行時まで有効とする。上述のようにし
て、CPU221において、処理プログラム204によ
り、各水田4−jの目標未位、及びその許容範囲の決定
が行われる。
【0065】次に、給排水バルブ制御処理プログラム2
05によって実現される、各水田4−jの水位を上記目
標水田水位の所定の近傍内に収めるよう、給水バルブ2
−j、排水バルブ3−jの自動制御を行う処理(5)に
ついて、図2、図6を用いて説明する。コンピュータ1
04では、水位計1−jより計測された各水田4−jの
水位を、所定周期ごとに受信している。処理プログラム
205では、上記受信データを用いて、上記水位計測周
期と同じタイミングで、各給水バルブ2−j、排水バル
ブ3−jの開閉状態を決定し、各バルブに対して開閉信
号の送信を行う。
【0066】図6は、処理プログラム205が実行する
バルブ制御処理の概要を示すフローチャートである。は
じめに、各水位計1−jより計測した最新の水田水位を
読み込み(ステップ601)、また各水田4−jの目標
水位、及びその許容範囲を、処理プログラム204にお
いて決定された最新値に更新する(ステップ602)。
【0067】次に処理プログラム205では、各水田4
−jの水位が目標水位の所定の近傍I内(目標水位±許
容範囲)に存在するように、以下に示す給排水バルブの
開放/閉鎖条件に基づいて、給水バルブ2−j、排水バ
ルブ3−jの操作を行う。
【0068】 ・給水バルブ開放条件(閉鎖から開放に移行する条
件):水田水位<目標水位−許容範囲 ・給水バルブ閉鎖条件(開放から閉鎖に移行する条
件):水田水位>目標水位 ・排水バルブ開放条件:水田水位>目標水位+許容範囲 ・排水バルブ閉鎖条件:水田水位<目標水位 即ち、水田水位が近傍Iの下限値(目標水位−許容範
囲)を下回っていればデータ伝送路105を介して、給
水バルブ2−jに開放信号を送信し、給水を実行させる
(ステップ603、604)。給水バルブ2−jでは、
コンピュータ104からのバルブ開放信号を受信し、バ
ルブを開けて給水パイプライン108から水田4−j内
に水を供給する。これにより水田4−jの水位が漸次上
昇し、水田水位が目標水位を上回るようになればデータ
伝送路105を介して、給水バルブ2−jに閉鎖信号を
送信し、給水を停止させる(ステップ605、60
6)。これにより水田4−jの水位は目標水位付近で停
止することになる。
【0069】逆に、水田水位が近傍Iの上限値(目標水
位+許容範囲)を上回っていればデータ伝送路105を
介して、排水バルブ3−jに開放信号を送信し、排水を
実行させる(ステップ607、608)。排水バルブ3
−jでは、コンピュータ104からのバルブ開放信号を
受信し、バルブを開けて水田4−jから排水パイプライ
ン109内に水を排水する。これにより水田4−jの水
位が漸次下降し、水田水位が目標水位を下回るようにな
れば、データ伝送路105を介して、排水バルブ3−j
に閉鎖信号を送信し、排水を停止させる(ステップ60
9、610)。これにより水田4−jの水位は目標水位
付近で停止することになる。上述のようにして、CPU
221において、処理プログラム205により、水田水
位が目標水位の所定の近傍I内に存在するように、給水
バルブ2−j、及び排水バルブ3−jの自動制御が行わ
れる。
【0070】上述のように、本発明の実施形態によれ
ば、水稲収量に大きな影響を及ぼす物理量として浸透量
に着目し、同一地域内の水田群では、各水田とも同一土
壌下、同一気候条件下にあるという物理現象を利用し
て、水田群の水位トレンド、給排水、雨量情報から、水
田の土壌・土層、地下水位等の状態に依存することなく
水田の浸透量を推定し、各水田の浸透量が稲の生育に応
じた適正浸透量なるよう水田水位を適切に管理すること
が可能である。
【0071】以上説明したように本発明の実施の形態に
よれば各水田において成り立つ水収支式に基づいて、地
下水位、透水係数、蒸発散量等を計測不要な未知変数と
して浸透量推定計算を行っているため、水田の土壌・土
質、地下水位、蒸発散量を把握するための特殊な計器を
用いることなく、また昼夜の別に限定されることなく、
各水田の現在の浸透量を推定できる。
【0072】また、稲の生育段階推定結果と、稲の生育
段階に対応した目標浸透量テーブルに基づいて、各水田
の適正浸透量の目標値を決定し、上記現推定浸透量との
比較を行っているため、各水田において現在の稲の生育
に応じた適正浸透が行われているか否かを判断できる。
【0073】適正浸透が行われていない水田に対して
は、上記浸透量推定計算において、浸透に影響を及ぼす
物理量(地下水位、透水係数)をも同時に把握している
ため、適正浸透量を実現するのに過不足ない目標水田水
位を算出でき、更に水田水位が上記目標水田水位に等し
くなるよう給排水バルブの操作を行っているため、各水
田の浸透量が適正浸透量になるような水管理を行うこと
ができる。
【0074】且つ、上記浸透量推定周期、即ち水管理周
期を任意の周期(例えば3時間程度の短期間)に設定で
きるため、各水田の浸透量を稲の生育期間中常に適正浸
透量に維持することができ、より緻密な水管理を行うこ
とができる。
【0075】即ち、上述の効果を総合すれば、本発明に
よれば、稲の植付から刈り取りまでの全生育期間に対し
て、各水田の浸透量を、現在の稲の生育に応じた適正浸
透量に絶え間なく維持することができるため、水稲収量
の最大化を図ることができる。
【0076】また、水田の土壌・土層の状態に応じて水
田からの浸透特性は大きく違ってくるため、全国には漏
水田や排水不良田など様々な水田が存在するが、本発明
では、上記浸透量推定計算において、土壌・土層の状態
を表すパラメータである透水係数をオンライン推定し、
該透水係数に基づいて、水田の適正浸透量管理を行って
いるため、任意の水田地域に対して適用可能な、汎用性
の高い水管理システムを構築できる。
【0077】
【発明の効果】以上の構成により、本発明においては、
特殊な計器を用いなくとも、各水田の水の浸透量を把握
することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水管理システムの実施形態を示すシス
テム構成図である。
【図2】コンピュータ内部のハード構成図及び各種処理
プログラムのブロック図である。
【図3】平均気温、日照時間と稲の生育速度との関係を
示す説明図である。
【図4】稲の生育段階に応じた目標水深テーブルの一例
を示す説明図である。
【図5】1つの水田における水収支の関係を示す説明図
である。
【図6】給排水バルブ制御の概要を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
1−j…水位計、2−j…給水バルブ、3−j…排水バ
ルブ、4−j…水田、104…コンピュータ、105…
データ伝送路、106…気象情報提供システム、107
…気象ロボット、108…給水パイプライン、109…
排水パイプライン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 敏文 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 大内 信秀 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 棟方 研 東京都港区虎ノ門3丁目18番19号虎ノ門マ リンビル10階 生物系特定産業技術研究推 進機構内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数区画からなる水田に対する水管理を行
    う水田群の水管理方法において、 上記水田の存在する水田地域の雨量を把握し、上記各水
    田の水位を水位計により計測しと、各水田に給水および
    排水を給排水装置により行い、各水田の浸透量の目標値
    およびその許容範囲を決定し、上記把握された雨量およ
    び各水田の水位に基づいて、所定アルゴリズムに従って
    各水田の浸透量を推定し、上記推定された浸透量の目標
    値の許容範囲に収まるように前記給排水装置を動作させ
    ることを特徴とする水田群の水管理システム。
  2. 【請求項2】複数区画からなる水田に対する水管理を行
    う水田群の水管理システムにおいて、 上記水田の存在する水田地域の雨量を把握する手段と、
    上記各水田の水位を計測する水位計と、各水田に給水お
    よび排水を行う給排水装置と、各水田の浸透量の目標値
    およびその許容範囲を決定する目標浸透量決定手段と、
    上記把握された雨量および各水田の水位に基づいて、所
    定アルゴリズムに従って各水田の浸透量を推定する浸透
    量推定手段と、上記推定された浸透量の目標値の許容範
    囲に収まるように前記給排水装置を動作させる制御手段
    とを有することを特徴とする水田群の水管理システム。
  3. 【請求項3】複数区画からなる水田に対する水管理を行
    う水田群の水管理システムにおいて、 上記水田の存在する水田地域の雨量を把握する手段と、
    上記各水田の水位を計測する水位計と、各水田に給水お
    よび排水を行う給排水装置と、各水田の浸透量の目標値
    およびその許容範囲を決定する目標浸透量決定手段と、
    上記把握された雨量および各水田の水位に基づいて、所
    定アルゴリズムに従って各水田の浸透量を推定する浸透
    量推定手段と、上記推定された浸透量の目標値の許容範
    囲に収まるように各水田の目標水位及びその許容範囲を
    決定する目標水位決定手段とを有することを特徴とする
    水田群の水管理システム。
  4. 【請求項4】請求項2または3に記載の水田群の水管理
    システムにおいて、 前記所定アルゴリズムは、各水田に対して成り立つ水収
    支式において、蒸発散量、及び地下水位、透水係数等の
    浸透に影響を及ぼす物理量が上記各式とも共通の値を取
    ると仮定して、上記水収支式を連立して解くことにより
    各水田の浸透量を算出することを特徴とする水田群の水
    管理システム。
  5. 【請求項5】請求項2または3に記載の水田群の水管理
    システムにおいて、 前記所定の目標量及びその許容範囲は、稲の生育段階又
    は日付と、該当希稲種の目標浸透量及びその許容範囲と
    の対応関係を記録したテーブルに基づいて決定すること
    を特徴とする水田群の水管理システム。
  6. 【請求項6】請求項2または3に記載の水田群の水管理
    システムにおいて、 水田地域の気温、水温、湿度、日射豊、日照時間等の気
    象情報を把握するための手段を有し、 前記所定の目標量及びその許容範囲は、稲の生育段階又
    は日付と、該当稲種の目標浸透量及びその許容範囲との
    対応関係を記録したテーブルに基づいて決定し、上記目
    標浸透量又はその許容範囲は、上記把握された気象情報
    に基づいて所定量だけ修正することを特徴とする水田群
    の水管理システム。
  7. 【請求項7】請求項3に記載の水田群の水管理システム
    において、 前記目標水位決定手段は、各水田に対して成り立つ水収
    支式において、蒸発散量、及び地下水位、透水係数等の
    浸透に影響を及ぼす物理量が上記各式とも共通の値を取
    ると仮定し、上記水収支式を連立して解くことにより上
    記物理量の値を算出し、上記算出された物理量の値及び
    前記決定された浸透量の目標値及び浸透量の上下限値を
    上記各水田ごとの水収支式に代入して解くことにより、
    前記各水田の目標水位及びその許容範囲を決定すること
    を特徴とする水田群の水管理システム。
  8. 【請求項8】複数区画から水田地域における水田群の水
    管理を行うためのコンピュータ読み取り可能な媒体にお
    いて、 上記水田地域の雨量を把握させる機能と、上記各水田に
    設置された水位計からの水位計測値を把握させる機能
    と、各水田の浸透量の目標値及びその許容範囲を決定さ
    せる目標浸透量決定機能と、上記把握された雨量及び各
    水田の水位に基づいて、所定のアルゴリズムに従って各
    水田の浸透量を推定させる浸透量推定技能と、上記推定
    された浸透量が上記浸透量の目標値の許容範囲内に収ま
    るように各水田に設置された給排水装置を動作させる制
    御機能と、を実行させるためのプログラムを記録したこ
    とを特徴とするコンピュータ読み取り可能な媒体。
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