JPH11344424A - 標準試料作製方法および標準試料 - Google Patents

標準試料作製方法および標準試料

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JPH11344424A
JPH11344424A JP10150958A JP15095898A JPH11344424A JP H11344424 A JPH11344424 A JP H11344424A JP 10150958 A JP10150958 A JP 10150958A JP 15095898 A JP15095898 A JP 15095898A JP H11344424 A JPH11344424 A JP H11344424A
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contaminated
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JP10150958A
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Motoyuki Yamagami
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Rigaku Corp
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Rigaku Industrial Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウェハ上の一部にのみ汚染物質が存在し、複
雑な設備は必要とせずに簡単な作製方法でありながら、
正しく蛍光X線の強度測定を行うことができる標準試料
作製方法および標準試料を提供する 【解決手段】 汚染物質3を水よりも表面張力が小さく
沸点が低い溶媒で希釈してなる汚染液4を試料表面2に
滴下し、この汚染液4を乾燥することにより標準試料1
を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンウェハ表
面の極微量元素を正確に測定する金属汚染分析、または
装置の劣化を調べるための装置定数測定等に使用する標
準試料の作製方法および標準試料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリコンウェハ等のウェハ上に存在する
金属不純物は、電気的特性に大きな影響を与えることは
良く知られている。したがって、この金属不純物を低減
する必要があり、特に半導体の高集積化に伴い、信頼性
の高いデバイスを製造するためにはウェハ表面の極微量
元素を正確に測定し、管理していくことが要求されてい
る。
【0003】ウェハ表面の極微量不純物の検出方法とし
ては、原子吸光分析法以外には全反射蛍光X線分析法が
一般的に用いられており、再現性良く極微量元素を正確
に定量するためには、低濃度であって任意の濃度に定量
汚染されている標準試料が必要とされる。
【0004】また、装置の状態、つまり装置の劣化の程
度を調べるために標準試料を用いることがある。表面が
汚染された標準試料の一点に一定時間、劣化の程度を調
べる装置、例えば全反射蛍光X線装置から一次X線を照
射して、標準試料から発生する蛍光X線の強度を測定
し、一定期間の経過後に再び同一の装置で同一の強度測
定を行う。これを繰り返すことによって、標準試料から
発生する蛍光X線の強度が最初の測定に比べてどれだけ
減少しているかを検査すれば、この全反射蛍光X線装置
の劣化の程度を調べることができる。
【0005】従来、蛍光X線分析に用いられる標準試料
の作製方法には、(1)滴下法(マイクロドロップ
法)、(2)スピンコート法、(3)浸漬法等がある。
(1)の滴下法は、一定量の金属塩水溶液、つまり汚染
液をウェハ上に滴下し、その液滴を乾燥させて、一定量
の汚染金属塩、つまり汚染物質をウェハ表面の一点に集
中させて付着させる方法である。金属塩水溶液は、原子
吸光用標準液を純水で希釈することにより作製される。
この方法は特別の装置等を必要としないため、簡単かつ
容易に標準試料を作製することができる。(2)のスピ
ンコート法は、図7(a)に示すように、スピンコータ
100上のウェハ101の表面102上に汚染金属塩の
汚染物質103を含む金属塩水溶液の汚染液104を滴
下し、その状態でスピンコータ100を一定回転し、汚
染液104を乾燥して図7(b)に示すように汚染物質
103をウェハ101の表面102に均一に付着させる
方法である。この方法では、汚染領域106はウェハ1
01の表面102全体となる。(3)の浸漬法は、ウェ
ハを一定濃度の汚染物質の希釈液の中に一定時間浸して
おき、取り出して乾燥させることで、汚染物質をウェハ
表面に均一に付着させる方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】(2)のスピンコート
法は、図7(a),(b)のスピンコータ100の回転
によって汚染物質をウェハ表面に付着させることができ
るが、汚染物質は必ずウェハ全面に付着されてウェハ表
面の一部にのみ付着させることができない。したがっ
て、例えば濃度の異なる複数の汚染物質が存在する標準
試料を作製する場合、それぞれの濃度の汚染物質を付着
させるための複数のウェハを用意する必要がある。ま
た、スピンコータ100が必要であるため、簡便な方法
とは言えない。
【0007】(3)の浸漬法は、スピンコート法と同様
に汚染物質は必ずウェハ全面に付着されてウェハ表面の
一部にのみ付着させることができないため、濃度の異な
る汚染物質を付着させるためには複数のウェハを用意す
る必要がある。また、付着量が汚染液中の化学平衡に依
存しているので、複数の元素を均一に付着させることは
困難である。さらに、多量の超純粋や超純度試薬が必要
であり、作製には多くの費用がかかる。
【0008】(1)の滴下法は、特別の装置等を必要と
しないため、簡単かつ容易に標準試料を作製することが
できる。しかし、この滴下法では、金属塩水溶液の汚染
液が純水で希釈化されおり、図8(a)に示すように標
準試料の基であるウェハ101の表面102上に汚染物
質103を含む汚染液104をマイクロピペット105
で滴下すると、ウェハ101の表面102が疎水性の場
合、汚染液101は水滴状態となり、乾燥後は、図8
(b)に示すように、ウェハ101の表面102のごく
狭い領域106に汚染物質103が集中した標準試料が
作製されてしまう。したがって、蛍光X線分析を行う
と、マイクロピペット105によって滴下した点滴位置
が検出器中心、つまり検出器によって蛍光X線が最も効
率よく検出される試料上の位置からわずかにずれるだけ
で蛍光X線の強度が変化してしまい、標準試料の蛍光X
線の強度を測定することによって作成する検量線が不正
確なものになってしまう場合が多い。また、蛍光X線装
置の劣化の程度の検査においても、正確な蛍光X線の強
度を測定できないため、正しく装置の劣化の程度を把握
できない。
【0009】一方、図9(a)に示すように、標準試料
の基であるウェハ101の表面102が親水性の場合、
汚染液104は、ウェハ101の表面102上である程
度広がるが、希釈する水の沸点が高いために乾燥に時間
がかかると、図9(b)に示すように、乾燥途中の徐々
に小径となる汚染液104に汚染物質103が追随して
しまい、結果として、図9(c)に示すように、ウェハ
101の表面102のごく狭い領域106に汚染物質1
03が集中することになる。この汚染物質103が集中
するごく狭い領域106は所定の位置になるとは限ら
ず、試料位置を予め設定しておいても、汚染物質103
が集中する領域106がその設定位置からずれてしまう
ことが多い。また、汚染液104が乾燥されると汚染物
質103の乾燥痕となるが、所定の形状になるとは限ら
ず、再現性が悪いために、正確に蛍光X線の強度を測定
できなくなる。したがって、標準試料の蛍光X線の強度
を測定することによって作成する検量線は不正確になる
ことが多く、また、蛍光X線装置の劣化の程度の検査に
おいても、正しく劣化の程度を把握できない。
【0010】そこで本発明は、ウェハ上の一部にのみ汚
染物質が存在し、複雑な設備は必要とせずに簡単な作製
方法でありながら、正しく蛍光X線の強度測定を行うこ
とができる標準試料作製方法および標準試料を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の標準試料作製方法は、汚染物質を水よりも
表面張力が小さく沸点が低い溶媒で希釈してなる汚染液
を試料表面に滴下し、この汚染液を乾燥することにより
標準試料を作製する。この構成によれば、複雑な設備を
必要としないため、簡単に標準試料を作製することがで
きる。また、汚染物質を水よりも表面張力が小さい溶媒
で希釈するため、試料表面に滴下した汚染液は試料表面
上で薄く広がる。さらに、汚染物質を水よりも沸点が低
い溶媒で希釈するため、試料表面に滴下した汚染液を乾
燥すると、短い時間で乾燥され、汚染元素が試料表面の
ごく狭い領域に集中することなく試料表面に残される。
【0012】本発明の標準試料は、本発明の標準試料作
製方法によって作製された標準試料であって、単一の前
記試料表面の一部にX線分析における分析視野以上の領
域にわたって汚染物質を含む汚染領域が一または二以上
存在する。この構成によれば、X線分析における分析視
野以上の領域にわたって汚染領域が存在して一点に集中
していないので、試料表面に滴下された汚染液の位置、
つまり点滴位置が検出器中心からわずかにずれても測定
する蛍光X線の強度が大きく変化してしまうことはほと
んどなく、標準試料としての信頼性が高い。また、汚染
領域が二以上存在する場合、各汚染領域の濃度や汚染物
質が異なれば、それぞれが異なる標準試料の役割を果た
すので、単一の標準試料でありながら、あたかも複数の
標準試料のように用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施形態にか
かる標準試料およびその作製方法を図面にしたがって説
明する。まず、目的元素、例えばNi(ニッケル)の原
子吸光用標準液を所定の濃度になるように正確に高純度
イソプロピルアルコール(2−プロパノール)の溶媒で
希釈し、図1(a)に示すNiの金属不純物を含む汚染
液4を作製する。標準試料における汚染物質3の濃度
は、滴下量と汚染液の濃度により決定されるので、例え
ば1013atoms/cm2 の標準試料を作製するため
には、希釈するイソプロピルアルコールの量を調節する
ことが必要である。ここで、イソプロピルアルコールの
表面張力は21.4dyn/cmで水の表面張力72.8dyn/
cmよりも小さく、沸点は82.4°Cであり、水の沸点
100°Cよりも低い。
【0014】標準試料の基となるシリコンウェハ1の表
面2は、自然酸化膜を有する親水性の表面である。この
表面2にマイクロピペット5で100μリットル正確に
採取した金属不純物3を含む汚染液4を滴下すると、汚
染液4はシリコンウェハ1の表面2上で直径約50mm
の円形状に広がる。イソプロピルアルコールの表面張力
は水の表面張力よりも小さいため、イソプロピルアルコ
ールで希釈した汚染液4は、水で希釈する場合よりも広
範囲に広がる。また、滴下する汚染液4の量は、上記の
ように標準試料の濃度を決定する一つの要因であるた
め、マイクロピペット5で正確に採取して滴下する必要
がある。
【0015】次に、この汚染液4を自然乾燥すると、イ
ソプロピルアルコールの沸点が低いために汚染液4は瞬
時に乾燥され、図1(b)に示すように、汚染物質3が
汚染液4に追随することができずにシリコンウェハ1の
表面2上に残される。したがって、図1(c)に示すよ
うに、汚染液4が完全に乾燥された後のシリコンウェハ
1の表面2上には、汚染物質3が円形状に広がった汚染
領域6ができ,汚染領域がシリコンウェハ1の表面2上
のごく狭い領域に集中することはない。
【0016】図2(a)に、イソプロピルアルコールで
希釈した汚染液で作製した試料の中央部のX軸方向10
mmおよびY軸方向10mmの平面内のX軸方向および
Y軸方向の1mm間隔ごとの位置における蛍光X線強度
を示し、図2(b)に、純水により希釈した汚染液で作
製した試料のX軸方向12mmおよびY軸方向12mm
の平面内のX軸方向およびY軸方向の1mm間隔ごとの
位置における蛍光X線強度を示す。純水で希釈する試料
の作製方法は、イソプロピルアルコールで希釈する場合
と同様であるが、希釈する溶媒の種類と量が異なる。
【0017】図2(b)の純水で希釈した場合は、平面
内の位置に対する蛍光X線の強度が中心部では大きく、
周辺部では低い山形状であり、汚染液を乾燥した乾燥痕
は、中心に集まっていることがわかる。一方、図2
(a)のイソプロピルアルコールで希釈した場合は、平
面内の位置に対する蛍光X線の強度はほぼ等しく、汚染
液を乾燥した乾燥痕は、均一に広がっていることがわか
る。この結果から、水よりも表面張力が小さく沸点が低
いイソプロピルアルコールで希釈した汚染液を使用した
標準試料では、マイクロピペット5によって滴下した点
滴位置が、検出器中心、つまり検出器によって蛍光X線
の強度が検出される試料上の位置からわずかにずれて
も、発生する蛍光X線の強度がほとんどずれないといえ
る。
【0018】図2(a)のX軸方向10mmおよびY軸
方向10mmの平面内における各位置の蛍光X線強度に
ついて以下に説明する。図3に、図2(a)のX軸方向
10mmおよびY軸方向10mmの平面を頂点P0,P
1,P2,P3で示す。蛍光X線の強度を検出できる試
料上の領域は、強度を検出する検出器ののぞき角(通常
は絞りの径)の大きさによって制限される。図2(a)
に結果を示す蛍光X線強度の測定においては、X線分析
における分析視野、つまり検出器が検出できる試料上の
領域は直径約20mmである。したがって、頂点P0の
蛍光X線の強度とは、位置P0を中心とした半径10m
mの円周RP0内から発生する蛍光X線の強度である。
同様に、他の頂点P1,P2,P3の蛍光X線の強度と
は、円周RP1,RP2,RP3内から発生する蛍光X
線の強度である。したがって、図2(a)に示すように
10mm×10mmの平面内における蛍光X線の強度が
ほぼ均一であることは、少なくとも図3の円周RP0,
RP1,RP2,RP3が囲む領域内では蛍光X線の強
度がほぼ均一であることを意味する。
【0019】頂点P0,P1間、頂点P1,P2間、頂
点P2,P3間、および頂点P3,P0間の距離はそれ
ぞれ10mmであるため、本発明の第1実施形態の標準
試料1では、円周RP0,RP1,RP2,RP3に囲
まれた汚染領域は、R0を中心とし半径が(5+5√
3)mmである円周RA内よりも大きく、つまり少なく
とも直径約27mmの円形状の領域にわたって汚染物質
が広がっている。したがって、図2(a)に示すよう
に、10mm×10mmの平面内における蛍光X線の強
度がほぼ均一であれば、少なくとも直径約27mmの領
域にわたっては汚染物質が広がっているといえる。この
ようにX線分析における分析視野以上、つまり図2
(a)に示す蛍光X線強度の検出においては20mm以
上の領域にわたって汚染領域が存在していれば、点滴位
置が検出器中心からわずかにずれても測定する蛍光X線
の強度が大きく変化してしまうことはほとんどないた
め、この標準試料の信頼性は高い。図2(a)に示す蛍
光X線強度の測定においては分析視野は20mmである
が、全反射蛍光X線分析であっても10mmまたは5m
m程度の分析視野とすることも可能である。これらの場
合も、分析視野以上の領域にわたって汚染領域が存在し
ていれば、点滴位置が検出器中心からわずかにずれても
測定する蛍光X線の強度が大きく変化してしまうことは
ほとんどない。
【0020】また、装置の劣化の程度を測定するには、
ウェハ上の全面に汚染物質が付着している必要はなく、
汚染物質の濃度測定に必要なある程度の範囲内を汚染物
質が均一に分布していればよいので、複雑な設備を必要
としない簡単な本発明の作製方法が特に有用である。
【0021】尚、イソプロピルアルコールには除電効果
があり、シリコンウェハ表面の電荷を汚染液に移動させ
るため、汚染物質を付着させると同時にシリコンウェハ
の表面が帯電している場合には、除電することができ
る。
【0022】可溶性金属塩標準液を希釈する溶媒は、水
よりも表面張力が小さく、沸点が低ければよく、プロピ
ルアルコール(1−プロパノール)(表面張力23.7
dyn/cm,沸点97.2°C)、メタノール(表面張力2
2.5dyn/cm,沸点64.7°C)、エタノール(表面
張力22.6dyn/cm,沸点78.3°C)、アセトン
(表面張力23.3dyn/cm,沸点56.3°C)または
クロロホルム(表面張力27.2dyn/cm,沸点61.2
°C)等でもよい。
【0023】本発明の第1実施形態の標準試料は、汚染
物質を1013atoms/cm2 の濃度で含むが、希釈
する溶媒の量または汚染液の量を変えて濃度を変化させ
てもよい。
【0024】本発明の第1実施形態では、汚染液の乾燥
方法は自然乾燥としたが、遠赤外線等によって乾燥させ
てもよい。
【0025】図4(a)に本発明の第1実施形態にかか
る標準試料作製方法によって作製した滴下金属量に対す
る蛍光X線強度を測定して作成した検量線を示す。図4
(a)に示す滴下金属量が0.1ngから100ngの
範囲内においては、滴下金属量に対して蛍光X線の強度
は比例しており、標準試料の信頼性が高いことを示して
いる。また、図4(b)には、金属不純物をCu
(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Mn
(マンガン)の混合物とした場合のそれぞれの滴下金属
量に対する蛍光X線強度を示す。図4(b)に示す滴下
金属量が0.1ngから100ngの範囲内において
は、それぞれの滴下金属量に対して蛍光X線の強度は比
例しており、標準試料の信頼性が高いことを示してい
る。
【0026】図5に、本発明の第1実施形態にかかる標
準試料作製方法によって、5枚のシリコンウェハそれぞ
れに同一の汚染液を同一量だけ滴下して自然乾燥し、5
つの標準試料を作製して蛍光X線強度を測定して作成し
た検量線を示す。この測定結果は、5つの標準試料にお
いて測定された蛍光X線強度はほぼ等しく、本発明にか
かる標準試料の再現性がよいことを示している。
【0027】次に、本発明の第2実施形態を図6にした
がって説明する。本発明の第2実施形態にかかる標準試
料およびその作製方法においては、第1実施形態と同様
に、まず、金属不純物を含む汚染液を作製する。ここ
で、第1実施形態との相違点は、目的元素の原子吸光用
標準液を希釈するイソプロピルアルコールの量を変えた
4種類の濃度の汚染液4a,4b,4c,4dを作製す
ることである。したがって、同量の汚染液4a,4b,
4c,4dのそれぞれに含まれる汚染物質3a,3b,
3c,3dの量、つまり濃度は異なる。
【0028】次に、シリコンウェハ1の表面2を4等分
した分割部2a,2b,2c,2dの各中心部にマイク
ロピペット5(図1(a))で100μリットル正確に
採取した汚染液4a,4b,4c,4dをそれぞれ滴下
すると、汚染液4a,4b,4c,4dはシリコンウェ
ハ1の表面2の分割部2a,2b,2c,2dで円形状
に広がる。イソプロピルアルコールの表面張力は水の表
面張力よりも小さいために汚染液4a,4b,4c,4
dは広範囲に広がるが、2a,2b,2c,2dの各中
心部はそれぞれの汚染液が接触することがない程度に十
分に距離を隔てているため、各汚染液は接触しない。
【0029】次に、この汚染液4a,4b,4c,4d
を乾燥させて標準試料を作製する。この標準試料におい
て各汚染物質3a,3b,3c,3dから発生する蛍光
X線の強度を図7に示す。同図の棒グラフの高さは、各
辺がX軸とY軸のそれぞれに沿った1辺10mmの正方
形の各汚染領域6a,6b,6c,6dそれぞれにおい
て、X軸方向およびY軸方向に5mm間隔で9箇所、つ
まり、1辺10mmの正方形の4隅、中心、および各辺
の中点の合計9点について測定した蛍光X線の強度を示
し、この強度は対数表示である。汚染領域6aにおける
X軸方向10mmおよびY軸方向10mmの平面内の9
箇所の蛍光X線強度Ia1,Ia2,Ia3,Ia4,
Ia5,Ia6,Ia7,Ia8,Ia9の強度はすべ
てほぼ同一であり、図3で説明したように、汚染領域6
aは直径約27mm以上広がって、信頼性が高い標準試
料であることを示している。同様に、汚染領域6b,6
c,6dそれぞれにおける9箇所の蛍光X線強度もすべ
てほぼ同一であり、汚染領域6b,6c,6dも直径約
27mm以上広がって、信頼性が高い標準試料であるこ
とを示している。したがって、この試料1は、汚染領域
6a,6b,6c,6dによって4種類の濃度の標準試
料としての役割を果たす。
【0030】この第2実施形態では、4種類の濃度の汚
染液4a,4b,4c,4dの場合を示したが、ウェハ
1の表面2上の各汚染液が接触しなければ、何種類の濃
度の汚染液をウェハ1の表面2上に滴下してもよい。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明の標準試料作製方
法によれば、汚染物質を水よりも表面張力が小さく沸点
が低い溶媒で希釈してなる汚染液を試料表面に滴下し、
この汚染液を乾燥することにより標準試料を作製するの
で、複雑な設備を必要とせず簡単に標準試料を作製する
ことができる。また、汚染物質を水よりも表面張力が小
さい溶媒で希釈するため、試料表面に滴下した汚染液は
試料表面上で薄く広がる。さらに、汚染物質を水よりも
沸点が低い溶媒で希釈するため、試料表面に滴下した汚
染液を乾燥すると、短い時間で乾燥され、汚染元素が試
料表面のごく狭い領域に集中することなく試料表面に残
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる標準試料の作製
工程を示す縦断面図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態にかかる標準試
料の蛍光X線強度分析図であり、(b)は従来の標準試
料の蛍光X線強度分析図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる標準試料の蛍光
X線強度分析の説明図である。
【図4】(a)は本発明の第1実施形態にかかる標準試
料の検量線図であり、(b)は本発明の第1実施形態に
かかる標準試料の金属不純物をCu,Ni,Co,Mn
の混合物とした検量線図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる標準試料作製方
法によって同一条件で作製された5つの標準試料の検量
線図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる標準試料の平面
図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる標準試料の蛍光
X線強度分析図である。
【図8】(a)および(b)は、従来のスピンコート法
による標準試料の作製工程を示す縦断面図である。
【図9】従来の標準試料の作製工程を示す縦断面図であ
る。
【図10】従来の標準試料の作製工程を示す縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1…標準試料、2…試料表面、3…汚染物質、4…汚染
液、6…汚染領域。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚染物質を水よりも表面張力が小さく沸
    点が低い溶媒で希釈してなる汚染液を試料表面に滴下
    し、 この汚染液を乾燥することにより標準試料を作製する標
    準試料作製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の標準試料作製方法によ
    って作製された標準試料であって、単一の前記試料表面
    の一部にX線分析における分析視野以上の領域にわたっ
    て汚染物質を含む汚染領域が一または二以上存在する標
    準試料。
JP10150958A 1998-06-01 1998-06-01 標準試料作製方法および標準試料 Pending JPH11344424A (ja)

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