JP2001223251A - 石英中に含有される金属の分析方法 - Google Patents
石英中に含有される金属の分析方法Info
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Abstract
含有される金属の分析方法を提供する。 【解決手段】 石英試料片1をフッ酸中に浸漬して所定
の深さに位置する被分析層を露出させ、露出面にフッ酸
や硝酸などの分解液2を滴下して極薄い被分析層の厚さ
分だけ分解させ、分解液2を回収する。分解液2を原子
吸光分析法(AAS)などにより定量分析して分解液2
中に含まれる金属量を測定する。分解前後の石英試料の
厚さの差と滴下した分解液2の面積とから分解した被分
析層の体積を求め、前記分解液2に含まれている金属量
とから前記被分析層の含有金属濃度、ひいては前記被分
析層の拡散係数を算出する。
Description
り、更に詳細にはシリコンウエハなどの半導体基板を熱
処理する処理装置を構成する石英製品に含まれる金属含
有量を定量分析する分析方法に関する。
処理装置では、複数枚の半導体ウエハを略水平に保持し
た状態で熱処理装置に収容し、熱処理装置内のヒータで
加熱する構造となっている。図7は代表的な熱処理装置
の概略構成を示した垂直断面図である。
ウエハが熱処理装置内に収容されている。熱処理装置内
では略円筒形の石英ガラス炉心管が配設されており、半
導体ウエハはこれらを略水平に保持するウエハーポート
と共に前記石英ガラス炉心管内に収容され、略真空に保
たれた状態で、石英ガラス炉心管を包囲するように配設
されたヒータからの熱で加熱処理される。
を構成する部材には金属製の部材もあり、加熱の際に当
該金属性部材から金属原子が熱拡散などにより石英製品
の表面に付着する。
品内部方向に拡散する。特に石英製品が石英ガラス炉心
管の場合、石英中を拡散した金属原子が石英ガラス炉心
管内部の熱処理中の半導体ウエハに付着することによ
り、いわゆるコンタミネーションとなり半導体ウエハの
不良発生の原因となる。
前記銅の拡散、汚染と関係があると考えられるため、石
英ガラス炉心管を形成する石英材料の物性や組成を管理
する必要がある。特に、石英ガラス中を銅などの金属原
子が拡散するときの拡散係数が汚染物質の移動速度を把
握する上での指標となるため、この拡散係数を正確に把
握することが重要である。
カーから提供される、石英ガラス管炉心管を構成する石
英材料についての拡散係数データは各メーカーごとにば
らつきが大きく、比較するメーカーどうしの間では最大
105倍程度もの差が見られるため、製品石英ガラス炉
心管の品質をメーカー側から提供された拡散係数データ
で判断することは現実的でないという問題がある。
炉心管の拡散係数はSIMS法(二次イオン質量分析
法)や光学的方法によるが、SIMS法では、検出下限
が4.8ppmと低く、また分析領域(深さ)も200
μm程度と小さく、測定能力が低い、測定精度が低い、
などの問題がある。
mmと厚すぎ、検出下限も10ppbであり、測定能
力、測定精度ともに十分満足できるものではなかった。
決するためになされた発明である。
も高い、石英中に含有される金属の分析方法を提供する
ことを目的とする。
英試料の所望の深さの被分析層の表面を露出させる工程
と、前記石英試料の厚さを測定する工程と、前記被分析
層を化学的に分解して分解物を得る工程と、前記化学的
に分解された後の石英試料の厚さを測定して前記被分析
層の厚さを求める工程と、前記分解物と前記被分析層の
厚さとから前記被分析層中に含まれる金属含有量を求め
る工程と、を具備する。
面を露出させる工程としては、前記石英試料表面をフッ
酸(HF)でエッチングする工程を挙げることができ
る。
を得る工程として、前記露出した被分析層表面に分解液
を滴下する工程と、前記被分析層表面に分解液を所定時
間保持せしめ、前記被分析層を分解して分解液を形成す
る工程と、前記分解液を回収する工程と、前記回収した
分解液中の金属量を定量分析する工程と、を具備する工
程を挙げることができる。
て、フッ酸(HF)単独、又は、硝酸、塩酸、硫酸、及
び、過酸化水素からなる群から選択される一又はニ以上
とフッ酸(HF)との混合液を挙げることができる。
する工程として、原子吸光分析法(AAS)、ICP―
AES(誘導結合プラズマ原子発光分析法)、又はIC
P―MS(誘導結合プラズマ質量分析法)により行なわ
れる工程を挙げることができる。
の深さに位置する被分析層の表面を露出させる第1の工
程と、前記石英試料の厚さを測定する第2の工程と、前
記被分析層を化学的に分解して分解物を得る第3の工程
と、前記化学的に分解された後の石英試料の厚さを測定
して前記被分析層の厚さを求める第3の工程と、前記分
解物と前記被分析層の厚さとから前記被分析層中に含ま
れる金属含有量を求める第4の工程と、前記被分析層の
更に厚さ方向内側に隣接する被分析層の表面を露出させ
る第5の工程と、前記第2の工程〜前記第5の工程を繰
り返すことにより前記石英試料の厚さ方向の金属分布を
求め、それにより前記石英試料の拡散係数を求めること
を特徴とする。
び第5の工程として、前記石英試料表面をフッ酸(H
F)でエッチングする工程を挙げることができる。
得る第3の工程として、前記露出した被分析層表面に分
解液2を滴下する工程と、前記被分析層表面に分解液を
所定時間保持せしめ、前記被分析層を分解して分解液を
形成する工程と、前記分解液を回収する工程と、前記回
収した分解液中の金属量を定量分析する工程と、を具備
する工程を挙げることができる。
て、フッ酸(HF)単独、又は、硝酸、塩酸、硫酸、及
び、過酸化水素からなる群から選択される一又はニ以上
とフッ酸(HF)との混合液を挙げることができる。
工程として、原子吸光分析法(AAS)、ICP―AE
S(誘導結合プラズマ原子発光分析法)、又はICP―
MS(誘導結合プラズマ質量分析法)により行なわれる
工程を挙げることができる。
薄い被分析層に分け、被分析層毎に化学的に分析するの
で、高精度の分析結果が得られ、信頼性の高い拡散係数
を求めることができる。
って隣接する多数の断層状に区切り、各層毎に化学的に
分析するので金属原子の拡散する様子を詳細に検証する
ことができ、それにより高精度の拡散係数を求めること
ができる。
を露出させたり、分解液により石英試料の極表面のみを
分解して分析するので、任意の深さの非常に薄い分析層
単位で分析することができ、石英試料中の拡散係数の分
布を厚さ方向に分析することができる。
保持させるので容器などからの汚染物の混入を最小限に
抑えることができ、高精度の分析ができる。
ついて説明する。図1は本実施形態に係る分析方法のフ
ローを示したフローチャートであり、図2は同方法を実
施する様子を模式的に示した図である。
たり、まず矩形又は正方形の試料片1を用意し、この試
料片1を表面処理液、例えばフッ酸(HF)中に浸漬し
て試料片1の表面をエッチングして被分析層としの層、
例えば試料片1の表面から10μmの深さの層の表面を
露出させる(ステップ1)。このときにエッチングする
層の厚さは使用するフッ酸などの処理液の濃度やエッチ
ングを行なう時間、温度などの条件を適宜調節すること
により制御できる。
浄して乾燥させた後、試料片1の厚さを測定する(ステ
ップ2)。この厚さ測定にはマイクロメーターや電磁波
を用いた各種既知の測定方法で測定すれば良い。このと
きの厚さを例えばdnとして記録しておく。
例えばフッ酸と硝酸との混合液を滴下する(ステップ
3)。このときの分解液2はフッ酸単独でもよく、フッ
酸と他の酸、例えば硝酸、塩酸、硫酸等を混合したもの
でもよく、フッ酸と過酸化水素とを混合したものでも良
い。石英中の金属原子の溶存性の点を考慮するとフッ酸
と硝酸との混合液を用いるのが好ましい。
率などは例えば試料片1の石英の表面を30分程度で1
0μmずつ分解していくのに適切な値に調節するのが好
ましい。
度で保持し、石英試料片1表面が極薄い層、例えば厚さ
が10μm程度の層だけ分解させる(ステップ4)。こ
のとき、分解液2は分解液2自身の表面張力により試料
片1上に保持されるので蓋や容器などは不要である。そ
のため、この分解時に分解液2が容器に付着した物質に
より汚染されたり、蓋に付着して分解液2の量が変動す
ることがない。また分解液2が広がる面積Sを測定する
か、予め面積が既知Sの範囲に分解液2が広がるように
して保持する。
は設計事項であるが、例えば30分程度で石英表面が1
0μm程度分解されるように調節するのが好ましい。
ら、分解液2を回収する(ステップ5)。
けて、分解液2中に含まれる金属、例えば銅の含有量を
分析する(ステップ6)。このときに用いる定量分析装
置はどのような装置を用いても良いが、代表的には例え
ば原子吸光分析(AAS)装置やICP―AES(誘導
結合プラズマ原子発光分析法)、或いはICP−MS
(誘導結合プラズマ質量分析法)を用いることができ
る。このときに得た金属量を例えばCnとして記録す
る。
英試料片1の厚さを前記ステップ2と同様の方法により
測定する(ステップ7)。このときの試料片1の厚さを
dn +1として記録する。
記被分析層の金属濃度を算出する(ステップ8)。即
ち、ステップ2で求めた試料片1の厚さdnとステップ
7で求めた試料片1の厚さをdn+1とから被分析層の
厚さが求められ、それにステップ4で求めた面積Sを積
算することにより被分析層の体積Vnが求められる。こ
の体積Vn中にステップ6で求めた量Cnの金属が含ま
れているので、被分析層中に含まれる金属濃度はCn/
Vnで与えられる。
層の拡散係数Dは、Fickの第2法則、∂C/∂t=
D・∂2C/∂X2から、lnC=−X2/4Dt+Aと
して与えられる。(式中、C:深さXでの濃度[atoms/
cm3],D:拡散係数[cm2/s],X:深さ[cm],t:
拡散時間[s],A:定数)こうして得られた拡散係数を
Dnとして記録する(ステップ9)。
として定量分析する必要があるか否かを判断する(ステ
ップ10)。更に定量分析する必要がある場合には、ス
テップ1に戻り、更にフッ酸を用いて内側の層について
も上記と同様にステップ1〜9の操作を繰り返して拡散
係数Dn+1を求める。
返すことにより、石英試料片1の外側から内側に向けて
約10μm程度の厚さに薄い被分析層を形成しながら、
それぞれの拡散係数D1,D2,D3,…,Dn,D
n+1,Dn+2,…DX.を求めて記録してゆき、最
も内側の被分析層の定量分析が終了した時点で全ての分
析操作を終了する。
析方法によれば、フッ酸を用いて所望の深さにある被分
析層の表面を露出させてから当該被分析層の金属含有量
を分析するので、石英試料片1の任意の深さの金属含有
量、ひいては任意の層の拡散係数を分析することができ
る。
て定量分析するので、非常に薄い被分析層についての分
析ができる。
試料片1上に保持されるので、分解時に汚染物が分解液
2中に混入する虞れが非常に低い。
で、試料片1の形状についての自由度が大きい。
説明する。
=20mm×20mm×4mmの分析用石英試料片1を
調製した。銅原子が石英試料内部を拡散するときの状態
を調べるため、この試料片1の片面に銅濃度10ppm
の銅溶液を塗布し、大気圧下で1050℃に保ち、この
状態で24時間加熱させ、銅原子を拡散させた。
試料片1をフッ酸中に浸漬させ、最外層を10μm程度
エッチングして分析が必要な被分析層の表面を露出させ
た。
分解液2として25%フッ酸と0.1規定硝酸との混合
液を調整し、前記試料片1上に滴下した。この状態で分
解液2自身の表面張力で分解液2を試料片1表面上に保
持させ、被分析層を分解させた。約30分程度分解した
後分解液2を回収し、銅を含むと考えられる分解液2を
得た。
(AAS)にかけ、分解液2に含まれる銅の定量分析を
行なって銅の含有量を得た。
さを測定して厚さd2の値を得た。
して得た厚さd2とを差し引きして被分析層の厚さが得
られた。
分析する場合の深さ分解能は約10μm程度であり、石
英試料中に含有される金属の検出下限は2.8ppbで
あることが確認された。
について再現性を検証する実験を行なった。
作成し、銅の溶液を塗布して強制汚染サンプルを2個調
整し、これらのサンプルについて上記実施例と同じ操作
を行なって銅の拡散状態を調べた。結果を図3のグラフ
に示す。グラフの横軸は石英試料の表面からの距離(深
さ)を表し、縦軸は含有される銅の濃度を表している。
この表から明らかなように、二つのサンプルのデータは
非常に近似しており、高い再現性を備えていることを示
している。
分析方法についてクロスコンタミネーションの検証実験
を行なった。実験方法としては上記実施例で調整したの
と同じサンプル(強制汚染サンプル)と、銅溶液を塗布
しない石英試料そのままのサンプル(バルク材)とを調
製し、これら二つのサンプルを、同じ処理空間に収容
し、この処理空間を50%フッ酸環境下に保ち、一定時
間この状態を保持した。強制汚染サンプルの銅濃度を図
4に示したように各種値に変え、バルク材への影響を調
べた。
4に示すようにバルク材への影響はほとんど見られなか
った。
法との差異を図5に示す。
能、検出下限、分解領域(深さ)、クロスコンタミ、及
び再現性の全ての点で従来法には見られない優れた点を
備えていることが確認された。
る石英の差異を示す。この図6に示すように、電気溶融
法により製造される石英はOH量、金属量、ともに少な
いことから、より品質の高い石英製品が得られると考え
られる。
載された範囲に限定されない。
に含有される銅の濃度や拡散係数を分析する場合を例に
して説明したが、銅以外の金属についても同様に適用で
きる。
外側から内側に向けて被分析層を多段層に分け、各被分
析層について順次定量分析する場合について説明した
が、定量分析する被分析層は一層のみでもよく、石英試
料片1の最外部から分析可能な全ての層について定量分
析してもよく、特定の深さのいくつかの被分析層につい
てのみ定量分析することも可能である。
表面を薄い被分析層に分け、被分析層毎に化学的に分析
するので、高精度の分析結果が得られ、信頼性の高い拡
散係数を求めることができる。
って隣接する多数の断層状に区切り、各層毎に化学的に
分析するので金属原子の拡散する様子を詳細に検証する
ことができ、それにより高精度の拡散係数を求めること
ができる。
を露出させたり、分解液2により石英試料の極表面のみ
を分解して分析するので、任意の深さの非常に薄い被分
析層単位で分析することができ、石英試料中の拡散係数
の分布を厚さ方向に分析することができる。
保持させるので容器などからの汚染物の混入を最小限に
抑えることができ、高精度の分析ができる。
チャートである。
に示した図である。
を示すグラフである。
ョン検証実験の結果を示す図である。
を示した図である。
差異を纏めた図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 石英試料の所望の深さの被分析層の表面
を露出させる工程と、 前記石英試料の厚さを測定する工程と、 前記被分析層を化学的に分解して分解物を得る工程と、 前記化学的に分解された後の石英試料の厚さを測定して
前記被分析層の厚さを求める工程と、 前記分解物と前記被分析層の厚さとから前記被分析層中
に含まれる金属含有量を求める工程と、 を具備する、石英中に含有される金属の分析方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の分析方法であって、前
記被分析層の表面を露出させる工程が、前記石英試料表
面をフッ酸(HF)でエッチングする工程であることを
特徴とする分析方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の含有金属分析方
法であって、前記分解物を得る工程が、 前記露出した被分析層表面に分解液を滴下する工程と、 前記被分析層表面に分解液を所定時間保持せしめ、前記
被分析層を分解して分解液を形成する工程と、 前記分解液を回収する工程と、 前記回収した分解液中の金属量を分析する工程と、 を具備することを特徴とする分析方法。 - 【請求項4】 請求項3に記載の分析方法であって、前
記分解液が、 フッ酸(HF)単独、又は、硝酸、塩酸、硫酸、及び、
過酸化水素からなる群から選択される一又はニ以上とフ
ッ酸(HF)との混合液であることを特徴とする分析方
法。 - 【請求項5】 請求項3又は4に記載の分析方法であっ
て、前記金属量を分析する工程が、 原子吸光分析法、誘導結合プラズマ原子発光分析法、又
は誘導結合プラズマ質量分析法により行なわれることを
特徴とする分析方法。 - 【請求項6】 石英試料の所定の深さに位置する被分析
層の表面を露出させる第1の工程と、 前記石英試料の厚さを測定する第2の工程と、 前記被分析層を化学的に分解して分解物を得る第3の工
程と、 前記化学的に分解された後の石英試料の厚さを測定して
前記被分析層の厚さを求める第3の工程と、 前記分解物と前記被分析層の厚さとから前記被分析層中
に含まれる金属含有量を求める第4の工程と、 前記被分析層の更に厚さ方向内側に隣接する被分析層の
表面を露出させる第5の工程と、 前記第2の工程〜前記第5の工程を繰り返すことにより
前記石英試料の厚さ方向の金属分布を求め、それにより
前記石英試料の拡散係数を求めることを特徴とする、石
英中に含有される金属の分析方法。 - 【請求項7】 請求項6に記載の分析方法であって、前
記第1の工程及び第5の工程が、前記石英試料表面をフ
ッ酸(HF)でエッチングする工程であることを特徴と
する分析方法。 - 【請求項8】 請求項6又は7に記載の含有金属分析方
法であって、前記分解物を得る第3の工程が、 前記露出した被分析層表面に分解液を滴下する工程と、 前記被分析層表面に分解液を所定時間保持せしめ、前記
被分析層を分解して分解液を形成する工程と、 前記分解液を回収する工程と、 前記回収した分解液中の金属量を定量分析する工程と、 を具備することを特徴とする分析方法。 - 【請求項9】 請求項8に記載の分析方法であって、前
記分解液が、 フッ酸(HF)、又は、硝酸、塩酸、硫酸、及び、過酸
化水素からなる群から選択される一つとフッ酸(HF)
との混合液であることを特徴とする分析方法。 - 【請求項10】 請求項8又は9に記載の分析方法であ
って、前記金属量を分析する工程が、 原子吸光分析法、誘導結合プラズマ原子発光分析法、又
は誘導結合プラズマ質量分析法により行なわれることを
特徴とする分析方法。
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