JP2004028787A - 全反射蛍光x線分析方法、全反射蛍光x線分析前処理装置及び全反射蛍光x線分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコンウエハ表面の金属汚染物元素を高感度で検出あるいは定量分析し、その位置情報を正確に得ることができる全反射蛍光X線分析方法及びそのために使用する装置を提供する。
【解決手段】本発明は、シリコンウエハ表面に付着した金属汚染物を検出するための全反射蛍光X線分析方法であって、エッチング溶液を加熱し、発生したエッチング蒸気を該シリコンウエハ表面に接触させる工程と、該シリコンウエハ表面に付着する該エッチング液量が規定量になるように制御する工程と、該金属汚染物を含んだ該エッチング液による液滴を形成する工程と、該液滴を乾燥させ、該金属汚染物による微粒子状の残渣を形成する工程と、該シリコンウエハにX線を照射して、全反射X線分析法により該残渣からの蛍光X線を検出する工程と、該蛍光X線の検出位置から該シリコンウエハ表面上の該金属汚染物分布を検出する工程とを有する全反射蛍光X線分析方法である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、シリコンウエハ表面に付着した金属汚染物を検出するための全反射蛍光X線分析方法であって、エッチング溶液を加熱し、発生したエッチング蒸気を該シリコンウエハ表面に接触させる工程と、該シリコンウエハ表面に付着する該エッチング液量が規定量になるように制御する工程と、該金属汚染物を含んだ該エッチング液による液滴を形成する工程と、該液滴を乾燥させ、該金属汚染物による微粒子状の残渣を形成する工程と、該シリコンウエハにX線を照射して、全反射X線分析法により該残渣からの蛍光X線を検出する工程と、該蛍光X線の検出位置から該シリコンウエハ表面上の該金属汚染物分布を検出する工程とを有する全反射蛍光X線分析方法である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にシリコンウエハなどの材料表面に付着した微量の物質(金属汚染物)を検出あるいは定量分析するための蛍光X線分析方法及びそのために使用する装置、特に全反射蛍光X線分析(Total reflection X−Ray Fluorescence analysis:TXRF、以下、TXRF法と称する。)方法及びその装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の集積度の高度化に伴い、半導体素子形成時に基板、素子の表面及び内部の許容される汚染レベルは一層厳しくなる。例えば、SIA(Semiconductor Industry Association)の技術ロードマップによると、0.1μm世代の半導体素子形成時には半導体基板表面の重金属汚染濃度は、2.5×109 atoms/cm2 以下にしなければならない。基板表面の清浄度を管理するためには、上記レベルよりも低い濃度の汚染物を検出できることが必要である。またULSIレベルの高集積度を有する半導体素子においては、かかる微量の汚染物金属元素の存在が、ゲート酸化膜の耐圧不良、キャパシタ絶縁膜のリーク増大や経時誘電破壊、接合リークの増大、配線層のマイグレーション耐性劣化、コンタクト抵抗の増大等、様々な不良を惹き起こす原因となることが最近明らかになってきた。
【0003】
シリコンウエハ表面の金属汚染の分析法としては、表面の自然酸化膜を弗酸蒸気等で溶解して自然酸化膜の表面や内部などに存在する汚染金属を回収し、その回収液に含まれる金属を原子吸光法(Atomic Absorption Spectrometry:AAS)、誘導結合プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma−mass Spectrometry:ICP−MS)等で分析する化学分析方法がある。また素子表面の局所的な汚染を分析する方法としてはTXRF法や二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometer:Static SIMS)法で分析する物理分析法などが挙げられる。しかしこれらの分析法の金属の検出感度は、最も高い元素で5.0×108 atoms/cm2 前後であり、0.1μm以降の世代の半導体素子を作製する際には更に高感度な分析法が必要とされている。
【0004】
このうち物理的方法に分類されるTXRF法は、高感度、高再現性をもって基板の極表面域の金属汚染元素を同定できる方法として、近年の半導体プロセスでは不可欠の分析手法となっている。TXRF法は、平行性の良い励起X線をその波長と元素の種類とによって決まる臨界角以下の低い入射角で平滑な被測定体の測定表面に入射させた場合に、被測定体の測定表面から放出される蛍光X線を検出する方法である。この方法によれば、励起X線は入射角と等角度で反射されるため、検出X線に含まれる散乱X線の量を減じ、高いS/N(シグナル/バックグランド)比で分析を行うことができる。また、かかる低入射角で入射した励起X線は、被測定体の測定験基板の表面から数nmの深さまでしか侵入しないため、極表面に存在する汚染物金属元素に関する情報を得ることができる。
【0005】
TXRF法はそれ自身が高感度な分析方法であるが、さらに高感度を必要とする場合には、シリコンウエハ表面に存在する汚染物金属元素を濃縮したのちTXRF法により定量する方法が取られる。そこで、シリコンウエハ表面の微量金属汚染物の濃縮法として、支持棒誘導液相溶解法が用いられていた。
【0006】
以下に、従来の支持棒誘導液相溶解法について図面を参照して説明する。
【0007】
図10は、従来の支持棒誘導液相溶解法の工程を示す概略図である。
【0008】
この方法においては、まず、支持棒102の先端に薬液103を付着させた後、この支持棒102をシリコンウエハ101の表面に接触させる(図10A参照)。ここで、薬液103は、シリコンウエハ101を溶解し、シリコンウエハ101に含まれる汚染物を溶かし出すことができるものであり、通常、フッ化水素(HF)と過酸化水素(H2 O2 )との混合水溶液が用いられる。
【0009】
次に、シリコンウエハ101と支持棒102との間で薬液103を保持した状態で、シリコンウエハ101と支持棒102とを相対運動させる。このとき、図10Bに示すように、シリコンウエハ101を矢印X方向に沿って回転させるとともに、支持棒102を矢印Y方向に沿ってシリコンウエハ101の中心部から周辺部に移動させる。これによって、薬液103はその表面張力により支持棒102の先端に保持されたまま支持棒102とともに移動し、薬液103は、シリコンウエハ101の表面を中心部から周辺部に同心円状になぞる(図10C参照)。そのため、シリコンウエハ101表面の全面の汚染物が薬液103内に濃縮される。
【0010】
このようにしてシリコンウエハ101の表面を走査した後、図10Dに示すように、薬液103をシリコンウエハ101の中心部まで移動させ、そこで1cm2 未満の大きさになるように乾燥させて、これにより得られた濃縮乾燥点104がTXRF法により定量分析される。
【0011】
しかし、この方法では、汚染物がシリコンウエハ101表面のどの箇所に存在していたかという位置情報、即ち、汚染物の面内分布情報を知ることができない。
【0012】
一方、特開2001−153768号公報では、TXRF分析による測定を実施する前に被測定体のシリコンウエハ表面にフッ化水素酸蒸気を1〜10分間接触させることにより、シリコンウエハ表面に形成されている自然酸化膜を溶解除去させるとともに、シリコンウエハ表面に存在する金属汚染物の付着形態を統一化することにより、検量線の安定化及び測定精度の向上を図ることを目的とするシリコンウエハ表面の金属汚染物分析方法が開示されている。
【0013】
即ち、シリコンウエハ表面の金属汚染物の付着形態が異なると、汚染量が同一であっても検出される蛍光X線強度が異なる。このため、同公報の発明では、シリコンウエハをフッ化水素酸蒸気と接触させることにより、シリコンウエハ表面に存在する自然酸化膜であるSiO2層を分解させる。分解したSiO2はその殆どが揮発し、残りはシリコンウエハ表面上にパーティクル状、即ち、粒子状に存在することになる。このため、同領域に存在する金属汚染物についてもSiO2中に層状に存在するのではなくパーティクル状に存在することになり、付着形態の統一化が図られ、TXRF分析の測定誤差を解消することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、シリコンウエハ表面をフッ化水素酸蒸気に曝す時間をモニター制御しているだけであり、処理室内の温度やフッ化水素酸水溶液の蒸気圧の変化を制御できないため、シリコンウエハ表面に付着するフッ化水素酸水溶液量が処理毎に異なってしまう。即ち、金属汚染物を含む濃縮形状(パーティクル状)の大きさ、特に、その高さに再現性が無くなる。その結果、TXRF分析の再現性及び信頼性の劣化につながる。
【0015】
また、従来の方法では、シリコンウエハ表面上での金属汚染物の位置情報を正確に得ることが困難である。
【0016】
更に、従来の方法では、シリコンウエハ表面上のパーティクル状の金属汚染物の位置にX線の照射位置を合わせることは、その形態が微小であるほど難しいという問題があった。
【0017】
本発明の目的は、以上のような問題を解決するものであり、シリコンウエハ表面の金属汚染物元素を高感度で検出あるいは定量分析し、その位置情報を正確に得ることができる蛍光X線分析方法及びそのために使用する装置、特にTXRF方法及びその装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のTXRF方法の原理を図1および図2を用いて説明する。
【0019】
図1A〜 図1Eは、本発明に係るTXRF方法の主要な工程を示した断面図である。また、 図2は、シリコンウエハ表面上の金属汚染物の位置情報を示す斜視図である。
【0020】
まず、図1Aに示すように、シリコンウエハ1を準備する。このウェーハ1の表面上には、大気中の酸素、または水分と反応することにより形成される自然酸化膜(SiO2 )4が成長している。自然酸化膜4の表面上および内部には、金属汚染物3が存在している。次いで、エッチング溶液(図示せず)を加熱し、発生したエッチング蒸気5をシリコンウエハ1表面に接触させる。
【0021】
次に、図1Bに示すように、シリコンウエハ1の表面領域部分、即ち、自然酸化膜2上に規定量のエッチング液6が付着する。付着するエッチング液量をモニターすることより、規定量のエッチング液6を得るようにする。
【0022】
次に、図1Cに示すように、エッチング液6により、自然酸化膜2の溶解が、シリコン地肌まで進む。シリコンは、疎水性であるために、自然酸化膜2が溶解されることによって得られた溶液は、その表面張力によって、まるみのある粒子状、微小かつ無数の液滴7となる。このような液滴7が形成されることによって、同領域に存在した金属汚染物3はそれぞれ液滴7中に溶け込む。この時、自然酸化膜2の上に存在していた金属汚染物3は、平面的な移動を実質的に起こさずに、ほぼ垂直な移動だけで液滴7中に取り込まれる。これにより、金属汚染物3のシリコンウエハ1表面上の存在位置は変わらず、その位置情報が保たれる。
【0023】
次に、図1Dに示すように、シリコンウエハ1表面上に作られた粒子状の液滴7を動かさずに、そのまま乾燥させ、金属汚染物3だけから成る微粒子状の残渣2を得る。このとき、金属汚染物の形態が、ここに示した粒子状のものでなく、例えば、膜状であろうと、全て微粒子状の残渣2となる。
【0024】
次に、表面上に微粒子状の残渣2が得られたシリコンウエハ1に、X線8を小さな入射角φで照射して、TXRF法により、残渣2からの蛍光X線10を検出する。このとき、X線9は、入射角度φ≦全反射臨界角φcrit. の条件でシリコンウエハ1の表面へ入射される。これにより反射X線9のような全反射現象が生ずる。このような検出を、シリコンウエハ1を回転させるかあるいは平行移動させながら、シリコンウエハ1表面の全域で行う。
【0025】
次に、図2に示すように、得られた蛍光X線の検出位置からシリコンウエハ1表面上の微粒子状の残渣2、即ち、金属汚染物の位置情報を得、シリコンウエハ1表面上の金属汚染物の面内分布を検出する。なお、シリコンウエハ1上に示された破線X,Yは、シリコンウエハ1表面の二次元座標軸を表している。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分に同一の符号を付す。
【0027】
先ず、この発明の実施形態によるTXRF法による分析を行うための前処理装置、及びTXRF装置について説明する。
【0028】
図3は、TXRF法による分析を行うための前処理装置の概略構成図である。
【0029】
図3の分析前処理装置は、テフロン(登録商標)製のチャンバー11、電磁弁A,B、被測定体設置用ステージ12、石英ガラス製ヒータステージ13、開閉シャッター付エッチング溶液用タンク14、温度計センサー15、膜厚センサー16、膜厚モニター17、及び制御部18を備えて構成されている。
【0030】
図4は、図3の前処理装置に示した被測定体設置用ステージ12部の概略断面図である。
【0031】
図4の被測定体(例えばシリコンウエハ)設置用ステージ12部は、シリコンウエハ1表面上に付着するエッチング蒸気量を感知する付着量モニター用の水晶振動子センサーである。この被測定体(例えばシリコンウエハ)設置用ステージ12部は、電極部19A,19B、共振回路部20、ATカット水晶板21、及び周波数モニター部22を備えて構成されている。
【0032】
被測定体設置用ステージ12部は、圧電特性を用いた結晶の共振周波数が、表面に付着した液量に比例してずれることを利用して付着液量を測定するもので、約0.5ng/cm2 程度の感度がある。なお、付着量Δmは、共振周波数fとする場合、Δm=1/f2 となる。
【0033】
開閉シャッター付エッチング溶液用タンク14のシャッターの開閉は、温度計センサー15と被測定体設置用ステージ12部の周波数モニター部22と電気的に結合して制御部18にて自動制御されている。即ち、開閉シャッター付エッチング溶液用タンク14内のエッチング液の液温が設定温度(値)で一定になれば、温度計センサー15からの信号を受けた制御部18からの信号でシャッターが開き、また被測定体表面に付着するフッ酸蒸気量が設定した規定量になれば、周波数モニター部22からの信号を受けた制御部18からの信号でシャッターが閉じる。また、電磁弁A,Bについても、被測定体設置用ステージ12部の周波数モニター部22と電気的に結合して制御部18にて自動制御されている。即ち、被測定体表面に付着するフッ酸蒸気量が設定した規定量になれば、被測定体設置用ステージ12部の周波数モニター部22からの信号を受けた制御部18からの信号で電磁弁A,Bが開き、パージ用ガス(例えば、窒素N2)によってフッ酸蒸気を排気する。
【0034】
なお、上記各部の動作制御は、手動制御でも可能である。
【0035】
図5は、本発明の実施形態によるTXRF装置の概略構成図である。
【0036】
図5の分析装置は銅、タングステン、モリブデン、金などをソースとしてX線を発生させる回転対陰極32と、この回転対陰極32にて発生されたX線から特定波長のX線を抽出するモノクロメータ33とを備えて構成されている。
【0037】
回転対陰極32にて発生されたX線は、モノクロメータ33で特定波長のX線が抽出され、小さな入射角で、回転式試料台31の上に置かれたシリコンウエハ1の表面に照射される。
【0038】
回転式試料台31は、平面的な移動、および正確な入射角度設定が可能なステージである。回転式試料台31の上方には、粒子状の残渣2(図示せず)が発した蛍光X線を検出する固体検出器(Solid State Detector: SSD)34が取りつけられている。固体検出器(SSD)34はプリアンプ35、リニアアンプ36、A/Dコンバーター37を介してパーソナルコンピューター(PC)38に結合されていて、検出された蛍光X線のスペクトルデータを収集する。
【0039】
図6は、TXRF法による分析を行っている際、X線がシリコンウエハ1に照射された時の概略断面図である。
【0040】
図6の入射X線は、入射角度φ≦全反射臨界角φcrit. の条件でシリコンウエハ1の表面へ入射される。例えば、シリコン(Si)に対するWLβ線(9.67keV)の全反射臨界角は0.18°であるため、例えば、φ≦0.04°となる。これにより、残渣2から蛍光X線、シリコンウエハ1の表面から反射X線が発生し、全反射現象を生ずる。
【0041】
また、回転対陰極32(図示せず)にて発生されたX線(例えば、WLβ線)は、その縦幅値及び入射角を変えることにより、シリコンウエハ1上に照射する領域を制御することが可能である。
【0042】
また、例えば、上記のタングステンのかわりに銅(Cu)ターゲットを用いた場合は、同様に、銅の回転対陰極32からモノクロメータ33によりCuKα線(8.04keV)のみ取り出され、このときのシリコンウエハ1の表面への入射X線は、CuKα線(8.04keV)のシリコン(Si)に対する全反射臨界角0.22°より小さい入射角度となる。
【0043】
図7は、本発明のTXRF法による分析を行っている際、X線がシリコンウエハ1(例えば直径6インチ=152.4mm)に照射され、蛍光X線が固体検出器(SSD)34で検出された時の概略断面図である。
【0044】
図7の断面図に幅(縦幅)が広げられたX線、6インチシリコンウエハ1、固体検出器(SSD)34、プリアンプ35、リニアアンプ36、A/Dコンバーター37、及びパーソナルコンピューター(PC)38を示す。
【0045】
例えば、縦幅0.10mmで取り出されたX線の場合に、入射角はWLβ線(9.67keV)のシリコン(Si)に対する全反射臨界角0.18°の1/5の0.036°を用いると、シリコンウエハ1上で進行方向に0.10mm/sin(0.036°)=159 mmに広がり、これにより、バラツキ誤差も含めても6インチシリコンウエハ1の全領域にX線を照射することが可能となる。また、例えば、シリコンウエハ1が直径8インチ(203mm)の場合、縦幅0.15mmで取り出されたX線の入射角は、WLβ線(9.67keV)のシリコン(Si)に対する全反射臨界角0.18°の1/5の0.036°を用いると、シリコンウエハ1上で進行方向に0.15mm/sin(0.036°)=238 mmに広がり、8インチシリコンウエハ1の全領域にX線を照射することが可能となる。ただし、このときのX線の横幅は、通常約10mm程度で一定である。
【0046】
固体検出器(SSD)34は、複数の分光素子39を有して構成される。その構成方法は、1分光素子39の径(φ:mm)を考慮して、シリコンウエハ1の直径方向でその領域をカバーできるように分光素子39の数量を決め、複数の分光素子39を直線的に配置することが可能である。例えば、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1では、X線のシリコンウエハ1上で入射進行方向上に10mmφ径の分光素子39を20個有する構成となる。これにより、蛍光X線により分光素子39中に発生した電荷が(図示せず)プリアンプ35、リニアアンプ36で増幅された後、A/Dコンバーター37でAD変換され、PC38で20チャンネル同時に波長スペクトルが収集される。
【0047】
また、図5のTXRF装置を用いてシリコンウエハ1表面の全域を測定する場合は、X線がその全域に照射できるようX線の横幅(約10mm程度)を考慮して、回転式試料台31を任意の角度毎に回転させるかあるいは平行移動させながら必要回数測定を繰り返す。例えば、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1では、回転式試料台31を5°毎に回転させて測定し、それを36回繰り返すことになる。このときの上述したように固体検出器(SSD)34は、X線の進行方向でシリコンウエハ1の中心を通る直線上に10mmφ径の分光素子が20個、シリコンウエハ1表面に平行配置された構成となる。よって、1回の測定で同時に20チャンネルの波高スペクトルデータが得られ、8インチシリコンウエハ1表面の全域で20×36チャンネルの波高スペクトルデータがPC38に収集されることになる。これにより、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1表面の蛍光X線の面内分布を得ることが可能になる。
【0048】
また、例えば、固体検出器(SSD)34の代わりに分光結晶と位置敏感比例計数管を用いて測定することも可能である。
【0049】
図8は、本発明のTXRF法による分析を行っている際、X線が8インチシリコンウエハ1に照射され、蛍光X線が分光結晶41を用いて位置敏感比例計数管42で検出された時の概略断面図である。
【0050】
図8に図7の断面図に幅(縦幅)が広げられたX線、6インチ(直径:152.4mm)シリコンウエハ1、ソーラースリット40A,40B、分光結晶41、位置敏感比例計数管(Position Sensitive Proportion Counter: PSPC)42を示す。
【0051】
図8のように蛍光X線の検出位置は、入射X線の進行方向でシリコンウエハ1の中心を通る直線上に、シリコンウエハ1表面に平行配置されたソーラースリット40Aと、位置敏感比例計数管(PSPC)42前のソーラースリット40Bとにより決められる。位置敏感型比例計数管42で得た蛍光信号は、プリアンプ35及びリニアアンプ36(図示せず)で電気信号に変換され、A/Dコンバーター37(図示せず)でAD変換されて、パーソナルコンピューター(PC)38(図示せず)に波高スペクトルデータとして収集される。
【0052】
次に、上述したように構成された前処理装置及びTXRF装置を用いて行うTXRF方法の第1の例について説明する。
【0053】
図3の分析前処理装置を使用して、8インチシリコンウエハのTXRF分析の前処理を行う。
【0054】
先ず、図3の前処理装置のチャンバー11へ被測定体である8インチシリコンウエハ1を搬送し、それを被測定体設置用ステージ12上に表面を上に設置する。
【0055】
次に、以下の表1に示すように前処理条件を設定する。
【0056】
【表1】
【0057】
これにより、上記設定した前処理条件に基づいて、上述したように制御部17により、開閉シャッター付エッチング溶液用タンク13のシャッター及び電磁弁A,Bの開閉が適宜自動制御され、8インチシリコンウエハ1表面に規定した0.2μg/cm2の液滴が付着する。
【0058】
次に、この液滴を動かさずに、そのまま乾燥させる。この結果、8インチシリコンウエハ1表面にはシリコン(Si)を含む微粒子状の残渣2(高さ:50nm)を得、金属汚染元素はその中に濃縮される。また、例えば、周波数モニター部22の設定付着量を調整することにより、微粒子状の残渣2の高さを制御することが可能である。
【0059】
次に、表面に微粒子状の残渣2を得た8インチシリコンウエハ1を、図5のTXRF装置のチャンバー30へ搬送し、回転式試料台31の上に表面を上に設置する。
【0060】
次に、TXRFの測定条件は以下の表2に示すように設定する。
【0061】
【表2】
【0062】
この結果、設定条件に基づいて、上述したように1回の測定でシリコンウエハ1への入射X線進行方向上に同時に20チャンネルの波高スペクトルデータを得、8インチシリコンウエハ1表面の全域で20×36チャンネルの波高スペクトルデータがPC38に収集され、これにより、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1表面上の微粒子状の残渣2の面内分布を得る。
【0063】
また、例えば、上述した前処理条件を変化させることにより、微粒子状の残渣2の高さを制御することが可能である。即ち、周波数モニター部21の設定付着量を調整することによって、シリコンウエハ1表面に得る微粒子状の残渣2の高さを制御することができる。そこで、微粒子状の残渣2の高さと蛍光X線強度特性の関係を求める。
【0064】
図9は、図3の前処理装置及び図5のTXRF装置において、シリコンウエハ1表面の残渣2の高さ毎の蛍光X線強度特性を示したグラフである。
【0065】
図9の横軸は、全反射臨界角(θc)に対する入射角(θ)の角度比(θ/θc)であり、縦軸は、入射X線に対する残渣2の蛍光X線の強度比である。ここで、全反射臨界角(θc)は、WLβ線(9.67keV)のシリコン(Si)に対する角度0.18°を用いる。
【0066】
図9に示す曲線Iの特性は高さが0nmのときのものであり、同様に、曲線IIに示される特性は高さが10nmのとき、曲線IIIに示される特性は高さが50nmのとき、曲線IVに示される特性は高さが1000nmのときにそれぞれ、得られたものである。
【0067】
ただし、残渣2の高さが0nmの特性とは、即ち、シリコンウエハ1表面に残渣2が存在していない状態のときの蛍光X線強度特性であり、これはバックグランド特性と解される。これより、充分な定量分析精度を得るためには、バックグランドの値が小さく、バックグランド特性を示す曲線Iに対して、その蛍光X線強度特性が2倍以上の特性を有すること、即ち、残渣2の高さが50nm以上が好ましい。また、同様に、充分な定量分析精度を得るためには、X線の入射角がシリコンの全反射臨界角の1/2以下が好ましい。
【0068】
次に、同様にして、TXRF方法の第2の例について説明する。
【0069】
この例では上述の第1例と同様の手法によるものであり、図3の分析前処理及び図5のTXRF分析装置を用いて、第1例の分析前処理においては、フッ酸(濃度50%)水溶液を45℃に加熱したエッチング蒸気を用いるが、フッ硝酸(混合比はフッ酸50%水溶液:硝酸60%水溶液=10:1)水溶液を100℃に加熱して用いるようにしたものである。また、第1例においては、図5のようにタングステンの回転対陰極32からモノクロメータ33によりLβ線(9.67keV)のみを取り出しているが、タングステンのかわりに銅(Cu)ターゲットを用いるようにしたものである。また、第1例においては、複数の分光素子で構成された固体検出器(SSD)34で検出しているが、分光結晶、即ち、リチュウムフロライド(LIF)を用いて、シリコンウエハ1付近のソーラースリット40Aと位置敏感比例計数管(PSPC)42前のソーラースリット40Bで蛍光X線の測定位置を決め、位置敏感型比例計数管(PSPC)42で蛍光X線を検出するようにしたものである。
【0070】
先ず、図3の分析前処理装置を使用して、8インチシリコンウエハのTXRF分析の前処理を行う。
【0071】
図3の前処理装置のチャンバー11へ被測定体である8インチシリコンウエハ1を搬送し、それを被測定体設置用ステージ12上に表面を上に設置する。
【0072】
次に、以下の表3に示すように前処理条件を設定する。
【0073】
【表3】
【0074】
この結果、8インチシリコンウエハ1表面に規定した0.2μg/cm2の液滴が付着する。
【0075】
次に、この液滴を動かさずに、そのまま乾燥させ、8インチシリコンウエハ1表面に金属汚染元素を含んだ微粒子状の残渣2(高さ:50nm)を得る。 次に、表面に微粒子状の残渣2(高さ:50nm)を得た8インチシリコンウエハ1を、図5のTXRF装置のチャンバー30へ搬送し、回転式試料台31の上に表面を上に設置する。
【0076】
次に、TXRFの測定条件は以下の表4に示すように設定する。
【0077】
【表4】
【0078】
この結果、設定条件に基づいて、上述したように1回の測定でシリコンウエハ1への入射X線進行方向上に同時に20チャンネルの波高スペクトルデータを得、8インチシリコンウエハ1表面の全域で20×36チャンネルの波高スペクトルデータがPC38に収集され、これにより、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1表面上の微粒子状の残渣2の面内分布を得ることができる。
【0079】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0080】
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、材料はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、材料を用いてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態においては、例えば、また、同様に、フッ酸過酸化水素(混合比はフッ酸50%水溶液:過酸化水素60%水溶液=3:1)水溶液を100℃に加熱してエッチング蒸気に用いるようにしてもよい。
【0082】
また、上述の実施形態においては、図5のようにタングステンの回転対陰極32からモノクロメータ33によりLβ線(9.67keV)のみを取り出しているが、測定対象の元素により、タングステン及び銅のかわりにモリブデン、銀、又は金ターゲットを用いるようにしてもよい。
【0083】
また、例えば、上述の実施形態においては、複数の分光素子で構成された固体検出器(SSD)34で検出しているが、分光結晶、例えばリチュウムフロライド(LIF)、ペンタエリトリトール(PET)、又はゲルマニウム(Ge)を用いて、シリコンウエハ1付近のソーラースリット40Aと位置敏感比例計数管(PSPC)42前のソーラースリット40Bで蛍光X線の位置を決め、位置敏感型比例計数管(PSPC)42で検出するようにしてもよい。
【0084】
(付記1) シリコンウエハ表面に付着した金属汚染物を検出するための全反射蛍光X線分析方法であって、
エッチング液を加熱し、発生したエッチング蒸気を該シリコンウエハ表面に接触させる工程と、
該エッチング蒸気の供給を制御して、該シリコンウエハ表面に、該金属汚染物を含んだ該エッチング液による液滴を形成する工程と、
該液滴を乾燥させ、該金属汚染物による微粒子状の残渣を形成する工程と、
該シリコンウエハにX線を照射して、全反射蛍光X線分析法により該残渣からの蛍光X線を検出する工程と、
該蛍光X線の検出位置から該シリコンウエハ表面上の該金属汚染物分布を検出する工程とを有することを特徴とする全反射蛍光X線分析方法。(1)
(付記2) 付記1に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記エッチング液の供給量の制御工程は、
前記エッチング蒸気が発生するように前記エッチング液を加熱し且つ一定の液温で保温する工程と、
該シリコンウエハ表面に付着する該エッチング蒸気の量をモニターする工程と、
モニターした前記エッチング蒸気の量が規定量になったときに、該エッチング蒸気の発生を止めるようにするとともに、該エッチング蒸気をパージし且つ排気する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の全反射蛍光X線分析方法。(2)
(付記3) 付記1乃至付記5に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記金属汚染物分布を検出する工程は、
前記X線を規定の入射角度で、且つ該シリコンウエハ表面の中心を通る直線上であって、少なくとも該中心から該シリコンウエハの端まで覆うX線照射領域に照射する工程と、
該X線の照射による前記残渣からの蛍光X線を、該シリコンウエハを任意の角度毎に回転させるかあるいは平行移動させることにより、該シリコンウエハ表面全域で該残渣の位置を検出する工程と、
該残渣の位置から該シリコンウエハ表面上の該金属汚染物分布を検出する工程とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の全反射蛍光X線分析方法。(3)
(付記4) 付記1乃至付記3に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記エッチング溶液は、フッ酸、硫酸、硝酸、過酸化水素水、アンモニア水、及びその混合液を用いる全反射蛍光X線分析方法。
【0085】
(付記5) 付記1乃至付記4に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記金属汚染物の微粒子状の残渣を少なくとも50nm以上とする全反射蛍光X線分析方法。
【0086】
(付記6) 付記1乃至付記5に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記低角度が少なくとも前記入射X線の前記シリコンウエハに対する全反射角度の1/2以下とする全反射蛍光X線分析方法。
【0087】
(付記7) 付記3に記載の全反射蛍光X線分析方法において、
前記X線照射領域は、前記シリコンウエハの半径以上の長さを有する領域である全反射蛍光X線分析方法。
【0088】
(付記8) シリコンウエハ及びエッチング液を収容し、該シリコンウエハ表面の分析前処理を行う分析前処理チャンバーであって、
該シリコンウエハを保持し且つ該シリコンウエハ表面に付着する該エッチング蒸気の量のモニター機構を有するシリコンウエハ設置用ステージと、
該エッチング液を収容し且つその液温を制御する機構を有する開閉シャッター付タンクと、
該タンクを保持し且つ加熱する機構を有するヒーターステージと、
該エッチング蒸気の量をモニターし、該エッチング蒸気の量が規定量になるように、該タンクの該シャッターの開閉を行って前記エッチング蒸気の発生を制御する制御手段とを備えることを特徴とする全反射蛍光X線分析前処理装置。(4)
(付記9) 付記8に記載の全反射蛍光X線分析前処理装置において、
さらに、前記チャンバーに不活性ガスを導入する機構を有する電磁弁付ガス導入管と、
前記チャンバー内の雰囲気を排気する機構を有する電磁弁付排気管とを備え、該ガス導入管及び該排気管の電磁弁の開閉を制御して、前記チャンバー内のエッチング蒸気をパージ且つ排気を行う全反射蛍光X線分析前処理装置。
【0089】
(付記10) 付記8または付記9に記載の全反射蛍光X線分析前処理装置であって、
前記エッチング液量モニター機構は、水晶振動子センサーを用いている全反射蛍光X線分析前処理装置。
【0090】
(付記11) 金属ターゲットをソースとしてX線を発生させるX線発生源と、
該X線発生源から特定波長の一次X線を抽出するモノクロメータと、
シリコンウエハを収容し、該モノクロメータから該一次X線を受け入れて該シリコンウエハ表面に入射させるチャンバーを有し、該チャンバーは、該シリコンウエハを保持し、且つ平面的な移動及び該一次X線の入射角度設定が可能な試料台と、
該試料台の上方にあって該シリコンウエハ表面からの蛍光X線を検出するX線検出器とを備える全反射蛍光X線分析装置において、
該X線検出器は、該シリコンウエハ表面の中心を通る直線上であって、少なくとも該中心から該シリコンウエハの端まで覆う一次X線照射領域において、
該シリコンウエハ表面に対して平行に分光素子が複数配置されていることを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。(5)
(付記12) 付記11に記載の全反射蛍光X線分析装置であって、
前記金属ターゲットは、タングステン、銅、モリブデン、銀、又は金ターゲットを用いる全反射蛍光X線分析装置。
【0091】
(付記13) 付記11に記載の全反射蛍光X線分析装置であって、
前記分光素子のかわりに分光結晶を用いる全反射蛍光X線分析装置。
【0092】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、TXRF法による測定を実施する前にエッチング蒸気処理を行って、規定の液量をシリコンウエハ表面に付着させることにより、シリコンウエハ表面の状態に関係なく再現性に優れる同一の形状や高さを有する表面金属汚染物の残渣がもたらされ、且つ、これを高感度で検出あるいは定量分析することが可能となる。また、大表面積を有するシリコンウエハ表面の表面金属汚染物の残渣の面内分布測定をも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明に係るTXRF方法の主要な工程を示した断面図である。
【図2】は、シリコンウエハ表面上の金属汚染物の位置情報を示す斜視図である。
【図3】は、TXRF法による分析を行うための前処理装置の概略構成図である。
【図4】は、被測定体設置用ステージ部の概略断面図である。
【図5】は、本発明の実施形態によるTXRF装置の概略構成図である。
【図6】は、TXRF法による分析を行っている際、X線がシリコンウエハ1に照射された時の概略断面図である。
【図7】は、本発明のTXRF法による分析を行っている際、X線が8インチシリコンウエハに照射され、蛍光X線が固体検出器(SSD)で検出された時の概略断面図である。
【図8】は、本発明のTXRF法による分析を行っている際、X線が8インチシリコンウエハに照射され、蛍光X線が分光結晶を用いて位置敏感比例計数管で検出された時の概略断面図である。
【図9】は、図3の前処理装置及び図5のTXRF装置において、シリコンウエハ1表面の残渣2の高さ毎の、蛍光X線強度特性を示したグラフである。
【図10】は、従来の支持棒誘導液相溶解法の工程を示す概略図である。
【符号の説明】
1,101 シリコンウエハ
2 残渣
5 エッチング蒸気
6 エッチング液
12 被測定体設置用ステージ
18 制御部
22 周波数モニター部
34 固体検出器(SSD)
39 分光素子
40A,B ソーラースリット
41 分光結晶
42 位置敏感比例計数管
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にシリコンウエハなどの材料表面に付着した微量の物質(金属汚染物)を検出あるいは定量分析するための蛍光X線分析方法及びそのために使用する装置、特に全反射蛍光X線分析(Total reflection X−Ray Fluorescence analysis:TXRF、以下、TXRF法と称する。)方法及びその装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の集積度の高度化に伴い、半導体素子形成時に基板、素子の表面及び内部の許容される汚染レベルは一層厳しくなる。例えば、SIA(Semiconductor Industry Association)の技術ロードマップによると、0.1μm世代の半導体素子形成時には半導体基板表面の重金属汚染濃度は、2.5×109 atoms/cm2 以下にしなければならない。基板表面の清浄度を管理するためには、上記レベルよりも低い濃度の汚染物を検出できることが必要である。またULSIレベルの高集積度を有する半導体素子においては、かかる微量の汚染物金属元素の存在が、ゲート酸化膜の耐圧不良、キャパシタ絶縁膜のリーク増大や経時誘電破壊、接合リークの増大、配線層のマイグレーション耐性劣化、コンタクト抵抗の増大等、様々な不良を惹き起こす原因となることが最近明らかになってきた。
【0003】
シリコンウエハ表面の金属汚染の分析法としては、表面の自然酸化膜を弗酸蒸気等で溶解して自然酸化膜の表面や内部などに存在する汚染金属を回収し、その回収液に含まれる金属を原子吸光法(Atomic Absorption Spectrometry:AAS)、誘導結合プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma−mass Spectrometry:ICP−MS)等で分析する化学分析方法がある。また素子表面の局所的な汚染を分析する方法としてはTXRF法や二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometer:Static SIMS)法で分析する物理分析法などが挙げられる。しかしこれらの分析法の金属の検出感度は、最も高い元素で5.0×108 atoms/cm2 前後であり、0.1μm以降の世代の半導体素子を作製する際には更に高感度な分析法が必要とされている。
【0004】
このうち物理的方法に分類されるTXRF法は、高感度、高再現性をもって基板の極表面域の金属汚染元素を同定できる方法として、近年の半導体プロセスでは不可欠の分析手法となっている。TXRF法は、平行性の良い励起X線をその波長と元素の種類とによって決まる臨界角以下の低い入射角で平滑な被測定体の測定表面に入射させた場合に、被測定体の測定表面から放出される蛍光X線を検出する方法である。この方法によれば、励起X線は入射角と等角度で反射されるため、検出X線に含まれる散乱X線の量を減じ、高いS/N(シグナル/バックグランド)比で分析を行うことができる。また、かかる低入射角で入射した励起X線は、被測定体の測定験基板の表面から数nmの深さまでしか侵入しないため、極表面に存在する汚染物金属元素に関する情報を得ることができる。
【0005】
TXRF法はそれ自身が高感度な分析方法であるが、さらに高感度を必要とする場合には、シリコンウエハ表面に存在する汚染物金属元素を濃縮したのちTXRF法により定量する方法が取られる。そこで、シリコンウエハ表面の微量金属汚染物の濃縮法として、支持棒誘導液相溶解法が用いられていた。
【0006】
以下に、従来の支持棒誘導液相溶解法について図面を参照して説明する。
【0007】
図10は、従来の支持棒誘導液相溶解法の工程を示す概略図である。
【0008】
この方法においては、まず、支持棒102の先端に薬液103を付着させた後、この支持棒102をシリコンウエハ101の表面に接触させる(図10A参照)。ここで、薬液103は、シリコンウエハ101を溶解し、シリコンウエハ101に含まれる汚染物を溶かし出すことができるものであり、通常、フッ化水素(HF)と過酸化水素(H2 O2 )との混合水溶液が用いられる。
【0009】
次に、シリコンウエハ101と支持棒102との間で薬液103を保持した状態で、シリコンウエハ101と支持棒102とを相対運動させる。このとき、図10Bに示すように、シリコンウエハ101を矢印X方向に沿って回転させるとともに、支持棒102を矢印Y方向に沿ってシリコンウエハ101の中心部から周辺部に移動させる。これによって、薬液103はその表面張力により支持棒102の先端に保持されたまま支持棒102とともに移動し、薬液103は、シリコンウエハ101の表面を中心部から周辺部に同心円状になぞる(図10C参照)。そのため、シリコンウエハ101表面の全面の汚染物が薬液103内に濃縮される。
【0010】
このようにしてシリコンウエハ101の表面を走査した後、図10Dに示すように、薬液103をシリコンウエハ101の中心部まで移動させ、そこで1cm2 未満の大きさになるように乾燥させて、これにより得られた濃縮乾燥点104がTXRF法により定量分析される。
【0011】
しかし、この方法では、汚染物がシリコンウエハ101表面のどの箇所に存在していたかという位置情報、即ち、汚染物の面内分布情報を知ることができない。
【0012】
一方、特開2001−153768号公報では、TXRF分析による測定を実施する前に被測定体のシリコンウエハ表面にフッ化水素酸蒸気を1〜10分間接触させることにより、シリコンウエハ表面に形成されている自然酸化膜を溶解除去させるとともに、シリコンウエハ表面に存在する金属汚染物の付着形態を統一化することにより、検量線の安定化及び測定精度の向上を図ることを目的とするシリコンウエハ表面の金属汚染物分析方法が開示されている。
【0013】
即ち、シリコンウエハ表面の金属汚染物の付着形態が異なると、汚染量が同一であっても検出される蛍光X線強度が異なる。このため、同公報の発明では、シリコンウエハをフッ化水素酸蒸気と接触させることにより、シリコンウエハ表面に存在する自然酸化膜であるSiO2層を分解させる。分解したSiO2はその殆どが揮発し、残りはシリコンウエハ表面上にパーティクル状、即ち、粒子状に存在することになる。このため、同領域に存在する金属汚染物についてもSiO2中に層状に存在するのではなくパーティクル状に存在することになり、付着形態の統一化が図られ、TXRF分析の測定誤差を解消することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、シリコンウエハ表面をフッ化水素酸蒸気に曝す時間をモニター制御しているだけであり、処理室内の温度やフッ化水素酸水溶液の蒸気圧の変化を制御できないため、シリコンウエハ表面に付着するフッ化水素酸水溶液量が処理毎に異なってしまう。即ち、金属汚染物を含む濃縮形状(パーティクル状)の大きさ、特に、その高さに再現性が無くなる。その結果、TXRF分析の再現性及び信頼性の劣化につながる。
【0015】
また、従来の方法では、シリコンウエハ表面上での金属汚染物の位置情報を正確に得ることが困難である。
【0016】
更に、従来の方法では、シリコンウエハ表面上のパーティクル状の金属汚染物の位置にX線の照射位置を合わせることは、その形態が微小であるほど難しいという問題があった。
【0017】
本発明の目的は、以上のような問題を解決するものであり、シリコンウエハ表面の金属汚染物元素を高感度で検出あるいは定量分析し、その位置情報を正確に得ることができる蛍光X線分析方法及びそのために使用する装置、特にTXRF方法及びその装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のTXRF方法の原理を図1および図2を用いて説明する。
【0019】
図1A〜 図1Eは、本発明に係るTXRF方法の主要な工程を示した断面図である。また、 図2は、シリコンウエハ表面上の金属汚染物の位置情報を示す斜視図である。
【0020】
まず、図1Aに示すように、シリコンウエハ1を準備する。このウェーハ1の表面上には、大気中の酸素、または水分と反応することにより形成される自然酸化膜(SiO2 )4が成長している。自然酸化膜4の表面上および内部には、金属汚染物3が存在している。次いで、エッチング溶液(図示せず)を加熱し、発生したエッチング蒸気5をシリコンウエハ1表面に接触させる。
【0021】
次に、図1Bに示すように、シリコンウエハ1の表面領域部分、即ち、自然酸化膜2上に規定量のエッチング液6が付着する。付着するエッチング液量をモニターすることより、規定量のエッチング液6を得るようにする。
【0022】
次に、図1Cに示すように、エッチング液6により、自然酸化膜2の溶解が、シリコン地肌まで進む。シリコンは、疎水性であるために、自然酸化膜2が溶解されることによって得られた溶液は、その表面張力によって、まるみのある粒子状、微小かつ無数の液滴7となる。このような液滴7が形成されることによって、同領域に存在した金属汚染物3はそれぞれ液滴7中に溶け込む。この時、自然酸化膜2の上に存在していた金属汚染物3は、平面的な移動を実質的に起こさずに、ほぼ垂直な移動だけで液滴7中に取り込まれる。これにより、金属汚染物3のシリコンウエハ1表面上の存在位置は変わらず、その位置情報が保たれる。
【0023】
次に、図1Dに示すように、シリコンウエハ1表面上に作られた粒子状の液滴7を動かさずに、そのまま乾燥させ、金属汚染物3だけから成る微粒子状の残渣2を得る。このとき、金属汚染物の形態が、ここに示した粒子状のものでなく、例えば、膜状であろうと、全て微粒子状の残渣2となる。
【0024】
次に、表面上に微粒子状の残渣2が得られたシリコンウエハ1に、X線8を小さな入射角φで照射して、TXRF法により、残渣2からの蛍光X線10を検出する。このとき、X線9は、入射角度φ≦全反射臨界角φcrit. の条件でシリコンウエハ1の表面へ入射される。これにより反射X線9のような全反射現象が生ずる。このような検出を、シリコンウエハ1を回転させるかあるいは平行移動させながら、シリコンウエハ1表面の全域で行う。
【0025】
次に、図2に示すように、得られた蛍光X線の検出位置からシリコンウエハ1表面上の微粒子状の残渣2、即ち、金属汚染物の位置情報を得、シリコンウエハ1表面上の金属汚染物の面内分布を検出する。なお、シリコンウエハ1上に示された破線X,Yは、シリコンウエハ1表面の二次元座標軸を表している。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分に同一の符号を付す。
【0027】
先ず、この発明の実施形態によるTXRF法による分析を行うための前処理装置、及びTXRF装置について説明する。
【0028】
図3は、TXRF法による分析を行うための前処理装置の概略構成図である。
【0029】
図3の分析前処理装置は、テフロン(登録商標)製のチャンバー11、電磁弁A,B、被測定体設置用ステージ12、石英ガラス製ヒータステージ13、開閉シャッター付エッチング溶液用タンク14、温度計センサー15、膜厚センサー16、膜厚モニター17、及び制御部18を備えて構成されている。
【0030】
図4は、図3の前処理装置に示した被測定体設置用ステージ12部の概略断面図である。
【0031】
図4の被測定体(例えばシリコンウエハ)設置用ステージ12部は、シリコンウエハ1表面上に付着するエッチング蒸気量を感知する付着量モニター用の水晶振動子センサーである。この被測定体(例えばシリコンウエハ)設置用ステージ12部は、電極部19A,19B、共振回路部20、ATカット水晶板21、及び周波数モニター部22を備えて構成されている。
【0032】
被測定体設置用ステージ12部は、圧電特性を用いた結晶の共振周波数が、表面に付着した液量に比例してずれることを利用して付着液量を測定するもので、約0.5ng/cm2 程度の感度がある。なお、付着量Δmは、共振周波数fとする場合、Δm=1/f2 となる。
【0033】
開閉シャッター付エッチング溶液用タンク14のシャッターの開閉は、温度計センサー15と被測定体設置用ステージ12部の周波数モニター部22と電気的に結合して制御部18にて自動制御されている。即ち、開閉シャッター付エッチング溶液用タンク14内のエッチング液の液温が設定温度(値)で一定になれば、温度計センサー15からの信号を受けた制御部18からの信号でシャッターが開き、また被測定体表面に付着するフッ酸蒸気量が設定した規定量になれば、周波数モニター部22からの信号を受けた制御部18からの信号でシャッターが閉じる。また、電磁弁A,Bについても、被測定体設置用ステージ12部の周波数モニター部22と電気的に結合して制御部18にて自動制御されている。即ち、被測定体表面に付着するフッ酸蒸気量が設定した規定量になれば、被測定体設置用ステージ12部の周波数モニター部22からの信号を受けた制御部18からの信号で電磁弁A,Bが開き、パージ用ガス(例えば、窒素N2)によってフッ酸蒸気を排気する。
【0034】
なお、上記各部の動作制御は、手動制御でも可能である。
【0035】
図5は、本発明の実施形態によるTXRF装置の概略構成図である。
【0036】
図5の分析装置は銅、タングステン、モリブデン、金などをソースとしてX線を発生させる回転対陰極32と、この回転対陰極32にて発生されたX線から特定波長のX線を抽出するモノクロメータ33とを備えて構成されている。
【0037】
回転対陰極32にて発生されたX線は、モノクロメータ33で特定波長のX線が抽出され、小さな入射角で、回転式試料台31の上に置かれたシリコンウエハ1の表面に照射される。
【0038】
回転式試料台31は、平面的な移動、および正確な入射角度設定が可能なステージである。回転式試料台31の上方には、粒子状の残渣2(図示せず)が発した蛍光X線を検出する固体検出器(Solid State Detector: SSD)34が取りつけられている。固体検出器(SSD)34はプリアンプ35、リニアアンプ36、A/Dコンバーター37を介してパーソナルコンピューター(PC)38に結合されていて、検出された蛍光X線のスペクトルデータを収集する。
【0039】
図6は、TXRF法による分析を行っている際、X線がシリコンウエハ1に照射された時の概略断面図である。
【0040】
図6の入射X線は、入射角度φ≦全反射臨界角φcrit. の条件でシリコンウエハ1の表面へ入射される。例えば、シリコン(Si)に対するWLβ線(9.67keV)の全反射臨界角は0.18°であるため、例えば、φ≦0.04°となる。これにより、残渣2から蛍光X線、シリコンウエハ1の表面から反射X線が発生し、全反射現象を生ずる。
【0041】
また、回転対陰極32(図示せず)にて発生されたX線(例えば、WLβ線)は、その縦幅値及び入射角を変えることにより、シリコンウエハ1上に照射する領域を制御することが可能である。
【0042】
また、例えば、上記のタングステンのかわりに銅(Cu)ターゲットを用いた場合は、同様に、銅の回転対陰極32からモノクロメータ33によりCuKα線(8.04keV)のみ取り出され、このときのシリコンウエハ1の表面への入射X線は、CuKα線(8.04keV)のシリコン(Si)に対する全反射臨界角0.22°より小さい入射角度となる。
【0043】
図7は、本発明のTXRF法による分析を行っている際、X線がシリコンウエハ1(例えば直径6インチ=152.4mm)に照射され、蛍光X線が固体検出器(SSD)34で検出された時の概略断面図である。
【0044】
図7の断面図に幅(縦幅)が広げられたX線、6インチシリコンウエハ1、固体検出器(SSD)34、プリアンプ35、リニアアンプ36、A/Dコンバーター37、及びパーソナルコンピューター(PC)38を示す。
【0045】
例えば、縦幅0.10mmで取り出されたX線の場合に、入射角はWLβ線(9.67keV)のシリコン(Si)に対する全反射臨界角0.18°の1/5の0.036°を用いると、シリコンウエハ1上で進行方向に0.10mm/sin(0.036°)=159 mmに広がり、これにより、バラツキ誤差も含めても6インチシリコンウエハ1の全領域にX線を照射することが可能となる。また、例えば、シリコンウエハ1が直径8インチ(203mm)の場合、縦幅0.15mmで取り出されたX線の入射角は、WLβ線(9.67keV)のシリコン(Si)に対する全反射臨界角0.18°の1/5の0.036°を用いると、シリコンウエハ1上で進行方向に0.15mm/sin(0.036°)=238 mmに広がり、8インチシリコンウエハ1の全領域にX線を照射することが可能となる。ただし、このときのX線の横幅は、通常約10mm程度で一定である。
【0046】
固体検出器(SSD)34は、複数の分光素子39を有して構成される。その構成方法は、1分光素子39の径(φ:mm)を考慮して、シリコンウエハ1の直径方向でその領域をカバーできるように分光素子39の数量を決め、複数の分光素子39を直線的に配置することが可能である。例えば、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1では、X線のシリコンウエハ1上で入射進行方向上に10mmφ径の分光素子39を20個有する構成となる。これにより、蛍光X線により分光素子39中に発生した電荷が(図示せず)プリアンプ35、リニアアンプ36で増幅された後、A/Dコンバーター37でAD変換され、PC38で20チャンネル同時に波長スペクトルが収集される。
【0047】
また、図5のTXRF装置を用いてシリコンウエハ1表面の全域を測定する場合は、X線がその全域に照射できるようX線の横幅(約10mm程度)を考慮して、回転式試料台31を任意の角度毎に回転させるかあるいは平行移動させながら必要回数測定を繰り返す。例えば、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1では、回転式試料台31を5°毎に回転させて測定し、それを36回繰り返すことになる。このときの上述したように固体検出器(SSD)34は、X線の進行方向でシリコンウエハ1の中心を通る直線上に10mmφ径の分光素子が20個、シリコンウエハ1表面に平行配置された構成となる。よって、1回の測定で同時に20チャンネルの波高スペクトルデータが得られ、8インチシリコンウエハ1表面の全域で20×36チャンネルの波高スペクトルデータがPC38に収集されることになる。これにより、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1表面の蛍光X線の面内分布を得ることが可能になる。
【0048】
また、例えば、固体検出器(SSD)34の代わりに分光結晶と位置敏感比例計数管を用いて測定することも可能である。
【0049】
図8は、本発明のTXRF法による分析を行っている際、X線が8インチシリコンウエハ1に照射され、蛍光X線が分光結晶41を用いて位置敏感比例計数管42で検出された時の概略断面図である。
【0050】
図8に図7の断面図に幅(縦幅)が広げられたX線、6インチ(直径:152.4mm)シリコンウエハ1、ソーラースリット40A,40B、分光結晶41、位置敏感比例計数管(Position Sensitive Proportion Counter: PSPC)42を示す。
【0051】
図8のように蛍光X線の検出位置は、入射X線の進行方向でシリコンウエハ1の中心を通る直線上に、シリコンウエハ1表面に平行配置されたソーラースリット40Aと、位置敏感比例計数管(PSPC)42前のソーラースリット40Bとにより決められる。位置敏感型比例計数管42で得た蛍光信号は、プリアンプ35及びリニアアンプ36(図示せず)で電気信号に変換され、A/Dコンバーター37(図示せず)でAD変換されて、パーソナルコンピューター(PC)38(図示せず)に波高スペクトルデータとして収集される。
【0052】
次に、上述したように構成された前処理装置及びTXRF装置を用いて行うTXRF方法の第1の例について説明する。
【0053】
図3の分析前処理装置を使用して、8インチシリコンウエハのTXRF分析の前処理を行う。
【0054】
先ず、図3の前処理装置のチャンバー11へ被測定体である8インチシリコンウエハ1を搬送し、それを被測定体設置用ステージ12上に表面を上に設置する。
【0055】
次に、以下の表1に示すように前処理条件を設定する。
【0056】
【表1】
【0057】
これにより、上記設定した前処理条件に基づいて、上述したように制御部17により、開閉シャッター付エッチング溶液用タンク13のシャッター及び電磁弁A,Bの開閉が適宜自動制御され、8インチシリコンウエハ1表面に規定した0.2μg/cm2の液滴が付着する。
【0058】
次に、この液滴を動かさずに、そのまま乾燥させる。この結果、8インチシリコンウエハ1表面にはシリコン(Si)を含む微粒子状の残渣2(高さ:50nm)を得、金属汚染元素はその中に濃縮される。また、例えば、周波数モニター部22の設定付着量を調整することにより、微粒子状の残渣2の高さを制御することが可能である。
【0059】
次に、表面に微粒子状の残渣2を得た8インチシリコンウエハ1を、図5のTXRF装置のチャンバー30へ搬送し、回転式試料台31の上に表面を上に設置する。
【0060】
次に、TXRFの測定条件は以下の表2に示すように設定する。
【0061】
【表2】
【0062】
この結果、設定条件に基づいて、上述したように1回の測定でシリコンウエハ1への入射X線進行方向上に同時に20チャンネルの波高スペクトルデータを得、8インチシリコンウエハ1表面の全域で20×36チャンネルの波高スペクトルデータがPC38に収集され、これにより、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1表面上の微粒子状の残渣2の面内分布を得る。
【0063】
また、例えば、上述した前処理条件を変化させることにより、微粒子状の残渣2の高さを制御することが可能である。即ち、周波数モニター部21の設定付着量を調整することによって、シリコンウエハ1表面に得る微粒子状の残渣2の高さを制御することができる。そこで、微粒子状の残渣2の高さと蛍光X線強度特性の関係を求める。
【0064】
図9は、図3の前処理装置及び図5のTXRF装置において、シリコンウエハ1表面の残渣2の高さ毎の蛍光X線強度特性を示したグラフである。
【0065】
図9の横軸は、全反射臨界角(θc)に対する入射角(θ)の角度比(θ/θc)であり、縦軸は、入射X線に対する残渣2の蛍光X線の強度比である。ここで、全反射臨界角(θc)は、WLβ線(9.67keV)のシリコン(Si)に対する角度0.18°を用いる。
【0066】
図9に示す曲線Iの特性は高さが0nmのときのものであり、同様に、曲線IIに示される特性は高さが10nmのとき、曲線IIIに示される特性は高さが50nmのとき、曲線IVに示される特性は高さが1000nmのときにそれぞれ、得られたものである。
【0067】
ただし、残渣2の高さが0nmの特性とは、即ち、シリコンウエハ1表面に残渣2が存在していない状態のときの蛍光X線強度特性であり、これはバックグランド特性と解される。これより、充分な定量分析精度を得るためには、バックグランドの値が小さく、バックグランド特性を示す曲線Iに対して、その蛍光X線強度特性が2倍以上の特性を有すること、即ち、残渣2の高さが50nm以上が好ましい。また、同様に、充分な定量分析精度を得るためには、X線の入射角がシリコンの全反射臨界角の1/2以下が好ましい。
【0068】
次に、同様にして、TXRF方法の第2の例について説明する。
【0069】
この例では上述の第1例と同様の手法によるものであり、図3の分析前処理及び図5のTXRF分析装置を用いて、第1例の分析前処理においては、フッ酸(濃度50%)水溶液を45℃に加熱したエッチング蒸気を用いるが、フッ硝酸(混合比はフッ酸50%水溶液:硝酸60%水溶液=10:1)水溶液を100℃に加熱して用いるようにしたものである。また、第1例においては、図5のようにタングステンの回転対陰極32からモノクロメータ33によりLβ線(9.67keV)のみを取り出しているが、タングステンのかわりに銅(Cu)ターゲットを用いるようにしたものである。また、第1例においては、複数の分光素子で構成された固体検出器(SSD)34で検出しているが、分光結晶、即ち、リチュウムフロライド(LIF)を用いて、シリコンウエハ1付近のソーラースリット40Aと位置敏感比例計数管(PSPC)42前のソーラースリット40Bで蛍光X線の測定位置を決め、位置敏感型比例計数管(PSPC)42で蛍光X線を検出するようにしたものである。
【0070】
先ず、図3の分析前処理装置を使用して、8インチシリコンウエハのTXRF分析の前処理を行う。
【0071】
図3の前処理装置のチャンバー11へ被測定体である8インチシリコンウエハ1を搬送し、それを被測定体設置用ステージ12上に表面を上に設置する。
【0072】
次に、以下の表3に示すように前処理条件を設定する。
【0073】
【表3】
【0074】
この結果、8インチシリコンウエハ1表面に規定した0.2μg/cm2の液滴が付着する。
【0075】
次に、この液滴を動かさずに、そのまま乾燥させ、8インチシリコンウエハ1表面に金属汚染元素を含んだ微粒子状の残渣2(高さ:50nm)を得る。 次に、表面に微粒子状の残渣2(高さ:50nm)を得た8インチシリコンウエハ1を、図5のTXRF装置のチャンバー30へ搬送し、回転式試料台31の上に表面を上に設置する。
【0076】
次に、TXRFの測定条件は以下の表4に示すように設定する。
【0077】
【表4】
【0078】
この結果、設定条件に基づいて、上述したように1回の測定でシリコンウエハ1への入射X線進行方向上に同時に20チャンネルの波高スペクトルデータを得、8インチシリコンウエハ1表面の全域で20×36チャンネルの波高スペクトルデータがPC38に収集され、これにより、8インチ(直径:203mm)シリコンウエハ1表面上の微粒子状の残渣2の面内分布を得ることができる。
【0079】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0080】
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、材料はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、材料を用いてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態においては、例えば、また、同様に、フッ酸過酸化水素(混合比はフッ酸50%水溶液:過酸化水素60%水溶液=3:1)水溶液を100℃に加熱してエッチング蒸気に用いるようにしてもよい。
【0082】
また、上述の実施形態においては、図5のようにタングステンの回転対陰極32からモノクロメータ33によりLβ線(9.67keV)のみを取り出しているが、測定対象の元素により、タングステン及び銅のかわりにモリブデン、銀、又は金ターゲットを用いるようにしてもよい。
【0083】
また、例えば、上述の実施形態においては、複数の分光素子で構成された固体検出器(SSD)34で検出しているが、分光結晶、例えばリチュウムフロライド(LIF)、ペンタエリトリトール(PET)、又はゲルマニウム(Ge)を用いて、シリコンウエハ1付近のソーラースリット40Aと位置敏感比例計数管(PSPC)42前のソーラースリット40Bで蛍光X線の位置を決め、位置敏感型比例計数管(PSPC)42で検出するようにしてもよい。
【0084】
(付記1) シリコンウエハ表面に付着した金属汚染物を検出するための全反射蛍光X線分析方法であって、
エッチング液を加熱し、発生したエッチング蒸気を該シリコンウエハ表面に接触させる工程と、
該エッチング蒸気の供給を制御して、該シリコンウエハ表面に、該金属汚染物を含んだ該エッチング液による液滴を形成する工程と、
該液滴を乾燥させ、該金属汚染物による微粒子状の残渣を形成する工程と、
該シリコンウエハにX線を照射して、全反射蛍光X線分析法により該残渣からの蛍光X線を検出する工程と、
該蛍光X線の検出位置から該シリコンウエハ表面上の該金属汚染物分布を検出する工程とを有することを特徴とする全反射蛍光X線分析方法。(1)
(付記2) 付記1に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記エッチング液の供給量の制御工程は、
前記エッチング蒸気が発生するように前記エッチング液を加熱し且つ一定の液温で保温する工程と、
該シリコンウエハ表面に付着する該エッチング蒸気の量をモニターする工程と、
モニターした前記エッチング蒸気の量が規定量になったときに、該エッチング蒸気の発生を止めるようにするとともに、該エッチング蒸気をパージし且つ排気する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の全反射蛍光X線分析方法。(2)
(付記3) 付記1乃至付記5に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記金属汚染物分布を検出する工程は、
前記X線を規定の入射角度で、且つ該シリコンウエハ表面の中心を通る直線上であって、少なくとも該中心から該シリコンウエハの端まで覆うX線照射領域に照射する工程と、
該X線の照射による前記残渣からの蛍光X線を、該シリコンウエハを任意の角度毎に回転させるかあるいは平行移動させることにより、該シリコンウエハ表面全域で該残渣の位置を検出する工程と、
該残渣の位置から該シリコンウエハ表面上の該金属汚染物分布を検出する工程とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の全反射蛍光X線分析方法。(3)
(付記4) 付記1乃至付記3に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記エッチング溶液は、フッ酸、硫酸、硝酸、過酸化水素水、アンモニア水、及びその混合液を用いる全反射蛍光X線分析方法。
【0085】
(付記5) 付記1乃至付記4に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記金属汚染物の微粒子状の残渣を少なくとも50nm以上とする全反射蛍光X線分析方法。
【0086】
(付記6) 付記1乃至付記5に記載の全反射蛍光X線分析方法であって、
前記低角度が少なくとも前記入射X線の前記シリコンウエハに対する全反射角度の1/2以下とする全反射蛍光X線分析方法。
【0087】
(付記7) 付記3に記載の全反射蛍光X線分析方法において、
前記X線照射領域は、前記シリコンウエハの半径以上の長さを有する領域である全反射蛍光X線分析方法。
【0088】
(付記8) シリコンウエハ及びエッチング液を収容し、該シリコンウエハ表面の分析前処理を行う分析前処理チャンバーであって、
該シリコンウエハを保持し且つ該シリコンウエハ表面に付着する該エッチング蒸気の量のモニター機構を有するシリコンウエハ設置用ステージと、
該エッチング液を収容し且つその液温を制御する機構を有する開閉シャッター付タンクと、
該タンクを保持し且つ加熱する機構を有するヒーターステージと、
該エッチング蒸気の量をモニターし、該エッチング蒸気の量が規定量になるように、該タンクの該シャッターの開閉を行って前記エッチング蒸気の発生を制御する制御手段とを備えることを特徴とする全反射蛍光X線分析前処理装置。(4)
(付記9) 付記8に記載の全反射蛍光X線分析前処理装置において、
さらに、前記チャンバーに不活性ガスを導入する機構を有する電磁弁付ガス導入管と、
前記チャンバー内の雰囲気を排気する機構を有する電磁弁付排気管とを備え、該ガス導入管及び該排気管の電磁弁の開閉を制御して、前記チャンバー内のエッチング蒸気をパージ且つ排気を行う全反射蛍光X線分析前処理装置。
【0089】
(付記10) 付記8または付記9に記載の全反射蛍光X線分析前処理装置であって、
前記エッチング液量モニター機構は、水晶振動子センサーを用いている全反射蛍光X線分析前処理装置。
【0090】
(付記11) 金属ターゲットをソースとしてX線を発生させるX線発生源と、
該X線発生源から特定波長の一次X線を抽出するモノクロメータと、
シリコンウエハを収容し、該モノクロメータから該一次X線を受け入れて該シリコンウエハ表面に入射させるチャンバーを有し、該チャンバーは、該シリコンウエハを保持し、且つ平面的な移動及び該一次X線の入射角度設定が可能な試料台と、
該試料台の上方にあって該シリコンウエハ表面からの蛍光X線を検出するX線検出器とを備える全反射蛍光X線分析装置において、
該X線検出器は、該シリコンウエハ表面の中心を通る直線上であって、少なくとも該中心から該シリコンウエハの端まで覆う一次X線照射領域において、
該シリコンウエハ表面に対して平行に分光素子が複数配置されていることを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。(5)
(付記12) 付記11に記載の全反射蛍光X線分析装置であって、
前記金属ターゲットは、タングステン、銅、モリブデン、銀、又は金ターゲットを用いる全反射蛍光X線分析装置。
【0091】
(付記13) 付記11に記載の全反射蛍光X線分析装置であって、
前記分光素子のかわりに分光結晶を用いる全反射蛍光X線分析装置。
【0092】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、TXRF法による測定を実施する前にエッチング蒸気処理を行って、規定の液量をシリコンウエハ表面に付着させることにより、シリコンウエハ表面の状態に関係なく再現性に優れる同一の形状や高さを有する表面金属汚染物の残渣がもたらされ、且つ、これを高感度で検出あるいは定量分析することが可能となる。また、大表面積を有するシリコンウエハ表面の表面金属汚染物の残渣の面内分布測定をも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明に係るTXRF方法の主要な工程を示した断面図である。
【図2】は、シリコンウエハ表面上の金属汚染物の位置情報を示す斜視図である。
【図3】は、TXRF法による分析を行うための前処理装置の概略構成図である。
【図4】は、被測定体設置用ステージ部の概略断面図である。
【図5】は、本発明の実施形態によるTXRF装置の概略構成図である。
【図6】は、TXRF法による分析を行っている際、X線がシリコンウエハ1に照射された時の概略断面図である。
【図7】は、本発明のTXRF法による分析を行っている際、X線が8インチシリコンウエハに照射され、蛍光X線が固体検出器(SSD)で検出された時の概略断面図である。
【図8】は、本発明のTXRF法による分析を行っている際、X線が8インチシリコンウエハに照射され、蛍光X線が分光結晶を用いて位置敏感比例計数管で検出された時の概略断面図である。
【図9】は、図3の前処理装置及び図5のTXRF装置において、シリコンウエハ1表面の残渣2の高さ毎の、蛍光X線強度特性を示したグラフである。
【図10】は、従来の支持棒誘導液相溶解法の工程を示す概略図である。
【符号の説明】
1,101 シリコンウエハ
2 残渣
5 エッチング蒸気
6 エッチング液
12 被測定体設置用ステージ
18 制御部
22 周波数モニター部
34 固体検出器(SSD)
39 分光素子
40A,B ソーラースリット
41 分光結晶
42 位置敏感比例計数管
Claims (5)
- シリコンウエハ表面に付着した金属汚染物を検出するための全反射蛍光X線分析方法であって、
エッチング液を加熱し、発生したエッチング蒸気を該シリコンウエハ表面に接触させる工程と、
該エッチング蒸気の供給を制御して、該シリコンウエハ表面に、該金属汚染物を含んだ該エッチング液による液滴を形成する工程と、
該液滴を乾燥させ、該金属汚染物による微粒子状の残渣を形成する工程と、
該シリコンウエハにX線を照射して、全反射蛍光X線分析法により該残渣からの蛍光X線を検出する工程と、
該蛍光X線の検出位置から該シリコンウエハ表面上の該金属汚染物分布を検出する工程とを有することを特徴とする全反射蛍光X線分析方法。 - 前記エッチング液の供給量の制御工程は、
前記エッチング蒸気が発生するように前記エッチング液を加熱し且つ一定の液温で保温する工程と、
該シリコンウエハ表面に付着する該エッチング蒸気の量をモニターする工程と、
モニターした前記エッチング蒸気の量が規定量になったときに、該エッチング蒸気の発生を止めるようにするとともに、該エッチング蒸気をパージし且つ排気する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の全反射蛍光X線分析方法。 - 前記金属汚染物分布を検出する工程は、
前記X線を規定の入射角度で、且つ該シリコンウエハ表面の中心を通る直線上であって、少なくとも該中心から該シリコンウエハの端まで覆うX線照射領域に照射する工程と、
該X線の照射による前記残渣からの蛍光X線を、該シリコンウエハを任意の角度毎に回転させるかあるいは平行移動させることにより、該シリコンウエハ表面全域で該残渣の位置を検出する工程と、
該残渣の位置から該シリコンウエハ表面上の該金属汚染物分布を検出する工程とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の全反射蛍光X線分析方法。 - シリコンウエハ及びエッチング液を収容し、該シリコンウエハ表面の分析前処理を行う分析前処理チャンバーであって、
該シリコンウエハを保持し且つ該シリコンウエハ表面に付着する該エッチング蒸気の量のモニター機構を有するシリコンウエハ設置用ステージと、
該エッチング液を収容し且つその液温を制御する機構を有する開閉シャッター付タンクと、
該タンクを保持し且つ加熱する機構を有するヒーターステージと、
該エッチング蒸気の量をモニターし、該エッチング蒸気の量が規定量になるように、該タンクの該シャッターの開閉を行って前記エッチング蒸気の発生を制御する制御手段とを備えることを特徴とする全反射蛍光X線分析前処理装置。 - 金属ターゲットをソースとしてX線を発生させるX線発生源と、
該X線発生源から特定波長の一次X線を抽出するモノクロメータと、
シリコンウエハを収容し、該モノクロメータから該一次X線を受け入れて該シリコンウエハ表面に入射させるチャンバーを有し、該チャンバーは、該シリコンウエハを保持し、且つ平面的な移動及び該一次X線の入射角度設定が可能な試料台と、
該試料台の上方にあって該シリコンウエハ表面からの蛍光X線を検出するX線検出器とを備える全反射蛍光X線分析装置において、
該X線検出器は、該シリコンウエハ表面の中心を通る直線上であって、少なくとも該中心から該シリコンウエハの端まで覆う一次X線照射領域において、
該シリコンウエハ表面に対して平行に分光素子が複数配置されていることを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。
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