JP4612355B2 - 毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法 - Google Patents

毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定元素の含有量を測定して被検者の健康状態を検査する体調検査方法に関し、更に詳細には、被検者に対する特定元素の濃度を測定し、健常人の濃度と比較して検査するカルシウム代謝異常の検出方法に関する。

現代社会は種々の問題を抱えており、健康に関する問題もその一つである。科学技術の進歩した現代において我々は新規物質の恩恵に浴しているが、この新規物質が有する有害作用の攻撃にもさらされている。典型的な現代病であるアレルギー疾患の罹患数の急激な増加から、健康を維持するにも限界があることが推測される。従って、現代社会で健康に生活するには、自分の健康状態を常に把握し、健康状態の異常を早く知ることが重要になる。
従来から簡易な体調の診断方法として、被検者の顔色から診断するとか、皮膚や爪など体の一部分の状態から診断することが一般によく行われてきた。確かに、顔色や皮膚の状態は現在の体調の良否を示している。しかし、この診断方法では体調の良否の程度を客観的に判断することができないし、どれくらい以前から異常状態が発生していたのかを知ることもできない。従って、体調の変化を客観的に、しかも現時点の異常だけでなく過去の異常発生時点を測定できる診断方法が要求される。
体調は日々変化しているが自覚することは少ないから、この体調の変化を客観的に数値化して表すことが望まれる。体調の変化を客観的に数値化するには血液等を採取して、これを分析しなければならない。分析の結果は現時点での血液を構成する元素含有量であって、時間経過による変化量ではない。従って、検査の結果異常であることが判明しても、その異常の発生時期や経過時間を正確に把握できないし、血液は恒常性を維持する働きがあり、不健康でも異常を示さない場合も多い。また、血液を採取し、分析するには苦痛と時間と多大の費用が必要になる。
人体は29種類の元素で構成されており、その大部分は水であるから、水素が半分以上(60.3%)を占め、酸素が25%、炭素が10.5%、窒素が2.4%で、この4種類の元素で98.2%を占めている。これら以外の微量元素は無機質であり、一般にミネラルと呼ばれており、例えば鉄、銅、カルシウム、マグネシウム等である。従って、これらの微量元素、特に生命活動において重要な働きをしている微量元素の変化を分析すれば、体調の変化をいち早く知ることができ、有効な対応策を講ずることが可能となる。
中でも、カルシウムは人体の骨格を構成する重要な元素であるが、これ以外にも重要な働きをしている。例えば、カルシウム元素は生体膜に入っていて、この膜の構造を安定させ、生体膜が有する物質透過性を維持している。またカルシウム元素は筋肉の刺激や収縮に関係する神経伝達物質であり、外分泌腺や内分泌腺の刺激と分泌機能にも関係している。
特に、カルシウムが不足すると骨のカルシウムが血液中に溶け出して、血液中のカルシウム濃度を一定に維持しようとし、その結果、カルシウムが不足しているにもかかわらず細胞内のカルシウム濃度を上昇させて、細胞の機能低下を招くという悪循環に陥らせる。これを一般に「カルシウムパラドックス」という。
図15は「カルシウムパラドックス」についての概略説明図である。横軸に骨、血清、細胞内それぞれの項目を表し、縦軸にモル量を表している。カルシウムは骨格の材料になるだけでなく、人体にとって非常に重要な働きをしている。その一つが神経における信号伝達物質としての役割である。それゆえ、血液中のカルシウム濃度[Ca]は骨のカルシウム濃度とバランスして、厳密に一定値(血液1L中に0.1g)に制御されている。以下、リットルの単位をLと表記する。
(15A)は骨、血液、細胞内に含有される正常状態のカルシウムの濃度を示した概念図である。骨のカルシウム濃度[Ca]は血清中の[Ca]の10000倍で、細胞内のカルシウム濃度は血清中の[Ca]の1/10000倍で、細胞内にはカルシウムがほとんど存在していないことが分かる。従って、細胞は情報伝達物質であるカルシウムの濃度変化に迅速に反応し、この反応性により正常に働くことができる。
(15B)は老化又はカルシウム不足状態におけるカルシウム濃度を示した概念図である。血液中のカルシウムが不足すると、カルシウムの巨大貯蔵庫である骨からカルシウムが血液中に溶け出して、血液中のカルシウム濃度を一定にし、神経伝達作用を正常に維持しようとする。それと同時に細胞内にカルシウムが溢れてカルシウム濃度が高くなり、カルシウムによる情報伝達が悪くなって細胞の機能が劣化し、骨粗鬆症だけでなく免疫疾患や糖尿病、高血圧、悪性腫瘍、動脈硬化などのさまざまな病気を惹き起す。このように、カルシウムが不足しているにもかかわらず、細胞内のカルシウム濃度が上昇する現象は一見矛盾した現象であるから、「カルシウムパラドックス」と呼ばれている。
図16は血液中のカルシウム濃度[Ca]が一定値に制御される仕組を説明した概略説明図である。血液中の[Ca]が増加すると甲状腺からカルシトニン(図17ではカルチトニンと表記する)が分泌され、血液(血清)中のカルシウムを骨に預ける。一方、血液中の[Ca]が減少すると副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH:Parathyroid Hormone)が分泌され、骨から血液中へカルシウムが引き出される。PTHは腎臓にも作用してカルシウムの尿への排泄を抑制し、ビタミンDを活性化させて腸からのカルシウム吸収をよくする。この様にPTHは血液中の[Ca]を高めると同時に体内の細胞にカルシウムを溢れさせ、「カルシウムパラドックス」の原因になっている。
「カルシウムパラドックス」は一見矛盾した現象であるがよく考えてみると、人体の生命活動においてカルシウムが非常に重要な役割を担っていることがこれでわかる。従って、簡易な方法でカルシウム不足かどうかを診断できれば体調の変化を予測でき、病気の予兆や経過の判断に役立てることができる。血液中のPTHの濃度を測定すればカルシウム不足かどうかを診断できるが、PTHの濃度は1日周期で変動し、PTH分子は壊れやすい。その上そのフラグメントも機能するので測定が容易ではないし、そのためには血液を採取して検査する必要があり、時間と費用がかかりこれまで普及していない。
従来から毛髪中の元素含有量には個人差があり、同一人の毛髪でも採取場所や時期により元素の含有量は変動するものと考えられてきた。この毛髪中の元素含有量を求めるには、例えば毛髪数グラムを採取して各元素の含有量を原子吸光分析法等で分析して求めていた。しかし、これは毛髪中における元素含有量の平均値を測定するもので、測定値は少なくとも1ヶ月の平均値である。しかも元素の含有量はもっと早く変動しているので、測定時点での値が得られないという欠点があった。
また、毛髪中の元素含有量の分析方法として蛍光X線分析法が好ましいが、この蛍光X線分析法とは電子線やX線を試料に照射して、発生する元素特有の波長を有する蛍光X線を検出して、試料に含まれる元素の種類と量を測定する分析法である。しかし、従来の分析法では照射するX線の波長が広がっているため、発生した蛍光X線と重なり、それがノイズとなるため高い感度が得られず、正確な分析が困難であった。
更に、蛍光X線の強度は、励起ビームが照射している部分の元素の質量に比例して増加するので、毛髪の種類、例えば、太い毛、細い毛、曲がった毛など種々の毛によって測定データが変動する。従って、毛髪1g中に何mgの元素が含まれているのか、即ち、濃度の絶対測定が必要であるが、各試料について照射部位の元素の質量を正確に測定することは困難である。
本発明者は前述問題について研究を重ねた結果、カルシウム不足により「カルシウムパラドックス」が体中のどの細胞でも同様に発生していると推測して、特に毛髪又は体毛の毛根に着目した。毛髪又は体毛は毛根により支えられ、毛根を包む毛母細胞から栄養分を供給されている。従って、この毛根細胞中のカルシウム量を測定すれば、カルシウム不足を把握することができると推測して鋭意研究を重ねた。
その結果、本発明者は、以前に特開2004−45133号(特許文献1)で毛髪又は体毛による体調診断方法を提案し、平成16年1月12日、13日の2日間立命館大学の国際会議において、前記特許文献1の内容を英語で口頭発表した。この診断方法は毛髪又は体毛の毛根に含有されている多くの微量元素を検出して、この元素の含有比率を算出することを特徴としている。
特開2004−45133号公報
前記特許文献1は、毛髪又は体毛の毛根に放射光X線を照射して、毛根に含まれている元素の含有量を測定し、元素の含有比率を求めることにより上記問題の解決を図った。
図17は特許文献1における毛根中の元素含有量のスペクトル図である。横軸にPhoton Energy(keV)を表し、縦軸にIntensity(任意強度)を表している。検出された元素は、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、臭素(Br)、ストロンチウム(Sr)である。これらの元素に固有の光子エネルギー(波長)ごとに発生する、異なるパルスを蓄積してこの蓄積量を蛍光X線の強度として、元素に固有の光子エネルギー(波長)ごとに表している。この蛍光X線の強度は元素含有量に比例しているので、同一人の他の元素蛍光X線強度との比率を求めて、これを元素含有比率としている。
前記特許文献1では毛髪又は体毛の毛根に含有される鉄(Fe)を標準として、他の元素の含有比率を求めているが、毛根中の鉄の含有量が常時一定であると断定できないし、個人個人によってもその含有量は異なる。従って、この方法で求められた元素含有比率の変化による診断方法は厳密性に欠けるし、他の健常人の元素含有比率との比較による診断も正確性を欠いている。
また、特許文献1では毛髪又は体毛の毛根に限定し、毛根の元素含有量を測定して体調診断することを特徴としている。毛根は毛母細胞に包まれているので、体調の変化を明瞭に映し出していると考えられる。しかし、毛根に含まれる元素含有量は現時点の含有量で、過去の時点の含有量ではない。従って、特許文献1に記載の毛髪又は体毛の毛根分析では現時点での元素含有量の変化量しか把握できないので正確な体調診断ができない。
本発明者は鋭意研究した結果、元素含有比率に代って元素含有量を対数表示することによりその濃度を相対値として正確に導出できることを発案し、毛髪又は体毛の任意部位を分析すればその時点の元素含有量を測定できることに着眼した。その結果、毛髪中に含まれているカルシウム、鉄、銅、亜鉛、セレン等の重要な元素は各個人に一定に制御され、健常人では皆共通の値になっていることを発見して本発明を完成したものである。
従って、本発明の目的は毛髪又は体毛に含まれる元素の含有量を測定して、この元素含有量が健常人では一定であるという恒常性(ホメオスタシー)に着目し、この恒常性からの変動により体調の診断を行って、食生活の改善やガンのスクリーニングをする方法を提供することである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、毛髪又は体毛の任意部位に含まれる元素の含有量を測定して体調の診断を行う体調診断方法である。
本発明の第2の形態は、毛髪又は体毛の2箇所以上の部位で元素の含有量を測定し、これらの含有量を比較して前記元素含有量の時間変化を導出する体調診断方法である。
本発明の第3の形態は、定期的に採取された毛髪又は体毛を用いて体調の診断を行う体調診断方法である。
本発明の第4の形態は、毛髪又は体毛に含まれる元素含有量と同一人の他の検体に含まれる元素含有量と比較して体調の診断を行う体調診断方法である。
本発明の第5の形態は、被検者の毛髪等に含まれた元素含有量を健常人の毛髪等に含まれた元素含有量と比較して被検者の元素含有量が大きい場合、または小さい場合に被検者の体調が異常であると診断する体調診断方法である。
本発明の第6の形態は、元素含有量が毛髪又は体毛の測定部位の元素含有量から求められた元素濃度である請求項1〜5のいずれかに記載の体調診断方法。
本発明の第7の形態は、毛髪又は体毛の測定部位に励起ビームを照射し、その測定部位から放射される蛍光X線を測定して、この蛍光X線強度から元素濃度を導出する体調診断方法である。
本発明の第8の形態は、蛍光X線強度(P)を常用対数表示し、この常用対数表示値(logP)から元素種に依存しないバックグラウンド値(logS)を差し引いた量(logP−logS)を元素濃度とする体調診断方法である。
本発明の第9の形態は、被検者に対する元素濃度を被検者濃度(logP−logS)とし、健常人に対する元素濃度を健常人濃度(logP−logS)stとし、被検者の規格化濃度Mを下式
(logP−logS)/(logP−logS)st=logM
で定義し、この規格化濃度Mに基づいて体調の診断を行う体調診断方法である。
本発明の第10の形態は、元素がCa、Fe、Cu、Zn、Se、Sr、Rbなどの微量元素である体調診断方法である。
本発明の第11の形態は、励起ビームが放射光である体調診断方法である。
本発明の第12の形態は、乳ガンの診断を行う第1形態〜第11形態のいずれかの体調診断方法である。
本発明の第13の形態は、精密検査を併用する第1形態〜第11形態のいずれかの体調診断方法である。
本発明の第1の形態によれば、毛髪又は体毛の任意部位に含まれる元素の含有量を測定して体調の診断を行うことができる。特許文献1では毛髪又は体毛の毛根に限定して分析を行った。従って、毛根中の元素含有量は現時点での元素含有量であるから、診断の結果は現在の体調変化しか判明しない。本発明は毛髪又は体毛の毛根を分析すれば現時点の、任意部位を分析すればその時点の元素含有量を測定できることに着目して完成させたものである。毛髪又は体毛は毛根から成長しているので、その任意部位は過去の毛根の元素含有量を克明に反映している。従って、毛髪の任意部位を分析すればその時の元素含有量を測定でき、毛根を分析すれば現在の元素含有量を測定でき、体調の変化を過去に遡って把握することができる。その結果、本発明の体調診断方法は体調変化の発生時期を把握することができるので、病気の予兆や経過の診断に役立てることができる。また、毛髪又は体毛は固形物であるので取扱が容易で、元素の含有量を分析するには最適であり、定期的に大量の診断を容易に行うことができる。よって、毛髪又は体毛による体調の診断は極めて有効な診断方法である。
本発明の第2の形態によれば、毛髪又は体毛の2箇所以上の部位で元素含有量を測定し、これらを比較して元素含有量の時間変化量を導出することができる。従って、1本の毛髪分析により過去に遡った記録、即ち元素含有量の履歴情報を簡易に調べることができる。毛根部の分析は現在の情報を与え、毛髪先端部に行くに従って過去の情報を分析することができる。毛髪1cmが約1ヶ月に相当するから、毛根から12cmはなれた先端部は1年前の情報を与える。その結果、現時点では元素含有量に異常がなくとも過去の時点で何らかの異常があるかどうかを調べることができるだけでなく、異常発生からの経過時間や元素含有量の時間変化量を把握できるので病気の予兆や経過を診断する上で重要な判断基準となる。
本発明の第3の形態によれば、定期的に採取された毛髪又は体毛を用いて体調の診断を行うことができるので、現在の毛髪に含まれる元素含有量の履歴情報だけでなく、更に過去に遡った履歴情報を調べることができる。1本の毛髪等に含まれる元素含有量の履歴情報はその長さに比例する。長い毛髪は長期間の情報を有し、短い毛髪は短期間の情報を有している。従って、毛髪等の長さに応じて定期的に毛髪等を採取すれば、長期間に亘る体調の変化を調べることができるので、体調異常の発生時期を正確に把握することができる。その結果、体調異常の原因を突き止めることができ、日常の健康管理や病気の予防に役立てることができる。また、毛髪等の定期的採取回数を多くすれば、整髪料等に含まれる化学物質や時間経過による毛髪の元素含有量の変化を少なくでき、正確な変化量を測定できる。また、染毛剤には微量元素が含まれていて、それが毛髪に入る。たとえば、カルシウムは毛髪中のカルシウムとペアを組んで入る性質があり、それを利用して染毛剤の効果を差し引くことができる。
本発明の第4の形態によれば、毛髪又は体毛に含まれる元素含有量と同一人の他の検体に含まれる元素含有量と比較して体調診断を行うことができる。本発明の体調診断方法により、毛髪に含まれる元素含有量の健常値からの変動だけでなく、同一人の毛髪又は体毛以外の他の検体、例えば血液や組織片などに含まれる元素含有量との関係を把握し、より正確な分析ができる。従って、毛髪に含まれる特定元素の含有量の分析だけでは判断できない元素含有量の異常について、同一人の他の検体に含まれる元素含有量との関係を分析して正確な診断が可能となる。
本発明の第5の形態によれば、被検者の測定された元素含有量が健常人の元素含有量より大きい場合に、または小さい場合に異常と診断することができる。本発明者は、健常者における毛髪中の元素の含有量が一定に制御されていて、健康な人に共通の値になっていることを発見した。この恒常性(ホメオスタシー)からの変動で体調の変化をいち早く調べることを発案して、本発明を完成したものである。従って、健常時においては各人の元素含有量がほぼ同一であるから、これと比較して大きい場合または小さい場合に何らかの異常があると診断できる。この異常の原因を調べることにより病気の予防に役立てることができる。
本発明の第6の形態によれば、測定された元素含有量が毛髪又は体毛の測定部位の元素濃度であるから、同一人の他の検体に含まれる元素含有量や健常人の元素含有量と比較でき、それぞれの比例関係を調べることができる。測定される毛髪又は体毛の太さは種々様々であるから、元素含有量として質量やモル量をとった場合に健常者であっても相互に異なる。そこで本形態では元素含有量として元素濃度を採用し、例えば毛髪の単位質量当たりの元素質量をとれば、健常者間ではほぼ一致する筈である。従って、被検者の元素濃度を健常濃度と比較することにより正確な体調診断を行うことが可能になる。毛髪又は体毛の元素濃度と同一人における毛髪又は体毛以外の他の検体に含まれる元素濃度や健常人の元素濃度との関係から正確な体調診断ができる。
本発明の第7の形態によれば、毛髪又は体毛の測定部位から放射される蛍光X線を測定して元素濃度を導出できるので、正確な元素濃度を知ることができる。蛍光X線分析では、対比すべき試料をできるだけ同一条件で分析することが望まれる以外、他の条件に制約されることなく分析を実行することができる。従って、得られた分析結果は非常に精度が高く、比較試料として十分使用することができる。また、分析者の能力や分析時の条件に関係なく分析できるので、正確な元素分布データを得ることができる利点がある。
本発明の第8の形態によれば、蛍光X線強度(P)を常用対数表示し、この常用対数表示値(logP)から元素種に依存しないバックグラウンド値(logS)を差し引いた量(logP−logS)を元素濃度とすることができる。logP−logS=log(P/S)であるから、このP/Sは元素の濃度値を与えており、蛍光X線強度(P)を対数表示すれば、元素の濃度を容易に導出できる。毛髪の太さに応じて蛍光X線強度(P)は大小変化するが、単位質量当たりの強度をNとするとP=SNとなる。ここでSは毛髪の太さに応じて変化する比例定数である。従って、常用対数表示すると以下のようになる。
P=SN ∴logP=logSN=logN+logS
logSは蛍光X線強度における波長依存性のないバックグランドである。従って、蛍光X線強度(P)を常用対数表示(logP)し、バックグラウンド値(logS)を差し引いた量(logP−logS=logN)を縦軸にとってグラフ化すれば、グラフの高さは元素の濃度(logN)を示すことが分かる。このlogN又はNは前述したように元素濃度に相当し、この元素濃度を比較することによって正確な体調診断が可能になる。
本発明の第9の形態によれば、被検者に対する元素濃度を被検者濃度(logP−logS)とし、健常人に対する元素濃度を健常人濃度(logP−logS)stとし、被検者の規格化濃度Mを下式
(logP−logS)/(logP−logS)st=logM
で定義してこの規格化濃度Mを求めれば、被検者濃度が健常人濃度の何倍であるかを知ることができる。更に、他の検体の規格化濃度M(同一人の)を求めれば、毛髪の元素濃度と他の検体の元素濃度との関係が判明し、正確な元素濃度分析ができる。その結果、恒常値からの変動を数値化でき、明瞭で客観的な体調診断ができる。
本発明の第10の形態によれば、毛髪等に含まれるCa、Fe、Cu、Zn、Se、Sr、Rbなどの生命活動に重要な微量元素を検出してそれぞれの含有量を測定し、元素含有量の変動から体調を診断することができる。Caは骨格を構成する重要な元素としてだけでなく、細胞の信号伝達物質としても極めて重要である。Caが不足すると細胞内のCa量は逆に増加することが分かっている。従って、Ca量の変動を測定すれば、体調の診断ができる。また、肝臓はFe、Cu、Znなどの金属元素が過剰な場合、それを排泄する作用があり、その機能が劣化すると毛髪中のこれらの元素含有量が変化する。また、Se、Sr、Rbなどの微量元素は中枢神経系の高次機能、代謝、免疫、酸化ストレスなど多様な生体機能の調節やホメオスタシスと密接に関連している。従って、それらの元素含有量の変動を測定することにより体調を診断することができる。特に、毛髪等に含まれるCa量を測定すれば容易にCa不足を知ることができ、Ca不足から発生する疾病を予防することができる。
本発明の第11の形態によれば、励起ビームが放射光(X線)であるので極めて精度の高い蛍光X線分析ができる。放射光は強度が非常に高いので、単色化しても十分使用することができる。従って、ノイズの少ない高精度の蛍光X線分析が可能で、本発明の体調診断方法には最適である。また、高指向性と偏向特性を有しているので毛髪のような微小な試料の元素分析には極めて有効である。
本発明の第12の形態によれば、本発明の体調診断方法により乳ガンの診断ができる。本発明の体調診断方法は、現在の元素含有量の変動だけでなく過去の元素含有量の変動を分析できるので、カルシウム代謝異常による疾病、特に乳ガンの発生を診断することができる。また、元素含有量(特にカルシウム濃度)の時間変化量を測定することにより、乳ガンの予兆や経過の診断に役立てることができる。更に、本発明の体調診断方法によりカルシウム不足を回復すれば、骨粗鬆症、高血圧、動脈硬化、悪性腫瘍、免疫疾患等のカルシウム代謝異常による疾病を予防できる。
本発明の第13の形態によれば、精密検査を併用して体調の診断を行うことができる。本発明の体調診断方法により毛髪等に含まれる元素含有量に異常が見つかれば、精密検査、例えば血液検査、X線検査、内視鏡検査等を併用することによって一層正確な体調診断を行うことができる。本発明の体調診断方法は、毛髪等に含まれる元素含有量を測定するだけで、体調の変化を容易に診断することができるので、定期的に行えば体調の異常を一早く知ることができ、病気の予防に役立てることができる。
以下に、本発明の体調診断方法の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
本発明の毛髪又は体毛の元素分析には蛍光X線分析が好ましい。蛍光X線分析には、X線励起蛍光X線分析、電子線励起蛍光X線分析、イオン線励起蛍光X線分析等あるが、本発明においては、放射光励起蛍光X線分析が望ましい。
図1は放射光による蛍光X線分析の概略図である。光速に近い速度まで加速された電子10は、進行方向を変えられる際に進路の接線方向に放射光12を放出する。この放射光12をモノクロメータ(波長単色器)14で単色化して20keVのX線を得る。アルミホイル18で密閉された、施設分離壁16の放射孔から導入された放射光12は、真空誘導路20により方向制御しながら絞られ、更にピンホール22により微細光束に絞られて(例えば0.2×0.2mm)、試料である毛髪26に照射される。アクリルホルダー24の中央には孔があいていて、その孔の中心に毛髪の測定部位を置く。毛髪を通過したX線はそのまま通り抜けて、測定値のバックグラウンドに寄与しないようにする。設置された毛髪26からは蛍光X線が放出され、この蛍光X線は半導体検出器(SSD)28で検出される。この検出された蛍光X線は多チャンネル波高分析器により蛍光X線のエネルギー(波長)毎に分解され、設定した時間(例えば、200秒間)内の光子数が計測される。放射光は一般に、水平面内で直線偏光になっており、この偏光面上では入射方向と直角の方向では原理的に散乱X線の強度がゼロになる。従って、この方向に放出される蛍光X線を測定することによりS/N比を高めている。この計測された光子数をグラフ化したものが図2である。
図2は毛髪(Hair)と血清(Serum)の、X線蛍光分析によるスペクトル図である。横軸は蛍光X線のエネルギー(Photon Energy:keV)を表し、縦軸は200秒間の光子数(Counts/200s)を対数化して表している。毛髪や体毛は毛包の中の毛母細胞で作られ、毛包は血管に取り巻かれていて、血液(血清)から栄養を供給されて毛髪が成長する。そこで血清(Serum)と毛髪(Hair)の元素濃度の関係を調べるため、健康な被検者8人から毛髪と血液を同時に採取した。血液は遠心分離機にかけられ、赤血球と分離して血清を得る。この血清をX線がよく透過する薄いマイラ上に一滴たらし、よく乾燥する。このマイラはポリエステルフィルムを意味する。この乾燥した血清と毛髪の蛍光X線分析を行い、そのスペクトルをバックグラウンドが一致するように重ねて示したのが図2で、これは健康で定常状態にある被検者の場合の典型的な例である。
図2には血清と毛髪に含まれる多くの微量元素のピークが見えている。毛髪中の亜鉛Znのピークは血清中のそれより高くなっている。逆に臭素Brのピークは低くなっている。毛髪と血清のCa、Fe、Cu、Srのピークは重なっている。対数の性質から健康な定常状態ではこれらの元素の毛髪濃度は血清中の濃度に比例しており、しかも比例定数が同じであることが分かる。被検者8人の血清中の元素分布はよく似ており、全員のスペクトルピークはほぼ重なる。このことはこれらの元素は重要で、その濃度は恒常的に一定に制御され、万人共通の元素濃度になっていることが分かる。従って、毛髪中の元素濃度も健康な場合には一定になっているが、不健康になると血清中の濃度は一定に保たれていても毛髪では大きく異なる。つまり、正常値からのずれを増強して毛髪に現れる。
ある元素の蛍光X線スペクトルピークの高さが太い毛ではAで、細い毛ではBであったとすると、比例関係A=αBが成り立つ。ここで、αは比例定数で、αの値を正確に決定することは難しいので対数をとる。すなわち、logA=logaB=logB+loga。もしこの元素の濃度が毛の太さにかかわらず一定であるとすると、二つのピークlogAとlogBはlogαだけずらすことによって重なることになる。
縦軸(光子数)を対数目盛にして、比較したい二枚のスペクトルを重ねて置き、横軸をそろえる。スペクトル図にはバックグラウンドの上にいくつかのピークが出ている。バックグラウンドがよく重なるように1枚を上または下方にずらす。もし、一つのピークが重なれば、そのピークの元素は同じ濃度(毛髪1g中に同じ量の元素)を持つことになる。重ならないピークでの高さの差は濃度が何倍違うかを与えている。
ここでピークの高さをlogP、試料から散乱されるX線によるバックグラウンドをlogSとすると、この元素の濃度は[logP−logS]=log(P/S)で表される。この被検者の濃度[logP−logS]を被検者濃度と呼び、健常人の標準値[logP−logS]stを健常人濃度と呼ぶ。被検者濃度の健常人濃度からのずれを表示するために、測定された値[logP−logS]を次式によって規格化し、この規格化濃度Mの値を対数目盛でプロットした。
[logP−logS]/[logP−logS]st=logM
すなわち、健康な標準値はM=10となる。この方法は、元素の含有量の絶対測定をするものではなく、ある標準値、例えば健康な人の毛髪の元素含有量を標準として、その何倍になっているか、相対測定値が精度良く得られるものである。これにより大勢の毛髪スペクトル図を正確に比較できるだけでなく、たとえば血清のスペクトル図を毛髪のそれと比較して各元素濃度の比例関係を知ることができる。
頭髪にはいつも生える毛と抜ける毛があって、人間特有のヘアサイクルを有し、成長期、退行期、休止期を毛髪一本ごとに勝手にくり返している。成長期は3〜7年といわれている。それが終る頃に毛根部を包む毛包は休止期に入る準備を始める。これが退行期で2〜3週間といわれている。次に休止期に入ると毛は毛包にしばらくとどまるが抜け落ちる。休止期が3〜6ヵ月間続くと再び成長期に入り、毛包は深部に入って活性化し毛が生えてくる。従って、本発明の元素分析では同じ条件の毛髪を用いることが望ましい。
本発明では毛髪(体毛)一本(または、毛根をそろえた束)に細い放射光X線ビーム(例えば0.2×0.2ミリメートル)を照射し、発生する各元素の特性蛍光X線を測定して、元素含有量の恒常性を見出し、その値を標準値として健康状態を判定する。さらに、毛髪(体毛)は一ヵ月に約10mm成長するので、毛根から先端部へと元素の含有量を測定し、その変化の特徴から病気の前兆や経過を診断できる。従って、定期的に、例えば1年ごとに毛髪による体調診断を行えば、数年間に亘る毛髪中の元素含有量を測定して、恒常値からの変動から体調の変化をいち早く知ることができる。その結果、元素含有量の変動から発生する様々の疾病を予防することができる。次に具体的な診断方法について述べる。
図3は被検者の毛髪等に含まれる特定元素を検出して診断する体調診断方法のフロー図である。ステップa1において被検者から毛髪を採取し、次に毛髪の任意部位に励起ビームを照射(a2)し、前記任意部位から放射される蛍光X線のスペクトル分布を測定(a3)する。測定された蛍光X線強度を対数表示(a4)して、特定元素のピーク(logP)に着目(a5)する。この特定元素の被検者濃度[logP−logS]と基準となる健常人濃度[logP−logS]stから比率を算出し、この比率がlogMに相当(a6)する。Mは本発明では規格化濃度と呼ばれ、被検者が健常者の場合にはM=10になる。Mの値が10の近傍であるかどうかを判断(a7)し、近傍の場合には正常と診断(a8)する。近傍で無い場合にはM>>10又はM<<10の判断(a9)に移行する。Mの値が10の近傍より大きい場合、あるいは10の近傍より小さい場合は要注意(a10)と診断し、必要な場合には精密検査(a11)を併用することもある。Mが10より大きく増減している場合には元素濃度異常(a12)として精密検査(a13)が必要になる。前記任意部位が毛根であれば現在の体調診断が行え、毛根から離れた部位であれば過去の時点、即ちその部位が毛根位置に存在した時点の体調診断になる。このように、現在又は過去の元素分布が測定できる点に本発明の特徴がある。
図4は毛髪等に含まれるカルシウム元素を検出して診断する体調診断方法のフロー図である。ステップb1において被検者から毛髪を採取し、次に毛髪の任意部位に励起ビームを照射(b2)し、前記任意部位から放射される蛍光X線のスペクトル分布を測定(b3)する。測定された蛍光X線強度を対数表示(b4)して、カルシウム元素のピーク(logP)に着目(b5)し、このカルシウム濃度[logP−logS]と健常人におけるカルシウム濃度[logP−logS]stから比率を算出し、この比率からlogMが導出(b6)される。この規格化濃度Mは、毛根部と毛根から離れた先端部について測定され、両者のMが約10かどうかが判断(b7)される。毛根と先端部のMの値が10の近傍で一定である場合は正常(b8)と診断する。そうでない場合には、毛髪の毛根と先端部のMの値が100近傍であるかどうかが判断(b9)され、両者が100近傍ならCa不足としてCa剤(Ca成分が900〜1200mg)を毎日10日間ほど服用(b10)する。その後、新たに毛根を分析(b11)して、Mの値が正常値(約10)に復帰しない場合には精密検査が必要になる。更に、先端部が10近傍で毛根が10〜100であるかが判断(b12)され、この場合も、Ca剤(Ca成分が900〜1200mg)を毎日10日間ほど服用(b13)する。その後、新たに毛根を分析(b14)して、Mの値が正常値(約10)に復帰しない場合には精密検査が必要になる。以上のどの場合にも当てはまらない場合には、元素濃度異状(b15)と判断し、Mの変動履歴を調べ、精密検査(b16)に移行して病名が確定される。前記先端部は一点に限らず、複数点の場合にはより詳細な体調診断を行える。上記Mの値が100の近傍である場合にカルシウム異常(Ca不足)であるとの根拠は後述する。後述するように、乳ガンの発症する過程では、Mの値が100の状態が長期に続いた後、約1年ほどでゆっくり正常値10に減少して発症するので、先端部が100近傍で毛根が10と100の中間値を示した場合には、その間を1〜2cm間隔で分析し、Mの変動の様子を調べて判断する。
図5は毛髪の2箇所以上の任意部位に含まれる特定元素を検出して診断する体調診断方法のフロー図である。ステップc1において被検者から毛髪を採取し、次に毛髪の2箇所以上の任意部位に励起ビームを順次に照射(c2)し、各部位のそれぞれから放射される蛍光X線のスペクトル分布を測定(c3)する。測定されたそれぞれの蛍光X線強度を対数表示(c4)して、特定元素のピーク(logP)に着目(c5)する。各測定点毎の特定元素濃度[logP−logS]と健常人の特定元素濃度[logP−logS]stからそれぞれの比率を算出し、これらの比率から各部位のlogMを求める(c6)。各部位の毛根からの距離から各部位が毛根位置にあった過去時が分かる。測定点が多いほど、元素濃度の時間変化が精密に測定され、より詳しい診断が可能になる。血液検査その他の医療検査では現在情報しか分析できないが、毛髪診断では過去情報が分析できる。従って、毛髪分析と他の検査とを併用することにより、より正確な診断が可能になる。横軸に時間(毛根からの長さ)、縦軸にMをとって毛髪の元素濃度履歴曲線(c7)を表す。Mの値が10の近傍で一定値であるかどうかを判断(c8)し、この一定の場合には過去から現在に亘って正常と診断(c9)する。M=約10の一定性が無く、濃度が変化している場合には元素濃度の時間変化を分析(c10)し、 元素濃度異常(c11)と診断されれば精密検査(c12)が必要になる。特に、カルシウム元素の場合には、毛髪等の毛根と先端部のMの値が100近傍の場合、及び先端部が10近傍で毛根が10〜100の場合には、カルシウム剤(900〜1200mg)を毎日10日間ほど服用する。その結果、Mの値が正常値にならない場合には精密検査が必要になる。Mが100の状態が続いて発病する病気はカルシウムパラドックス病と呼ばれ、糖尿病、アルツハイマー病等がある。それらの精密検査が必要になる。後述するように、乳ガンの発症する過程では、Mの値が100の状態が長期に続いた後、約1年ほどでゆっくり正常値10に減少して発症するので、先端部が100近傍で毛根が10と100の中間値を示した場合には、その間を1〜2cm間隔で分析し、Mの変動の様子を調べて乳ガンの早期発見の判定をする。乳ガンの他にも、例えば腸ガンもカルシウムパラドックス病であり、同じMの変動経過をとると予想されるので、その精密検査も実施する。
図6は毛髪一本の拡大模式図である。毛髪は一ヶ月に約10mm成長するので、2箇所以上の任意部位の元素含有量を測定すれば、その時間変化の特徴から病気の前兆や経過を診断することができる。図5の体調診断方法に記載したように、2箇所以上の任意部位のMを求めれば、時間経過から元素含有量の時間変化量を導出でき、このことが本発明の重要な特徴である。
ここで血清と毛髪の関係について詳細に述べる。血清にはアルブミン、グロバリン、フィブリノーゲンなど沢山の種類の蛋白が含まれている。血清中のカルシウム濃度[Ca]は10mg/dLに保たれている。その半分は蛋白(主としてアルブミン)中に含まれ、その蛋白は4〜5g/dL の濃度を持ち、蛋白1gはカルシウム1mgを含んでいる。残りの半分はカルシウムイオン Ca2+として存在する。すなわち血清中の全カルシウム濃度[Ca]Sはイオン濃度[Ca]と蛋白相に含まれる濃度 [Ca]の和であり、[Ca]S = [Ca]+ [Ca]Pで表される。
カルシウムイオンは信号伝達の役割を果たしているから、カルシウムイオン濃度[Ca]Iはどんな場合にも厳密に一定になるように制御されており、即ち [Ca2+] = [Ca]Iとして一定に保たれている。これに対して[Ca]Pは多少変化する。カルシウムパラドックスの知識によれば、一般に細胞は細胞膜にカルシウムポンプとカルシウムイオン関門を持っている。ポンプは細胞からCaを汲み出すために、いつでも働いていて、カルシウム充足の場合には、Ca2+関門が閉じていて細胞内のカルシウムイオン濃度はほぼゼロに保たれている。
一方、毛髪は血管に取り巻かれた毛包の中の毛母細胞により作られ、1日に約0.3mmの速さで伸びている。一般に細胞内には小胞体やミトコンドリアなどのカルシウム貯蔵源がある。しかし、毛髪の定常成長においては、毛髪内の元素濃度は毛母細胞の内部カルシウム源と無関係に血液からの供給とバランスしていなければならない。ここでは毛髪内のカルシウム濃度を現象論的に考える。
カルシウム充足の場合、Ca2+関門は閉じられ、血清中のカルシウム濃度[Ca]の半分を担持している蛋白だけが毛母細胞の中に取り込まれる。毛髪を成長させる過程が複雑であっても、その定常成長では毛髪カルシウム濃度[Ca]HEは血清からの供給と一致する。すなわち血清の蛋白相にあるカルシウム濃度 [Ca]に比例する。比例定数kを用いて式(1)が成立する。
[Ca]HE=k[Ca](1)
[Ca]Pは[Ca]の半分なので[Ca]HE∝[Ca]という後述する図7の結果と一致する。
カルシウム不足の場合には、副甲状腺ホルモンPTHがCa2+イオン関門を開かせる。蛋白は前と同様に取り込まれるが、蛋白相のCaは毛母細胞の液相に溶けるし液相からも供給され、イオン関門を通して血清中のイオン濃度と平衡している。つまり[Ca2+] = [Ca]Iが成立する。従って、[Ca]Iが毛母細胞内の蛋白相のカルシウム原子濃度[Ca]PCを決定する。そこで、[Ca]Iと[Ca]PCの間の平衡関係を考える。
カルシウム不足の場合における毛髪カルシウム濃度[Ca]HDが[Ca]の2乗に比例していることは後述する図7、図8により示されている。このことは蛋白相にCa原子がペアで取り込まれていていることを示唆する。
Ca原子のペアを作る反応速度はカルシウムイオンCa2+の衝突確率に比例し、蛋白相内のCa原子の解離速度はその濃度[Ca]PCに比例する。化学平衡ではこれら2つの速度は等しくなるので、それぞれの比例常数rとqを用いてr[Ca]PC=q[Ca] と書ける。すなわち[Ca]HD=k[Ca]PC=k(q/r)[Ca]I 2となり、q/r=1とすれば、実験結果[Ca]HD=[Ca]HE と一致する。q/r=1は、毛母細胞内の蛋白相に含まれるカルシウム原子の化学ポテンシャルが血清中のCa2+のそれと等しいことを意味しており
[Ca]HD=k[Ca]I (2)
となる。式(2)ではq/r=1である。式(1)と(2)において[Ca]P〜[Ca]Iなので[Ca]HD=[Ca]HE が得られ、この関係式は後述する図7、図8の結果と一致する。
カルシウム不足の場合には[Ca]HDを決める毛母細胞内の蛋白相のカルシウム濃度は、カルシウム関門を通じて、一定に制御されている血清中の[Ca2+] と平衡しているので、後述の図8に見られるように[Ca]HDは一定値になっている。
血清中のPTHの平均濃度は年齢と共にだんだん増加するので、これまでCa不足は加齢とともに進むと考えられてきた。しかし、毛髪の分析結果は老人でも健康ならばCa制御は正常であって、加齢と共にCa不足の人の数が増加することを示している。後述の図8から人数が少ないけれど、Ca不足は50歳を超えると5人に1人ぐらいの割合であり、20歳代では20人に1人ぐらいの割合になっている。
〈乳ガンの検出〉
乳ガンの早期発見には乳房に生じる腫瘤(しこり)や石灰化(カルシウム塩が沈着した状態)のX線撮像が行われている。石灰化のカルシウム源としては副甲状腺ホルモンPTHの作用によって骨を溶かして血液が運んでいるものと想像されるが、意外にも乳ガンになると血清中のカルシトニンが増加することが知られている。このことはPTHによって体中の細胞にカルシウムを溢れさせるのを避けて、ガンに集中的にカルシウムを集めていると考えられる。
乳ガン患者17人(その中7人は骨に転移)から採取した毛髪の毛根を分析した結果、後述する図13に示すように全部正常値のカルシウム濃度(低いレベル)を示す。前述のように、通常、50歳を超えると5人に1人の割合でカルシウム不足による異常値を示すのに対して、乳ガンになると「全員が正常値」という不自然な結果を示す。
そこで、骨に転移していない患者10人について毛根から先端に向けてカルシウム濃度を測定してゆくと、後述の図14に示すように、カルシウム濃度はゆっくり増加し、毛根から7〜10cmのところで全員の毛髪が異常値の高濃度になる。なお、健康で定常状態が続いている人の毛髪ではカルシウム濃度は毛根から先端まで正常値を示すことを確認している。
上の結果から、乳ガンの石灰化が起こる前に長期にわたってカルシウム不足が続き、カルシウムパラドックスによるカルシウム洪水が引き金となって石灰化が始まると、血清中のカルシトニンが増加して毛髪のカルシウム濃度は正常値に降下すると結論できる。
それゆえ、この毛髪のカルシウム濃度の変動過程を調べれば乳ガンの前兆を検出できる。また、カルシウム不足を3ACaのようなサプリメントで解消すれば乳ガンは予防できるかもしれない。女性は更年期に入るとカルシウム不足になる人が多くなり、カルシウム不足から骨粗鬆症と乳ガンに進むと考えられる。骨粗鬆症になると毛髪のCa濃度は高い異常値を示し、乳ガンでは低い正常値に変わる。それゆえ、骨粗鬆症になる人は乳ガンにならないし、乳ガンの人は骨粗鬆症にかからないという関係が予想される。
以下の実施例では、例えば[Ca]はカルシウムの規格化濃度Mに相当し、M=10が正常値である。
[実施例1:カルシウム分析]
[実施例1 カルシウム分析について]
図7は被検者8人の毛髪と血清に含まれるカルシウム濃度の比較図である。横軸に被検者(Donors)、縦軸に[Ca](カルシウム濃度)を表している。T1からT8の被検者は健常人で、血液と毛髪の分析結果を比較するために毛髪と血液を同時に採取した。
T5を除けば血清の濃度 [Ca]の恒常性が見られる。毛髪の濃度[Ca]のピークの高さは、T4、T5、T8を除けば [Ca]と一致する。すなわち正常な場合には[Ca]は[Ca]に比例する。T8では、血清が正常な[Ca]を持つのに対して、毛髪の[Ca]のピークは非常に高い。この[Ca]の高い値は、後述の図8に示される37人の被検者の毛髪に対する実験結果からCaの不足によることが分かった。
血清中の蛋白の量は変動し、健康な場合には蛋白相の密度 [PP]は4〜5g/dLである。[PP]が大きい場合には、蛋白に含まれるCaの全量が一定のとき、蛋白分子一個あたりのCa原子の数が減少する。毛髪1gを形成するのに必要な蛋白分子の数は決まっているから、[PP]が大きければ[Ca]HEが低くなる。図7のT4がこれにあたる。
T5では、[Ca]と[Ca]HEともに正常値より低い。これは血清のpHが正常値からずれて蛋白相に含まれるCa量が低くなっているからである。[Ca]は常に正常値に保たれているので、[Ca]の20%減は蛋白しか入らない毛髪では[Ca]HEが40%減になる。
図8は被検者37人の毛髪に含まれるカルシウム濃度の比較図である。横軸にDonorsを、縦軸に[Ca](カルシウム濃度)を表している。37人の被検者から毛髪を抜いて採取した。その内、11人は肝臓ガン(HCC:Liver Cancer)の患者でH1からH11までの符号で示す。被検者一名は骨粗鬆症(Osteoporosis)と肝臓ガンを併発している患者で、その毛髪はOH−1,OH−2,OH−3、OH−4の4本で、4ヶ月、1ヶ月、5ヶ月の間隔で採取した。(OH−2uは毛根から1mm上の部分の分析)。残りの25人の被検者は健康でN1からN25までの記号で示した。N1からN5までの5人の被検者はカルシウムのサプリメントを10日間服用し、その前後で毛髪を採取してそれぞれN1-1とN1-2という具合に記号付けをし、合計37名の毛根を分析した。
図8から[Ca]の高い値はCaの不足によることが分かった。大部分の被検者の規格化された[Ca]の値は10のレベルの近傍に分布する。記号N3、N4、N5、N18、OH、H2の毛髪試料は高さ100の[Ca]のピークを示している。しかもピークの高さが揃っている。すなわち、これらピークは正確に重ねることができた。そこで、記号N3、N4、N5の被検者にサプリメント3ACa(活性吸収カルシウム:Active Absorbable Algal Calcium)を10日間毎日カルシウム900mgの割合で服用してもらい、再び毛髪を採取して分析した結果、図8に示すように[Ca]は低い正常値に減少した。
また、記号OHの被検者は骨粗鬆症にかかっていて、1年間にわたって採取したOH−1からOH−3までの毛髪試料は[Ca]の高い値を示していたが、ガンの治療と3ACaサプリメントの摂取によって[Ca]は正常値に減小した。これらの結果から[Ca]が100の高いレベルはCaの不足に対応していることが分かる。H6の毛髪のCa濃度が高いのは、腫瘍から分泌されるPTHrPによって引き起こされる高カルシウム血症(Hypercalcemia)によるものと考えられる。
上の結果をまとめると、毛髪の蛍光X線分析でカルシウム不足が容易に検出でき、(1)Ca充足のときには毛髪のカルシウム濃度は血清の[Ca]に比例した低い値を示し、(2)Ca不足のときには[Ca]は[Ca]の2乗に比例した高いレベルに増加することが判明した。
[実施例2:鉄の分析]
図9は健常者8人の毛髪(hair)と血清(Serum)に含まれる鉄濃度の比較図である。横軸に被検者(Donors)を、縦軸に[Fe](鉄濃度)を表している。T4は、図7のT4と同様血清中の蛋白相の密度 [PP]が大きい場合に相当する。このことはFeもCaの場合と同様に蛋白によって毛髪に運び込まれること意味している。図9から[Ca]と同様のことがわかる。
図10は被検者37人の毛髪に含まれる鉄濃度の比較図である。横軸に被検者(Donors)を、縦軸に[Fe](鉄濃度)を表している。図10から、25人の健常人の中にも[Fe]が10以上の鉄濃度異常者がいる。鉄分を多く摂取すると活性化酸素(毒性、発ガン物質)が体内で発生することが分かってきており、[Fe]が高いのは活性化酸素の発生を意味していると予想される。また、肝ガン発病者(HCC)には鉄濃度異常者が多いことがわかる。
[実施例3:銅の分析]
図11は健常者8人の毛髪と血清に含まれる銅濃度の比較図である。横軸に被検者(Donors)を、縦軸に[Cu](銅濃度)を表している。T4は図7のT4と同様血清中の蛋白相の密度 [PP]が大きい場合に相当する。このことはCuもCaの場合と同様に蛋白によって毛髪に運び込まれること意味している。
図12は被検者37人の毛髪に含まれる鉄濃度の比較図である。横軸にDonors(被検者)を、縦軸に[Fe](鉄濃度)を表している。図12から肝ガン発病者の中には異常に銅濃度が高い人がいることがわかる。
[実施例4:乳ガン]
図13は乳ガン患者17人の毛髪に含まれるカルシウム濃度の比較図である。横軸に患者(Donors)を、縦軸に[Ca](カルシウム濃度)を表している。乳ガンの患者17人から毛髪を採取した。その内、BP1からBP10までは原発ガンで、残りのBS1からBS7までは骨に転移を起こした患者からの毛髪である。
図13から、乳ガン患者17人は全部正常値のカルシウム濃度(低いレベル)を示した。そこで、骨に転移していない患者について毛根から先端に向けてカルシウム濃度を測定した。
図14は、乳ガン患者3人の毛髪における毛根から先端に含まれているカルシウム濃度の履歴曲線図である。横軸に毛髪からの距離(cm)、縦軸に[Ca](カルシウム濃度)を表している。骨に転移していない乳ガン患者BP1,BP2、BP3の3人について毛髪の毛根から先端に向けてカルシウム濃度を測定した。図14に示すようにカルシウム濃度はゆっくり増加し、毛根から7〜10cmのところで全員の毛髪が異常値の高濃度になる。なお、健康で定常状態が続いている人の毛髪ではカルシウム濃度は毛根から先端まで正常値を示すことを確認している。このカルシウム濃度の履歴曲線図により乳ガンの発生を診断することができ、その予兆や経過の診断に役立てることができる。
実施例1、2、3及び4から本発明の体調診断方法が元素の含有量の変動、特にカルシウム不足を容易に発見でき、その結果、カルシウム不足から生ずるさまざまな疾病を予防できることが実証された。またCa以外でも、FeやCuのような微量元素でもCaと同様に、同一人における他の検体の元素濃度や過去の元素濃度との比較により的確な診断が可能になった。
本発明の元素含有量としては濃度が好適であり、この濃度には[logP−logS]のみならず、[logP−logS]/[logP−logS]st=logMの規格化濃度(M又はlogM)が最適であるが、その他の濃度及び規格化方法も採用できる。この濃度は、被検者と健常人との相互比較ができる濃度であれば何でもよく、例えば単位体積又は単位重量当たりの濃度が採用できる。元素濃度としては元素の蛍光X線強度であるだけでなく、元素質量、元素重量、元素モル数、原子数、それ以外にも電気抵抗、誘電率、磁性、その他の物性量が適用できることも言うまでも無い。このように、本発明は上記実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例や設計変更を含むものであることは言うまでも無い。
本発明の体調診断方法は、毛髪又は体毛に含まれる元素濃度を正確に測定でき、他の元素濃度や過去の元素濃度と比較できるので、医学のみならず遺伝子工学や生化学の分野で幅広く応用することができる。
放射光による蛍光X線分析の概略図である。 毛髪(Hair)と血清(Serum)の、X線蛍光分析によるスペクトル図である毛髪と血清の、X線蛍光分析によるスペクトル図である。 毛髪等に含まれる特定元素を検出して診断する体調診断方法のフロー図である。 毛髪等に含まれるカルシウム元素を検出して診断する体調診断方法のフロー図である。 毛髪の2箇所以上の任意部位に含まれる特定元素を検出して診断する体調診断方法のフロー図である。 毛髪一本の拡大模式図である。 健常者8人の毛髪と血清に含まれるカルシウム濃度の比較図である。 被検者37人の毛髪に含まれるカルシウム濃度の比較図である。 健常者8人の毛髪と血清に含まれる鉄濃度の比較図である。 被検者37人の毛髪に含まれる鉄濃度の比較図である。 健常者8人の毛髪と血清に含まれる銅濃度の比較図である。 被検者37人の毛髪に含まれる鉄濃度の比較図である。 乳ガン患者17人の毛髪に含まれるカルシウム濃度の比較図である。 毛髪の毛根から先端に含まれているカルシウム濃度の履歴曲線図である。 「カルシウムパラドックス」についての概略説明図である。 血液中のカルシウム濃度[Ca]が一定値に制御される仕組を説明した概略説明図である。 特許文献1における毛根中の元素含有量のスペクトル図である。
符号の説明
10 電子リング
12 放射光
14 モノクロメータ
16 施設分離壁
18 アルミホイル
20 真空誘導路
22 ピンホール
24 アクリルホルダー
26 毛髪
28 半導体検出器

Claims (7)

  1. 被検者の毛髪又は体毛を元素分析し、前記毛髪又は体毛のCa濃度を測定し、測定された前記Ca濃度をCa不足又はCa充足にそれぞれ対応するCa濃度の高いレベル又は低いレベルと比較し、前記比較から前記被検者のカルシウム代謝異常の検出を行うことを特徴とする毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法
  2. 測定された前記Ca濃度が前記低いレベルより小さいときには、前記被検者は要注意と判断される請求項1に記載の毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法
  3. 測定された前記Ca濃度が毛根から先端まで前記低いレベルであるときには、前記被検者は正常であると判断される請求項1に記載の毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法
  4. 測定された前記Ca濃度が毛根で前記低いレベルであり、毛根からの距離とともに異常値にまで増加するときには、前記被検者は要注意と判断される請求項1に記載の毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法
  5. 測定された前記Ca濃度が前記低いレベルより大きいときには、前記被検者は要注意と判断される請求項1に記載の毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法
  6. 測定された前記Ca濃度が前記高いレベルにあるときには、前記被検者は要注意と判断される請求項1に記載の毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法
  7. 測定された前記Ca濃度が前記高いレベルを超えるときには、前記被検者は要注意と判断される請求項1に記載の毛髪又は体毛によるカルシウム代謝異常の検出方法
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