JPH11343518A - 圧延珪素鋼板の製造方法とその素材 - Google Patents

圧延珪素鋼板の製造方法とその素材

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JPH11343518A
JPH11343518A JP10165981A JP16598198A JPH11343518A JP H11343518 A JPH11343518 A JP H11343518A JP 10165981 A JP10165981 A JP 10165981A JP 16598198 A JP16598198 A JP 16598198A JP H11343518 A JPH11343518 A JP H11343518A
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Osamu Yamashita
治 山下
Akira Makita
顕 槇田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来不可能であるとされていたSi含有量が
3wt%を超える珪素鋼の圧延を実現することを目的と
し、そのため、簡単に圧延前の珪素鋼板の平均結晶粒径
を微細化することが可能で、珪素塊を熱処理、熱間圧
延、焼き鈍しの工程を繰り返すことなく、圧延素材をそ
のまま連続で均一に冷間圧延できる、圧延珪素鋼板の製
造方法と圧延素材の提供。 【解決手段】 焼結体としたりあるいは溶融急冷して、
従来の溶融徐冷した珪素鋼よりも微細化した平均結晶粒
径が300μm以下の珪素鋼の圧延素材を作製し、これ
を冷間圧延することにより圧延が可能となり、また特に
圧延素材の板厚を5mm以下とし、さらに平行度を0.
5mm以下とすることによって比較的容易に圧延でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、冷間圧延が困難
なSiの含有量が3〜10wt%の珪素鋼の冷間圧延を
可能にする珪素鋼板の製造方法に係り、予め平均結晶粒
径が小さく、厚み5mm以下の薄板状の焼結体あるいは
溶解塊を作製し、結晶粒界の滑り性を向上させることに
より、そのまま冷間圧延することを可能にした圧延珪素
鋼板の製造方法とその素材に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、圧延珪素鋼板のほとんどは、Fe
中のSi含有量3wt%以下の珪素塊に熱処理、熱間圧
延、焼き鈍しの工程を繰り返し施しており、特にFe中
にSiを3wt%以上含有する珪素鋼板の圧延は、従来
から圧延時のワレ発生により困難とされてきた。
【0003】このため、Mn,Ni等の磁性不純物を添
加して溶解塊の平均結晶粒径を微細化して圧延する方法
(K.Narita and M.Enokizon
o:IEEE.Trans.Magn.14(197
8)258)も提案されたが、これらの磁性不純物が珪
素鋼板の磁気特性を低下させるという問題があり、汎用
されるには至らなかった。
【0004】また、Fe中にSiを3wt%含有する溶
解塊を従来工程で圧延後、CVD(Chemical
Vapor Deposition)法によりSiを含
浸させて、所望の組成を有する珪素鋼板、例えばSi含
有量6.5wt%の珪素鋼板を作製する方法(Y.Ta
kada,M.Abe,S.Masuda andJ.
Inagaki:J.Appl.Phys.64(19
88)5367.)も提案、実施されているが、CVD
法に多大の工程を要してコストが高く、その用途は自ず
と限定されている状況である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、Fe中に3w
t%以下のSiを含有する珪素鋼の溶解塊の平均結晶粒
径は数mm以上あり、圧延による塑性変形は主に各結晶
粒内のすべり変形によって起きている。
【0006】しかし、Si含有量が3wt%を超える場
合には、結晶粒そのものが非常に硬くまた脆くなるため
に、数mm以上の平均結晶粒径を有する珪素鋼の溶解塊
では、熱間圧延あるいは冷間圧延を問わず圧延時にヒ
ビ、ワレが発生しやすくなり、圧延自体ほとんど不可能
であった。
【0007】この発明は、従来不可能であるとされてい
たSi含有量が3wt%以上の珪素鋼の圧延を実現する
ことを目的とし、そのため、簡単に圧延前の珪素鋼板の
平均結晶粒径を微細化することが可能で、珪素塊を熱処
理、熱間圧延、焼き鈍しの工程を繰り返すことなく、圧
延素材をそのまま連続で均一に冷間圧延できる、圧延珪
素鋼板の製造方法と圧延素材の提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、Si含有量
が3wt%以上の珪素鋼板の圧延に際し、圧延前の珪素
鋼素材に、微細化された平均結晶粒径を有する焼結体も
しくは溶解薄板を使用して、結晶粒界の滑り性を著しく
向上させることにより、冷間圧延が可能になると考え
た。
【0009】発明者らは、上記の着想を基に冷間圧延性
の良好な珪素鋼の圧延素材について種々検討した結果、
平均結晶粒径のサイズに着目し、焼結体としたりあるい
は溶融急冷して、従来の溶融徐冷した珪素鋼よりも微細
化した平均結晶粒径が300μm以下の珪素鋼の圧延素
材を作製し、これを冷間圧延することにより圧延が可能
となること、また微細化の効果はSi含有量がにかかわ
らず有効であり、特に3wt%以上の場合に効果的であ
ること、さらには、圧延素材の板厚を5mm以下とし、
平行度を0.5mm以下とすることによって比較的容易
に圧延できることを知見し、この発明を完成した。
【0010】また、発明者らは、焼結体の製造方法とし
て、所定の組成を有するガスアトマイズ粉あるいは水ア
トマイズ粉を粉末冶金的手法で焼結することにより、微
細化した所望の平均結晶粒径を有する焼結体が作製可能
であり、粉末冶金的手法としては、金属射出成形、圧粉
成形、スラリー状にして流し込むスリップキャスト成形
等で成形した後、所定の温度で焼結する方法、またはホ
ットプレスやプラズマ焼結等の熱間成形法により作製す
る方法が採用できることを知見した。
【0011】さらに、発明者らは、溶解薄板の作製方法
としては、平均結晶粒径をできるだけ微細化するため
に、溶融珪素鋼を鋳込み厚みの薄い水冷式の鋳型に流し
込んで急速に冷却する方法が採用できることを知見し
た。
【0012】また、発明者らは、圧延素材の組成とし
て、予めTi,Al,V等を少量添加しておくと、圧延
後の焼き鈍し時に平均結晶粒径が粗大化しやすく、保磁
力が急激に低下して磁気特性の優れた薄板の圧延珪素鋼
板が得られることを知見し、この発明を完成した。
【0013】すなわち、この発明は、原料に非磁性金属
を少量添加し、さらに微細な平均結晶粒径を有する厚み
5mm以下の薄板を作製した後、冷間圧延、焼き鈍しを
することにより、非常に薄くて磁気特性にも優れた薄板
が得られる圧延珪素鋼板の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】使用原料 この発明において、対象とする珪素鋼の素材の成分とし
ては、Fe中のSiの含有量が3〜10wt%の所要組
成からなることを特徴とする珪素鋼である。すなわち、
従来、Siの含有量が3wt%以上では圧延できないた
め、本願発明の対象をSiが3wt%以上とするが、1
0wt%を超えると材料の磁束密度の低下が著しい、よ
って、3〜10wt%の範囲とする。
【0015】この発明において、冷間圧延後の焼き鈍し
時の結晶粒径の粒成長を促進するために、珪素鋼素材の
不純物元素としてTi,Al,Vを0.01〜1.0w
t%添加すると、磁気特性の良好な圧延珪素鋼板が得ら
れ、添加成分、添加量は用途に応じて適宜選定するとよ
い。Ti,Al,Vの含有量は、0.01wt%未満で
は粒成長の効果が十分でなく、1.0wt%を超えると
磁気特性が低下するため、0.01〜1.0wt%の範
囲とする。
【0016】かかる原料は、焼結体の場合には該成分を
含有したガスアトマイズ粉もしくは水アトマイズ粉が適
しており、その平均粒度は10〜200μmが望まし
い。平均粒度が10μm未満では焼結体の密度は向上す
るが、粉末自体に多量の酸素を含有するので、冷間圧延
時にヒビ、ワレ発生の原因になりやすく、且つ磁気特性
の劣化の原因にもなる。
【0017】また、焼結用原料の平均粒度が200μm
を超える場合は、焼結体がポーラスになりやすく焼結密
度が低下するので、これも冷間圧延時のヒビ、ワレ発生
の原因になる。従って平均粒度は10〜200μmが最
も望ましい。また使用する原料粉末の含有酸素量は、少
なければ少ないほど良いが、少なくとも1000ppm
以下が望ましい。
【0018】この発明において、微細化した所望の平均
結晶粒径を有する焼結体を作製する方法として、上記の
所定の組成を有するガスアトマイズ粉あるいは水アトマ
イズ粉を粉末冶金的手法で焼結する。粉末冶金的手法と
しては、後述の金属射出成形、圧粉成形、スラリー状に
して流し込むスリップキャスト成形等で成形した後、所
定の温度で焼結する方法、またはホットプレスやプラズ
マ焼結等の熱間成形法により作製する方法が採用でき
る。
【0019】溶解塊からなる素材を作製する場合には、
該成分を含有するように配合、溶解すれば、使用原料と
しては特に制限はない。特に平均結晶粒径を300μm
以下にするには後述のごとく急冷するとよい。
【0020】圧延前の珪素鋼 圧延素材としての焼結体の作製には、粉末冶金的手法が
採用できるが、金属射出成形、圧粉成形、スリップキャ
スト法等による焼結体あるいはホットプレスやプラズマ
焼結等の熱間成形法による焼結体の作製が適している。
具体的には、金属射出成形、圧粉成形、スリップキャス
ト成形は、珪素鋼粉末にバインダーを添加し成形する方
法であり、成形後、脱バインダー、焼結を行って作成す
る方法である。また、熱間成形法は、炭素金型の中に原
料粉末を入れ、熱間中(1000℃〜1300℃)で圧
力をかけて成形と焼成を同時に行う方法である。
【0021】一般に、当該成分の珪素鋼粉末は、Siを
含有するために非常に酸化し易く、また成形用にバイン
ダーを使用すると特に酸化したり、炭化したりするの
で、脱バインダーと焼結時の雰囲気制御は不可欠であ
る。また、酸化や炭化した焼結体は硬く、脆くなるの
で、冷間圧延すると、ヒビ、ワレが発生すると同時に焼
き鈍し後の磁気特性も著しく低下する。このために焼結
体中に含まれる酸素量と炭素量は、それぞれ2000p
pmと100ppm以下が望ましい。
【0022】焼結温度は、組成、平均粒度、成形方法等
によって異なるが、一般的には1150℃から1300
℃の温度で不活性ガス雰囲気中、水素ガス雰囲気中、真
空中等、成形方法に応じて適宜選定されるが、可能な限
り焼結時の変形を防止しなければ、冷間圧延時のヒビ、
ワレ発生の原因になる。
【0023】一方、溶解珪素鋼素材は、所定の成分で配
合して高周波溶解した後、水冷式の鋳込み厚みが5mm
以下の薄い鋳型に溶解珪素鋼を流し込み、急冷して微細
な結晶粒径を有する珪素鋼板となすものであり、特に厚
みを薄くした方が微細な結晶粒径の珪素鋼素材を作製し
やすくなる。
【0024】圧延 珪素鋼は、一般の金属と比べて硬くて脆い性質があるた
めに、冷間圧延用のロール径とその周速度は、圧延前の
板厚とその平行度によって変える必要がある。つまり圧
延前の板厚が厚く、平行度が悪ければ、小さいロール径
で、しかも低周速度で圧延しなければならない。
【0025】しかし、逆に板厚が薄く、平行度さえよけ
れば、この条件はかなり緩和される。特に熱間圧延の場
合には、珪素鋼板は塑性変形しやすくなるので、ロール
径と周速度の条件は、冷間圧延に比べて大幅に緩和され
る。冷間圧延前に熱間圧延をすることは有効であるが、
最終的には冷間圧延を行わなければ、薄板の圧延は不可
能となる。表面層が酸化し磁気特性が劣化するためであ
る。いずれの方法でも圧延前の鋼板の平行度を0.5m
m以下にしなければ、良好な圧延珪素鋼板は作製できな
い。
【0026】この発明において、珪素鋼の平均結晶粒径
が300μm以下とし、圧延前の板厚を5mm以下とす
る。焼結体の厚みが5mmを超える場合には、表面のみ
に圧延応力(引っ張り応力)がかかり、焼結体の内部に
は応力がかからないため、割れが発生するが、5mm以
下の場合には、表面と内部にかかる応力が均一化して圧
延が可能となる。
【0027】この発明において、さらに珪素鋼板の板厚
が1mm以下になれば、ロール径の更に小さいロールで
圧延した方が、圧延効率と厚み寸法精度が向上し、しか
もヒビ、ワレも発生しにくくなる傾向がある。
【0028】圧延前の珪素鋼の平均結晶粒径が300μ
mを超える場合には、ロール径とロール周速度に関係な
く、圧延時にヒビ、ワレが発生する。また平均結晶粒径
5μm未満の珪素鋼板の作製は、粉末冶金的な焼結法で
のみ作製可能であり、それは焼結温度を下げるか、成形
密度を下げて焼結する方法であるが、いずれの方法でも
気孔率の高い焼結体になるので、圧延時に必ずヒビ、ワ
レが発生する。
【0029】また、上記のこの発明方法で圧延した珪素
鋼板は、圧延後に切断機、打抜機による加工が可能であ
るために、種々の形状の製品対応が可能である。
【0030】この発明による圧延珪素鋼板は、通常の
(110)面を集合組織とする方向性珪素鋼板とは違っ
て、(100)面を集合組織とする方向性珪素鋼板の特
徴を有する。
【0031】焼き鈍し この発明による珪素鋼板の焼き鈍しは、圧延完了後の磁
気特性向上のために行うものである。すなわち、従来で
は、圧延珪素鋼板の焼き鈍しは、圧延時のヒビ、ワレ防
止のために、何回か圧延した後に必ず行われているが、
この発明では、磁壁移動の障害となる結晶粒界を減ら
し、保磁力を低下させて透磁率の向上と鉄損の低下を目
的に、結晶粒径の粗大化を狙ったものである。
【0032】この焼き鈍しの温度は、圧延率(圧延後の
板厚/圧延前の板厚×100(%))と圧延前の平均結
晶粒径によって変わる。また、焼き鈍しの温度は、非磁
性元素の添加物と添加量によっても影響されるが、平均
結晶粒径が300μm以下のこの発明において、比較的
小さな平均結晶粒径で圧延率の高い圧延鋼板では、11
50〜1250℃が適しており、逆に比較的大きな平均
結晶粒径で圧延率の低い圧延鋼板では、1100〜12
00℃の僅かに低い温度が適している。
【0033】この焼き鈍し温度が高すぎると、結晶粒が
異常粒成長しすぎて鋼板が非常に脆くくなり、逆に温度
が低すぎると、粒成長しないために磁気特性が向上しな
くなるので、上記1100〜1250℃が最適温度であ
る。上記温度での焼き鈍しによって平均結晶粒径は、約
0.5〜3mmにまで成長させることができる。この焼
き鈍しによって磁気特性は、通常の溶製材に近い特性が
得られることを確認した。
【0034】また、この発明において、圧延後の珪素鋼
板は、切断、打抜等の加工が可能であり、各種用途に応
じて種々の形状の製品が作製できるので、低コストで高
特性、高寸法精度の珪素鋼板の作製が可能である利点を
有する。
【0035】さらに、この発明の圧延珪素鋼板は、(1
00)面を集合組織とする方向性珪素鋼板であるため
に、無方向性珪素鋼板に比べて透磁率と磁束密度が大き
いという特徴も有する。
【0036】
【実施例】実験例1 焼結珪素鋼板の原料粉末として、表1に示すような成分
と平均粒度の珪素鋼のガスアトマイズ粉末を使用した。
各原料粉末に表2に示すような添加量でPVA(ポリビ
ニールアルコール)バインダー、水、可塑剤を添加し、
スラリー状となし、該スラリーを完全密閉型スプレード
ライヤー装置により窒素ガスで熱風入口温度100℃、
出口温度40℃に設定して造粒を行った。
【0037】次いで、平均粒径約100μmの該造粒粉
を圧縮プレス機で圧力2ton/cm2で表3に示すよ
うな形状に圧粉成形した後、真空中と水素中で表3に示
すような脱バインダー、焼結温度で焼結を行い、表4に
示す寸法の焼結体を得た。得られた焼結体の残留酸素
量、残留炭素量、平均結晶粒径、相対密度を表4に示
す。
【0038】表4に示す寸法の焼結体をまず60mmφ
の2段ロールで、ロール周速度60mm/secで圧延
率50%まで冷間圧延した後、さらに20mmφの4段
ロールにより同一ロール周速度で0.10mmまで冷間
圧延した。その圧延状態を表5に示す。
【0039】また圧延後、20mmφ×10mmφ×
0.1mmtのリングを打ち抜いて、表5に示すような
焼き鈍し温度で熱処理をした後、直流磁気特性と周波数
5kHzでの鉄損を測定した。その結果を表5に示す。
表5中の圧延状態で、◎は非常に良好、○は良好、△は
圧延板の端面にヒビ発生、×は全面にワレ発生を表す。
【0040】実験例2 表1に示すような成分の溶融珪素鋼を高周波溶解した
後、水冷型の鋳込み厚み5mmの薄板状の鋳型に流し込
み、急冷して50×50×5mmの鋼板を作製した。ま
た、比較のため水冷せずに徐冷した鋼板を作製した。得
られた鋼板の残留酸素量、残留炭素量、平均結晶粒径、
相対密度を表4に示す。
【0041】冷間圧延前に、圧延時のワレ、ヒビ防止の
ために、50×50mmの両面をサーフェイスグライン
ダーで表面の凹凸を除去した鋼板を準備した。その後の
圧延状態を表7に示す。同表中の圧延状態で、○は良
好、×は全面にワレ発生を表す。
【0042】実験例1と同一冷間圧延条件で圧延した
後、表6に示す焼き鈍し温度で熱処理をした後、直流磁
気特性と周波数5kHzでの鉄損を測定した。その結果
を水冷せずに作製した溶製材の磁気特性と比較して表8
に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【発明の効果】従来、Fe中にSiを3wt%以上含有
する珪素鋼は、一般に平均結晶粒径が数mmと大きいた
めに、冷間圧延は不可能とされてきた。しかし、この発
明による製造方法は、出発原料として粉末を用いて粉末
冶金的に作製し、板状の焼結体あるいは急冷鋼板の平均
結晶粒径を300μm以下にすることにより、結晶粒界
のすべり変形の後、粒内すべり変形が起こるために、冷
間圧延が可能になり、また予めTi,V,Al等の非磁
性金属元素を僅かに添加すると、焼き鈍し時に結晶粒の
粒成長を促進させることができ、薄い鋼板の磁気特性は
従来の溶製材とほぼ同等になり、磁気特性の優れた珪素
鋼板が作製できることが明らかになった。
【0052】この発明による圧延珪素鋼板は、平均結晶
粒径を微細化し、圧延前の板厚を薄くし、且つ平行度を
上げることにより、冷間圧延と打抜き加工が可能とな
り、しかも方向性をもつので、焼き鈍し後、通常の溶製
材と同等の優れた磁気特性を有する特徴がある。従っ
て、今後、卜ランスやヨーク材等、広範囲にわたってそ
の用途を拡大することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均結晶粒径が300μm以下の珪素鋼
    の焼結体あるいは溶解塊からなる素材を作製し、これを
    冷間圧延した後、焼き鈍しを施して磁気特性の優れた薄
    板珪素鋼板を得る珪素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、素材成分におけるS
    iの含有量が3〜10wt%である圧延珪素鋼板の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、素材成
    分の微量成分としてTi,Al,Vを単独もしくは複合
    で0.01〜1.0wt%含有する圧延珪素鋼板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、素材の焼結体は、粉
    末射出成形、圧粉成形、スリップキャスト法により成形
    して焼結する粉末冶金法、またはホットプレスやプラズ
    マ焼結等の熱間成形法にて作製した厚み5mm以下の焼
    結体である圧延珪素鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、素材の溶解塊は、鋳
    込み厚みが5mm以下の水冷鋳型に溶解珪素鋼を流し込
    み、鋳造した厚み5mm以下の溶解塊である圧延珪素鋼
    板の製造方法。
  6. 【請求項6】 Siの含有量3〜10wt%であり、平
    均結晶粒径が300μm以下の珪素鋼の焼結体あるいは
    溶解塊からなり、厚みが5mm以下である圧延珪素鋼板
    の素材。
  7. 【請求項7】 請求項6において、微量成分としてT
    i,Al,Vを単独もしくは複合で0.01〜1.0w
    t%含有する圧延珪素鋼板の素材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100490999B1 (ko) * 2000-12-22 2005-05-24 주식회사 포스코 스트립 캐스팅법에 의한 고규소 방향성 전기강판의 제조방법

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KR100490999B1 (ko) * 2000-12-22 2005-05-24 주식회사 포스코 스트립 캐스팅법에 의한 고규소 방향성 전기강판의 제조방법

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