JPH11339633A - 含浸型陰極およびその製造方法、並びに電子銃および電子管 - Google Patents

含浸型陰極およびその製造方法、並びに電子銃および電子管

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JPH11339633A
JPH11339633A JP30011498A JP30011498A JPH11339633A JP H11339633 A JPH11339633 A JP H11339633A JP 30011498 A JP30011498 A JP 30011498A JP 30011498 A JP30011498 A JP 30011498A JP H11339633 A JPH11339633 A JP H11339633A
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porous body
porous
electron
electron emission
impregnated cathode
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JP30011498A
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English (en)
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Yoji Hasegawa
陽二 長谷川
Shinji Ogawa
伸二 小川
Hirotomo Imabayashi
大智 今林
Makoto Furukawa
真 古川
Nobuyuki Yoshino
吉野  信幸
Atsushi Sato
佐藤  惇司
Yoshiro Hirai
芳郎 平居
Naoto Ogasawara
直人 小笠原
Kuniyasu Kobayashi
邦康 小林
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Cimeo Precision Co Ltd
Sony Corp
Citizen Watch Co Ltd
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Cimeo Precision Co Ltd
Sony Corp
Citizen Watch Co Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J1/00Details of electrodes, of magnetic control means, of screens, or of the mounting or spacing thereof, common to two or more basic types of discharge tubes or lamps
    • H01J1/02Main electrodes
    • H01J1/13Solid thermionic cathodes
    • H01J1/20Cathodes heated indirectly by an electric current; Cathodes heated by electron or ion bombardment
    • H01J1/28Dispenser-type cathodes, e.g. L-cathode

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  • Solid Thermionic Cathode (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 不要な電子や過剰な電子放射物質から生ずる
粒子等の放出を抑制し、安定した電子放出特性を得るこ
とが可能な含浸型陰極およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 含浸型陰極1Aは、第1グリッドの電子
放射孔の直下に位置しており、表面が電子放出領域10
aとなる多孔質焼結体10と、表面が電子放出領域以外
の周辺領域となる多孔質焼結体11とにより構成されて
いる。多孔質焼結体10の空孔率は多孔質焼結体11の
それよりも大きくなっている。電子放出領域10aを有
する多孔質焼結体10だけでなく電子放出領域10aの
周辺領域に対応する多孔質焼結体11にも電子放射物質
1aが含浸されており、かつ、多孔質焼結体10中に含
浸される単位体積当りの電子放射物質1aの量は、多孔
質焼結体11中に含浸されるそれよりも多くなってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高融点金属などによ
り形成された多孔質体に酸化バリウム(BaO)などの
電子放射物質(エミッタ)を含浸させて製造される含浸
型陰極およびその製造方法、並びに電子銃および電子管
に関する。
【0002】
【従来の技術】受像管、ディスプレイ管などの陰極線
管、更に、撮像管、高周波発信管などの電子管の電子銃
には含浸型陰極が用いられ、この含浸型陰極から電子
(熱電子)が放出されるようになっている。
【0003】この含浸型陰極の性能の良否を決定する要
因としては、例えばカソードカットオフ電圧特性および
グリッドエミッション特性が挙げられる。カソードカッ
トオフ電圧については、その変動を抑制することが重要
である。このカソードカットオフ電圧は、陰極と第1グ
リッドとの距離、第1グリッドと第2グリッドとの距
離、第1グリッドおよび第2グリッドの厚さ、第1グリ
ッドおよび第2グリッドの孔径などに依存するものであ
る。グリッドエミッションは、グリッド(G1,G2
等)に付着した余剰バリウム等から意図しない電子放出
(エミッション)がなされる症状であり、これを抑制す
ることが重要である。このようなカソードカットオフ電
圧特性を劣化させることなく、かつ電子の不要な放出を
抑制するためには、含浸型陰極を構成する多孔質焼結体
表面のうち電子放出領域(ワーキングエリア)に相当す
る部分では空孔率を大きく、その他の領域に相当する部
分では空孔率を小さくするか、または空孔を無くして、
含浸された電子放射物質が電子放出領域以外から余分に
蒸発することを抑制する必要がある。
【0004】ところで、従来の含浸型陰極は、タングス
テン(W)などの高融点金属により構成される多孔質焼
結体のみからなる一体構造のものと、電子放出領域に相
当する部分を多孔質焼結体により構成し、その他の周辺
領域に相当する部分を多孔質ではない耐熱性に優れた金
属により構成し、これらを溶接等により固着させた2体
構造のもの(例えば特開昭60−62034号公報参
照)とに大別される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の含浸型陰極では、それぞれ以下の問題があっ
た。すなわち、多孔質焼結体のみからなる一体構造のも
のは、意図して局所的に空孔率を変化させることが困難
であり、電子放射物質の含浸量が任意に制御された含浸
型陰極を得ることが極めて困難であった。また、安定し
た電子放出特性を得るために充分な量の電子放射物質を
含浸させた場合には、陰極動作時において、電子放射物
質であるバリウム(Ba)あるいは酸化バリウム(Ba
O)が蒸発して、第1グリッドや第2グリッドに付着す
ることがある。そのため、含浸型陰極と第1グリッドと
の距離および第1グリッドと第2グリッドとの距離に変
化が生じてカソードカットオフ電圧が変動(ドリフト)
してしまい、更にはグリッドエミッションを抑制するこ
とができないという問題があった。
【0006】一方、多孔質焼結体と多孔質ではない耐熱
性に優れた金属とからなる2体構造のものは、耐熱性に
優れた金属内には電子放射物質を含浸させることができ
ないために、この部分では電子放射物質の貯蔵庫として
の役割を果たすことはできなかった。従って、陰極内に
安定した電子放出特性を得るために充分な量の電子放射
物質を確保することができず、電子放出特性が低下し、
陰極の寿命が短かくなるという問題があった。また、製
造工程が複雑であり、コストが高くなるという問題もあ
った。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、不要な電子や過剰な電子放射物質か
ら生ずる粒子等の放出を抑制し、安定した電子放出特性
を得ることができると共に長寿命化を図ることができる
含浸型陰極およびその製造方法を提供することにある。
【0008】本発明の目的は、また、このような含浸型
陰極を備え、安定した特性を有する電子銃および電子管
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による含浸型陰極
は、表面に電子放出領域およびその他の周辺領域を有す
る導電性の多孔質体に電子放射物質が含浸されてなるも
のであり、多孔質体は、電子放出領域に相当する部分の
空孔率と多孔質体の表面の周辺領域に相当する部分の空
孔率とが異なる、より具体的には、電子放出領域に相当
する部分の空孔率が、周辺領域に相当する部分の空孔率
よりも大きい構成を有している。
【0010】本発明による他の含浸型陰極は、多孔質体
の、電子放出領域以外の周辺領域に非多孔質の面を有す
る構成となっている。
【0011】本発明による更に他の含浸型陰極は、多孔
質体が、互いに収縮率の異なる複数の多孔質体を組み合
わせて焼結し固着された構成をとっている。
【0012】本発明による含浸型陰極の製造方法は、互
いに空孔率が異なる複数の導電性の多孔質体を各々作製
する工程と、複数の多孔質体を相互に固着させて一体化
する工程と、複数の多孔質体中にそれぞれ電子放射物質
を含浸させる工程とを含むものである。
【0013】本発明による他の含浸型陰極の製造方法
は、導電性の第1の多孔質体と、この第1の多孔質体よ
りも空孔率が小さく、かつ第1の多孔質体が収容可能な
凹部を有する導電性の第2の多孔質体を各々作製する工
程と、第2の多孔質体の凹部に電子放射物質を充填する
工程と、第2の多孔質体の電子放射物質が充填された凹
部内に第1の多孔質体を固着させると共に、電子放射物
質を第1の多孔質体および第2の多孔質体内にそれぞれ
拡散させる工程とを含むものである。
【0014】本発明による更に他の含浸型陰極の製造方
法は、表面に電子放出領域に相当する部分およびその他
の周辺領域に相当する部分を有する導電性の多孔質体を
作成する工程と、多孔質体の周辺領域に相当する部分を
研磨して、非多孔質の面とする工程と、多孔質体中に電
子放射物質を含浸させる工程とを含むものである。
【0015】本発明による更に他の含浸型陰極の製造方
法は、導電性の第1の多孔質体と、この第1の多孔質体
よりも空孔率が小さく、かつ第1の多孔質体が収容可能
な凹部を有する導電性の第2の多孔質体を各々作製する
工程と、第2の多孔質体の表面を研磨して非多孔質の面
とする工程と、第2の多孔質体の凹部内に第1の多孔質
体を固着させると共に、電子放射物質を第1の多孔質体
および第2の多孔質体内にそれぞれ含浸させる工程とを
含むものである。
【0016】本発明による更に他の含浸型陰極の製造方
法は、複数の導電性を有する物質を成形し、複数の多孔
質体を作製する工程と、複数の多孔質体を互いに収縮率
が異なるように、各々仮焼結させる工程と、複数の多孔
質体を組み合わせて焼結し、相互に固着させる工程と、
複数の多孔質体中にそれぞれ電子放射物質を含浸させる
工程とを含んでいる。
【0017】本発明による電子銃は、電子放射孔を有す
るグリッドと、表面に少なくとも前記グリッドの電子放
射孔よりも広い電子放出領域およびその他の周辺領域を
有する導電性の多孔質体に電子放射物質が含浸されてな
る含浸型陰極とを有するものであり、多孔質体は、電子
放出領域に相当する部分の空孔率が周辺領域に相当する
部分の空孔率と異なる構成を有している。
【0018】本発明による他の電子銃は、多孔質体の表
面の周辺領域に非多孔質の面を有する構成となってい
る。
【0019】本発明による電子管は、電子放射孔を有す
るグリッドと、表面に少なくとも前記グリッドの電子放
射孔よりも広い電子放出領域およびその他の周辺領域を
有する導電性の多孔質体に電子放射物質が含浸されてな
る含浸型陰極とを有する電子銃を備えたものであり、含
浸型陰極の多孔質体は、電子放出領域に相当する部分の
空孔率と周辺領域に相当する部分の空孔率とが異なる構
成を有している。
【0020】本発明による他の電子管は、多孔質体の表
面の周辺領域に非多孔質の面を有する構成となってい
る。
【0021】本発明による含浸型陰極または電子銃また
は電子管では、多孔質体の、電子放出領域に相当する部
分の空孔率と周辺領域に相当する部分の空孔率とが異な
る、より具体的には、電子放出領域に相当する部分の空
孔率が周辺領域に相当する部分の空孔率より大きい構成
を有しているので、電子放射物質の含浸量が、電子放出
領域に相当する部分と周辺領域に相当する部分とでは異
なり、電子放出領域から安定した電子放出が行われる。
また、多孔質体の、電子放出領域以外の周辺領域に非多
孔質の面を設けた場合には、この領域からの不要な電子
放射物質等の蒸発が阻止され、グリッドへの付着が抑制
される。
【0022】本発明による他の含浸型陰極または他の電
子銃または他の電子管では、多孔質体の周辺領域に設け
られた非多孔質の面により、電子放射物質等の周辺領域
からの放出が抑制される。
【0023】本発明による更に他の含浸型陰極では、複
数の多孔質体の収縮率が異なるので、作製時に各多孔質
体間の界面に隙間が生じない。その結果、電子放出領域
から安定した電子放出が行われる。
【0024】本発明による含浸型陰極の製造方法では、
予め空孔率が異なる複数の多孔質体が作製され、これら
に電子放射物質が含浸されることにより、電子放射物質
の含浸量の分布状態が異なる含浸型陰極が作製される。
【0025】本発明による他の含浸型陰極の製造方法で
は、第2の多孔質体の凹部に充填された電子放射物質が
第1の多孔質体および第2の多孔質体にそれぞれ拡散し
含浸される。
【0026】本発明による更に他の含浸型陰極の製造方
法では、多孔質体の周辺領域が研磨され、電子放射物質
等の放出を抑制するための非多孔質の面となる。
【0027】本発明による更に他の含浸型陰極の製造方
法では、電子放出領域とその周辺領域とでは電子放射物
質の含浸量の分布状態が異なり、かつ周辺領域に非多孔
質の面を有する含浸型陰極が作製される。
【0028】本発明による更に他の含浸型陰極の製造方
法では、予め収縮率が異なる複数の多孔質体が作製さ
れ、これらが焼結により固着される。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0030】〔第1の実施の形態〕図4は本発明の第1
の実施の形態に係る含浸型陰極を含む陰極線管の一例の
部分断面構造を表すものである。この陰極線管は、含浸
型陰極を含む電子銃300を内蔵しており、ガラス製の
パネル部301とガラス製のファンネル(漏斗)部30
2とを備えている。これらのパネル部301とファンネ
ル部302とはフリットガラスなどの接合材により互い
に融着(フリットシール)されて内部が高真空状態に維
持されている。パネル部301の内面側には蛍光面30
3が設けられており、蛍光面303の後部には色選別装
置(アパーチャーグリル)304が装着されている。フ
ァンネル部302の基端側は細長いネック部305とな
っていて、このネック部305に上述の電子銃300が
内蔵されている。電子銃300から照射された例えば
赤、青および緑の3本の電子ビームは、それぞれ偏光ヨ
ーク306により偏光されたのち、色選別装置304を
通して蛍光面303の対応する色の蛍光体に照射され
る。
【0031】図5は電子銃300の概略構成を表すもの
である。この電子銃300は、陰極構体100と、第1
グリッド5および第2グリッド6を含むグリッド群20
0とを備えた構成を有している。陰極構体100は、詳
細は後述する含浸型陰極1A、例えばモリブデン(M
o)またはタンタル(Ta)などの高融点金属よりなる
キャップ2、例えばタンタルよりなる厚さ20μmのス
リーブ3および例えば純タングステン(W)線またはタ
ングステンに2〜3%のレニウム(Re)を添加したタ
ングステン合金線などの電熱線で構成される加熱ヒータ
4とを有している。含浸型陰極1Aはキャップ2に装着
されており、このキャップ2を介してスリーブ3に固定
されている。スリーブ3内には加熱ヒータ4が配設され
ており、加熱ヒータ4によって例えば1000℃に加熱
されることにより電子放射物質1aが活性化して電子を
電子放射孔(ビーム孔)5a,6aへ放出する。また、
図示しないが、スリーブ3は種々の支持方法によって陰
極線管に組み込まれている。
【0032】この電子銃300では、陰極構体100の
温度は加熱ヒータ4により約1000℃にまで達し、電
子放射物質1aから電子(熱電子)が放出される。放出
された電子のうち、第1グリッド5の電子放射孔5aお
よび第2グリッド6の電子放射孔6aを通るものは有効
な電子であり、この有効な電子が電子ビームとして出力
され、既に述べたように図4に示した蛍光面303に照
射される。
【0033】次に、図1および図2を参照して含浸型陰
極1Aの具体的な構成およびその製造方法について説明
する。この含浸型陰極1Aは、例えば、互いに空孔率の
異なる2種の導電性の多孔質体により構成されている。
これら多孔質体は、共に、例えば高融点金属、例えば粒
径5μm程度のタングステンをプレス加工したのち加熱
し焼結させることにより製造することができる。以下、
この多孔質体を多孔質焼結体と称する。
【0034】含浸型陰極1Aは、図5に示した第1グリ
ッド5の電子放射孔5aおよび第2グリッド6の電子放
射孔6aの直下に位置しており、表面が電子放出領域1
0aとなる第1の多孔質体としての多孔質焼結体10
と、表面が電子放出領域以外の周辺領域となる第2の多
孔質体としての多孔質焼結体11とにより構成されてい
る。多孔質焼結体10は、例えば第1グリッド5および
第2グリッド6における電子放射孔5a,6aよりも若
干大きい径を有する円柱形状をなしている。一方、多孔
質焼結体11は多孔質焼結体10を収容可能な凹部11
aを有し、この凹部11aに多孔質焼結体10が収容さ
れ固着された状態で、両者の表面が同一面をなしてい
る。
【0035】多孔質焼結体10の空孔率は多孔質焼結体
11のそれよりも大きくなっている。多孔質焼結体10
の空孔率は、好ましくは16〜32%の範囲である。多
孔質焼結体10では、32%よりも空孔率が大き過ぎる
と、含浸された電子放射物質が過剰に蒸発して早くなく
なるため、陰極としての寿命が短くなり、逆に空孔率が
16%未満になると、電子放射物質を外部から多孔質焼
結体内に含浸させることができなくなり、かつ動作中の
陰極表面への電子放射物質の供給を妨げるため電子放出
特性が悪化するからである。
【0036】多孔質焼結体10および多孔質焼結体11
の各空孔には電子放射物質1aとして、例えば酸化バリ
ウム(BaO)、または酸化バリウム,酸化カルシウム
(CaO)および酸化アルミニウム(Al2 3 )の混
合物のいずれかが含浸されている。
【0037】この含浸型陰極1Aでは、電子放出領域1
0aを有する多孔質焼結体10だけでなく電子放出領域
10aの周辺領域に対応する多孔質焼結体11にも電子
放射物質1aが含浸されており、かつ、多孔質焼結体1
0の空孔率は多孔質焼結体11の空孔率より大きく、多
孔質焼結体10中に含浸される単位体積当りの電子放射
物質1aの量は、多孔質焼結体11中に含浸されるそれ
よりも多くなっている。従って、電子放出領域10aか
らの有効な電子の放出が安定かつ良好に行われる。ま
た、電子放出領域10a以外の領域からの不要な電子の
放出が抑制されると共に、電子放射物質1aの蒸発によ
り生成された物質(酸化バリウム等)の第1グリッド5
および第2グリッド6への付着も抑制される。従って、
カソードカットオフ電圧等の特性が劣化することなく、
また、グリッドエミッションも低減されるため、電子銃
の長寿命化を図ることできる。
【0038】この含浸型陰極1Aは、次のようにして製
造することができる。
【0039】図2(a),(b)は、本実施の形態に係
る含浸型陰極1Aの製造工程毎の断面図である。まず、
図2(a)に示したように、例えば空孔率が16〜32
%の範囲の例えば円柱形状の多孔質焼結体10と、空孔
率が多孔質焼結体10より小さく、凹部11aを有する
多孔質焼結体11とを別々に作製する。多孔質焼結体1
0および多孔質焼結体11は、例えば粒径5μm程度の
タングステンをペレット状にプレス加工したのち、加熱
して焼結させることにより形成される。なお、空孔率の
調整はプレス圧および焼結温度とキープ時間を変えるこ
とにより行う。次いで、多孔質焼結体10と多孔質焼結
体11とを固着させる。この固着作業は、多孔質焼結体
10を多孔質焼結体11の凹部11aに装着したのちに
焼結させるか、圧入させるか、溶接するかのいずれかの
方法により行う。
【0040】続いて、図2(b)に示したように、例え
ば酸化バリウムまたは酸化バリウム,酸化カルシウムお
よび酸化アルミニウムの混合物のいずれかからなる電子
放射物質1aを、真空中あるいは水素雰囲気中におい
て、例えば約1700℃の高温で加熱することにより例
えば約3分間含浸させて図1に示した含浸型陰極1Aを
得る。
【0041】このように本実施の形態の製造方法では、
互いに空孔率の異なる2つの多孔質焼結体10,11を
固着し、そののち電子放射物質1aを多孔質焼結体1
0,11に含浸させるさせるようにしたので、単位体積
当りの電子放射物質1aの含浸量が部分的に異なる含浸
型陰極1Aを容易に製造することができる。
【0042】図3(a),(b)は、図1に示した含浸
型陰極1Aの他の製造方法についての各製造工程毎の断
面図である。なお、図2(a),(b)の構成要素と同
一構成要素には同一の符号を付して説明する。まず、図
3(a)に示したように、上記方法(図2(a))と同
様に互いに空孔率の異なる多孔質焼結体10と多孔質焼
結体11とを各々に作製する。そののち、本実施の形態
では、多孔質焼結体11の凹部11aに電子放射物質1
aを充填する。
【0043】次いで、図3(b)に示したように、多孔
質焼結体10を多孔質焼結体11の凹部11aに装着し
たのち焼結させる等の方法により多孔質焼結体10と多
孔質焼結体11とを固着させる。そののち、例えば17
00℃の温度(=含浸温度)で加熱することにより電子
放射物質1aを多孔質焼結体10および多孔質焼結体1
1内に拡散させ、図1に示した含浸型陰極1Aを得る。
【0044】この含浸型陰極1Aの製造方法では、互い
に空孔率の異なる2つの多孔質焼結体10,11を固着
させることにより単位体積当たりの電子放射物質1aの
含浸量を調整できることに加えて、多孔質焼結体10と
多孔質焼結体11とを固着させる前に予め多孔質焼結体
11の凹部11a内に電子放射物質1aを充填させてお
くことにより、意図する電子放射物質1aの含浸量と実
際に含浸される量との差を低減させることができる。
【0045】〔第2の実施の形態〕次に、本発明の第2
の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形
態と同一の構成要素については同一の符号を付し、ここ
ではその詳細な説明を省略する。
【0046】図6は、第2の実施の形態に係る含浸型陰
極1Bの構造を表す断面図である。この含浸型陰極1B
は、実質的には第1の実施の形態と同様に、図5に示し
た第1グリッド5の電子放射孔5aおよび第2グリッド
6の電子放射孔6aの直下に位置しており、表面が電子
放出領域20aとなる第1の多孔質体としての多孔質焼
結体20と、表面が電子放出領域以外の周辺領域となる
第2の多孔質体としての多孔質焼結体21とにより構成
されている。本実施の形態では、第1の実施の形態とは
異なり、多孔質焼結体21の表面が、例えばアルミナ
(Al2 3 )やダイヤモンド(C)粉により研磨され
焼結体の空孔が潰されており、非多孔質の面(以下、非
多孔質面という)21aとなっている。
【0047】この含浸型陰極1Bでは、多孔質焼結体2
1の表面が研磨され非多孔質面21aとなっているの
で、この非多孔質面21aには酸化バリウムなどの電子
放射物質は含浸されない。また、多孔質焼結体21内に
含浸されている酸化バリウムや還元されたバリウムの表
面からの蒸発が非多孔質面21aにより抑制される。よ
って、多孔質焼結体20,21の空孔率にかかわらず、
第1の実施の形態と同様に、電子放出領域20aからの
有効な電子の放出が安定かつ良好に行われると共に、酸
化バリウムや還元されたバリウムの第1グリッド5およ
び第2グリッド6への付着が抑制される。なお、多孔質
焼結体21の空孔率は27%以下であることが好まし
い。また、本実施の形態では、多孔質焼結体20と多孔
質焼結体21との空孔率の比は任意である。
【0048】図7(a),(b)は、この含浸型陰極1
Bの製造工程を表す断面図である。まず、図7(a)に
示したように、第1の実施の形態と同様に、多孔質焼結
体20と多孔質焼結体21とを各々に作製する。そのの
ち、多孔質焼結体21の表面をアルミナやダイヤモンド
粉を使用して研磨することにより非多孔質面21aとす
る。次いで、第1の実施の形態と同様に、多孔質焼結体
20と多孔質焼結体21とを固着させる。続いて、図7
(b)に示したように、例えば酸化バリウムなどの電子
放射物質1aを多孔質焼結体20および多孔質焼結体2
1に含浸させ、図6に示した含浸型陰極1Bを得る。
【0049】〔第3の実施の形態〕図8は、本発明の第
3の実施の形態に係る含浸型陰極1Cの構造を表す断面
図である。この含浸型陰極1Cは、電子放出領域10a
を有する第1の多孔質体としての多孔質焼結体10と、
非多孔質面31aを有する第2の多孔質体としての多孔
質焼結体31とを一体化して構成されている。多孔質焼
結体31の空孔率は多孔質焼結体10のそれよりも小さ
くなっている。なお、第1の実施の形態と同様に、好ま
しくは、多孔質焼結体10の空孔率は16〜32%の範
囲である。また、多孔質焼結体31の空孔率は、好まし
くは第2の実施の形態と同様に、27%以下の範囲であ
る。
【0050】この含浸型陰極1Cは、互いに空孔率の異
なる多孔質焼結体10と多孔質焼結体31とをそれぞれ
作製し、多孔質焼結体31の表面を第2の実施の形態と
同様に研磨することにより非多孔質面31aとし、その
のち、多孔質焼結体10および多孔質焼結体31にそれ
ぞれ電子放射物質1aを含浸させることにより製造する
ことができる。
【0051】この含浸型陰極1Cでは、多孔質焼結体1
0の空孔率が多孔質焼結体31の空孔率より大きいの
で、多孔質焼結体10中に含浸された単位体積当りの電
子放射物質1aの量は多孔質焼結体31中に含浸された
それよりも多くなり、有効な電子の放出が安定かつ良好
に行われる。更に、多孔質焼結体31の表面が非多孔質
面31aとなっているので、多孔質焼結体31からの不
要な電子の放出が抑制されると共に、電子放射物質1a
の蒸発により生成された物質の第1グリッド5および第
2グリッド6への付着も抑制される。
【0052】〔第4の実施の形態〕図9は本発明の第4
の実施の形態に係る含浸型陰極を含む電子銃400の概
略構成を表すものである。この電子銃400は、例えば
先の図4に示した陰極線管などに適用されるもので、第
1の実施の形態における電子銃300の含浸型陰極1A
に代えて含浸型陰極1Dを備えたことを除き、他は電子
銃300と同一の構成を有している。よって同一の構成
要素には同一の符号を付し、ここではその詳細な説明を
省略する。
【0053】図10(c)は、図9に示した電子銃40
0から含浸型陰極1Dのみを取り出して表したものであ
る。この含浸型陰極1Dは、図9に示した第1グリッド
5の電子放射孔5aおよび第2グリッド6の電子放射孔
6aの直下に位置しており、例えばタングステンまたは
モリブデン(Mo)などの導電性物質からなる多孔質焼
結体40により構成されている。すなわち、この含浸型
陰極1Dは、含浸型陰極1A〜1Cとは異なり一体構造
型のものである。
【0054】多孔質焼結体41は、例えば円柱形状であ
り、その直径は例えば1.6mmである。多孔質焼結体
41の表面は、電子放出領域41aと電子放出領域41
a以外の非多孔質面41bとにより構成されている。電
子放出領域41aの直径は、例えば第1グリッド5およ
び第2グリッド6の電子放射孔5a,6aの直径よりも
若干大きく、例えば0.9mmである。
【0055】非多孔質面41bは、第2および第3の実
施の形態と同様に、例えばアルミナ,ダイヤモンド粉ま
たは研磨紙により研磨されて焼結体の空孔が潰されてい
る。
【0056】多孔質焼結体41の空孔率は、好ましくは
16〜32%の範囲である。その理由は、第1の実施の
形態において述べた理由と同じである。
【0057】多孔質焼結体41の各空孔には電子放射物
質1aとして、例えば酸化バリウム(BaO)、または
酸化バリウム,酸化カルシウム(CaO)および酸化ア
ルミニウム(Al2 3 )の混合物のいずれかが含浸さ
れている。
【0058】この含浸型陰極1Dでは、非多孔質面41
bは焼結体の空孔が潰されており、電子放射物質1aが
含浸されていない。また、非多孔質面41bからの不要
な電子の放出が抑制される。よって、電子放出領域41
aからの有効な電子の放出が安定かつ良好に行われると
共に、電子放射物質1aの第1グリッド5および第2グ
リッド6への付着が抑制される。更に、多孔質焼結体4
1の全体に電子放射物質1aが含浸されているので、陰
極内に安定した電子放出特性を得るために充分な量の電
子放射物質1aを確保することができる。
【0059】次に、図10(a),(b),(c)を参
照してこの含浸型陰極1Dの製造方法について説明す
る。
【0060】まず、図10(a)に示したように、例え
ば粒径が3μmのタングステン粉末と有機化合物よりな
るバインダと水とを攪拌機を用いて混合し、スラリを形
成する。次いで、このスラリを用いて、例えばスプレー
ドライヤー法により約50μmの顆粒を作製する。続い
て、この顆粒を金型に充填して、例えば5トン/cm2
の圧力を加えてプレス加工を施し、例えば水素還元雰囲
気中において加熱してバインダを除去したのち、更に真
空中、水素雰囲気中あるいは不活性ガス雰囲気中におい
て例えば1800℃で3時間加熱することにより、顆粒
を焼結させる。このようにして、表面に電子放出領域4
1aを含む例えば凹型形状の段差部42を有する円柱形
状の多孔質焼結体41を作製する。
【0061】ここで、多孔質焼結体41の空孔率は、プ
レス加工時の圧力や焼結時の加熱温度,加熱時間により
制御される。空孔率は多孔質焼結体41中において一定
であり、例えば25%である。また、多孔質焼結体41
の厚さは例えば0.65mmであり、段差部42の直径
は例えば0.9mm、段差は例えば0.05mmとなっ
ている。
【0062】次いで、図10(b)に示したように、多
孔質焼結体41の電子放出領域41a以外の表面を、例
えば2000番以上の細かい研磨紙により研磨して焼結
体の孔を潰し、非多孔質面41bを形成する。このと
き、電子放出領域41aと非多孔質面41bとの段差が
10μm以下になるように研磨することが好ましく、5
μm以下であれば更に好ましい。これは、段差が10μ
m以上であると、電子放出特性が不安定になったり、電
子銃400を組み立てる際に含浸型陰極1Dと第1グリ
ッド5との距離を正確に照合することが困難になるから
である。なお、研磨紙の代わりにアルミナやダイヤモン
ド粉を用いて研磨してもよいし、あるいは多孔質焼結体
41を円盤型の治具にセットしたのちにロータリー式研
磨機によって多数個を同時に研磨してもよい。
【0063】続いて、例えば真空中または水素雰囲気中
において、多孔質焼結体41に例えば酸化バリウム(B
aO)、または酸化バリウム,酸化カルシウム(Ca
O)および酸化アルミニウム(Al2 3 )の混合物の
いずれかよりなる電子放射物質1aを加熱溶融して含浸
させる。これにより、図10(c)に示した含浸型陰極
1Dが得られる。
【0064】このように本実施の形態の製造方法では、
段差部42を有する多孔質焼結体41を成形したのち、
段差部42を研磨して非多孔質面41bを形成し、電子
放射物質1aを含浸させるようにしたので、電子放出領
域41aからの有効な電子の放出が安定かつ良好に行わ
れ、電子放射物質1aの第1グリッド5および第2グリ
ッド6への付着が抑制される含浸型陰極1Dを容易かつ
安価に製造することができる。
【0065】〔第5の実施の形態〕図11は本発明の第
5の実施の形態に係る含浸型陰極1Eの断面構造を表す
ものである。この含浸型陰極1Eは、例えば、先の図5
に示した電子銃300などに組み込まれており、電子銃
300に組み込まれた場合には、第1グリッド5の電子
放射孔5aおよび第2グリッド6の電子放射孔6aの直
下に位置している。
【0066】含浸型陰極1Eは、互いに収縮率の異なる
2つの導電性の多孔質体により構成されており、例え
ば、表面が電子放出領域50aとなる第1の多孔質体と
しての多孔質焼結体50と、表面が電子放出領域以外の
周辺領域となり、多孔質焼結体50より収縮率が大きい
第2の多孔質体としての多孔質焼結体51とにより構成
されている。
【0067】多孔質焼結体50は、例えば、直径が0.
895mm、厚さが0.33mmであり、上述の第1グ
リッド5および第2グリッド6における電子放射孔5
a,6aよりも若干大きい径を有する円柱形状をなして
いる。一方、多孔質焼結体51は、多孔質焼結体50を
収容可能な凹部51aを有しており、凹部51a以外の
表面は研磨され空孔が潰されて非多孔質面51bとなっ
ている。多孔質焼結体51は、例えば、直径が1.44
0mm、厚さが0.6mmである。多孔質焼結体51の
凹部51aに多孔質焼結体50が収容され、焼結により
固着された状態で、多孔質焼結体50および多孔質焼結
体51の表面は互いに同一面をなしている。
【0068】多孔質焼結体50の空孔率は、好ましくは
16〜32%の範囲である。多孔質焼結体50では、3
2%よりも空孔率が大き過ぎると、含浸された電子放射
物質が過剰に蒸発して早くなくなるため、陰極としての
寿命が短くなり、逆に空孔率が16%未満になると、電
子放射物質を外部から多孔質焼結体内に含浸させること
ができなくなり、かつ動作中の陰極表面への電子放射物
質の供給を妨げるため電子放出特性が悪化するからであ
る。
【0069】多孔質焼結体50および多孔質焼結体51
の各空孔には電子放射物質1aとして、例えば、酸化バ
リウムまたは酸化カルシウムと酸化アルミニウムとの混
合物が含浸されている。
【0070】次に、図12(a),(b),(c),
(d)を参照してこの含浸型陰極1Eの製造方法につい
て説明する。
【0071】まず、図12(a)に示したように、多孔
質焼結体50および凹部51aを有する多孔質焼結体5
1をそれぞれ作製する。多孔質焼結体50の密度は、例
えば14.5g/cm3 、直径は例えば0.895m
m、厚さは例えば0.330mmとなっている。多孔質
焼結体51の密度は例えば13.4g/cm3 、直径は
例えば1.471mm、厚さは例えば0.640mmで
あり、多孔質焼結体50よりも収縮率が大きい。多孔質
焼結体50、多孔質焼結体51共に、例えば、高融点金
属(例えば粒径3μmのタングステン粉末)と有機化合
物よりなるバインダと水とを攪拌機を用いて混合し、ス
ラリを形成したのち、このスラリを用いて、例えばスプ
レードライヤー法により約50μmの顆粒を作製する。
次いで、多孔質焼結体50は、この顆粒を金型に充填し
たのち、例えば、5トン/cm2 の圧力を加えて成形
し、水素雰囲気中において1800℃で3時間加熱して
顆粒を焼結(仮焼結)させることにより作製する。一
方、多孔質焼結体51は、顆粒を金型に充填したのち、
例えば、2トン/cm2 の圧力を加えて成形し、水素雰
囲気中において1700℃で3時間加熱して顆粒を焼結
(仮焼結)させることにより作製する。なお、凹部51
aは、例えば直径が0.916mmとなるように形成
し、凹部51aの直径が多孔質焼結体50の直径より大
きくなるようにする。
【0072】各多孔質焼結体50,51の密度は、プレ
ス加工による成形の際の成形圧力を変化させることによ
り制御される。
【0073】続いて、多孔質焼結体51の表面を例えば
2000番以上の細かい研磨紙により研磨して焼結体の
孔を潰し、非多孔質面51bとする。このとき、多孔質
焼結体51の厚さは研磨前よりも減少し、例えば0.6
10mmとなる。なお、第4の実施の形態において説明
した場合と同様に、研磨紙の代わりにアルミナやダイヤ
モンド粉やロータリー式研磨機を用いて研磨を行っても
よい。
【0074】次いで、図12(b)に示したように、多
孔質焼結体50を多孔質焼結体51の凹部51aに挿入
する。そののち、例えば、水素雰囲気中において180
0℃で3時間加熱して焼結(本焼結)し、多孔質焼結体
50および多孔質焼結体51を相互に固着させて一体化
させる(固着工程)。
【0075】このとき、多孔質焼結体50は、例えば、
直径方向に9.1%、厚さ方向に7.9%の割合で収縮
する。一方、多孔質焼結体51は、例えば、直径方向に
10.5%、厚さ方向に10.3%の割合で収縮する。
すなわち、多孔質焼結体50の収縮率は、多孔質焼結体
51の収縮率よりも小さい。この収縮率の調整は、既に
述べた各多孔質焼結体50,51の密度を制御すること
によって行うか、あるいは、各多孔質焼結体50,51
を作製する際の加熱温度(焼結温度)や加熱時間(焼結
時間)を制御することによって行う。
【0076】その結果、図12(c)に示したように、
多孔質焼結体50の表面と多孔質焼結体51の表面とが
同一面をなし、多孔質焼結体51の凹部51a内に多孔
質焼結体50が隙間なくはめ込まれた状態になる。な
お、固着した多孔質焼結体50および凹部51aは、例
えば、直径が0.882mm、厚さ(高さ)が0.30
mmとなり、固着した多孔質焼結体51は、例えば、直
径が1.440mm、厚さが0.600mmとなる。
【0077】次いで、図12(d)に示したように、例
えば真空中または水素雰囲気中において、例えば酸化バ
リウムまたは酸化カルシウムと酸化アルミニウムとの混
合物よりなる電子放射物質1aを加熱溶融して含浸させ
る。これにより、図11に示した含浸型陰極1Eが得ら
れる。
【0078】このように本実施の形態では、多孔質焼結
体50および多孔質焼結体51を焼結により一体化する
ようにしたので、一体化する際に多孔質焼結体50,5
1が破損するおそれがない。従って、製造時の歩留まり
が飛躍的に向上する。
【0079】また、多孔質焼結体50と多孔質焼結体5
1との界面に隙間が生じることがないため、電子放射物
質1aがこのような隙間に溜まって含浸型陰極1Eの表
面にしみ出したり、陰極加熱時に瞬間的に電子放射物質
1aが大量に蒸発するおそれもない。従って、電子放出
特性の向上および含浸型陰極1Eの長寿命化を図ること
ができる。
【0080】
【実施例】〔第1の実施例〕更に、本発明の具体的な実
施例について説明する。なお、以下の第1の実施例にお
いては、第1の実施の形態において説明した構造の含浸
型陰極1Aを備えた電子銃300について説明する。
【0081】本実施例では、まず、粒径5μm程度のタ
ングステンをペレット上にプレス加工したのち、温度1
800℃で加熱して焼結させることにより、空孔率が2
0%の多孔質焼結体10と、空孔率が15%の多孔質焼
結体11とを各々作製した。次いで、多孔質焼結体11
の凹部11aに多孔質焼結体10を圧入させたのち、真
空中において、電子放射物質として酸化バリウムを約1
700℃の高温で加熱することにより約3分間含浸させ
ることにより含浸型陰極1Aを得た。
【0082】このようにして得られた含浸型陰極1Aの
多孔質焼結体10および多孔質焼結体11の含浸量を測
定したところ、多孔質焼結体10の含浸量を100%と
すると、多孔質焼結体11の含浸量は55%であった。
すなわち、多孔質焼結体10から第1グリッドに向けて
放出されるバリウムを含む粒子の量は、従来の約2分の
1に低減できることが分かった。
【0083】また、この含浸型陰極1Aを陰極線管に組
み込んで、2000〜5000時間の信頼性試験、すな
わち、カソードカットオフ電圧およびグリッドエミッシ
ョンを測定した。その結果、カソードカットオフ電圧の
変動(ドリフト)は従来の4分の1に、グリッドエミッ
ションの量は従来の4分の1に改善された。また、パル
スエミッション特性は信頼性試験での劣化率が小さく良
好であった。以上の結果から、本実施例において得られ
た含浸型陰極1Aおよび電子銃300は、カソードカッ
トオフ電圧特性およびグリッドエミッションなどに於い
て抑制の信頼性が高く、かつ電子放出特性に優れている
ことが分かった。
【0084】〔第2の実施例〕ここでは、第4の実施の
形態において説明した構造の含浸型陰極1Dを備えた電
子銃400に関する実施例について説明する。
【0085】本実施例では、まず、攪拌機を用いて粒径
3μmのタングステン粉末と有機バインダと水とを混合
して、スラリを形成した。そののち、このスラリを用い
て、スプレードライヤー法により50μm程度の顆粒を
作製した。次いで、この顆粒を金型に充填して、5トン
/cm2 でプレス加工を行い、そののち、水素還元雰囲
気中で加熱して有機バインダを除去した。更に、真空中
で1800℃で3時間加熱して、表面に直径が0.9m
m、段差が0.05mmである段差部42を有する高さ
0.65mmの円柱形状の多孔質焼結体41を作製し
た。なお、この多孔質焼結体41の空孔率を測定したと
ころ、25%であった。
【0086】続いて、多孔質焼結体41の表面がほぼ平
坦になるように段差部42を2000番の研磨紙で研磨
して、表面が電子放出領域41aと非多孔質面41bと
により構成された多孔質焼結体41を得た。この多孔質
焼結体41の表面を走査電子顕微鏡(SEM;Scanning
Electron Microscopy)で観察したところ、非多孔質面
41bでは、焼結体の空孔が潰され、消滅していること
が確認された。
【0087】次いで、真空中で炭酸バリウム(BaCO
3 )と炭酸カルシウム(CaCO3)と酸化アルミニウ
ム(Al2 3 )との混合物で、それらのモル比が4:
1:1である電子放射物質1aを加熱溶融し、多孔質焼
結体41中に含浸させて、含浸型陰極1Dを得た。その
のち、含浸型陰極1Dを用いて電子銃400を組み立て
て陰極線管に実装した。
【0088】なお、本実施例に対する比較例として、表
面が平坦である、すなわち、溝部のない円柱形状の多孔
質焼結体を作製し、表面研磨を行わないこと以外は本実
施例と同一の条件で含浸型陰極を製造し、この含浸型陰
極を用いて電子銃を組み立てて陰極線管に実装した。
【0089】このようにして得られた実施例および比較
例の陰極線管を用いて、5000時間の信頼性試験を行
った。その結果、本実施例の陰極線管では、カットオフ
電圧の変動(ドリフト量)は、比較例のそれの20%以
下であった。また、本実施例の陰極線管では、グリッド
エミッションの発生も防止することができた。更に、試
験後に、実施例および比較例の陰極線管を解体し、第1
グリッドおよび第2グリッドの表面へのバリウムなどの
付着量を確認したところ、本実施例の陰極線管における
付着量は、比較例のそれの20%以下であった。以上の
結果から、本実施例において得られた陰極線管(電子
銃)は、カソードカットオフ電圧特性およびグリッドエ
ミッションなどに於いて抑制の信頼性が高く、かつ電子
放出特性に優れていることが分かった。
【0090】〔第3の実施例〕ここでは、第5の実施の
形態において説明した構造の含浸型陰極1Eを備えた電
子銃に関する実施例について説明する。
【0091】本実施例では、まず、粒径3μmのタング
ステンと有機バインダと水とを攪拌機を用いて混合し、
スラリを形成したのち、このスラリを用いて、スプレー
ドライヤー法により約50μmの顆粒を作製した。
【0092】次いで、この顆粒を金型に充填したのち、
5トン/cm2 の圧力を加えて成形し、水素雰囲気中に
おいて1800℃で3時間加熱して顆粒を焼結させて多
孔質焼結体50を作製した。このとき、多孔質焼結体5
0の密度は14.5g/cm3 、直径は0.895m
m、厚さは0.330mmであった。
【0093】また、上述の顆粒を金型に充填したのち、
2トン/cm2 の圧力を加えて成形し、水素雰囲気中に
おいて1700℃で3時間加熱して顆粒を焼結させて凹
部1aを有する多孔質焼結体51を作製した。このと
き、多孔質焼結体51の密度は13.4g/cm3 、直
径は1.471mm、厚さは0.640mmであった。
また、凹部51aの直径は0.916mmであった。
【0094】続いて、多孔質焼結体51の表面を200
0番の研磨紙により研磨して非多孔質面51bを形成し
た。このとき、多孔質焼結体51の厚さは0.610m
mであった。
【0095】次いで、多孔質焼結体51の凹部51aに
多孔質焼結体50を挿入したのち、水素雰囲気中におい
て1800℃で3時間加熱して焼結させた。更に、真空
中で炭酸バリウム(BaCO3 )と炭酸カルシウム(C
aCO3 )と酸化アルミニウム(Al2 3 )との混合
物で、それらのモル比が4:1:1である電子放射物質
1aを加熱溶融し含浸させて、含浸型陰極1Eを得た。
そののち、含浸型陰極1Eを用いて電子銃を組み立てて
陰極線管に実装した。
【0096】なお、本実施例に対する比較例として、多
孔質焼結体51の凹部51aに多孔質焼結体50を挿入
する前に、多孔質焼結体50および多孔質焼結体51の
それぞれを水素雰囲気中において1800℃で3時間加
熱して焼結させ、これらを圧入により固着させた含浸型
陰極を製造し、この含浸型陰極を用いて電子銃を組み立
てて陰極線管に実装した。比較例においては、その他の
条件は本実施例と同一の条件とした。
【0097】このようにして得られた実施例および比較
例の陰極線管を用いて、5000時間の信頼性試験を行
った。その結果、本実施例の陰極線管では、カットオフ
電圧の変動(ドリフト量)は、比較例のそれの20%以
下であった。また、本実施例の陰極線管では、グリッド
エミッションの発生も防止することができた。更に、試
験後に、実施例および比較例の陰極線管を解体し、第1
グリッドおよび第2グリッドの表面へのバリウムなどの
付着量を確認したところ、本実施例の陰極線管における
付着量は、比較例のそれの20%以下であった。以上の
結果から、本実施例において得られた陰極線管(電子
銃)は、カソードカットオフ電圧特性およびグリッドエ
ミッションなどに於いて抑制の信頼性が高く、かつ電子
放出特性に優れていることが分かった。
【0098】以上、実施の形態および実施例を挙げて本
発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態および
実施例に限定されるものではなく、種々変形可能であ
る。例えば、上記第2の実施の形態および第3の実施の
形態においては、第1の多孔質体と第2の多孔質体とを
固着させたのちに外部から電子放射物質を含浸させる方
法について説明したが、第1の実施の形態で説明した、
予め第2の多孔質体の凹部内に電子放射物質を充填した
のち加熱し拡散させる方法を、上記第2の実施の形態お
よび第3の実施の形態に適用できることはいうまでもな
い。
【0099】また、上記各実施の形態では、多孔質体を
高融点金属のタングステンにより形成する例について説
明したが、その他の材質であっても、モリブデン(M
o)などのように、導電性を有すること、酸化バリウム
等の電子放射物質を還元でき、適当な仕事関数を持つこ
と、陰極動作温度(含浸型は約1000℃)やブラウン
管等の作成プロセスでの一時的な高いエージング温度
(約1200〜1300℃)に真空中で耐える融点を持
つこと、多孔質焼結が可能なこと、の要件を満たすもの
であればよい。
【0100】また、上記各実施の形態では本発明を陰極
線管に適用した例について説明したが、更に、マイクロ
波管などを含む電子管一般にも広く適用できるものであ
る。
【0101】また、上記各実施の形態においては、電子
放出領域を有する多孔質焼結体の表面とその周辺領域と
なる多孔質焼結体の表面とが同一面をなすように構成し
たが、図13に示したように、多孔質焼結体60をその
上部が多孔質焼結体61の凹部61aの径よりも大きい
くさび形状として、各多孔質焼結体60,61の表面が
段差を有しているような構成としてもよい。
【0102】また、上記各実施の形態においては、電子
放出領域の周辺領域となる多孔質焼結体が凹部を有する
構造について説明したが、図14に示したように、電子
放出領域の周辺領域となると共に貫通孔71aを有する
多孔質焼結体71に円柱状の多孔質焼結体70を挿入さ
せる構成としてもよい。その他、例えば図15に示した
ように、多孔質焼結体71に、上述のくさび形状の多孔
質焼結体70’を挿入させる構成としてもよい。
【0103】また、上記各実施の形態においては、含浸
型陰極を1つまたは2つの多孔質焼結体により構成する
ようにしたが、それ以上の数の多孔質焼結体により構成
するようにしてもよい。このような含浸型陰極として
は、図16に示したように、貫通孔81aを有し、電子
放出領域の周辺領域となる多孔質焼結体81と、貫通孔
81a内に挿入された多孔質焼結体82および電子放出
領域を有する多孔質焼結体80とを備えた構造を有する
ものや、図17に示したように、3つの多孔質焼結体8
0’,81,82を備え、これらのうちの電子放出領域
を有する多孔質焼結体80’がくさび形状であるものな
どが挙げられる。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし8の
いずれかに記載の含浸型陰極または請求項28記載の電
子銃または請求項31記載の電子管によれば、電子放出
領域に対応する多孔質体の空孔率と周辺領域に相当する
多孔質体の空孔率とを異なるように構成したので、電子
放出領域から電子が安定かつ充分に放出されるという効
果を奏する。また、空孔率の大きい領域からの不要な電
子の放出や過剰な電子放射物質により生ずる物質のグリ
ッドへの付着を抑制することができる。よって、カソー
ドカットオフ電圧のドリフトやグリッドエミッションを
抑制することができる。また、電子放出領域および周辺
領域が多孔質体により構成されているので、全体に電子
放射物質を貯蔵することができる。よって、含浸型陰極
の寿命を低下させることなく、かつパルスエミッション
特性のように温度制限領域における全面からの電子放出
特性の劣化を抑制することができる。
【0105】また、請求項9記載の含浸型陰極または請
求項29あるいは30記載の電子銃または請求項32あ
るいは33記載の電子管によれば、多孔質体の周辺領域
に非多孔質の面を設けるようにしたので、周辺領域から
の不要な電子放射物質等の放出を抑制できると共に過剰
な電子放射物質により生ずる物質のグリッドへの付着を
抑制することができる。
【0106】更に、請求項10ないし13のいずれかに
記載の含浸型陰極によれば、複数の多孔質体の収縮率を
異なるように構成したので、製造時に各多孔質体間の界
面に隙間が生じることがない。よって、陰極表面に電子
放射物質がしみ出したり、陰極加熱時に瞬間的に電子放
射物質が大量に蒸発するようなことがなく、電子放出特
性の向上および含浸型陰極の長寿命化を図ることができ
るという効果を奏する。
【0107】また、請求項14ないし21のいずれかに
記載の含浸型陰極の製造方法によれば、上記含浸型陰極
を容易に作成することができる。
【0108】特に、請求項17ないし20のいずれかに
記載の含浸型陰極の製造方法によれば、製造工程が簡単
であり、製造コストの低減化を図ることができる。
【0109】更に、請求項22ないし27のいずれかに
記載の含浸型陰極の製造方法によれば、収縮率の異なる
複数の多孔質体を焼結により固着させるようにしたの
で、固着する際に多孔質体が破損するおそれがない。従
って、製造時の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る含浸型陰極の
構成を表す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る含浸型陰極の
製造方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る含浸型陰極の
他の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】図1の含浸型陰極を用いた陰極線管の構成を表
す断面図である。
【図5】図1の含浸型陰極を用いた電子銃の構成を表す
断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る含浸型陰極の
構成を表す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る含浸型陰極の
製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る含浸型陰極の
構成を表す断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る含浸型陰極を
用いた電子銃の構成を表す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る含浸型陰極
の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る含浸型陰極
の構成を表す断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る含浸型陰極
の製造方法を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第1ないし第5の実施の形態の変形
例に係る含浸型陰極の構成を表す断面図である。
【図14】本発明の第1ないし第5の実施の形態の変形
例に係る含浸型陰極の構成を表す断面図である。
【図15】本発明の第1ないし第5の実施の形態の他の
変形例に係る含浸型陰極の構成を表す断面図である。
【図16】本発明の第1ないし第5の実施の形態の更に
他の変形例に係る含浸型陰極の構成を表す断面図であ
る。
【図17】本発明の第1ないし第5の実施の形態の更に
他の変形例に係る含浸型陰極の構成を表す断面図であ
る。
【符号の説明】
1A,1B,1C ,1D,1E…含浸型陰極、1a…
電子放射物質、10,20,50…多孔質焼結体(第1
の多孔質体)、11,21,31,51…多孔質焼結体
(第2の多孔質体)、21a,31a,41b,51b
…非多孔質面(研磨面)、41…多孔質焼結体、42…
段差部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 陽二 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 小川 伸二 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 今林 大智 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 古川 真 福島県安達郡本宮町字樋ノ口2番地 ソニ ー本宮株式会社内 (72)発明者 吉野 信幸 東京都新宿区西新宿2丁目1番1号 シチ ズン時計株式会社内 (72)発明者 佐藤 惇司 東京都新宿区西新宿2丁目1番1号 シチ ズン時計株式会社内 (72)発明者 平居 芳郎 東京都新宿区西新宿2丁目1番1号 シチ ズン時計株式会社内 (72)発明者 小笠原 直人 東京都新宿区西新宿2丁目1番1号 シチ ズン時計株式会社内 (72)発明者 小林 邦康 長野県北佐久郡御代田町大字御代田4107− 5 シメオ精密株式会社内

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に電子放出領域およびその他の周辺
    領域を有する導電性の多孔質体に電子放射物質が含浸さ
    れてなる含浸型陰極において、 前記多孔質体は、電子放出領域に相当する部分の空孔率
    と周辺領域に相当する部分の空孔率とが異なる構成を有
    することを特徴とする含浸型陰極。
  2. 【請求項2】 前記多孔質体の電子放出領域に相当する
    部分の空孔率が、周辺領域に相当する部分の空孔率より
    も大きいことを特徴とする請求項1記載の含浸型陰極。
  3. 【請求項3】 前記多孔質体は、互いに空孔率の異なる
    複数の多孔質体を一体化して構成されてなることを特徴
    とする請求項2記載の含浸型陰極。
  4. 【請求項4】 前記多孔質体が、電子放出領域に相当す
    る部分に対応する第1の多孔質体と、周辺領域に相当す
    る部分に対応する第2の多孔質体とにより構成されたこ
    とを特徴とする請求項3記載の含浸型陰極。
  5. 【請求項5】 前記第2の多孔質体は第1の多孔質体が
    収容可能な凹部を有し、前記凹部に第1の多孔質体が収
    容されて第1の多孔質体と第2の多孔質体とが一体化さ
    れたことを特徴とする請求項4記載の含浸型陰極。
  6. 【請求項6】 前記第1の多孔質体の空孔率が16〜3
    2%の範囲であることを特徴とする請求項5記載の含浸
    型陰極。
  7. 【請求項7】 前記第2の多孔質体は、その表面に非多
    孔質の面を有することを特徴とする請求項5記載の含浸
    型陰極。
  8. 【請求項8】 前記第2の多孔質体の空孔率が27%以
    下の範囲であることを特徴とする請求項7記載の含浸型
    陰極。
  9. 【請求項9】 表面に電子放出領域およびその他の周辺
    領域を有する多孔質体に電子放射物質が含浸されてなる
    含浸型陰極において、 前記多孔質体は、電子放出領域以外の周辺領域に非多孔
    質の面を有することを特徴とする含浸型陰極。
  10. 【請求項10】 表面に電子放出領域およびその他の周
    辺領域を有する導電性の多孔質体に電子放射物質が含浸
    されてなる含浸型陰極において、 前記多孔質体は、互いに収縮率の異なる複数の多孔質体
    を組み合わせて焼結し固着したものであることを特徴と
    する含浸型陰極。
  11. 【請求項11】 前記複数の多孔質体は、電子放出領域
    に相当する部分に対応する第1の多孔質体と、周辺領域
    に相当する部分に対応する第2の多孔質体とを含むこと
    を特徴とする請求項10記載の含浸型陰極。
  12. 【請求項12】 前記第1の多孔質体の収縮率は、前記
    第2の多孔質体の収縮率より小さいことを特徴とする請
    求項11記載の含浸型陰極。
  13. 【請求項13】 前記第2の多孔質体は、表面に非多孔
    質の面を有することを特徴とする請求項11記載の含浸
    型陰極。
  14. 【請求項14】 互いに空孔率が異なる複数の導電性の
    多孔質体を各々作製する工程と、 前記複数の多孔質体を相互に固着させて一体化する工程
    と、 前記複数の多孔質体中にそれぞれ電子放射物質を含浸さ
    せる工程とを含むことを特徴とする含浸型陰極の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 導電性の第1の多孔質体と、この第1
    の多孔質体よりも空孔率が小さく、かつ第1の多孔質体
    が収容可能な凹部を有する導電性の第2の多孔質体を各
    々作製する工程と、 前記第2の多孔質体の凹部に電子放射物質を充填する工
    程と、 前記第2の多孔質体の電子放射物質が充填された凹部内
    に第1の多孔質体を固着させると共に、前記電子放射物
    質を第1の多孔質体および第2の多孔質体内にそれぞれ
    拡散させる工程とを含むことを特徴とする含浸型陰極の
    製造方法。
  16. 【請求項16】 表面に電子放出領域に相当する部分お
    よびその他の周辺領域に相当する部分を有する導電性の
    多孔質体を作成する工程と、 前記多孔質体の周辺領域に相当する部分を研磨して、非
    多孔質の面とする工程と、 前記多孔質体中に電子放射物質を含浸させる工程とを含
    むことを特徴とする含浸型陰極の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記多孔質体を作成する工程におい
    て、前記多孔質体の周辺領域に相当する部分が表面、前
    記電子放出領域に相当する部分が底面となるように段差
    部を形成することを特徴とする請求項16記載の含浸型
    陰極の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記電子放出領域と前記周辺領域との
    間の段差が10μm以下となるように研磨することを特
    徴とする請求項17記載の含浸型陰極の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記多孔質体を作成する工程におい
    て、金属粉末を焼結させて多孔質体を作成することを特
    徴とする請求項16記載の含浸型陰極の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記金属粉末が、タングステン(W)
    またはモリブデン(Mo)であることを特徴とする請求
    項19記載の含浸型陰極の製造方法。
  21. 【請求項21】 導電性の第1の多孔質体と、この第1
    の多孔質体よりも空孔率が小さく、かつ第1の多孔質体
    が収容可能な凹部を有する導電性の第2の多孔質体を各
    々作製する工程と、 前記第2の多孔質体の表面を研磨して非多孔質の面とす
    る工程と、 前記第2の多孔質体の凹部内に第1の多孔質体を固着さ
    せると共に、電子放射物質を第1の多孔質体および第2
    の多孔質体内にそれぞれ含浸させる工程とを含むことを
    特徴とする含浸型陰極の製造方法。
  22. 【請求項22】 表面に電子放出領域およびその他の周
    辺領域を有する含浸型陰極の製造方法において、 複数の導電性を有する物質を成形し、複数の多孔質体を
    作製する工程と、 前記複数の多孔質体を互いに収縮率が異なるように、各
    々仮焼結させる工程と、 前記複数の多孔質体を組み合わせて焼結し、相互に固着
    させる工程と、 前記複数の多孔質体中にそれぞれ電子放射物質を含浸さ
    せる工程とを含むことを特徴とする含浸型陰極の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 前記複数の多孔質体として、少なくと
    も前記電子放出領域に相当する部分に対応する第1の多
    孔質体と、その他の周辺領域に相当する部分に対応する
    第2の多孔質体とを作製することを特徴とする請求項2
    2記載の含浸型陰極の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記第1の多孔質体の収縮率を、前記
    第2の多孔質体の収縮率よりも小さくすることを特徴と
    する請求項23記載の含浸型陰極の製造方法。
  25. 【請求項25】 更に、前記第2の多孔質体の表面を研
    磨して、非多孔質の面とする工程を含むことを特徴とす
    る請求項23記載の含浸型陰極の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記多孔質体の収縮率を、成形時に加
    える圧力を調整することによって制御することを特徴と
    する請求項22記載の含浸型陰極の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記多孔質体の収縮率を、仮焼結時の
    加熱温度または加熱時間によって制御することを特徴と
    する請求項22記載の含浸型陰極の製造方法。
  28. 【請求項28】 電子放射孔を有するグリッドと、表面
    に少なくとも前記グリッドの電子放射孔よりも広い電子
    放出領域、およびその他の周辺領域を有する導電性の多
    孔質体に電子放射物質が含浸されてなる含浸型陰極とを
    有する電子銃において、 前記含浸型陰極の多孔質体は、電子放出領域に相当する
    部分の空孔率と周辺領域に相当する部分の空孔率とが異
    なる構成を有することを特徴とする電子銃。
  29. 【請求項29】 更に、前記多孔質体の周辺領域に非多
    孔質の面を有することを特徴とする請求項28記載の電
    子銃。
  30. 【請求項30】 電子放射孔を有するグリッドと、表面
    に少なくとも前記グリッドの電子放射孔よりも広い電子
    放出領域およびその他の周辺領域を有する導電性の多孔
    質体に電子放射物質が含浸されてなる含浸型陰極とを有
    する電子銃において、 前記含浸型陰極の多孔質体の表面の周辺領域に非多孔質
    の面を有することを特徴とする電子銃。
  31. 【請求項31】 電子放射孔を有するグリッドと、表面
    に少なくとも前記グリッドの電子放射孔よりも広い電子
    放出領域およびその他の周辺領域を有する導電性の多孔
    質体に電子放射物質が含浸されてなる含浸型陰極とを有
    する電子銃を備えた電子管において、 前記含浸型陰極の多孔質体は、電子放出領域に相当する
    部分の空孔率と周辺領域に相当する部分の空孔率とが異
    なる構成を有することを特徴とする電子管。
  32. 【請求項32】 更に、前記多孔質体の周辺領域に非多
    孔質の面を有することを特徴とする請求項31記載の電
    子管。
  33. 【請求項33】 電子放射孔を有するグリッドと、表面
    に少なくとも前記グリッドの電子放射孔よりも広い電子
    放出領域およびその他の周辺領域を有する導電性の多孔
    質体に電子放射物質が含浸されてなる含浸型陰極とを有
    する電子銃を備えた電子管において、 前記含浸型陰極の多孔質体の表面の周辺領域に非多孔質
    の面を有することを特徴とする電子管。
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