JPH11336899A - トップリング溝の上方位置設置が可能なAl−Si系合金製ピストン - Google Patents
トップリング溝の上方位置設置が可能なAl−Si系合金製ピストンInfo
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- JPH11336899A JPH11336899A JP14102998A JP14102998A JPH11336899A JP H11336899 A JPH11336899 A JP H11336899A JP 14102998 A JP14102998 A JP 14102998A JP 14102998 A JP14102998 A JP 14102998A JP H11336899 A JPH11336899 A JP H11336899A
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Abstract
−Si系合金製ピストンを提供する。 【解決手段】 ピストン鋳物本体のトップリング溝をピ
ストンリング耐摩環の鋳包みにより形成してなるAl−
Si系合金製ピストンにおいて、上記ピストン鋳物本体
を、重量%で、Si:11〜13%、Cu:0.8〜
1.3%、Mg:0.7〜1.3%、Ni:0.8〜
1.5%、Fe:0.2〜1%、Mn:0.05〜0.
3%、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組
成を有する初晶Si分散Al−Si系合金で構成し、か
つ上記ピストンリング耐摩環を、同じく重量%で、C
r:0.5〜5%、Mn:0.2〜1%、S:0.05
〜1%、B:0.05〜1%、C:0.5〜5%、N
i:1〜12%、Ti:0.5〜5%、Cu:1〜8
%、を含有し、さらに必要に応じてMo:0.1〜2
%、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組
成、並びに素地はオーステナイト相を主体とし、かつ気
孔内には析出成長した遊離黒鉛が存在する組織を有する
遊離黒鉛析出鉄系焼結材料で構成する。
Description
トンリング耐摩環の接合強度が高く、トップリング溝を
上方位置に移動しても、前記トップリング溝を形成する
前記ピストンリング耐摩環が小さい相手攻撃性で、すぐ
れた高温耐摩耗性を発揮するAl−Si系合金製ピスト
ンに関するものである。
公報に記載されるように、例えばトラック・バス用ディ
ーゼルエンジンのピストンが、図1(a)の概略縦断面
図および同(b)の要部縦断面図で示される構造を有
し、かつ図示される通りトップランド部直下のトップリ
ング溝にはピストンリング耐摩環がピストン鋳物本体の
鋳造時に鋳ぐるまれて設けられた構造をもつことは良く
知られるところである。また、ピストン鋳物本体が、A
l−Si系合金で構成され、さらに上記ピストンリング
耐摩環には、良好な耐摩耗性と相手攻撃性の低いFe−
Ni−Cu系焼結材料(組成:Fe−8〜25%Ni−
3.5〜10%Cu−2.0%以下C)や、Ni−Cu
−Cr系オーステナイト鋳鉄であるニレジスト鋳鉄(組
成:Fe−1.5〜3.5%Cr−0.8〜1.5%M
n−3%以下C−13〜22%Ni−8%以下Cu−
1.0〜2.8%Si、以上重量%、以下%は重量%を
示す)などが広く用いられていることも良く知られると
ころである。
排気ガス規制は年々厳しさを増す傾向にあり、この対応
手段の1つとして、トラック・バス用ディーゼルエンジ
ンでは、ピストンのトップランド部直下のトップリング
溝の位置を上方へ移動させてトップランド部外周面、ト
ップリング上面、およびシリンダー内周面で形成される
空隙の容量を小さくし、もって未燃焼のまま大気に排出
されてしまう前記空隙部分のガス量を少なくする試みも
なされているが、このようにトップリング溝の位置を上
方へ移動すると、トップリング溝の温度が急激に高くな
り、この結果鋳包まれたピストンリング耐摩環に剥離が
発生し易くなるばかりでなく、前記ピストンリング耐摩
環が上記のFe−Ni−Cu系焼結材料やニレジスト鋳
鉄で構成されていても、これの摩耗進行の急速な進行は
避けられず、この摩耗現象は近年のエンジンの高出力化
および大型化に伴って一段と加速され、この摩耗部分か
らガス漏れが発生するようになるのが現状である。
上述のような観点から、トップリング溝の上方位置移動
が可能なピストンを開発すべく研究を行った結果、ピス
トン鋳物本体を、 Si:11〜13%、 Cu:0.8〜1.3%、 Mg:0.7〜1.3%、 Ni:0.8〜1.5%、 Fe:0.2〜1%、 Mn:0.05〜0.3%、 を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有
する初晶Si分散Al−Si系合金に特定した上で、こ
れに鋳包まれるピストンリング耐摩環を、原料粉末とし
て、基本的にFeに、合金成分としてS(硫黄)成分、
あるいはNiおよびS成分、さらにCr、Mn、および
S成分、必要に応じてMo成分をそれぞれ所定量含有さ
せてなるアトマイズFe合金粉末と、六方晶窒化ほう素
(以下、h−BNで示す)粉末および/またはほう酸粉
末を用い、さらに水素化チタン(以下、TiHx で示
す)粉末、Ni粉末、Mo粉末、Mn粉末、Cu粉末、
S(硫黄)粉末、および黒鉛粉末を用い、これら原料粉
末を所定の配合組成に配合し、通常の条件で混合し、圧
粉体にプレス成形した状態で、前記圧粉体を、還元性雰
囲気中、相対的に高い焼結温度となる1100〜125
0℃の範囲内の所定温度に加熱し、所定時間保持後、相
対的に遅い冷却速度、望ましくは40℃/分以下の冷却
速度で、少なくとも600℃まで冷却の条件で焼結する
ことにより製造した、 Cr:0.5〜5%、 Mn:0.2〜1%、 S :0.05〜1%、 B :0.05〜1%、 C :0.5〜5%、 Ni:1〜12%、 Ti:0.5〜5%、 Cu:1〜8%、 を含有し、さらに必要に応じて、 Mo:0.1〜2%、を含有し、残りがFeと不可避不
純物からなる組成を有し、かつ望ましくは6.0〜7.
2g/cm3 の密度、さらに言い換えれば80〜95%
の理論密度比をもった鉄系焼結材料で構成すると、この
鉄系焼結材料においては、上記初晶Si分散Al−Si
系合金のピストン鋳物本体に対する密着性がきわめて高
く、したがってピストンリング耐摩環に剥離が発生する
ことはなく、その上、前記焼結温度で、素地を形成する
上記Fe合金粉末にC成分(黒鉛粉末)が固溶し、この
固溶したC成分が上記h−BN粉末およびほう酸粉末の
B成分と前記Fe合金粉末中に固溶のS成分の共働作用
で、冷却過程で気孔内に遊離黒鉛として析出し、成長し
て、すぐれた耐焼付性と高温潤滑性を示すようになるこ
とから、前記鉄系焼結材料からなるピストンリング耐摩
環は、前記気孔内に析出して成長した遊離黒鉛と、N
i、Cr,Mn、およびTi成分、さらに必要に応じて
Mo成分が固溶して形成された耐熱性のすぐれたオース
テナイト相を主体とする素地とによって、低い相手攻撃
性で、かつすぐれた高温耐摩耗性を発揮し、この結果ピ
ストンにおけるトップリング溝の上方位置移動が可能に
なるという研究結果を得たのである。
されたものであって、ピストン鋳物本体のトップリング
溝をピストンリング耐摩環の鋳包みにより形成してなる
Al−Si系合金製ピストンにおいて、ピストン鋳物本
体を、 Si:11〜13%、 Cu:0.8〜1.3%、 Mg:0.7〜1.3%、 Ni:0.8〜1.5%、 Fe:0.2〜1%、 Mn:0.05〜0.3%、 を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有
する初晶Si分散Al−Si系合金で構成し、かつ上記
ピストンリング耐摩環を、 Cr:0.5〜5%、 Mn:0.2〜1%、 S :0.05〜1%、 B :0.05〜1%、 C :0.5〜5%、 Ni:1〜12%、 Ti:0.5〜5%、 Cu:1〜8%、 を含有し、さらに必要に応じて、 Mo:0.1〜2%、を含有し、残りがFeと不可避不
純物からなる組成、並びに素地はオーステナイト相を主
体とし、かつ気孔内には析出成長した遊離黒鉛が存在す
る組織を有する遊離黒鉛析出鉄系焼結材料で構成してな
る、トップリング溝の上方位置設置が可能なAl−Si
系合金製ピストンに特徴を有するものである。
ストン鋳物本体を構成する初晶Si分散Al−Si系合
金、およびピストンリング耐摩環を構成する遊離黒鉛析
出鉄系焼結材料の成分組成を上記の通りに限定した理由
を説明する。 (A)初晶Si分散Al−Si系合金 (a)Si Si成分には、素地に硬質の初晶Siとして分散晶出し
て耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が1
1%未満では、所望のすぐれた耐摩耗性を確保すること
ができず、一方その含有量が13%を越えると強度が低
下するようになることから、その含有量を11〜13%
と定めた。
あるが、その含有量が0.8%未満では、所望の強度向
上効果がえられず、一方その含有量が1.3%を越える
と硬さが低下するようになることから、その含有量を
0.8〜1.3%と定めた。
み面)を活性化し、もって密着性を向上させる作用があ
るが、その含有量が0.7%未満では、所望の活性化効
果が得られず、一方その含有量が1.3%を越えると強
度が低下するようになることから、その含有量を0.7
〜1.3%と定めた。
があるが、その含有量が0.8%未満では、所望の耐熱
性向上効果が得られず、一方その含有量が1.5%を越
えると強度が低下するようになることから、その含有量
を0.8〜1.5%と定めた。
果と相まって、鋳包まれるピストンリング耐摩環との密
着性を向上させる作用があるが、その含有量が0.2%
未満では、所望のすぐれた密着性を確保することができ
ず、一方その含有量が1%を越えると強度が低下するよ
うになることから、その含有量を0.2〜1%と定め
た。
ングなどとのなじみ性を改善する作用があるが、その含
有量が0.05%未満では、所望のなじみ性を確保する
ことができず、一方その含有量が0.3%を越えると硬
さが低下するようになることから、その含有量を0.0
5〜0.3%と定めた。
して、これの耐熱性を向上させ、もってピストンリング
耐摩環の高温耐摩耗性向上に寄与する作用をもつが、そ
の含有量が0.5%未満では前記作用に所望の向上効果
が得られず、一方その含有量が5%を越えると、B成分
およびS成分による黒鉛の析出および成長作用が抑制さ
れるようになることから、その含有量を0.5〜5%、
望ましくは1〜3%と定めた。
つが、その含有量が0.2%未満では所望の強度向上効
果が得られず、一方その含有量が1%を越えると、B成
分およびS成分による黒鉛化が著しく阻害されるように
なることから、その含有量を0.2〜1%、望ましくは
0.4〜0.8%と定めた。
程で微細な遊離黒鉛として主に気孔内に積極的に析出さ
せ、成長させる作用をもち、このような黒鉛化作用は、
S成分については、予めFe、Fe−Ni合金やFe−
Ni−Mo合金、さらにFe−Cr−Mn合金やFe−
Cr−Mn−Mo合金にそれぞれ所定量のS成分を含有
させた溶湯をアトマイズして形成したFe合金粉末、ま
た、B成分については、ほう素源としてh−BN粉末お
よびほう酸粉末をそれぞれ原料粉末として用いることに
より一段と促進されるものであるが、その含有量が、S
およびB成分のいずれかでも0.05%未満になると、
所望の黒鉛化を図ることができず、この結果耐焼付性お
よび高温潤滑性の向上、すなわち高温耐摩耗性の向上が
不十分となるばかりでなく、硬質のセメンタイト(Fe
3 C)が析出するようになって、相手攻撃性(ピストン
リング攻撃性)が増大するようになり、一方その含有量
が、SおよびB成分のいずれかでも1%を越えると、焼
結性が低下し、所望の強度を確保することができなくな
るばかりでなく、素地にフェライト相が出現するように
なり、この結果オーステナイト相が減少するようになっ
て所望の高温耐摩耗性を確保することができなくなるこ
とから、その含有量を、それぞれS:0.05〜1%、
望ましくは0.1〜0.5%、B:0.05〜1%、望
ましくは0.1〜0.5%と定めた。
の通り遊離黒鉛として気孔中に析出して耐焼付性および
高温潤滑性を向上させ、もって高温耐摩耗性の向上に寄
与すると共に、相手攻撃性を緩和する作用をもつが、そ
の含有量が0.5%未満では前記作用に所望の向上効果
が得られず、一方その含有量が5%を越えると、強度に
急激な低下傾向が現れるようになることから、その含有
量を0.5〜5%、望ましくは1〜3%と定めた。
の形成を促進し、かつ上記の通りCr成分との共存固溶
によってオーステナイト相の耐熱性を向上させ、もって
高温耐摩耗性の向上に寄与する作用をもつが、その含有
量が、それぞれNi:1%未満、Ti:0.5%未満で
は前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有
量が、Niにあってはオーステナイト相の形成には12
%で十分であり、またTiにあっては3%を越えると強
度が低下するようになることから、その含有量を、それ
ぞれNi:1〜12%、望ましくは3〜8%、Ti:
0.5〜5%、望ましくは1〜3%と定めた。なお、T
i成分に関しては、原料粉末としてTiHx 粉末を用
い、焼結の活性化を図ると共に、焼結に際して分解水素
による強力な還元作用を発揮させるようにするのが望ま
しい。
結のために必要な成分であると共に、ピストン鋳物本体
との密着性向上に寄与する作用をもつが、その含有量が
1%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方そ
の含有量が8%を越えると、硬さが低下し、高温条件下
では摩耗の進行が促進するようになることから、その含
有量を1〜8%、望ましくは2〜4%と定めた。
つので、必要に応じて含有されるが、その含有量が0.
1%未満では所望の強度向上効果が得られず、一方その
含有量が2%を越えると、原料粉末(混合粉末)のプレ
ス成形性(圧縮性)が低下し、この結果焼結材料の密度
が6.0g/cm3 未満となってしまい、望ましい密度
である6.0〜7.2g/cm3 の密度が得られず、所
望の強度を確保することができなくなることから、その
含有量を0.1〜2%、望ましくは0.5〜1.5%と
定めた。
ストンを実施例により具体的に説明する。まず、原料粉
末として、いずれも10〜150μmの範囲内の所定の
平均粒径を有するアトマイズFe−S合金粉末(S:
0.32%含有)、アトマイズFe−Ni−Mo−S合
金粉末(Ni:4.5%、Mo:1.5%、S:0.3
3%含有)、アトマイズFe−Cr−Mn−S合金粉末
(Cr:2.1%、Mn:0.75%、S:0.22%
含有)、TiHx 粉末、Ni粉末、Mo粉末、Mn粉
末、Cu粉末、黒鉛粉末、h−BN粉末、およびほう酸
粉末を用意し、これら原料粉末を所定の配合組成に配合
し、潤滑材としてステアリン酸亜鉛を0.7%添加して
V型ミキサーで30分間混合し、6ton/cm2 の圧
力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体をアンモニア分
解ガス雰囲気中、温度:1140℃に1時間保持した
後、35℃/分の冷却速度で550℃まで徐冷して放冷
の条件で焼結することにより表1、2に示される成分組
成を有し、かつ外径:120mm×内径:102mm×
厚さ:7mmの寸法をもった本発明ピストンリング耐摩
環(以下、本発明耐摩環と云う)1〜29をそれぞれ製
造した。上記本発明耐摩環1〜29は、いずれも6.2
〜7.1g/cm3 の範囲内の密度を有し、素地がオー
ステナイト相、あるいは主体がオーステナイト相で僅か
なパーライト相が存在する素地からなり、かつ気孔内に
遊離黒鉛が析出した光学顕微鏡組織観察結果を示した。
また、比較の目的で、通常の高周波溶解炉にて、同じく
表2に示される成分組成をもったニレジスト鋳鉄の溶湯
を調製し、これをシェルモールド鋳型に鋳造して、同じ
寸法をもった従来ピストンリング耐摩環に相当する比較
ピストンリング耐摩環(以下、比較耐摩環と云う)を製
造した。
で前処理、すなわち脱脂、乾燥、および温度:700℃
の後述の本発明Al−Si系合金と同じ組成をもったA
l−Si系合金溶湯中に5分間浸漬の前処理を施した状
態で、それぞれピストン精密鋳造金型内に設置し、これ
にAl−12.1%Si−1.03%Cu−0.96%
Mg−1.22%Ni−0.46%Fe−0.10%M
nの組成をもった本発明Al−Si系合金の溶湯を鋳造
してピストン鋳物本体を形成すると共に、前記耐摩環を
鋳包み、ついで前記耐摩環に切削加工にて溝径:7mm
×溝幅:3mmの寸法のトップリング溝を形成すること
により、いずれもトップリング溝を上方位置移動してト
ップランド部上面とトップリング溝上面間の距離を5m
mとした、上記本発明耐摩環1〜29をそれぞれ使用の
本発明Al−Si合金製ピストン(以下、本発明ピスト
ンと云う)1〜29、および上記比較耐摩環使用の比較
Al−Si合金製ピストン(以下、比較ピストンと云
う)をそれぞれ製造した。
量:8200cm3 の直列6気筒直噴ディーゼルエンジ
ンに組み込み、回転数:3200rpm、エンジン冷却
水温度:80℃、運転モード:500時間連続運転、負
荷:フル出力の条件で加速運転試験を行ない、試験後の
耐摩環のトップリング溝における外周面の最大溝幅を測
定することにより高温耐摩耗性を評価し、また上記トッ
プリング溝に嵌合されたピストンリング(Fe−2.7
%Si−3.5%Cの組成を有する球状黒鉛鋳鉄製でC
rメッキしたもの)の上下面における最大摩耗深さを測
定することにより相手攻撃性を評価した。これらの測定
結果を表3に示した。また、表3には、上記の加速運転
試験後のピストンにおける耐摩環底面位置に相当する部
分から試験片を切り出し、ピストン鋳物本体と耐摩環の
接合面の引張強さを測定した結果も示した。
ン1〜29においては、いずれも耐摩環のピストン鋳物
本体に対する接合強度がきわめて高く、さらにトップリ
ング溝の上方位置移動にもかかわらず、耐摩環はすぐれ
た高温耐摩耗性を示し、かつ耐摩環による相手攻撃性も
きわめて小さいのに対して、比較ピストンおいては、耐
摩環とピストン鋳物本体の接合強度は相対的に低く、ト
ップリング溝が上方位置に移動した構造ではニレジスト
鋳鉄からなる耐摩環は十分な高温耐摩耗性を示さず、摩
耗進行が著しく加速されるようになることが明らかであ
る。上述のように、この発明のピストンは、トップリン
グ溝の位置を上方へ移動した状態で耐摩環は小さい相手
攻撃性で、すぐれた高温耐摩耗性を発揮することから、
エンジンの排気ガス規制に十分満足に対応することがで
きるものである。
縦断面図(a)および同要部縦断面図(b)である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ピストン鋳物本体のトップリング溝をピ
ストンリング耐摩環の鋳包みにより形成してなるAl−
Si系合金製ピストンにおいて、 上記ピストン鋳物本体を、重量%で、 Si:11〜13%、 Cu:0.8〜1.3%、 Mg:0.7〜1.3%、 Ni:0.8〜1.5%、 Fe:0.2〜1%、 Mn:0.05〜0.3%、 を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有
する初晶Si分散Al−Si系合金で構成し、かつ上記
ピストンリング耐摩環を、同じく重量%で、 Cr:0.5〜5%、 Mn:0.2〜1%、 S :0.05〜1%、 B :0.05〜1%、 C :0.5〜5%、 Ni:1〜12%、 Ti:0.5〜5%、 Cu:1〜8%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成、並
びに素地はオーステナイト相を主体とし、かつ気孔内に
は析出成長した遊離黒鉛が存在する組織を有する遊離黒
鉛析出鉄系焼結材料で構成したことを特徴とするトップ
リング溝の上方位置設置が可能なAl−Si系合金製ピ
ストン。 - 【請求項2】 ピストン鋳物本体のトップリング溝をピ
ストンリング耐摩環の鋳包みにより形成してなるAl−
Si系合金製ピストンにおいて、 上記ピストン鋳物本体を、重量%で、 Si:11〜13%、 Cu:0.8〜1.3%、 Mg:0.7〜1.3%、 Ni:0.8〜1.5%、 Fe:0.2〜1%、 Mn:0.05〜0.3%、 を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有
する初晶Si分散Al−Si系合金で構成し、かつ上記
ピストンリング耐摩環を、同じく重量%で、 Cr:0.5〜5%、 Mn:0.2〜1%、 S :0.05〜1%、 B :0.05〜1%、 C :0.5〜5%、 Ni:1〜12%、 Ti:0.5〜5%、 Cu:1〜8%、 を含有し、さらに、 Mo:0.1〜2%、を含有し、残りがFeと不可避不
純物からなる組成、並びに素地はオーステナイト相を主
体とし、かつ気孔内には析出成長した遊離黒鉛が存在す
る組織を有する遊離黒鉛析出鉄系焼結材料で構成したこ
とを特徴とするトップリング溝の上方位置設置が可能な
Al−Si系合金製ピストン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14102998A JP3470595B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | トップリング溝の上方位置設置が可能なAl−Si系合金製ピストン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14102998A JP3470595B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | トップリング溝の上方位置設置が可能なAl−Si系合金製ピストン |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11336899A true JPH11336899A (ja) | 1999-12-07 |
JP3470595B2 JP3470595B2 (ja) | 2003-11-25 |
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ID=15282568
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JP14102998A Expired - Fee Related JP3470595B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | トップリング溝の上方位置設置が可能なAl−Si系合金製ピストン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3470595B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6485026B1 (en) * | 2000-10-04 | 2002-11-26 | Dana Corporation | Non-stainless steel nitrided piston ring, and method of making the same |
US10190535B2 (en) | 2015-08-13 | 2019-01-29 | Hyundai Motor Company | Hypereutectic aluminum-silicon-based alloy having superior elasticity and wear resistance |
US10392681B2 (en) | 2014-05-02 | 2019-08-27 | Hyundai Motor Company | High-elasticity aluminum alloy and method of manufacturing the same |
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1998
- 1998-05-22 JP JP14102998A patent/JP3470595B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP3470595B2 (ja) | 2003-11-25 |
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