JPH11310858A - 耐摩耗性のすぐれたアルミニウム真空溶浸鉄系焼結材料製ピストンリング耐摩環 - Google Patents

耐摩耗性のすぐれたアルミニウム真空溶浸鉄系焼結材料製ピストンリング耐摩環

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JPH11310858A
JPH11310858A JP11889398A JP11889398A JPH11310858A JP H11310858 A JPH11310858 A JP H11310858A JP 11889398 A JP11889398 A JP 11889398A JP 11889398 A JP11889398 A JP 11889398A JP H11310858 A JPH11310858 A JP H11310858A
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alloy
powder
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Sekihin Yo
楊  積彬
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Mitsubishi Materials Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性にすぐれたアルミニウム真空溶浸鉄
系焼結材料製ピストンリング耐摩環を提供する。 【解決手段】 ピストンリング耐摩環を、重量%で、C
r:0.5〜5%、Mn:0.2〜1%、S:0.05
〜1%、B:0.05〜1%、C:0.5〜5%、N
i:1〜12%、Ti:0.5〜5%、Cu:1〜8
%、を含有し、さらに必要に応じてMo:0.1〜2
%、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成
および10〜30%の気孔率を有し、かつ素地はオース
テナイト相を主体とし、気孔内に遊離黒鉛が析出し、成
長した組織を有する鉄系焼結材料からなる耐摩環本体
に、AlまたはAl合金を真空溶浸してなる、アルミニ
ウム真空溶浸鉄系焼結材料で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ピストンリング
耐摩環本体がすぐれた高温耐摩耗性を発揮し、かつこれ
に真空溶浸されたAlまたはAl合金が一段の熱伝導性
向上に寄与することと相まって、トップリング溝位置の
上方移動でも、低い相手攻撃性(ピストンリング攻撃
性)ですぐれた耐摩耗性を発揮するアルミニウム真空溶
浸鉄系焼結材料製ピストンリング耐摩環に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特公昭57−32743号
公報に記載されるように、例えばトラック・バス用ディ
ーゼルエンジンのピストンが、図1(a)の概略縦断面
図および同(b)の要部縦断面図で示される構造を有
し、かつ図示される通りトップランド部直下のトップリ
ング溝にはピストンリング耐摩環(以下、単に耐摩環と
云う)がピストン鋳物本体の鋳造時に鋳ぐるまれて設け
られた構造をもつことは良く知られるところである。ま
た、ピストン鋳物本体が、主としてSi:8〜13重量
%を含有したAl−Si系合金で構成され、さらに上記
耐摩環には、良好な耐摩耗性と相手攻撃性の低いFe−
Ni−Cu系焼結材料(組成:Fe−8〜25%Ni−
3.5〜10%Cu−2.0%以下C)や、Ni−Cu
−Cr系オーステナイト鋳鉄であるニレジスト鋳鉄(組
成:Fe−1.5〜3.5%Cr−0.8〜1.5%M
n−3%以下C−13〜22%Ni−8%以下Cu−
1.0〜2.8%Si、以上重量%、以下成分含有量の
%は重量%を示す)などが広く用いられていることも良
く知られるところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、自動車に対する
排気ガス規制は年々厳しさを増す傾向にあり、この対応
手段の1つとして、トラック・バス用ディーゼルエンジ
ンや高速ガソリンエンジンでは、ピストンのトップラン
ド部直下のトップリング溝の位置を上方へ移動させてト
ップランド部外周面、トップリング上面、およびシリン
ダー内周面で形成される空隙の容量を小さくし、もって
未燃焼のまま大気に排出されてしまう前記空隙部分のガ
ス量を少なくする試みもなされているが、このようにト
ップリング溝の位置を上方へ移動すると、トップリング
溝の温度が急激に高くなり、この結果耐摩環が上記のF
e−Ni−Cu系焼結材料やニレジスト鋳鉄で構成され
ていても、ピストン鋳物本体を構成するAl合金に比し
て熱伝導性が低いことと相まって、これの摩耗進行の急
速な進行は避けられず、この摩耗現象は近年のエンジン
の高出力化および大型化に伴って一段と加速され、この
摩耗部分からガス漏れが発生するようになるのが現状で
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、ピストンにおけるトップリング
溝の上方位置移動を可能にする耐摩環を開発すべく研究
を行った結果、原料粉末として、基本成分であるFe
に、合金成分としてS(硫黄)成分、あるいはNiおよ
びS成分、さらにCr、Mn、およびS成分、必要に応
じてMo成分をそれぞれ所定量含有させてなるアトマイ
ズFe合金粉末と、六方晶窒化ほう素(以下、h−BN
で示す)粉末および/またはほう酸粉末を用い、さらに
水素化チタン(以下、TiHx で示す)粉末、Cr粉
末、Ni粉末、Mo粉末、Mn粉末、Cu粉末、S(硫
黄)粉末、および黒鉛粉末を用い、これら原料粉末を所
定の配合組成に配合し、通常の条件で混合し、圧粉体に
プレス成形した状態で、前記圧粉体を、還元性雰囲気
中、相対的に高い焼結温度となる1100〜1250℃
の範囲内の所定温度に加熱し、所定時間保持後、相対的
に遅い冷却速度、望ましくは40℃/分以下の冷却速度
で、少なくとも600℃まで冷却の条件で焼結して、 Cr:0.5〜5%、 Mn:0.2〜1%、 S :0.05〜1%、 B :0.05〜1%、 C :0.5〜5%、 Ni:1〜12%、 Ti:0.5〜5%、 Cu:1〜8%、 を含有し、さらに必要に応じて、Mo:0.1〜2%、
を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有
し、かつ10〜30の気孔率をもった鉄系焼結材料で構
成された耐摩環本体を形成すると、この耐摩環本体は、
前記焼結温度で、素地を形成する上記Fe合金粉末にC
成分(黒鉛粉末)が固溶し、この固溶したC成分が、上
記h−BN粉末およびほう酸粉末のB成分と前記Fe合
金粉末中に固溶したS成分との共働作用で、冷却過程で
気孔内に遊離黒鉛として析出し、成長することから、す
ぐれた耐焼付性と高温潤滑性を具備するようになると共
に、Ni、Cr,Mn、およびTi成分、さらに必要に
応じてMo成分が固溶して形成されたオーステナイト相
を主体とする素地によってすぐれた耐熱性を有するよう
になり、さらに前記耐摩環本体に、真空雰囲気中で純A
lまたはAl合金溶湯中に浸漬した後、雰囲気を加圧雰
囲気として気孔中に前記AlまたはAl合金を溶浸する
真空溶浸処理を施して耐摩環を製造すると、この結果の
耐摩環は、前記耐摩環本体の具備するすぐれた耐焼付
性、高温潤滑性、および耐熱性によってすぐれた高温耐
摩耗性を発揮するようになり、さらにこれを構成する素
地(オーステナイト相主体)は相手攻撃性がきわめて小
さく、かつ気孔に真空溶浸されたAlまたはAl合金に
よって熱伝導性の著しい向上が図られることと相まっ
て、ピストンにおけるトップリング溝の上方位置移動で
の苛酷な使用環境でもすぐれた耐摩耗性を発揮するとい
う研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基づいてな
されたものであって、 Cr:0.5〜5%、 Mn:0.2〜1%、 S :0.05〜1%、 B :0.05〜1%、 C :0.5〜5%、 Ni:1〜12%、 Ti:0.5〜5%、 Cu:1〜8%、 を含有し、さらに必要に応じて、Mo:0.1〜2%、
を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成およ
び10〜30%の気孔率を有し、かつ素地はオーステナ
イト相を主体とし、気孔内に遊離黒鉛が析出し、成長し
た組織を有する鉄系焼結材料からなる耐摩環本体に、A
lまたはAl合金を真空溶浸してなる、耐摩耗性のすぐ
れたアルミニウム真空溶浸鉄系焼結材料製耐摩環に特徴
を有するものである。
【0006】つぎに、この発明の耐摩環において、これ
を構成する鉄系焼結材料の成分組成および気孔率を上記
の通りに限定した理由を説明する。 (a)Cr Cr成分は、オーステナイト相を主体とする素地に固溶
して、これの耐熱性を向上させ、もって耐摩環の高温耐
摩耗性向上に寄与する作用をもつが、その含有量が0.
5%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一
方その含有量が5%を越えると、B成分およびS成分に
よる黒鉛の析出および成長作用が抑制されるようになる
ことから、その含有量を0.5〜5%、望ましくは1〜
3%と定めた。
【0007】(b)Mn Mn成分は、素地に固溶して強度を向上させる作用をも
つが、その含有量が0.2%未満では所望の強度向上効
果が得られず、一方その含有量が1%を越えると、B成
分およびS成分による黒鉛化が著しく阻害されるように
なることから、その含有量を0.2〜1%、望ましくは
0.4〜0.8%と定めた。
【0008】(c)SおよびB これらの成分は、共働作用により固溶した黒鉛を冷却過
程で微細な遊離黒鉛として主に気孔内に積極的に析出さ
せ、成長させる作用をもち、このような黒鉛化作用は、
S成分については、原則として予めFe、Fe−Ni合
金やFe−Ni−Mo合金、さらにFe−Cr−Mn合
金やFe−Cr−Mn−Mo合金にそれぞれ所定量のS
成分を含有させた溶湯をアトマイズして形成したFe合
金粉末、また、B成分については、ほう素源としてh−
BN粉末およびほう酸粉末をそれぞれ原料粉末として用
いることにより一段と促進されるものであるが、その含
有量が、SおよびB成分のいずれかでも0.05%未満
になると、所望の黒鉛化を図ることができず、この結果
耐焼付性および高温潤滑性の向上、すなわち高温耐摩耗
性の向上が不十分となるばかりでなく、硬質のセメンタ
イト(Fe3 C)が析出するようになって、相手攻撃性
(ピストンリング攻撃性)が増大するようになり、一方
その含有量が、SおよびB成分のいずれかでも1%を越
えると、焼結性が低下し、所望の強度を確保することが
できなくなるばかりでなく、素地にフェライト相が出現
するようになり、この結果オーステナイト相が減少する
ようになって所望の高温耐摩耗性を確保することができ
なくなることから、その含有量を、それぞれS:0.0
5〜1%、望ましくは0.1〜0.5%、B:0.05
〜1%、望ましくは0.1〜0.5%と定めた。
【0009】(d)C C成分は、素地に固溶して強度を向上させるほか、上記
の通り遊離黒鉛として気孔中に析出して耐焼付性および
高温潤滑性を向上させ、もって高温耐摩耗性の向上に寄
与すると共に、相手攻撃性を緩和する作用をもつが、そ
の含有量が0.5%未満では前記作用に所望の向上効果
が得られず、一方その含有量が5%を越えると、強度に
急激な低下傾向が現れるようになることから、その含有
量を0.5〜5%、望ましくは1〜3%と定めた。
【0010】(e)NiおよびTi これらの成分は、共に素地に固溶してオーステナイト相
の形成を促進し、かつ上記の通りCr成分との共存固溶
によってオーステナイト相の耐熱性を向上させ、もって
高温耐摩耗性の向上に寄与する作用をもつが、その含有
量が、それぞれNi:1%未満、Ti:0.5%未満で
は前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有
量が、Niにあってはオーステナイト相の形成には12
%で十分であり、またTiにあっては5%を越えると強
度が低下するようになることから、その含有量を、それ
ぞれNi:1〜12%、望ましくは3〜8%、Ti:
0.5〜5%、望ましくは1〜3%と定めた。なお、T
i成分に関しては、原料粉末としてTiHx 粉末を用
い、焼結の活性化を図ると共に、焼結に際して分解水素
による強力な還元作用を発揮させるようにするのが望ま
しい。
【0011】(f)Cu Cu成分は、所定の強度を確保するのに不可欠な液相焼
結のために必要な成分であるが、その含有量が1%未満
では十分な焼結性が得られず、したがって所望の強度を
確保することができず、一方所望の良好な焼結性は8%
までの含有で十分であることから、その含有量を1〜8
%、望ましくは2〜4%と定めた。
【0012】(g)Mo Mo成分は、素地に固溶して強度を向上させる作用をも
つので、必要に応じて含有されるが、その含有量が0.
1%未満では所望の強度向上効果が得られず、一方その
含有量が2%を越えると、原料粉末(混合粉末)のプレ
ス成形性(圧縮性)が低下し、この結果鉄系焼結材料に
30%以下の気孔率を確保するのが困難になり、所望の
強度を確保することができなくなることから、その含有
量を0.1〜2%、望ましくは0.5〜1.5%と定め
た。
【0013】(h)気孔率 その割合が10%未満では、これに真空溶浸されるAl
またはAl合金からなる溶浸材の割合が不十分となり、
所望の熱伝導性を確保することができず、一方その割合
が30%を越えると、耐摩環本体の強度および高温耐摩
耗性が急激に低下するようになることから、その割合を
10〜30%、望ましくは15〜25%と定めた。
【0014】なお、この発明の耐摩環においては、上記
の通り耐摩環本体の気孔が上記溶浸材によって充填(封
孔)されているので、ピストン鋳物本体の鋳造時の鋳ぐ
みに際して、ガス(溶浸されない場合の前記気孔中のガ
ス)の発生がなくなることから、前記ガスによる鋳造欠
陥の発生が防止でき、さらに耐摩環表面部にはAlまた
はAl合金からなる溶浸材との反応層が形成されている
ので、前記耐摩環の前記ピストン鋳物本体に対する密着
性が向上したものになる。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明の耐摩環を実施例により
具体的に説明する。原料粉末として、いずれも10〜1
50μmの範囲内の所定の平均粒径を有するアトマイズ
Fe−S合金粉末(S:0.32%含有)、アトマイズ
Fe−Ni−Mo−S合金粉末(Ni:4.2%、M
o:1.5%、S:0.13%含有)、アトマイズFe
−Cr−Mn−S合金粉末(Cr:2.1%、Mn:
0.75%、S:0.22%含有)、TiHx 粉末、C
r粉末、Ni粉末、Mo粉末、Mn粉末、Cu粉末、S
(硫黄)粉末、黒鉛粉末、h−BN粉末、およびほう酸
粉末を用意し、これら原料粉末を所定の配合組成に配合
し、潤滑材としてステアリン酸亜鉛を0.7%添加して
V型ミキサーで30分間混合し、6ton/cm2の圧
力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体をアンモニア分
解ガス雰囲気中、温度:1140℃に1時間保持した
後、35℃/分の冷却速度で550℃まで徐冷後放冷の
条件で焼結することにより表1、2に示される成分組成
および気孔率を有し、かつ外径:120mm×内径:1
02mm×厚さ:7mmの寸法をもった本発明耐摩環本
体1〜29をそれぞれ製造した。上記本発明耐摩環本体
1〜29は、いずれも素地がオーステナイト相、あるい
は主体がオーステナイト相で僅かなパーライト相が存在
する素地からなり、かつ気孔内に遊離黒鉛が析出して、
成長してなる光学顕微鏡組織観察結果を示した。
【0016】ついで、溶浸材として、(a)純度:9
8.6%の純Al(以下、溶浸材aと云う)、(b)合
金成分として、Si:11.87%、Cu:1.03
%、Mg:0.96%、Ni:1.14%を含有するA
l合金(以下、溶浸材bと云う)、(c)合金成分とし
て、Si:9.25%、Cu:3.12%、Mg:0.
92%、Ni:0.54%を含有するAl合金(以下、
溶浸材cと云う)、(d)合金成分として、Si:9.
41%、Cu:2.88%、Mg:1.04%を含有す
るAl合金(以下、溶浸材dと云う)、(e)合金成分
として、Si:22.95%、Cu:0.82%、M
g:1.02%、Ni:0.87%を含有するAl合金
(以下、溶浸材eと云う)、(f)合金成分として、S
i:19.23%、Cu:1.04%、Mg:1.16
%、Ni:1.13%を含有するAl合金(以下、溶浸
材fと云う)、を用意し、これら溶浸材をそれぞれ溶解
し、700〜750℃の範囲内の所定温度に保持し、こ
れに表3に示される組み合わせで、脱脂処理後、真空容
器中に1時間保持して気孔中のガスを除去した上記本発
明耐摩環本体1〜29のそれぞれを浸漬し、5〜30分
の範囲内の所定の時間保持後前記溶融溶浸材表面の雰囲
気を6〜8kg/cm2 の範囲内の所定の圧力の加圧雰
囲気とし、この状態に5〜60分の範囲内の所定時間保
持の条件で真空溶浸処理を施すことにより本発明耐摩環
1〜29をそれぞれ製造した。また、比較の目的で、通
常の高周波溶解炉にて、同じく表2に示される成分組成
をもったニレジスト鋳鉄の溶湯を調製し、これをシェル
モールド鋳型に鋳造して、同じ寸法をもった従来耐摩環
を製造した。この結果得られた各種耐摩環のレーザーフ
ラッシュ法による熱伝導率の測定結果を表3に示した。
【0017】ついで、上記の各種耐摩環を、それぞれピ
ストン精密鋳造金型内に設置し、一方、Al−12.1
%Si−1.05%Cu−0.96%Mg−1.12%
Niの組成をもったAl−Si系合金を溶解し、溶湯温
度が750〜800℃になった時点で、フラックスによ
る非金属介在物除去処理および脱ガス処理を行い、さら
にArガスのバブリングによる脱水素処理を行った状態
で、鋳造(重力鋳造)してピストン鋳物本体を形成する
と共に、前記耐摩環を鋳包み、ついで前記耐摩環に切削
加工にて外周面に沿って溝深さ:7mm×溝幅:3mm
の寸法のトップリング溝を形成することにより、トップ
ランド部上面とトップリング溝上面間の距離を5mm
(この種のピストンで従来採用されている前記距離は通
常15mm)としたトップリング溝上方位置移動のAl
−Si系合金製ピストンをそれぞれ製造した。
【0018】さらに、これらのピストンを、排気量:7
500ccの直列6気筒直噴ディーゼルエンジンに組み
込み、回転数:3500rpm、エンジン冷却温度:8
0℃、運転モード:500時間連続運転、負荷:フル出
力の条件で加速運転試験を行ない、試験後の耐摩環のト
ップリング溝における外周面の最大溝幅を測定すること
により高温耐摩耗性を評価し、また上記トップリング溝
に嵌合されたピストンリング(Fe−2.7%Si−
3.5%Cの組成を有するCrメッキした球状黒鉛鋳鉄
製)の上下面における最大摩耗深さを測定することによ
り相手攻撃性を評価した。これらの測定結果を表3に示
した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】表3に示される結果から、本発明耐摩環
1〜29は、いずれもトップリング溝の上方位置移動に
もかかわらず、すぐれた耐摩耗性を示し、かつ相手攻撃
性もきわめて小さいのに対して、ニレジスト鋳鉄からな
る従来耐摩環は、トップリング溝の上方位置移動によっ
て摩耗進行が著しく加速されるようになることが明らか
である。上述のように、この発明の耐摩環は、トップリ
ング溝の位置を上方へ移動した状態でAl−Si系合金
製ピストンに適用しても小さい相手攻撃性で、すぐれた
耐摩耗性を発揮することから、エンジンの排気ガス規制
に十分満足に対応することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンのピストンを例示する概略
縦断面図(a)および同要部縦断面図(b)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F16J 9/00 F16J 9/00 A // B22F 5/02 B22F 5/02 C22C 33/02 103 C22C 33/02 103E

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Cr:0.5〜5%、 Mn:0.2〜1%、 S :0.05〜1%、 B :0.05〜1%、 C :0.5〜5%、 Ni:1〜12%、 Ti:0.5〜5%、 Cu:1〜8%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成およ
    び10〜30%の気孔率を有し、かつ素地はオーステナ
    イト相を主体とし、気孔内に遊離黒鉛が析出し、成長し
    た組織を有する鉄系焼結材料からなるピストンリング耐
    摩環本体に、AlまたはAl合金を真空溶浸してなる、
    耐摩耗性のすぐれたアルミニウム真空溶浸鉄系焼結材料
    製ピストンリング耐摩環。
  2. 【請求項2】 重量%で、 Cr:0.5〜5%、 Mn:0.2〜1%、 S :0.05〜1%、 B :0.05〜1%、 C :0.5〜5%、 Ni:1〜12%、 Ti:0.5〜5%、 Cu:1〜8%、 を含有し、さらに、 Mo:0.1〜2%、を含有し、残りがFeと不可避不
    純物からなる組成および10〜30%の気孔率を有し、
    かつ素地はオーステナイト相を主体とし、気孔内に遊離
    黒鉛が析出し、成長した組織を有する鉄系焼結材料から
    なるピストンリング耐摩環本体に、AlまたはAl合金
    を真空溶浸してなる、耐摩耗性のすぐれたアルミニウム
    真空溶浸鉄系焼結材料製ピストンリング耐摩環。
JP11889398A 1998-04-28 1998-04-28 耐摩耗性のすぐれたアルミニウム真空溶浸鉄系焼結材料製ピストンリング耐摩環 Pending JPH11310858A (ja)

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