JPH11335142A - 防曇ガラス、及びその製造方法 - Google Patents

防曇ガラス、及びその製造方法

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JPH11335142A
JPH11335142A JP10142879A JP14287998A JPH11335142A JP H11335142 A JPH11335142 A JP H11335142A JP 10142879 A JP10142879 A JP 10142879A JP 14287998 A JP14287998 A JP 14287998A JP H11335142 A JPH11335142 A JP H11335142A
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JP
Japan
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coating layer
glass
coating film
titanium oxide
antifogging
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JP10142879A
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Inventor
Mitsuru Nakamura
充 中村
Kazuhiko Mori
和彦 森
Masanori Tanaka
雅能 田中
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Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防曇性、塗膜強度、耐摩擦強度、透明性、防
汚性に優れた防曇ガラスの提供。 【解決手段】 ガラス基体面上に、酸化チタン化合物を
含む第一皮膜層を形成し、その上に、アルカリ珪酸塩を
含有し、好ましくは多孔質の第二皮膜層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高湿度下において
もガラス板面に結露による曇りが生じ、長期間保持され
ることがない防曇ガラス及びその製造方法に関する。よ
り詳しく述べるならば、本発明は良好な親水性及び防汚
性を発現し、かつ長期間に渡り保持する塗膜を有する防
曇ガラス及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に窓や冷凍ケースなどに使用される
透明ガラス板、並びに家具及び浴室などに使用される鏡
は、設置されている環境における湿度差により、板表面
に結露が発生し、水滴が形成され、それによって、可視
光線が乱反射し、人の目には、ガラス表面の曇りとして
感知される。そのため、窓や冷凍ケースなどに使用され
る透明ガラス板において、上記曇りによりその全光線透
過率が著しく低下し、透明ガラス板としての透視機能を
失い、また鏡についても、曇りを生ずることにより反射
率が著しく低下し、鏡としての反射機能を失ってしま
う。これらのガラス板面の曇りを防止する方法として、
ヒーターによりガラス板面を加熱し、結露を防止する方
法や、高親水性及び/又は高吸水性ポリマーをガラス板
面にコーティングし、結露により発生する水滴の対水接
触角を低下させ、或は水滴をコーティング膜により吸収
するなどの方法が知られている。
【0003】ガラス板面の加熱による防曇方法として
は、特開昭48−23811号公報に、自動車窓ガラス
や冷凍ケース等に使用され、電気加熱により曇りを防止
する、電導性防曇ガラス板が開示されており、特開昭5
0−6026号公報に、遠赤外線ヒーターからの、照射
線によりガラス面を加熱する防曇方法が開示されてい
る。また、特開昭57−77240号公報には、車両用
ウインドガラスに通電するためのリレーを設け、これに
より熱線を発生させる、ウインドガラスの曇り防止方法
が開示されている。
【0004】また、高親水性、高吸水性ポリマーを使用
して、結露による曇りを防止する方法としては、特開昭
48−34788号公報に、ガラス表面に、親水性であ
るが、水溶性でない重合物の塗膜を形成して、ガラスに
長時間の防曇性を付与する方法が開示されている。また
特開昭52−101680号公報には、ポリアクリル
酸、界面活性剤、及び溶剤として水又は/及びアルコー
ルを混合することにより、防曇効果に優れ、効力持続性
が大きく、かつ透明均一な皮膜を与える曇り防止剤を製
造する方法が開示されている。さらに、特開昭60−2
50018号公報には、特定のN−アルキル又はN−ア
ルキレン置換アクリルアミド系重合体からなり、低温で
高い吸水能を有し、温度上昇に伴って吸水能が減少す
る、防曇性を有する樹脂に関する開示が記載されてい
る。
【0005】しかし、前述の加熱による防曇方法は、防
曇機能や、ガラスの有する優れた耐摩耗性及び耐久性
を、長期間維持することはできるが、ヒーター設備及び
ランニングコストを要するなどの問題点がある。また、
漏電等の危険性があり、浴室などの高湿度環境では使用
されない場合が多い。
【0006】一方、高親水性を有する皮膜をガラス表面
に設ける方法では、使用初期においては高い防曇性が得
られるが、長期間の使用により、撥水性を有するカーボ
ンなどの汚染物質が、親水性皮膜表面に付着してこれを
覆い、それに伴い親水性能が徐々に低下し、防曇効果が
低下してしまうという問題、及びガラスが本来有する優
れた耐摩耗性及び耐久性が、その上を被覆する親水性樹
脂皮膜により失われるという問題があった。
【0007】また、高吸水性を有する皮膜をガラス表面
に設ける方法では、使用初期の時点では、吸水と排水と
の繰り返し作用が持続することにより防曇性が発現する
が、やがて汚染物質等を含有する結露水を吸水すると、
経時と共に初期吸水能が低下し、このため防曇性能を長
期間持続できないという問題、及びガラスの有する優れ
た耐摩耗性及び耐久性が、その上に高吸水性皮膜を被覆
することにより失われるという問題があった。
【0008】従来技術の上記諸問題に対する対策とし
て、耐熱性及び耐摩耗性などに優れるセラミック塗料を
防曇塗料として使用する方法が提案されている。この場
合に使用されるセラミック塗料としては、アルカリ金属
珪酸塩系、りん酸塩系、シリカゾル系、及び金属酸化物
系などの塗料が知られている。
【0009】これらの各種セラミック材料の中でも、酸
化チタンは、酸化珪素等のセラミックと同様に、強い親
水性を発揮することが知られている。このようなセラミ
ック塗料の機能を用いれば、それをガラス板面に被覆す
ることにより、ガラス板面に高い防曇性を付与すること
が可能となる。また、各種セラミック材料の中でも酸化
チタンは、優れた光触媒効果を示すことが知られてい
る。すなわち、酸化チタンは紫外線の照射により高い酸
化触媒能を発揮するため、光触媒活性に優れた酸化チタ
ンの皮膜をガラス板などの被塗物表面に形成させれば、
汚れの付着防止、抗菌、及び藻類の繁殖防止などに有効
であり、初期の優れた親水性をそのまま長期間にわたっ
て維持することが可能となるのである。
【0010】そこで、このような用途のために、酸化チ
タン皮膜を素材表面上に形成することを目的とする各種
の酸化チタン塗料、及びその各種製造方法が提案されて
いる。酸化チタン皮膜の形成方法としては、チタンのア
ルコキシドを加水分解したものを塗布する方法、すなわ
ちゾル−ゲル法が最も一般的に知られている。これに類
する方法としては、例えば特開平4−83537号公報
に、チタンアルコキシドにアミド又はグリコールを添加
する方法が開示されており、また、特開平7−1003
78号公報には、チタンアルコキシドにアルコールアミ
ン類を添加する方法が開示されている。
【0011】さらに特開平6−293519号公報に
は、水熱処理により結晶化させた酸化チタン微粒子を、
分散剤を使用して水中に分散させ、この分散液を塗布す
る方法、及び結晶性酸化チタン粒子に、水ガラス、コロ
イダルシリカ、弗素系樹脂などのバインダーを混和して
塗布する方法が開示されている。
【0012】しかし、上記のゾル−ゲル法を用いた方法
には、加水分解に使用した酸及び添加剤として加えたア
ミン、グリコールなどが皮膜中に残存しやすく、このた
め高温における焼成によりこれを除去する必要があるこ
と、及びソーダガラス上に酸化チタン皮膜を形成する場
合、ガラスに含まれるナトリウムが、酸化チタン皮膜中
に混入し、酸化チタンの光触媒性を低下させること、及
び皮膜形成に使用される原料が高価であるなどの問題点
がある。
【0013】また、100℃以上の温度で結晶成長させ
た酸化チタンを塗布するという上記方法では、結晶粒径
が大きくなり、皮膜の透明性が低いなどの問題点もあ
る。
【0014】酸化チタン粒子を塗布皮膜中に固定化する
ために、各種バインダーを使用した場合には、皮膜の塗
工性、密着性及び固定率は改善されるが、バインダー自
信が光触媒の存在により光酸化され、ガラスの有する優
れた耐摩耗性及び耐久性が不十分となるなどの問題を生
ずる。従って、現状では長期にわたり優れた防曇性を保
持し、かつ透明で耐摩耗性、耐久性、及び防汚性に優れ
た皮膜を有する防曇ガラス、及びその製造方法は得られ
ていないのである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
抱える上記問題点を解決するためになされたもので、低
コストで、漏電等の問題がなく、ヒーターや加熱設備等
を使用することなく、長期間にわたり優れた防曇性を保
持し、かつ透明性が高く耐摩耗性及び耐久性に優れた被
覆皮膜を有する防曇ガラス、及びその製造方法を提供し
ようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するための手段について鋭意検討した結果、ガ
ラス表面に酸化チタン層と珪酸塩層との二層を設けるこ
とにより上記課題を解決できることを見いだし本発明を
完成した。すなわち、本発明の防曇ガラスは、ガラス基
体と、その表面に形成され、かつ酸化チタン化合物を含
む第一皮膜層と、その上に形成され、かつアルカリ珪酸
塩を含む第二皮膜層とを有することを特徴とするもので
ある。また、本発明の防曇ガラスの製造方法は、ガラス
基体の表面に酸化チタン化合物を含む第一皮膜層を形成
し、その上にアルカリ珪酸塩を含む第二皮膜層を設け、
それによって得られた積層物を200℃以上の温度で加
熱処理することを特徴とするものである。また、本発明
方法において前記酸化チタン化合物が、オルソチタン
酸、Ti4+イオン及びペルオキソチタン酸から選ばれた
少なくとも1種と、及び平均粒子径が0.001〜0.
2μmの二酸化チタン粒子とを、1:0.1〜1:20
0の重量比で含み実質的に夾雑イオンを含有しないもの
であることが好ましい。また、本発明方法において、第
二皮膜層中に、200℃以上の加熱により揮発、又は分
解除去される少なくとも1種類の有機成分が含有されて
いるものが好ましい。本発明の防曇ガラスにおいて、ア
ルカリ珪酸塩を含む第二皮膜層が多孔質であることが好
ましい。また本発明の防曇ガラスにおいて、前記第二皮
膜層の厚さが、前記第一皮膜層の平均表面粗さより小さ
いことが好ましい。さらに、本発明の防曇ガラスにおい
て、前記第一皮膜層中の酸化チタン化合物の少なくとも
一部分が前記多孔質、第二皮膜層を介して大気に露出し
ていることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の内容について詳し
く説明する。本発明のガラス基体表面上に形成され、酸
化チタン化合物を含む第一皮膜層を形成する原料として
は、塩化チタン、硫酸チタン、オキシ硫酸チタン、及び
オキシ塩化チタンの1種以上を用いることが好ましい
が、その他の水溶性無機チタン化合物及びしゅう酸チタ
ンカリウム及びクエン酸チタンなどの有機チタン塩を使
用してもよい。これらのチタン塩水溶液は、これらの化
合物を水中に溶解して調製されるか、又は市販溶液の希
釈液を使用できる。例えば無水塩化チタンを出発原料と
して使用する場合は、無水塩化チタンを氷冷しながら徐
々に純水に溶解することにより塩化チタン水溶液を調製
することができる。また、三塩化チタンを原料として使
用する場合は、あらかじめ過酸化水素などの酸化剤によ
り三価チタンを四価チタンに酸化したのち、得られた四
塩化チタンを原料として用いる。
【0018】硫酸チタンは、30%程度の濃度の水溶液
として市販品を入手できるため、これを適宜希釈して使
用すればよい。オキシ硫酸チタン、又はオキシ塩化チタ
ン水溶液は、硫酸又は塩酸に水和酸化チタンを溶解する
などにより調製することができる。
【0019】本発明の第一皮膜層に含まれる酸化チタン
の原料となるチタン塩水溶液は、夾雑アニオン除去の前
に、50℃以上100℃以下の温度で加熱処理される。
より好ましい加熱温度範囲は60〜90℃である。
【0020】この加熱温度が50℃未満では酸化チタン
粒子が生成しないため、得られる塗膜の光触媒性が不十
分になり、また加熱温度が100℃を超えると、粗大な
酸化チタン粒子が生成され、得られる塗膜の透光性が低
下し、あるいは酸化チタン成分が塗料中で沈殿しやすく
なるため好ましくない。
【0021】また、加熱処理による酸化チタン粒子の生
成及び成長を制御するために、加熱処理前に、チタン酸
塩水溶液にコロイド粒子成長の核となる酸化チタン粒
子、又はその分散液を少量添加することも好ましい。
【0022】加熱処理が終了した液は、好ましくは水冷
等により冷却してその温度を40℃以下に下げたのち、
塗料の安定性及び塗膜の光触媒性に有害な夾雑アニオン
(Cl- ,SO4 2- などのように、Ti,O,H以外の
元素からなるアニオン)の除去処理工程に供される。
【0023】夾雑アニオンの除去は、半透膜による透析
処理、陰イオン交換膜などの半透膜による電気透析処
理、又はイオン交換体との接触によるイオン交換処理の
3つの処理のうちの少なくとも1つの処理によって行わ
れる。
【0024】上記の方法によって製造された酸化チタン
分散液は、二酸化チタン粒子の他に、オルソチタン酸、
Ti4+イオン、又はペルオキソチタン酸を含む。この分
散液中に含まれるオルソチタン酸、Ti4+イオン又はペ
ルオキソチタン酸と、二酸化チタン粒子の重量比は、オ
ルソチタン酸、Ti4+イオン、又はペルオキソチタン酸
1重量部に対して、二酸化チタン粒子0.1重量部以上
200重量部以下の範囲で含まれることが好ましい。二
酸化チタン粒子の含有量が0.1重量部未満の場合、得
られる第一皮膜層の光触媒機能が十分発現せず、また、
それが200重量部を超える場合、被塗物表面に形成さ
れた皮膜が脆くなり、好ましくない。より好ましくは、
チタン酸又はペルオキソチタン酸1重量部に対して、二
酸化チタン粒子0.5重量部以上100重量部未満の範
囲である。
【0025】酸化チタン分散液中に含まれる二酸化チタ
ン粒子は、主としてアナターゼ型の結晶型を有している
が、加熱処理条件によっては、ルチル型酸化チタン、無
定型酸化チタン、水酸化チタンなどを含む場合もある。
また、上記の方法によって製造された酸化チタン分散液
中に含まれる二酸化チタン粒子は、その粒子径が10-1
〜10-3μmの範囲内にあることが好ましく、その平均
粒子径は0.001〜0.2μmの範囲内にあることが
好ましい。
【0026】本発明の酸化チタン含有第一皮膜層は、上
記方法によって製造された酸化チタン分散液をガラス等
の被塗物に塗布し、乾燥したのち60℃以上700℃未
満で焼成したものであることが好ましい。より好ましい
焼成温度は、100℃以上500℃以下である。このよ
うな条件下で生成した酸化チタン皮膜は主としてアナタ
ーゼ型であり、700℃以上の高温で焼成した場合には
ルチル型に変化することもある。ルチル型の酸化チタン
も本発明に使用することができる。
【0027】次に本発明の第二皮膜層に使用されるアル
カリ珪酸塩は、通常、水ガラスとして知られ、造膜組成
物を与えるものであって、一般式:Me2 O・nSiO
2 ・aq(但し、Meは、リチウム、カリウム、ナトリ
ウム又はアミンを意味する)で表されるものである。こ
の造膜組成物を焼成することにより高分子化してガラス
状となり、表面硬度、耐摩耗性及び耐久性に優れた皮膜
を形成することができる。なお、アルカリ珪酸塩を含む
皮膜形成剤中に、水分散性シリカ等の高分子シリカを添
加してもよい。
【0028】また、第二皮膜層は、アルカリ珪酸塩を含
む皮膜形成剤を、第一皮膜層上に塗布したのち、60℃
以上700℃以下で焼成することにより形成される。よ
り好ましい焼成温度は、100℃以上500℃以下であ
る。なお、本発明において、第二皮膜層の形成に際し、
200℃以上の加熱により揮発、又は分解除去される有
機成分を使用する場合、第二皮膜層の焼成温度は、20
0℃以上500℃以下であることが好ましい。この製造
方法により形成され、かつアルカリ珪酸塩を含む第二皮
膜層は多孔質であって、本発明に対しより好ましいもの
である。
【0029】本発明において、第二皮膜層の形成に使用
され、かつ200℃以上の温度における加熱により揮発
又は分解除去される有機成分は、第一皮膜層、又は第二
皮膜層に使用される皮膜形成剤中に分散、あるいは溶解
するものであれば使用可能である。このような有機成分
としては、例えば高沸点溶剤、非イオン性、又はイオン
性界面活性剤、及び水系樹脂が挙げられる。
【0030】前記高沸点溶剤としては、例えばエチレン
グリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモ
ノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリ
コール等が好ましい。また前記非イオン性界面活性剤と
しては、例えば高級アルコールエチレンオキサイド付加
物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレン
グリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレン
グリコール型界面活性剤、グリセロールの脂肪酸エステ
ル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル等の
多価アルコール型界面活性剤が挙げられる。また前記イ
オン性界面活性剤として、例えば親水基に硫酸エステル
塩、りん酸エステル塩、スルホン酸塩等を親水基とする
アニオン界面活性剤、第一級〜第三級アミン塩、及び第
四級アンモニウム塩等を親水基とするカチオン界面活性
剤、又はアミノ型及びベタイン型両性界面活性剤等が挙
げられる。さらに前記水系樹脂としては、例えばアクリ
ル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、例えばポ
リ塩化ビニル−酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピ
レンのようなビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂などから選ばれ、
200℃以上の加熱により炭化が進行し、最終的にその
大部分が炭酸ガスとして、揮発逃散する樹脂であれば、
本発明に使用することができる。
【0031】本発明の防曇ガラス、及びその製造方法で
は、ガラス表面に酸化チタン化合物を含有する第一皮膜
層を設け、その上にアルカリ珪酸塩を含む第二皮膜層を
設けることを特徴としている。第二層に設けられるアル
カリ珪酸塩を含む第二皮膜層は、焼成により高分子化が
進行し、優れた耐摩耗性、耐久性、及び親水性を発現す
る。しかし、第二皮膜層のみでは、本発明の主目的であ
る、防曇性、特に防曇持続性については、大気中の疎水
性不純物の吸着等により経時と共に劣化が生じ、防曇持
続性が不十分である。そこで、本発明においては、光触
媒機能を有する酸化チタン化合物を含有する第一皮膜層
をガラス基体上に形成配置しておくことより、第二皮膜
層に付着した疎水性不純物を光分解除去することがで
き、かつ親水持続性に優れているため、結果的に良好な
防曇持続性が得られるのである。
【0032】本発明の第二層に設けられるアルカリ珪酸
塩含有第二皮膜層は、その厚さが、第一層の酸化チタン
皮膜の平均表面粗さより薄ければ、酸化チタンの一部分
が大気中に露出するため光触媒機能を発現することがで
きるが、第二皮膜層により酸化チタン含有第二皮膜層
が、完全に被覆されていると、光触媒性の発現が不十分
になる傾向がある。
【0033】そこで、本発明の第二皮膜層の形成に際
し、200℃以上の加熱により揮発、又は分解除去され
る少なくとも1種類の有機成分を含有させ、この有機成
分を含む組成物を塗布後、最終的な焼成温度が、有機成
分の揮発、又は分解温度以上となるように焼成すること
により、アルカリ珪酸塩を含む第二皮膜層中に、ミクロ
ポア(細孔)形成させて、酸化チタン含有第一皮膜層の
光触媒機能を有効に発現させることが可能となるのであ
る。ここで、上記有機成分の含有量としては、第二皮膜
層の皮膜形成剤中に、固形分換算で1重量%以上30重
量%以下となるようにすることが好ましい。有機成分の
含有量が1重量%より少ない場合、ミクロポアが十分形
成されないから、好ましくない。また、それが30重量
%を越えて含有する場合、第二層のミクロポアの生成量
が過剰となり、皮膜の透明性、皮膜硬度、及び耐摩耗性
が低下するため好ましくない。また、本発明の第一皮膜
層の皮膜形成剤中に同様の有機成分を添加することによ
っても、第二皮膜層の防曇性、及び防汚性能を発現させ
ることができる。
【0034】本発明の防曇ガラスにおいて、第二皮膜層
の厚さが第一皮膜層の平均表面粗さよりも小さいことが
好ましい。表面粗さとは、JISB0601により、対
象物の表面からランダムに抜き取った各部分における中
心線平均粗さ(Ra)、最大高さ(Rmax)、又は十
点平均粗さ(Rz)のそれぞれの算術平均値と定義され
るものである。ここで、十点平均粗さ(Rz)を例とし
て挙げると、一般に、防曇ガラスの第一皮膜層の平均粗
さは、0.02μm〜0.5μmであることが好まし
く、0.05μm〜0.2μmであることがより好まし
い。また、第二皮膜層の厚さは、第一皮膜層の平均表面
粗さより小さい場合、第一皮膜層中の酸化チタン粒子の
一部が、大気中に露出する程度が比較的大きくなり、第
二皮膜層に付着する汚れに対し、光触媒機能を発現する
ことができる。第二皮膜層の厚さは、0.005μm〜
0.5μmであることが好ましく、0.01μm〜0.
1μmであることがさらに好ましい。
【0035】本発明により製造された防曇ガラスは、例
えばそれを冷凍ケースの天板として使用した場合、蛍光
灯等に含まれる360nm付近の紫外線の90%以上が、
当該ガラスを透過するため、ガラス基板上に設けられた
酸化チタン含有第一皮膜層の光触媒作用が発現し、第二
皮膜層表面に付着する疎水性有機物が光分解され、それ
によって、長期間にわたり優れた防曇性を発揮するので
ある。さらに、本発明の防曇ガラスを外装建材として使
用した場合、太陽光に含まれる強い紫外線により、酸化
チタンの光触媒作用が効果的に発現し、防曇ガラス上に
付着した疎水性有機物を分解し、それにより、長期にわ
たり優れた防汚性を発揮するのである。
【0036】
【実施例】本発明の防曇ガラス及びその製造方法を下記
実施例1〜6により具体的に説明する。対比のために比
較例1〜5を示す。 (1)本発明の実施例及び比較例に使用した酸化チタン
は、下記方法により作製したものである。 〈製法1〉四塩化チタン水溶液(20重量%)をビーカ
ーに入れて水で希釈し、得られた溶液を、80℃の温度
で10分間加熱処理したのち、水冷により30℃まで冷
却し、得られた液に陰イオン交換膜を介して、脱イオン
流水により、27℃において拡散透析を施し、夾雑イオ
ンを除去した。 〈製法2〉四塩化チタン水溶液(20重量%)をビーカ
ーに入れて水で希釈し、撹拌、水冷しながら、チタン1
モルに対し10重量%の水酸化ナトリウム水溶液1モル
を添加し、得られた溶液を、55℃の温度で60分間加
熱処理したのち、水冷により30℃まで冷却した。この
液に、セロハン膜を介して、脱イオン流水により拡散透
析を施して、夾雑イオンを除去した。 〈製法3〉四塩化チタン水溶液(17重量%)をビーカ
ーに入れて水で希釈し、100℃で15分間加熱処理
し、冷却後に、これにセロハン膜による拡散透析を施し
た。 上記酸化チタンの製法に用いた試薬は、和光純薬(株)
製一級試薬又は相当品である。また、実施例に使用され
たガラス基体としては、市販のソーダライムガラスが使
用された。表1に実施例及び比較例に使用した第一皮膜
層形成用皮膜形成剤組成を、また表2に第二皮膜層用形
成剤の組成を示す。さらに、表3には、これら第一皮膜
層、及び第二皮膜層の皮膜形成剤の処理方法、処理条件
を示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】作製した防曇ガラスの塗膜性能は、下記の
方法でテストした。 〈塗膜性能の評価方法〉 (1)塗膜の防曇性、防曇持続性、及び光触媒性 実施例及び比較例に示した操作により作製された防曇ガ
ラス板面上に息を吹きかけ、曇りの度合いを目視で判定
した。また、流水浸漬8時間、80℃乾燥16時間を1
サイクルとする防曇性持続性テストを5サイクル施した
後の防曇ガラス板について同様な試験を行った。また、
光触媒性を評価するため、ガラス板面上に、代替疎水性
物質として、アルコールにより濃度5%に希釈されたス
テアリン酸溶液を10g/m2 の塗布量で塗布し、80
℃で5分間乾燥し、これに紫外線を1週間照射した後
に、同様に息を吹きかけ防曇性を目視判定した。塗膜の
防曇性は以下の基準で判定した。尚、目視判定は、室温
20℃、湿度60%の環境下で実施した。 〈評価基準〉◎…全く曇らない ○…直後は曇るが、瞬時に透明になる △…曇るが、10秒以内に透明になる ×…曇りが10秒間経過しても消えない
【0041】(2)塗膜硬度 実施例及び比較例に示した操作により作製した防曇ガラ
ス板の皮膜面の鉛筆硬度を、JISK−5400に従っ
て測定した。 (3)塗膜の耐摩耗性 耐摩耗性は、デーパー式摩耗試験機(スガ試験機(株)
製)を用いて、下記の条件で実施した。 荷重:500g 回転速度:60RPM 摩耗輪:CS−10F 回転数:1000回転 〈評価基準〉◎…ヘイズ値が5%未満 ○…ヘイズ値が5%以上、10%未満 △…ヘイズ値が10%以上、30%未満 ×…ヘイズ値が30%以上
【0042】(4)皮膜層の透明性 実施例、及び比較例で作製した防曇ガラス板の透明性を
目視で判定した。 (5)防曇ガラスの防汚性 実施例、及び比較例で作製した防曇ガラス板の防汚性を
屋外暴露試験により判定した。暴露試験は下記の条件で
実施した。 暴露場所:神奈川県平塚市大神 テストピース設置方法:南向き、45°傾斜 暴露期間:6ヶ月間 上記テストの結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】表4において比較例1は、本発明の第二皮
膜層が無い場合であるが、塗膜硬度が低く、耐摩耗性が
不十分であった。比較例2は、第一皮膜層に酸化チタン
粒子とシリカ系無機バインダーの混合物を使用し、第二
皮膜層を設けない場合であるが、塗膜硬度が低く、耐摩
耗性が不十分であった。比較例3は第二皮膜層のみを設
けた場合であるが、当然の事ながら光触媒性が全く発現
しなかった。比較例4は、本発明の第二皮膜層中にアル
カリ珪酸塩を含まない場合であるが、塗膜硬度が低く、
防曇性、耐摩耗性が不十分であった。比較例5において
は、通常のソーダガラス板を用いたが、防曇性が不十分
であった。これらの比較例に比べて、本発明の製造方法
を用いて製造された防曇ガラスを使用した実施例1〜6
は、防曇性、塗膜硬度、耐摩耗性、透明性及び防汚性と
もに優れていた。
【0045】
【発明の効果】本発明の防曇ガラス及びその製造方法
は、塗膜の硬度、透明性、耐摩耗性及び防汚性が良好
で、かつ優れた防曇性を有する防曇ガラスを提供する。
また、本発明の方法により製造された防曇ガラスは、原
料コストが安価で塗料の安全性、安定性に優れていると
いう利点も併せ有しており、各種の用途に使用すること
が可能で、その産業上の利用価値は非常に大きいのであ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基体と、その表面に形成され、か
    つ酸化チタン化合物を含む第一皮膜層と、その上に形成
    され、かつアルカリ珪酸塩を含む第二皮膜層とを有する
    ことを特徴とする防曇ガラス。
  2. 【請求項2】 アルカリ珪酸塩を含む第二皮膜層が多孔
    質であることを特徴とする、請求項1記載の防曇ガラ
    ス。
  3. 【請求項3】 前記第二皮膜層の厚さが、前記第一皮膜
    層の平均表面粗さよりも小さい、請求項1又は2に記載
    の防曇ガラス。
  4. 【請求項4】 前記第一皮膜層中の酸化チタン化合物の
    少なくとも一部分が、前記多孔質第二皮膜層を介して大
    気に露出している、請求項2に記載の防曇ガラス。
  5. 【請求項5】 ガラス基体の表面に酸化チタン化合物を
    含む第一皮膜層を形成し、その上にアルカリ珪酸塩を含
    む第二皮膜層を設け、それによって得られた積層物を2
    00℃以上の温度で加熱処理することを特徴とする防曇
    ガラスの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化チタン化合物が、オルソチタン
    酸、Ti4+イオン、及びペルオキソチタン酸から選ばれ
    た少なくとも1種と、及び平均粒子径が0.001〜
    0.2μmの二酸化チタン粒子とを、1:0.1〜1:
    200の重量比で含み、実質的に夾雑イオンを含有しな
    いものである、請求項2記載の防曇ガラスの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記、第二層の皮膜層中に、前記200
    ℃以上の加熱により、揮発又は分解除去される少なくと
    も1種類の有機成分が含有されている、請求項2記載の
    防曇ガラスの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003112950A (ja) * 2001-09-28 2003-04-18 Nakajima Glass Co Inc 金属酸化物薄膜被覆板状体の製造方法及び金属酸化物薄膜被覆板状体
CN102372437A (zh) * 2010-08-13 2012-03-14 深圳市格林美高新技术股份有限公司 一种用废旧玻璃生产自洁净微晶玻璃的方法

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