JPH11335092A - 揚重装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マンション等の建設現場において、建物の躯
体が完成し、その中間フロアに仕上用などの資材を搬入
する際に、トラック等の荷台から資材を吊り上げ、建物
に沿って垂直に昇降させ、かつ建屋内に水平に引き込む
ことができる揚重装置を提供する。 【解決手段】 建物に沿って垂直に固定された垂直マス
ト１０と、垂直マストに沿って昇降可能かつ水平に旋回
可能な軌道部２０と、軌道部に一端１２ａが固定されほ
ぼ水平に延びた水平アーム１２と、水平アームに沿って
移動可能な移動台１４ａを有する水平移動装置１４と、
移動台に固定され資材を吊り上げる吊上げ装置１６とを
備える。軌道部２０の昇降スプロケット２４ａを回転駆
動することにより、マストの昇降チェーン１１との噛合
により、軌道部２０を垂直マストに沿って上下に昇降さ
せることができる。また、旋回スプロケット２６ａを回
転駆動することにより、旋回チェーン２５との噛合によ
り旋回部２３を軸心Ｚ1 を中心に旋回させ、これに固定
された水平アーム１２を旋回させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、マンション等の建
設現場において、資材を中間フロアまで垂直に搬送し、
かつ中間フロアにおいて水平に搬入／搬出するための揚
重装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】マンション等の建設現場において、建築
用資材を搬送するために、従来から、クレーン式揚重機
やリフト式揚重機が用いられている。クレーン式揚重機
は、例えばクライミングクレーン等のタワークレーン
や、建物の鉄骨側面に取り付ける簡易式タワークレーン
である。これらのクレーン式揚重機は、末端が旋回フレ
ームに取り付けられたジブの先端から吊りワイヤでフッ
クを吊り下げ、このフックに資材を吊り下げ、吊りワイ
ヤの巻上げにより資材を吊り上げ、ジブを旋回及び上下
に揺動させて、資材を所定の位置まで移動させるもので
ある。一方、リフト式揚重機は、建物の鉄骨側面に沿っ
て２本の垂直なレールを固定し、このレールに沿って水
平な架台を昇降させるものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】マンション等の建設現
場において、例えば鉄骨鉄筋コンクリート造りの本体の
建設には、主にクレーン式揚重機が用いられる。しかし
クレーン式揚重機は、建物のコンクリート打設済の床の
上側に鉄骨、鉄筋、コンクリート、型枠等の資材を搬送
する際には、非常に便利であるが、建物が完成し、その
中間フロアに資材（例えば、内部工事用の壁板、ベニヤ
材、キッチン等の設備機器等）を搬入する際には、作業
性が悪く、安全で効率的な搬入が困難な問題点があっ
た。すなわち、ジブを建屋内まで引き込むことができな
いため、建物の外部で途中まで資材を吊り上げ、その状
態で作業員が手作業で資材をマンションの開放廊下やベ
ランダ等に引き込む必要がある。

【０００４】一方、リフト式揚重機では、中間フロアま
で水平な架台上に資材を載せて昇降することはできる
が、架台上への資材の搬入、及び架台から建屋内への資
材の搬入は、作業員が手作業で行う必要がある。また、
この場合、架台と中間フロアとの間にできる隙間のた
め、台車等の使用が困難であり、作業効率が低い問題点
もあった。

【０００５】本発明は、かかる問題点を解決するために
創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、マ
ンション等の建設現場において、建物の躯体が完成し、
その中間フロアに仕上用などの資材を搬入する際に、ト
ラック等の荷台から資材を吊り上げ、建物に沿って垂直
に昇降させ、かつ建屋内に水平に引き込むことができる
揚重装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、建設中
の建物に沿って垂直に固定された細長い垂直マスト（１
０）と、該垂直マストに沿って昇降可能かつ水平に旋回
可能な軌道部（２０）と、該軌道部に一端（１２ａ）が
固定されほぼ水平に延びた水平アーム（１２）と、該水
平アームに沿って移動可能な移動台（１４ａ）を有する
水平移動装置（１４）と、該移動台に固定され資材を吊
り上げる吊上げ装置（１６）と、を備えたことを特徴と
する揚重装置が提供される。

【０００７】本発明の構成によれば、資材（１）を水平
アーム（１２）上の吊上げ装置（１６）で吊り下げた状
態で、軌道部（２０）を垂直マスト（１０）に沿って昇
降させることにより、トラック等の荷台から資材を吊り
上げてそのまま所定の中間フロアまで昇降させることが
できる。更に、軌道部（２０）を垂直マスト（１０）を
中心に水平に旋回させることにより、水平アーム（１
２）を旋回させ資材を建屋内に水平に引き込むことがで
きる。

【０００８】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
垂直マスト（１０）は、その軸線Ｚ1 に沿って固定され
た昇降チェーン（１１）を有し、前記軌道部（２０）
は、複数のガイドローラ（２１）により垂直マスト（１
０）に沿って案内された本体（２２）と、該本体に軸心
Ｚ1 を中心に旋回可能に支持された旋回部（２３）と、
前記昇降チェーン（１１）と噛合し水平軸Ｚ2 を中心に
回転駆動される昇降スプロケット（２４ａ）と、本体の
外周部に周方向に固定された旋回チェーン（２５）と噛
合し垂直軸Ｚ3 を中心に回転駆動される旋回スプロケッ
ト（２６ａ）と、を有する。

【０００９】この構成により、昇降スプロケット（２４
ａ）を回転駆動することにより、昇降チェーン（１１）
との噛合により、軌道部（２０）を垂直マスト（１０）
の軸線Ｚ1 に沿って上下に昇降させることができる。ま
た、旋回スプロケット（２６ａ）を回転駆動することに
より、旋回チェーン（２５）との噛合により旋回部（２
３）を軸心Ｚ1 を中心に旋回させ、これに固定された水
平アーム（１２）を旋回させることができる。

【００１０】更に、前記垂直マスト（１０）は、ほぼ水
平に延びる支持部材（１０ａ）により建設中の建物に固
定されており、軌道部の前記本体（２２）及び旋回部
（２３）は、支持部材（１０ａ）が通過可能な切欠き部
（２２ａ，２３ａ）を有する。この構成により、ガイド
ローラ（２１）により本体の切欠き部（２２ａ）を支持
部材（１０ａ）に向けて案内し、かつ旋回部の切欠き部
（２３ａ）を支持部材（１０ａ）に向けて旋回させるこ
とにより、支持部材との干渉なしに軌道部（２０）を自
由に上下動させることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を図面を参照して説明する。なお、各図において共通す
る部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略す
る。図１は、本発明の揚重装置を模式的に示す図であ
る。この図に示すように、本発明の揚重装置は、垂直マ
スト１０、軌道部２０、水平アーム１２、水平移動装置
１４、及び吊上げ装置１６からなる。垂直マスト１０
は、この例では曲げ剛性のある単一の垂直円柱からな
る。垂直マスト１０は、支持部材１０ａにより建設中の
建物２に沿って垂直（すなわち鉛直）に固定されてい
る。また、軌道部２０は、垂直マスト１０に沿って昇降
できかつ水平に旋回できるようになっている。更に、水
平アーム１２は、ほぼ水平に延び、その一端１２ａ（内
方端）が軌道部２０に固定されている。また、水平移動
装置１４の移動台１４ａが、水平アーム１２に沿って水
平に移動できるようになっている。更に、この移動台１
４ａには吊上げ装置１６が固定され、そこから吊り下げ
られたフック１７により資材１を吊り下げるようになっ
ている。

【００１２】上述した構成により、資材１を水平アーム
１２上の吊上げ装置１６で吊り下げた状態で、軌道部２
０を垂直マスト１０に沿って昇降させることにより、ト
ラック等の荷台から資材を吊り上げてそのまま所定の中
間フロアまで昇降させることができる。更に、軌道部２
０を垂直マスト１０を中心に水平に旋回させることによ
り、水平アーム１２を旋回させ資材を建屋内に水平に引
き込むことができる。なお、図１では、垂直マスト１０
の上端部が建物２の５階部分（５Ｆ）に位置している
が、本発明はこれに限定されない。すなわち、更に上方
まで延ばして設置することにより、本発明の揚重装置を
中間フロアのみならず、最上階部分までに適用すること
ができる。

【００１３】図２は、図１の軌道部の側面断面図であ
る。この図に示すように、垂直マスト１０は、その軸線
Ｚ1 に沿って固定された昇降チェーン１１を有する。ま
た軌道部２０は、複数のガイドローラ２１により垂直マ
スト１０に沿って案内された本体２２と、本体２２に軸
心Ｚ1 を中心に旋回可能に支持された旋回部２３と、昇
降チェーン１１と噛合し水平軸Ｚ2 を中心に回転駆動さ
れる昇降スプロケット２４ａと、垂直軸Ｚ3 を中心に回
転駆動される旋回スプロケット２６ａとを有する。旋回
スプロケット２６ａは本体２２の外周部下部に周方向に
固定された旋回チェーン２５と噛合している。また、こ
の例では、旋回部２３と本体２２との摺動面に軸受はな
く、グリース等を介在して直接摺動するようになってい
る。なお、本発明はこれに限定されず、スラスト軸受、
ラジアル軸受を適宜用いてもよい。

【００１４】図３は、図２の平面図である。図２及び図
３に示すように、軌道部２０の本体２２及び旋回部２３
は、切欠き部２２ａ，２３ａを有し、この切欠き部２２
ａ，２３ａを支持部材１０ａと整合させることにより、
支持部材との干渉なしに軌道部２０が自由に上下動でき
るようになっている。また、昇降チェーン１１は、通常
の産業用チェーンであり、垂直マスト１０の軸線Ｚ1 に
沿って図示しない取付け金具により所定の間隔で取り付
けられている。なお、この図では、昇降チェーン１１
を、支持部材１０ａの直径方向反対側に取り付けている
が、本発明はこれに限定されず、垂直マスト１０の周方
向の別の位置であってもよい。

【００１５】更に、図２及び図３において、水平アーム
１２の一端１２ａ（内方端）は軌道部２０の旋回部２３
の上面に固定されている。水平移動装置１４は、水平ア
ーム１２に沿って図示しないレールにより水平可能に案
内された移動台１４ａ、その下部に取り付けられたナッ
ト部材１４ｂ、これと螺合する細長いネジ部材１４ｃ、
及びネジ部材１４ｃをその軸心を中心に回転駆動する移
動台駆動モータ１４ｄとからなる。ネジ部材１４ｃは、
例えば、角ネジ又はボールネジであり、図示しない両端
部で水平アーム１２に回転可能に支持されている。この
構成により、移動台駆動モータ１４ｄによりネジ部材１
４ｃを回転させて、移動台１４ａを水平アーム１２に沿
って移動させることができる。

【００１６】図４は、図２のＡ−Ａ線における断面図で
ある。図２及び図３に示すように、本体２２は、互いに
連結された上下２枚の円板からなり、それぞれに４組の
ガイドローラ２１が取り付けられている。各ガイドロー
ラ２１は、水平な軸心を中心に回転可能であり、その外
周面が垂直マスト１０に接しており、全体で本体２２を
水平に支持したまま垂直マスト１０に沿って上下に案内
するようになっている。また、この例では、昇降スプロ
ケット２４ａと昇降チェーン１１との噛合により、本体
２２が軸心Ｚ1 まわりに旋回しないようになっている。
なお、垂直マスト１０は円柱に限られず、矩形柱、或い
はその他の断面形状であってもよい。また、本体２２の
旋回防止のために、別の機構、例えば垂直マスト１０に
沿ってガイドローラ２１を案内するレールを固定しても
よい。

【００１７】更に、この図に示すように、昇降スプロケ
ット２４ａを駆動する昇降駆動装置２４は、昇降スプロ
ケット２４ａと、これに同軸に固定されたウォームホイ
ール２４ｂと、これと噛合するウォーム歯車２４ｃと、
これをその軸心を中心に回転駆動する昇降用モータ２４
ｄとからなる。この構成により、昇降用モータ２４ｄで
ウォーム歯車２４ｃを回転させ、ウォームホイール２４
ｂを介して昇降スプロケット２４ａを回転させることに
より、軌道部２０全体を垂直マスト１０に沿って昇降さ
せることができる。

【００１８】図５は、図２のＢ−Ｂ線における断面図で
ある。この図に示すように、旋回スプロケット２６ａを
駆動する旋回駆動装置２６は、旋回スプロケット２６ａ
と、これに同軸に固定されたウォームホイール２６ｂ
と、これと噛合するウォーム歯車２６ｃと、これをその
軸心を中心に回転駆動する旋回用モータ２６ｄとからな
る。この構成により、旋回用モータ２６ｄでウォーム歯
車２６ｃを回転させ、ウォームホイール２６ｂを介して
旋回スプロケット２６ａを回転させることにより、旋回
部２３を軸心Ｚ1 を中心に旋回させることができる。な
お、旋回部２３の切欠き部２３ａには、旋回チェーン２
５がないため、この部分では、旋回部２３を旋回できな
い。従って、この点を加味して旋回用モータ２６ｄの噛
合位置を設定するのがよい。また、特に、旋回部２３を
３６０°回転させる必要がある場合には、２組の旋回駆
動装置２６を噛合位置をずらして設置するのがよい。

【００１９】上述した構成により、昇降スプロケット２
４ａを回転駆動することにより、昇降チェーン１１との
噛合により、軌道部２０を垂直マスト１０の軸線Ｚ1 に
沿って上下に昇降させることができる。また、旋回スプ
ロケット２６ａを回転駆動することにより、旋回チェー
ン２５との噛合により旋回部２３を軸心Ｚ1 を中心に旋
回させ、これに固定された水平アーム１２を旋回させる
ことができる。

【００２０】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種
々に変更できることは勿論である。

【００２１】

【発明の効果】上述したように、本発明の揚重装置は、
マンション等の建設現場において、建物の躯体が完成
し、その中間フロアに仕上用などの資材を搬入する際
に、トラック等の荷台から資材を吊り上げ、建物に沿っ
て垂直に昇降させ、かつ建屋内に水平に引き込むことが
できる、等の優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の揚重装置の使用状態を模式的に示す図
である。

【図２】図１の軌道部の側面断面図である。

【図３】図２の平面図である。

【図４】図２のＡ−Ａ線における断面図である。

【図５】図２のＢ−Ｂ線における断面図である。

【符号の説明】

１ 資材 ２ 建物 ３ トラック １０ 垂直マスト １０ａ 支持部材 １１ 昇降チェーン １２ 水平アーム １２ａ 一端 １４ 水平移動装置 １４ａ 移動台 １６ 吊上げ装置 ２０ 軌道部 ２１ ガイドローラ ２２ 本体 ２２ａ 切欠き部 ２３ 旋回部 ２３ａ 切欠き部 ２４ａ 昇降スプロケット ２５ 旋回チェーン ２６ａ 旋回スプロケット

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建設中の建物に沿って垂直に固定された
   細長い垂直マスト（１０）と、該垂直マストに沿って昇
   降可能かつ水平に旋回可能な軌道部（２０）と、該軌道
   部に一端（１２ａ）が固定されほぼ水平に延びた水平ア
   ーム（１２）と、該水平アームに沿って移動可能な移動
   台（１４ａ）を有する水平移動装置（１４）と、該移動
   台に固定され資材を吊り上げる吊上げ装置（１６）と、
   を備えたことを特徴とする揚重装置。
2. 【請求項２】 前記垂直マスト（１０）は、その軸線Ｚ
   1 に沿って固定された昇降チェーン（１１）を有し、 前記軌道部（２０）は、複数のガイドローラ（２１）に
   より垂直マスト（１０）に沿って案内された本体（２
   ２）と、該本体に軸心Ｚ1 を中心に旋回可能に支持され
   た旋回部（２３）と、前記昇降チェーン（１１）と噛合
   し水平軸Ｚ2 を中心に回転駆動される昇降スプロケット
   （２４ａ）と、本体の外周部に周方向に固定された旋回
   チェーン（２５）と噛合し垂直軸Ｚ3 を中心に回転駆動
   される旋回スプロケット（２６ａ）と、を有する、こと
   を特徴とする請求項１に記載の揚重装置。
3. 【請求項３】 前記垂直マスト（１０）は、ほぼ水平に
   延びる支持部材（１０ａ）により建設中の建物に固定さ
   れており、 軌道部の前記本体（２２）及び旋回部（２３）は、支持
   部材（１０ａ）が通過可能な切欠き部（２２ａ，２３
   ａ）を有する、ことを特徴とする請求項２に記載の揚重
   装置。