JPH11330589A - 磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびその製造方法、ならびに磁気記録再生装置

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JPH11330589A
JPH11330589A JP10138815A JP13881598A JPH11330589A JP H11330589 A JPH11330589 A JP H11330589A JP 10138815 A JP10138815 A JP 10138815A JP 13881598 A JP13881598 A JP 13881598A JP H11330589 A JPH11330589 A JP H11330589A
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magnetoresistive
gas
magnetoresistive element
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Akio Kawasaki
明朗 川崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気抵抗効果素子、特にスピンバルブ巨大磁
気抵抗効果を用いた磁気抵抗効果素子の耐熱性を向上す
る製造方法を提供し、これを用いた磁気記録再生装置の
再生信号レベルおよび信号対ノイズ比を向上する。 【解決手段】 スピンバルブ膜をスパッタエッチングに
よりパターニングするに際し、XeあるいはKrをスパ
ッタエッチングガスとして採用する。 【効果】 スピンバルブ膜パターン端面の結晶性が向上
し、熱処理時における粒界拡散が低減され、各層の特性
劣化が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気抵抗効果素子お
よびその製造方法、ならびに磁気記録再生装置に関し、
さらに詳しくは、耐熱性に優れた磁気抵抗効果素子およ
びその製造方法、ならびに磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスクドライブ(HDD)装置
やディジタルオーディオテープレコーダ等の高密度磁気
記録再生装置の再生ヘッドとして、磁気抵抗効果(M
R;Magneto-Resistive) 型ヘッドが用いられている。
磁気抵抗効果型ヘッドの再生出力は、磁気記録媒体との
相対速度依存性がないことや、低クロストーク等の特長
を有し、特に近年におけるスピンバルブ膜による巨大磁
気抵抗(GMR;Giant Magneto-Resistive) 効果や新
しい素子構造の開発、あるいはPRML(PartialRespo
nse Maximum Likelyhood) 信号処理方式等の採用によ
り、西暦2000年には10Gbit/in2 、転送速
度24MB/s以上の記録面密度を有するHDD装置が
可能になると予測されている。また磁気記録テープを用
いた磁気記録装置の分野でも、1Gbit/in2 程度
の記録面密度を超えた時点から、磁気抵抗効果型再生ヘ
ッドが採用されると見られている。
【0003】ところで、磁気抵抗効果膜から磁気抵抗効
果型ヘッドや磁気センサ等の磁気抵抗効果素子を製造す
るためには、磁気抵抗効果膜をスパッタエッチング等で
パターニングし、この磁気抵抗効果膜パターン上に磁気
シールドや記録ヘッド用のコイル等を立体的に積層配置
してゆくことが必要である。かかる積層構造を形成する
際には、層間絶縁膜を滑らかに形成し、この上に磁気シ
ールドやコイル等を形成することが望ましい。このため
には、通常磁気抵抗効果膜パターン上にフォトレジスト
等の有機絶縁膜やSOG (Spin on glass)を等の層間絶
縁膜材料をコーティングし、これをパターニングした後
あるいはパターニングする前に、例えば250℃程度あ
るいはそれ以上の温度での熱処理を加えてリフローさ
せ、これら層間絶縁膜材料の表面を平滑にすることがお
こなわれる。またこのリフロー工程以外にも、磁気抵抗
効果素子の製造工程において各種熱処理が加わる場合が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これら熱処理工程によ
り、特にスピンバルブ膜では磁気抵抗効果の劣化が認め
られ、その熱劣化率は25〜40%に達する場合があ
る。また外部磁束に対する磁気抵抗の変化率、すなわち
磁気抵抗比(MR比)は、その値が大きいほど磁気抵抗
効果素子の出力電圧が大きく好ましいが、スピンバルブ
膜が本来持つ7%程度を充分発揮するに至らず、熱処理
を加えることにより4〜5%程度に低下する。
【0005】この原因が積層膜間での原子拡散、特に結
晶粒界での格子欠陥を介しての原子拡散が主要因である
ことを見出し、この対策として、MgO(111)単結
晶基板上にスピンバルブ膜をエピタキシャル成長する方
法を、本出願人らは特願平9−126958号明細書と
して提案した。この方法によれば、スピンバルブ膜の結
晶粒界を事実上解消し、結晶粒界を介しての原子拡散を
防止することにより、スピンバルブ膜の耐熱性を向上す
ることが可能となった。
【0006】しかしながら、現在実用に供されている磁
気抵抗効果素子や磁気抵抗効果型ヘッドは、いずれも磁
気シールド膜により挟まれた構造を有している。この磁
気シールド膜間にMgO(111)単結晶基板を配設す
ることは、現状の素子構造を踏襲する限り、技術的に困
難であった。また結晶面方位の揃ったMgO(111)
薄膜を形成する技術は確立されていない。
【0007】またMgO(111)単結晶基板上にスピ
ンバルブ膜を形成すれば、磁気抵抗効果の熱劣化率は3
0%以下に低減されるが、ややばらつきも認められ、再
現性やスループットの向上が望まれていた。さらに、従
来のガラス基板や一般的なセラミックス基板に比べ、M
gO(111)単結晶基板は高価であるという問題があ
った。
【0008】本発明はかかる状態に鑑み提案するもので
あり、特にスピンバルブ膜を用いた磁気抵抗効果素子に
おける磁気抵抗効果膜の結晶性を向上して粒界拡散等を
抑制し、これにより磁気抵抗効果の熱劣化率を低減し、
5%以上の磁気抵抗効果比が安定して得られる磁気抵抗
効果素子およびその製造方法、ならびにこれを用いた磁
気記録再生装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本出願人は、磁気記録媒
体および光磁気記録媒体の分野において、磁気記録層あ
るいは光磁気記録層の媒体ノイズを低減するために、ス
パッタリング成膜する際のスパッタリングガスとして、
従来のArに換えてXeを採用することが有効であるこ
とを明らかにした。その一例として、Co−Pt人工格
子による光磁気記録層をXe/N2 混合ガスによりスパ
ッタリング成膜することにより、X線回折におけるロッ
キングカーブの半値幅を15°未満とし、媒体ノイズを
数dBm低減可能であることを、特開平6−11139
9号公報として開示し、また Jpn. J. Appl. Phys., vo
l.32(1993), 3160-3162 に発表した。
【0010】この技術を磁気抵抗効果膜の成膜に応用し
た場合、すなわち、一般的なスパッタリングガスである
Arより質量の大きな希ガスを、スピンバルブ膜のスパ
ッタリング成膜ガスとして用いた場合、結晶性の改善が
みられ、また耐熱性の向上が見られた。本発明は、さら
に磁気抵抗効果膜をパターニングする際のスパッタエッ
チングガスとしてXeあるいはKrを用いた場合に、磁
気抵抗効果の熱劣化率が低減され、5%以上の磁気抵抗
効果比が安定して得られることをつきとめ、本発明を完
成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の請求項1の磁気抵抗効
果素子の製造方法は、基板上に形成された磁気抵抗効果
膜をパターニングする工程を含む磁気抵抗効果素子の製
造方法であって、この磁気抵抗効果膜のパターニング工
程は、XeおよびKrのうちの少なくともいずれか一方
を含むガスを用いたスパッタエッチング法によりパター
ニングする工程を有することを特徴とする。
【0012】また本発明の請求項2の磁気抵抗効果素子
の製造方法は、基板上に形成された磁気抵抗効果膜をパ
ターニングする工程と、この磁気抵抗効果膜パターンの
両端に電極を形成する工程を含む磁気抵抗効果素子の製
造方法であって、この磁気抵抗効果膜のパターンング工
程は、XeおよびKrのうちの少なくともいずれか一方
を含むガスを用いたスパッタエッチング法によりパター
ニングする工程を有し、電極の形成工程は、このパター
ニング工程の後、基板を大気に露出することなく、連続
的に、XeおよびKrのうちの少なくともいずれか一方
を含むガスを用いたスパッタリング法により形成する工
程を有することを特徴とする。すなわち、パターニング
された磁気抵抗効果膜パターンや基板を再汚染あるいは
再酸化等することなく、ただちに電極を形成する。スパ
ッタエッチング装置とスパッタデポジション装置が同一
の場合は、同じスパッタリングチャンバ内に基板を搬入
したままの状態でエッチングとデポジションを施す。ス
パッタエッチング装置とスパッタデポジション装置が別
チャンバの場合は、真空ゲートバルブ等を介して基板を
真空搬送、あるいは不活性ガス中搬送し、エッチングと
デポジションを施せばよい。
【0013】いずれの磁気抵抗効果素子の製造方法にお
いても、スパッタリングガスとしてXeまたはKr単独
で用いても混合して用いてもよい。また従来のArガス
と混合しても結晶性改善の効果は得られる。さらにN2
等、他のガスを混合して用いてもよい。
【0014】また磁気抵抗効果膜の成膜用のスパッタリ
ング成膜ガスとして、XeまたはKrを採用しても良
い。さらに磁気抵抗効果膜を成膜する基板をクリーニン
グする際のスパッタエッチングガスとして、Xeまたは
Krを採用してもよい。
【0015】磁気抵抗効果膜は、従来のNiFe合金等
の単層膜でもよいが、特に積層構造のスピンバルブ膜に
適用した場合にその効果は大きい。
【0016】本発明で採用する基板は、ガラス、セラミ
ックスあるいはMgO等のバルク材料でよく、これらバ
ルク材料の上にTa等やMgO等の薄膜下地層を形成し
たものであってもよい。これら下地層を形成した基板を
含め、広義の意味で基板が定義される。
【0017】スパッタエッチングは、イオンミリングと
も称されるエッチング法であり、通常の109 〜1010
/cm3 のイオン密度の平行平板型のスパッタリング装
置、マグネトロンスパッタリング装置を採用して施すこ
とができる。しかしながら、イオン密度が1×1012
cm3 以上のイオン発生源を有するエッチング装置を採
用し、高イオン密度かつ低イオンエネルギでスパッタエ
ッチングすることが望ましい。かかる高密度イオン発生
源を有するスパッタエッチング装置としては、ECR
(Electron Cyclotron Resonance) エッチング装置、I
CP (Inductively Coupled Plasma) エッチング装置、
TCP (Transformer Coupled Plasma) エッチング装
置、ヘリコン波プラズマエッチング装置あるいはMCR
(Magneticaly Confined Reactor) エッチング装置等が
例示される。これら高密度プラズマエッチング装置は、
1×1012/cm3 以上1015/cm3 未満程度の高密
度プラズマを発生することが可能である。したがって、
プラズマ密度は高い方が望ましいが、上限はプラズマエ
ッチング装置のイオン発生源による装置ファクタで制限
される。
【0018】つぎに本発明の磁気抵抗効果素子は、請求
項1または2のいずれかの方法により製造された磁気抵
抗効果膜を含むものであり、磁気抵抗効果素子内にXe
あるいはKrを含むことを特徴とする。
【0019】また本発明の磁気記録再生装置は、請求項
1または2のいずれかの方法により製造された磁気抵抗
効果膜を含む磁気抵抗効果素子を再生ヘッドとして有す
るものであり、磁気抵抗効果素子内にXeあるいはKr
を含むことを特徴とする。もちろん再生専用の装置の場
合には、再生ヘッドとして請求項1または2のいずれか
の方法により製造された磁気抵抗効果膜を含む磁気抵抗
効果素子を有するものである。記録再生装置および再生
専用装置を含めて、広義の磁気記録再生装置が定義され
る。
【0020】つぎに作用の説明に移る。本発明の磁気抵
抗効果素子の耐熱性が向上する機構は必ずしも明らかで
はない。しかしながら、本発明の磁気抵抗効果膜のパタ
ーン端面をX線回折法により調べると、従来のArをス
パッタエッチングガスとしてパターニングした磁気抵抗
効果膜に比較して、いずれも回折ピーク強度の向上が観
測される。すなわち、Ar(A.W.=39.9) より質量の大き
いXe(A.W.=131)やKr(A.W.=83.8) をスパッタエッチ
ングガスとして用い、低イオンエネルギでパターニング
することにより、磁気抵抗効果膜に与えるダメージが軽
減され、パターン端面の結晶性が保存され、加熱時の各
層間の原子拡散が低減され、各層の機能劣化が防止され
るものと考えられる。また磁気抵抗効果膜パターン端面
の結晶性が向上する結果、この部分での電極との電気的
接続状態が改善されるものとも考えられる。高密度イオ
ン発生源を有するスパッタエッチング装置を採用すれ
ば、エッチングレートの低下の不都合もない。
【0021】また他の資料として、He、Ar、Krお
よびXeの希ガス系列の発光スペクトルの波長と強度を
図11に示す。図中、元素記号のみによるスペクトル線
は中性励起種によるもの、+イオン表示のあるスペクト
ル線は1価イオンによるものである。同図は、A.Striga
nov and N.S.Sventitskii "Tables of Neutral and Ion
ized Atoms" (IFI/PLENUM, New York, 1968) p.19 を参
照して作成した。同図から明らかなように、Xeおよび
Krのスペクトル波長は、Arよりも長波長側にある。
したがって、XeおよびKrのプラズマのフォトンエネ
ルギは、Arプラズマのフォトンエネルギよりも小さ
い。したがって、XeまたはKrによるスパッタエッチ
ング時における被エッチング基板に与えるダメージは、
Arによりスパッタエッチングする場合より小さいこと
が推察される。
【0022】いずれにしても、XeまたはKrによりス
パッタエッチングすることにより、磁気抵抗効果膜の耐
熱性が向上し、磁気抵抗効果の熱劣化率が小さく、磁気
抵抗比の大きな磁気抵抗効果素子およびこれを備えた磁
気記録再生装置を提供することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気抵抗効果素子
およびその製造方法、ならびにこれを用いた磁気記録再
生装置につき、実施形態例により詳細に説明する。
【0024】〔磁気抵抗効果素子〕本発明の磁気抵抗効
果素子を、スピンバルブ膜により構成した一例の層構成
を、図1に示す概略断面図を参照して説明する。すなわ
ち、基板1上に下地層2、フリー層3、補助フリー層3
a、スペーサ層4、ピン層5、反強磁性層6および保護
層7が順次形成されている。また各層の両端面には不図
示の電極が形成されている。これらのうち、フリー層
3、補助フリー層3a、スペーサ層4、ピン層5および
反強磁性層6とにより、スピンバルブ膜8が構成され
る。基板1と保護層7は、その相対配置を逆に構成して
もよい。
【0025】各層の機能につき説明する。基板1はガラ
ス、シリコン、MgO、各種セラミックスあるいはプラ
スチックス等からなり、磁気抵抗効果素子を製造する際
の台座となるものである。磁気抵抗効果ヘッド等、磁気
記録媒体と摺動する素子の場合には、耐磨耗性や加工性
等が要求される。下地層2はTaやMgO等からなり、
基板1の表面性や結晶性を制御したり、拡散のバリア層
としての役割を果たす。フリー層3はNiFe等の強磁
性体からなり、信号磁界に応じてそのスピンを回転す
る。磁化回転層あるいは動作層とも呼ばれる。補助フリ
ー層3aはCoFe等の強磁性体からなり、フリー層3
の動作の異方性を抑制し、素子動作の線型性を向上す
る。補助フリー層3aは必ずしも設ける必要はない。ス
ペーサ層4はCu等の非磁性金属からなり、フリー層3
とピン層5のスピンの相対角度に応じてその抵抗値を変
化する。非磁性層とも呼ばれる。ピン層5はCoFe等
の強磁性体からなり、反強磁性層6と交換結合してスピ
ンの向きが信号磁束方向と平行に固定されている。磁化
固定層とも呼ばれる。反強磁性層6はIrMn等の反強
磁性体からなり、ピン層5のスピンの向きを交換作用に
より固定するために設ける。保護層7は、高抵抗のTa
等からなり、素子製造工程等でのスピンバルブ膜8の劣
化を防止するために設ける。
【0026】スピンバルブ膜8は、信号磁束Bの方向が
図1の紙面の垂直方向となるように、またバイアス電流
Iが紙面の左右方向となるように設計される。したがっ
て、ピン層5のスピンの向きも、紙面の垂直方向に固定
されている。いま、信号磁束が0の状態では、フリー層
3のスピンの向きは、各磁性層の磁気的相互作用とバイ
アス電流Iによる磁界とのバランスにより、バイアス電
流Iと平行となり、紙面の左右方向となる。すなわち、
ピン層5のスピンの向きと、フリー層3のスピンの向き
は直交している。この状態で信号磁束Bが印加される
と、フリー層3のスピンのみが回転し、ピン層5の固定
されたスピンの向きとの間に、両者のスピンの向きの相
対変化が発生する。このスピンの向きの相対変化にもと
づき、スペーサ層4の抵抗値変化が発生し、これをバイ
アス電流Iにより電圧に変換し、再生信号として出力さ
れる。ピン層5とフリー層3のスピンの向きが反平行の
ときに、スペーサ層4の抵抗値は最大となり、両者が順
平行のときにスペーサ層4の抵抗値は最小となる。スペ
ーサ層4の抵抗値変化、すなわちMR比は材料の選択や
各層の厚さ等により異なるが、7%程度の値が得られ
る。
【0027】本発明の磁気抵抗効果素子は、スピンバル
ブ膜8をパターニングする際に、XeあるいはKrの少
なくともいずれか一方を含むガスをスパッタエッチング
ガスとして採用することにより製造される。
【0028】またスピンバルブ膜8のいずれか1層ある
いは全部の層をスパッタリング成膜する際に、スパッタ
リングガスとしてXeあるいはKrの少なくともいずれ
か一方を含むガスを採用してもよい。また基板1表面、
あるいは下地層2がある場合にはその表面をXeあるい
はKrの少なくともいずれか一方を含むガスによりスパ
ッタエッチングし、その表面を清浄化してもよい。また
これらスパッタリング成膜およびスパッタエッチングを
組み合わせて用いることによって製造してもよい。
【0029】スピンバルブ膜8をパターニング後、その
両端には電極が形成される。電極は、基板を大気に露出
することなく直ちに成膜される(請求項2の磁気抵抗効
果素子の製造方法)。電極材料は特に限定はないが、ス
ピンバルブ膜8との拡散を防止する観点から、Ti、T
a、WあるいはMo等高融点金属やその合金、シリサイ
ド等が選ばれる。電極はこれらの材料の単層あるいは複
層であってもよい。AuやPt等の積層であってもよ
い。これら電極材料はXeあるいはKrをスパッタリン
グガスに用いたスパッタリング法により形成される。電
極のパターニングは、リフトオフ法が通常採用される
が、スパッタエッチング、あるいはハロゲン系ガスを用
いた反応性スパッタエッチングを用いてもよい。
【0030】このような製造方法を採用することにより
製造される磁気抵抗効果素子は、少なくともスピンバル
ブ膜8のパターニングされた端面に、微量のXeあるい
はKrの少なくともいずれか一方を含むことが確認され
る。
【0031】〔磁気抵抗効果型ヘッド〕本発明の磁気抵
抗効果素子を、磁気抵抗効果型ヘッドに適用した実施形
態例を図2を参照して説明する。
【0032】図2(a)は磁気抵抗効果型ヘッドの要部
概略斜視図である。不図示の磁気ヘッド基板あるいはス
ライダ上に形成された磁気抵抗効果型ヘッドのトラック
面すなわち摺動面に臨んで、磁気抵抗効果膜11、その
両端に接続する一対の電極12、バイアス電流を供給す
るバイアス電源13、出力端子14、磁気抵抗効果膜1
1を挟持する一対の磁気シールド15等から、磁気抵抗
効果型ヘッドは概略構成されている。記録再生複合ヘッ
ドの場合には、磁気シールド15の少なくとも一方は、
記録用の電磁誘導型ヘッドのヨークを兼用することがで
きる。磁気抵抗効果膜または11および電極12と磁気
シールド15間は、層間絶縁膜(不図示)により電気的
に絶縁されている。磁気抵抗効果膜11は単層でもよい
が、スピンバルブ膜によるGMR効果を用いる場合に
は、図2(b)に示すように、フリー層3、補助フリー
層3a、スペーサ層4、ピン層5および反強磁性層6が
順次形成された積層構造を有する。スピンバルブ膜を成
膜する基板および保護層はこれも図示を省略する。
【0033】また磁気記録媒体16と接する摺動面に、
絶縁性高硬度被膜(不図示)が形成されていてもよい。
絶縁性高硬度被膜の材料としては、SiO2 、Si3
4 、SiC、Al2 3 、ZrO2 、B4 CあるいはB
N等の硬質セラミックスやこれらの複合セラミックスが
例示されるが、とりわけDLC(Diamond Like Carbon)
と呼称される硬質カーボンが好ましく採用される。これ
ら絶縁性高硬度被膜の形成方法は特に限定されないが、
スパッタリング、真空蒸着あるいはCVD(Chemical Va
por Deposition) 法等の気相からの薄膜形成技術が均一
性や膜質の点で好ましい。スパッタリング成膜の場合に
は、スパッタリングガスとしてXeあるいはKrを含む
ガスを用いることが、同様の理由から好適である。絶縁
性高硬度被膜の厚さは、例えば5nm以上30nm以
下、好ましくは10nm程度の厚さに形成されている。
絶縁性高硬度被膜の厚さは5nm未満では絶縁性や耐磨
耗性の点で十分な効果が得られず、30nmを超えても
絶縁性や耐磨耗性の効果が飽和するばかりか、磁気抵抗
効果型ヘッドと磁気記録媒体とのスペーシングロスを生
じて好ましくない。
【0034】図2に示した磁気抵抗効果型ヘッドは、磁
気シールド15間に入る磁気記録媒体16の信号磁束B
の強度に応じて、一定のバイアス電流Iが流れる磁気抵
抗効果膜11の抵抗が変化し、出力端子14間の電圧変
化として再生出力を取り出すものである。
【0035】図2に示す磁気抵抗効果型ヘッドは、磁気
抵抗効果膜11をパタ−ニングする際に、XeまたはK
rを含むガスを用いてスパッタエッチングすることによ
り製造される。また電極12をスパッタリング成膜する
際には、パターニングされた磁気抵抗効果膜11を大気
に露出することなく、XeまたはKrを含むガスを用い
てスパッタ成膜することにより製造される(請求項6の
磁気抵抗効果素子)。磁気抵抗効果膜11をスパッタリ
ング成膜する際、あるいは磁気抵抗効果膜11を形成す
る基板をスパッタエッチングする際に、XeまたはKr
を含むガスを用いてもよい。その結果として、少なくと
も磁気抵抗効果膜11パタ−ンの端面に微量のXeある
いはKrが検出される。
【0036】この磁気抵抗効果型型ヘッドによれば、本
発明の磁気抵抗効果素子を用いることにより、磁気抵抗
効果の熱劣化が少なく、MR比の大きい特性を反映し
て、信号対ノイズ比の大きい高性能な再生ヘッドを提供
することができる。
【0037】〔磁気記録再生装置〕本発明の磁気抵抗効
果素子が適用される磁気記録再生装置の一例として、H
DD装置の概略斜視図を図3に示す。図3はHDD装置
の筺体21の一部を切りかき、その要部を示す概略斜視
図である。
【0038】すなわち、弾性を有する支持アーム23の
一端に磁気ヘッド装置22が装着され、支持アーム23
の他端はアクチュエータ24が配設されている。支持ア
ーム23は、その支軸を中心として自在に回動し、磁気
ヘッド装置22を所望の位置に移動することができる。
情報を記録するハードディスク25は、不図示のスピン
ドルモータにより回転し、磁気ヘッド装置22との間で
情報信号の電磁変換をおこなう。HDD装置は筺体21
により気密に囲繞され、例えば窒素等の不活性ガスが充
填されている。
【0039】磁気ヘッド装置22は、図4に示すように
例えばAl2 3 −TiC系の非磁性セラミックスから
なるスライダ27の一端に磁気ヘッド26が装着された
ものである。磁気ヘッド26は、図2にその要部を示し
た再生用の磁気抵抗効果型ヘッドと、記録用の電磁誘導
型ヘッドにより構成されている。
【0040】この磁気記録再生装置によれば、本発明の
磁気抵抗効果素子による磁気抵抗効果型再生ヘッドを搭
載することにより、磁気抵抗効果の熱劣化がなく、MR
比の大きい特性を反映して、信号対ノイズ比の大きい高
性能な磁気記録再生装置を提供することができる。磁気
記録再生装置としては、図3のHDD装置に限らず、回
転ヘッド、固定ヘッドあるいはウィンチェスタタイプヘ
ッドを問わず、本発明の磁気抵抗効果素子による磁気抵
抗効果型ヘッドを再生ヘッドとして有する装置であれ
ば、いかなる形式のものでも適用できる。具体的には磁
気抵抗効果型ヘッドを再生ヘッドとして搭載したデジタ
ルビデオテープレコーダ、データレコーダ、フロッピー
ディスク装置等が代表的に例示されるが、個々の説明は
省略する。
【0041】〔スパッタエッチング装置〕磁気抵抗効果
膜をパターニングする際に採用する好適なスパッタエッ
チング装置の一例として、ECRエッチング装置の概略
構成を図5を参照して説明する。図5はECRエッチン
グ装置30とDCマグネトロンスパッタリング装置40
とがゲートバルブ39により連接された連続処理装置で
ある。
【0042】すなわち、ECRエッチング装置30はプ
ラズマ発生室31とプラズマエッチング室35から大略
構成され、プラズマ発生室31上部からはマグネトロン
(不図示)から発生した2.45GHzのマイクロ波が
石英製のマイクロ波導入窓32を経由して導入される。
同じプラズマ発生室31上部にはガス導入孔33が接続
されており、ここからはXeあるいはKrガスが導入さ
れる。プラズマ発生室31側面はソレノイドコイル34
により囲繞されている。プラズマエッチング室35内部
には、ソレノイドコイル34の同軸上に基板37を載置
するとともに、基板バイアス電源が導入されるエッチン
グステージ36が配設されている。ECRエッチング装
置30内部は、排気孔38を経由し、真空ポンプ(不図
示)により所望の真空度に制御される。このECRエッ
チング装置30によれば、ソレノイドコイル34による
0.0875Tの磁界と2.45GHzのマイクロ波と
の相互作用によりECR条件が達成され、1×1012
cm3 以上1×1014/cm3 オーダーの高密度プラズ
マが発生する。プラズマ中のXeイオンあるいはKrイ
オンは、ソレノイドコイル34による発散磁界および基
板バイアスにより基板37に到達し、磁気抵抗効果膜を
スパッタエッチングする。
【0043】一方のDCマグネトロンスパッタリング装
置40は、スパッタリング室41内に電極材料等のター
ゲット43および基板45を載置する接地電位の成膜ス
テージ44が対向配置されている。ターゲット43背面
には磁石が配置されるとともに、DC電源が接続され
る。またこのターゲット43は材料を異にするものが複
数枚用意されており、これらを交換することにより異種
材料からなる積層膜を成膜することができる。またDC
電源を逆接続、すなわち成膜ステージ44にDC電源を
接続することにより、基板45を逆スパッタリングして
クリーニングすることもできる。Xe等のスパッタリン
グ成膜ガスはガス導入孔42から導入され、排気孔46
を経由し、真空ポンプ(不図示)により所望の真空度に
制御される。このDCマグネトロンスパッタリング装置
40およびECRエッチング装置30は、真空ゲートバ
ルブ39により連接されており、基板37,45を大気
に曝すことなく相互に搬送することが可能である。
【0044】
【実施例】以下、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法
につき、比較例を交えながらさらに詳しく説明を加え
る。ただし以下の実施例は単なる例示であり、本発明は
これら実施例になんら限定されるものではない。
【0045】〔実施例1〕本実施例は、磁気抵抗効果膜
をパターニングするに際し、スパッタエッチングガスと
してXeを採用した例である。磁気抵抗効果膜は図1に
例示した構造のスピンバルブ膜を採用した。ガラス製の
基板1上に、下地層2としてTaを5.2nm、フリー
層3としてNiFeを5.2nm、補助フリー層3aと
してFeCoを2.0nm、スペーサ層4としてCuを
2.4nm、ピン層5としてCoFeを3.0nm、反
強磁性層6としてIrMnを7.6nm、そして保護層
7としてTaを8.0nmスパッタリング成膜した。し
たがって、スピンバルブ膜の構成は、NiFe/FeC
o/Cu/CoFe/IrMnとなる。
【0046】成膜に使用した装置は、図5に例示した各
成膜材料のターゲットを交換可能に装備した平行平板型
DCマグネトロンスパッタリング装置である。成膜に先
立ち、逆スパッタリングにより基板をクリーニングし、
直ちにスパッタリング成膜した。クリーニング時のガス
およびスパッタリング成膜ガスはいずれもArを採用
し、スパッタリング時のArガス圧力は0.6Paとし
た。
【0047】磁気抵抗効果膜のパターニング工程を図6
を参照して説明する。まず図6(a)に示すように、基
板1上の全面に磁気抵抗効果膜11が成膜された試料上
に、レジストマスク9を形成する。
【0048】この試料をECRエッチング装置の基板ス
テージ上にセッティングし、Xeガスによりスパッタエ
ッチングする。 Xe 100 sccm 圧力 0.5 Pa マグネトロン出力 800 W(2.45GHz) 基板バイアス 80 W(2.0MHz) 本エッチング条件は、Arを採用したスパッタエッチン
グ条件と比較すると基板バイアスを弱めた条件である
が、エッチングレートの低下は見られず、図6(b)に
示すように磁気抵抗効果膜11がパターニングされた。
【0049】この後、図6(c)に示すようにレジスト
マスク9を剥離して磁気抵抗効果膜11パターンを完成
する。
【0050】次に電極の形成工程を図7を参照して説明
する。磁気抵抗効果膜11パターン上および基板1上に
再びレジストマスク9を形成する。このレジストマスク
9はリフトオフ工程でのステンシルとなるものであり、
図7(d)に示すようにオーバーハング形状に形成す
る。オーバーハング形状は、レジスト膜の2段階露光、
あるいはレジスト膜表面のシリル化処理等、公知の方法
により形成することができる。
【0051】図7(d)に示す試料をDCマグネトロン
スパッタリング装置に搬入し、TiWおよびAuからな
る電極12を順次スパッタリング成膜する。電極12の
カバレッジは、図7(e)に示すようにレジストマスク
9のオーバーハング形状により段切れを発生する。
【0052】この後、レジストマスク9を剥離して図7
(f)に示すように電極12のパターンを完成する。
【0053】試料は1バッチあたり5個作成し、20バ
ッチ計100個の試料を作成し、測定に供した。
【0054】実施例1の試料の熱処理前のMR比は、平
均7.0%であった。この試料に250℃の熱処理を加
えたところ、磁気抵抗効果の熱劣化率が30%以下の試
料は全体の70%であった。またこの試料のMR比は平
均6%であった。
【0055】X線回折法(θ−2θ法)により、実施例
1の磁気抵抗効果膜の端面の結晶性を評価したところ、
後述するArをスパッタエッチングガスとした同じ層構
成の比較例1のスピンバルブ膜に比較して、1.5〜2
倍の(111)回折ピーク強度が得られた。したがっ
て、Xeをスパッタエッチングガスとしたことにより、
スピンバルブ膜の結晶性が向上し、磁気抵抗効果の熱劣
化が抑制されたものと考えられる。
【0056】〔比較例1〕本比較例は、磁気抵抗効果膜
のスパッタエッチングガスをArに変更した以外は、前
実施例1と同様にして磁気抵抗効果膜を形成した例であ
る。
【0057】比較例1の試料の熱処理前のMR比は、平
均6.5%であった。この試料に250℃の熱処理を加
えたところ、磁気抵抗効果の熱劣化率が30%以下の試
料は全体の20%にすぎなかった。また熱劣化率の最も
少ない試料のMR比は4.5%であった。
【0058】〔実施例2〕本実施例は、スパッタエッチ
ングガスとしてXeとArの混合ガスを用い、その混合
比を変化させた場合の特性変化を調べたものである。試
料の層構成やその他のスパッタリング条件等は、実施例
1に準じて試料を作成した。測定結果を図9および図1
0に示す。このうち図9は各試料の磁気抵抗効果の熱劣
化率が30%以下の試料の残存率(歩留り率)を示す。
また図10は各試料の熱処理前 (as etch.) および熱処
理後 (as anneal)のMR比を示す。いずれの特性も、A
rにXeを添加してスパッタエッチングすることによ
り、MR比および熱劣化率が急激に改善され、その改善
の程度はXeの混合比が増えるにしたがい大きくなり、
Xe100%のときに最大の効果がえられることが明ら
かである。
【0059】〔実施例3〕本実施例は、磁気抵抗効果膜
のパターニング後、基板を大気に曝すことなく、直ちに
電極を形成した例である。この工程を図8を参照して説
明する。ガラス製の基板1上に形成する磁気抵抗効果膜
11の構造および成膜方法等は、前実施例1と同様であ
るので重複する説明を省略する。次に図8(a)に示す
ように磁気抵抗効果膜11上にレジストマスク9を形成
する。本実施例におけるレジストマスク9は、後工程の
リフトオフ時のステンシルを兼ねるものであり、図示の
ようにオーバーハング形状に形成する。
【0060】図8(a)に示す試料をECRエッチング
装置に搬入し、Xeをエッチングガスとしてスパッタエ
ッチングする。エッチング条件は実施例1に準じてよ
い。エッチング終了後の状態を図8(b)に示す。
【0061】本実施例においては、この後図8(b)に
示す試料を直ちに真空ゲートバルブ内を搬送し、DCマ
グネトロンスパッタリング装置に搬入する。ここで、試
料上全面に電極12を成膜する。電極12の材料および
成膜条件は実施例1に準じ、スパッタリング成膜ガスと
してArを用いた。電極12のカバレッジは、図8
(c)に示すようにレジストマスク9のオーバーハング
形状により段切れを発生する。
【0062】この後、レジストマスク9を剥離して電極
12パターンを完成する。実施例3の磁気抵抗効果素子
に250℃の熱処理を加えたところ、磁気抵抗効果の熱
劣化率が30%以下の試料は全体の75%であった。ま
たこの試料のMR比の平均は6%であった。したがっ
て、Xeによりスパッタエッチング後の磁気抵抗効果膜
を、大気に曝すことなく直ちに電極を形成することによ
り、パターニング面の酸化や汚染が防止され、磁気抵抗
効果の熱劣化が実施例1よりさらに低減されたものと考
えられる。
【0063】〔実施例4〕本実施例は、磁気抵抗効果膜
のパタ−ニング後、前実施例3と同様に基板を大気に曝
すことなく、直ちに電極を形成した例である。ただし本
実施例においては電極のスパッタリング成膜ガスとして
もXeを採用した。このスパッタリング成膜ガスとして
Arに換えてXeを用いた以外の諸工程はいずれも実施
例3と同様であり、ここでも重複する説明を省略する。
【0064】実施例4の磁気抵抗効果素子に250℃の
熱処理を加えたところ、磁気抵抗効果の熱劣化率が30
%以下の試料は全体の80%であった。またこの試料の
MR比の平均は6%であった。したがって、Xeにより
スパッタエッチング後の磁気抵抗効果膜を大気に曝すこ
となく直ちにXeをスパッタリング成膜ガスとして電極
を形成することにより、パターニング面の酸化や汚染あ
るいはダメージ等が防止され、磁気抵抗効果の熱劣化が
実施例3よりさらに低減されたものと考えられる。
【0065】〔実施例5〕本実施例は、スピンバルブ膜
を形成する前に基板、すなわち本実施例においては下地
膜が形成された基板のクリーニング用のスパッタエッチ
ング工程、磁気抵抗効果膜のスパッタリング成膜工程、
磁気抵抗効果膜のパタ−ニングにおけるスパッタエッチ
ング工程、ならびに電極のスパッタリング成膜工程のい
ずれにもXeを採用した例である。また本実施例でも磁
気抵抗効果膜をスパッタエッチング後、形成された磁気
抵抗効果膜パターンを大気に露出することなく、直ちに
電極を形成した。このように、磁気抵抗効果素子の製造
工程にすべてXeガスを用いた以外は、磁気抵抗効果膜
の層構成等すべて前実施例3と同様であり、ここでも重
複する説明を省略する。
【0066】X線回折法(θ−2θ法)により、実施例
5の磁気抵抗効果膜の端面の結晶性を評価したところ、
前実施例1の磁気抵抗効果膜に比較して、さらに1.5
〜2倍の(111)回折ピーク強度が得られた。
【0067】実施例5の磁気抵抗効果素子に250℃の
熱処理を加えたところ、磁気抵抗効果の熱劣化率が30
%以下の試料は全体の95%に達した。またこの試料の
MR比の平均は7%であった。したがって、磁気抵抗効
果素子製造の全工程にXeを採用することにより、磁気
抵抗効果膜の結晶性が向上するとともに、パターニング
面の酸化や汚染あるいはダメージ等が防止され、磁気抵
抗効果の熱劣化が実施例4よりさらに低減されたものと
考えられる。
【0068】〔比較例2〕本比較例は、前実施例5にお
いて磁気抵抗効果膜のスパッタエッチングガスおよび電
極のスパッタリング成膜ガスとしてArを採用した以外
は、前実施例5に準じたものである。すなわち、磁気抵
抗効果膜のスパッタエッチングガスおよび電極のスパッ
タリング成膜ガスにはXeを用いた。
【0069】比較例2の磁気抵抗効果素子に250℃の
熱処理を加えたところ、磁気抵抗効果の熱劣化率が30
%以下の試料は全体の60%であった。またこの試料の
MR比の平均は4.5%であった。したがって、磁気抵
抗効果膜の結晶性に注意を払って成膜しても、その後の
パタ−ニングにおけるスパッタエッチング工程で磁気抵
抗効果が劣化する可能性が大きいことが判る。
【0070】以上実施例1、3、4および5そして比較
例1〜2により製造された磁気抵抗効果膜の製造条件お
よび耐熱性評価結果を〔表1〕にまとめて示す。
【0071】
【表1】
【0072】〔実施例6〜10〕本実施例は、前実施例
1〜5で採用したXeに換えてKrを採用した以外は、
いずれも実施例1〜5に準拠して磁気抵抗効果膜を形成
した一連の実施例である。耐熱性の評価結果は、いずれ
もXeによる実施例1〜5とほぼ同等の効果が得られ、
Arを用いた比較例1〜2とは明らかな有意差が見られ
た。
【0073】〔実施例11〕実施例1、3、4および5
そして比較例1〜2により製造された磁気抵抗効果膜中
に含まれる元素を、EDX(エネルギ分散分光法)によ
り分析した。実施例1、3、4および5の磁気抵抗効果
膜のパタ−ン端面からは、Xeが特徴的に検出された。
一方、比較例1〜2により製造されたスピンバルブ膜の
パターン端面からは、Arが検出された。EDXに換え
て、SIMS(2次イオン質量分析法)により分析した
ところ、同様の解析結果が得られた。
【0074】実施例6、8、9および10について同様
の分析をおこなった結果、いずれの試料からもKrが特
徴的に検出された。
【0075】以上、本発明の磁気抵抗効果素子およびそ
の製造方法、ならびに磁気記録再生装置につき詳細な説
明を加えたが、これらは本発明の理解を容易にするため
の例示であり、本発明はこれら実施形態例あるいは実施
例に何ら限定されない。
【0076】例えば磁気抵抗効果素子として、特定材料
および層構成のスピンバルブ膜を例示したが、磁気抵抗
効果を発現する膜であればいかなる膜構成であってもよ
い。またスピンバルブ膜以外の単層構成であってもよ
い。また磁気記録再生装置としてHDD装置を例示した
が、これ以外にもVTR装置あるいは各種磁気センサ
等、高密度信号再生が要求される各種装置に適用可能で
あることは言うまでもない。
【0077】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の磁気抵抗効果素子の製造方法によれば、磁気抵抗効果
膜の結晶性が向上し、耐熱性に優れた磁気抵抗効果素子
を提供することができる。また本発明の磁気抵抗効果素
子によれば、磁気抵抗効果の熱劣化率が小さく、かつM
R比の大きな特性を安定に提供することができる。さら
に本発明の磁気記録再生装置によれば、かかる特性の磁
気抵抗効果素子を再生ヘッドに用いることにより、再生
信号レベルが大きく、信号対ノイズ比の大きな高密度磁
気記録再生装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピンバルブ膜の層構成の一例を示す概略断面
図である。
【図2】磁気抵抗効果型ヘッドの一構成例を示す概略斜
視図である。
【図3】HDD装置の筺体の一部を切りかき、その要部
を示す概略斜視図である。
【図4】磁気ヘッド装置の概略側面図である。
【図5】ECRエッチング装置の概略構成断面図であ
る。
【図6】実施例1の磁気抵抗効果素子の製造工程を示す
概略断面図である。
【図7】実施例1の磁気抵抗効果素子の製造工程を示す
概略断面図であり、図6に続く工程を示す。
【図8】実施例3の磁気抵抗効果素子の製造工程を示す
概略断面図である。
【図9】スピンバルブ膜の磁気抵抗効果の熱劣化率が3
0%以下の試料の残存率(歩留り率)と、スパッタリン
グガス組成との関連を示すグラフである。
【図10】スピンバルブ膜の熱処理前後のMR比変化
と、スパッタリングガス組成との関連を示すグラフであ
る。
【図11】希ガス系列の発光スペクトル波長および強度
を示すグラフである。
【符号の説明】
1…基板、2…下地層、3…フリー層、3a…補助フリ
ー層、4…スペーサ層、5…ピン層、6…反強磁性層、
7…保護層、8…スピンバルブ膜、9…レジストマスク 11…磁気抵抗効果膜、12…電極、13…バイアス電
源、14…出力端子、15…磁気シールド、16…磁気
記録媒体 21…筺体、22…磁気ヘッド装置、23…支持アー
ム、24…アクチュエータ、25…ハードディスク、2
6…磁気ヘッド、27…スライダ 30…ECRエッチング装置、31…プラズマ発生室、
32…マイクロ波導入窓、33,42…ガス導入孔、3
4…ソレノイドコイル、35…プラズマエッチング室、
36…エッチングステージ、37,45…基板、38,
46…排気孔、39…真空ゲートバルブ、40…DCマ
グネトロンスパッタリング装置、41…スパッタリング
室、43…ターゲット、44…成膜ステージ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された磁気抵抗効果膜をパ
    ターニングする工程を含む磁気抵抗効果素子の製造方法
    であって、 前記磁気抵抗効果膜のパターニング工程は、 XeおよびKrのうちの少なくともいずれか一方を含む
    ガスを用いたスパッタエッチング法によりパターニング
    する工程を有することを特徴とする磁気抵抗効果素子の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 基板上に形成された磁気抵抗効果膜をパ
    ターニングする工程と、該磁気抵抗効果膜パターンの両
    端に電極を形成する工程を含む磁気抵抗効果素子の製造
    方法であって、 前記磁気抵抗効果膜のパターニング工程は、 XeおよびKrのうちの少なくともいずれか一方を含む
    ガスを用いたスパッタエッチング法によりパターニング
    する工程を有し、 前記電極の形成工程は、 前記パターニング工程の後、 前記基板を大気に露出することなく、連続的に、Xeお
    よびKrのうちの少なくともいずれか一方を含むガスを
    用いたスパッタリング法により形成する工程を有するこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記スパッタエッチング法は、イオン密
    度が1×1012/cm3 以上のイオン発生源を有するエ
    ッチング装置により施すことを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記磁気抵抗効果膜は、 スピンバルブ磁気抵抗効果膜であることを特徴とする請
    求項1または請求項2記載の磁気抵抗効果素子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の磁気抵抗効果素子の製造
    方法により製造された磁気抵抗効果素子であって、 前記磁気抵抗効果素子内に、XeおよびKrのうちの少
    なくともいずれか一方を含むことを特徴とする磁気抵抗
    効果素子。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の磁気抵抗効果素子の製造
    方法により製造された磁気抵抗効果素子であって、 前記磁気抵抗効果素子内に、XeおよびKrのうちの少
    なくともいずれか一方を含むことを特徴とする磁気抵抗
    効果素子。
  7. 【請求項7】 前記磁気抵抗効果素子は、 スピンバルブ磁気抵抗効果膜を含むことを特徴とする請
    求項5または請求項6記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の磁気抵抗効果素子の製造
    方法により製造された磁気抵抗効果素子を再生ヘッドと
    して有する磁気記録再生装置であって、 前記磁気抵抗効果素子内に、XeおよびKrのうちの少
    なくともいずれか一方を含むことを特徴とする磁気記録
    再生装置。
  9. 【請求項9】 請求項2記載の磁気抵抗効果素子の製造
    方法により製造された磁気抵抗効果素子を再生ヘッドと
    して有する磁気記録再生装置であって、 前記磁気抵抗効果素子内に、XeおよびKrのうちの少
    なくともいずれか一方を含むことを特徴とする磁気記録
    再生装置。
  10. 【請求項10】 前記磁気抵抗効果素子は、 スピンバルブ磁気抵抗効果膜を含むことを特徴とする請
    求項8または請求項9記載の磁気記録再生装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014080782A1 (ja) * 2012-11-20 2014-05-30 キヤノンアネルバ株式会社 磁気抵抗効果素子の製造方法

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WO2014080782A1 (ja) * 2012-11-20 2014-05-30 キヤノンアネルバ株式会社 磁気抵抗効果素子の製造方法
JP6018220B2 (ja) * 2012-11-20 2016-11-02 キヤノンアネルバ株式会社 磁気抵抗効果素子の製造方法
US9640754B2 (en) 2012-11-20 2017-05-02 Canon Anelva Corporation Process for producing magnetoresistive effect element

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