JPH11329814A - ボンド磁石、ボンド磁石の製造方法およびモータ - Google Patents

ボンド磁石、ボンド磁石の製造方法およびモータ

Info

Publication number
JPH11329814A
JPH11329814A JP10135800A JP13580098A JPH11329814A JP H11329814 A JPH11329814 A JP H11329814A JP 10135800 A JP10135800 A JP 10135800A JP 13580098 A JP13580098 A JP 13580098A JP H11329814 A JPH11329814 A JP H11329814A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnet
resin
bonded magnet
bonded
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10135800A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3728924B2 (ja
Inventor
Toshiaki Yamagami
利昭 山上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP13580098A priority Critical patent/JP3728924B2/ja
Publication of JPH11329814A publication Critical patent/JPH11329814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3728924B2 publication Critical patent/JP3728924B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】摺動部を一体化したボンド磁石およびこのよう
なボンド磁石を備えたモータを提供すること。 【解決手段】モータ1Aは、ケーシング2を有し、その
内部には、ボンド磁石4で構成される固定子3と、回転
子5とが収納されている。ボンド磁石4は、永久磁石と
して機能する磁石本体41と、磁石本体41の内周面に
磁石本体41と一体化された樹脂層42とで構成されて
いる。磁石本体41は、磁石粉末を結合樹脂で結合して
なるものであり、樹脂層42は、結合樹脂と同種の樹脂
で構成され、磁石粉末は含まれていない。一方、回転子
5は、ボンド磁石4の外周面に対面するコイル6と、支
持部材7を介してコイル6を支持する回転軸8とを備
え、回転軸8が樹脂層42で構成される軸受け9に挿入
されることにより、固定子3に対し回転可能に支持され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボンド磁石、ボン
ド磁石の製造方法およびボンド磁石を備えたモータに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ボンド磁石は、磁石粉末と結合樹脂(有
機バインダー)との混合物または混練物(コンパウン
ド)を所望の磁石形状に加圧成形して製造されるもので
あるが、その成形方法には、圧縮成形法、射出成形法お
よび押出成形法が利用されている。圧縮成形法による場
合には、結合樹脂として、主にエポキシ樹脂のような熱
硬化性樹脂が用いられ、射出成形法や押出成形法による
場合には、結合樹脂として、主にポリアミドのような熱
可塑性樹脂が用いられている。
【0003】このようなボンド磁石を固定子(ステー
タ)側にしてモータを組み立てる場合、着磁されたリン
グ状(円筒状)のボンド磁石を固定するとともに、その
中心部に回転子(ロータ)の回転軸を支持する軸受けを
別途配置し、該軸受けに回転軸を挿入し、回転子を回転
可能に支持することが行われている。
【0004】しかしながら、このような構成では、ボン
ド磁石と軸受けとがそれぞれ別体であるため、部品点数
が多く、また、両者を位置合わせして固定するための工
程が必要であり、組み立て工程の数が多いという問題が
ある。
【0005】また、ボンド磁石と軸受けとは、それらの
中心が一致するように固定する必要があるが、組み立て
時における位置合わせの精度上、両者の中心がずれるこ
とがあり、モータの性能低下の原因となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術の欠点に鑑みてなされたもので、その目的は、例
えば軸受けを構成するような摺動部を一体化したボンド
磁石およびこのようなボンド磁石を備えたモータを提供
すること、ならびに、このようなボンド磁石を容易に製
造するボンド磁石の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(22)の本発明により達成される。
【0008】(1) 磁石粉末を結合樹脂で結合してな
るボンド磁石において、その表面の少なくとも一部に、
前記磁石粉末を含まない樹脂層を一体的に形成し、該樹
脂層が摺動部として機能するよう構成したことを特徴と
するボンド磁石。
【0009】(2) 前記結合樹脂と前記樹脂層を構成
する樹脂とが同種のものである上記(1)に記載のボン
ド磁石。
【0010】(3) 前記結合樹脂は、低摩擦樹脂であ
る上記(2)に記載のボンド磁石。
【0011】(4) 前記結合樹脂は、ポリブチレンテ
レフタレート(PBT)またはこれを主とする熱可塑性
樹脂で構成されている上記(2)に記載のボンド磁石。
【0012】(5) 前記結合樹脂は、ポリフェニレン
サルファイド(PPS)またはこれを主とする熱可塑性
樹脂で構成されている上記(1)または(2)に記載の
ボンド磁石。
【0013】(6) 前記結合樹脂は、ポリテトラフル
オロエチレンを含む上記(3)ないし(5)のいずれか
に記載のボンド磁石。
【0014】(7) 前記樹脂層は、滑り軸受けとして
機能する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のボ
ンド磁石。
【0015】(8) 前記磁石粉末は、希土類磁石粉末
である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のボン
ド磁石。
【0016】(9) 磁石粉末と結合樹脂とを含む組成
物を用い、射出成形により前記磁石粉末を前記結合樹脂
で結合してなるボンド磁石を製造するボンド磁石の製造
方法であって、成形型の温度を前記結合樹脂の融点以上
の温度とすることにより、ボンド磁石の表面の少なくと
も一部に磁石粉末を含まない樹脂層を一体的に形成する
ことを特徴とするボンド磁石の製造方法。
【0017】(10) 磁石粉末と結合樹脂とを含む組成
物を用い、射出成形により前記磁石粉末を前記結合樹脂
で結合してなるボンド磁石を製造するボンド磁石の製造
方法であって、成形型内に前記磁石粉末を含まない樹脂
を配置した状態で成形型内に前記組成物を注入すること
により、表面の少なくとも一部に磁石粉末を含まない樹
脂層を有するボンド磁石を製造することを特徴とするボ
ンド磁石の製造方法。
【0018】(11) 磁石粉末と結合樹脂とを含む組成
物を用い、押出成形により前記磁石粉末を前記結合樹脂
で結合してなるボンド磁石を製造するボンド磁石の製造
方法であって、前記組成物と、前記磁石粉末を含まない
樹脂との多色成形により、ボンド磁石の表面の少なくと
も一部に磁石粉末を含まない樹脂層を一体的に形成する
ことを特徴とするボンド磁石の製造方法。
【0019】(12) 磁石粉末と結合樹脂とを含む組成
物を用い、圧縮成形により前記磁石粉末を前記結合樹脂
で結合してなるボンド磁石を製造するボンド磁石の製造
方法であって、成形型内に前記磁石粉末を含まない樹脂
を配置した状態で成形型内に前記組成物を充填し、圧縮
成形することにより、表面の少なくとも一部に磁石粉末
を含まない樹脂層を有するボンド磁石を製造することを
特徴とするボンド磁石の製造方法。
【0020】(13) 前記結合樹脂と前記樹脂層を構成
する樹脂とが同種のものである上記(9)ないし(12)
のいずれかに記載のボンド磁石の製造方法。
【0021】(14) 前記結合樹脂は、低摩擦樹脂であ
る上記(13)に記載のボンド磁石の製造方法。
【0022】(15) 前記結合樹脂は、ポリブチレンテ
レフタレート(PBT)またはこれを主とする熱可塑性
樹脂で構成されている上記(13)に記載のボンド磁石の
製造方法。
【0023】(16) 前記結合樹脂は、ポリフェニレン
サルファイド(PPS)またはこれを主とする熱可塑性
樹脂で構成されている上記(13)に記載のボンド磁石の
製造方法。
【0024】(17) 前記結合樹脂は、ポリテトラフル
オロエチレンを含む上記(14)ないし(16)のいずれか
に記載のボンド磁石の製造方法。
【0025】(18) 前記磁石粉末は、希土類磁石粉末
である上記(9)ないし(17)のいずれかに記載のボン
ド磁石の製造方法。
【0026】(19) 前記組成物中に、酸化防止剤が含
まれている上記(9)ないし(18)のいずれかに記載の
ボンド磁石の製造方法。
【0027】(20) 前記組成物中に、潤滑剤が含まれ
ている上記(9)ないし(19)のいずれかに記載のボン
ド磁石の製造方法。
【0028】(21) 上記(1)ないし(8)のいずれ
かに記載のボンド磁石を備える固定子と、前記ボンド磁
石に対面するコイルと、該コイルを支持する回転軸とを
備える回転子とを有し、前記ボンド磁石の樹脂層を軸受
けとして前記回転軸を回転可能に支持してなることを特
徴とするモータ。
【0029】(22) 上記(1)ないし(8)のいずれ
かに記載のボンド磁石を備える永久磁石部と、前記ボン
ド磁石に対面するコイルを備える電磁石部とを有し、前
記ボンド磁石の樹脂層を摺動部として、前記永久磁石部
と前記電磁石部とが相対的に移動するよう構成したこと
を特徴とするモータ。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明のボンド磁石、ボン
ド磁石の製造方法およびモータについて、添付図面を参
照しつつ詳細に説明する。
【0031】図1は、本発明のモータの第1実施形態を
模式的に示す縦断面図である。同図に示すように、モー
タ(コアレスモータ)1Aは、ケーシング2を有し、ケ
ーシング2内には、後述する本発明のボンド磁石4で構
成される固定子(永久磁石部)3が収納されている。こ
の場合、ボンド磁石4は、円筒状をなしている。
【0032】また、ケーシング2内には、回転子(電磁
石部)5が回転可能に収納されている。回転子5は、ボ
ンド磁石4の外周面に対面するコイル6と、支持部材7
を介してコイル6を支持する回転軸8とを備えている。
この回転子5は、回転軸8がボンド磁石4の内周面で囲
まれる空間、すなわち軸受け9に挿入されることによ
り、固定子3に対し回転可能に支持されている。
【0033】ボンド磁石4は、永久磁石として機能する
磁石本体41と、磁石本体41の内周面に磁石本体41
と一体化された樹脂層42とで構成されている。
【0034】ボンド磁石4の磁石本体41は、円周方向
に沿って多極着磁されており、所定の通電回路(図示せ
ず)を介してコイル6へ通電すると、コイル6で発生し
た磁力によりトルクが生じ、回転子5が所定方向に回転
する。
【0035】ボンド磁石4における磁石本体41は、磁
石粉末を結合樹脂で結合してなるものである。
【0036】磁石粉末としては、フェライト、アルニコ
等、いかなるものでもよいが、高い磁気特性を発揮する
ことから、希土類元素を含む希土類磁石粉末が好まし
い。
【0037】希土類磁石粉末としては、希土類元素と遷
移金属とを含む合金よりなるものが好ましく、特に、次
の[1]〜[4]が好ましい。
【0038】[1] Smを主とする希土類元素と、C
oを主とする遷移金属とを基本成分とするもの(以下、
Sm−Co系合金と言う)。
【0039】[2] R(ただし、RはYを含む希土類
元素のうち少なくとも1種)と、Feを主とする遷移金
属と、Bとを基本成分とするもの(以下、R−Fe−B
系合金と言う)。
【0040】[3] Smを主とする希土類元素と、F
eを主とする遷移金属と、Nを主とする格子間元素とを
基本成分とするもの(以下、Sm−Fe−N系合金と言
う)。 [4] 前記[1]〜[3]の組成のもののうち、少な
くとも2種を混合したもの。この場合、混合する各磁石
粉末の利点を併有することができ、より優れた磁気特性
を容易に得ることができる。
【0041】Sm−Co系合金の代表的なものとして
は、SmCo 、(Sm0.42Pr0.58)Co
、Sm(Co0.76Fe0.10Cu0.14
、Sm (Co,Cu,Fe,M)17(M=T
i,Zr,Hf)が挙げられる。
【0042】R−Fe−B系合金の代表的なものとして
は、Nd−Fe−B系合金、Pr−Fe−B系合金、N
d−Pr−Fe−B系合金、これらの希土類元素の一部
をDyやTbなどの重希土類元素で置換したもの、ま
た、Feの一部をCo、Ni等の他の遷移金属で置換し
たもの等が挙げられる。また、これらの合金を水素処理
し、脱水素したものも使用できる。
【0043】Sm−Fe−N系合金の代表的なものとし
ては、Sm Fe17合金を窒化して作製したSm
Fe17 が挙げられる。
【0044】磁石粉末における前記希土類元素として
は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが、また混
合希土として、ミッシュメタルやジジム、さらに前記希
土類元素や混合希土を1種または2種以上含むことがで
きる。また、前記遷移金属としては、Fe、Co、N
i、Cu、V、Ti、Zr、Mo、Hf等が挙げられ、
これらを1種または2種以上含むことができる。また、
磁気特性を向上させるために磁石粉末中には、必要に応
じて、Al、C、Ga、Si、Ag、Au、Pt、Z
n、Sn等を含有することもできる。
【0045】また、磁石粉末の平均粒径は、特に限定さ
れないが、0.5〜500μm 程度が好ましく、1〜1
00μm 程度がより好ましい。また、後述するような少
量の結合樹脂で成形時の良好な成形性、高い密度と高い
磁気性能を得るために、磁石粉末の粒径分布は、ある程
度プロードであることが好ましい。これにより、得られ
たボンド磁石の空孔率を低減することもできる。なお、
前記[4]の場合、混合する磁石粉末の組成毎に、その
平均粒径が異なっていてもよい。
【0046】磁石粉末の製造方法は、特に限定されず、
例えば、溶解・鋳造により合金インゴットを作製し、こ
の合金インゴットを適度な大きさに粉砕し(さらに分級
し)て得られたもの、アモルファス合金を製造するのに
用いる急冷薄帯製造装置で、リボン状の急冷薄帯(微細
な多結晶が集合)を製造し、この薄帯を適度な粒度に粉
砕・分級して得られたもの等、いずれでもよい。
【0047】磁石本体41中の結合樹脂(バインダー)
としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでもよ
いが、製造上の理由から後者が好ましい。
【0048】この結合樹脂としては、低摩擦樹脂、特に
動摩擦係数μが好ましくは0.5以下、より好ましくは
0.3以下の樹脂が好ましい。このような樹脂として
は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブチレ
ンテレフタレート等のポリエステル、ポリアセタール
(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、
芳香族ポリエステル系樹脂等の液晶ポリマー等、または
これを主とする樹脂が挙げられるが、そのなかでも、ポ
リブチレンテレフタレート(PBT)またはポリフェニ
レンサルファイド(PPS)、あるいはこれらを主とす
る熱可塑性樹脂がより好ましい。これにより、ボンド磁
石4に優れた摺動性、耐摩耗性、耐熱性、寸法安定性が
得られる。
【0049】PBTまたはPPSを主とする熱可塑性樹
脂としては、PBTまたはPPSと他の熱可塑性樹脂と
の共重合体、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ等が挙
げられる。この場合、他の熱可塑性樹脂としては、例え
ば、前述の結合樹脂のうちの少なくとも1種、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)のようなPBT以外のポ
リエステル、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン4
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイ
ロン6−66)、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレン
オキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレ
フィン、ポリエーテル等のうちの1種または2種以上が
挙げられる。これらのうちでも、特に、PBTと性質が
近似しているもの、PBTとの相溶性が優れるものが好
ましい。
【0050】このような他の熱可塑性樹脂は、種々の目
的で用いられ、例えば、結合樹脂の融点(軟化点)を調
整するために用いられる。
【0051】特に、結合樹脂の全部または一部を構成す
る樹脂として、または前記他の熱可塑性樹脂として、ポ
リテトラフルオロエチレンを用いると、摩擦係数の低減
に有効であり、さらに耐熱性が向上するという優れた効
果がある。
【0052】このような他の熱可塑性樹脂の含有量は、
PBTまたはPPSの特性を阻害しない程度の量であれ
ば許容され、通常は、結合樹脂中50wt%未満とされ
る。
【0053】磁石本体41における磁石粉末の含有量
は、特に限定されず、ボンド磁石の製造方法にもよる
が、通常、70〜99wt%程度が好ましく、85〜99
wt%程度がより好ましい。磁石粉末の含有量が少なすぎ
ると、ボンド磁石4の磁気特性が低下し、磁石粉末の含
有量が多すぎると、成形性が低下する。
【0054】樹脂層42は、摺動部、すなわち回転軸8
の軸受け(滑り軸受け)9を構成するもので、前記結合
樹脂で例示したものと同様の樹脂で構成することができ
る。この場合、樹脂層42を構成する樹脂は、磁石本体
41中の結合樹脂と同種(特に同一組成)のものである
のが好ましい。この場合、後述するように、磁石本体4
1中の結合樹脂の一部を磁石本体41の表面付近に集積
させ、これを樹脂層42とすることができる。また、樹
脂層42を構成する樹脂と磁石本体41中の結合樹脂と
が同種であれば、樹脂層42と磁石本体41との結合力
が大きく、クラック等の発生も有効に防止できる。
【0055】このようなことから、樹脂層42を構成す
る樹脂は、前述したように、PBTまたはこれを主とす
る熱可塑性樹脂が好ましい。樹脂層42をPBTまたは
これを主とする熱可塑性樹脂で構成した場合には、軸受
け9において、回転軸8の回転により生じる摩擦抵抗が
小さく、軸受け9の耐久性、耐摩耗性に優れるという効
果が得られる。
【0056】この樹脂層42には、磁石粉末は実質的に
含まれていない。磁石粉末を含むと、回転軸8とのかじ
りが生じる等、摺動抵抗が増大し、軸受け9として適さ
なくなる。
【0057】樹脂層42の厚さ(特に軸受け9として機
能する部分の厚さ)は、特に限定されないが、通常、5
μm 以上が好ましく、10μm 〜1mm程度がより好まし
い。樹脂層42の厚さが薄すぎると、軸受け9の耐久性
が低下する。
【0058】なお、図示の例では、樹脂層42と磁石本
体41との境界は明確となっているが、本発明ではこれ
に限らず、樹脂層42と磁石本体41との境界が不明確
であってもよい。すなわち、例えば、樹脂層42と磁石
本体41との境界付近において、磁石粉末の含有率が徐
々に変化しているような構成であってもよい。
【0059】図2は、本発明のモータの第2実施形態を
模式的に示す縦断面図、図3は、図2中の固定子3(ボ
ンド磁石4)の平面図である。これらの図に示すよう
に、モータ1Bは、ケーシング2を有し、ケーシング2
内には、円盤状(リング状)のボンド磁石4で構成され
る固定子(永久磁石部)3が収納されている。
【0060】また、ケーシング2内には、回転子(電磁
石部)5が回転可能に収納されている。回転子5は、ボ
ンド磁石4の一端面に対面するコイル6と、支持部材7
を介してコイル6を支持する回転軸8とを備えている。
この回転子5は、回転軸8がボンド磁石4の樹脂層42
で囲まれる空間、すなわち軸受け9に挿入されることに
より、固定子3に対し回転可能に支持されている。
【0061】本実施形態では、樹脂層42がカップ状に
形成され、その底部に回転軸8の端部が当接して、回転
子3の図2中下方への移動を規制する。
【0062】ボンド磁石4の磁石本体41は、円周方向
に沿って多極着磁されており、所定の通電回路(図示せ
ず)を介してコイル6へ通電すると、コイル6で発生し
た磁力によりトルクが生じ、回転子5が所定方向に回転
する。
【0063】本実施形態におけるボンド磁石4も、前記
と同様に、磁石本体41と、磁石本体41の内周面に磁
石本体41と一体化された樹脂層42とで構成されてい
る。磁石本体41および樹脂層42の構成は、前記第1
実施形態で述べたのと同様である。
【0064】図4は、本発明のモータの第3実施形態を
模式的に示す断面側面図である。同図に示すモータ1C
は、リニアモータであり、永久磁石部10と、永久磁石
部10に対し相対的に移動する電磁石部12とで構成さ
れている。
【0065】永久磁石部10は、ヨーク11と、該ヨー
ク11上に等間隔で配置された板状またはブロック状の
複数のボンド磁石4とで構成されている。
【0066】各ボンド磁石4は、磁石本体41と、磁石
本体41のヨーク11と反対側の面に磁石本体41と一
体化された樹脂層42とで構成されている。磁石本体4
1および樹脂層42の構成は、前記第1実施形態で述べ
たのと同様である。
【0067】この場合、各ボンド磁石4は、交互にその
極性(N・S)が逆となるように配置されている。
【0068】一方、電磁石部12は、各ボンド磁石4の
樹脂層42に対面するコイル6を有している。
【0069】このような永久磁石部10と電磁石部12
とは、ある間隔を保持されつつ対向している。電磁石部
12は、各ボンド磁石4の樹脂層42を摺動部として、
相対的に移動する。この場合、所定の通電回路(図示せ
ず)を介して電磁石部12の各コイル6へ通電される。
この時コイルの極性をセンサ等で位置検出しながら反転
させることで、電磁石部12が例えば図4中の矢印方向
に移動する。また、電磁石部12に作用する荷重が大き
い場合や、電磁石部12に上下動が生じる場合等には、
電磁石部12が樹脂層42と接触しつつ移動(摺動)し
てもよい。この場合には、樹脂層4の優れた摺動性が発
揮される。
【0070】以上のようなボンド磁石4では、樹脂層4
2が磁石本体41に一体化されているため、モータ1A
〜1Cの部品点数を少なくすることができ、モータ1A
〜1Cの組み立ても容易に行うことができる。
【0071】また、従来のように、ボンド磁石と軸受け
(摺動部)とが別体であると、組み立て時においてそれ
らを位置合わせして固定する必要があり、その位置合わ
せの精度上、位置ずれを生じることがあるが、本発明で
は、磁石本体41と樹脂層42とが一体化されているた
め、このような問題が解消され、モータの性能を高く維
持することができる。
【0072】次に、本発明のボンド磁石の製造方法につ
いて、具体的実施例を挙げて説明する。ボンド磁石4
は、次のような種々の方法で製造することができる。
【0073】・第1の製造方法 <1a>ボンド磁石用組成物の調製 上述したような磁石粉末(特に希土類磁石粉末)と結合
樹脂とを含むボンド磁石用組成物(以下単に「組成物」
と言う)を調整する。
【0074】この組成物中には、酸化防止剤が含まれて
いてもよく、また、潤滑剤が含まれていてもよい。
【0075】酸化防止剤は、後述する混練や成形の際等
に、磁石粉末の酸化(劣化、変質)や結合樹脂の酸化
(磁石粉末の金属成分が触媒として働くことにより生じ
る)を防止するために該組成物中に添加される添加剤で
ある。この酸化防止剤の添加は、磁石粉末の酸化を防止
し、磁石の磁気特性の向上を図るのに寄与するととも
に、組成物の混練時、成形時における熱的安定性の向上
に寄与し、少ない結合樹脂量で良好な成形性を確保する
上で重要な役割を果たしている。
【0076】この酸化防止剤は、混練時や成形時等の中
間工程において揮発したり、変質したりするので、製造
されたボンド磁石4中には、その一部が残留した状態で
存在する。
【0077】酸化防止剤としては、磁石粉末等の酸化を
防止または抑制し得るものであればいかなるものでもよ
く、例えば、トコフェロール、アミン系化合物、アミノ
酸系化合物、ニトロカルボン酸類、ヒドラジン化合物、
シアン化合物、硫化物等の、金属イオン、特にFe成分
に対しキレート化合物を生成するキレート化剤が好適に
使用されるが、このなかでも特に、ヒドラジン化合物が
好ましい。
【0078】なお、酸化防止剤の種類、組成等について
は、これらのものに限定されないことは言うまでもな
い。
【0079】組成物中の酸化防止剤の含有量(添加量)
は、0.1〜2.5wt%程度とするのが好ましく、0.
3〜2.0wt%程度とするのがより好ましい。この場
合、酸化防止剤の含有量は、結合樹脂の量に対し10〜
150%程度であるのが好ましく、25〜90%程度で
あるのがより好ましい。
【0080】酸化防止剤の含有量が少な過ぎると、酸化
防止効果が少なく、磁石粉末の含有量が多い場合等に、
磁石粉末等の酸化を十分に抑制することができなくな
る。また、酸化防止剤の含有量が多過ぎると、相対的に
樹脂量が減少し、成形体の機械的強度が低下する傾向を
示す。
【0081】潤滑剤は、組成物の混練時や成形時に材料
の流動性を向上させる機能を有する。従って、潤滑剤を
添加することで、より少ない結合樹脂量で同等の特性を
得ることができ、特に、より低い成形圧で成形すること
を可能とする。
【0082】この潤滑剤は、混練時や成形時等の中間工
程において揮発したり、変質したりするので、製造され
たボンド磁石中には、その一部が残留した状態で存在す
る。
【0083】潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸ま
たはその金属塩、脂肪酸、シリコーンオイル、各種ワッ
クス、脂肪酸が挙げられるが、そのなかでも、特に潤滑
作用に優れることから、ステアリン酸またはその金属塩
が好ましい。ステアリン酸塩としては、例えばステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
【0084】組成物中に潤滑剤を添加する場合、その含
有量(添加量)は、0.01〜1.0wt%程度であるの
が好ましく、0.05〜0.5wt%程度であるのがより
好ましい。
【0085】潤滑剤の含有量が少な過ぎると、潤滑作用
が充分に発揮されず、また、潤滑剤の含有量が多過ぎる
と、成形体の機械的強度が劣り、軸受部の限界PV値
(軸受の耐久性を表わすパラメータ:軸受にかかる単位
面積当りの荷重(Pressure)と、軸の摺動速度(Veroci
ty)との積)が低下する。
【0086】なお、本発明では、酸化防止剤や潤滑剤の
添加量は、それぞれ、前記範囲の下限値以下であっても
よく、また、無添加であってもよいことは、言うまでも
ない。
【0087】また、組成物中には、必要に応じ、例えば
安定化剤、成形助剤等の各種添加剤を添加することもで
きる。
【0088】以上のような各構成成分は、必要に応じ、
例えばヘンシェルミキサーのような混合機や攪拌機を用
いて混合される。
【0089】<2a>混練 前記組成物は、混練に供される。この混練は、例えば単
独のまたは成形機に付属の混練機等を用いて十分になさ
れる。
【0090】混練は、用いる結合樹脂が少なくとも軟化
または溶融する温度で、好ましくは溶融する温度で行わ
れる。結合樹脂が前述したPBTまたはこれを主とする
熱可塑性樹脂の場合、200〜320℃程度が好まし
く、220〜290℃程度がより好ましい。
【0091】このような温度で混練することにより、混
練の効率が向上し、常温で混練する場合に比べてより短
時間で均一に混練することができるとともに、結合樹脂
の粘度が下がった状態で混練されるので、希土類磁石粉
末の周囲を結合樹脂が覆うような状態となり、混練物中
およびそれより製造されたボンド磁石中の空孔率の減少
に寄与する。
【0092】また、混練物(希土類ボンド磁石用組成
物)の平均滞留時間は、1〜30分程度が好ましく、2
〜20分程度がより好ましい。ここで、混練物の平均滞
留時間とは、混練物の混練機内滞留量を平均流速で除し
た値である。この平均滞留時間が短過ぎると、混練不十
分となり、また長過ぎると、混練物の密度が低下し、磁
気特性の向上が得られなくなるとともに、生産性が低下
する。
【0093】混練の雰囲気は、例えば、真空または減圧
状態下(例えば1Pa〜0.1MPa )、あるいは窒素ガ
ス、アルゴンガス等の不活性ガス中のような、非酸化性
雰囲気が好ましい。
【0094】以上のようにして得られた混練物は、常温
付近まで冷却される。
【0095】<3a>ボンド磁石の成形 得られた混練物(組成物)を射出成形機の射出シリンダ
内に入れ、結合樹脂の溶融温度以上の温度に加熱して溶
融し、この溶融物を磁場中(配向磁場が例えば5〜20
kOe 、配向方向は、縦、横、ラジアル方向のいずれも
可)または無磁場中で、射出成形機の金型内に注入す
る。
【0096】結合樹脂が前述したPBTまたはこれを主
とする熱可塑性樹脂の場合、射出シリンダ内の温度は、
例えば230〜320℃程度が好ましく、PPSまたは
これを主とする熱可塑性樹脂の場合は、280〜370
℃程度が好ましい。射出圧力は、例えば200〜150
0kgf/cm 程度が好ましい。このとき、金型の一部、
すなわち、樹脂層42を形成する部分と接触する部分
(以下「高温内壁面」という)の金型温度を、結合樹脂
の融点以上の温度(例えばPBTまたはこれを主とする
樹脂では、230〜320℃程度)とする。これによ
り、溶融した結合樹脂が金型の高温内壁面付近に集積
し、これをそのまま冷却固化することにより樹脂層42
を形成することができる。
【0097】結合樹脂が前述したPBTまたはこれを主
とする樹脂の場合、高温内壁面の金型温度は、230〜
320℃程度とするのが好ましく、250〜300℃程
度とするのがより好ましい。結合樹脂がPPSまたはこ
れを主とする樹脂の場合は、285〜370℃程度とす
るのが好ましく、300〜350℃程度とするのがより
好ましい。
【0098】このようにして射出成形された成形体は、
冷却後、離型され、磁石本体41と樹脂層42とが一体
化された本発明のボンド磁石を得る。
【0099】以上のような第1の製造方法によれば、磁
石の形状に対する自由度が広く、成形性、寸法安定性
(寸法精度)にも優れており、得られたボンド磁石の磁
気性能や機械的強度も高い。また、製造が容易であるこ
と、特に成形サイクルタイムが短いことから、生産性も
高い。
【0100】・第2の製造方法 <1b>ボンド磁石用組成物の調製 前記工程<1a>と同じ。
【0101】<2b>混練 前記工程<2a>と同じ。
【0102】<3b>ボンド磁石への成形 得られた混練物(組成物)を射出成形機の射出シリンダ
内に入れ、結合樹脂の溶融温度以上の温度に加熱して溶
融し、この溶融物を磁場中(配向磁場が例えば5〜20
kOe 、配向方向は、縦、横、ラジアル方向のいずれも
可)または無磁場中で、射出成形機の金型内に注入す
る。
【0103】このとき、金型内の樹脂層42を形成する
部分に対応する部分には、予め、樹脂層42となる樹脂
を挿入、配置しておく。この場合、樹脂層42となる樹
脂の形態としては、樹脂成形体や樹脂粉末等が挙げられ
る。
【0104】結合樹脂が前述したPBTまたはこれを主
とする熱可塑性樹脂の場合、射出シリンダ内の温度や射
出圧力は、前記工程<3a>で述べたのと同様であり、
また、金型温度は、PBTまたはこれを主とする樹脂を
使用する場合は、常温〜100℃程度が好ましく、PP
Sまたはこれを主とする樹脂を使用する場合は、常温〜
150℃程度が好ましい。
【0105】このようにして射出成形された成形体は、
冷却後、離型され、磁石本体41と樹脂層42とが一体
化された本発明のボンド磁石を得る。
【0106】以上のような第2の製造方法によれば、磁
石の形状に対する自由度が広く、成形性、寸法安定性
(寸法精度)にも優れており、得られたボンド磁石の磁
気性能や機械的強度も高い。また、製造が容易であるこ
と、特に成形サイクルタイムが短いことから、生産性も
高い。
【0107】また、第2の製造方法では、樹脂層42を
磁石本体41中の結合樹脂とは異なる組成のものとする
ことができるので、磁石粉末を結合するための結合樹脂
としての特性(性能)と、樹脂層42に要求される優れ
た摺動性(耐久性、耐摩耗性、低摩擦係数等)とを両立
することができる。
【0108】・第3の製造方法 <1c>ボンド磁石用組成物の調製 前記工程<1a>と同じ。
【0109】<2c>混練 前記工程<2a>と同じ。
【0110】<3c>ボンド磁石への成形 得られた混練物(組成物)を2色押出成形機の第1シリ
ンダ内に入れ、結合樹脂の溶融温度以上の温度に加熱し
て溶融し、この溶融物を磁場中(配向磁場が例えば5〜
20kOe 、配向方向は、縦、横、ラジアル方向のいずれ
も可)または無磁場中で、2色押出成形機の外ダイから
押し出す。
【0111】また、これと同時に、樹脂層42を構成す
る樹脂材料を2色押出成形機の第2シリンダ内に入れ、
当該樹脂材料の溶融温度以上の温度に加熱して溶融し、
この溶融物を2色押出成形機の内ダイから押し出す。
【0112】外ダイから押し出される磁石粉末を含む溶
融物と、内ダイから押し出される磁石粉末を含まない溶
融物とは、押し出しの際に結合、一体化し、この状態で
冷却、固化される。このようにして押し出された長尺の
成形体は、所望の長さに切断され、磁石本体41と樹脂
層42とが一体化された本発明のボンド磁石となる。
【0113】結合樹脂が前述したPBTまたはこれを主
とする熱可塑性樹脂の場合、前記第1シリンダ内での材
料温度は、例えば200〜300℃程度が好ましく、前
記第2シリンダ内での材料温度は、例えば200〜30
0℃程度が好ましい。また、押出速度は、0.2〜15
mm/sec程度が好ましい。
【0114】磁石本体41の形状および樹脂層42の形
状は、外ダイおよび内ダイの形状を選択することによ
り、任意の形状とすることができる。従って、この第3
の製造方法によれば、磁石の形状に対する自由度が広
く、そして、成形性、寸法安定性(寸法精度)にも優れ
ており、得られたボンド磁石の磁気性能や機械的強度も
高い。また、製造が容易であること、特に押出速度の設
定等により、高い生産性が得られる。
【0115】また、第3の製造方法では、樹脂層42を
磁石本体41中の結合樹脂とは異なる組成のものとする
ことができるので、磁石粉末を結合するための結合樹脂
としての特性(性能)と、樹脂層42に要求される優れ
た摺動性(耐久性、耐摩耗性、低摩擦係数等)とを両立
することができる。
【0116】・第4の製造方法 <1d>ボンド磁石用組成物の調製前記工程<1a>と
同じ。
【0117】<2d>混練 前記工程<2a>と同じ。
【0118】<3d>造粒 得られた混練物を造粒または整粒し、所定の粒径の粒状
物を製造する。これにより、成形型内への材料の充填を
容易かつ確実に行うことができ、定量性も向上するの
で、得られたボンド磁石の寸法精度が高まる。
【0119】造粒または整粒の方法は、特に限定されな
いが、混練物を粉砕することによりなされるのが好まし
い。この粉砕は、例えば、ボールミル、振動ミル、破砕
機、ジェットミル、ピンミル等を用いて行われる。
【0120】また、造粒は、例えば押出式造粒機のよう
な造粒機を用いて行うこともでき、さらには、造粒機に
よる造粒と、前記粉砕とを組み合わせて行うこともでき
る。
【0121】また、粒状物の粒径の調整は、篩い等を用
いて分級することにより行うことができる。
【0122】粒状物の平均粒径は、10μm 〜3mm程度
であるのが好ましく、20μm 〜0.5mm程度であるの
がより好ましく、50μm 〜0.2mm程度であるのがさ
らに好ましい。粒状物の平均粒径が3mm以上では、特に
成形される磁石の寸法が小さい場合に、すなわち成形金
型のギャップの寸法が小さい場合に、粒状物の金型への
充填量を微妙に調整することが困難となり、定量性が劣
るので、ボンド磁石の寸法精度の向上が図れない。一
方、平均粒径10μm 以下の粒状物は、製造(造粒)が
困難かまたは手間がかかる場合があり、また、平均粒径
が小さ過ぎると、得られたボンド磁石の空孔率が上昇す
る傾向を示す。さらに、粒状物が金型の隙間に入りこ
み、成形体にバリが生じたり、金型の寿命を縮める。
【0123】このような粒状物は、粒径が均一なもので
も、粒径にある程度のバラツキがあるものでもよい。前
者の場合、金型への充填密度が増大し、低空孔率で寸法
精度の高いボンド磁石が得られる。
【0124】<4d>ボンド磁石への成形 上記で得られた粒状物(組成物)を秤量して成形金型内
に充填し、圧縮成形を施す。
【0125】このとき、成形金型内の樹脂層42を形成
する部分に対応する部分には、予め、樹脂層42となる
樹脂を挿入、配置しておく。この場合、樹脂層42とな
る樹脂の形態としては、樹脂成形体や樹脂粉末等が挙げ
られる。
【0126】この圧縮成形は、温間成形とされる。すな
わち、成形金型を加熱する等により、成形時の材料温度
が用いる結合樹脂の軟化温度以上、好ましくは融点以上
の温度となるようにして、圧縮成形を行う。
【0127】結合樹脂が前述したPBTまたはこれを主
とする熱可塑性樹脂の場合、圧縮成形時の材料温度は、
例えば200〜350℃程度が好ましく、225〜30
0℃程度がより好ましい。PPSまたはこれを主とする
樹脂の場合は、例えば250〜400℃程度が好まし
く、285〜350℃程度がより好ましい。これによ
り、金型内での成形材料の流動性が向上し、低い成形圧
で、寸法精度のよい成形をすることができる。すなわ
ち、好ましくは500MPa 以下、より好ましくは350
MPa 以下の成形圧で成形(賦形)することができ、成形
が容易となるとともに、磁石本体41がリング状、平板
状、湾曲板状等の薄肉部を有する形状のものや長尺なも
のでも、良好かつ安定した形状、寸法のものを量産する
ことができる。
【0128】このようにして圧縮成形された成形体は、
冷却後、離型され、磁石本体41と樹脂層42とが一体
化された本発明のボンド磁石を得る。
【0129】以上のような第4の製造方法によれば、成
形性、寸法安定性(寸法精度)にも優れており、特に磁
石本体41中の磁石粉末の含有量の多さや、空孔率の低
さから、磁気性能および機械的強度が高いボンド磁石が
得られる。また、低い成形圧力で成形することもできる
ので、製造が容易であり、製造装置への負担も少ない。
【0130】また、第4の製造方法では、樹脂層42を
磁石本体41中の結合樹脂とは異なる組成のものとする
ことができるので、磁石粉末を結合するための結合樹脂
としての特性(性能)と、樹脂層42に要求される優れ
た摺動性(耐久性、耐摩耗性、低摩擦係数等)とを両立
することができる。
【0131】なお、ボンド磁石4の製造方法は、上記第
1〜第4の製造方法に限定されるものではないことは、
言うまでもない。
【0132】以上のようにして製造された本発明のボン
ド磁石は、次のような優れた特性を有する。
【0133】すなわち、磁石本体41において、空孔率
(磁石本体41中に含まれる空孔が占める割合)は、好
ましくは5 vol%以下、より好ましくは3.5 vol%以
下、さらに好ましくは2.5 vol%以下とすることがで
きる。このように空孔率が低い(=密度が高い)と、ボ
ンド磁石の機械的強度が高く、磁気特性、耐食性に優
れ、また、寸法精度が高く、量産した場合にも寸法のバ
ラツキが少ない。
【0134】また、前記希土類磁石粉末を用いた希土類
ボンド磁石の場合、磁石粉末の組成、磁石粉末の含有量
の多さ等から、等方性磁石であっても、優れた磁気特性
を有する。
【0135】すなわち、無磁場中で成形された希土類ボ
ンド磁石の場合、磁石本体41の磁気エネルギー積(BH)
max が好ましくは4MGOe以上、より好ましくは7MGOe以
上であり、磁場中で成形された希土類ボンド磁石の場
合、磁石本体41の磁気エネルギー積(BH)max が好まし
くは10MGOe以上、より好ましくは12MGOe以上であ
る。
【0136】なお、本発明のボンド磁石の形状、寸法等
は特に限定されず、例えば、形状に関しては、例えば、
円柱状、角柱状、円筒状(リング状)、円弧状、平板
状、湾曲板状、円盤状等のあらゆる形状のものが可能で
あり、その大きさも、大型のものから超小型のものまで
あらゆる大きさのものが可能である。また、ボンド磁石
に一体形成された樹脂層の形状、寸法、形成位置等も、
特に限定されず、任意のものが可能である。本発明のボ
ンド磁石は、モータ以外の用途(例えばソレノイド、吸
着用マグネット)に用いることもできる。
【0137】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、摺
動部を構成する樹脂層と磁石本体とが一体化されている
ため、このボンド磁石を用いてモータ等を組み立てた際
に、部品点数を少なくすることができ、また、組み立て
も容易に行うことができる。
【0138】特に、振動モータ等で用いるコアレスモー
タに適用した場合には、固定子の磁石の内周面に軸受け
としての機能を持たせることができるので、有用性が高
い。
【0139】また、組立時に別体の磁石と軸受けとを位
置合わせして固定する従来技術のように、位置合わせの
際の位置ずれを生じることがなく、よって、モータの性
能を高く維持することができる。
【0140】このようなことから、特に、振動モータ等
で用いるコアレスモータに適用した場合には、固定子の
磁石の内周面に軸受けとしての機能を持たせることがで
き、その形状安定性も高いので、極めて有用性が高い。
【0141】そして、組立精度が高く、永久磁石と電磁
石との間隔を小さくできるので高性能化が図れ、また同
性能のものであれば小型化が図れる。また、片あたりが
ないので軸受けの寿命も長い。
【0142】また、本発明のボンド磁石の製造方法によ
れば、上記効果を備えたボンド磁石を容易に製造するこ
とができる。特に、成形性に優れており、また、空孔率
が低く、高機械的強度で、磁気特性に優れ、しかも、形
状安定性(寸法安定性)、耐食性が優れるボンド磁石を
容易に製造することができる。
【0143】また、圧縮成形により製造する場合、低い
成形圧で、このような特性のボンド磁石を得ることがで
き、製造が容易であるとともに製造装置への負担も少な
い。
【0144】結合樹脂や樹脂層にPBTまたはこれを主
とする熱可塑性樹脂を用いた場合、上記効果に加え、耐
熱性に優れるとともに、摺動部の耐久性、耐摩耗性に優
れ、摩擦抵抗の少ないボンド磁石およびこれを備えたモ
ータ等の装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモータの第1実施形態を示す縦断面図
である。
【図2】本発明のモータの第2実施形態を示す縦断面図
である。
【図3】図2に示すモータにおける固定子の平面図であ
る。
【図4】本発明のモータの第3実施形態を示す断面側面
図である。
【符号の説明】
1A〜1C モータ 2 ケーシング 3 固定子 4 ボンド磁石 41 磁石本体 42 樹脂層 5 回転子 6 コイル 7 支持部材 8 回転軸 9 軸受け 10 永久磁石部 11 ヨーク 12 電磁石部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C22C 38/00 303 H01F 1/04 H

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁石粉末を結合樹脂で結合してなるボン
    ド磁石において、その表面の少なくとも一部に、前記磁
    石粉末を含まない樹脂層を一体的に形成し、該樹脂層が
    摺動部として機能するよう構成したことを特徴とするボ
    ンド磁石。
  2. 【請求項2】 前記結合樹脂と前記樹脂層を構成する樹
    脂とが同種のものである請求項1に記載のボンド磁石。
  3. 【請求項3】 前記結合樹脂は、低摩擦樹脂である請求
    項2に記載のボンド磁石。
  4. 【請求項4】 前記結合樹脂は、ポリブチレンテレフタ
    レート(PBT)またはこれを主とする熱可塑性樹脂で
    構成されている請求項2に記載のボンド磁石。
  5. 【請求項5】 前記結合樹脂は、ポリフェニレンサルフ
    ァイド(PPS)またはこれを主とする熱可塑性樹脂で
    構成されている請求項1または2に記載のボンド磁石。
  6. 【請求項6】 前記結合樹脂は、ポリテトラフルオロエ
    チレンを含む請求項3ないし5のいずれかに記載のボン
    ド磁石。
  7. 【請求項7】 前記樹脂層は、滑り軸受けとして機能す
    る請求項1ないし6のいずれかに記載のボンド磁石。
  8. 【請求項8】 前記磁石粉末は、希土類磁石粉末である
    請求項1ないし7のいずれかに記載のボンド磁石。
  9. 【請求項9】 磁石粉末と結合樹脂とを含む組成物を用
    い、射出成形により前記磁石粉末を前記結合樹脂で結合
    してなるボンド磁石を製造するボンド磁石の製造方法で
    あって、 成形型の温度を前記結合樹脂の融点以上の温度とするこ
    とにより、ボンド磁石の表面の少なくとも一部に磁石粉
    末を含まない樹脂層を一体的に形成することを特徴とす
    るボンド磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 磁石粉末と結合樹脂とを含む組成物を
    用い、射出成形により前記磁石粉末を前記結合樹脂で結
    合してなるボンド磁石を製造するボンド磁石の製造方法
    であって、 成形型内に前記磁石粉末を含まない樹脂を配置した状態
    で成形型内に前記組成物を注入することにより、表面の
    少なくとも一部に磁石粉末を含まない樹脂層を有するボ
    ンド磁石を製造することを特徴とするボンド磁石の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 磁石粉末と結合樹脂とを含む組成物を
    用い、押出成形により前記磁石粉末を前記結合樹脂で結
    合してなるボンド磁石を製造するボンド磁石の製造方法
    であって、 前記組成物と、前記磁石粉末を含まない樹脂との多色成
    形により、ボンド磁石の表面の少なくとも一部に磁石粉
    末を含まない樹脂層を一体的に形成することを特徴とす
    るボンド磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 磁石粉末と結合樹脂とを含む組成物を
    用い、圧縮成形により前記磁石粉末を前記結合樹脂で結
    合してなるボンド磁石を製造するボンド磁石の製造方法
    であって、 成形型内に前記磁石粉末を含まない樹脂を配置した状態
    で成形型内に前記組成物を充填し、圧縮成形することに
    より、表面の少なくとも一部に磁石粉末を含まない樹脂
    層を有するボンド磁石を製造することを特徴とするボン
    ド磁石の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記結合樹脂と前記樹脂層を構成する
    樹脂とが同種のものである請求項9ないし12のいずれ
    かに記載のボンド磁石の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記結合樹脂は、低摩擦樹脂である請
    求項13に記載のボンド磁石の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記結合樹脂は、ポリブチレンテレフ
    タレート(PBT)またはこれを主とする熱可塑性樹脂
    で構成されている請求項13に記載のボンド磁石の製造
    方法。
  16. 【請求項16】 前記結合樹脂は、ポリフェニレンサル
    ファイド(PPS)またはこれを主とする熱可塑性樹脂
    で構成されている請求項13に記載のボンド磁石の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 前記結合樹脂は、ポリテトラフルオロ
    エチレンを含む請求項14ないし16のいずれかに記載
    のボンド磁石の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記磁石粉末は、希土類磁石粉末であ
    る請求項9ないし17のいずれかに記載のボンド磁石の
    製造方法。
  19. 【請求項19】 前記組成物中に、酸化防止剤が含まれ
    ている請求項9ないし18のいずれかに記載のボンド磁
    石の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記組成物中に、潤滑剤が含まれてい
    る請求項9ないし19のいずれかに記載のボンド磁石の
    製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    ボンド磁石を備える固定子と、 前記ボンド磁石に対面するコイルと、該コイルを支持す
    る回転軸とを備える回転子とを有し、 前記ボンド磁石の樹脂層を軸受けとして前記回転軸を回
    転可能に支持してなることを特徴とするモータ。
  22. 【請求項22】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    ボンド磁石を備える永久磁石部と、 前記ボンド磁石に対面するコイルを備える電磁石部とを
    有し、 前記ボンド磁石の樹脂層を摺動部として、前記永久磁石
    部と前記電磁石部とが相対的に移動するよう構成したこ
    とを特徴とするモータ。
JP13580098A 1998-05-18 1998-05-18 ボンド磁石の製造方法 Expired - Fee Related JP3728924B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13580098A JP3728924B2 (ja) 1998-05-18 1998-05-18 ボンド磁石の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13580098A JP3728924B2 (ja) 1998-05-18 1998-05-18 ボンド磁石の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11329814A true JPH11329814A (ja) 1999-11-30
JP3728924B2 JP3728924B2 (ja) 2005-12-21

Family

ID=15160125

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13580098A Expired - Fee Related JP3728924B2 (ja) 1998-05-18 1998-05-18 ボンド磁石の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3728924B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002153000A (ja) * 2000-11-10 2002-05-24 Sankyo Seiki Mfg Co Ltd 永久磁石埋め込み形モータおよびその製造方法
JP2006269937A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Nichia Chem Ind Ltd ボンド磁石
JP2007215301A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Toyota Motor Corp ロータの製造方法
US9003639B2 (en) 2006-02-27 2015-04-14 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method of manufacturing a rotor

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002153000A (ja) * 2000-11-10 2002-05-24 Sankyo Seiki Mfg Co Ltd 永久磁石埋め込み形モータおよびその製造方法
JP2006269937A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Nichia Chem Ind Ltd ボンド磁石
JP2007215301A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Toyota Motor Corp ロータの製造方法
US8020280B2 (en) 2006-02-08 2011-09-20 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Rotor manufacturing method
US9003639B2 (en) 2006-02-27 2015-04-14 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method of manufacturing a rotor

Also Published As

Publication number Publication date
JP3728924B2 (ja) 2005-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ormerod et al. Bonded permanent magnets: current status and future opportunities
KR100435610B1 (ko) 희토류본드자석의제조방법및희토류본드자석
KR100238371B1 (ko) 희토류본드자석, 희토류본드자석용 조성물 및 희토류본드자석의 제조방법
EP0452580B1 (en) A resin bound magnet and its production process
EP0831501B1 (en) Process for producing rare earth bond magnet
KR100363373B1 (ko) 자석 분말 및 등방성 결합된 자석
JP2000348918A (ja) 希土類ボンド磁石、希土類ボンド磁石用組成物および希土類ボンド磁石の製造方法
JP2000036403A (ja) 希土類ボンド磁石用組成物、希土類ボンド磁石および希土類ボンド磁石の製造方法
JP5910467B2 (ja) ボンド磁石用組成物及びそれを用いたボンド磁石
EP1180772B1 (en) Anisotropic magnet and process of producing the same
JP3618648B2 (ja) 異方性磁石とその製造方法およびこれを用いたモータ
JP3728924B2 (ja) ボンド磁石の製造方法
JP2003124012A (ja) 複合磁石、複合磁性材料、および、モータ
EP1150308A2 (en) Magnetic powder and bonded magnet
JP3277933B2 (ja) 磁石粉末、ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石
JPH11283817A (ja) 希土類ボンド磁石および希土類ボンド磁石用組成物
JPH09260170A (ja) 希土類ボンド磁石の製造方法および希土類ボンド磁石用組成物
JP3618647B2 (ja) 異方性磁石とその製造方法およびこれを用いたモータ
JPH09312207A (ja) 希土類ボンド磁石用組成物、希土類ボンド磁石および希土類ボンド磁石の製造方法
JP2008305878A (ja) 磁石材料、その製造方法、及びこれを用いたセンサー用樹脂結合型磁石
JPH1012472A (ja) 希土類ボンド磁石の製造方法
JP3840893B2 (ja) ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石
JP2002343623A (ja) 可撓性シート状磁石成形体及びその製造方法
JP2000269061A (ja) 金属ボンド磁石の製造方法
JPH09232132A (ja) 希土類ボンド磁石、希土類ボンド磁石用組成物および希土類ボンド磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050614

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050913

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050926

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091014

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101014

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101014

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111014

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121014

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121014

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131014

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees