JPH1132743A - エタノール蒸気発生シートとその製造方法および食品の処理方法 - Google Patents

エタノール蒸気発生シートとその製造方法および食品の処理方法

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JPH1132743A
JPH1132743A JP19904497A JP19904497A JPH1132743A JP H1132743 A JPH1132743 A JP H1132743A JP 19904497 A JP19904497 A JP 19904497A JP 19904497 A JP19904497 A JP 19904497A JP H1132743 A JPH1132743 A JP H1132743A
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Japan
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ethanol
absorbing agent
ethanol vapor
liquid absorbing
sheets
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JP19904497A
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English (en)
Inventor
Tetsuhiko Yamaguchi
哲彦 山口
Jiro Morino
二郎 毛利野
Eiji Matsuo
暎二 松尾
Junichi Narita
純一 成田
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Freund Corp
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Freund Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 N−ビニルカルボン酸アミド系吸液剤の特性
を生かしつつ、この吸液剤の流動性に起因する収納体へ
の充填の問題を解消した新規な構成のエタノール蒸気発
生体を提供する。 【解決手段】 少なくとも一方はエタノール蒸気透過性
である2枚の外包シートの間に、エタノールまたはその
水溶液を吸液した下記一般式(I)で表されるN−ビニ
ルカルボン酸アミド系吸液剤粒子が、実質的に均一に挟
持されたことを特徴とするエタノール蒸気発生シート。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−ビニルカルボ
ン酸アミド系吸液剤を用いたエタノール蒸気発生シート
とその製造方法およびこれを用いた食品の保存方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】エタノールに消毒、殺菌作用があること
は古くから知られており、これを利用した食品の保存に
関する技術、すなわち本発明の先行技術としては特公
昭55−2273号公報、特公昭59−30072号
公報、特公昭63−52872号公報に開示されたも
のがある。は本出願人が共同出願人となっているもの
で、ここには吸着物質にエタノールを吸着させた吸着体
を食品とともに食品の包装材内に存在させることによっ
て食品を変質、カビの発生、腐敗から守るようにした食
品保存方法および食品保存用具が開示されている。また
この技術を利用して、二酸化ケイ素微粉末あるいはバー
ミキュライトに重量比で1.5〜1.8倍のエタノール
を吸着させた粉末状の吸着体を、エタノール蒸気透過性
の小袋に充填した食品保存用具が市販されている。
【0003】は本出願人が出願したもので、ここには
液体状のエタノール、またはエタノールで濡れた状態の
粉末等を、エタノールガス透過性のフィルムからなる収
納体に封入した食品保存用具が開示されている。も本
出願人が出願したもので、ここにはエタノール蒸気透過
性のフィルムからなる収納体にゲル状のエタノールを封
入した食品保存用具が開示されている。これらの食品保
存技術は、いずれもエタノールを担持した、あるいはエ
タノールを含有した物質を、エタノール蒸気透過性の収
納体中に封入した、エタノール蒸気発生体を用いること
を主眼としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記に開示されてい
る食品保存用具では、従来より、吸着物質としてカサ比
重が比較的小さくて吸着能が高いものが用いられてお
り、この吸着物質の使用量は、保存しようとする食品に
対して必要なエタノールの量の0.6倍程度(重量比)
必要である。しかしながらこの吸着物質はカサ比重が小
さいために、食品保存用具全体のカサが大きくなってし
まうという欠点があった。これに対してカサ比重が大き
い吸着物質を用いると、吸着能が低下するため使用量が
増え、かえって食品保存用具全体の重量やカサが大きく
なるという不都合が生じる。また粉末状の吸着体を小袋
に充填して小袋をシールする際に、シール部分の内側に
吸着体が付着する、いわゆる粉カミによってシール不良
が生じたり、あるいは小袋が破れた場合には粉末状の吸
着体が飛散して食品に付着するおそれがあった。さらに
粉末状の吸着体は視覚的に食品と間違え易いため誤食の
おそれがあり、人体に無害とはいえ好ましいことではな
かった。
【0005】またに開示されているように、液体状の
エタノールをフィルム袋に封入した場合には、食品保存
用具自身がブヨブヨして取り扱い難く、感触、見た目が
悪いという不都合があった。またフィルム袋のシール不
良や破袋が生じた場合にはエタノールが流出して食品に
付着するといった問題もあった。さらに液体状のエタノ
ールをフィルム袋に分包する作業は極めて困難で、シー
ル不良を生じ易いという不都合もあった。エタノールで
濡れた状態の粉末を用いた場合も、食品保存用具自身が
ブヨブヨした感触となり、シール不良や破袋の際にエタ
ノールが流出するという問題があって好ましくなかっ
た。さらにに開示されている食品保存用具は、エタノ
ールをゲル化するためのゲル化剤が、エタノールの量の
0.2倍程度(重量比)必要であるので、食品保存用具
の小型化、軽量化の点で不満があった。
【0006】これらの課題を解決するため、本発明者ら
は特願平8−10439において、下記一般式(I)で
表される繰り返し単位を含むN−ビニルカルボン酸アミ
ド系吸液剤に、エタノールまたはその水溶液を吸液せし
めてなる鮮度保持剤を、少なくとも一部がエタノールガ
スを透過する材料からなる収納体内に収納してなること
を特徴とする食品保存用具を提案した。
【化2】
【0007】この食品保存用具もまた、エタノール蒸気
発生体であって、前記〜の食品保存用具と同様、発
生したエタノール蒸気によって食品の鮮度保持を可能に
するものであるが、さらに前記〜の食品保存用具に
比べて、吸液剤として吸液能力が大きいN−ビニルカル
ボン酸アミド系吸液剤を用いているため、収納体中に封
入すべきエタノールの量に対する吸液剤の量が、従来用
いられていた担持体やゲル形成物質に比して格段に少量
ですむため、食品保存用具の軽量化、小型化が達成され
る。またエタノールやその水溶液を吸液したときの形状
が、視覚的に食品と間違え難く誤食のおそれが小さい。
また鮮度保持剤が流動し難いので、万一収納体が破損し
た場合に鮮度保持剤が漏洩して食品に付着するおそれが
小さく、さらに、エタノールが放散した後の鮮度保持剤
は、N−ビニルカルボン酸アミド系吸液剤が皮膜状とな
って収納体の内面に付着した状態となるので、視覚的に
食品と間違え難く、食品保存用具使用後における誤食の
おそれも極めて小さいものであった。
【0008】しかしながら、この食品保存用具にあって
は、吸液剤に吸液させるとその流動性が低下するので、
吸液後の吸液剤を収納体に充填する場合、充填速度が極
度に遅く、また定量供給が困難で、充填量のバラツキが
大きくなる。この不都合を避けるため、前記吸液剤を予
め袋状の収納体に充填した後エタノールを注入する方法
も考えられるが、吸液前の吸液剤の流動性は、吸液後よ
りは良好であるものの、満足しうる程度ではない。本発
明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、N−ビニ
ルカルボン酸アミド系吸液剤の特性を生かしつつ、上記
吸液剤の流動性に起因する収納体への充填の問題を解消
した新規な構成のエタノール蒸気発生体を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のエタノール蒸気
発生シートは、少なくとも一方はエタノール蒸気透過性
である2枚の外包シートの間に、エタノールまたはその
水溶液を吸液した下記一般式(I)で表されるN−ビニ
ルカルボン酸アミド系吸液剤粒子が、実質的に均一に挟
持されたことを特徴としている。
【化3】 前記外包シートの間隙に、前記吸液剤粒子の移動を妨げ
る移動防止手段を設けられてもよい。前記移動防止手段
として、外包シートの間隙が前記吸液剤粒子の通過を阻
む間隔に狭められた狭隘部、あるいは外包シートが融
着、縫合、接着のいずれかの方法で互いに付着された隔
壁部を備え、これら狭隘部あるいは隔壁部が外包シート
内面の少なくとも一部に形成されていてもよい。前記狭
隘部あるいは隔壁部が、前記2枚のシートの少なくとも
周縁部以外の全面にわたって実質的に均一な模様として
形成されていてもよい。前記移動防止手段を、前記吸液
剤粒子が前記外包シートのうちの少なくとも一方に接着
保持されている接着粒子としてもよい。前記2枚の外包
シートの周縁部が封止されていてもよい。前記吸液剤粒
子を挟持する外包シートの間に脱酸素剤も挟持されてい
る構成としてもよい。本発明のエタノール蒸気発生シー
トの製造方法は、少なくとも一方はエタノール蒸気透過
性である2枚の外包シートの間に、N−ビニルカルボン
酸系吸液剤粒子を実質的に均一に挟持せしめ、挟持され
た吸液剤粒子に、エタノールまたはその水溶液を吸液さ
せることを特徴としている。本発明の食品の処理方法
は、エタノール蒸気保持性の容器中に食品および上記構
成のエタノール蒸気発生シートを収容することを特徴と
している。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、少なくとも一方はエタ
ノール蒸気透過性の2枚のシートの間にエタノールまた
はその水溶液を吸液させたN−ビニルカルボン酸アミド
系吸液剤の粒子を実質的に均一に挟持させたものであっ
て、徐々にエタノール蒸気を放散するものである。本発
明に用いられるエタノール水溶液の濃度は、高い方がエ
タノール蒸気の放散が速いので好ましいが、製造や保管
上の安全性も考慮して適宜設定すべきである。通常はエ
タノール20重量%以上が好ましいが、本発明シートを
菓子や加工食品等の鮮度保持剤として用いる場合は40
重量%以上が好ましく、50重量%以上とするのがより
好ましい。
【0011】本発明で用いられるN−ビニルカルボン酸
アミド系吸液剤は、上記一般式(I)で表される繰り返し
単位を含むもので、N−ビニルカルボン酸アミドの単独
重合体架橋物、またはN−ビニルカルボン酸アミドと共
重合可能な他の単量体との共重合体架橋物である。
【0012】本発明で用いられるN−ビニルカルボン酸
アミドとしては、N−ビニルアセトアミド、N−メチル
−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、
N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロ
リドン等が挙げられ、この中で特に高濃度のエタノール
水溶液との親和性が高いN−ビニルアセトアミド、N−
メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリド
ンが好ましい。
【0013】これらN−ビニルカルボン酸アミドと共重
合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸(アクリ
ル酸またはメタアクリル酸を意味する、以下同じ)およ
びそのナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム
等の塩、そのメチルエステル、エチルエステル等のアル
キルエステル、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシ
プロピルエステル等のヒドロキシアルキルエステル、そ
のジメチルアミノエチルエステル等の低級アルキルアミ
ノ基で置換されたアルキルエステル、そのトリメチルア
ンモニオエチルエステルハライド等の第4級アンモニウ
ム基で置換された低級アルキルエステル、そのアミドで
ある(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル−(メ
タ)アクリルアミド、そのジメチルアミノエチルアミ
ド、ジメチルアミノプロピルアミド等のアルキルアミノ
基で置換されたアミド、そのトリメチルアンモニオプロ
ピルアミドハライド等の第4級アンモニウム基で置換さ
れたアルキルアミド、そのスルフォメチルアミド、スル
フォエチルアミド、直鎖もしくは分岐したスルフォプロ
ピルアミド、スルフォブチルアミドおよびそれらのナト
リウム、カリウム、リチウム、アンモニウム等の塩等の
スルフォン酸またはその塩で置換されたアルキルアミ
ド、(メタ)アクリロニトリル、メチルビニルエーテル
等のビニルエーテル、メチルビニルケトン、エチルビニ
ルケトン等のビニルケトン、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等の低級カルボン酸ビニル、アリルスルフォン酸
およびそのナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニ
ウム等の塩、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、お
よびそれらのナトリウム、カリウム、リチウム、アンモ
ニウム等の塩、ビニルスルフォン酸およびナトリウム、
カリウム、リチウム、アンモニウム等の塩など様々なも
のが挙げられるが、ここに例示した以外の単量体を共重
合することも、もちろん可能である。
【0014】これらの中で、比較的安価で入手し易い単
量体で、しかも高濃度のエタノール水溶液を高度に吸液
できるN−ビニルカルボン酸アミド系吸液剤を得るため
には、(メタ)アクリル酸(塩)((メタ)アクリル酸
またはその塩を意味する、以下同じ)、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルフォン酸(塩)、ビニル
スルフォン酸(塩)、マレイン酸(塩)、イタコン酸
(塩)等が、特に好ましい。またこれらの単量体は2種
類以上を同時に用いることが可能であることは言うまで
もない。N−ビニルカルボン酸アミドと、これと共重合
可能な単量体との比率は、重量比で100:0〜50:
50が好ましく、これより共重合可能な単量体の比率が
高いと、高濃度のエタノール水溶液に対する吸液能力が
低下するので好ましくない。
【0015】本発明で用いられるN−ビニルカルボン酸
アミド系吸液剤は、適宜の方法で架橋されていることが
必要である。架橋されることによりN−ビニルカルボン
酸アミド系吸液剤は不溶化され、エタノールまたはその
水溶液を吸液した後は流動しない状態に保持される。し
たがって、エタノールまたはその水溶液を吸液させた鮮
度保持剤をシートに挟持させる際の作業性が向上し、ま
たシートが破損した場合には鮮度保持剤が漏洩しにくく
なる等の利点が得られる。
【0016】架橋する方法としては、前記単量体(の混
合物)にさらに1分子内に重合性の不飽和基を2個以上
有する化合物および/またはN−ビニルカルボン酸アミ
ドと共重合可能な他の単量体中の官能基と反応して化学
結合を生成し得る化合物(これらを架橋剤という)を添
加し、単量体の重合と共に架橋する方法、未架橋である
架橋物前駆体重合体をあらかじめ製造し、これを前記後
者の架橋剤や放射線、過酸化物等で架橋する方法など様
々な方法がある。安価に製造でき、また、食品鮮度保持
剤の用途に適した吸液剤を製造するためには、単量体の
重合と共に架橋する方法がより好ましい。
【0017】上記1分子内に重合性不飽和基を2個以上
有する架橋剤としては、テトラアリルオキシエタン、ペ
ンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリ
スリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパ
ントリアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリ
ルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、単
糖類、二糖類、多糖類、セルロースなどの水酸基を1分
子内に2個以上有する化合物から誘導されるポリアリル
エーテル、クエン酸トリアリル、シュウ酸ジアリル、コ
ハク酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、マレイン酸ジア
リル、フマル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソ
フタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、1分子内にカル
ボキシル基を2個以上有する化合物から誘導されるポリ
アリルエステル、ジアリルアミン、トリアリルイソシア
ヌレート、トリアリルシアヌレートなどの1分子内にア
リル基を2個以上有する化合物、シュウ酸ジビニル、マ
ロン酸ジビニル、コハク酸ジビニル、グルタル酸ジビニ
ル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、マレイ
ン酸ジビニル、フマル酸ビジニル、クエン酸トリビニ
ル、トリメリット酸トリビニル、ピロメリット酸テトラ
ビニルなどの1分子内にビニルエステル構造を2個以上
有する化合物、N,N’−ブチレンビス(N−ビニルア
セトアミド)、N,N’−ジアセチル−N,N’−ジビ
ニル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどの
ビス(N−ビニルカルボン酸アミド)化合物、N,N’
−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート等の、複数個のアクリルアミド構造や(メタ)ア
クリル基を有する化合物、ジビニルベンゼン、ジビニル
エーテル、(メタ)アクリル酸アリル等の、あらゆる公
知の架橋剤が使用可能である。また、これらの架橋剤は
一種または二種以上用いることもできる。
【0018】上記他の単量体中の官能基と反応して化学
結合を生成し得る架橋剤としては、その単量体の官能基
に応じて、ポリグリシジルエーテル、ポリイソシアネー
ト、ポリアミン、ポリオール、ポリカルボン酸など様々
なものがあるが、この中で特に好ましいものはポリグリ
シジルエーテルである。本発明で用いられるポリグリシ
ジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、1,1−ビス(4−グリシジルオキシフェ
ニル)エタン、ソルビト−ルポリグリシジルエーテル、
ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロール
ポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグ
リシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロ
キシエチル)イソシアネート、トリメチロールプロパン
ポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグ
リシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシ
ジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、アリ
ルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジル
エーテル、アジピン酸ジグリシジルエーテル等が挙げら
れるがその他の化合物も、もちろん使用可能である。
【0019】これらの1分子内に重合性不飽和基を2個
以上有する架橋剤および他の単量体中の官能基と反応し
て化学結合を生成し得る架橋剤は単独であるいは両者を
併用して使用することができ、重合性不飽和結合を1分
子中に2個以上有する架橋剤を同時に数種類使用するこ
とや、他の単量体中の官能基と反応して化学結合を生成
し得る架橋剤を同時に数種類使用することも可能であ
る。これらの架橋剤の使用量は通常全単量体を基準とし
て、単量体:架橋剤の比が重量比で90:10〜99.
999:0.001の範囲にあり、より好ましくは9
5:5〜99.9:0.1の範囲である。上記の範囲よ
りも架橋剤使用量が多すぎると高濃度のエタノール水溶
液を吸液する能力(吸液倍率)が低下するため、エタノ
ールまたはその水溶液に対する吸液剤の添加量が多くな
り経済的に好ましくない。また、架橋剤使用量が上記の
範囲よりも少なすぎると該吸液剤の吸液能力(吸液倍
率)は向上するものの、得られる吸液剤のゲル強度が過
度に低下するため吸液後に流動性が出てきてしまって鮮
度保持剤のシートが破損した時に漏洩防止が困難とな
る。
【0020】本発明で使用されるN−ビニルカルボン酸
アミド系吸液剤の製造(重合)プロセスについては必ず
しも制限はないが、通常は一般的な水溶液重合法、逆相
懸濁重合法、逆相乳化重合法等の方法によることが望ま
しい。例えば、水溶液重合法としては、水または水と均
一に混合可能なエタノール、テトラヒドロフラン、アセ
トンなど親水性有機溶媒との混合溶媒中に、単量体成分
および架橋剤を均一に溶解し、真空脱気あるいは窒素、
炭素ガス等の不活性ガスによる置換等により系内の溶存
酸素を除去した後、重合開始剤を添加して共重合させ
る。重合開始温度は通常−10〜60℃程度であり、重
合時間は0.5〜20時間程度である。また、光重合プ
ロセスを採用する場合には、高圧水銀ランプ等の光源を
用いて重合系に光照射を行い、重合を実施すればよい。
【0021】上記重合開始剤としては、重合溶媒中に均
一に溶解する過酸化物、有機、無機過酸もしくはその
塩、アゾビス系化合物の単独あるいは還元剤との組み合
わせによるレドックス系のものが用いられ、それらの代
表的な例としては、t−ブチルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)
二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2
−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、過硫
酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過硫
酸塩とトリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第
3級アミンとの組み合わせ等、また、あらゆる公知の光
重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤の使用量は、
全単量体を基準として0.0001〜5重量%が好まし
く、特に好ましくは0.001〜1重量%の範囲であ
る。重合開始剤の使用量が5重量%よりも多いときは架
橋重合体の主鎖の分子量が上がらず、溶媒に可溶なポリ
マーを生じることがあるため好ましくない。また、0.
0001重量%よりも少ないときは、重合反応の反応率
が上がらず、残留モノマーの量が増加するという難点が
ある。
【0022】このような重合により得られる反応生成物
は反応に使用した溶媒を含むゲル状であり、通常は回転
式カッター等で裁断し、必要なら親水性有機溶媒等で不
純物の除去を行い、更に、加熱、減圧等の方法により溶
媒を除去して乾燥、その後必要ならば粉砕分級して粒径
数μm〜3mm程度の粉末とする。本発明に使用される
N−ビニルカルボン酸アミド系吸液剤は、高濃度のエタ
ノールを含有する水溶液を高度に吸液することができ
る。その吸液倍率は、水溶液中のエタノールの濃度、N
−ビルニカルボン酸アミドの種類、N−ビニルカルボン
酸アミドと共重合した単量体の種類、比率、さらに架橋
剤の種類、添加量により大きく変化するため一概には言
えないが、概ね自重の10〜1000倍程度である。
尚、ここで言う吸液倍率とは、例えば、該吸液剤0.2
0gをエタノールまたはその水溶液1リットル中に投入
して充分吸液させた後、200メッシュの金網で作製し
た箱にて吸液した吸液剤をろ過し、次式により算出され
るものである。 吸液倍率=(吸液した吸液剤の重量/0.20)−1.
【0023】参考までに、現在種々の高分子吸水剤、例
えば、ポリアクリル酸塩系吸水剤、ビニルアルコール/
アクリル酸塩共重合体系吸水剤、変性ビニルアルコール
系吸水剤、スルフォアルキルメタクリレート系吸水剤、
でんぷん/アクリル酸塩グラフト系吸水剤、イソブチレ
ン/マレイン酸塩系吸水剤など様々なものが市販されて
いるが、これらは低濃度のエタノール含有水溶液は比較
的よく吸水できるものの、本発明で使用されるような高
濃度のエタノール水溶液については、たかだか自重の数
倍程度吸液できるに過ぎないか、あるいはほとんど吸液
することができず、経済性、商品価値を考慮すれば実質
的に使用することはできない。
【0024】前記吸液剤粒子に対するエタノールまたは
その水溶液の吸液量は、吸液剤1重量部に対してエタノ
ールまたはその水溶液10〜1000重量部とし、吸液
剤の挟持量は10〜150g/m2 とするのがよい。
【0025】本発明において、外包シートとして用いら
れるエタノール蒸気を透過する材料(以下、エタノール
蒸気透過性材料という)とは、エタノール蒸気透過度が
20g/m2 ・24hr(50%RH・40℃)以上の
材料である。ここで、本発明におけるエタノール蒸気透
過度とは、温度40℃、相対湿度50%の環境下で24
時間の間にその材料1m2 当たりを通過するエタノール
蒸気の量(g)で示されるもので、その値は、95度局
方エタノールを使用して、一般に樹脂のフィルムの水蒸
気透過量の測定に使用されるJISZ−0208に準じ
て測定される。このような材料としては、紙、不織布、
有孔プラスチックフィルム、微多孔膜等の、孔や間隙の
あるシート状物、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体(EVAL)、ポリビニルアルコ
ール、アイオノマー、ナイロン、三酢酸セルロース等の
無孔フィルム、あるいはこれらをラミネートしたものな
どが用いられ、挟持した前記吸液剤粒子が通過漏出しな
いものであればよく、必要に応じて耐水、耐油処理、印
刷等を施してもよい。
【0026】あるいは2枚の外包シートの内、一方をエ
タノール蒸気不透過性とすることもできる。この場合、
挟持した前記吸液剤粒子が通過漏出しないようなシート
であればよく、その材質は特に限定されない。前記吸液
剤に吸液せしめるエタノールまたはその水溶液として
は、無水エタノール、あるいは80重量%未満の水を含
んだ含水エタノールが用いられる。水分含量が80重量
%以上、特に食品鮮度保持剤の場合60重量%以上で
は、エタノールの蒸発速度、および本発明のシートと平
衡状態にある密閉空間内のエタノール蒸気濃度が低下
し、エタノール蒸気発生体としての機能が充分発揮され
ないことがある。
【0027】本発明のエタノール蒸気発生シートは、使
用前に、目的に応じたサイズ(1cm2以上、通常3〜
4cm2 程度以上)の小片に切断して用いられる。この
切断後の各小片が、エタノール蒸気発生体として機能す
るためには、エタノール蒸気発生シートを最小で上記面
積に裁断した状態で、前記吸液剤の含有量が略一定であ
ることを要する。このためには、この吸液剤の粒子を裁
断前のエタノール蒸気発生シート間にできるだけ均一に
挟持させることが必要となるが、本発明において用いら
れる吸液剤は粒子状であって、かつ架橋ポリマーである
ため溶解あるいは溶融して他の形状とすることは困難で
あり、エタノールを吸液して膨潤しても粒子状を保って
いるので、外包シートの間に粒子状で均一化することが
必要となる。こうした要請から、本発明において、「吸
液剤粒子が、実質的に均一に挟持され」るとは、このシ
ートをエタノール蒸気発生体として使用する際の実用上
最小の面積(1cm2 程度)に裁断したときに、前記粒
子の含有量が略一定であることを意味する。
【0028】このように吸液剤粒子を実質的に均一に挟
持させるためには、2枚の外包シートにより、吸液剤粒
子を外包シート間で移動しないように緊密に圧着挟持さ
せておき、これにより使用すべき大きさに裁断するまで
の間に吸液剤粒子が移動して偏在化するのを防止すれば
よい。しかしながら、実質的に均一な分布をより確実に
保つためには、粒子の移動防止手段が具備されているこ
とが望ましい。移動防止手段の一つの方法としては、前
記2枚の外包シートが、少なくとも部分的に前記粒子が
通過しない間隔に保持されているようにする方法であ
り、この場合、2枚の外包シート間隔が狭隘化した狭隘
部としても、またこの間隔が零、即ち2枚の外包シート
が付着してなる隔壁部としてもよく、両者を適宜組み合
わせてもよい。狭隘部を形成するためにはエンボス加工
などが例示され、また隔壁部を形成するには、2枚のシ
ートをキルティング状に、融着、接着あるいは縫合する
方法などが例示される。
【0029】この狭溢部あるいは隔壁部は、2枚の外包
シートの少なくとも周縁部以外の区域全面にわたって形
成されているようにするのが効果的である。さらに狭隘
部あるいは隔壁部は、外観上、実質的に均一な模様とし
て認められるように形成することもできる。この場合の
模様としては、直線や曲線による縞模様、格子、篭目、
などの連続模様でも、点状、円、多角形、十字形などの
小図形が規則的または不規則的に分布した不連続模様で
もよく、要は前記粒子の移動が妨げられるようになって
いればよい。
【0030】移動防止手段としては、前記吸液剤粒子を
前記2枚の外包シートの少なくとも一方に接着保持され
ているように構成することもできる。このようにするに
は、少なくとも一方の外包シート自体、または外包シー
トの内面を熱溶融性の樹脂から形成し、加熱圧着する方
法、外包シートの内面に粘着剤あるいは接着剤を塗布す
る方法、粒子と接着剤を混合して外包シート間に供給す
る方法などがある。いずれの方法によるとしても、粒子
は全体が接着剤や樹脂で覆われてしまっては、エタノー
ルの吸液・放出等に支障を生ずる場合があるので、粒子
表面の一部のみが接着保持されていることが好ましい。
前記2種類の移動防止手段は、併用しても差支えなく、
むしろ併用することにより一層確実に目的を達成しうる
ことが多い。前記2枚の外包シートの剥離を防止し、ま
たシートの切り口から前記粒子が漏出することを防止す
るため、使用形状に裁断したシートの周縁部をヒートシ
ールあるいは接着などの手段によって封止するとよい。
【0031】本発明のエタノール蒸気発生シートには、
前記N−ビニルカルボン酸アミド系吸液剤にエタノール
またはその水溶液を吸液せしめた粒子以外の物質を共存
させて挟持してもよい。例えば、上記ポリマー以外の高
吸水ポリマーや、二酸化ケイ素、バーミキュライトなど
のエタノール担持体、鉄粉と食塩等の酸化促進剤から成
る脱酸素剤、ポリアリルアミンや陰イオン交換樹脂など
のアルデヒド吸着剤、エチレン吸収剤、エチレン発生
剤、香料などが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。特に食品鮮度保持の目的では脱酸素剤を併用
するとよいことがある。上記脱酸素剤、アルデヒド吸着
剤、エチレン吸収剤、エチレン発生剤、香料などを共存
させるとき、これらの物質を吸液剤と混合した混合物と
してから外包シート間に挟持させて、(外包シート/吸
液剤+共存物質/外包シート)なる構造の積層シートと
してもよいし、あるいはこれらの共存物質を吸液剤と別
個の層をとして挟持させてもよい。この場合、吸液剤層
と共存物質層の間に、シートなどを介在させて、(外包
シート/吸液剤層/介在シート/共存物質層/外包シー
ト)なる構造の積層シートとしてもよい。本発明のエタ
ノール蒸気発生シートの大きさは任意に設定でき、用途
に応じて適宜選択しうるが、一辺1cm程度から40c
m程度の正方形または長方形とするのが普通である。
【0032】次に本発明のエタノール蒸気発生シートの
製造方法の一例について、図面を参照して説明する。本
発明のエタノール蒸気発生シートを製造するには、図1
に示すように、まず2枚の外包シートA、Bを用意し、
そのうちの一方の外包シートA上に、吸液剤粒子をなる
べく均一となるように散布する。この吸液剤粒子は、そ
のままでも、あるいはこれにエタノールまたはその水溶
液を吸液せしめたものでもよいが、吸液剤粒子は、エタ
ノール等を吸液すると流動性が劣化するので、図1に示
すように吸液前の粒子を外包シート間に挟持させ、挟持
後に吸液させる方が工業的製造の場合には好ましい。
【0033】ついで、粒子散布面に他方の外包シートB
を重ねて、外包シートA,Bを熱圧着するが、好ましく
は、この熱圧着と同時あるいはその前後に、移動防止手
段を設ける。図1は、適当な間隔で凸部と凹部が形成さ
れた一対のエンボスロールの間に、加温加圧状態で、粒
子を挟持した外包シートを通して、上下の外包シートを
エンボス加工により部分的に接着するための装置を示し
ている。こうしてエンボス加工を施したシートに必要に
応じてさらなる移動防止手段を施してもよい(図示せ
ず)。次いで、切断したときにその切り口から吸液剤粉
末が漏れないように、切断形状にあわせて、切断部およ
びその周縁部となる部分をヒートシールロールにより熱
圧着し、この熱圧着部分に縦カッターの刃を合わせて、
一方向に切断し、テープ状体とする。
【0034】ついで、吸液剤粒子を吸液せずに挟持させ
た場合は、熱圧着後に、吸液剤にエタノールまたはその
水溶液を吸液させる。吸液の方法としては、シートをエ
タノールまたはその水溶液中に浸漬する方法、噴霧する
方法、圧入する方法などがある。また、必要に応じて、
エタノールまたはその水溶液を過剰に吸液させた後、余
分の液を圧搾、吸引、遠心等の手段で除去することもで
きる。図1には、エタノールあるいは含水エタノール中
にシートを浸漬し、過剰なエタノールをロール圧搾する
方法を示している。最後に吸液したテープ状体のヒート
シール部分に横カッターの刃を合わせて裁断して、使用
サイズのエタノール蒸気発生シート小片を得る。上述し
たように、本発明の外包シートには、脱酸素剤なども挟
持させることができ、これらは上記吸液剤と混合して挟
持させることもできるが、いったん吸液剤を挟持させた
(外包シートA/吸液剤/介在シート)の構造を有する
積層シートとし、さらにこの介在シートと外包シートB
との間に脱酸素剤などを挟持させて目的のエタノール蒸
気発生シートを得ることができる。
【0035】図2、図3は、吸液剤に加えて脱酸素剤粉
末も挟持させた外包シートの製造方法の一例を説明する
ための図であって、図2に示す工程は、2枚の外包シー
トA,介在シートに吸液剤を挟持させて、エンボスロー
ルにより移動防止手段を形成するまでの工程を示してお
り、図3に示す工程は、図2の工程で得られた(外包シ
ートA/吸液剤/介在シート)の構造を有する積層シー
トと外包シートBとの間に脱酸素剤を挟持させた後、吸
液処理を行うものである。図2において、エンボスロー
ル処理までは図1に示す工程と同様であって、エンボス
ロール処理後(外包シートA/吸液剤/介在シート)の
構造を有するシートを一旦半製品として介在シートを外
側にして巻きとる。
【0036】次に図3の工程に移る。添加する脱酸素剤
粉末を、図2で得られたエンボス処理済みの(外包シー
トA/吸液剤/介在シート)の積層シートと外包シート
Bの間に挟むようにして、ヒートシールする。必要に応
じて応じてさらなる移動防止手段を施してもよい(図示
せず)。次いで、切断したときにその切り口から吸液剤
粉末が漏れないように、切断部分とその周縁部となる部
分を格子状にヒートシールロールにより熱圧着し、この
熱圧着部分に縦カッターの刃を合わせて、一方向に切断
し、テープ状体とする。以下、図1下段に示した工程と
同様にして、エタノールまたはその水溶液を吸液させ、
横カッターで切断して目的のサイズのエタノール蒸気発
生シート小片を得る。
【0037】本発明のエタノール蒸気発生シートは、こ
れと食品とをエタノール蒸気保持性の容器中に収容する
ことにより食品を処理するのに用いられ、なかでも、特
にパン、菓子、加工食品、乾物、穀物などの鮮度保持、
柿の脱渋、青果物の甘味増などの処理に好適に用いられ
る。本発明のエタノール蒸気発生シートを用いて食品処
理を行う場合、エタノール蒸気保持性の容器は、処理の
目的により適宜選択すべきである。食品の防カビ、防腐
剤等を目的とするときには、例えばエタノール蒸気透過
度が10g/m2・24h(50%RH、40℃)より小
さい材料、好ましくはこれが5g/m2・24h (50
%RH、40℃)以下の材料で構成するのがよい。他
方、柿の脱渋等、青果物の脱渋や甘味増などを目的とす
るときは、これほど密閉性を要せず、例えば適宜穿孔し
て、袋内がむれないようにしつつ、エタノール蒸気が直
ちに逸散消失せず、保持できるポリエチレン袋に本発明
エタノール蒸気発生シートと渋柿とを収容するのがよ
い。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳しく説明す
る。 (実施例1)レーヨン不織布(100g/m2 )/ポリ
エチレンホットメルトフィルム(20μm)/薄葉紙
(16g/m2 )のラミネートフィルム上にNVAポリ
マー吸液剤粉末NA010(昭和電工(株)製)を25
g/m2 の割合で均一に散布し、耐油紙(45g/m
2 )を重ねて27mm×27mm角に裁断してヒートシ
ールし、無水エタノール0.6gを吸液させてエタノー
ル蒸気発生シートを得た。
【0039】(実施例2)図1に示した方法でエタノー
ル蒸気発生シートを作製した。図1においてNVAポリ
マー吸液剤粉末NA010は、ポリエチレン不織布(d
u Pont社製「タイベック」62g/m2 )上に3
5g/m2 の割合で、バイブレーターにより一定速度で
均一に散布し、その上に耐油処理レーヨン紙(45g/
2 )/EVA(25g/m2 )を重ね、長さ方向間隔
4mm、列間隔2.5mmで突起と凹部をそれぞれ設け
た上下2本のエンボスロールを上ロール130℃、下ロ
ール120℃、圧力1.5kg/cm2 として、この間
に前記外包シートを通すことにより、上下の外包シート
を部分的に圧着重合すると共に、前記ポリエチレン不織
布を軟化せしめて、前記吸液剤粉末の下部をこれに接着
させることにより、その移動を防止するようにした。次
いで、切断したときにその切り口から吸液剤粉末が漏れ
ないように、切断部分およびその周縁部を、ヒートシー
ルロールにより130℃、2.5kg/cm 2の条件で
熱圧着した後幅45mmにスリットし、60重量%含水
エタノール中に浸漬し、過剰なエタノールをロール圧搾
し、長さ45mmの個々のシート片に切断してエタノー
ル蒸気発生シートを得た。このエタノール蒸気発生シー
ト個々のエタノール含有量は、ほぼ均一であった。一
方、前記工程においてエンボスロールを省略した場合
は、エタノール含有量が不均一となり、商品として不適
当であった。
【0040】(エタノール放散試験および静菌効果評
価)実施例1および2で得られたエタノール蒸気発生シ
ートを用いて、エタノール放散試験および静菌効果試験
を以下のように行った。まず、水分活性調整培地とし
て、ポテトテキストロース3.9gとショ糖75gに水
100gを加え、NaOH水溶液でpH調整を行ったも
のを用いた。この培地の水分活性を水分活性測定器(フ
ロイント産業(株)製;FWA−200)で測定したと
ころ0.90であった。また菌液は、分離済みのペニシ
リウム ノターツム(Penicillum notatumu)l白金耳
を滅菌済み生理食塩水50ミリリットルに溶かし、この
液1ミリリットルを滅菌済み生理食塩水200ミリリッ
トルで希釈して調整した。ついで、滅菌済みシャーレ
(直径95mm、深さ20mm;栄研器材社製)に蒸気
の菌液1ミリリットルを入れ、次いでこのシャーレに上
記水分活性調整培地を約50g流し込んだ。そしてシャ
ーレ中にて菌液と培地とを混合した後、2時間静置して
植菌シャーレを得た。
【0041】図4に示すように、KOPフィルム(ポリ
塩化ビニリデンをコーティングしたポリプロピレン)と
LLDPEフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン)とを
ラミネートしたフィルムからなる内寸155mm×21
0mmの包装袋(図中2で示す)2枚を用意し、各包装
袋内に、上記で得られたエタノール蒸気発生シート(図
中1で示す)1個と植菌シャーレ(図中3で示す)1個
を収納し、ヒートシールをした。こうして実施例1また
は2のエタノール蒸気発生シートと、植菌シャーレを収
納した2つの包装袋を25℃の恒温槽中に放置し、放置
後1、5、10、15、20日目に包装袋2内のエタノ
ール蒸気濃度を測定した。その結果を下記表2に示す。
また比較例1として、上記エタノール蒸気発生シートに
代えて、市販の食品鮮度保持剤アンチモールド102
(フロイント産業(株)製、袋サイズ45mm×65m
m)に、エタノール0.6gを含有させたものを用い、
同様にして植菌シャーレとともに包装袋に収納して、エ
タノール蒸気濃度を測定した。
【0042】なお、エタノール蒸気の測定は、ガスクロ
マトグラフィーにより行った。測定条件は以下の通りと
した。 測定装置機種 ;GC−14A(FID)(島津製作所社製) 充填剤 ;PEG−20M 10% 担体 ;Chromosorb WAW DMCS カラム ;SUS 2m×3mm キャリアーガス ;N2 1.4kg/cm22 1.0kg/cm2 エアー 1.0kg/cm2 試料注入部および検出部の温度 ;150℃ カラム温度 ;80℃ なお、表1においてエタノール蒸気濃度は%で示した。
【0043】
【表1】
【0044】静菌効果は、植菌シャーレのカビの生育状
態を、次のように、符号−、+、++、+++を用いて
4段階で表すことにより、評価した。−は、カビの生育
を全く認めないもの、+は、カビの生育がわずかに認め
られるもの、++は、カビの生育が進んだもの、+++
は、カビの生育がかなり進んだものをそれぞれ示す。そ
の結果を表2に示す。表2において、比較例1は表1に
おける比較例1と同一であり、比較例2は鮮度保持剤を
入れずに植菌シャーレのみを包装袋に入れた結果を示し
ている。
【0045】
【表2】
【0046】表1および表2の結果より、本発明のエタ
ノール蒸気発生シートは、エタノール放散速度、および
静菌効果に関し、市販品の鮮度保持剤と同等またはこれ
を上回ることがわかる。
【0047】(実施例3)実施例2において、エンボス
ロールに代えてヒートシールロールを用い、6mm角、
接着部分の幅0.5mmに格子状にヒートシールして他
は、実施例2と同様に操作してエタノール蒸気発生シー
トを得た。このシートのエタノール含有量はほぼ均一で
あった。
【0048】(実施例4)実施例2において吸液剤粒子
として用いたNVAポリマー吸液剤粉末NA010 2
5g/m2の散布に代えて、NVAポリマー吸液剤粉末
NA010 40g/m2とEVA系ホットメルト接着剤
粉末15g/m2 の散布とし、ヒートシールにより吸液
ポリマー粉末粒子を部分的にホットメルト接着剤により
上下外包シートのいずれかに接着することにより、移動
防止手段を設けた。それ以外は実施例2と同様にしてエ
タノール蒸気発生シートを作製した。この方法で工業的
に連続してエタノール蒸気発生シートを製造すると、吸
液ポリマーのシートにおける均一性が保たれ、製品のバ
ラツキが減少した。
【0049】(実施例5)NA010の散布量を25g
/m2とし、スリット幅およびシートの切断の長さを各
々245mmとした他は、実施例2と同様に操作してエ
タノール蒸気発生シートを得た。縦375mm×横31
0mm×高さ235mmの段ボール箱に5mmφの穿孔
を4ヶ所施した、長さ900mm×幅800mm×厚さ
0.05mmのポリエチレン袋を入れ、底部に段ボール
板を敷いてこの上に西條柿を敷き並べ、これを繰り返し
て3〜4段に計約60個10kgを詰めた。最上段の柿
の上にさらに段ボール板を載せ、その上に前記エタノー
ル蒸気発生シートを1枚載せた。前記ポリエチレン袋の
口元を輪ゴムで閉じた後、段ボール箱をガムテープで閉
じ、放置した。この袋の中のエタノール蒸気濃度は、8
時間後0.2容積%、72時間後0.15容積%で、エ
タノール蒸気をかなり保持していた。5日後、柿は脱渋
を完了し、食用に供することができた。軟果率は9%で
あった。これに対し、エタノール蒸気発生シートを用い
ずに同様のポリエチレン袋と段ボール箱内に放置した柿
は、5日後も渋く、食用にならなかった。軟果率は9%
であった。
【0050】(実施例6)図2および図3に示すような
方法で脱酸素剤含有エタノール蒸気発生シートを作製し
た。外包シートAとして、レーヨン紙/EVAフィル
ム、介在シートとしてポリエチレン不織布を用い、図2
に示すように、エンボスロール処理までは実施例2と同
様に行い、その後一旦半製品としてポリエチレン不織布
側を外にして巻きとった。次に、添加する脱酸素剤粉末
として、鉄粉100重量部、食塩10重量部、二酸化ケ
イ素20重量部にポリアリルアミン4重量部を担持させ
た粉末混合物を用いた。図3に示すように、800g/
2となるように供給した。半製品シートに重ねてその
間に脱酸素剤粉末を保持する外包シートBは、耐油処理
レーヨン紙(45g/m2)/PE不織布(30g/
2)とし、ヒートシールロール以降は実施例2と同一
とした。この脱酸素剤含有エタノール蒸気発生シートの
個々のエタノール含有量は、ほぼ均一であった。内容積
250mlの和紙/KOP/PE容器内に110gのあ
ずきロール(AW値0.92)を収容し、前記脱酸素剤
エタノール蒸気発生シート1枚を入れて密閉した。19
時間後に容器内の酸素濃度は0.1容量%以下となり、
エタノール蒸気濃度は0.50容積%であった。このあ
ずきロールは20日以上カビの発生を認めなかったが、
本発明のエタノール蒸気発生シートを添付しなかったも
のは5日でカビの発生が認められた。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明のエタノール
蒸気発生シートは、少なくとも一方はエタノール蒸気透
過性である2枚の外包シートの間に、エタノールまたは
その水溶液を吸液した上記一般式(I)で表されるN−
ビニルカルボン酸アミド系吸液剤粒子が、実質的に均一
に挟持されたことを特徴としている。したがって、N−
ビニルカルボン酸アミド系吸液剤を袋状体に充填する工
程が不要となり、製造工程の簡略化、迅速化が実現され
る。さらに外包シートの間に、吸液剤粒子の移動を妨げ
る移動防止手段を設けることにより、吸液剤の遍在化を
確実に防止できるので、エタノール蒸気発生シートを切
断したときに、各小片に平均して吸液剤を分布させるこ
とができる。また2枚の外包シートの周縁部を封止する
ことにより、外包シートの剥離や吸液剤粒子の脱落を防
止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のエタノール蒸気発生シートの製造方
法の一例を示す工程図である。
【図2】 本発明のエタノール蒸気発生シートの製造方
法の一例を示す工程図である。
【図3】 本発明のエタノール蒸気発生シートの製造方
法の一例を示す工程図である。
【図4】 本発明のエタノール蒸気発生シートの静菌試
験の方法を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松尾 暎二 東京都新宿区高田馬場2丁目14番2号 フ ロイント産業株式会社内 (72)発明者 成田 純一 東京都新宿区高田馬場2丁目14番2号 フ ロイント産業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方はエタノール蒸気透過性
    である2枚の外包シートの間に、エタノールまたはその
    水溶液を吸液した下記一般式(I)で表されるN−ビニ
    ルカルボン酸アミド系吸液剤粒子が、実質的に均一に挟
    持されたことを特徴とするエタノール蒸気発生シート。 【化1】
  2. 【請求項2】 前記外包シートの間隙に、前記吸液剤粒
    子の移動を妨げる移動防止手段が設けられていることを
    特徴とする請求項1記載のエタノール蒸気発生シート。
  3. 【請求項3】 前記移動防止手段として、外包シートの
    間隙が前記吸液剤粒子の通過を阻む間隔に狭められた狭
    隘部、あるいは外包シートが融着、縫合、接着のいずれ
    かの方法で互いに付着された隔壁部を備え、これら狭隘
    部あるいは隔壁部が外包シート内面の少なくとも一部に
    形成されたことを特徴とする請求項2記載のエタノール
    蒸気発生シート。
  4. 【請求項4】 前記狭隘部あるいは隔壁部が、前記2枚
    のシートの少なくとも周縁部以外の全面にわたって実質
    的に均一な模様として形成されていることを特徴とする
    請求項3記載のエタノール蒸気発生シート。
  5. 【請求項5】 前記移動防止手段として、前記吸液剤粒
    子が前記外包シートのうちの少なくとも一方に接着保持
    されている接着粒子を備えたことを特徴とする請求項2
    記載のエタノール蒸気発生シート。
  6. 【請求項6】 前記2枚の外包シートの周縁部が封止さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか
    1項記載のエタノール蒸気発生シート。
  7. 【請求項7】 前記吸液剤粒子を挟持する外包シートの
    間に脱酸素剤も挟持されていることを特徴とする請求項
    1ないし6のいずれか1項記載のエタノール蒸気発生シ
    ート。
  8. 【請求項8】 少なくとも一方はエタノール蒸気透過性
    である2枚の外包シートの間に、N−ビニルカルボン酸
    系吸液剤粒子を実質的に均一に挟持せしめ、挟持された
    吸液剤粒子に、エタノールまたはその水溶液を吸液させ
    ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記
    載のエタノール蒸気発生シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 エタノール蒸気保持性の容器中に食品お
    よび請求項1ないし7のいずれか1項記載のエタノール
    蒸気発生シートを収容することを特徴とする食品の処理
    方法。
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