JPH11325411A - 灰処理設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼灰に含まれる未燃炭素の量を減らす灰処
理設備を提供すること。 【解決手段】 石炭１を燃焼する火炉２を備えた微粉炭
焚ボイラの灰処理設備は、石炭１の燃焼により生じた灰
分及び該灰分に含まれる未燃炭素を導入するフライアッ
シュサイロ１８と、該フライアッシュサイロ１８に導入
する灰分量を調整する切出量調整弁１７と、フライアッ
シュサイロ１８の灰分を火炉２に搬送する循環灰搬送機
１９を配設した。そして、灰処理設備は、切出量調整弁
１７の切替制御を検知するフライアッシュサイロ１８
に、レベル計１８ａを設け、切出量調整弁１７の入口側
に、フライアッシュのサンプリング２１を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】火力プラントの微粉炭焚ボイ
ラにおける灰処理設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６は、微粉炭焚ボイラの一般的な通風
系の構成例を示す。微粉炭焚ボイラでは、燃料である石
炭１が火炉２内で燃焼し、その排ガスは過熱器３、再熱
器４、節炭器５を経て、ガス式空気予熱器７で熱交換を
した後、集塵機８、誘引通風機９を通って煙突１１から
大気へ排出される。なお、発電用及び自家発用の火力プ
ラントでは、上記の煙道構成機器の他に、図示した脱硝
装置６や脱硫装置１０といった環境設備を組み込むプラ
ントもある。このような微粉炭焚ボイラーにおいて、燃
料である石炭１は火炉２にて燃焼するが、石炭中の灰分
は未燃炭素分と共に燃えかすとして炉底の灰処理設備１
４、及び煙道の集塵機８で捕集され、フライアッシュサ
イロ１６を介して、系外に排出される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】火力プラントに使用さ
れる石炭は、通常５〜２０％程度の灰分を含んでいる。
これらの灰分は、燃焼部で昇華せず燃えかすとして煙道
に配置される集塵機、あるいは火炉の炉底に配置した灰
処理設備で捕集される。通常これらの捕集灰は、セメン
トの材料等に有効利用されるが、捕集灰にはボイラの火
炉で燃焼しきれなかった未燃炭素が含まれ、これがセメ
ント等に利用する際の障害となる。ボイラからの排出未
燃炭素分は、石炭の燃焼性及び火炉でのサイズ、滞留時
間等の影響により、その排出レベルは様々である。但
し、火炉の体格が決まり石炭の発熱量が大きく変わらな
いのであれば、基本的に火炉から排出される未燃炭素分
は大きく変わらない。しかしながら、灰中未燃炭素分
（フライアッシュ中の未燃炭素分量／全フライアッシュ
量×１００）は、燃料中の灰分量によってばらつきが見
受けられる。

【０００４】従来、火力プラントにおいては石炭中の灰
分が１０〜１５％の範囲ものが多く使用されてきたが、
近年石炭種の拡大から石炭中の灰分が５％以下の低灰分
種のものも使用されつつある。しかし、これらの低灰分
炭を燃焼させる場合、一様に灰中未燃炭素分が高くなる
傾向にある。図６の（ａ）に示すように仮にあるボイラ
で石炭中灰分が１０％でフライアッシュ中の灰中未燃炭
素分が３％とすると、同じボイラで石炭中灰分が５％の
石炭を焚く場合、図６の（ｂ）に示すように未燃炭素分
が変わらず、灰分のみが半分となる。したがって、灰中
未燃炭素分としては、およそ２倍の約６％となる。本発
明は、上記課題に鑑みてなされたもので、灰分に含まれ
る未燃炭素の量を減らすことができる灰処理設備を提供
することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、石炭を燃焼する火炉を備えたボイラの灰処
理設備において、上記石炭の燃焼により生じた灰分を収
容するためのフライアッシュサイロと、該フライアッシ
ュサイロから火炉に導入する灰分量を調整する切出量調
整弁と、該フライアッシュサイロの灰分を上記火炉に搬
送する循環灰搬送機とを設けて成り、上記灰分を火炉に
循環させて、該灰分に含まれる未燃炭素量を調整するよ
うにした。そして、本発明の灰処理設備は、切出量調整
弁の切替制御を検知する循環灰用のフライアッシュサイ
ロに、レベル計及びそのコントローラを設け、またフラ
イアッシュの灰中未燃炭素分をコントロールするため
に、循環灰搬送機に搬送機速度コントローラを設け、さ
らに過度の灰循環を防止するために、切出量調整弁に開
度リミッタを設ければ、灰を再循環することによって、
燃焼場の雰囲気温度を緩和し低ＮＯｘ運転を行うことが
できる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
灰処理設備について、図面を参照しながら説明する。な
お、従来例と同じ構成については、同一の符号を付して
説明する。図１は、本発明に係る微粉炭焚ボイラの灰処
理設備を示し、この灰処理設備に備えた機器をその燃焼
ガスの流れに沿って上流側から、順に説明する。灰処理
設備は、上流側に石炭１を燃焼させて熱を発生する火炉
２を設置している。その下流側には、ボイラー本体で発
生する飽和蒸気をさらに加熱して、飽和湿度以上まで加
熱して過熱蒸気とする過熱器３（再熱器４）を設けてい
る。

【０００７】節炭器５は、ボイラ本体に送り込む水を燃
焼ガスのもっている余熱で熱する。脱硝装置６は、燃焼
ガス中のＮＯｘを除去し、脱硝装置６の下流側には、空
気予熱器７を設け、予熱器７には火炉２に燃焼用空気を
送るための、通風器１２を接続した。予熱器７は、この
内部を流れる燃焼用ガスの予熱で、火炉２へ送る燃焼用
空気の温度を上げる。予熱器７の下流側には、燃焼ガス
中から灰分を補集する集塵機８を配設している。集塵機
８には、一対のアッシュフィーダ１５を設け、その排出
口にはフライアッシュの切出量調整弁１７を設けてい
る。

【０００８】切出量調整弁１７には、図２〜図４に示す
ように内部に切替弁２２を取付けている。切替弁２２
は、図２に示すように灰を管路１７ａ，１７ｂの両者に
任意の量を分配することができ、また図３及び図４に示
すように、管路１７ａ，１７ｂの一方を閉塞し、灰の流
れを片側のみ遮断できる構成にしている。切出量調整弁
１７の入口には、灰中の未燃炭素分を計測するフライア
ッシュのサンプリング２１を配置している。切出量調整
弁１７の一方の管路１７ａは、フライアッシュサイロ１
６へ接続し、他方の管路１７ｂは循環灰用のフライアッ
シュサイロ１８へ接続している。フライアッシュサイロ
１８には、灰を一定量流出（あるいは、灰の流量を調整
する）させるためのレベル計１８ａを設け、その排出口
に接続した管路には循環灰搬送機１９を設けている。

【０００９】図５は、切出量調整弁１７の切替弁２２の
開度等をコントロールする制御部３０を示す。制御部３
０の搬送機コントローラ３１は、レベル計１８ａの信号
を入力し、灰搬送機１９の灰の吐出量を制御する。切出
量調整弁コントローラ３２は、サンプリング２１から信
号を入力し、切替弁２２の開度を調整する。また、切出
量調整弁１７は、灰を必要以上循環させない開度リミッ
タ３３を設けている。循環灰搬送機１９は、火炉２に設
けたバーナ風箱１３に接続し、上記した集塵機８の下流
側には、燃焼ガスの排気を助長する誘因通風機９、イオ
ウ分を除去する脱硫装置１０及び煙突１１を配設してあ
る。

【００１０】次に、本実施の形態の灰処理設備の作用に
ついて説明する。通常運転では、図５に示す制御部３０
の主スイッチ側に回路が接続され、この状態では、図３
に示すように、切出量調整弁１７の切替弁２２は、循環
系のフライアッシュサイロ１８側への灰の供給が遮断さ
れる。したがって、灰はフライアッシュサイロ１６側に
供給される。必要以上に灰中の未燃炭素量を下げたいと
きは、スイッチを切替スイッチ側に切り替える。これに
より、コントローラ３２の作動により、切替弁２２が図
２に示すように半開状態になり、灰の一部がフライアッ
シュサイロ１８側に供給される。なお、切替弁２２の開
度は、循環灰用のフライアッシュサイロ１８の容量を考
慮して調整する。アッシュサイロ１８に導入された灰
は、循環灰搬送機１９、循環灰搬送ライン２０を経てバ
ーナ風箱１３から火炉２に戻される。

【００１１】本実施の形態では、このように集塵機８で
捕集した灰の一部を火炉２へ循環させることにより、系
外へ排出される灰の未燃炭素分を低減させることを第一
の目的とする。すなわち、捕集灰を循環させることによ
って、図７の（ｃ）に示すように、循環灰が燃料である
石炭に付加される形となる。これにより、フライアッシ
ュ中の灰分が５％からほぼ１０％に増えることになる
が、一方で未燃炭素分は変わらないために、結果として
灰中の未燃炭素は低下する。この作用は特に低灰分の石
炭種に有効であり、低灰分がゆえにフライアッシュを再
循環させた場合でも、集塵機８やその他の灰処理機器に
及ぼす影響がほとんどない。

【００１２】本灰処理設備では、灰中未燃炭素分を適正
に維持するために、まずフライアッシュサンプリング２
１により灰中未燃炭素分を計測し、その値に応じ切出量
調整弁１７を調整し、次に循環灰用のフライアッシュサ
イロ１８に設けられたレベル計１８ａのレベルを一定
（あるいは、灰の流量を調整する）に保つように、循環
灰搬送機１９を搬送機速度コントローラ３１で制御す
る。

【００１３】灰中の未燃炭素分が充分に低く、灰循環系
統を使用しない場合には、図３に示すように切替弁２２
を作動させ、灰循環系統側を全閉とする。一方、必要以
上に灰中未燃炭素分を下げようとする場合には、図４の
ように灰循環系統側を全開することも考えられる。しか
しながら、過度に灰循環系統側を開けるとボイラ自体、
及び灰処理設備に能力以上のアッシュロードをかけるこ
ととなり、設備運用の観点から問題がある。このような
問題を防止するために、この切出量調整弁１７には開度
リミッタ３３を設け、切替弁２２の必要以上の開きを防
止し、過度の灰循環を抑制する機能を持たせている。な
お、ボイラ自体に能力以上のアッシュロードが負荷する
か否かは、上記したレベル計１８ａを利用してもよい
し、その他灰処理設備に設けた図示しない他のセンサー
等で検知してもよい。

【００１４】また、本発明のシステムは上述の作用を持
つ一方で、燃焼部に灰を再循環させることによって燃焼
場の雰囲気温度を緩和し、ボイラからの排出ＮＯｘを低
減させる作用も併せ持っている。以上、本発明の実施の
形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定さ
れることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変
形が可能である。例えば、上記実施の形態では、フライ
アッシュサイロを１６，１８を並列に設フライアッシュ
サイロ１８をフライアッシュサイロ１６に下部に設け、
それらの間に切出量調整弁１７を配設してもよい。ま
た、フライアッシュサイロ１８を省略し、フライアッシ
ュサイロ１６の下部に切出量調整弁１７を設けてもよ
い。

【００１５】

【発明の効果】本発明の灰処理設備は、石炭を燃焼する
火炉を備えたボイラの灰処理設備において、上記石炭の
燃焼により生じた灰分及び該灰分に含まれる未燃炭素
を、上記火炉へ戻すために導入するフライアッシュサイ
ロと、該フライアッシュサイロに導入する灰分量を調整
する切出量調整弁と、該フライアッシュサイロの灰分を
上記火炉に搬送する循環灰搬送機とを設けたので、灰を
循環させることにより、灰分に含まれる未燃炭素量を軽
減するとともに、燃焼部の雰囲気温度を緩和し、ボイラ
からの排出ＮＯｘを低減する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態における火力プラントの微
粉焚ボイラのシステム図である。

【図２】図１の微粉焚ボイラの切出量調整弁の切替弁が
中立状態にあるときの拡大図である。

【図３】図１の微粉焚ボイラの切出量調整弁の切替弁が
循環系側を閉塞した状態の拡大図である。

【図４】図１の微粉焚ボイラの切出量調整弁の切替弁が
循環系側を全開した状態の拡大図である。

【図５】図１の微粉焚ボイラの切出量調整弁の切替弁の
開度を操作する制御部の概略図である。

【図６】従来の火力プラントの微粉焚ボイラのシステム
図である。

【図７】従来及び本実施の形態における石炭構成とフラ
イアッシュ構成を比較した図である。

【符号の説明】

１ 石炭 ２ 火炉 ３ 過熱器 ４ 再熱器 ５ 節炭器 ６ 脱硝装置 ７ ガス式空気予熱器 ８ 集塵機 ９ 誘引通風機 １０ 脱硫装置 １１ 煙突 １２ 押込通風機 １３ バーナ風箱 １４ 灰処理装置 １５ アッシュフィーダ １６，１８ フライアッシュサイロ １７ 切出量調整弁 １９ 循環灰搬送機 ２０ 循環灰搬送ライン ２１ サンプリング ２２ 切替弁 ３０ 制御部 ３１ 搬送機速度コントローラ ３２ 切出量調整弁コントローラ ３３ 開度リミッタ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 石炭を燃焼する火炉を備えたボイラの灰
   処理設備において、上記石炭の燃焼により生じた灰分を
   収容するためのフライアッシュサイロと、該フライアッ
   シュサイロから火炉に導入する灰分量を調整する切出量
   調整弁と、該フライアッシュサイロの灰分を上記火炉に
   搬送する循環灰搬送機とを設けて成り、上記灰分を火炉
   に循環させて、該灰分に含まれる未燃炭素量を調整する
   ようにしたことを特徴とする灰処理設備。