JPH11320150A - レーザ溶接方法 - Google Patents
レーザ溶接方法Info
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- JPH11320150A JPH11320150A JP10140739A JP14073998A JPH11320150A JP H11320150 A JPH11320150 A JP H11320150A JP 10140739 A JP10140739 A JP 10140739A JP 14073998 A JP14073998 A JP 14073998A JP H11320150 A JPH11320150 A JP H11320150A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】1パスで裏波を形成させる際、母材の裏面側を
不活性ガスでシールドせずとも、またシールドする場合
でも完全なシールド雰囲気にせずとも、裏波側にブロー
ホールおよび開口欠陥が発生することがないレーザ溶接
方法を提供する。 【解決手段】母材を貫通したレーザパワーをPt (k
W)、母材の裏面側のシールド用不活性ガスの体積比を
ps とした時、母材の裏面側を不活性ガスでシールドし
ない場合には式「Pt <3.0」、シールドする場合に
は式「Pt <3.0/(1−ps )」を満たす条件で溶
接する。
不活性ガスでシールドせずとも、またシールドする場合
でも完全なシールド雰囲気にせずとも、裏波側にブロー
ホールおよび開口欠陥が発生することがないレーザ溶接
方法を提供する。 【解決手段】母材を貫通したレーザパワーをPt (k
W)、母材の裏面側のシールド用不活性ガスの体積比を
ps とした時、母材の裏面側を不活性ガスでシールドし
ない場合には式「Pt <3.0」、シールドする場合に
は式「Pt <3.0/(1−ps )」を満たす条件で溶
接する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料のレーザ
溶接方法に係わり、より詳しくは1パスで裏波を形成さ
せる際、溶接部、なかでも裏波側にブローホールおよび
開口欠陥が発生するのを確実に防止することが可能なレ
ーザ溶接方法に関する。
溶接方法に係わり、より詳しくは1パスで裏波を形成さ
せる際、溶接部、なかでも裏波側にブローホールおよび
開口欠陥が発生するのを確実に防止することが可能なレ
ーザ溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料のレーザ溶接においてしばしば
問題となる溶接欠陥には、ブローホールおよび開口欠陥
がある。このため、ブローホールおよび開口欠陥を防止
する方法については従来から種々の方法が提案されてお
り、その代表的な方法には以下の3つがある。
問題となる溶接欠陥には、ブローホールおよび開口欠陥
がある。このため、ブローホールおよび開口欠陥を防止
する方法については従来から種々の方法が提案されてお
り、その代表的な方法には以下の3つがある。
【0003】第1の方法は、溶接部をシールドボックス
で完全に覆うとともに、このシールドボックスに傾斜配
設されたノズルを用い、溶接進行方向の後方斜め上方か
ら溶接部に向けてアシストガスを吹き付けながら溶接す
る方法である(特開平7−136791号公報参照)。
で完全に覆うとともに、このシールドボックスに傾斜配
設されたノズルを用い、溶接進行方向の後方斜め上方か
ら溶接部に向けてアシストガスを吹き付けながら溶接す
る方法である(特開平7−136791号公報参照)。
【0004】第2の方法は、レーザビームの照射角度
を、溶接方向に対して前進角20〜60°または後退角
20〜60゜に設定して溶接する方法である(特開平7
−96379号公報参照)。
を、溶接方向に対して前進角20〜60°または後退角
20〜60゜に設定して溶接する方法である(特開平7
−96379号公報参照)。
【0005】第3の方法は、Al、SiおよびTiのう
ちから選ばれた1種または2種以上を0.05〜3重量
%含むフィラーワイヤーの溶滴を溶接部に供給しながら
溶接する方法である(特開平8−309402号公報参
照)。
ちから選ばれた1種または2種以上を0.05〜3重量
%含むフィラーワイヤーの溶滴を溶接部に供給しながら
溶接する方法である(特開平8−309402号公報参
照)。
【0006】これらの方法は、確かに、ブローホールお
よび開口欠陥の発生防止に効果があるが、いずれの方法
も以下に述べる欠点を有している。
よび開口欠陥の発生防止に効果があるが、いずれの方法
も以下に述べる欠点を有している。
【0007】すなわち、第1の方法は、照射したレーザ
ビームが母材の裏面に達しない非貫通溶接方法であり、
しかも溶接部をシールドボックスで覆って完全なシール
ド雰囲気にした上で溶接することを前提とした方法であ
る。このため、実際の生産現場、なかでも1パスで裏波
を形成させる1パス貫通溶接を行う生産現場に適用した
場合、母材の表裏両面、特に裏面側を完全なシールド雰
囲気にできないことが多く、裏波側にブローホールおよ
び開口欠陥が発生するのを防止できないという欠点を有
している。
ビームが母材の裏面に達しない非貫通溶接方法であり、
しかも溶接部をシールドボックスで覆って完全なシール
ド雰囲気にした上で溶接することを前提とした方法であ
る。このため、実際の生産現場、なかでも1パスで裏波
を形成させる1パス貫通溶接を行う生産現場に適用した
場合、母材の表裏両面、特に裏面側を完全なシールド雰
囲気にできないことが多く、裏波側にブローホールおよ
び開口欠陥が発生するのを防止できないという欠点を有
している。
【0008】また、第2の方法は、第1の方法と同様
に、照射したレーザビームが母材の裏面に達しない非貫
通溶接方法であり、しかも母材の裏面シールドが全く考
慮されていない。このため、1パス貫通溶接には適用で
きず、仮に適用しても裏波側にブローホールおよび開口
欠陥が発生するのを防止できないという欠点を有してい
る。さらに、第3の方法は、溶接部にフィラーワイヤー
の溶滴を供給しないことを前提とした溶接には利用でき
ないという欠点を有している。
に、照射したレーザビームが母材の裏面に達しない非貫
通溶接方法であり、しかも母材の裏面シールドが全く考
慮されていない。このため、1パス貫通溶接には適用で
きず、仮に適用しても裏波側にブローホールおよび開口
欠陥が発生するのを防止できないという欠点を有してい
る。さらに、第3の方法は、溶接部にフィラーワイヤー
の溶滴を供給しないことを前提とした溶接には利用でき
ないという欠点を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶接
部にフィラーワイヤーの溶滴を供給しないことを前提と
し、しかも1パスで裏波を形成させる1パス貫通溶接方
法であり、母材の裏面を全くシールドしなくても、また
シールドする場合でも完全なシールド雰囲気にしなくて
も、裏波側にブローホールおよび開口欠陥が発生するこ
とがないレーザ溶接方法を提供することにある。
部にフィラーワイヤーの溶滴を供給しないことを前提と
し、しかも1パスで裏波を形成させる1パス貫通溶接方
法であり、母材の裏面を全くシールドしなくても、また
シールドする場合でも完全なシールド雰囲気にしなくて
も、裏波側にブローホールおよび開口欠陥が発生するこ
とがないレーザ溶接方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)および(2)のレーザ溶接方法にある。
(1)および(2)のレーザ溶接方法にある。
【0011】(1)1パスで裏波を形成させる金属材料
のレーザ溶接であって、母材を貫通したレーザパワーP
t (kW)が下式を満たす条件で溶接を行うことを特徴
とするレーザ溶接方法。
のレーザ溶接であって、母材を貫通したレーザパワーP
t (kW)が下式を満たす条件で溶接を行うことを特徴
とするレーザ溶接方法。
【0012】Pt <3.0 (2)1パスで裏波を形成させる金属材料のレーザ溶接
であって、母材の裏面を不活性ガスでシールドするとと
もに、母材を貫通したレーザパワーPt (kW)が下式
を満たす条件で溶接を行うことを特徴とするレーザ溶接
方法。
であって、母材の裏面を不活性ガスでシールドするとと
もに、母材を貫通したレーザパワーPt (kW)が下式
を満たす条件で溶接を行うことを特徴とするレーザ溶接
方法。
【0013】Pt <3.0/(1−ps ) ただし、 ps :母材裏面のシールド用不活性ガスの体積比 上記の本発明は、下記の知見に基づいて完成された。
【0014】本発明者らは、1パスで裏波を形成させる
1パス貫通溶接する際の溶接条件(レーザ出力、溶接速
度、母材肉厚)および母材の裏面側のシールド条件が溶
接部、特に裏波側のブローホールおよび開口欠陥の発生
に及ぼす影響を明らかにするために、次の実験を行っ
た。
1パス貫通溶接する際の溶接条件(レーザ出力、溶接速
度、母材肉厚)および母材の裏面側のシールド条件が溶
接部、特に裏波側のブローホールおよび開口欠陥の発生
に及ぼす影響を明らかにするために、次の実験を行っ
た。
【0015】図1は、実験に用いた装置を示す模式的縦
断面図で、被溶接材料である母材4の表面側には、焦点
が母材4の表面に合わされたレーザビーム1と同軸にシ
ールドガスを吹き付け、そのガス流れ3によって溶接部
表側の雰囲気を制御するシールドノズル2が配置されて
いる。また、母材4の裏面側には、溶接部裏側の雰囲気
を制御するためのArガスやHeガスまたはこれらの混
合ガスからなる不活性ガスが供給口6から排出口7に向
かって流れるシールドボックス5が配置されている。
断面図で、被溶接材料である母材4の表面側には、焦点
が母材4の表面に合わされたレーザビーム1と同軸にシ
ールドガスを吹き付け、そのガス流れ3によって溶接部
表側の雰囲気を制御するシールドノズル2が配置されて
いる。また、母材4の裏面側には、溶接部裏側の雰囲気
を制御するためのArガスやHeガスまたはこれらの混
合ガスからなる不活性ガスが供給口6から排出口7に向
かって流れるシールドボックス5が配置されている。
【0016】先ず始めに、肉厚9mmの炭素鋼を母材4
とし、シールドボックス5にはシールドガスを供給せず
に、すなわち溶接部の裏側(母材4の裏面側)を不活性
ガスでシールしない状態で、出力が25Kwの炭酸ガス
レーザを照射し、溶接速度を1〜6m/minまで0.
5m/min刻みで変化させて1パス貫通溶接を行っ
た。この時、溶接部の表側(母材4の表面側)は、シー
ルドノズル2にHeガスを30リットル/minで供給
し、完全なシールド雰囲気に制御した。
とし、シールドボックス5にはシールドガスを供給せず
に、すなわち溶接部の裏側(母材4の裏面側)を不活性
ガスでシールしない状態で、出力が25Kwの炭酸ガス
レーザを照射し、溶接速度を1〜6m/minまで0.
5m/min刻みで変化させて1パス貫通溶接を行っ
た。この時、溶接部の表側(母材4の表面側)は、シー
ルドノズル2にHeガスを30リットル/minで供給
し、完全なシールド雰囲気に制御した。
【0017】そして、得られた裏波ビードの表面を目視
観察して裏面ビード長さ500mm当たりの開口欠陥の
発生個数を調べる一方、JIS Z 3104に規定さ
れるX線透過試験方法に準じて撮影したX線写真に写っ
ているビード長さ500mm当たりのブローホールの発
生個数を調べたところ、表1に示す結果が得られた。な
お、ブローホールの発生個数は、X線写真上の球状欠陥
の総数から目視観察による開口欠陥の発生個数を除いた
個数とした。
観察して裏面ビード長さ500mm当たりの開口欠陥の
発生個数を調べる一方、JIS Z 3104に規定さ
れるX線透過試験方法に準じて撮影したX線写真に写っ
ているビード長さ500mm当たりのブローホールの発
生個数を調べたところ、表1に示す結果が得られた。な
お、ブローホールの発生個数は、X線写真上の球状欠陥
の総数から目視観察による開口欠陥の発生個数を除いた
個数とした。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示すように、溶接部の裏側(母材4
の裏面側)を不活性ガスでシールしない場合では、溶接
速度を5m/min以上にすると開口欠陥が発生しなく
なるとともに、ブローホールの発生数が激減することが
判明した。
の裏面側)を不活性ガスでシールしない場合では、溶接
速度を5m/min以上にすると開口欠陥が発生しなく
なるとともに、ブローホールの発生数が激減することが
判明した。
【0020】次に、母材4および溶接部の表側と裏側の
シールド条件を上記と同じにし、レーザ出力と溶接速度
を種々変化させて1パス貫通溶接を行った。そして、上
記と同様の方法により、裏面ビード長さ500mm当た
りの開口欠陥の発生個数とブローホールの発生個数を調
べた。
シールド条件を上記と同じにし、レーザ出力と溶接速度
を種々変化させて1パス貫通溶接を行った。そして、上
記と同様の方法により、裏面ビード長さ500mm当た
りの開口欠陥の発生個数とブローホールの発生個数を調
べた。
【0021】図2は、その調査結果を示す図で、縦軸に
レーザ出力、横軸に溶接速度を採って示してある。ま
た、図中、「○」印は開口欠陥の発生個数が0(ゼロ)
で、かつブローホールの発生個数が1個以下の場合、
「●」印は開口欠陥の発生個数が1個以上またはブロー
ホールの発生個数が2個以上の場合を示している。
レーザ出力、横軸に溶接速度を採って示してある。ま
た、図中、「○」印は開口欠陥の発生個数が0(ゼロ)
で、かつブローホールの発生個数が1個以下の場合、
「●」印は開口欠陥の発生個数が1個以上またはブロー
ホールの発生個数が2個以上の場合を示している。
【0022】図2に示す結果から、溶接部の裏側(母材
4の裏面側)を不活性ガスでシールドしない場合、健全
な溶接結果が得られる条件は、レーザビーム1の出力に
よって異なり、レーザ出力が15kWでは2m/min
以上、20kWでは3.5m/min以上、25kWで
は5m/min以上で欠陥の発生個数が激減することが
判明した。
4の裏面側)を不活性ガスでシールドしない場合、健全
な溶接結果が得られる条件は、レーザビーム1の出力に
よって異なり、レーザ出力が15kWでは2m/min
以上、20kWでは3.5m/min以上、25kWで
は5m/min以上で欠陥の発生個数が激減することが
判明した。
【0023】すなわち、母材4の裏面側のシールド用の
不活性ガスの体積比が0(不活性ガスの分圧が0)の場
合における臨界条件(欠陥が多発するかまたは欠陥がほ
とんど発生しなくなるかの境界条件)は、レーザ出力が
大きくなると、高速溶接側にシフトすることが判明し
た。このことから、臨界条件は、母材4を貫通したレー
ザパワーと相関関係を有する可能性が高いことが予想さ
れた。そこで、これを確かめるべく、次の実験を行っ
た。
不活性ガスの体積比が0(不活性ガスの分圧が0)の場
合における臨界条件(欠陥が多発するかまたは欠陥がほ
とんど発生しなくなるかの境界条件)は、レーザ出力が
大きくなると、高速溶接側にシフトすることが判明し
た。このことから、臨界条件は、母材4を貫通したレー
ザパワーと相関関係を有する可能性が高いことが予想さ
れた。そこで、これを確かめるべく、次の実験を行っ
た。
【0024】図3は、実験に用いた装置を示す模式的縦
断面図で、母材4の裏面側には、レーザビーム1の貫通
部に発生するプラズマを除去するプラズマ除去用ガス
(Heガス)8を吹き付けるサイドガスノズル9と、母
材4を貫通したレーザビーム10のパワー(以下、「母
材貫通後のレーザパワー」という)を測定するためのパ
ワーメーター11が配置されている。
断面図で、母材4の裏面側には、レーザビーム1の貫通
部に発生するプラズマを除去するプラズマ除去用ガス
(Heガス)8を吹き付けるサイドガスノズル9と、母
材4を貫通したレーザビーム10のパワー(以下、「母
材貫通後のレーザパワー」という)を測定するためのパ
ワーメーター11が配置されている。
【0025】上記の装置を用い、レーザビーム1の出力
を種々変化(15、20および25kW)させる一方、
溶接速度を種々変化(1〜6m/min)させて1パス
貫通溶接した。この時、サイドガスノズル9から母材4
の裏面のレーザ貫通部にHeガス8を吹き付けてプラズ
マを事実上発生させないようにした状態のもとで、各条
件での母材貫通後のレーザパワーをパワーメーター11
で測定した。また、溶接は、サイドガスノズル9に対す
るHeガス8の供給を停止し、溶接部の裏側(母材4の
裏面側)を不活性ガスでシールドしない状態で行った。
そして、上記と同様の方法により、裏面ビード長さ50
0mm当たりの開口欠陥の発生個数とブローホールの発
生個数を調べた。
を種々変化(15、20および25kW)させる一方、
溶接速度を種々変化(1〜6m/min)させて1パス
貫通溶接した。この時、サイドガスノズル9から母材4
の裏面のレーザ貫通部にHeガス8を吹き付けてプラズ
マを事実上発生させないようにした状態のもとで、各条
件での母材貫通後のレーザパワーをパワーメーター11
で測定した。また、溶接は、サイドガスノズル9に対す
るHeガス8の供給を停止し、溶接部の裏側(母材4の
裏面側)を不活性ガスでシールドしない状態で行った。
そして、上記と同様の方法により、裏面ビード長さ50
0mm当たりの開口欠陥の発生個数とブローホールの発
生個数を調べた。
【0026】図4は、その測定結果を示す図で、縦軸に
母材を母材貫通後のレーザパワー、横軸に溶接速度を採
って示してある。また、図中、「○および●」印はレー
ザビーム1の出力が15kW、「△および▲」は20k
W、「□および■」印は25kWの場合を示している。
さらに、「○、△および□」印は開口欠陥の発生個数が
0(ゼロ)で、かつブローホールの発生個数が1個以下
の場合、「●、▲および■」印は開口欠陥の発生個数が
1個以上またはブローホールの発生個数が2個以上の場
合を示している。
母材を母材貫通後のレーザパワー、横軸に溶接速度を採
って示してある。また、図中、「○および●」印はレー
ザビーム1の出力が15kW、「△および▲」は20k
W、「□および■」印は25kWの場合を示している。
さらに、「○、△および□」印は開口欠陥の発生個数が
0(ゼロ)で、かつブローホールの発生個数が1個以下
の場合、「●、▲および■」印は開口欠陥の発生個数が
1個以上またはブローホールの発生個数が2個以上の場
合を示している。
【0027】図4に示す結果から、溶接部の裏側、すな
わち母材4の裏面を不活性ガスでシールドしない場合に
おける上記の臨界条件は、レーザビーム1の出力と溶接
速度の如何にかかわらず、母材貫通後のレーザパワーが
3kWの時であり、母材貫通後のレーザパワーが3kW
以下になる条件で1パス貫通溶接を行う場合には、開口
欠陥が発生せず、しかもブローホールもほとんど発生し
ないことが判明した。
わち母材4の裏面を不活性ガスでシールドしない場合に
おける上記の臨界条件は、レーザビーム1の出力と溶接
速度の如何にかかわらず、母材貫通後のレーザパワーが
3kWの時であり、母材貫通後のレーザパワーが3kW
以下になる条件で1パス貫通溶接を行う場合には、開口
欠陥が発生せず、しかもブローホールもほとんど発生し
ないことが判明した。
【0028】上記の臨界条件(母材貫通後のレーザパワ
ーが3kW)は、溶接部の裏側(母材4の裏面側)のシ
ールド雰囲気が異なれば変化することが予想される。
ーが3kW)は、溶接部の裏側(母材4の裏面側)のシ
ールド雰囲気が異なれば変化することが予想される。
【0029】そこで、前述の図1に示したように、母材
4の裏面側にシールドボックス5を配置し、このシール
ドボックス5に対してArガスの体積比を0.01〜1
の範囲で種々変化させたArガスと空気との混合ガスま
たはArガスを供給することによって溶接部の裏面側の
シールド雰囲気を種々変化させた以外は上記と同様の条
件で1パス貫通溶接し、各条件での母材貫通後のレーザ
パワーをパワーメーター11で測定する一方、上記と同
様の方法により、得られた裏面ビードの開口欠陥の発生
個数とブローホールの発生個数を調べた。
4の裏面側にシールドボックス5を配置し、このシール
ドボックス5に対してArガスの体積比を0.01〜1
の範囲で種々変化させたArガスと空気との混合ガスま
たはArガスを供給することによって溶接部の裏面側の
シールド雰囲気を種々変化させた以外は上記と同様の条
件で1パス貫通溶接し、各条件での母材貫通後のレーザ
パワーをパワーメーター11で測定する一方、上記と同
様の方法により、得られた裏面ビードの開口欠陥の発生
個数とブローホールの発生個数を調べた。
【0030】図5は、その調査結果を示す図で、縦軸に
母材貫通後のレーザパワー、横軸に溶接部裏側(母材の
裏面側)のシールド用不活性ガス(Arガス)の体積比
を採って示してある。また、図中、「○」印は開口欠陥
の発生個数が0(ゼロ)で、かつブローホールの発生個
数が1個以下の場合、「●」印は開口欠陥の発生個数が
1個以上またはブローホールの発生個数が2個以上の場
合を示している。
母材貫通後のレーザパワー、横軸に溶接部裏側(母材の
裏面側)のシールド用不活性ガス(Arガス)の体積比
を採って示してある。また、図中、「○」印は開口欠陥
の発生個数が0(ゼロ)で、かつブローホールの発生個
数が1個以下の場合、「●」印は開口欠陥の発生個数が
1個以上またはブローホールの発生個数が2個以上の場
合を示している。
【0031】図5に示す結果から、上記の臨界条件(母
材貫通後のレーザパワー3kW)は、溶接部裏側(母材
の裏面側)のシールド用不活性ガス(Arガス)の体積
比によって変化しており、母材貫通後のレーザパワーを
Pt (kW)、母材裏面のシールド用不活性ガスの体積
比をps とすると、「Pt =3.0/(1−ps )」の
曲線を描くことが判明した。
材貫通後のレーザパワー3kW)は、溶接部裏側(母材
の裏面側)のシールド用不活性ガス(Arガス)の体積
比によって変化しており、母材貫通後のレーザパワーを
Pt (kW)、母材裏面のシールド用不活性ガスの体積
比をps とすると、「Pt =3.0/(1−ps )」の
曲線を描くことが判明した。
【0032】そして、上記図5の関係は、詳細なデータ
の記載は省略するが、母材4の肉厚が異なる場合、およ
び母材裏面のシールド用の不活性ガスにHeガスまたは
Heガスと空気との混合ガスを用いた場合においても全
く同じであった。
の記載は省略するが、母材4の肉厚が異なる場合、およ
び母材裏面のシールド用の不活性ガスにHeガスまたは
Heガスと空気との混合ガスを用いた場合においても全
く同じであった。
【0033】すなわち、母材4の裏面側を不活性ガスを
用いてシールドしなくても、下記(1)式を満たす条件
で1パス貫通溶接すれば、ブローホールおよび開口欠陥
のない裏波(裏面ビード)を有する溶接部が得られる。
また、母材4の裏面側を不活性ガスを用いてシールドす
る場合でも、完全なシールド雰囲気にする必要はなく、
下記(2)式を満たす条件で1パス貫通溶接すれば、ブ
ローホールおよび開口欠陥のない裏波(裏面ビード)を
有する溶接部が得られることを知見した。
用いてシールドしなくても、下記(1)式を満たす条件
で1パス貫通溶接すれば、ブローホールおよび開口欠陥
のない裏波(裏面ビード)を有する溶接部が得られる。
また、母材4の裏面側を不活性ガスを用いてシールドす
る場合でも、完全なシールド雰囲気にする必要はなく、
下記(2)式を満たす条件で1パス貫通溶接すれば、ブ
ローホールおよび開口欠陥のない裏波(裏面ビード)を
有する溶接部が得られることを知見した。
【0034】 Pt (kW)<3.0 ・・・・・・・・・・ (1) Pt (kW)<3.0/(1−ps ) ・・・ (2)
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の1パス貫通溶接方法にお
いては、前述したように、必ずしも母材4の裏面側をシ
ールドボックス5(前述の図1および図5参照)でシー
ルドする必要はない。
いては、前述したように、必ずしも母材4の裏面側をシ
ールドボックス5(前述の図1および図5参照)でシー
ルドする必要はない。
【0036】ところが、実際の生産現場においては、種
々の事情によりやむをえず溶接速度を遅くする必要が生
じる。この場合、前述の図4に示す結果からわかるよう
に、母材4を貫通したレーザビーム10(前述の図3参
照)のパワー、すなわち母材材貫通後のレーザパワーP
t が大きくなって開口欠陥およびブローホールが発生す
るようになることがある。
々の事情によりやむをえず溶接速度を遅くする必要が生
じる。この場合、前述の図4に示す結果からわかるよう
に、母材4を貫通したレーザビーム10(前述の図3参
照)のパワー、すなわち母材材貫通後のレーザパワーP
t が大きくなって開口欠陥およびブローホールが発生す
るようになることがある。
【0037】しかし、このような場合、母材4の裏面側
にシールドボックス5を配置し、このシールドボックス
5内に上記の(2)式を満たす体積比のArガスまたは
Heガスと空気との混合ガスを供給して母材裏面のシー
ルドすると、前述の図5に示す結果からわかるように、
母材貫通後のレーザパワーPt が大きくても、開口欠陥
およびブローホールが発生することはない。
にシールドボックス5を配置し、このシールドボックス
5内に上記の(2)式を満たす体積比のArガスまたは
Heガスと空気との混合ガスを供給して母材裏面のシー
ルドすると、前述の図5に示す結果からわかるように、
母材貫通後のレーザパワーPt が大きくても、開口欠陥
およびブローホールが発生することはない。
【0038】
【実施例】肉厚が6mm、12mmおよび15mmの炭
素鋼からなる母材を準備し、前述の図1に示す装置を用
い、種々の溶接条件と母材裏面のシールド条件で1パス
貫通溶接を行った。
素鋼からなる母材を準備し、前述の図1に示す装置を用
い、種々の溶接条件と母材裏面のシールド条件で1パス
貫通溶接を行った。
【0039】ただし、シールドノズル2には、Heガス
を30リットル/min一定で供給し、溶接部表側の雰
囲気をHeガスで完全にシールドした。また、シールド
ボックス5には、Arガスの体積比を種々変化させたA
rガスと空気との混合ガスまたはArガスを50リット
ル/min一定で供給した。
を30リットル/min一定で供給し、溶接部表側の雰
囲気をHeガスで完全にシールドした。また、シールド
ボックス5には、Arガスの体積比を種々変化させたA
rガスと空気との混合ガスまたはArガスを50リット
ル/min一定で供給した。
【0040】そして、得られた溶接部を対象に、裏面ビ
ードの外観を観察し、裏面ビード500mm当たりの開
口欠陥の発生数を調べる一方、JIS Z 3104に
規定されるX線透過試験方法に準じて撮影したX線写真
に写っているビード長さ500mm当たりのブローホー
ルの発生個数を調べた。なお、ブローホールの発生個数
は、X線写真上の球状欠陥の総数から目視観察による開
口欠陥の発生個数を除いた個数とした。
ードの外観を観察し、裏面ビード500mm当たりの開
口欠陥の発生数を調べる一方、JIS Z 3104に
規定されるX線透過試験方法に準じて撮影したX線写真
に写っているビード長さ500mm当たりのブローホー
ルの発生個数を調べた。なお、ブローホールの発生個数
は、X線写真上の球状欠陥の総数から目視観察による開
口欠陥の発生個数を除いた個数とした。
【0041】また、各条件での母材4を貫通したレーザ
ビーム10のパワー(母材貫通後のレーザパワー)Pt
は、その溶接前に前述の図3に示す装置を用い、サイド
ガスノズル9から母材4の裏面のレーザ貫通部にHeガ
ス8を吹き付けてプラズマを事実上発生させないように
した状態で測定した。
ビーム10のパワー(母材貫通後のレーザパワー)Pt
は、その溶接前に前述の図3に示す装置を用い、サイド
ガスノズル9から母材4の裏面のレーザ貫通部にHeガ
ス8を吹き付けてプラズマを事実上発生させないように
した状態で測定した。
【0042】以上の調査結果を、表2に、溶接条件およ
び母材裏面のシールド条件と併せて示した。
び母材裏面のシールド条件と併せて示した。
【0043】
【表2】
【0044】表2に示す結果から明らかなように、本発
明で規定する条件を満たす母材貫通後のレーザパワーP
t で1パス貫通溶接を行った本発明例(No. 1、2、
4、7、8および10)では、レーザビーム1の出力お
よび溶接速度の如何にかかわらず、裏面ビードに開口欠
陥が発生せず、しかもブローホールも1個以下でほとん
ど発生しなかった。
明で規定する条件を満たす母材貫通後のレーザパワーP
t で1パス貫通溶接を行った本発明例(No. 1、2、
4、7、8および10)では、レーザビーム1の出力お
よび溶接速度の如何にかかわらず、裏面ビードに開口欠
陥が発生せず、しかもブローホールも1個以下でほとん
ど発生しなかった。
【0045】これに対し、本発明で規定する条件を満た
さない母材貫通後のレーザパワーPt で1パス貫通溶接
を行った比較例(No. 3、5、6、および9)では、裏
面ビードに開口欠陥が42個以上と多く発生し、しかも
ブローホールも90個以上と極めて多く発生した。
さない母材貫通後のレーザパワーPt で1パス貫通溶接
を行った比較例(No. 3、5、6、および9)では、裏
面ビードに開口欠陥が42個以上と多く発生し、しかも
ブローホールも90個以上と極めて多く発生した。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、1パスで裏波を形成さ
せる際、母材裏面を不活性ガスを用いて全くシールドし
なくても、またシールドする場合でも完全なシールド雰
囲気にせずとも、裏面ビードの開口欠陥および溶接部の
ブローホール発生を確実に防ぐこと可能である。
せる際、母材裏面を不活性ガスを用いて全くシールドし
なくても、またシールドする場合でも完全なシールド雰
囲気にせずとも、裏面ビードの開口欠陥および溶接部の
ブローホール発生を確実に防ぐこと可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験に用いた装置を示す模式的縦断面図であ
る。
る。
【図2】実験結果を示す図である。
【図3】実験に用いた装置を示す模式的縦断面図であ
る。
る。
【図4】実験結果を示す図である。
【図5】実験結果を示す図である。
1 :レーザビーム、 2 :シールドノズル、 3 :シールドガス流れ、 4 :母材、 5 :シールドボックス、 6 :供給口、 7 :排出口、 8 :プラズマ除去用ガス流れ、 9 :サイドガスノズル、 10:母材を貫通したレーザビーム、 11:パワーメーター。
Claims (2)
- 【請求項1】1パスで裏波を形成させる金属材料のレー
ザ溶接方法であって、母材を貫通したレーザパワーPt
(kW)が下式を満たす条件で溶接を行うことを特徴と
するレーザ溶接方法。 Pt <3.0 - 【請求項2】1パスで裏波を形成させる金属材料のレー
ザ溶接方法であって、母材の裏面を不活性ガスでシール
ドするとともに、母材を貫通したレーザパワーPt (k
W)が下式を満たす条件で溶接を行うことを特徴とする
レーザ溶接方法。 Pt <3.0/(1−ps ) ただし、 ps :母材裏面のシールド用不活性ガスの体積比
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10140739A JPH11320150A (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | レーザ溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10140739A JPH11320150A (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | レーザ溶接方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11320150A true JPH11320150A (ja) | 1999-11-24 |
Family
ID=15275593
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10140739A Pending JPH11320150A (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | レーザ溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11320150A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015526298A (ja) * | 2012-08-31 | 2015-09-10 | ポスコ | レーザ溶接方法及びこれを用いたレーザ溶接部材 |
CN112620940A (zh) * | 2020-12-02 | 2021-04-09 | 北京航星机器制造有限公司 | 一种柔性激光焊接气体保护装置及焊接方法 |
-
1998
- 1998-05-22 JP JP10140739A patent/JPH11320150A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015526298A (ja) * | 2012-08-31 | 2015-09-10 | ポスコ | レーザ溶接方法及びこれを用いたレーザ溶接部材 |
US20150314393A1 (en) * | 2012-08-31 | 2015-11-05 | Posco | Method for Laser Welding and Welded Metal Using the Same |
CN112620940A (zh) * | 2020-12-02 | 2021-04-09 | 北京航星机器制造有限公司 | 一种柔性激光焊接气体保护装置及焊接方法 |
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