JP3634819B2 - レーザ溶接方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被溶接材にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を溶接熱源とするレーザ溶接は、溶接熱源のエネルギ密度が高くかつ単位溶接長当りの入熱が小さいので、溶接部の溶込み幅に対する溶込み深さの比、いわゆる溶込み比(溶込み深さ/溶込み幅)を大きくして高能率溶接が可能であり、また溶接熱影響部を小さくして母材の熱変質を抑制することができる。さらにレーザ溶接は、同様の特性を有する電子ビーム溶接のように真空容器を必要とせず大気中において溶接が可能であるので、利便性が高く溶接加工に多用されている。
【0003】
図9は、従来のレーザ溶接方法の概略を示す図である。図9を参照して従来のレーザ溶接方法について説明する。従来のレーザ溶接方法に用いられるレーザ加工機1は、レーザ光を発振するレーザ光源2と、被溶接材3を臨むレーザ加工ヘッド4と、レーザ光源2から発光されるレーザ光5をレーザ加工ヘッド4まで導く光ファイバ6と、被溶接材3のレーザ照射部7に形成される溶融部を大気からシールドするためのシールドガスを供給するシールドガス供給手段8とを含む。
【0004】
レーザ加工ヘッド4には、光ファイバ6から出射するレーザ光5を略平行光にするコリメートレンズ9と、レーザ光5を被溶接材3の表面に集光する集光レンズ10とが装着される。
【0005】
シールドガス供給手段8は、シールドガスを貯留するたとえばガスボンベからなるガス供給源11と、ガス供給源11から送出されるシールドガスの圧力および流量を調整するガス調整器12と、シールドガスの流路である可撓性を有する管材からなるガス管路13と、ガス管路13に接続され被溶接材3に形成される前記溶融部に向けてシールドガスを噴出するシールドガスノズル14とを含む。
【0006】
従来のレーザ溶接方法では、レーザ光源2から発光されるレーザ光5がレーザ加工ヘッド4によって被溶接材3の表面に集光照射され、被溶接材3のレーザ照射部7が溶融して溶融部が形成され、その溶融部がシールドガス供給手段8のシールドガスノズル14から噴出されるたとえばArガスなどのシールドガスによって大気からシールドされて、健全な溶接部が形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図10は、従来のレーザ溶接方法による重ね溶接部の断面図である。従来のレーザ溶接方法においては、シールドガスは、シールドガスノズル14から被溶接材3に形成される溶融部に向けて開放された空間に噴出される。その噴出圧力は、(大気圧+0.1kg/cm)以下の低圧であるので、溶融部周辺の空間に低圧雰囲気が形成されるに過ぎない。このような従来のレーザ溶接方法によって、たとえば図9に示すような重ね継手に形成される溶接部15の断面は、溶接部の幅W1に対する溶接部の溶込み深さD1の比である溶込み比(D1/W1)が大きい、いわゆるワインカップ状と称せられる溶込み形状を呈する。
【0008】
ワインカップ状の溶込み形状を有する溶接部15は、溶込み比が大きいけれども、上被溶接材3aと下被溶接材3bとを接合している接合部16の溶込み幅W2は、前記溶接部の幅W1よりもさらに小さく、接合部16の強度が小さいという問題がある。
【0009】
前述のような接合部に大きい強度を必要とする溶接施工に、たとえば車両の車台と車体外板との接合や車体枠と車体外板との接合などに用いられる重ね溶接がある。このような溶接施工において、接合部の溶込み幅すなわち強度を大きくする手段として、溶接熱源のエネルギ密度が大きいレーザ溶接の代わりに、エネルギ密度がレーザ溶接よりも小さいタングステンイナートガス(TIG)溶接やプラズマ溶接、または抵抗スポット溶接などが用いられることもある。しかしながら、TIG溶接、プラズマ溶接または抵抗スポット溶接などは、レーザ溶接に比べて溶接作業の能率が低く、また単位溶接長当りの入熱が大きいので溶接部周辺の熱ひずみが大きいという問題がある。
【0010】
また車体外板の溶接において、車体が熱ひずみによって変形すると車両の商品価値が低下するので、ひずみ取り作業を行わなければならない。したがって、TIG溶接、プラズマ溶接または抵抗スポット溶接などの熱ひずみが大きい溶接施工方法では、外観を良好にするためのひずみ取り工程における作業負荷が大きくなるという問題がある。このようなことから、単位溶接長当りの溶接入熱が少なくて熱ひずみが小さく、高能率でかつ溶接部の接合強度にも優れる溶接方法が望まれている。
【0011】
またレーザ溶接は、前述のようにワインカップ状の溶込み形状を有し溶融部の溶込み幅が狭いので、レーザ溶接を突合せ継手の溶接に用いるに際しては、突合せ継手の開先精度および開先の組立精度を高めるとともに、レーザ光の照射位置精度も高める必要がある。したがって、レーザ溶接を突合せ継手の溶接に用いるとき、被溶接材の開先加工およびレーザ溶接に高度の技量が必要となるので、作業者の技量によって品質にばらつきが生じるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、溶接継手の開先加工精度およびレーザ光の照射位置精度の許容範囲が大きく、溶接部の接合強度を容易に向上することができるレーザ溶接方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属からなる被溶接材にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接方法において、
レーザ光が照射されることによって被溶接材に形成される溶融部をシールドするシールドガスの圧力であって被溶接材上のレーザ照射部における圧力が、(大気圧+0.1kg/cm2)を超え、(大気圧+0.3kg/cm2)未満であることを特徴とするレーザ溶接方法である。
【0014】
本発明に従えば、レーザ光の照射によって被溶接材に形成される溶融部をシールドするシールドガスの圧力であって被溶接材上のレーザ照射部における圧力は、(大気圧+0.1kg/cm2)を超え、(大気圧+0.3kg/cm2)未満になるように調整される。このことによって、レーザ溶接部の断面形状は、略楕円状に形成される。したがって、シールドガスの圧力を所望の値になるように調整するという容易な方法によって、溶接部断面における溶込み幅は、ワインカップ状の溶込み形状に比べて大きくなるので、溶接継手の溶接前加工精度およびレーザ光の照射位置精度を粗く設定することができ、また接合強度の向上が実現される。
【0015】
また本発明は、前記シールドガスは、He,Ar,NおよびCOからなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、シールドガスには、He,Ar,NおよびCOからなる群より選択される1種または2種以上が用いられる。He,Ar,NおよびCOガスは、いずれも工業的に生産されるガスであり、入手が容易であるので、本発明のレーザ溶接方法の汎用性を高めることができる。
【0017】
また本発明は、前記被溶接材は複数からなり、複数の被溶接材が重ね継手を形成することを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、被溶接材は複数からなり、複数の被溶接材が重ね継手を形成する。被溶接材にレーザ光が照射されて形成される溶接部の断面形状が略楕円形を有するので、重ね継手における接合部の溶込み幅が大きくなる。このことによって、重ね継手接合部の接合強度の向上が実現される。
【0019】
また本発明は、前記被溶接材は複数からなり、複数の被溶接材が突合せ継手を形成することを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、被溶接材は複数からなり、複数の被溶接材が突合せ継手を形成する。被溶接材にレーザ光が照射されて形成される溶接部の断面形状が略楕円形を有するので、突合せ継手における接合部の溶込み幅が大きくなる。このことによって、突合せ継手を構成する開先の加工精度および突合せ継手の組立て精度を粗く設定することができるとともに、突合せ継手の溶接狙い位置に対するレーザ光の照射位置精度を粗く設定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施に用いられるレーザ加工機20の構成を簡略化して示す系統図である。レーザ加工機20は、レーザ光を発振するレーザ光源21と、被溶接材22を臨むレーザ加工ヘッド23と、レーザ光源21から発光されるレーザ光24をレーザ加工ヘッド23まで導く光ファイバ25と、被溶接材22のレーザ照射部26に形成される溶融部を大気からシールドするためのシールドガスを供給するシールドガス供給手段27とを含む。
【0022】
本実施の形態では、レーザ光源21には、たとえば固体レーザであるYAGレーザが用いられる。被溶接材22には、たとえば日本工業規格(JIS)G 4305に規定されるSUS304ステンレス鋼板などが用いられる。
【0023】
レーザ加工ヘッド23は、金属製であり、有底円筒状のヘッド本体28と、中空円錐台状のノズルキャップ29とを含む。ヘッド本体28には、光ファイバ25から出射するレーザ光24を略平行光にするコリメートレンズ30と、レーザ光24を被溶接材22の表面に集光する集光レンズ31とが装着される。ノズルキャップ29には、ノズルキャップ29を厚さ方向に貫通するガス供給孔32が形成される。
【0024】
ノズルキャップ29のガス供給孔32には、可撓性を有する管材からなるガス管路33の一端部が接続される。ガス管路33の他端部は、シールドガスの圧力と流量とを調整するガス調整器34に接続される。ガス調整器34は、シールドガスを貯留するボンベであるガス供給源35に設けられる。ガス供給源35と、ガス調整器34と、ガス管路33とは、シールドガス供給手段27を構成する。本実施の形態では、シールドガスにArガスを用いる。
【0025】
ガス供給源35に貯留されるArガスは、ガス調整器34によって圧力と流量とが調整されてガス管路33に送出される。ガス管路33を流過したArガスは、ノズルキャップ29のガス供給孔32を通ってノズルキャップ29の内部空間36に達する。ノズルキャップ29の内部空間36を充満したArガスは、被溶接材22を臨むノズルキャップ29の開口部37から、被溶接材22のレーザ照射部26に形成される溶融部に向けて吹付けられる。
【0026】
シールドガスであるArガスの圧力は、以下のようにして測定する。レーザ光が被溶接材22に照射されていない状態で、シールドガス供給手段27によってArガスをノズルキャップ29の開口部37から被溶接材22に吹付け、Arガスが吹付けられている位置の被溶接材22の表面に、たとえばマノメータなどの圧力検出器を設けてArガスの圧力を測定する。Arガスの圧力値の調整は、前述のガス調整器34によって行う。
【0027】
本発明のレーザ溶接方法では、レーザ光源21から発光されるレーザ光24がレーザ加工ヘッド23によって被溶接材22の表面に集光照射され、被溶接材22のレーザ照射部26が溶融して溶融部が形成され、その溶融部が、前述のようにしてシールドガス供給手段27から供給されるArガスであって、(大気圧+0.1kg/cm)を超え、(大気圧+0.3kg/cm)未満の範囲内に圧力調整されたArガスによってシールドされる。このことによって、被溶接材22には、断面形状が略楕円形の溶込み形状を有する溶接部が形成される。
【0028】
なお、溶接線方向への移動は、レーザ加工ヘッド23をたとえばマウントに装着し、マウントに駆動手段を設け、マウントを移動させることによって実現できる。また被溶接材22を、駆動手段を備えて多軸方向に移動可能なテーブル上に載置し、テーブルを移動させることによって溶接線方向への移動を実現してもよい。
【0029】
以下にシールドガスの圧力範囲限定理由について説明する。シールドガス圧力が、(大気圧+0.1kg/cm)以下では、断面形状がワインカップ状の溶込み形状を有する溶接部が形成されるので、溶接部の接合強度の向上および継手を構成する開先加工精度の許容範囲拡大を実現することができない。シールドガス圧力が、(大気圧+0.3kg/cm)以上では、溶融部がガウジング状態になるので、溶融金属の溶落ちが発生して被溶接材が切断される。したがって、シールドガス圧力は、(大気圧+0.1kg/cm)を超え、(大気圧+0.3kg/cm)未満に設定され、特に(大気圧+0.2kg/cm)付近に設定されることが好ましい。
【0030】
このような略楕円形の溶込み形状を形成することのできるレーザ溶接方法を、重ね継手溶接に用いるとき、重ね継手における接合部の溶込み幅が大きくなるので、接合部の接合強度の向上が可能になり、また突合せ継手溶接に用いるとき、突合せ継手における接合部の溶込み幅が大きくなるので、突合せ継手を構成する開先の加工精度および突合せ継手の組立て精度を粗く設定することができるとともに、突合せ継手の溶接狙い位置に対するレーザ光の照射位置精度を粗く設定することが可能になる。
【0031】
(実施例)
以下に本発明の実施例を説明する。レーザ加工機20と被溶接材として前述のJISに規定されるSUS304ステンレス鋼板とを準備し、表1に示す条件にてレーザ溶接を実施した。SUS304ステンレス鋼板は、厚み:2mm、幅:100mm、長さ:150mmの試料1と、厚み:4mm、幅:100mm、長さ:150mmの試料2とを用いた。
【0032】
厚み:4mmの試料2には、ビードオンプレート溶接を施し、厚み:2mmの試料1は、鋼板を2枚重ねて重ね溶接を施した。シールドガスにはArガスを用い、本発明の実施例としてArガスの圧力を(大気圧+0.2kg/cm)に設定して溶接し、比較例としてArガスの圧力を(大気圧+0.1kg/cm)および(大気圧+0.3kg/cm)に設定して溶接した。
【0033】
溶接施工後、被溶接材に形成された溶接線方向に垂直な方向に切断し、切断面を研磨し、シュウ酸電解法によってエッチングした後、マクロ写真を撮影した。撮影したマクロ写真から溶込み形状を測定した。
【0034】
【表1】
Figure 0003634819
【0035】
(実施例1)
実施例1では、ビートオンプレート溶接を施した試料2の溶込み形状を、本発明の実施例と比較例とで比較した。試料2のビードオンプレートにおける溶込み形状は、「溶込み深さ」と、溶接ビード表面における溶込み幅である「表面ビード幅」と、厚み方向に深さが溶込み深さの2分の1の位置における溶込み幅である「中間ビード幅」とを測定した。
【0036】
図2はビードオンプレート溶接における溶込み形状の測定結果を示す図であり、図3はビードオンプレート溶接における溶込み形状を示すマクロ写真である。図2中において、黒塗りの印は実施例のシールドガス圧力:(大気圧+0.2kg/cm)によるデータを示し、白抜きの印は比較例のシールドガス圧力:(大気圧+0.1kg/cm)によるデータを示す。なお図2および図3中では、シールドガス圧力を大気圧に対する差圧値のみで表記する。以後の図においてもシールドガス圧力を同様に表記する。また図2中に示すスタンドオフ量とは、被溶接材22を臨むノズルキャップ29の先端と被溶接材22の表面との距離である。
【0037】
ライン41は、実施例の「溶込み深さ」を示し、ライン42は、実施例の「表面ビード幅」を示し、ライン43は、実施例の「中間ビード幅」を示す。またライン44は、比較例の「溶込み深さ」を示し、ライン45は、比較例の「表面ビード幅」を示し、ライン46は、比較例の「中間ビード幅」を示す。
【0038】
図2に示すように、いずれの加工速度においても、比較例に比べて実施例は、表面ビード幅が小さく、中間ビード幅が大きい。加工速度が2〜4m/minにおける実施例では、表面ビード幅と中間ビード幅とがほぼ等しく、被溶接材の表面に形成されるビード幅のまま深さ方向に溶込みの形成されることが判る。実施例と比較例との溶込み形状を比較すると、図3のマクロ写真に明らかなように、比較例ではワインカップ状の溶込み形状を有する溶接部が形成されたのに対して、実施例では略楕円形の溶込み形状を有する溶接部が形成された。
【0039】
(実施例2)
実施例2では、重ね溶接を施した試料1の溶込み形状を、本発明の実施例と比較例とで比較した。実施例2では、加工速度を1〜3m/min(後述の重ねギャップ:0mmの場合は、1〜4m/min)とし、重ね継手を形成しレーザ加工ヘッド23を臨む側に位置する上被溶接材(以後、上板と呼ぶ)と上板に関してレーザ加工ヘッド23と反対側に位置する下被溶接材(以後、下板と呼ぶ)との重ね部分の間隙である重ねギャップが、0mm、0.1mmおよび0.2mmの場合のそれぞれについて重ね溶接した。
【0040】
試料1の重ね溶接における溶込み形状は、上板と下板とが接合される位置の溶込み幅である「溶融金属幅」を測定した。なお、重ねギャップが0.1mmおよび0.2mmの場合、上板の下板を臨む側の表面における溶融金属幅と、下板の上板を臨む側の表面における溶融金属幅とを測定した。
【0041】
図4〜図8に結果を示す。図4は重ねギャップ:0mmにおける溶融金属幅の測定結果を示す図であり、図5は重ねギャップ:0.1mmにおける溶融金属幅の測定結果を示す図であり、図6は重ねギャップ:0.2mmにおける溶融金属幅の測定結果を示す図である。また図7は重ねギャップ:0mmの重ね溶接における溶込み形状を示すマクロ写真であり、図8は重ねギャップ:0.1および0.2mmの重ね溶接における溶込み形状を示すマクロ写真である。
【0042】
図4〜図6において、黒塗りの印は実施例のシールドガス圧力:(大気圧+0.2kg/cm)によるデータを示し、白抜きの印は比較例のシールドガス圧力:(大気圧+0.1kg/cm)によるデータを示す。
【0043】
図4中のライン47は、実施例の「溶融金属幅」を示し、ライン48は、比較例の「溶融金属幅」を示す。図5中のライン49は実施例上板の「溶融金属幅」、ライン50は実施例下板の「溶融金属幅」、ライン51は比較例上板の「溶融金属幅」およびライン52は比較例下板の「溶融金属幅」を示す。図6中のライン53は実施例上板の「溶融金属幅」、ライン54は実施例下板の「溶融金属幅」、ライン55は比較例上板の「溶融金属幅」およびライン56は比較例下板の「溶融金属幅」を示す。
【0044】
なお、シールドガス圧力が(大気圧+0.3kg/cm)の場合、図7の重ねギャップ:0mmのマクロ写真に溶込み形状を例示するように、ガウジング状態になり溶接不良が発生したので、いずれの溶接速度においても「溶融金属幅」を測定しなかった。
【0045】
重ねギャップ:0mm、加工速度:1および2m/minである場合の溶融金属幅と、重ねギャップ:0.1および0.2mm、加工速度:2m/minである場合の溶融金属幅とを、実施例と比較例とで比べると、実施例の溶融金属幅は、比較例の溶融金属幅に比べて大きいことが判る。また図7および図8のマクロ写真に示すように、重ねギャップ:0,0.1および0.2mmにおける実施例の溶込み形状は、明らかに略楕円形であり、比較例であるシールドガス圧力が(大気圧+0.1kg/cm)の場合におけるワインカップ状の溶込み形状とは異なる形状に形成された。
【0046】
なお、実施例2では、加工速度:3m/minにおいて実施例と比較例との間の溶融金属幅に差異が認められなかった。これは、加工速度が速いので単位溶接長当りの溶接入熱が不足して溶込み深さが小さくなり、略楕円形状を有する溶込みの深さ方向の先端部が、上板と下板との接合部にわずかに達するにとどまったことによる。したがって、レーザ照射出力を実施例2における設定値:3.0kWを超える出力に設定し、単位溶接長当りの溶接入熱を増加して溶接することによって、加工速度が3m/minの場合においても、大きいビード幅のまま溶込み深さを増大するという本発明のシールドガス圧力の作用によって、溶融金属幅を大きくすることが可能と思われる。
【0047】
また、図8のマクロ写真に示すように、重ねギャップが存在する場合には、シールドガス圧力の作用によって、溶融金属がギャップ部に広がることにより、溶融金属幅がさらに大きくなっていることが観察される。
【0048】
以上に述べたように、本実施の形態では、レーザ光源21には、YAGレーザが用いられるけれども、これに限定されることなく、その他の固体レーザまたはたとえば炭酸ガスレーザなどのガスレーザが用いられてもよい。またシールドガスには、Arガスが用いられるけれども、これに限定されることなく、Heガス、NガスまたはCOガスのいずれかが用いられてもよく、またArガスも含めた群より選択される2種以上を含む混合ガスが用いられてもよい。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、レーザ光の照射によって被溶接材に形成される溶融部をシールドするシールドガスの圧力であって被溶接材上のレーザ照射部における圧力は、(大気圧+0.1kg/cm2)を超え、(大気圧+0.3kg/cm2)未満になるように調整される。このことによって、レーザ溶接部の断面形状は、略楕円状に形成される。したがって、シールドガスの圧力を所望の値になるように調整するという容易な方法によって、溶接部断面における溶込み幅は、ワインカップ状の溶込み形状に比べて大きくなるので、溶接継手の溶接前加工精度およびレーザ光の照射位置精度を粗く設定することができ、また接合強度の向上が実現される。
【0050】
また本発明によれば、シールドガスには、He,Ar,NおよびCOからなる群より選択される1種または2種以上が用いられる。He,Ar,NおよびCOガスは、いずれも工業的に生産されるガスであり、入手が容易であるので、本発明のレーザ溶接方法の汎用性を高めることができる。
【0051】
また本発明によれば、被溶接材は複数からなり、複数の被溶接材が重ね継手を形成する。被溶接材にレーザ光が照射されて形成される溶接部の断面形状が略楕円形を有するので、重ね継手における接合部の溶込み幅が大きくなる。このことによって、重ね継手接合部の接合強度の向上が実現される。
【0052】
また本発明によれば、被溶接材は複数からなり、複数の被溶接材が突合せ継手を形成する。被溶接材にレーザ光が照射されて形成される溶接部の断面形状が略楕円形を有するので、突合せ継手における接合部の溶込み幅が大きくなる。このことによって、突合せ継手を構成する開先の加工精度および突合せ継手の組立て精度を粗く設定することができるとともに、突合せ継手の溶接狙い位置に対するレーザ光の照射位置精度を粗く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いられるレーザ加工機20の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】ビードオンプレート溶接における溶込み形状の測定結果を示す図である。
【図3】ビードオンプレート溶接における溶込み形状を示すマクロ写真である。
【図4】重ねギャップ:0mmにおける溶融金属幅の測定結果を示す図である。
【図5】重ねギャップ:0.1mmにおける溶融金属幅の測定結果を示す図である。
【図6】重ねギャップ:0.2mmにおける溶融金属幅の測定結果を示す図である。
【図7】重ねギャップ:0mmの重ね溶接における溶込み形状を示すマクロ写真である。
【図8】重ねギャップ:0.1および0.2mmの重ね溶接における溶込み形状を示すマクロ写真である。
【図9】従来のレーザ溶接方法の概略を示す図である。
【図10】従来のレーザ溶接方法による重ね溶接部の断面図である。
【符号の説明】
20 レーザ加工機
21 レーザ光源
22 被溶接材
23 レーザ加工ヘッド
24 レーザ光
25 光ファイバ
26 レーザ照射部
27 シールドガス供給手段

Claims (4)

  1. 金属からなる被溶接材にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接方法において、
    レーザ光が照射されることによって被溶接材に形成される溶融部をシールドするシールドガスの圧力であって被溶接材上のレーザ照射部における圧力が、(大気圧+0.1kg/cm2)を超え、(大気圧+0.3kg/cm2)未満であることを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 前記シールドガスは、
    He,Ar,NおよびCOからなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記被溶接材は複数からなり、
    複数の被溶接材が重ね継手を形成することを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接方法。
  4. 前記被溶接材は複数からなり、
    複数の被溶接材が突合せ継手を形成することを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接方法。
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