JPH11320040A - 冷却ロールおよび磁石材料の製造方法 - Google Patents

冷却ロールおよび磁石材料の製造方法

Info

Publication number
JPH11320040A
JPH11320040A JP10135801A JP13580198A JPH11320040A JP H11320040 A JPH11320040 A JP H11320040A JP 10135801 A JP10135801 A JP 10135801A JP 13580198 A JP13580198 A JP 13580198A JP H11320040 A JPH11320040 A JP H11320040A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling roll
peripheral surface
cooling
magnet material
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10135801A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kato
洋 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP10135801A priority Critical patent/JPH11320040A/ja
Publication of JPH11320040A publication Critical patent/JPH11320040A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】急冷薄帯製造装置の構造を複雑にすることな
く、高い磁気特性の磁石材料を製造することができる冷
却ロールおよび磁石材料の製造方法を提供する。 【解決手段】急冷薄帯製造装置1は、筒体2と、加熱用
のコイル4と、筒体2に対し回転する冷却ロール5とを
備えている。筒体2の下端には、磁石材料の溶湯6を射
出するノズル3が形成されている。冷却ロール5の両エ
ッジ部には、それぞれ回転軸50の方向に向って突出す
る凸条55が形成されている。ヘリウムガスのような不
活性ガス(雰囲気ガス)中で、溶湯6をノズル3から射
出し、回転する冷却ロール5の周面53に衝突させ、冷
却固化して、急冷薄帯8を製造する。この場合、冷却ロ
ール5の回転に起因して、雰囲気ガスのガス流が発生す
るが、凸条55により、このガス流が冷却ロール5の側
方から周面53に流入するのが阻止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却ロールおよび
磁石材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁石材料として、希土類元素を含む合金
で構成される希土類磁石材料は、高い磁気特性を有する
ため、モータ等に用いられた場合に、高性能を発揮す
る。
【0003】このような磁石材料は、例えば急冷薄帯製
造装置を用いた急冷法により製造される。以下、この製
造方法を説明する。
【0004】図21は、従来の磁石材料を単ロール法に
より製造する装置(急冷薄帯製造装置)における溶湯の
冷却ロールへの衝突部位付近の状態を示す断面側面図で
ある。
【0005】同図に示すように、所定の合金組成の磁石
材料(以下「合金」と言う)を溶融し、その溶湯60を
図示しないノズルから射出し、ノズルに対して図21中
矢印A方向に回転している冷却ロール500の周面53
0に衝突させ、この周面530と接触させることにより
合金を急冷、凝固し、薄帯状(リボン状)の合金を連続
的に形成する。この薄帯状の合金は、急冷薄帯と呼ば
れ、速い冷却速度で凝固された結果、そのマクロ組織
は、微細な多結晶が集合した状態となっており、優れた
磁気特性を発揮する。なお、図21中、溶湯60の凝固
界面710を点線で示す。
【0006】ここで、希土類元素は、酸化され易く、酸
化されると磁気特性が低下するため、前記急冷薄帯80
の製造は、主としてアルゴンガス中で行われていた。
【0007】そのため、冷却ロール500の回転に起因
して、アルゴンガスのガス流10が発生し、このガス流
10が、冷却ロール500の側方から周面530に流入
する。そして、このガス流10がパドル(=ノズルから
射出された溶湯60が冷却ロール500の周面530に
衝突した部位に生じる湯溜り)70に当たり、その一部
が冷却ロール500の周面530と急冷薄帯80のロー
ル面(冷却ロール500の周面530と接触する面)8
10との間に侵入し、これが原因で、急冷薄帯80のロ
ール面810にディンプル(凹部)9が生じる。
【0008】特に、このディンプル9が生じると、ディ
ンプル部分においては、気体の介在により冷却ロール5
00の周面530との接触不良が生じ、冷却速度が低下
して、急速な凝固が妨げられる。そのため、ディンプル
9が生じた部位では、合金の結晶粒径が粗大化し、磁気
特性が低下する。
【0009】従って、このような低磁気特性の部分を含
む急冷薄帯を用いて製造された永久磁石も、同様に、磁
気特性の低下が見られ、また、耐食性も低下する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述した問題を解決す
るためには、例えば、急冷薄帯製造装置の冷却ロール5
00の近傍に、ガス流10がパドル70に当たるのを防
止するための風防を設けることが考えられる。
【0011】しかしながら、風防を設けると、急冷薄帯
製造装置の構造が複雑になるとともに、その風防の位置
合わせに手間がかかるという欠点がある。
【0012】また、風防と冷却ロール500との間には
隙間が必要なので、ガス流10が、その隙間を通り、冷
却ロール500の側方から周面530に流入してしまう
という問題がある。
【0013】この隙間からのガス流10の流入を抑制す
るためには、冷却ロール500に風防をより接近させる
のがよいが、冷却ロール500自体の寸法精度(真円
度)や、冷却ロール500の軸受けに対する取り付け精
度等から、冷却ロール500が回転するに際し、若干の
偏心(軸振れ)が生じるので、冷却ロール500に風防
を接近させることができず、風防としての機能を十分に
発揮させることが困難である。
【0014】本発明は、以上の点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、急冷薄帯製造装置の構造を複雑に
することなく、高い磁気特性の磁石材料を製造すること
ができる冷却ロールおよび磁石材料の製造方法を提供す
ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(9)の本発明により達成される。
【0016】(1) 回転可能に支持され、磁石材料の
溶湯をその周面に衝突させ、冷却固化して、薄帯状の磁
石材料を製造するための冷却ロールであって、冷却ロー
ルの回転に起因して発生するガス流が、前記冷却ロール
の側方から前記周面に流入するのを阻止する阻止手段を
冷却ロール自体に設けたことを特徴とする冷却ロール。
【0017】(2) 前記阻止手段は、前記冷却ロール
のエッジ部またはその近傍に設けられた少なくとも1つ
の凸条である上記(1)に記載の冷却ロール。
【0018】(3) 前記阻止手段は、前記冷却ロール
の両エッジ部のそれぞれに設けられた一対の凸条である
上記(1)に記載の冷却ロール。
【0019】(4) 前記凸条は、前記冷却ロールの回
転軸に略平行な方向に向って突出している上記(2)ま
たは(3)に記載の冷却ロール。
【0020】(5) 前記凸条は、前記冷却ロールの略
径方向に向って突出している上記(2)または(3)に
記載の冷却ロール。
【0021】(6) 前記凸条の横断面形状は、矩形、
三角形または扇形である上記(2)ないし(5)のいず
れかに記載の冷却ロール。
【0022】(7) 冷却ロールの冷却面部分の直径を
L、前記凸条の突出方向の高さをaとしたとき、a/L
が、1×10−4〜5×10−1である上記(2)ない
し(6)のいずれかに記載の冷却ロール。
【0023】(8) 前記冷却ロールの回転に伴う該冷
却ロールの周面の最大偏心量が、得られる薄帯状の磁石
材料の平均厚さの2倍以下である上記(1)ないし
(7)のいずれかに記載の冷却ロール。
【0024】(9) 上記(1)ないし(8)のいずれ
かに記載の冷却ロールを用い、雰囲気ガス中で、磁石材
料の溶湯をノズルから射出し、前記ノズルに対し回転し
ている前記冷却ロールの周面に衝突させ、冷却固化し
て、薄帯状の磁石材料を製造することを特徴とする磁石
材料の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の冷却ロールおよび
磁石材料の製造方法を添付図面に示す好適実施例に基づ
いて詳細に説明する。
【0026】図1は、本発明の冷却ロールの第1実施例
と、その冷却ロールを用い、磁石材料を単ロール法によ
り製造する装置(急冷薄帯製造装置)の構成例とを示す
斜視図、図2は、図1に示す冷却ロールの正面図、図3
は、図1に示す冷却ロールの断面図、図4は、図1に示
す装置における溶湯の冷却ロールへの衝突部位付近の状
態を示す断面側面図である。
【0027】これらの図に示すように、急冷薄帯製造装
置1は、磁石材料を収納し得る筒体2と、該筒体2に対
し図中矢印A方向に回転する冷却ロール5とを備えてい
る。筒体2の下端には、磁石材料の溶湯6を射出するノ
ズル(オリフィス)3が形成されている。
【0028】また、筒体2のノズル3近傍の外周には、
加熱用のコイル4が配置され、このコイル4に例えば高
周波を印加することにより、筒体2内を加熱(誘導加
熱)し、筒体2内の磁石材料を溶融状態にする。
【0029】冷却ロール5は、基部と、ロール周面を形
成する表面層とで構成されていてもよく(基部と表面層
との境界は図示せず)、また、これらが一体化されてい
てもよい。
【0030】冷却ロール5が基部と表面層とで構成され
ている場合、基部は、例えば銅または銅系合金のような
熱伝導率の高い金属材料で構成されているのが好まし
く、表面層は、基部と同等の熱伝導率を有する金属材料
か、または基部より熱伝導率が低い金属材料で構成され
ているのが好ましい。これにより、急冷薄帯8のロール
面81側とフリー面(冷却ロール5と接触しない側の
面)82側との冷却速度の差をより小さくすることがで
き、結晶粒径の均一化を図ることができる。
【0031】なお、本発明では、冷却ロール5の構成材
料は、前述したものに限定されるものではない。
【0032】この冷却ロール5は、それ自体に設けられ
た一対の凸条(阻止手段)55、55を有している。こ
れらの凸条(リブ)55は、後述するガス流10が冷却
ロール5の側方から周面53に流入するのを阻止するた
めのものであり、冷却ロール5の一方のエッジ部54
と、他方のエッジ部54とに対称に形成されている。
【0033】また、各凸条55は、それぞれ、冷却ロー
ル5の回転軸(軸線)50に平行な方向に向って突出し
ている。
【0034】また、図3に示すように、各凸条55の横
断面形状は、それぞれ、矩形(四角形)である。これに
より、より確実に、ガス流10が冷却ロール5の側方か
ら周面53に流入するのを阻止することができる。
【0035】各凸条55の寸法(高さa、厚さb等)
は、特に限定されず、冷却ロール5の冷却面(周面5
3)の部分の直径等の諸条件に応じて適宜設定される。
【0036】この場合、図2および図3に示すように、
冷却ロール5の冷却面(周面53)の部分の直径(以
下、単に「冷却ロール5の直径」と言う)をL、凸条5
5の突出方向の高さをaとしたとき、a/Lが、1×1
−4〜5×10−1であるのが好ましく、1×10
−3〜2×10−1であるのがより好ましい。
【0037】a/Lが前記上限を超えると、冷却ロール
5が大型化し、また、冷却ロール5の回転に伴う回転モ
ーメントが大きくなり、凸条55の寸法精度が悪い場合
には、冷却ロール5の周面53の後述する最大偏心量を
大きくする原因となる。
【0038】また、a/Lが前記下限未満であると、ガ
ス流10の流速等の条件によっては、ガス流10が冷却
ロール5の側方から周面53に流入することがある。
【0039】冷却ロール5は、凸条55が一体的に形成
されていてもよく、また、凸条55が別体として接合さ
れていてもよい。
【0040】凸条55を一体的に形成する場合には、例
えば、切削加工等により前記凸条55を形成することが
できる。
【0041】また、凸条55を別体とする場合には、例
えば、冷却ロール5の基部に対し、その基部より幅の広
い円筒状の表面層を接合することにより、前記凸条55
を形成することができる。
【0042】このような急冷薄帯製造装置1は、チャン
バー(図示せず)内に設置され、該チャンバー内に不活
性ガスやその他の雰囲気ガスが充填された状態で作動す
る。特に、急冷薄帯8の酸化を防止するために、雰囲気
ガスは、不活性ガスであるのが好ましい。不活性ガスと
しては、例えばアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス
等が挙げられるが、特にヘリウムガスが好ましい。
【0043】急冷薄帯製造装置1では、筒体2内に磁石
材料を入れ、コイル4により加熱して溶融し、その溶湯
6をノズル3から射出すると、図4に示すように、溶湯
6は、冷却ロール5の周面53に衝突し、パドル(湯溜
り)7を形成した後、回転する冷却ロール5の周面53
に引きずられつつ急速に冷却されて凝固し、急冷薄帯8
が連続的または断続的に形成される。このようにして形
成された急冷薄帯8は、やがて、そのロール面81が周
面53から離れ、図1中の矢印B方向に進行する。な
お、図4中、溶湯6の凝固界面71を点線で示す。
【0044】冷却ロール5の周速度は、合金溶湯の組
成、周面53の状態等によりその好適な範囲が異なる
が、通常、1〜60m/秒であるのが好ましく、5〜4
0m/秒であるのがより好ましい。冷却ロール5の周速
度が遅すぎると、結晶粒径が増大し、逆に冷却ロール5
の周速度が速すぎると、非晶質となり、いずれの場合に
も、磁気特性が低下する。
【0045】このような急冷薄帯製造装置1を用いた急
冷薄帯の製造においては、冷却ロール5の回転に起因し
て、特に冷却ロール5の側方において、雰囲気ガスのガ
ス流(ガス粘性流)10が発生する。
【0046】前述したように、冷却ロール5には凸条5
5が形成されているので、冷却ロール5の側方からの前
記ガス流10が、この凸条55によって遮られる。すな
わち、この凸条55により、ガス流10が冷却ロール5
の側方から周面53に流入してパドル7に当たるのが阻
止される。
【0047】これにより、冷却ロール5の周面53と急
冷薄帯8のロール面81との間へのガス流10の侵入が
抑制され、ロール面81へのディンプル(凹部)9の形
成、特に巨大なディンプル9の形成が防止または抑制さ
れる。これにより、急冷薄帯8は、速い冷却速度で冷却
され、結晶粒の粗大化が防止され、よって、磁気特性
(磁束密度、保磁力、角型性等)が向上する。
【0048】また、図21に示す急冷薄帯80のディン
プル9の部分から得られた磁石粉末を用いてボンド磁石
を製造した場合、そのような磁石粉末は、結合樹脂との
結合性(結合樹脂の濡れ性)が悪く、そのため、このボ
ンド磁石は、機械的強度が低く、熱安定性(耐熱性)、
耐食性が劣るものとなるが、本発明のように、ディンプ
ル9の発生が抑制された場合、このような問題が解消さ
れ、高機械的強度で、耐熱性、耐食性に優れるボンド磁
石が得られる。
【0049】ところで、急冷薄帯製造装置1において
は、冷却ロール5自体の寸法精度(真円度)や、冷却ロ
ール5の軸受けに対する取り付け精度等から、冷却ロー
ル5が回転するに際し、図5に示すように、若干の偏心
(軸振れ)が生じる。この偏心が大きいと、パドル7に
おける溶融合金の表面や凝固界面71が振動し、得られ
た急冷薄帯8の寸法(幅w、厚さt)に変動が生じた
り、急冷薄帯8のロール面81が冷却ロール5の周面5
3と接触している時間に変動が生じたりする。さらに、
ディンプル9の発生率も高まる。その結果、急冷薄帯8
の冷却速度等が変動し、磁気特性にバラツキが生じる。
そして、このような急冷薄帯8から得られた磁石粉末や
それを用いたボンド磁石は、磁気特性が低下する。
【0050】このようなことを防止するために、本発明
では、冷却ロール5の回転に伴う冷却ロール5の周面5
3の最大偏心量ΔR(図5参照)を、得られる急冷薄帯
8の平均厚さtの2倍以下とするのが好ましく、1.5
倍以下とするのがより好ましく、1倍以下とするのがさ
らに好ましい。これにより、得られた急冷薄帯8の磁気
特性をより均一にすることができる。そして、これより
製造されたボンド磁石の磁気特性を高めることができ
る。特に、本発明では、このような最大偏心量ΔRを規
定することと、冷却ロール5に凸条55を設け、ガス流
10が冷却ロール5の側方から周面53に流入するのを
阻止することとの相乗効果により、優れた磁気特性を発
揮するものである。
【0051】ここで、最大偏心量ΔRの下限値は、特に
限定されないが、冷却ロール5の周面53の加工精度の
限界や、冷却ロール5を支持する軸受けの精度の限界か
ら、0.1μm 程度とすることができる。
【0052】なお、最大偏心量ΔRは、例えば、レーザ
変位計、静電式変位計、精密ゲージ等の精密寸法測定機
器により測定することができる。
【0053】本発明における磁石材料としては、R(た
だし、Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも1種)を
含む合金、特にR(ただし、Rは、Yを含む希土類元素
のうちの少なくとも1種)とTM(ただし、TMは、遷
移金属のうちの少なくとも1種)とBとを含む合金のよ
うな希土類磁石材料が挙げられ、次の[1]〜[4]の
組成のものが好ましい。
【0054】[1] Smを主とする希土類元素と、C
oを主とする遷移金属とを基本成分とするもの(以下、
Sm−Co系合金と言う)。
【0055】[2] R(ただし、RはYを含む希土類
元素のうち少なくとも1種)と、Feを主とする遷移金
属と、Bとを基本成分とするもの(以下、R−Fe−B
系合金と言う)。
【0056】[3] Smを主とする希土類元素と、F
eを主とする遷移金属と、Nを主とする格子間元素とを
基本成分とするもの(以下、Sm−Fe−N系合金と言
う)。 [4] R(ただし、RはYを含む希土類元素のうち少
なくとも1種)とFe等の遷移金属とを基本成分とし、
ナノメーターレベルで磁性相を有するもの(ナノ結晶磁
石)。
【0057】Sm−Co系合金の代表的なものとして
は、SmCo 、Sm TM17(ただしTMは、遷
移金属)が挙げられる。
【0058】R−Fe−B系合金の代表的なものとして
は、Nd−Fe−B系合金、Pr−Fe−B系合金、N
d−Pr−Fe−B系合金、Ce−Nd−Fe−B系合
金、Ce−Pr−Nd−Fe−B系合金、これらにおけ
るFeの一部をCo、Ni等の他の遷移金属で置換した
もの等が挙げられる。
【0059】Sm−Fe−N系合金の代表的なものとし
ては、Sm Fe17合金を窒化して作製したSm
Fe17 が挙げられる。
【0060】前記希土類元素としては、Y、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ミッシュメタルが
挙げられ、これらを1種または2種以上含むことができ
る。また、前記遷移金属としては、Fe、Co、Ni等
が挙げられ、これらを1種または2種以上含むことがで
きる。また、磁気特性を向上させるために、磁石材料中
には、必要に応じ、B、Al、Cu、Ga、Si、T
i、V、Ta、Zr、Nb、Mo、Hf、Ag、Zn、
P、Ge等を含有することもできる。
【0061】以上のような製造方法により得られる急冷
薄帯(薄帯状の磁石材料)8は、ロール面81におい
て、ディンプル9が存在していないか、または存在して
いても、その面積率は小さい。すなわち、ロール面81
において、ディンプルの占める面積率が好ましくは25
%以下であり、より好ましくは15%以下であり、さら
に好ましくは10%以下である。
【0062】また、急冷薄帯8は、その平均結晶粒径が
500nm以下であるのが好ましく、100nm以下である
のがより好ましい。これにより、優れた磁気特性が発揮
される。
【0063】急冷薄帯8の平均厚さtは、特に限定され
ないが、10〜50μm 程度が好ましく、15〜50μ
m 程度がより好ましい。この平均厚さtが大きすぎる
と、結晶粒の粗大化が顕著となり、磁気特性が劣化する
ことがあり、また、小さすぎると、生産性が悪くなる。
【0064】以上のような急冷薄帯8を粉砕することに
より、粉末状の磁石材料(磁石粉末)が得られる。
【0065】粉砕の方法は、特に限定されず、例えばボ
ールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種
粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。この場
合、粉砕は、酸化を防止するために、真空または減圧状
態下(例えば1×10−1〜1×10−6 Torr )、あ
るいは窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活
性ガス中のような、非酸化性雰囲気中で行うこともでき
る。
【0066】このような磁石粉末は、同一組成のものの
みならず、異なる2種以上の組成の磁石粉末を混合した
ものでもよい。例えば、前記[1]〜[4]の組成のも
ののうち、少なくとも2種を混合したものが挙げられ
る。この場合、混合する各磁石粉末の利点を併有するこ
とができ、より優れた磁気特性を容易に得ることができ
る。
【0067】また、磁石粉末の平均粒径は、特に限定さ
れないが、後述するボンド磁石の製造用のものの場合、
0.5〜60μm 程度が好ましく、1〜40μm 程度が
より好ましい。また、後述するような少量の結合樹脂で
成形時の良好な成形性を得るために、磁石粉末の粒径分
布は、ある程度分散されている(バラツキがある)のが
好ましい。これにより、得られたボンド磁石の空孔率を
低減することができ、ボンド磁石の機械的強度をより高
め、磁気特性をさらに向上することができる。
【0068】なお、異なる2種以上の組成の磁石粉末を
混合したものの場合、混合する磁石粉末の組成毎に、そ
の平均粒径が異なっていてもよい。また、このような混
合粉末の場合、異なる2種以上の組成の磁石粉末のうち
の少なくとも1種が前述した本発明の方法により製造さ
れたものであればよい。
【0069】また、粉末状の磁石材料は、ボンド磁石の
製造に用いるものに限定されず、例えば、焼結磁石の製
造に用いるものであってもよい。
【0070】次に、ボンド磁石について説明する。
【0071】このボンド磁石は、前述の磁石粉末を結合
樹脂で結合してなるものである。
【0072】結合樹脂(バインダー)としては、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよい。
【0073】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミ
ド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナ
イロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロ
ン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可
塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマ
ー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィ
ン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエー
テルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等、
またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマ
ーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種
以上を混合して用いることができる。
【0074】これらのうちでも、成形性が特に優れてお
り、機械的強度が高いことから、ポリアミド、耐熱性向
上の点から、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイ
ドを主とするものが好ましい。また、これらの熱可塑性
樹脂は、磁石粉末との混練性にも優れている。
【0075】このような熱可塑性樹脂は、その種類、共
重合化等により、例えば成形性を重視したものや、耐熱
性、機械的強度を重視したものというように、広範囲の
選択が可能となるという利点がある。
【0076】一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、ビ
スフェノール型、ノボラック型、ナフタレン系等の各種
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン
樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリ
イミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙
げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して
用いることができる。
【0077】これらのうちでも、成形性が特に優れてお
り、機械的強度が高く、耐熱性に優れるという点から、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリ
コーン樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。
また、これらの熱硬化性樹脂は、磁石粉末との混練性、
混練の均一性にも優れている。
【0078】なお、使用される熱硬化性樹脂(未硬化)
は、室温で液状のものでも、固形(粉末状)のものでも
よい。
【0079】このようなボンド磁石は、例えば次のよう
にして製造される。磁石粉末と、結合樹脂と、必要に応
じ添加剤(酸化防止剤、潤滑剤等)とを含むボンド磁石
用組成物(コンパウンド)を製造し、このボンド磁石用
組成物を用いて、圧縮成形、押出成形、射出成形等の方
法により、磁場中または無磁場中で所望の磁石形状に成
形する。結合樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、成形後、
加熱等によりそれを硬化する。
【0080】ボンド磁石中の磁石粉末の含有量は、82
〜99.5wt%程度であるのが好ましく、90〜99wt
%程度であるのがより好ましい。特に、ボンド磁石が圧
縮成形により製造されたものの場合には、磁石粉末の含
有量は、93〜99.5wt%程度であるのが好ましく、
95〜99wt%程度であるのがより好ましい。
【0081】磁石粉末の含有量が少なすぎると、磁気特
性(特に磁気エネルギー積)の向上が図れず、また、磁
石粉末の含有量が多すぎると、相対的に結合樹脂の含有
量が少なくなり、成形性が低下する。
【0082】このようなボンド磁石は、その原材料とな
る前述した急冷薄帯8の特性や、ボンド磁石の製造条
件、ボンド磁石中に含まれる磁石粉末の含有量の多さ等
から、優れた磁気特性を発揮する。
【0083】すなわち、ボンド磁石は、保磁力iHc が好
ましくは0.35MA/m以上、より好ましくは0.50MA
/m以上である。
【0084】また、ボンド磁石、特に無磁場中で成形さ
れたボンド磁石は、磁気エネルギー積(BH)max が好まし
くは50kJ/m 以上、より好ましくは70kJ/m 以上
である。
【0085】また、ボンド磁石は、Hk/iHc が好ましく
は0.28以上、より好ましくは0.30以上である。
但し、iHc は、ボンド磁石の保磁力と残留磁束密度との
関係を測定して得られたM−Hカーブにおいて、残留磁
束密度の値が0のときの保磁力の値である。また、Hk
は、前記M−Hカーブにおいて、保磁力が0のときの残
留磁束密度の値の80%の値に対応する保磁力の値であ
る。
【0086】ボンド磁石の形状、寸法等は特に限定され
ず、例えば、形状に関しては、例えば、円柱状、角柱
状、円筒状(リング状)、円弧状、平板状、湾曲板状等
のあらゆる形状のものが可能であり、その大きさも、大
型のものから超小型のものまであらゆる大きさのものが
可能である。
【0087】以上説明したように、この冷却ロール5お
よび磁石材料の製造方法によれば、冷却ロール5に凸条
55が形成されているので、この凸条55により、ガス
流10が冷却ロール5の側方から周面53に流入してパ
ドル7に当たるのを阻止することができる。
【0088】これにより、冷却ロール5の周面53と急
冷薄帯8のロール面81との間へのガス流10の侵入が
抑制され、ロール面81へのディンプル9の形成、特に
巨大なディンプル9の形成が防止または抑制される。こ
れにより、急冷薄帯8は、速い冷却速度で冷却され、結
晶粒の粗大化が防止され、よって、磁気特性(磁束密
度、保磁力、角型性等)が向上する。
【0089】従って、前記急冷薄帯8から製造される永
久磁石、特にボンド磁石は、優れた磁気特性(磁束密
度、保磁力、角型性等)を有するとともに、耐食性も優
れている。
【0090】また、この冷却ロール5によれば、急冷薄
帯製造装置1に風防を設けることなく、ガス流10が冷
却ロール5の側方から周面53に流入するのを防止する
ことができるので、急冷薄帯製造装置1の構造を複雑に
することがない。
【0091】次に、本発明の冷却ロールの第2実施例を
説明する。
【0092】図6は、本発明の冷却ロールの第2実施例
を示す正面図、図7は、図6に示す冷却ロールの断面図
である。なお、前述した第1実施例との共通点について
は、説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0093】これらの図に示すように、この冷却ロール
5では、各凸条55は、それぞれ、冷却ロール5の径方
向に向って突出している。
【0094】この冷却ロール5でも前述した第1実施例
の冷却ロール5と同様の効果が得られる。
【0095】そして、この冷却ロール5では、図6およ
び図7中下側からのガス流10のみならず、図6および
図7中左側および右側(横方向)からのガス流10の周
面53への流入を阻止することができる。
【0096】なお、本発明では、冷却ロール5の凸条5
5の形成方法、横断面形状、突出方向、設置数等の諸条
件(構成)は、前述した第1実施例および第2実施例に
限定されない。
【0097】冷却ロール5の他の実施例を図8〜図20
に示す。
【0098】これらの図に示す冷却ロール5でも前述し
た第1実施例の冷却ロール5や第2実施例の冷却ロール
5と同様の効果が得られる。
【0099】また、本発明では、凸条55が、冷却ロー
ル5のエッジ部54の近傍に設けられていてもよい。
【0100】また、本発明では、一対の凸条55の一方
と他方とが非対称であってもよい。
【0101】例えば、本発明では、一方の凸条55の横
断面形状と、他方の横断面形状とが異なっていてもよ
い。
【0102】また、例えば、本発明では、一方の凸条5
5が突出する方向と、他方の凸条55が突出する方向と
が異なっていてもよい。例えば、一方の凸条55を冷却
ロール5の回転軸50に平行な方向に向って突出させ、
他方の凸条55を冷却ロール5の径方向に向って突出さ
せてもよい。
【0103】また、例えば、本発明では、図3中右側と
左側とで凸条55の設置数が異なっていてもよい。
【0104】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0105】(実施例1)図1〜図3に示す回転軸50
に平行な方向に向って突出する一対の凸条55、55が
形成された銅製の冷却ロール5を製造し、その冷却ロー
ル5を備えた図1に示す構成の急冷薄帯製造装置1を用
意した。なお、冷却ロール5の周面は、#1500の研
磨紙で研磨した。冷却ロール5の諸条件は、下記の通り
である。
【0106】凸条の横断面形状:矩形 凸条の高さa:5mm 凸条の厚さb:5mm 冷却ロールの直径L:200mm 冷却ロールの幅:30mm 冷却ロールの周面の中心線平均粗さRa :Ra≦0.1
μm a/L:0.025 純度99.9%以上のNd、Fe、Coの各金属と、F
e−B合金とを原料として、合金組成がNd12Fe
bal.Co5.4 (原子比)で表わされる母合
金インゴットを鋳造した。このインゴットから約15g
のサンプルを切り出した。
【0107】前記急冷薄帯製造装置において、底部にノ
ズル(直径0.6mmの円孔オリフィス)を設けた石英管
内に前記サンプルを入れ、急冷薄帯製造装置が収納され
ているチャンバー内を脱気してからアルゴンガスを導入
した。
【0108】その後、石英管内のインゴットサンプルを
高周波誘導加熱により溶融し、この溶湯を、2000rp
m (周速度:20.9m/秒)で回転する冷却ロールの
周面に向けて、石英管の内圧と雰囲気圧との差圧により
噴射し、幅wが1〜2mmの範囲内、厚さtが30〜50
μm の範囲内の前記組成の合金の急冷薄帯(薄帯状の磁
石材料)を得た。なお、溶湯の温度は、1300℃、溶
湯の噴射圧(差圧)は、100kPa とした。
【0109】また、冷却ロールの回転による冷却ロール
の周面の最大偏心量ΔRをレーザ変位計により測定した
ところ、ΔR=10μm (<t)であった。
【0110】なお、急冷薄帯の幅wおよび厚さtは、そ
れぞれ、マイクロスコープにより測定した。
【0111】(実施例2)図6および図7に示す径方向
に向って突出する一対の凸条55、55が形成されてい
る以外は実施例1と同様の冷却ロール5を製造し、その
冷却ロール5に交換して、実施例1と同様の条件で急冷
薄帯を製造した。
【0112】(比較例)一対の凸条が形成されていない
以外は実施例1と同様の冷却ロールを製造し、その冷却
ロールに交換して、実施例1と同様の条件で急冷薄帯を
製造した。
【0113】前記実施例1、2および比較例の各急冷薄
帯に対し、それぞれ、下記■および■の評価を行った。
【0114】■ディンプル(凹部)の占める面積率 急冷薄帯について、ロール面を走査型電子顕微鏡(SE
M)で観察し、ディンプル(凹部)の形成状態が平均的
である部分を10箇所選択し、それぞれをロットNo.
1〜10とし、撮影した。そして、ロットNo.1〜1
0のそれぞれについて、撮影された写真から、ディンプ
ルの部分とディンプル以外の部分とのコントラストの差
を利用して画像解析を行った。画像解析の結果より、ロ
ール面に対するディンプルの占める面積率を算出した。
【0115】■磁気特性 急冷薄帯のロットNo.1〜10のそれぞれについて、
磁気特性(保磁力iHc、磁気エネルギー積(BH)max )を
振動試料型磁力計(VSM)により測定した。測定にお
いては、急冷薄帯の長手方向と印加磁場の方向とが一致
するように急冷薄帯をセットし、最大印加磁場を1.4
4MA/mとした。
【0116】これらの結果を下記表1〜3に示す。な
お、TEMによる組織観察結果から、画像処理等の方法
により、急冷薄帯のロットNo.1〜10のそれぞれに
ついて、平均結晶粒径を測定したところ、実施例1は、
40〜50nm、実施例2は、40〜50nm、比較例は、
550〜650nmの範囲内であった。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】上記表1〜3から判るように、凸条が形成
された冷却ロールを用いた実施例1および2について
は、いずれも、凸条により、冷却ロールの回転に起因し
て発生するガス流が冷却ロールの側方から周面に流入す
るのが阻止され、これにより、ディンプルの占める面積
率が低く、平均結晶粒径が小さく、また、高い磁気特性
が得られている。
【0121】これに対し、凸条が形成されていない冷却
ロールを用いた比較例では、ガス流が冷却ロールの側方
から周面に流入し、このガス流の一部が冷却ロールの周
面と急冷薄帯のロール面との間に侵入してしまい、前記
実施例1および2に比べ、ディンプルの占める面積率が
高く、平均結晶粒径が大きく、また、磁気特性が劣るも
のであった。
【0122】次に、前記実施例1、2および比較例の各
急冷薄帯をそれぞれ粉砕機(ライカイ機)により不活性
ガス中で粉砕して、最大粒径が100μm 以下、平均粒
径が30μm の磁石粉末とし、この磁石粉末とエポキシ
樹脂1.6wt%と、ヒドラジン系酸化防止剤0.15wt
%と、ステアリン酸塩(潤滑剤)0.05wt%とを混合
し、この混合物を十分に混練(120℃×10分)し
て、ボンド磁石用組成物(コンパウンド)を作製した。
【0123】次いで、このコンパウンドを粉砕して粒状
とし、この粒状物を秤量してプレス装置の金型内に充填
し、材料温度130℃、圧力7ton/cm で圧縮成形
(無磁場中)して成形体を得た。離型後、窒素ガス雰囲
気中で1時間加熱してエポキシ樹脂を硬化させて、10
mm×10mm×10mmの立方体のボンド磁石を得た。
【0124】なお、実施例1、2および比較例のそれぞ
れにおいて、前記ボンド磁石を2つずつ(磁石No.1
および2)製造した。
【0125】前記各ボンド磁石中の磁石粉末の含有量
は、85〜99wt%の範囲内であった。
【0126】前記実施例1、2および比較例の各ボンド
磁石(磁石No.1および2)に対し、それぞれ、下記
■の評価を行った。
【0127】■磁気特性 ボンド磁石の磁気特性(保磁力iHc 、磁気エネルギー積
(BH)max 、Hk/iHc)を直流自記磁束計により最大印加磁
場2MA/mにて測定した。
【0128】この結果を下記表4に示す。
【0129】
【表4】
【0130】上記表4から判るように、凸条が形成され
た冷却ロールを用いた実施例1および2については、い
ずれも、高い磁気特性が得られている。
【0131】これに対し、凸条が形成されていない冷却
ロールを用いた比較例は、磁気特性が劣るものであっ
た。
【0132】なお、前記実施例1、2および比較例の各
ボンド磁石(磁石No.1および2)に対し、それぞ
れ、耐食性を調べたところ、実施例1および2について
は、いずれも、耐食性が優れていた。
【0133】これに対し、比較例は、耐食性が劣るもの
であった。
【0134】また、図8〜図20に示す凸条(最大突出
高さ5mm)に変更した以外は、実施例1と同様にして前
記各評価を行ったところ、同様の結果が得られた。
【0135】以上、本発明の冷却ロールおよび磁石材料
の製造方法を、図示の各実施例に基づいて説明したが、
本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成
は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換するこ
とができる。
【0136】例えば、本発明では、阻止手段は、冷却ロ
ール自体に設けられ、ガス流が冷却ロールの側方から冷
却ロールの周面に流入するのを阻止することができるも
のであれば、凸条に限定されない。
【0137】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の冷却ロー
ルおよび磁石材料の製造方法によれば、冷却ロールに阻
止手段が形成されているので、この阻止手段により、ガ
ス流が冷却ロールの側方から周面に流入してパドル(湯
溜り)に当たるのを防止することができる。
【0138】これにより、冷却ロールの周面と急冷薄帯
(薄帯状の磁石材料)のロール面との間へのガス流の侵
入が抑制され、ロール面へのディンプルの形成、特に巨
大なディンプルの形成が防止または抑制される。これに
より、急冷薄帯は、速い冷却速度で冷却され、結晶粒の
粗大化が防止され、よって、磁気特性(磁束密度、保磁
力、角型性等)が向上する。
【0139】また、本発明によれば、冷却ロール自体に
阻止手段が設けられているので、急冷薄帯製造装置に風
防を設ける場合に比べ、急冷薄帯製造装置の構造を簡素
化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷却ロールの第1実施例と、その冷却
ロールを用い、磁石材料を単ロール法により製造する装
置(急冷薄帯製造装置)の構成例とを示す斜視図であ
る。
【図2】図1に示す冷却ロールの正面図である。
【図3】図1に示す冷却ロールの断面図である。
【図4】図1に示す装置における溶湯の冷却ロールへの
衝突部位付近の状態を示す断面側面図である。
【図5】冷却ロールの回転に伴う冷却ロールの周面の最
大偏心量(ΔR)を示す側面図である。
【図6】本発明の冷却ロールの第2実施例を示す正面図
である。
【図7】図6に示す冷却ロールの断面図である。
【図8】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面図
である。
【図9】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面図
である。
【図10】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図11】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図12】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図13】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図14】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図15】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図16】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図17】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図18】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図19】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図20】本発明の冷却ロールの他の実施例を示す断面
図である。
【図21】従来の磁石材料を単ロール法により製造する
装置(急冷薄帯製造装置)における溶湯の冷却ロールへ
の衝突部位付近の状態を示す断面側面図である。
【符号の説明】
1 急冷薄帯製造装置 2 筒体 3 ノズル 4 コイル 5、500 冷却ロール 50 回転軸 53、530 周面 54 エッジ部 55 凸条 6、60 溶湯 7、70 パドル 71、710 凝固界面 8、80 急冷薄帯 81、810 ロール面 82 フリー面 9 ディンプル 10 ガス流

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転可能に支持され、磁石材料の溶湯を
    その周面に衝突させ、冷却固化して、薄帯状の磁石材料
    を製造するための冷却ロールであって、 冷却ロールの回転に起因して発生するガス流が、前記冷
    却ロールの側方から前記周面に流入するのを阻止する阻
    止手段を冷却ロール自体に設けたことを特徴とする冷却
    ロール。
  2. 【請求項2】 前記阻止手段は、前記冷却ロールのエッ
    ジ部またはその近傍に設けられた少なくとも1つの凸条
    である請求項1に記載の冷却ロール。
  3. 【請求項3】 前記阻止手段は、前記冷却ロールの両エ
    ッジ部のそれぞれに設けられた一対の凸条である請求項
    1に記載の冷却ロール。
  4. 【請求項4】 前記凸条は、前記冷却ロールの回転軸に
    略平行な方向に向って突出している請求項2または3に
    記載の冷却ロール。
  5. 【請求項5】 前記凸条は、前記冷却ロールの略径方向
    に向って突出している請求項2または3に記載の冷却ロ
    ール。
  6. 【請求項6】 前記凸条の横断面形状は、矩形、三角形
    または扇形である請求項2ないし5のいずれかに記載の
    冷却ロール。
  7. 【請求項7】 冷却ロールの冷却面部分の直径をL、前
    記凸条の突出方向の高さをaとしたとき、a/Lが、1
    ×10−4〜5×10−1である請求項2ないし6のい
    ずれかに記載の冷却ロール。
  8. 【請求項8】 前記冷却ロールの回転に伴う該冷却ロー
    ルの周面の最大偏心量が、得られる薄帯状の磁石材料の
    平均厚さの2倍以下である請求項1ないし7のいずれか
    に記載の冷却ロール。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の冷
    却ロールを用い、雰囲気ガス中で、磁石材料の溶湯をノ
    ズルから射出し、前記ノズルに対し回転している前記冷
    却ロールの周面に衝突させ、冷却固化して、薄帯状の磁
    石材料を製造することを特徴とする磁石材料の製造方
    法。
JP10135801A 1998-05-18 1998-05-18 冷却ロールおよび磁石材料の製造方法 Withdrawn JPH11320040A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10135801A JPH11320040A (ja) 1998-05-18 1998-05-18 冷却ロールおよび磁石材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10135801A JPH11320040A (ja) 1998-05-18 1998-05-18 冷却ロールおよび磁石材料の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11320040A true JPH11320040A (ja) 1999-11-24

Family

ID=15160148

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10135801A Withdrawn JPH11320040A (ja) 1998-05-18 1998-05-18 冷却ロールおよび磁石材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11320040A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100392805B1 (ko) * 2000-04-24 2003-07-28 세이코 엡슨 가부시키가이샤 자석 분말 및 결합 자석
WO2017094741A1 (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 新日鐵住金株式会社 金属薄帯の製造装置及びそれを用いた金属薄帯の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100392805B1 (ko) * 2000-04-24 2003-07-28 세이코 엡슨 가부시키가이샤 자석 분말 및 결합 자석
US6648989B2 (en) 2000-04-24 2003-11-18 Seiko Epson Corporation Magnetic powder and bonded magnet
WO2017094741A1 (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 新日鐵住金株式会社 金属薄帯の製造装置及びそれを用いた金属薄帯の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7217328B2 (en) Compound for rare-earth bonded magnet and bonded magnet using the compound
US20010015239A1 (en) Iron-base alloy permanent magnet powder and method for producing the same
JP3275882B2 (ja) 磁石粉末および等方性ボンド磁石
JP2001196212A (ja) 磁石粉末および等方性ボンド磁石
JP4069727B2 (ja) 希土類系ボンド磁石用コンパウンドおよびそれを用いたボンド磁石
JP2001196213A (ja) 磁石粉末および等方性ボンド磁石
JP4243413B2 (ja) 磁石粉末の製造方法およびボンド磁石の製造方法
JP4243415B2 (ja) 磁石粉末の製造方法およびボンド磁石の製造方法
JP2000077219A (ja) 磁石材料の製造方法、磁石材料およびボンド磁石
KR100487687B1 (ko) 자석 분말 및 등방성 본드 자석
JP3186746B2 (ja) 磁石粉末および等方性希土類ボンド磁石
JP3951525B2 (ja) 薄帯状磁石材料、薄帯状磁石材料の製造方法、磁石粉末および希土類ボンド磁石
JP2001267111A (ja) 磁石粉末および等方性ボンド磁石
JPH11320040A (ja) 冷却ロールおよび磁石材料の製造方法
JPH11309549A (ja) 磁石材料の製造方法、磁石材料およびボンド磁石
JP3606036B2 (ja) 磁石材料の製造方法、磁石材料およびボンド磁石
JP3624704B2 (ja) 磁石材料の製造方法、磁石材料およびボンド磁石
JP4186790B2 (ja) 磁石材料の製造方法
JP3840893B2 (ja) ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石
JP3587140B2 (ja) 磁石粉末の製造方法、磁石粉末およびボンド磁石
JP2000348917A (ja) 磁石粉末、磁石粉末の製造方法及びボンド磁石
JP3646777B2 (ja) 磁石粉末および等方性ボンド磁石
JP2000286114A (ja) 薄帯状磁石材料、磁石粉末および希土類ボンド磁石
JP2001332410A (ja) 磁石粉末、磁石粉末の製造方法およびボンド磁石
JP2002035899A (ja) 冷却ロール、薄帯状磁石材料、磁石粉末およびボンド磁石

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20031211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040106

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20040219