JPH1131514A - 水素処理用短絡型電極およびその製造方法、ならびにその電極を具備した電気化学素子 - Google Patents

水素処理用短絡型電極およびその製造方法、ならびにその電極を具備した電気化学素子

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JPH1131514A
JPH1131514A JP9185433A JP18543397A JPH1131514A JP H1131514 A JPH1131514 A JP H1131514A JP 9185433 A JP9185433 A JP 9185433A JP 18543397 A JP18543397 A JP 18543397A JP H1131514 A JPH1131514 A JP H1131514A
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polymer electrolyte
solid polymer
electrode
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Kenro Mitsuta
憲朗 光田
Hideo Maeda
秀雄 前田
Hisatoshi Fukumoto
久敏 福本
Tetsuya Abe
哲也 阿部
Makoto Tanmachi
誠 反町
Yasushi Hatanaka
康司 畠中
Takeshi Aizawa
毅 相沢
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気化学素子の陰極で発生した空気中または
水中の水素を酸化分解して水に変換し、安全性を確保す
るための簡便な水素処理用短絡型電極を得ることを目的
とする。また、水素を外部に拡散させないことを目的と
する。 【解決手段】 固体高分子電解質膜2を挟んで、触媒を
有する2枚の触媒層シート4を重ね合わせ、固体高分子
電解質膜を貫通する電子伝導性物質5を用いて、水素処
理用短絡型電極1の表裏の触媒層を電気的に短絡させ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気化学素子の陰極
から発生する水素を酸化して水に変換する水素処理用短
絡型電極およびその製造方法、ならびにその電極を具備
した電気化学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】固体高分子電解質膜を用いた電気化学素
子としては、例えば「動力」第45巻、第231号、2
2頁〜28頁『固体高分子型燃料電池および応用技術の
開発動向』に詳しく紹介されているように、オゾナイザ
ー、除湿器、過酸化水素発生器、酸素富化装置、脱酸素
装置などが知られており、実用化が検討されている。
【0003】例えば、図10は、従来の固体高分子電解
質膜を用いた電解式オゾナイザーの断面模式図であり、
図において、11は電解式オゾナイザーの陽極、12は
電解式オゾナイザーの陰極、13は固体高分子電解質膜
である。電解式オゾナイザーの陽極11には、例えば白
金メッキしたチタンメッシュに二酸化鉛を電着させたも
のが用いられ、固体高分子電解質膜13には、ナフィオ
ン(デュポン社の商品名)が、また電解式オゾナイザー
の陰極12には、カーボンペーパーに白金を担持したカ
ーボンを付加したものが用いられる。電解式オゾナイザ
ーでは、3.5V程度の直流電圧が印加され、陽極側で
オゾンや酸素が発生し、陰極側で水が生じる。しかし、
陰極では、必ずしも全てプロトンが水に変換されるので
はなく、一部は水素に変換される。これは、外部の直流
電源により印加された電圧のうち、かなりの部分が陰極
側にかかり、陰極が水素発生に十分なほど低い電位に置
かれるためである。特に、湿度が高くなった場合や長い
休止状態の後で、急に電圧が印加された場合などでは、
著しい水素発生が起こり、陰極側の一部の雰囲気が水素
の爆発限界を超える水素濃度になる危険性があるという
安全上の問題点があった。
【0004】一方、図11は、従来の、固体高分子電解
質膜を用いた電解式除湿器の断面模式図であり、45は
除湿器の陽極、46は除湿器の陰極、47は除湿室であ
る。外部の直流電源により2.5V程度の直流電圧が印
加され、陽極45では、空気中の水分が電気分解されて
酸素とプロトンおよび電子に分れ、陰極46では空気中
の酸素と電子および固体高分子電解質膜2を移動してき
たプロトンが反応して水が生じる。陽極側は陰極側と隔
離されており、除湿室47では陽極45で水分が消費さ
れるので、湿度が低下し、結露やカビの発生を防止でき
る。しかし、電解式オゾナイザーの場合と同様に、湿度
が高くなった場合や長い休止状態の後で、急に電圧が印
加された場合などでは、陰極側で著しい水素発生が起こ
り、陰極側の一部の雰囲気が水素の爆発限界を超える水
素濃度になる危険性があるという安全上の問題点があっ
た。
【0005】さらに、図示しないが、過酸化水素発生
器、酸素富化装置、脱酸素装置などでも同様の問題点が
あり、安全性の面から実用化への障害になっていた。
【0006】そこで、電気化学素子の陰極で発生する水
素を速やかに酸化処理して、水に変換するために、水素
処理用短絡型電極が発明された。図12は、特開平7ー
213848号公報に記載された水素処理用短絡型電極
を備えた除湿素子を示す断面図であり、図において、4
5は除湿器の陽極、46は除湿器の陰極、47は除湿
室、50は外部電源、51は従来の水素処理用短絡型電
極、52は水素処理用短絡型電極内部の拡大図、18は
カーボン繊維、19は白金触媒を担持したカーボン粒
子、20は固体高分子電解質である。
【0007】従来の水素処理用短絡型電極51は、カー
ボンペーパーに白金を担持したカーボン粒子19と固体
高分子電解質20が充填されているので、白金触媒上で
水素は酸化されてプロトンと電子となり、プロトンは水
素処理用短絡型電極51中の固体高分子電解質20を通
り、電子はカーボン19やカーボンペーパーの繊維18
を通って移動し、他の白金触媒上で空気中の酸素と反応
して水が生成する。すなわち、水素処理用短絡型電極5
1では水素の酸化反応を行うアノードと酸素の還元反応
を行うカソードが電気的およびイオン的に短絡されてい
る。従って、水素処理用短絡型電極によって、陰極で発
生する水素の大部分は酸化処理される。しかし、この従
来の水素処理用短絡型電極の構造では、カーボンペーパ
ーの繊維18の間にストラクチャーと呼ばれるサンゴの
ような形のカーボン粒子19を充填するので、隙間が大
きく、気孔率も60%程度と大きくなり、水素の一部が
水素処理用短絡型電極を透過して外部に拡散してしまう
という問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の電解式除湿器、
電解式オゾナイザー、過酸化水素発生器、酸素富化装
置、脱酸素装置などの電気化学装置は、以上のように構
成されているので、陰極側で水素が発生する危険性があ
った。すなわち、陰極側では、陽極側から固体高分子電
解質膜を介して移動してくるプロトンと空気中の酸素か
ら水が発生するが、空気の供給が不十分な場合や、陰極
側に大きな過電圧が生じた場合などに、プロトンの一部
が水素に還元される現象があり、実用化への障害になっ
ていた。また、従来の水素処理用短絡型電極は、陰極で
生じる水素を酸化処理する能力があるが、水素の一部が
水素処理用短絡型電極を透過して外部に拡散してしまう
という問題点があった。
【0009】本発明は、前記のような問題点を解消する
ためになされたもので、電気化学素子の陰極で発生した
空気中または水中の水素を酸化分解して水に変換し、安
全性を確保するための簡便な水素処理用短絡型電極や水
素処理用短絡型電極を具備した電気化学素子を得ること
を目的とする。また、水素を外部に拡散させないことを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項第1項の発明にか
かる水素処理用短絡型電極は、固体高分子電解質膜を挟
んで、触媒を有する2枚の触媒層シートを重ね合わせ、
固体高分子電解質膜を貫通する電子伝導性物質で、表裏
の触媒層を電気的に短絡させることを特徴とする。
【0011】請求項第2項の発明にかかる水素処理用短
絡型電極の製造方法は、固体高分子電解質膜を挟んで、
触媒を有する2枚の触媒層シートを重ね合わせ、電子伝
導性物質を用いて、固体高分子電解質膜および2枚の触
媒層シートを合体したことを特徴とする。
【0012】請求項第3項の発明にかかる水素処理用短
絡型電極の製造方法は、固体高分子電解質膜を挟んで、
触媒を有する2枚の触媒層シートを重ね合わせ、電子伝
導性の糸を用いて、固体高分子電解質膜および2枚の触
媒層シートを貫通して縫い合わしたことを特徴とする。
【0013】請求項第4項の発明にかかる水素処理用短
絡型電極の製造方法は、固体高分子電解質膜を挟んで、
触媒を有する2枚の触媒層シートを重ね合わせ、コの字
状の金属製の針を一方の側から貫通させて他方の側で折
り曲げ、固体高分子電解質膜および2枚の触媒層シート
を閉じ合わせたことを特徴とする。
【0014】請求項第5項の発明にかかる水素処理用短
絡型電極の製造方法は、固体高分子電解質膜の片面に触
媒層を配置した2枚の触媒層膜シートを、互いに固体高
分子電解質膜の側を向けて対峙させ、電子伝導性の粒子
を介在させて張り合わせ、電子伝導性の粒子を固体高分
子電解質膜を突き破って、双方の触媒層と接触させたこ
とを特徴とする。
【0015】請求項第6項の発明にかかる水素処理用短
絡型電極の製造方法は、固体高分子電解質膜を貫通する
電子伝導性物質で、表裏の触媒層を電気的に短絡させた
後、固体高分子電解質膜の軟化温度以上の温度でホット
プレスすることを特徴とする。
【0016】請求項第7項の発明にかかる水素処理用短
絡型電極の製造方法は、5μm以上、30μm以下の厚
さの固体高分子電解質膜を挟んで、触媒を有する2枚の
触媒層シートを対峙させ、固体高分子電解質膜の軟化温
度以上の温度でホットプレスすることによって、固体高
分子電解質の薄膜を軟化させて、双方の触媒層を接触さ
せて、表裏の触媒層を電気的に短絡させることを特徴と
する。
【0017】請求項第8項の発明にかかる水素処理用短
絡型電極は、触媒と電子伝導性物質とイオン伝導性物質
および気孔閉塞物とを含み、気孔率が45%以下である
ことを特徴とする。
【0018】請求項第9項の発明にかかる水素処理用短
絡型電極は、気孔閉塞物が、固体高分子電解質膜、ポリ
エチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキ
シメチルルロースおよびシリカゲルからなる群から選ば
れたことを特徴とする。
【0019】請求項第10項の発明にかかる水素処理用
短絡型電極を具備した電気化学素子は、陽極、固体高分
子電解質膜、陰極、および請求項第1項または請求項第
8項記載の水素処理用短絡型電極の順に配置し、陽極の
外側、および水素処理用短絡型電極の外側に多孔性電気
絶縁フィルムを配置したことを特徴とする。
【0020】請求項第11項の発明にかかる水素処理用
短絡型電極を具備した電気化学素子は、陰極と水素処理
用短絡型電極の間に多孔性電気絶縁フィルムを配置した
ことを特徴とする。
【0021】請求項第12項の発明にかかる水素処理用
短絡型電極を具備した電気化学素子は、多孔性電気絶縁
フィルムの少なくとも一部分が熱融着されていることを
特徴とする。
【0022】以下、図1〜図9に示す実施の形態に基づ
いて従来と同一または相当部分には同一符号を付してこ
の発明の水素処理用短絡型電極、および水素処理用短絡
型電極を具備した電気化学素子の構成とその製造方法お
よび作用を説明する。
【0023】実施の形態1.図1は、本発明の電気化学
素子の水素処理用短絡型電極の実施の形態1の構成を示
す断面側面図(a)と平面図(b)である。図におい
て、1は水素処理用短絡型電極、2は固体高分子電解質
膜、3は短絡水素極、4は短絡空気極、5は短絡銅線、
6は多孔質電気絶縁膜、7は不透気性電気絶縁フィル
ム、25はガスケットである。短絡水素極3および短絡
空気極4の直径は20mm、厚さは0.2mmでありど
ちらも同じ仕様の電極で、カーボン布(厚さ約0.2m
m)に20重量%の白金粒子(約40Å)をカーボンに
担持した触媒と、固体高分子電解質膜をアルコールと水
の混合溶媒に溶解したナフィオン5%溶液を混ぜたもの
を含浸漬して120℃で1昼夜熱処理したものを用い
た。固体高分子電解質膜としては、厚さ約50μmのも
のを用いた。また、多孔質電気絶縁膜6としては、多孔
質なポリエチレンフィルム(厚さ30μm)を、ガスケ
ット25には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)
のシートをドーナツ状に切り抜いて用い、不透気性電気
絶縁フィルム7には、不透気性のポリエチレンフィルム
(厚さ30μm)を用いた。
【0024】次に、水素処理用短絡型電極の製造方法に
ついて説明する。直径20mmに打抜いた短絡水素極3
と短絡空気極4を直径25mmに打抜いた固体高分子電
解質膜2を間にして重ね、ミシンを用いて、上糸および
下糸の太さ10μmの銅線を用い、図2の模様にミシン
がけを行った。図2は、上糸および下糸の位置関係を示
したもので、8は銅線上糸、9は銅線下糸、10は銅線
上糸を通した針である。ミシンの針10が、銅線上糸8
を持って、短絡水素極3と短絡空気極4および固体高分
子電解質膜2を突き刺し、銅線上糸8を銅線下糸9にか
らめることによって、銅線上糸8と銅線下糸9を電気的
に連絡し、上糸と下糸のよって、短絡水素極3と短絡空
気極4は電気的に短絡される。このような縫い方はごく
基本的な縫い方であり、他の縫い方を用いても同様にし
て、短絡水素極3と短絡空気極4は電気的に短絡させる
ことができる。図2では分りやすいようにミシン目を大
きく描いているが、実際にはもっと目が細かい。短絡水
素極3と短絡空気極4を間に固体高分子電解質膜2を挟
んでミシンで縫い合わせた後、150℃でホットプレス
して、電極と膜の接合体を作成した。次いで、ドーナツ
状に打抜いたポリエチレンの不透気性電気絶縁フィルム
7とガスケット25と多孔質なポリエチレンフィルム6
を図1のように重ねて、図1の矢印のところを、120
℃に加熱した2枚のドーナツ状の銅板に挟んでポリエチ
レンを融着させガスシールを行った。この操作で、ヒー
トシール部分(図中矢印部分)の多孔質なポリエチレン
フィルムが溶けて透気性を失い、ガスケット25と一体
化した。
【0025】次に、水素処理用短絡型電極の作用につい
て説明する。図3は、オゾナイザー素子と水素処理用短
絡型電極と組み合せた装置で、図において11はオゾナ
イザー素子の陽極、12はオゾナイザー素子の陰極、1
3はオゾナイザー素子の固体高分子電解質膜、14はオ
ゾナイザー素子陽極側の多孔質電気絶縁膜、26は不透
気性電気絶縁スペーサである。電解式オゾナイザーの陽
極11は、例えば白金メッキしたチタンメッシュに二酸
化鉛の微粒子を付着させたものを用いた。不透気性電気
絶縁スペーサ26には、ポリプロピレンのフィルムを用
いた。固体高分子電解質膜13には、ナフィオン112
(デュポン社の商品名)を用いたが、フレミオン(旭硝
子社の商品名)、アシプレックス(旭化成社の商品
名)、ゴアセレクト(ジャパンゴアテックス社の商品
名)など、フッ素系樹脂のスルフォン酸基が付加された
他のプロトン伝導性固体高分子電解質膜や、カルボン酸
膜や水酸基を有する固体高分子電解質膜なども用いるこ
とができる。オゾナイザー素子陽極側の多孔質電気絶縁
膜14には、フッ素系樹脂で構成された多孔質膜を用い
た。このような膜は、テフロン系のメンブランフィルタ
ーとして市販されているものを用いることができる。オ
ゾナイザー素子に3.5V程度の直流電圧がかけられる
と、オゾナイザー素子の陽極11ではオゾンおよび酸素
が発生し、オゾナイザー素子の陰極12では水素が発生
する。水素は、水素処理用短絡型電極1の短絡水素極3
でプロトンと電子に変換され、プロトンは、固体高分子
電解質膜2を通って短絡空気極4に達し、電子は短絡銅
線5を通って短絡空気極4に達し、短絡空気極4では、
外気中の酸素とプロトンと電子が結合して水が発生す
る。従って、オゾナイザー素子の陰極12で生じた水素
は水素処理用短絡型電極1で消費され、外気には漏れな
い。これは、短絡水素極3で水素が消費されるのと、水
素処理用短絡型電極1が固体高分子電解質膜2によって
ガス遮断されるためである。製造過程において、ミシン
の針によって固体高分子電解質膜2に一時的に穴が生じ
るが、短絡銅線5が穴を専有しているので、水素が大き
く漏洩するほどの穴ではない。さらに、ホットプレスの
工程を加えれば、固体高分子電解質膜2が軟化し、穴は
完全に封止される。また、多孔質電気絶縁膜6と不透気
性電気絶縁フィルム7の熱融着を行えば、周囲から外部
への水素漏れも完全に防止される。従って従来の水素処
理用短絡型電極のように、水素が拡散して、外部に漏れ
ることがなく安全性を確実に保つことができる。
【0026】実施の形態1の水素処理用短絡型電極の効
果を確認するために、電解式オゾナイザーと組み合せ
て、43リットルの密閉容器に入れて、電解式オゾナイ
ザーに3.5Vの印加電圧をかけて、3時間後の水素濃
度を調べたが、水素は市販の水素ガスセンサにおける検
出限界以下で、検知されず、水素処理用短絡型電極から
外部に漏れていないことが確認された。また、図1の水
素処理用短絡型電極のみを、43リットルの密閉容器に
入れて、水素を濃度1%になるように注射器で密閉容器
に添加し、水素濃度の時間変化を調べたところ、10分
以内に水素濃度が100ppmにまで低下し、水素処理
用短絡型電極単独で、水素の酸化処理用に用いることが
できることが確認された。従って、図1の水素処理用短
絡型電極は、電気化学素子とは離れたところで、電気化
学素子から漏れ出た水素を酸化処理するためにも用いる
ことができる。
【0027】実施の形態2.図4は、本発明の電気化学
素子の水素処理用短絡型電極の実施の形態2の構成を示
す断面側面図(a)と平面図(b)である。図におい
て、23は金属製の針である。短絡水素極3および短絡
空気極4は実施の形態1と同じ仕様の電極で、固体高分
子電解質膜も、厚さ約50μmの市販のものを用いた。
また、多孔質電気絶縁膜6としては、多孔質なポリプロ
ピレンフィルム(厚さ100μm)を、不透気性電気絶
縁フィルム7としては、不透気性のポリプロピレンフィ
ルム(厚さ50μm)を用いた。
【0028】次に、水素処理用短絡型電極の製造方法に
ついて説明する。直径20mmに打抜いた短絡水素極3
と短絡空気極4を直径25mmに打抜いた固体高分子電
解質膜2を間にして重ね、折り曲げることのできる金属
製の針で、図4(b)で示したように数カ所でとめた。
ポリプロピレン製の多孔質電気絶縁膜6と、不透気性電
気絶縁フィルム7は、170℃に加熱した2枚のドーナ
ツ状の銅板に挟んでポリプロピレンを融着させガスシー
ルを行った。この操作で、実施の形態1のポリエチレン
フィルムの場合と同様にヒートシール部分(図中矢印部
分)の多孔質なポリプロピレンフィルムが溶けて透気性
を失い、不透気性電気絶縁フィルムパッキン7と一体化
した。
【0029】次に、水素処理用短絡型電極の作用につい
て説明する。オゾナイザー素子の陰極12で発生した水
素は、水素処理用短絡型電極1の短絡水素極3でプロト
ンと電子に変換され、プロトンは、固体高分子電解質膜
2を通って短絡空気極4に達し、電子は金属製の針23
を通って短絡空気極4に達し、短絡空気極4では、外気
中の酸素とプロトンと電子が結合して水が発生する。従
って、オゾナイザー素子の陰極12で生じた水素は水素
処理用短絡型電極1で消費され、外気には漏れない。こ
れは、短絡水素極3で水素が消費されるのと、水素処理
用短絡型電極1が固体高分子電解質膜2によってガス遮
断されるためである。製造過程において、金属製の針2
3によって固体高分子電解質膜2に一時的に穴を生じる
が、水素が漏洩するほどの穴ではない。さらに、ホット
プレスの工程を加えれば、固体高分子電解質膜2が軟化
し、穴は完全に封止される。また、多孔質電気絶縁膜6
を熱融着すれば、素子を一体化して取り扱えるようにな
ると共に、ガスシールが容易になり周囲からの外部への
漏れも完全に防止される。従って、従来の水素処理用短
絡型電極のように、水素が拡散して、外部に漏れること
がなく安全性を確実に保つことができる。
【0030】実施の形態2の水素処理用短絡型電極の効
果を確認するために、電解式オゾナイザーと組み合せ
て、43リットルの密閉容器に入れて、電解式オゾナイ
ザーに3.5Vの印加電圧をかけて、3時間後の水素濃
度を調べたが、水素は市販の水素ガスセンサにおける検
出限界以下で、検知されず、水素処理用短絡型電極から
外部に漏れていないことが確認された。
【0031】実施の形態3.図5は、本発明の電気化学
素子の水素処理用短絡型電極の実施の形態3の構成を示
す断面側面図(a)と平面図(b)である。図におい
て、15は短絡カーボン粒子、16は電極表面の固体高
分子電解質膜の被膜である。短絡水素極3および短絡空
気極4の直径は20mm、厚さは0.1mmであり、ど
ちらも同じ仕様の電極を用いた。この電極は、特開平8
ー162132号公報や特開平8ー213027号公報
に開示された技術を用いて製造されたもので、実施の形
態1の電極と同様に片面にはカーボンに担持した白金触
媒が含浸されており、さらに10μm程度の固体高分子
電解質膜16がその上を覆っている。また、カーボン布
と同様にやわらかさを有している。短絡カーボン粒子1
5としては、粒径30μm程度のグラファイト粒子を用
いた。多孔質電気絶縁膜6としては多孔質のポリプロピ
レン(厚さ60μm)を、不透気性電気絶縁フィルムパ
ッキン7としては不透気性のポリプロピレンフィルム
(厚さ60μm)を用いた。
【0032】次に、水素処理用短絡型電極製造方法につ
いて説明する。直径20mmに打抜いた短絡水素極3と
短絡空気極4を互いに固体高分子電解質膜の被膜16を
対峙させて、間に少量の短絡カーボン粒子15をまばら
に配置して重ね、150℃でホットプレスして、電極と
膜の接合体を作成した。次いで、ドーナツ状に打抜いた
ポリプロピレンの不透気性電気絶縁フィルムパッキン7
と多孔質なポリプロピレンフィルム製の多孔質電気絶縁
膜6を図1のように重ねて、図1の矢印のところを、1
70℃に加熱した2枚のドーナツ状の銅板に挟んでポリ
プロピレンを融着させガスシールを行った。この操作
で、ヒートシール部分(図中矢印部分)の多孔質なポリ
プロピレンフィルムが溶けて透気性を失い、不透気性電
気絶縁フィルムパッキン7と一体化した。
【0033】次に、水素処理用短絡型電極の作用につい
て説明する。オゾナイザーなどの電気化学素子の陰極で
発生した水素は、水素処理用短絡型電極1の短絡水素極
3でプロトンと電子に変換され、プロトンは、固体高分
子電解質の被膜16を通って短絡空気極4に達し、電子
は短絡カーボン粒子15を通って短絡空気極4に達し、
短絡空気極4では、外気中の酸素とプロトンと電子が結
合して水が発生する。従って、オゾナイザー素子の陰極
12で生じた水素は水素処理用短絡型電極1で消費さ
れ、外気には漏れない。これは、短絡水素極3で水素が
消費されるのと、水素処理用短絡型電極1が固体高分子
電解質の被膜16によってガス遮断されるためである。
ホットプレスの工程で、短絡カーボン粒子15が固体高
分子電解質の被膜16を貫通するが、同時に固体高分子
電解質の被膜16が軟化し、短絡カーボン粒子15は、
固体高分子電解質の被膜16に埋もれた状態になって、
ガスシール性が保たれる。また、多孔質電気絶縁膜6と
不透気性電気絶縁フィルムパッキン7の熱融着によっ
て、外部への漏れも防止される。従って従来の水素処理
用短絡型電極のように、水素が拡散して、外部に漏れる
ことがなく安全性を確実に保つことができる。
【0034】実施の形態3の水素処理用短絡型電極の効
果を確認するために、電解式オゾナイザーと組み合せ
て、43リットルの密閉容器に入れて、電解式オゾナイ
ザーに3.5Vの印加電圧をかけて、3時間後の水素濃
度を調べたが、水素は市販の水素ガスセンサにおける検
出限界以下で、検知されず、水素処理用短絡型電極から
外部に漏れていないことが確認された。
【0035】実施の形態4.図6は、本発明の電気化学
素子の水素処理用短絡型電極の実施の形態4の構成を示
す断面側面図である。図において、22は固体高分子電
解質の薄膜で、その厚さは20μmである。
【0036】次に、水素処理用短絡型電極製造方法につ
いて説明する。直径20mmに打抜いた短絡水素極3と
短絡空気極4を固体高分子電解質膜の薄膜22を間には
挟んで重ね、190℃において、ホットプレスして、電
極と膜の接合体を作成した。短絡水素極3と短絡空気極
4の間の抵抗を交流4端子法で測定したところ、抵抗は
0.1mΩ以下で、電気的に短絡していることを確認し
た。次いで、実施の形態2の場合と同様にしてポリプロ
ピレン製のの不透気性電気絶縁フィルムパッキン7と多
孔質なポリプロピレンフィルム製の電気絶縁膜6を重ね
て熱融着させ、封止して水素処理用短絡型電極とした。
【0037】実施の形態4の水素処理用短絡型電極を、
それぞれ実施の形態1の場合と同様に電解式オゾナイザ
ーと組み合せて、43リットルの密閉容器に入れて、電
解式オゾナイザーに3.5Vの印加電圧をかけて、3時
間後の水素濃度を調べたが、水素は市販の水素ガスセン
サにおける検出限界以下で、検知されず、水素処理用短
絡型電極から外部に漏れていないことが確認された。
【0038】実施の形態4の水素処理用短絡型電極で
は、短絡水素極3と短絡空気極4の間に挟んだ固体高分
子電解質膜の薄膜22の厚さが十分薄いので、190℃
という通常のホットプレス条件よりも高い温度と高い圧
力でホットプレスされることで、膜に短絡水素極3と短
絡空気極4が食い込んで、互いに接触し、電気的に短絡
した。また、ガスシール性の点からは、固体高分子電解
質膜の薄膜22の厚さが十分厚く、水素は両短絡極間を
通過しない。これは、固体高分子電解質膜が高温でプリ
ンや豆腐のようにゲル化して柔らかくなり、電極の凹凸
が固体高分子電解質膜12に簡単に食い込めるためであ
る。このことは、実験後のサンプルの断面についての走
査型電子顕微鏡写真およびX線マイクロアナリシスで確
認され、膜の厚さが保たれているのに両方の電極が接触
していた。
【0039】固体高分子電解質の薄膜22の厚さを変化
させて同様の試験を行った結果、30μmを超えると短
絡水素極3と短絡空気極4を容易に短絡させることが困
難であり、5μmを下回ると水素が両短絡極間を通過す
ることが分った。従って、固体高分子電解質の薄膜22
の厚さとしては、5μm以上、30μm以下が良い。
【0040】実施の形態5.図7は、本発明の電気化学
素子の水素処理用短絡型電極の実施の形態5の構成を示
す断面側面図である。図において、17は拡大図、18
はカーボン繊維、19は白金触媒を担持したカーボン粒
子、20は固体高分子電解質、21は気孔閉塞物、24
は触媒と固体高分子電解質および気孔閉塞物を充填した
カーボンペーパーである。
【0041】次に、水素処理用短絡型電極製造方法につ
いて説明する。まず、白金を10重量%含む白金担持カ
ーボン触媒を水とイソプロパノールの混合溶媒に混合分
散させた後、固体高分子電解質膜をアルコールと水の混
合溶媒に溶解した溶液を加えて、ボールミルで1昼夜撹
拌混合した後、さらにポリエチレングリコールを加え
て、さらに4時間撹拌して白金触媒を担持したカーボン
粒子19、固体高分子電解質20および気孔閉塞物21
を含む触媒ペーストを調整した。次に厚さ約0.2mm
のカーボンペーパーの表と裏に、この触媒ペーストを充
填し、1昼夜乾燥した後、150℃で2時間加熱して固
体高分子電解質20を融着させた。
【0042】添加するポリエチレングリコールの量を加
減して8種類の水素処理用短絡型電極を作成し、サンプ
ルの一部を用いて水銀圧入式のポロシメーター(気孔
率、気孔分布測定装置)を用いて気孔率、気孔分布を測
定した。また、水素処理用短絡型電極の表裏にポリプロ
ピレン製の多孔質電気絶縁膜6を貼り付け、周囲部分を
熱圧着して、封止した水素処理用短絡型電極を作成し、
水素酸化処理能力を測定した。
【0043】図8は、実施の形態5の水素処理用短絡型
電極サンプルの気孔分布を示したもので、横軸は気孔
径、縦軸は気孔体積(相対比較)である。30は、ポリ
エチレングリコールを加えなかった場合の気孔分布で、
この時の気孔率は60%であり、31はポリエチレング
リコールを加えた場合の結果で、気孔率は40%であっ
た。ポリエチレングリコールを加えなかった場合の気孔
分布30では、0.1μmに鋭いピーク34があり、1
〜10μmにブロードなピーク35、さらに数10μm
にピーク36が観測された。ポリエチレングリコールを
加えた場合には、0.1μmの鋭いピーク34はほとん
ど変化していないが、1〜10μmのブロードなピーク
35および数10μmのピーク36が著しく低下してい
ることが分る。0.1μmの鋭いピーク34は、白金担
持カーボンの凹凸に起因する気孔、1〜10μmのブロ
ードなピーク35は、白金担持カーボンのストラクチャ
ー構造に起因する気孔、そして、数10μmのピーク3
6はカーボン繊維と白金担持カーボンの隙間に起因する
気孔である。ポリエチレングリコールの添加によって、
ピーク35およびピーク36が著しく低下することか
ら、これらの気孔がポリエチレングリコールによって占
有されていることが分る。
【0044】実施の形態5の8種類の水素処理用短絡型
電極を、それぞれ実施の形態1の場合と同様に電解式オ
ゾナイザーと組み合せて、43リットルの密閉容器に入
れて、電解式オゾナイザーに3.5Vの印加電圧をかけ
て、3時間後の水素濃度を調べた。図9は、この実験の
結果で、横軸は水銀圧入式のポロシメーターを用いて調
べた水素処理用短絡型電極の気孔率、縦軸は3時間後の
水素濃度の値、37は気孔率と水素濃度の関係をプロッ
トしたものである。気孔率が50%を超えている場合
は、水素が検出されているが、気孔率が45%を下回っ
た場合には、水素は殆ど検出されず、優れた水素処理用
短絡型電極であることが分った。50%を超えている場
合に検出された水素は、水素処理用短絡型電極の白金担
持カーボンのストラクチャー構造に起因する1〜10μ
mのブロードなピーク35やカーボン繊維と白金担持カ
ーボンの隙間に起因する数10μmのピーク36から4
3リットルの密閉容器内に漏れ出た水素であると考えら
れ、ポリエチレングリコールの添加によって、これらの
大きな気孔が閉塞され、水素処理用短絡型電極から外に
漏れ出る水素が著しく減少するためと考えられる。しか
し、水素処理用短絡型電極の気孔が全て閉塞されている
必要はなく、図9から明らかなように、気孔率が45%
を下回っていれば十分である。これは、気孔率が45%
を下回っていれば、屈曲率が上昇すなわち水素が通過で
きる通路が曲がりくねって水素処理用短絡型電極を通過
するまでの実質的な距離が長くなり、白金触媒に遭遇し
て酸化される確率が上昇するためと考えられる。屈曲率
の上昇は、気孔によって多少変化する可能性があるが、
気孔率が50%を上回る場合に急激に上昇する。
【0045】なお、実施の形態5では、気孔閉塞物21
としてポリエチレングリコールを用いたが、ポリエチレ
ンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、シリコーン樹脂、フッ素樹脂の他に、各
種高分子材料、ゴム、有機化合物など、気孔を閉塞する
ものであれば、何を用いても良く、実施の形態5と同様
の効果が得られる。
【0046】また、実施の形態1では、金属製の糸とし
て、銅線を用いた場合を示したが、カーボン繊維や金
線、銀線や黄銅線などを用いてもよく、同様の効果が得
られる。
【0047】
【発明の効果】請求項第1項の発明によれば、固体高分
子電解質膜を挟んで、触媒を有する2枚の触媒層シート
を重ね合わせ、固体高分子電解質膜を貫通する電子伝導
性物質により、表裏の触媒層を電気的に短絡させたの
で、固体高分子電解質膜で水素の透過が防止され、水素
を水素処理用短絡型電極の外部に漏らすことなく確実に
酸化処理できるので、安全性を保つことができる効果が
ある。
【0048】請求項第2項の発明によれば、固体高分子
電解質膜を挟んで、触媒を有する2枚の触媒層シートを
重ね合わせ、電子伝導性物質用いて、固体高分子電解質
膜および2枚の触媒層シートを合体することにより、該
膜と触媒層を短絡したので、水素を外部に漏らすことな
く確実に酸化処理できると共に、表裏の触媒層を電気的
に短絡することのできる水素処理用短絡型電極を簡単に
製造できる効果がある。
【0049】請求項第3項の発明によれば、固体高分子
電解質膜を挟んで、触媒を有する2枚の触媒層シートを
重ね合わせ、電子伝導性の糸を用いて、固体高分子電解
質膜および2枚の触媒層シートを貫通して縫い合わした
ので、ミシンなどを用いて水素を外部に漏らすことなく
確実に酸化処理できると共に、表裏の触媒層を電気的に
短絡することのできる水素処理用短絡型電極を簡単に製
造できる効果がある。
【0050】請求項第4項の発明によれば、固体高分子
電解質膜を挟んで、触媒を有する2枚の触媒層シートを
重ね合わせ、コの字状の金属製の針を一方の側から貫通
させて他方の側で折り曲げ、固体高分子電解質膜および
2枚の触媒層シートを閉じ合わせたので、表裏の触媒層
を電気的に短絡させると共に水素を外部に漏らすことな
く確実に酸化処理できる水素処理用短絡型電極を簡単に
製造できる効果がある。
【0051】請求項第5項の発明によれば、固体高分子
電解質膜の片面に触媒層を配置した2枚の触媒層膜シー
トを、互いに固体高分子電解質膜の側を向けて対峙さ
せ、電子伝導性の粒子を介在させて張り合わせ、電子伝
導性の粒子を固体高分子電解質膜を突き破って、双方の
触媒層と接触させたので、表裏の触媒層を電気的に短絡
させると共に水素を外部に漏らすことなく確実に酸化処
理できる水素処理用短絡型電極を簡単に製造できる効果
がある。
【0052】請求項第6項の発明によれば、固体高分子
電解質膜を貫通する電子伝導性物質により、表裏の触媒
層を電気的に短絡させた後、固体高分子電解質膜の軟化
温度以上の温度でホットプレスするようにしたので、固
体高分子電解質膜を貫通した電子伝導性の糸、針または
粒子によって形成された穴を軟化した固体高分子電解質
膜によって埋めることができ、水素ガスのシール性をよ
り完全にすることができる。
【0053】請求項第7項の発明によれば、5μm以
上、30μm以下の厚さの固体高分子電解質膜を挟ん
で、触媒を有する2枚の触媒層シートを対峙させ、固体
高分子電解質膜の軟化温度以上の温度でホットプレスす
ることによって、固体高分子電解質膜の薄膜を軟化させ
て、双方の触媒層を接触させて、表裏の触媒層を電気的
に短絡させるようにしたので、水素を外部に漏らすこと
なく確実に酸化処理できる水素処理用短絡型電極を簡単
に製造できる効果がある。
【0054】請求項第8項の発明によれば、触媒と電子
伝導性物質とイオン伝導性物質および気孔閉塞物とを充
填し、気孔率を45%以下としたので、水素を外部に漏
らすことなく確実に酸化処理できる水素処理用短絡型電
極を簡単に製造できる効果がある。
【0055】請求項第9項の発明によれば、気孔閉塞物
を、固体高分子電解質膜、ポリエチレングリコール、ポ
リビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースおよ
びシリカゲルからなる群から選んだので、固体高分子電
解質膜の軟化温度以上の温度でも分解せず、安定に気孔
を閉塞できる効果がある。
【0056】請求項第10項の発明によれば、陽極、固
体高分子電解質膜、陰極、および請求項第1項または請
求項第8項記載の水素処理用短絡型電極の順に配置し、
陽極の外側、および水素処理用短絡型電極の外側に多孔
性電気絶縁フィルムを配置したので、ゴミ、ホコリの付
着の影響の少ない水素処理用短絡型電極を具備した電気
化学素子が得られる効果がある。
【0057】請求項第11項の発明によれば、陰極と水
素処理用短絡型電極の間に多孔性電気絶縁フィルムを配
置したので、陰極と水素処理用短絡型電極との電気的な
接触を防止しながら水素の貯蔵空間が確保できる効果が
ある。
【0058】請求項第12項の発明によれば、多孔性電
気絶縁フィルムの少なくとも一部分が熱融着されている
ので、素子全体を少なくとも部分的に一体化して取り扱
うことができ、取り扱いが容易になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電気化学素子の水素処理用短絡型電
極の実施の形態1の構成を示す断面側面図(a)と平面
図(b)である。
【図2】 上糸および下糸の位置関係を示す断面側面図
である。
【図3】 オゾナイザー素子と水素処理用短絡型電極と
組み合せた装置である。
【図4】 本発明の電気化学素子の水素処理用短絡型電
極の実施の形態2の構成を示す断面側面図(a)と平面
図(b)である。
【図5】 本発明の電気化学素子の水素処理用短絡型電
極の実施の形態3の構成を示す断面側面図(a)と平面
図(b)である。
【図6】 本発明の電気化学素子の水素処理用短絡型電
極の実施の形態4の構成を示す断面側面図である。
【図7】 本発明の電気化学素子の水素処理用短絡型電
極の実施の形態5の構成を示す断面側面図である。
【図8】 水素処理用短絡型電極サンプルの気孔分布を
示す図である。
【図9】 水素処理用短絡型電極の気孔率と水素濃度の
関係を示す図である。
【図10】 従来の電解式オゾナイザーの断面模式図で
ある。
【図11】 従来の電解式除湿器の断面模式図である。
【図12】 従来の水素処理用短絡型電極を具備した電
解式除湿器の断面模式図である。
【符号の説明】
1 水素処理用短絡型電極 2 固体高分子電解質膜 3 短絡水素極 4 短絡空気極 5 短絡銅線 6 多孔質電気絶縁膜 7 不透気性電気絶縁フィルムパッキン 8 銅線上糸 9 銅線下糸 10 銅線上糸を通した針 11 電解式オゾナイザー素子の陽極 12 電解式オゾナイザー素子の陰極 13 電解式オゾナイザー素子の固体高分子電解質膜 14 電解式オゾナイザー素子陽極側の多孔質電気絶縁
膜 15 短絡カーボン粒子 16 電極表面の固体高分子電解質膜の被膜 17 水素処理用短絡型電極内部の拡大図 18 カーボン繊維 19 白金触媒を担持したカーボン粒子 20 固体高分子電解質 21 気孔閉塞物 23 金属製の針 24 触媒、固体高分子電解質および気孔閉塞物を充填
したカーボンペーパー 25 ガスケット 26 不透気性電気絶縁スペーサ 30 ポリエチレングリコールを加えなかった場合の気
孔分布 31 ポリエチレングリコールを加えた場合の気孔分
布、 34 0.1μmの鋭いピーク 35 1〜10μmのブロードなピーク 36 数10μmのピーク 37 気孔率と水素濃度の関係 45 除湿器の陽極 46 除湿器の陰極 47 除湿室 50 外部電源 51 従来の水素処理用短絡型電極 52 従来の水素処理用短絡型電極内部の拡大図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 哲也 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 菱 彩テクニカ株式会社内 (72)発明者 反町 誠 東京都台東区北上野2−6−4 東洋高砂 乾電池株式会社内 (72)発明者 畠中 康司 兵庫県三田市三輪2丁目6番1号 菱電化 成株式会社内 (72)発明者 相沢 毅 東京都大田区久が原2−14−10 株式会社 オプテックディディ・メルコ・ラボラトリ ー内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体高分子電解質膜を挟んで、触媒を有
    する2枚の触媒層シートを重ね合わせ、固体高分子電解
    質膜を貫通する物質で、表裏の触媒層を電気的に短絡さ
    せたことを特徴とする水素処理用短絡型電極。
  2. 【請求項2】 固体高分子電解質膜を挟んで、触媒を有
    する2枚の触媒層シートを重ね合わせ、電子伝導性物質
    を用いて固体高分子電解質膜および2枚の触媒層シート
    を合体することを特徴とする水素処理用短絡型電極の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 固体高分子電解質膜を挟んで、触媒を有
    する2枚の触媒層シートを重ね合わせ、電子伝導性の糸
    を用いて固体高分子電解質膜および2枚の触媒層シート
    を貫通して縫い合わしたことを特徴とする請求項2記載
    の水素処理用短絡型電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 固体高分子電解質膜を挟んで、触媒を有
    する2枚の触媒層シートを重ね合わせ、コの字状の金属
    製の針を一方の側から貫通させて他方の側で折り曲げ、
    固体高分子電解質膜および2枚の触媒層シートを閉じ合
    わせたことを特徴とする請求項2記載の水素処理用短絡
    型電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 固体高分子電解質膜の片面に触媒層を配
    置した2枚の触媒層膜シートを、互いに固体高分子電解
    質膜の側を向けて対峙させ、電子伝導性の粒子を介在さ
    せて張り合わせ、電子伝導性の粒子を固体高分子電解質
    膜を突き破って、双方の触媒層と接触させたことを特徴
    とする請求項2記載の水素処理用短絡型電極の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 固体高分子電解質膜を貫通する電子伝導
    性物質により、表裏の触媒層を電気的に短絡させた後、
    固体高分子電解質膜の軟化温度以上の温度でホットプレ
    スしたことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4
    および請求項5のいずれか一項に記載の水素処理用短絡
    型電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 5μm以上、30μm以下の厚さの固体
    高分子電解質膜を挟んで、触媒を有する2枚の触媒層シ
    ートを対峙させ、固体高分子電解質膜の軟化温度以上の
    温度でホットプレスすることによって、固体高分子電解
    質膜の薄膜を軟化させて、双方の触媒層を接触させて、
    表裏の触媒層を電気的に短絡させたことを特徴とする請
    求項6のいずれか一項に記載の水素処理用短絡型電極の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 触媒と電子伝導性物質とイオン伝導性物
    質および気孔閉塞物とを含み、気孔率が45%以下であ
    ることを特徴とする水素処理用短絡型電極。
  9. 【請求項9】 上記気孔閉塞物は、固体高分子電解質
    膜、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、
    カルボキシメチルセルロースおよびシリカゲルからなる
    群から選ばれたことを特徴とする請求項第8項記載の水
    素処理用短絡型電極。
  10. 【請求項10】 陽極、固体高分子電解質膜、陰極、お
    よび請求項第1項または請求項第8項記載の水素処理用
    短絡型電極の順に配置し、陽極の外側、および水素処理
    用短絡型電極の外側に多孔性電気絶縁フィルムを配置し
    たことを特徴とする水素処理用短絡型電極を具備した電
    気化学素子。
  11. 【請求項11】 陰極と水素処理用短絡型電極の間に多
    孔性電気絶縁フィルムを配置したことを特徴とする請求
    項10記載の電気化学素子。
  12. 【請求項12】 上記多孔性電気絶縁フィルムの少なく
    とも一部分が熱融着されていることを特徴とする請求項
    10または請求項11記載の水素処理用短絡型電極を具
    備した電気化学素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006233249A (ja) * 2005-02-23 2006-09-07 Mitsubishi Electric Corp 電気化学素子およびその製造方法
KR101093707B1 (ko) * 2004-06-29 2011-12-15 삼성에스디아이 주식회사 연료 전지용 막/전극 접합체, 그의 제조 방법 및 그를포함하는 연료 전지
CN110641028A (zh) * 2019-09-25 2020-01-03 大同新成新材料股份有限公司 碳毡加工生产用翻转式热压机及其使用方法

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