JPH11314467A - 感熱転写シート及び感熱転写シート用インク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】発色濃度が優れ、耐光性に優れた黄色色素を含
む色材層を有する感熱転写シート及び感熱転写シート用
インクの開発 【解決手段】支持体上に、下記一般式（１） 【化１】 （式（１）中、Ｘは水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基、ニトロ基、アルキル基又はアルコキシカルボニル基
を表し、Ｒは水素原子又はアルキル基を表す。）で示さ
れる黄色色素を含む色材層を有することを特徴とする感
熱転写シート及び一般式（１）で示される黄色色素を含
有する感熱転写シート用インク。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は感熱転写シート及び
感熱転写シート用インクに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年カラー記録技術として電子写真、イ
ンクジェット、感熱転写等が提案されている。その中で
感熱転写記録方式は装置の保守や操作が容易であるため
有利と考えられる。従来、感熱転写記録に適用される黄
色色素は分散染料、油溶性染料等の中から選ばれて使用
されてきた。ところで、感熱転写シートに用いられる色
素は感熱記録ヘッドの熱量で容易に昇華、拡散し、且つ
熱分解を起こさないこと、分子吸光係数が大きいこと、
色再現性がよいこと、鮮明性、耐熱性、耐光性、耐熱移
行性に優れること、安全衛生上問題ないこと等、様々な
品質特性が要求されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、階調性に優
れ、色濃度の高い画像が得られ、更には色再現性が良好
で耐光性、耐候性、耐熱性、耐熱移行性に優れ、保存性
の高い画像記録を得ることが出来る、とりわけ発色濃度
が優れ、且つ耐光性に優れた黄色色素を含む色材層を有
する感熱転写用シートを提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】発色濃度に優れ且つ耐光
性に優れた感熱転写シート、特に黄色系感熱転写シート
を見いだすべく鋭意研究の結果、本発明に至った。即
ち、本発明は、（１）支持体上に、下記一般式（１）

【０００５】

【化２】

【０００６】（式（１）中、Ｘは水素原子、ハロゲン原
子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はアルコキシカ
ルボニル基を表し、Ｒは水素原子又はアルキル基を表
す。）で示される黄色色素を含む色材層を有することを
特徴とする感熱転写シート、（２）（１）記載の一般式
（１）で示される黄色色素を含有する感熱転写シート用
インク、に関する。

【０００７】

【発明の実施の形態】上記一般式（１）の化合物におい
て、Ｘのハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素
原子およびヨウ素原子があげられ、アルキル基としては
メチル基、エチル基、ｎ−プロピル基、ｉｓｏ−プロピ
ル基、ｎ−ブチル基、ｉｓｏ−ブチル基等の（Ｃ１〜Ｃ
４）低級アルキル基があげられ、アルコキシカルボニル
基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等の（Ｃ１
〜Ｃ４）低級アルコキシカルボニル基があげられる。Ｒ
のアルキル基としてはメチル基、エチル基、ｎ−プロピ
ル基、ｉｓｏ−プロピル基、ｎ−ブチル基、ｉｓｏ−ブ
チル基等の（Ｃ１〜Ｃ４）低級アルキル基があげられ
る。

【０００８】次に式（１）の化合物の具体例を表１に示
す。

【０００９】

【表１】 表１ 化合物 Ｘ Ｒ λmax(nm) Ｎｏ． (アセトン/水=8:2(v/v)) １ Ｈ ｎ−Ｃ４Ｈ９ ４２９ ２ Ｃｌ（ｏ） ｎ−Ｃ４Ｈ９ ４２９ ３ ＣＮ（ｏ） ｎ−Ｃ４Ｈ９ ４２５ ４ Ｈ Ｈ ４２８ ５ ＣＨ３（ｏ） Ｈ ４３８ ６ ＣＨ３（ｍ） Ｈ ４３０ ７ Ｃ２Ｈ５（ｏ） Ｈ ４３８ ８ ＮＯ２（ｏ） Ｈ ４４２ ９ ＣＯＯＣＨ３（ｏ） Ｈ ４２８

【００１０】表１中、（ｏ）はアゾ基に対してオルト位
を、（ｍ）はメタ位を意味する。

【００１１】式（１）の化合物は、例えば特公昭４６−
１９７１６号公報記載の方法に準じて、４−チオシアノ
アニリン誘導体を公知の方法でジアゾ化し、次いで３−
シアノ−４−メチル−６−ヒドロキシ−ピリド−２−オ
ン誘導体とアルカリ媒体中で反応する事によって得られ
る。

【００１２】本発明の感熱転写シートは支持体上に、上
記一般式（１）で示される黄色色素の少なくとも一種を
含む色材層を有し、黄色系の感熱転写シートである。

【００１３】本発明の黄色系感熱転写シートは例えば次
のようにして製造される。即ち、上記一般式（１）で示
される色素を結着剤とともに媒体中に、例えばボ−ルミ
ル等を用いて溶解又は微粒子状に分散させることにより
黄色系インクを調製し、該インクをプラスチックフィル
ム又は紙などのシート状の支持体上に塗布、乾燥して本
発明の黄色系感熱転写シートが製造される。インク調製
のための結着剤としては、例えばセルロース系、アクリ
ル酸系、でんぷん系などの水溶性樹脂、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエー
テルスルホン樹脂、エチルセルロースなどの有機溶剤可
溶性の樹脂があげられ、１種で、又は２種以上併用して
用いられる。

【００１４】インク調製のための媒体としては水；メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノ
ールなどのアルコール類；メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブなどのセロソルブ類；アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンな
どのケトン類；トルエン、キシレン、クロルベンゼンな
どの芳香族炭化水素類；塩化メチレン、クロロホルム、
ジクロルエタン、トリクロルエタンなどの塩素系溶剤
類；酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類；テ
トラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類；Ｎ，
Ｎ−ジメチルホルムアミド、Ｎ−メチルピロリドン、ジ
メチルイミダゾリジノンなどの有機溶剤が１種で又は２
種以上の混合物として使用される。

【００１５】感熱転写シート作製のためインクを塗布す
る支持体としてはコンデンサー紙、セロハンあるいはポ
リエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルス
ルホンのような耐熱性良好なプラスチックフィルムなど
が使用される。その膜厚は３〜５０μｍ程度が好まし
い。

【００１６】インクを支持体上に塗布する方法としては
バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、グラ
ビア印刷機などを使って行うことができる。

【００１７】インクの塗布層の厚さは乾燥後０．１〜１
０μｍ好ましくは０．４〜５．０μｍになるように塗布
する。

【００１８】次に、インクにおける色素と結着剤および
媒体との割合は通常、色素０．５〜１５重量％、結着剤
３〜１５重量％、媒体７０〜９６．５重量％、好ましく
は色素１〜１０重量％、結着剤４〜１２重量％、媒体７
８〜９５重量％である。

【００１９】本発明の黄色系感熱転写シートは、受容シ
ートとともに使用される。受容シートとしては、ポリエ
ステル系樹脂またはポリアミド系樹脂などをコートした
紙、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルまたはポリエステ
ルなどの合成紙およびポリエステルなどの合成樹脂の透
明シート類等通常受容シートとして使用されているもの
がそのまま使用できる。

【００２０】受容シートへの本発明の黄色系感熱転写シ
ートからの色素の転写は、例えばサーマルプリンター
（例えば東芝（株）製サーマルプリンターＴＮ−５４０
０）等の記録装置によって１〜３０ｍｓで行えばよい。

【００２１】

【実施例】次に実施例によって本発明を更に詳細に説明
する。実施例中、「部」および「％」はそれぞれ重量部
および重量％である。

【００２２】実施例１ １）インクの調製方法 上記表１で示される化合物Ｎｏ．１の黄色色素（λｍａ
ｘ ４２９ｎｍ：塩化メチレン）２部およびエチルセル
ローズ６部、トルエン４５部、メチルエチルケトン４５
部からなる混合物をボールミルを用いて３時間処理して
インク組成物を調製した。

【００２３】２）転写シートの作成方法 バーコーターを用いて、上記インク組成物を４μｍのポ
リエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルムに乾燥膜
厚１μｍになるように塗布、乾燥し転写シートを得た。
乾燥後のインク層上で色素の析出は認められなかった。

【００２４】３）受容シートの作製方法 受容シートはポリエステル樹脂（日本合成（株）製、製
品名：ＴＰ−２２０）１５部、アミノ変性シリコーン
（信越化学工業（株）製、製品名：ＫＦ３９３）０．５
部、メチルエチルケトン２０部、キシレン１０部からな
る受容組成物を１５０μｍ合成紙（王子油化社製、製品
名：ＦＰＧ−１５０）に乾燥膜厚約５μｍになるように
塗布し、１００℃、３０分間キュアリングを行い受容シ
ートを作製した。

【００２５】４）転写記録 転写シートのインク塗布面を受容シートと重ね、下記条
件で転写記録を行い評価した。記録条件は、印字パルス
幅１〜１６ｍｓｅｃ／ｌｉｎｅ、印加電圧１．０Ｖ、印
字周期３０ｍｓｅｃ／ｌｉｎｅとし、印加電圧を一定で
印字時間を（印加エネルギー）を横軸に、光学濃度（Ｏ
Ｄ値）を縦軸としたγカーブをとり最大発色濃度を得
た。尚、発色濃度はデンシトメーターＲＤ−９１４（米
国マクベス社製）を用いて測定した。その結果発色濃度
は１．５５であった。又、耐光性も良好である。

【００２６】実施例２〜９ 表１に示した化合物の黄色色素２部を用いて実施例１と
同様にしてインクを調製し、次いで転写シートを作成し
た。これらの転写シートを用いて実施例１と同様にして
転写記録を行った後、発色濃度を測定した。その結果、
下記表２に示す通り実施例１と同様に高い発色濃度が得
られた。

【００２７】

【表２】表２ 実施例 （化合物Ｎｏ．） 最大発色濃度 ２ （Ｎｏ．２） １．４９ ３ （Ｎｏ．３） １．５０ ４ （Ｎｏ．４） １．４８ ５ （Ｎｏ．５） １．４９ ６ （Ｎｏ．６） １．４６ ７ （Ｎｏ．７） １．４５ ８ （Ｎｏ．８） １．４７ ９ （Ｎｏ．９） １．４６

【００２８】

【発明の効果】本発明の感熱転写シートによって熱転写
記録を行えば、階調性に優れ、色濃度の高いイエロー色
の画像が得られる。更には色再現性が良好で耐光性、耐
候性、耐熱性、耐熱移行性に優れている為に保存性の高
い画像記録ができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支持体上に、下記一般式（１） 【化１】 （式（１）中、Ｘは水素原子、ハロゲン原子、シアノ
   基、ニトロ基、アルキル基又はアルコキシカルボニル基
   を表し、Ｒは水素原子又はアルキル基を表す。）で示さ
   れる黄色色素を含む色材層を有することを特徴とする感
   熱転写シート。
2. 【請求項２】請求項１記載の一般式（１）で示される黄
   色色素を含有する感熱転写シート用インク。