JPH11314306A - 発泡体容器および食品用包装材 - Google Patents

発泡体容器および食品用包装材

Info

Publication number
JPH11314306A
JPH11314306A JP12379198A JP12379198A JPH11314306A JP H11314306 A JPH11314306 A JP H11314306A JP 12379198 A JP12379198 A JP 12379198A JP 12379198 A JP12379198 A JP 12379198A JP H11314306 A JPH11314306 A JP H11314306A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
gas barrier
foam
container
barrier layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP12379198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4757363B2 (ja
Inventor
Toshiya Kuroda
俊也 黒田
Taiichi Sakatani
泰一 阪谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP12379198A priority Critical patent/JP4757363B2/ja
Publication of JPH11314306A publication Critical patent/JPH11314306A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4757363B2 publication Critical patent/JP4757363B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/80Packaging reuse or recycling, e.g. of multilayer packaging

Landscapes

  • Package Specialized In Special Use (AREA)
  • Packages (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたガスバリア性、耐熱性、断熱性、リサ
イクル性、および焼却適性を有する発泡体容器を提供す
る。 【解決手段】 発泡体容器をあらかじめ容器状に成型し
た後に、好ましくはアンカー層を積層し、さらにその上
に、無機層状化合物を有する樹脂組成物からなるガスバ
リア層3を積層する。または、発泡体容器に先にガスバ
リア層を積層した後に成型してもよい。これによって、
ガスバリア性、耐熱性、断熱性、リサイクル性、および
焼却適性などに優れた発泡体容器を提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱性、耐熱性、
および耐マイクロ波適性に優れており、内容物を収納・
包装した状態で加熱可能するとともに、さらにガスバリ
ア性にも優れており、外気に接したりすると劣化し易い
内容物を良好かつ長時間保存することができる発泡体容
器と、この発泡体容器を備えている食品用包装材とに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、発泡体容器は、優れた断熱性
を有しているため、冷蔵または冷凍された内容物の収納
・包装や、加熱した内容物の収納・包装などに多く用い
られている。
【0003】たとえば、冷蔵または冷凍された内容物の
収納・包装の例としては、具体的には、畜肉加工品や水
産加工品などは、非常に腐敗・劣化し易いが、これら加
工品を冷蔵または冷凍し発泡体容器内に収納・包装して
おけば、長時間冷蔵または冷凍状態を維持しておくこと
が可能となる。
【0004】また、加熱した内容物の収納・包装の例と
しては、ラーメンやうどん、カレー、米飯、シチューな
どといった加熱された食品を発泡体容器内に収納・包装
しておけば、加熱した状態を長時間維持することができ
る。さらに、該発泡体容器の断熱性により、利用者が高
温をほとんど感じることなしに、上記加熱食品を収納・
包装した容器を手に持つことが可能となる。
【0005】上記発泡体容器は、上述した断熱性を必要
とする用途に広く用いられているため、その需要は非常
に大きいものとなっているが、さらに、該発泡体容器に
は、ガスバリア性が付与されていることが好ましい。こ
れは、該発泡体容器中に収納・包装される内容物、特に
食品の腐敗や劣化を効果的に抑制して、より長期に渡っ
て内容物を保存するためである。
【0006】具体的には、上記発泡体容器内に収納され
る内容物、特に食品などは、外気に接すると酸化によっ
て劣化したり、好気性菌やカビなどが繁殖して腐敗した
りするおそれがある。また、内容物が含有する水分など
の揮発分が蒸発・拡散したりすることでも劣化するおそ
れがある。それゆえ、発泡体容器にガスバリア性を付与
すれば、上述の問題点を効果的に抑制できるため、内容
物をより長期に渡って保存することが可能となる。
【0007】上記発泡体容器にガスバリア性を付与する
方法としては、発泡体容器にガスバリア性を有する樹脂
層(ガスバリア層)などを積層する方法が挙げられる。
発泡体容器への上記ガスバリア層の積層方法としては、
たとえば、無延伸の共押出ガスバリア樹脂層をフィルム
を発布体シートに貼り合わせて、積層発泡体シートを形
成しておき、積層後に真空成型などによって容器状に成
型する方法や、先に、発泡体シートを真空成型などによ
って成型して、その後、ガスバリア樹脂をスピンコート
法、ディッピングコート法、スプレーコート法などによ
り、積層する方法などが挙げられる。
【0008】上記ガスバリア層に用いられる樹脂として
は、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリ塩化ビ
ニリデン系樹脂が一般的である。これらのうち、ポリ塩
化ビニリデン系樹脂は、他の樹脂と比較して優れたガス
バリア性を有しているとともに、耐薬品性などにも優れ
るという特性を有している。また、たとえば、このポリ
塩化ビニリデン系樹脂をエマルジョンとすることによ
り、上述したような発泡体容器の表面へコートし易くな
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ポリ塩
化ビニリデン系樹脂を含む従来のガスバリア層は、有効
なガスバリア性を発揮させるためには、層の厚さを比較
的大きくする必要がある。層の厚さが大きければ、基材
である樹脂発泡体に対して異種材料の層の厚さおよび量
が増大するため、発泡体シート上へ積層した後の成型性
が低下することになるという問題点を招来する。
【0010】また、先に発泡体容器を成型した後にガス
バリア層を積層するような場合では、成型性には問題が
ないものの、異種材料であるガスバリア層の量が多くな
る。上記ガスバリア層は基材である発泡体容器本体から
分離することが困難であるため、リサイクルを困難にす
るという問題点も招来している。
【0011】さらに、リサイクルが困難な場合には焼却
処分も考えられるが、ガスバリア層がポリ塩化ビニリデ
ン系樹脂である場合には、塩素といった環境に負荷を与
える物質を含んでいる。それゆえ、安易に焼却すれば、
有機塩素系化合物を生成して環境を汚染するおそれもあ
るため、異種材料が多いと、結果的に焼却適性を低下さ
せるという問題点も招来する。
【0012】それゆえ、従来より、成型性、リサイクル
性、焼却適性に優れるとともに、高いガスバリア性を発
揮し得る発泡体容器が求められていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、無機層状化合物を有
する樹脂組成物からなるガスバリア層を発泡体容器に積
層すれば、従来のガスバリア層よりも非常に薄い膜厚で
優れたガスバリア性が発揮できるとともに、環境に負荷
を与える物質を含まず、異種材料であるガスバリア層の
量を少なくしてリサイクル性や焼却適性なども向上させ
ることができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0014】すなわち、本発明の発泡体容器は、上記の
課題を解決するために、樹脂発泡体層上に、無機層状化
合物を有する樹脂組成物からなるガスバリア層が積層さ
れていることを特徴としている。
【0015】上記構成によれば、本発明にかかる発泡体
容器は、従来からガスバリア層として用いられているポ
リ塩化ビニリデン系樹脂やエチレン−ビニルアルコール
共重合体などと比較して、非常に薄い膜厚で優れたガス
バリア性を発揮できるガスバリア層を有している。それ
ゆえ、先にガスバリア層を形成した後に発泡体シートを
成型したとしても成型性を低下させることなく高品質の
発泡体容器を得ることができる。
【0016】また、発泡体容器を成型した後にガスバリ
ア層を積層した場合には、ガスバリア層が非常に薄くで
きることから、発泡体容器中に存在する異種材料として
のガスバリア層を少なくすることができ、リサイクル性
や焼却適性を向上させることができる。
【0017】上記樹脂発泡体は、あらかじめ容器として
成型されているとともに、上記ガスバリア層は、無機層
状化合物を有する樹脂組成物からなる塗工液を、上記容
器の内面および外面の少なくとも一方にコーティングす
ることにより積層されることが好ましい。また、上記容
器は、真空成型法または圧空成型法により成型されたも
のであることが好ましい。
【0018】上記構成によれば、あらかじめ容器を成型
してからガスバリア層を積層することになるので、容器
の成型やガスバリア層の積層を高い自由度で行うことが
できる。また、容器が真空成型や圧空成型によりなされ
れば、薄肉の容器を良好に成型することができるため好
ましい。
【0019】上記のように先に容器を成型するのではな
く、先に、上記ガスバリア層を発泡体に積層して積層発
泡体シートとし、この積層発泡体シートを、真空成型法
または圧空成型法により成型してもよい。
【0020】上記ガスバリア層は非常に薄い膜厚にでき
るため、積層発泡体シートとして後に成型しても成型性
を妨げることがなく、高い精度に成型された発泡体容器
を得ることができる。
【0021】本発明にかかる発泡体容器の酸素透過度は
1mL/m2 ・day ・atm 以下となっていることが好ま
しく、0.1mL/m2 ・day ・atm 以下となっている
ことがより好ましく、0.05mL/m2 ・day ・atm
以下となっていることがさらに好ましい。酸素透過度が
この範囲内であれば、冷凍保存されている内容物の劣化
を抑制し、より長期に渡って保持することができる。
【0022】本発明にかかる発泡体容器では、上記無機
層状化合物は、分散媒に膨潤・へき開することが好まし
く、上記ガスバリア層は、無機層状化合物を有する樹脂
組成物の混合液を高圧分散処理して得られたものである
ことが好ましい。上記高圧分散処理の圧力条件は、10
0kgf/cm2 以上であることが好ましく、500k
gf/cm2 以上であることがさらに好ましく、100
0kgf/cm2 以上であることが特に好ましい。
【0023】また、無機層状化合物のアスペクト比は、
50〜5000の範囲内であることが好ましく、より好
ましくは、200〜3000の範囲内である。
【0024】上記樹脂組成物は高水素結合性樹脂を含
み、無機層状化合物と高水素結合性樹脂との重量比が
(1/100)〜(100/1)が好ましく、より好ま
しくは(1/20)〜(10/1)の範囲内である。こ
のとき、上記高水素結合樹脂は、樹脂単位重量当たりの
水素結合基またはイオン性基のモル%が30%以上、5
0%以下であることが好ましく、高水素結合性樹脂が、
ポリビニルアルコールおよびその変性体、多糖類、また
はエチレン−ビニルアルコール共重合体およびその変性
体であることが好ましい。
【0025】これら各構成を備えることによって、容器
が有するガスバリア性をより一層向上させることが可能
となり、内容物の劣化をより一層効果的に抑制すること
ができる。
【0026】本発明にかかる食品用包装材は、上述した
構成を有する発泡体容器を備えていることを特徴として
いる。そのため、ラーメン、やきそば、スパゲティー、
米飯、カレー、シチューなどといった加熱された食品を
調理可能な状態で収納・包装することが可能とすること
ができるとともに、発泡体容器の断熱性により、容器を
食器として用いることも可能である。また、畜肉加工品
や水産加工品などの生鮮食品を冷蔵または冷凍した状態
で収納・包装することにより、長時間に渡って冷蔵また
は冷凍状態を保持できるとともに、ガスバリア性により
内容物を長期に渡って保存することが可能とすることも
できる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図1
ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本発明にかかる発泡体容器は、無機層状化合物を有する
ガスバリア層が発泡体容器に積層されてなっているもの
である。
【0028】上記ガスバリア層に用いられる無機層状化
合物とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を
有している無機化合物であり、へき開した状態におい
て、粒径が5μm以下、アスペクト比が、ガスバリア性
に関しては50以上5000以下、より好ましくはアス
ペクト比が200〜3000の範囲であるものならば特
に限定されない。
【0029】アスペクト比が50未満であればガスバリ
ア性に関して十分でなく、5000より大きいものは技
術的に難しく、経済的にも高価なものとなる。また、粒
径が3μm以下であれば透明性が、より良好となり、さ
らに粒径が1μm以下であれば透明性の重視される用途
にはより好ましい。
【0030】上記無機層状化合物の具体例としては、グ
ラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコ
ニウム系化合物など)、カルコゲン化物、粘土鉱物など
を挙げることができる。ここに「カルコゲン化合物」と
はIV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,T
a)およびVI族(Mo,W)のジカルコゲン化物であ
って、式MX2 (Mは上記元素, Xはカルコゲン(S,
Se,Te)を示す。)で表されるものをいう。
【0031】上記無機層状化合物の粒径とは、分散媒
中、回折/散乱法により求めた粒径をさす。ガスバリア
層中での真の粒径測定はきわめて困難であるが、回折/
散乱法で用いた分散媒と同種の分散媒で十分に膨潤、へ
き開させて、ガスバリア層に用いる樹脂に複合させる場
合、図1に示すガスバリア層3における樹脂32中で
の、へき開した単位結晶層31の粒径は、分散媒中での
へき開した無機層状化合物の粒径に相当すると考えるこ
とができる。
【0032】〔平均粒径を求める方法〕液中の粒子の平
均粒径を求める方法は、回折/散乱法による方法、動的
光散乱法による方法、電気抵抗変化による方法、液中顕
微鏡撮影後画像処理による方法などが可能である。
【0033】動的光散乱法では樹脂と粒子が共存してい
る場合、見かけ液粘度が純分散媒と変わってしまうため
に評価し難く、電気抵抗変化による方法は液の電解質濃
度などに制限があり、液中顕微鏡撮影後画像処理による
方法は分解能の問題があり、それぞれ使いづらい。
【0034】回折/散乱法による方法は、樹脂溶液、た
とえば樹脂水性液に実質上散乱が少なく(透明というこ
と)、粒子由来の散乱が支配的である場合には、樹脂の
有無に関わらず粒子の粒度分布のみの情報が得られるた
め好ましい。
【0035】〔回折/散乱法による平均粒径測定〕回折
/散乱法による粒度分布・平均粒径測定は、膨潤してへ
き開した無機層状化合物を水性分散媒に分散させた分散
液に対し、光を通過させたときに得られる回折/散乱パ
ターンをミー散乱理論などを用いてパターンに最も矛盾
のない粒度分布を計算することによりなされる。
【0036】市販の装置としては、レーザー回折・光散
乱法による粒度測定装置(LS230、LS200、L
S100、コールター社製)、レーザー回折式粒度分布
測定装置(SALD2000、SALD2000A、S
ALD3000、島津製作所製)、レーザー回折・散乱
式粒度分布測定装置(LA910、LA700、LA5
00、堀場製作所製、および、マイクロトラックSP
A、マイクロトラックFRA、日機装製)などが挙げら
れる。
【0037】〔アスペクト比測定方法〕アスペクト比
(Z)とは、Z=L/aの関係から求められる比であ
る。ここに、Lは、分散液中、上記した回折/散乱法に
よる粒径測定法により求めた無機層状化合物の粒径(体
積基準のメジアン径)であり、aは、図1に示すへき開
した単位結晶層31の単位厚さである。この「単位厚さ
a」は、後述する粉末X線回折法などによって、無機層
状化合物の厚みを単独にて測定した結果に基づいて決め
られる値である。
【0038】より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線
回折ピークの強度を示した図2のグラフに模式的に示す
ように、観測される回折ピークのうち最も低角側のピー
クに対応する角度θから、Bragg の式(nλ=2Dsi
nθ、n=1,2,3・・・)に基づいて求められる間
隔を、「単位厚さa」とする(粉末X線回折法の詳細に
ついては、たとえば、塩川二朗監修「機器分析の手引き
(a)」69頁(1985年)化学同人社発行を参
照)。
【0039】分散液から分散媒を取り除いてなる、ガス
バリア層3に相当する樹脂組成物を粉末X線回折した際
には、通常、該樹脂組成物における分散している各無機
層状化合物の面間隔を、図1に示す面間隔dとして求め
ることが可能である。
【0040】より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線
回折ピークの強度を取った図3のグラフに模式的に示す
ように、上記した「単位厚さa」に対応する回折ピーク
位置より、低角(間隔が大きい)側に観測される回折ピ
ークのうち、最も低角側のピークに対応する間隔を「面
間隔d」(a<d)とする。
【0041】図4のグラフに模式的に示すように、上記
「面間隔d」に対応するピークがハロー(ないしバック
グラウンド)と重なって検出することが困難な場合にお
いては、2θdより低角側のベースラインを除いた部分
の面積を、「面間隔d」に対応するピークとしている。
ここに、「θd」は、「(単位厚さa)+(樹脂1本鎖
の幅)」に相当する回折角である(この面間隔dの算出
法の詳細については、たとえば、岩生周一ら編、「粘土
の事典」、35頁以下および271頁以下、1985
年、(株)朝倉書店を参照)。
【0042】通常は、上記した面間隔dと「単位厚さ
a」との差、すなわちk=(d−a)の値(「長さ」に
換算した場合)は、樹脂組成物を構成する樹脂1本鎖の
幅に等しいかこれより大である〔k=(d−a)≧樹脂
1本鎖の幅〕。このような「樹脂1本鎖の幅」は、シミ
ュレーション計算などにより求めることが可能である
(たとえば、「高分子化学序論」、103〜110頁、
1981年、化学同人を参照)、ポリビニルアルコール
の場合には4〜5オングストロームである(水分子では
2〜3オングストローム)。
【0043】ガスバリア層3中の単位結晶層31の「真
のアスペクト比」は直接測定がきわめて困難である。上
記したアスペクト比Z=L/aは、必ずしも、ガスバリ
ア層3中の単位結晶層31の「真のアスペクト比」と等
しいとは限らないが、下記の理由により、このアスペク
ト比Zをもって「真のアスペクト比」を近似することに
は妥当性がある。
【0044】樹脂組成物の粉末X線回折法により求めら
れる面間隔dと、無機層状化合物単独の粉末X線回折測
定により求められる「単位厚さa」との間にa<dなる
関係があり、且つ(d−a)の値が該組成物中の樹脂1
本鎖の幅以上である場合には、樹脂組成物中において、
各無機層状化合物の層間に樹脂が挿入されていることと
なる。したがって、ガスバリア層3中の単位結晶層31
の厚みを上記「単位厚さa」で近似すること、すなわち
ガスバリア層3中における単位結晶層31の「真のアス
ペクト比」を、上記した無機層状化合物の分散液中での
「アスペクト比Z」で近似することには、充分な妥当性
がある。
【0045】上述したように、ガスバリア層3中におけ
る、単位結晶層31の真の粒径測定はきわめて困難であ
るが、ガスバリア層3の樹脂32中での単位結晶層31
の粒径は、分散液中(樹脂/無機層状化合物/分散媒)
の無機層状化合物の粒径Lに相当すると考えることがで
きる。
【0046】但し、回折/散乱法で求められる分散液中
での粒径Lは、無機層状化合物の長径Lmaxを越える
可能性はかなり低いと考えられるため、真のアスペクト
比(Lmax/a)が、本発明で用いる「アスペクト比
Z」を下回る(Lmax/a<Z)可能性は、理論的に
はかなり低い。
【0047】上述した2つの点から、本発明で用いるア
スペクト比の定義Zは、充分な妥当性を有するものと考
えられる。本明細書において、「アスペクト比」または
「粒径」とは、上記で定義した「アスペクト比Z」、ま
たは「回折/散乱法で求めた粒径L」を意味する。
【0048】大きなアスペクト比を容易に与える点から
は、分散媒に膨潤・へき開する性質を有する無機層状化
合物が好ましく用いられる。
【0049】上記無機層状化合物の分散媒への「膨潤・
へき開」性の程度は、以下の「膨潤・へき開」試験によ
り評価することができる。無機層状化合物の膨潤性は、
下記の膨潤性試験において、膨潤値約5以上(さらには
膨潤値約20以上)の程度であることが好ましい。一
方、無機層状化合物のへき開性は、下記へき開性試験に
おいて、へき開値約5以上(さらにはへき開値約20以
上)の程度であることが好ましい。これらの場合、分散
媒としては、無機層状化合物の密度より小さい密度を有
する液体を用いる。無機層状化合物が天然の膨潤性粘土
鉱物である場合、分散媒としては、水を用いることが好
ましい。
【0050】<膨潤性試験>100mLメスシリンダー
に分散媒100mLを入れ、これに無機層状化合物2g
をゆっくり加える。静置後、23℃、24hr後の無機
層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状
化合物分散層の体積(mL)を膨潤値として読む。この
数値が大きい程、膨潤性が高い。
【0051】<へき開性試験>無機層状化合物30gを
分散媒1500mLにゆっくり加え、分散機〔浅田鉄工
(株)製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3
100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28
mm〕にて周速8.5m/secで90分間分散した後
(23℃)、分散液100mLをとりメスシリンダーに
入れ60分静置後、上澄みとの界面から、無機層状化合
物分散層の体積(mL)をへき開値として読む。
【0052】分散媒に膨潤・へき開する無機層状化合物
としては、分散媒に膨潤・へき開性を有する粘土鉱物が
特に好ましく用いられる。かかる粘土鉱物は、一般に、
シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウ
ムなどを中心金属にした八面体層を有する2層構造を有
するタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマ
グネシウムなどを中心金属にした八面体層を両側から狭
んでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者の
2層構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴラ
イト族などを挙げることができ、後者の3層構造タイプ
としては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、
バーミキュライト族、マイカ族などを挙げることができ
る。
【0053】これらの粘土鉱物としては、より具体的に
は、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイ
サイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィラ
イト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイ
ト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘク
トライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオ
ライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュラ
イト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げる
ことができる。
【0054】また、粘土鉱物を有機物で処理したもの
(以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合もある)も無機
層状化合物として用いることができる(なお、有機物で
処理した粘土鉱物に関しては、朝倉書店、「粘土の事
典」参照)。
【0055】上記粘土鉱物の中でも、膨潤性またはへき
開性の観点から、スメクタイト族、バーミキュライト族
およびマイカ族が好ましく、さらに好ましくはスメクタ
イト族が好ましい。スメクタイト族としては、モンモリ
ロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイ
ト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトを例
示できる。
【0056】無機層状化合物を膨潤またはへき開させる
分散媒は、たとえば天然の膨潤性粘土鉱物の場合、水、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなど
のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、アセトンなどが挙げられ、水やメタノールな
どのアルコール類がより好ましい。
【0057】また、有機修飾粘土鉱物の場合、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチ
ルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
などのケトン類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オ
クタンなどの脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、四塩
化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロ
エタン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素
類、酢酸エチル、メタアクリル酸メチル(MMA) 、フ
タル酸ジオクチル(DOP)、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオ
イルなどが挙げられる。
【0058】本発明にかかる発泡体容器では、上述した
無機層状化合物を含む樹脂組成物が層状に形成されてガ
スバリア層3となり、このガスバリア層3が基材となる
発泡体容器に積層されている構成であれば特に限定され
るものではない。たとえば、先に発泡体容器が成型され
た後に、ガスバリア層3を積層してもよいし、発泡体シ
ートに対してガスバリア層3を先に積層して積層発泡体
シートとした後に、容器として成型してもよい。
【0059】先に発泡体容器を成型した後にガスバリア
層3を積層する方法としては、上記樹脂組成物をフィル
ム状に成型して、発泡体容器に貼り合わせる方法や、、
無機層状化合物を含む樹脂組成物からなる塗工液を調製
し、この塗工液を基材にコーティングする方法が挙げら
れる。
【0060】上記樹脂組成物をフィルム状に成型する方
法に用いられる樹脂としては特に限定されるものではな
く、ガスバリア層3のガスバリア性を低下させるもので
なければよい。また、樹脂組成物をフィルム状に成型す
る方法としては押出成型やカレンダ加工などが好適に用
いられるが特に限定されるものではない。
【0061】本発明にかかる発泡体容器は、収納・包装
する内容物に応じてさまざまな形状に成型することがで
きるが、この場合、ガスバリア層3の成型方法として
は、先にフィルム状に成型した後に基材に積層する方法
よりも、樹脂組成物を塗工液とし、この塗工液をコーテ
ィングする方法を用いることが好ましい。
【0062】上記塗工液をコーティングする方法では、
先に基材を所望の形状に成型した後にガスバリア層3を
積層することができるので、本発明にかかる発泡体容器
の成型に対する自由度をより一層向上させることができ
る。
【0063】上記塗工液に含まれる樹脂は、特に限定さ
れないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、アミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン
系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、セルロース系樹脂、
ハロゲン含有樹脂、水素結合性樹脂、液晶樹脂、ポリフ
ェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテル
サルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、アクリル系
樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョン、アク
リル−ウレタン共重合体系エマルジョンなどが挙げられ
る。
【0064】好ましい樹脂の例としては、後述する水素
結合性基またはイオン性基を有する高水素結合性樹脂を
含む樹脂が挙げられる。高水素結合性樹脂中の水素結合
性基またはイオン性基の含有量(両者を含む場合は、両
者の合計量)は、通常、20〜60モル%であり、好ま
しくは30〜50モル%である。これらの水素結合性基
およびイオン性基の含有量は、たとえば、核磁気共鳴
(NMR)の手法(1H−NMR、13C−NMRな
ど)によって測定することができる。
【0065】上述した水素結合性基としては水酸基、ア
ミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、
燐酸基などが挙げられ、イオン性基としてはカルボキシ
レート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモ
ニウム基、ホスホニウム基などが挙げられる。水素結合
性基またはイオン性基の内、さらに好ましいものとして
は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸
基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモ
ニウム基などが挙げられる。
【0066】高水素結合性樹脂の具体例としては、たと
えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール分率が
40モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合
体、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ポ
リアクリル酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポ
リスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミ
ン、ポリアリルアミンおよびその4級アンモニウム塩、
ポリビニルチオール、ポリグリセリンなどが挙げられ
る。上述した樹脂の中でも、さらに好ましいものとして
は、ポリビニルアルコール、多糖類が挙げられる。
【0067】ここで、ポリビニルアルコールとは、たと
えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解
ないしエステル交換(けん化)して得られるポリマー
(すなわち、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体
となったもの)や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ
酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチル
ビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテ
ル重合体などをけん化して得られるポリマーが挙げられ
る(ポリビニルアルコールの詳細については、たとえ
ば、ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、
(株)高分子刊行会;長野ら、「ポバール」1981
年、(株)高分子刊行会を参照)。
【0068】ポリビニルアルコールにおける「けん化」
の程度は、モル百分率で70%以上が好ましく、さらに
は85%以上のものが好ましく、98%以上のいわゆる
完全けん化品が特に好ましい。また、ポリビニルアルコ
ールにおける重合度は、100以上5000以下が好ま
しく、200以上3000以下がより好ましい。さら
に、本発明にいうPVAは、本発明の目的が阻害されな
い限り、少量の共重合モノマーで変性されていてもよ
い。
【0069】多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によっ
て生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれ
らをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえば、セ
ルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど
のセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プ
ルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサンなど
が挙げられる。
【0070】また、エチレン−ビニルアルコール共重合
体(以下:EVOHと記載) とは、ビニルアルコール分
率が40モル%以上80モル%以下であり、より好まし
くは、45モル%〜75モル%であるEVOHを意味す
る。また、EVOHのメルトインデックス(温度190
℃、荷重2160gの条件で測定した値;以下MIと記
す)は、特に限定されないが、0. 1〜50g/10分
である。さらに、本発明にいうEVOHは、本発明の目
的が阻害されない限り、少量の共重合モノマーで変性さ
れていてもよい。
【0071】上記ポリビニルアルコールおよびエチレン
−ビニルアルコール共重合体の変性体とは、ポリビニル
アルコールの製造過程において、ビニルエステル類、特
に酢酸ビニル単量体と、それと共重合可能な他の不飽和
単量体とを共重合させたものである。上記他の不飽和単
量体としては、たとえば、エチレン、プロピレン、α−
ヘキセン、α−オクテンなどのオレフィン類や、(メ
タ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸などの不飽和酸、およびそのアルキ
ルエステルやアルカリ塩類、ビニルスルホン酸、スチレ
ンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸などのスルホン酸含有単量体およびそのア
ルカリ塩類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートや、ト
リメチル−2−(−1−(メタ)アクリルアミド−1,
1−ジメチルエチル)アンモニウムクロリド、トリメチ
ル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アン
モニウムクロリド、1−ビニル−2−エチルイミダゾー
ル、その他4級化可能なカチオン性単量体、スチレン、
アルキルビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、そ
の他のものが挙げられる。
【0072】これら共重合成分の比率は、特に限定はさ
れるものではないが、ビニルアルコール単位に対し、5
0モル%以下、好ましくは30モル%以下の程度である
場合が好ましく、その共重合の形態は、ランダム共重
合、ブロック共重合、グラフト共重合など任意の方法に
よって得られる各種の形態が用いられる。
【0073】中でも、これら共重合体のうち、ポリビニ
ルアルコール成分に対し、ポリカルボン酸成分が共重合
されたブロック共重合体特に好適に用いられ、該ポリカ
ルボン酸成分がポリメタクリル酸である場合において特
に好ましい。さらに、該ブロック共重合体は、ポリビニ
ルアルコール鎖の片末端にポリアクリル酸鎖が延長され
たようなA−B型ブロック共重合体である場合が特に好
ましく、ポリビニルアルコールブロック成分(a)とポ
リアクリル酸ブロック成分(b)の重量比(a)/
(b)が50/50〜95/5である場合が好ましく、
60/40〜90/10である場合において特に好まし
いガスバリア性が完備され、基材層との結合特性が顕著
に完備される。また、その他の変性体のうち、特に好ま
しい形態の1つとしては、分子内にシリル基を有する化
合物の少なくとも一種で変性されたビニルエステル系重
合体けん化物からなるシリル基変性ポリビニルアルコー
ル系樹脂がある。
【0074】かかる組成を有する変性重合体を得る方法
としては、特に限定はないが、常法によって得られたポ
リビニルアルコールあるいは変性ポリ酢酸ビニルなどの
ビニルアルコール系重合体に、分子内にシリル基を有す
る化合物を反応させ、シリル基を重合体に導入する、あ
るいはポリビニルアルコールあるいはその変性体の末端
を活性化し、分子内にシリル基を有する不飽和単量体を
重合体末端に導入する、さらには該不飽和単量体をビニ
ルアルコール系重合体分子鎖にグラフト共重合せしめる
など各種の変性による方法、ビニルエステル系単量体と
分子内にシリル基を有する不飽和単量体とから共重合体
を得て、これをけん化する方法、または、シリル基を有
するメルカプタンなどの存在下でビニルエステルを重合
し、これをけん化するなど末端にシリル基を導入する、
などの各種の方法が有効に用いられる。
【0075】このような各種の方法で得られる変性ポリ
ビニルアルコール系樹脂としては、結果的にその分子内
にシリル基を有するものであればよいが、分子内に含有
されるシリル基がアルコキシル基あるいはアシロキシル
基およびこれらの加水分解物であるシラノール基または
その塩などの反応性置換基を有しているものが好まし
く、中でもシラノール基である場合が特に好ましい。
【0076】これらの変性ポリビニルアルコール系樹脂
を得るために用いられる分子内にシリル基を有する化合
物としては、トリメチルクロルシラン、ジメチルクロル
シラン、メチルトリクロルシラン、ビニルトリクロルシ
ラン、ジフェニルジクロルシラン、トリエチルフルオロ
シランなどのオルガノハロシラン、トリメチルアセトキ
シシラン、ジメチルジアセトキシシランなどのオルガノ
シリコンエステル、トリメチルメトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシランなどのオルガノアルコキシシラン、
トリメチルシラノール、ジエチルシランジオールなどの
オルガノシラノール、N−アミエチルトリメトキシシラ
ンなどのアミノアルキルシラン、トリメチルシリコンイ
ソジシアネートなどのオルガノシリコンイソシアネート
その他のものが挙げられる。これらシリル化剤による変
性度は用いられるシリル化剤の種類、量、反応条件によ
って任意に調節することができる。
【0077】また、ビニルエステル系単量体と分子内に
シリル基を有する不飽和単量体とからの共重合体をけん
化する方法において用いられる該不飽和単量体として
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、などに代表されるようなビニルアルコキシシラン
やビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリイソプロ
ポキシシランなどに代表されるようなビニルアルコキシ
シランのアルキルあるいはアリル置換体など多くのビニ
ルシラン系化合物、さらに、これらのアルコキシ基の一
部または全部をポリエチレングリコールなどのポリアル
キレングリコール置換したポリアルキレングリコール化
ビニルシランなどが挙げられる。さらには、3−(メ
タ)アクリルアミノ−プロピルトリメトキシシラン、3
−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラ
ンなどに代表されるような(メタ)アクリルアミド−ア
ルキルシランなども好ましく用いることができる。
【0078】一方、シリル基を有するメルカプタンなど
の存在下でビニルエステルを重合した後けん化し、末端
にシリル基を導入する方法には、3−(トリメトキシシ
リル)−プロピルメルカプタンなどのアルコキシシリル
アルキルメルカプタンが好ましく用いられる。
【0079】本発明の変性ポリビニルアルコール系樹脂
における変性度、すなわち、シリル基の含有量、けん化
度などによってその適性範囲は各々異なるが、本発明の
目的であるガスバリア性に対しては、重要な要因とな
る。シリル基の含有量は、通常、重合体中のビニルアル
コール単位に対しシリル基を含む単量体として30モル
%以下であり、10モル%以下が好ましく、5モル%以
下である場合がより好ましく、2モル%以下が特に好ま
しく用いられる。下限は特に限定されないが、0.1モ
ル%以上である場合において効果が特に顕著に発揮され
る。
【0080】なお、上記シリル化率は、シリル化前のポ
リビニルアルコール系樹脂に含まれていた水酸基の量に
対する、シリル化後の導入されたシリル基の割合を示す
ものである。
【0081】上記シリル基が導入された変性ポリビニル
アルコール系樹脂は、アルコール、またはアルコール/
水の混合溶媒で加熱溶解させることにより、導入された
シリル基の存在によってアルコール系溶媒に溶解する。
そして、溶媒に溶解した変性ポリビニルアルコール系樹
脂は、一方で、導入されたシリル基の一部が脱アルコー
ル反応および脱水反応により反応して、架橋する。な
お、上記反応には、水の存在が必須であり、アルコール
/水の混合溶媒を用いることが好ましい。
【0082】これら各種のポリビニルアルコール系樹脂
は、もちろんそれ単独で用いられてもよいが、本発明の
目的を阻害しない限り、共重合可能な他の単量体との共
重合体としたり、混合可能な他の樹脂化合物と併用する
ことができる。このような樹脂としては、たとえばポリ
アクリル酸またはそのエステル類、ポリエステル系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ
樹脂、メラミン樹脂、その他のものを挙げることができ
る。
【0083】上記塗工液は、上述した無機層状化合物と
樹脂を分散媒中に分散または溶解させた液である。得ら
れる発泡体容器のガスバリア性の観点から、分散媒とし
ては、上述した無機層状化合物を膨潤またはへき開させ
る液体が好ましい。
【0084】塗工液における、無機層状化合物と樹脂と
の組成比は、特に限定されないが、一般的には、無機層
状化合物と樹脂との重量比(無機層状化合物/樹脂)が
1/100〜100/1、さらには1/20〜10/1
の範囲であることが好ましい。無機層状化合物の重量比
が高いほどガスバリア性に優れるが、耐屈曲性の点を考
慮すると、1/20〜2/1の範囲がより好ましい。
【0085】上記塗工液中の高水素結合性樹脂および無
機層状化合物の濃度は、両者の合計で、通常、0.1重
量%〜70重量%の範囲内であることが好ましく、1重
量%〜15重量%の範囲内であることがより好ましく、
4重量%〜10重量%の範囲内であることが、生産性の
観点からさらに好ましい。
【0086】本発明のガスバリア層3に用いた樹脂が、
高水素結合性樹である場合、ガスバリア層3の耐水性を
改良する目的で、水素結合性基用架橋剤を用いることが
できる。
【0087】上記架橋剤の好適な例としては、チタン系
カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系
カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシア
ネート系カップリング剤等のカップリング剤、水溶性エ
ポキシ化合物、銅化合物、ジルコニウム化合物、有機金
属化合物等が挙げられる。耐水性向上の点からは、有機
金属化合物、ジルコニウム化合物、水溶性エポキシ化合
物、シランカップリング剤がさらに好ましく用いられ、
さらに好ましくは、有機チタン化合物等の有機金属化合
物である。
【0088】前記のジルコニウム化合物の具体例として
は、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化
ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム
等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、塩基
性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジル
コニウム塩;ギ酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プ
ロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ス
テアリン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニウム塩;
炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナト
リウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジル
コニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウ
ム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウ
ム錯塩などがあげられる。
【0089】前記の水溶性エポキシ化合物の具体例とし
ては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタ
ンポリグリシジルエーテル、グリシジルエーテル系エポ
キシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系
エポキシ樹脂、あるいは脂肪族系エポキシ樹脂をあげる
ことができる。
【0090】前記のシランカップリング剤の例として
は、アミノ系シランカップリング剤、ビニル系あるいは
メタクリロキシ系シランカップリング剤、エポキシ系シ
ランカップリング剤、メチル系シランカップリング剤、
クロロ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカ
ップリング剤系が挙げられる。
【0091】さらに、上記水素結合性基用架橋剤の好適
な例としては、高水素結合性樹脂の複数の官能基と反応
して架橋構造を形成する反応、すなわち架橋反応し得る
有機金属化合物、例えば、ポリビニルアルコールの複数
の水酸基と反応して、該有機金属化合物の金属原子と水
酸基の酸素原子とが、配位結合やイオン結合して架橋結
合を形成する、前記の有機金属化合物が好ましい。
【0092】上記の架橋反応し得る有機金属化合物は、
無機金属塩と比較して、架橋反応性が高く、架橋効率が
高い。ただし、あまり架橋反応性が高すぎると塗工液中
で架橋反応が進行し、塗工(コーティング)が不可能と
なるが、有機金属化合物の架橋反応性は、配位子を適宜
変えることで容易に制御できる。有機金属化合物は、こ
のように反応性の制御が容易であるという利点を有する
点でも無機金属塩より優れている。有機金属化合物の中
でも、特に、アセチルアセトナートのようなキレート性
の配位子を有する有機金属化合物は、適度な架橋反応性
を有し、水素結合性基用架橋剤として好ましい。
【0093】このような有機金属化合物の好適な例とし
ては、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有
機アルミニウム化合物、有機珪素化合物が挙げられる。
【0094】有機チタン化合物の具体例としては、テト
ラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタ
ネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチル
ヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチ
タンオルソエステル類、チタンアセチルアセトナート、
チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチ
ルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタ
ンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタ
ンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類、ポリ
ヒドロキシチタンステアレート等のチタンアシレート類
などが挙げられる。
【0095】有機ジルコニウム化合物の具体例として
は、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウム
ノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセ
トナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジ
ルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムア
セチルアセトナートビスエチルアセトアセテート等が挙
げられる。
【0096】有機アルミニウム化合物の具体例として
は、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウム
有機酸キレート等が挙げられる。有機珪素化合物として
は、有機チタン化合物または有機ジルコニウム化合物と
して例示した化合物が有する配位子を有する珪素化合物
が挙げられる。
【0097】これらの中で、キレート化合物が塗工液中
での安定性の面で好ましい。また、塗工液の安定性の面
では、塗工液を酸性に設定することにより、上記安定性
が大幅に改良される。上記の酸性条件としては、pH5
以下が好ましく、pH3以下がより好ましい。上記塗工
液のpHについては特に下限はないが、通常、pH0.
5以上である。添加方法は、アルコール類で希釈し、添
加するのが好ましく用いられる。上記の樹脂と架橋剤と
の混合工程を含むことで、上記の樹脂が架橋されたガス
バリア層3を得ることができる。
【0098】架橋剤の添加量は特に限定されないが、架
橋剤の架橋生成基のモル数(CN)と樹脂の水素結合性
基のモル数(HN)との比K(K=CN/HN)が、
0.001以上10以下の範囲内になるように用いるこ
とが好ましい。このモル数の比Kは、0.01以上1以
下の範囲内であることが更に好ましい。
【0099】上記した無機層状化合物と樹脂よりなる樹
脂組成物の配合ないし製造方法は、特に限定されない。
配合時の均一性ないし操作容易性の点からは、たとえ
ば、樹脂を溶媒に溶解させた液と、無機層状化合物を分
散媒により予め膨潤・へき開させた分散液とを混合後、
溶媒および分散媒を除く方法(方法1)、無機層状化合
物を分散媒により膨潤・へき開させた分散液と樹脂とを
混合して、上記樹脂を分散媒中に溶解させた後、分散媒
を除く方法(方法2)、樹脂を溶媒に溶解させた液に無
機層状化合物を加え、上記溶媒を分散媒として上記無機
層状化合物を膨潤・へき開させて分散液とし、上記溶媒
を除く方法(方法3)、また樹脂と無機層状化合物を熱
混練する方法(方法4)などが使用可能である。無機層
状化合物の大きなアスペクト比が容易に得られる点から
は、前3者の方法が好ましく用いられる。また、前3者
においては、高圧分散装置を用いて処理するほうが無機
層状化合物の分散性の観点から好ましい。
【0100】高圧分散装置としては、たとえばMicroflu
idics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー(商品名
マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナ
ノマイザーがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散
装置、たとえばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザー
などが挙げられる。
【0101】上記の前3者の方法において、溶媒や分散
媒を系から除去し、積層した後、得られた発泡体容器
を、たとえば110℃以上220℃以下で熱エージング
することは、とりわけ発泡体容器の耐水性(耐水環境テ
スト後のガスバリア性の意味)を向上させることができ
て、好ましい。
【0102】エージング時間に限定はないが、発泡体容
器が少なくとも設定温度に到達する必要があり、たとえ
ば熱風乾燥機のような熱媒接触による方法の場合、1秒
以上100分以下が好ましい。熱源についても特に限定
はなく、熱ロール接触、熱媒接触(空気、オイルな
ど)、赤外線加熱、マイクロ波加熱など種々の方法が適
用できる。上記エージング処理は、樹脂が高水素結合性
樹脂を含む場合に、耐水性の改良において特に優れた効
果を発揮する。
【0103】本発明における高圧分散処理とは、図5に
示すように、分散させるべき粒子または分散媒等を混合
した組成物混合液を複数本の細管11中に高速通過させ
衝突させることにより、高剪断や高圧状態などの特殊な
条件下で、分散処理することである。
【0104】このような高圧分散処理では、組成物混合
液を、管径1μm〜1000μmの細管11中を通過さ
せることが好ましく、細管11を通過時に、組成物混合
液には、最大圧力条件が100kgf/cm2 以上の圧
力が印加されることが好ましく、さらに、500kgf
/cm2 以上がより好ましく、さらに好ましくは100
0kgf/cm2 以上である。また、組成物混合液が、
細管11内を通過する際、上記組成物混合液の最高到達
速度が100m/s以上に達することが好ましく、伝熱
速度は100kcal/hr以上のことが好ましい。
【0105】上記高圧分散処理に用いる高圧分散処理装
置内での高圧処理の原理を模式的に説明すると、まず、
ポンプ12により、細管11より太い管径を有するフィ
ーダー管13に組成物混合液が吸引されて取り込まれ
る。続いて、ポンプ12によって、フィーダー管13内
の組成物混合液に対し、高圧が印加される。このとき、
フィーダー管13に設けられた逆流防止弁(図示せず)
により、フィーダー管13内の組成物混合液は、細管1
1に向かって押し出される。したがって、組成物混合液
は、細管11内において、高圧および高速状態となり、
組成物混合液の各無機層状化合物粒子が互いに、および
細管11の内壁と衝突して、上記各無機層状化合物粒子
の径および厚さ、特に厚さが細分化され、かつ、より均
一に分散されて、排出管14から外部に取り出される。
【0106】たとえば、細管11部分で処理サンプルで
ある組成物混合液に対し、瞬間的に最高速度に達する地
点の流速が、例えば300m/sの場合、体積1×10
-33 の立方体中を1/(3×105 )secで通過
し、組成物混合液の温度が35℃上昇するとき、圧力損
失により組成物混合液にエネルギーが伝達される。伝熱
速度は、組成物混合液の比重が1g/cm3 比熱1ca
l/g℃のとき、3.8×104 kcal/hrとな
る。
【0107】本発明にかかる発泡体容器では、上述した
ガスバリア層3と基材としての発泡体容器との各界面上
に対し、表面処理、例えば、コロナ処理、フレームプラ
ズマ処理、オゾン処理、電子線照射処理、アンカー処理
を行ってもよい。上記アンカー処理とは、さらに、ガス
バリア層3と発泡体容器表面との間にアンカー層を形成
することである。具体的には、例えば図6に示すよう
に、容器1の上にアンカー層2が積層され、無機層状化
合物を有するガスバリア層3がこのアンカー層2上に積
層されている構成である。
【0108】上記アンカー層2の材質としては特に限定
されるものではないが、イソシアネート化合物と活性水
素化合物とを含むものであることが好ましい。
【0109】上記アンカー層2に含まれるイソシアネー
ト化合物としては、トリレンジイソシアネート(TD
I)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサ
メチレンジイソシアネート(HDI)、4,4'−メチレン
ビスシクロヘキシルイソシアネート(H12MDI)、イ
ソホロンジイソシアネート(IPDI)などが挙げられ
る。
【0110】また、活性水素化合物としては、イソシア
ネート化合物と結合する官能基を有するものであればよ
く、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、
1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリ
メチロールプロパンなどの低分子量ポリオール、ポリエ
チレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、
エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、ポリ
テトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテル
ポリオール、ポリ−β−メチル−δ−バレロラクトン、
ポリカプロラクトン、ジオール/二塩基酸からのポリエ
ステルなどのポリエステルポリオールなどが挙げられ
る。
【0111】上記活性水素化合物においては、特に、低
分子量ポリオールが好ましく、さらに、低分子量ポリオ
ール中のジオールが望ましい。ここでジオールとはエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコールなどであり、二塩基酸とし
てアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル
酸、テレフタル酸などである。その他のポリオールとし
て、ひまし油、液状ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポ
リカーボネートジオール、アクリルポリオール、ネオプ
レンなどの活性水素化合物がある。
【0112】イソシアネート化合物と活性水素化合物の
混合比は、特に限定されないが、イソシアネート基と活
性水素基、たとえば−OH,−NH,−COOHとの当
量関係を考慮し、添加量を決定するのが好ましい。たと
えば、イソシアネート基のモル数(AN)と活性水素化
合物の活性水素基のモル数(BN)との比R(R=AN
/BN)が、0.001以上、10以下の範囲内になる
ように用いることが好ましい。このモル数の比Rは、
0.01以上、1以下の範囲内であることが更に好まし
い。モル数の比Rが0.001未満では接着強度に劣
り、10を超えると粘着性が高すぎて、ブロッキングが
問題となる。
【0113】アンカー層2を基材である発泡体容器1へ
積層する方法としては、特に限定されないが、イソシア
ネート化合物と活性水素化合物とを含むアンカーコート
剤を溶媒に溶解してアンカーコート剤溶液を用いるコー
ティング法が好ましい。コーティング法としては、具体
的には、ダイレクトグラビア法やリバースグラビア法及
びマイクログラビア法、2本ロールビートコート法、ボ
トムフィード3本リバースコート法などのロールコーテ
ィング法、及びドクターナイフ法やダイコート法、ディ
ップコート法(ディッピング法)、バーコーティング
法、スプレーコート法、スピンコート法やこれらを組み
合わせたコーティング法などの方法が挙げられる。
【0114】また、アンカーコート剤溶液における溶剤
成分は主として有機溶媒であり、アルコール類、脂肪族
炭化水素類、脂環族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エ
ステル類、ケトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素
類、これらの混合溶媒が挙げられる。
【0115】アンカーコート剤溶液を容器1に対し、膜
状に塗布した塗工厚みは、特に限定されないが、乾燥厚
みが0.01μm〜5μmとなるように設定されるのが
好ましい。塗工厚みが大きいほどヒートシール強度には
優れるが、耐ゲルボフレックス性には劣る。よって、上
記塗工厚みは、より好ましくは0.03μm〜2.0μ
mであり、さらに好ましくは0.05μm〜1.0μm
である。
【0116】本発明におけるガスバリア層3の積層は、
上記アンカー層2の上に形成されることが好ましいが、
このとき、アンカー層2とガスバリア層3との間の密着
性を向上させるために、ガスバリア層3が界面活性剤を
含んでいることが好ましい。この界面活性剤としては、
ガスバリア層3とアンカー層2との密着性を向上できる
ものであれば、特に限定されるものではなく、従来より
公知の界面活性剤、たとえば、アニオン性界面活性剤、
カチオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤な
どを挙げることができる。
【0117】アニオン性界面活性剤としては、脂肪族モ
ノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸塩などの
カルボン酸型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタ
レンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、スルホこ
はく酸ジアルキルエステルなどのスルホン酸型、硫酸ア
ルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩などの硫
酸エステル型、リン酸アルキル塩などのリン酸エステル
型、ホウ酸アルキル塩などのホウ酸エステル型などの炭
化水素系アニオン性界面活性剤、パーフルオロデカン酸
ナトリウム、パーフルオロオクチルスルホン酸ナトリウ
ムなどのフッ素系アニオン性界面活性剤、ポリジメチル
シロキサン基とカルボン酸金属塩とを有する重合体など
陰イオン性基を有するシリコーン系アニオン性界面活性
剤が挙げられる。
【0118】カチオン性界面活性剤としては、たとえ
ば、アルキルアミン塩などのアミン塩型、アルキルトリ
メチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウ
ム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などの
第四級アンモニウム塩型などが挙げられる。
【0119】両性イオン性界面活性剤としては、N,N-ジ
メチル−N-アルキルアミノ酢酸ベタインなどのカルボキ
シベタイン型、1-アルキル−1-ヒドロキシエチル−1-カ
ルボキシメチルイミダゾリニウムベタインなどのグリシ
ン型が挙げられる。
【0120】非イオン性界面活性剤としては、グリセリ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖
脂肪酸エステルなどのエステル型、ポリジメチルシロキ
サン基とアルキレンオキシド付加物の縮重合体、ポリシ
ロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレンブロックポリマーなどのエーテル型、ポリエチ
レングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステルなどのエステルエーテル型、脂
肪族アルカノールアミドなどのアルカノールアミド型、
パーフルオロデカン酸−ジグリセリンエステルやパーフ
ルオロアルキルアルキレンオキサイド化合物などのフッ
素型が挙げられる。
【0121】上記界面活性剤の中では、特に、炭素数6
以上24以下のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカ
リ金属塩、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレ
ン共重合体などのエーテル型の非イオン性界面活性剤
(シリコーン系非イオン性界面活性剤)や、パーフルオ
ロアルキルエチレンオキサイド化合物などのフッ素型非
イオン性界面活性剤(フッ素系非イオン性界面活性剤)
が好ましい。
【0122】界面活性剤の配合量は、ガスバリア層3を
形成する際に、たとえば塗工液を使用する場合、効果の
観点から、該塗工液中に0.001〜5重量%が好まし
く、0.003〜0.5重量%がより好ましく、0.0
05〜0.1重量%が特に好ましい。
【0123】本発明にかかる発泡体容器において、上述
したガスバリア層3やアンカー層2を積層する容器1と
して用いられる基材樹脂としては特に限定されるもので
はない。上記基材樹脂としては、具体的には、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、シ
リコーン樹脂、酢酸セルロース樹脂、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニ
ル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、発泡エラ
ストマー樹脂などが挙げられる。
【0124】それらの中で、容器1においては、特に、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましく、耐
熱性の面よりポリプロピレン樹脂が、より好ましい。ま
た、発泡性の面からはポリスチレン樹脂がより好まし
い。その発泡倍率としては、1.5〜50倍が好まし
く、2〜20倍がより好ましい。発泡方法に特に限定は
なく、ブタン、フロン等を用いた溶媒発泡、アゾ化合物
や炭酸化合物を用いた化学発泡、炭酸ガス、水、空気、
窒素ガス等を用いたガス発泡等の方法が好ましく用いら
れる。
【0125】アンカー層2を積層した容器1の表面に、
さらにガスバリア層3を積層する方法としては、特に限
定はされないが、樹脂組成物の塗工液を容器1表面に塗
布、乾燥、熱処理を行うコーティングする方法や、樹脂
組成物フィルムを後からアンカー層2に対しラミネート
する方法などが好ましく、特に好ましくは上記のコーテ
ィングを行う方法である。
【0126】コーティング方法としては、ダイレクトグ
ラビア法やリバースグラビア法及びマイクログラビア
法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リ
バースコート法などのロールコーティング法、及びドク
ターナイフ法やダイコート法、ディップコート法(ディ
ッピング法)、スプレーコート法、スピンコート法、バ
ーコーティング法やこれらを組み合わせたコーティング
法などの方法が挙げられる。
【0127】上記ガスバリア層3の膜厚としては、10
μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.
1〜1μmの範囲内が特に好ましい。なお、十分な有効
性を有するガスバリア性を得るためには、ガスバリア層
3の膜厚は1nm以上であることが好ましい。
【0128】上記容器1において、ガスバリア層3が積
層される側の面は内面・外面の何方であっても構わな
い。本発明における上記ガスバリア層3は、容器1の内
面および外面の少なくとも一方に積層されていれば、優
れたガスバリア性を発揮することができる。
【0129】上記のような積層方法で形成されたガスバ
リア層3は、あらかじめ成型されている容器1の形状に
関わらず、優れたガスバリア性を発揮できるとともに、
耐衝撃性も備わり、非常に優れた発泡体容器とすること
ができる。また、形成されたガスバリア層3の膜厚が上
記のような範囲内であれば、リサイクルを妨げる異種材
料としてのガスバリア層3が少なくなるため、リサイク
ル性や焼却適性を向上させることができる。
【0130】また、本発明にかかる発泡体容器では、さ
らに、ガスバリア層3上に、図7に示すように、ヒート
シール性を向上させるための、シーラント層4を積層し
てもよい。シーラント層4に用いられる樹脂は、特に限
定されないがヒートシール強度や食品の香り、樹脂臭な
どの脱着の問題から、ポリエチレン(低密度、高密
度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテ
ン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−
4-メチル−1-ペンテン共重合体、エチレン−オクテン共
重合体、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合
体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン
−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共
重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリアクリル
ニトリル樹脂(PAN);ポリエステル樹脂;などが好
ましく用いられる。
【0131】シーラント層4では、特に内容物の封かん
性を要求される場合には、衝撃強度の高いシーラントが
好ましく、かかる樹脂としては、メタロセン系触媒や、
後周期遷移金属錯体触媒を用いて合成された、ポリエチ
レン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン系樹脂も用いられる。
【0132】シーラント層4を積層する方法としては、
特に限定はされないが、たとえば上記シーラント層4に
用いる樹脂を溶媒に溶解し、無機層状化合物と樹脂から
なるガスバリア層3の上にコーティングする方法、シー
ラント層4をガスバリア層3の上に押し出しラミネート
する方法、シーラント層4をガスバリア層3の上にドラ
イラミネートする方法などが好ましい例として挙げられ
る。また、シーラント層4とガスバリア層3との界面は
コロナ処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、電子
線処理やアンカーコート剤などの処理がされていてもよ
い。
【0133】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
容器1、アンカー層2、ガスバリア層3およびシーラン
ト層4の少なくとも一つに対し、紫外線吸収剤、架橋
剤、着色剤、酸化防止剤などのさまざまな添加剤を混合
してもよい。
【0134】本発明にかかる発泡体容器は、その酸素透
過度が1mL/m2 ・day ・atm 以下となっており、好
ましくは0.1mL/m2 ・day ・atm 以下、より好ま
しくは0.05mL/m2 ・day ・atm 以下となってい
る。それゆえ、上記発泡容器では、発泡体容器内部に対
して外気から酸素などが侵入してくることを効果的に抑
制し、内容物の迅速な劣化を回避することが可能になる
ため、内容物の長期間の保存が可能となる。
【0135】本発明にかかる発泡体容器の形状について
は、特に限定されるものではなく、具体的には、たとえ
ば、トレイ、カップ、真空・圧空成型容器と蓋材との
対、射出またはプレス成型容器と蓋材との対、スクイズ
ボトル、バッグインボックス、ブリック形状容器、ゲー
ブルトップ、コンポジット容器、ラミチューブ、プラス
チック缶容器、角底袋容器、紙カートン容器、ボトル、
タンクなどを挙げることができる。
【0136】本発明にかかる発泡体容器は、加熱したも
のや冷蔵または冷凍したものを内容物として収納・包装
する用途に好適に用いられるが、このときの具体的な内
容物としては、たとえば、食品が挙げられる。
【0137】上記食品のうち、たとえば、惣菜、畜肉加
工品、水産加工品などの生鮮食品は鮮度が重要であり、
また、非常に腐敗・劣化し易いため冷蔵または冷凍保存
する必要があることが多い。さらに、上記生鮮食品は空
気と接したり、水分などが蒸発したりすることによって
も劣化し易い。そのため、冷蔵または冷凍状態を長時間
に渡って保持しながら、さらに、外気との接触や揮発分
の蒸発を抑える包装材または容器としては、本発明にか
かるガスバリア層3を有する発泡体容器が特に好適であ
る。
【0138】一方、カップラーメンや電子レンジ用食品
などのインスタント食品は、熱湯を加えて調理したり、
電子レンジにより加熱して調理したりするものが多い。
この加熱を必要とするような加工食品を収納・包装する
容器として、本発明にかかる発泡体容器が好適に用いら
れる。
【0139】本発明にかかる発泡体容器は、優れたガス
バリア性を有しているため、該発泡体容器内に収納・包
装されている内容物(食品)の劣化をより効果的に抑制
できる。そのため、長期の保存を可能とすることができ
る。
【0140】また、本発明にかかる発泡体容器は、断熱
性、耐熱性を有しているため、内容物である食品に熱湯
を加えて調理したり、電子レンジにより加熱して調理し
たりしても、利用者は熱さをがほとんど感じるなく調理
可能とすることができる。特に、上記ガスバリア層3は
耐マイクロ波適性を有しているため、電子レンジによる
加熱でもガスバリア層3自体が加熱されることがないた
め、容器全体の温度の上昇をより一層抑制することがで
きる。すなわち、上記発泡体容器は加熱調理容器として
用いることができる。
【0141】さらに、上記発泡体容器の断熱性および耐
熱性のため、利用者は、加熱調理された食品を収納した
発泡体容器をそのまま把持して食べることもできるた
め、上記発泡体容器を食器としても利用することができ
る。
【0142】加えて、上記発泡体容器には、従来の発泡
体容器のように異種材料としてのガスバリア層3が少な
く、また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のように塩素など
を含んでいない。それゆえ、本発明にかかる発泡体容器
は、リサイクル性や焼却特性を向上したものとすること
ができるため、使用後の廃棄やリサイクルが行い易く、
インスタント食品用の容器として非常に好適である。
【0143】上記インスタント食品としては、具体的に
は、カップラーメン、やきそば、スパゲティなどの熱湯
を加えて調理するタイプ;米飯、カレー、シチューなど
の電子レンジにより加熱調理するタイプなどが挙げられ
るが特に限定されるものではない。
【0144】また、本発明にかかる発泡体容器は、軽量
であるとともに、ある程度の強度を有しているため、特
に冷蔵または冷凍や加熱などの処理を施す必要のない食
品の包装にも用いることができる。具体的には、菓子類
やスナック類などには、その形状が細かいものや、柔ら
かく不安定なものがあるが、これら食品を上記発泡体容
器に収納すれば、該発泡体容器を食器代わりに用いて利
用することが可能となる。しかも、菓子類やスナック類
をより長期間保存することも可能である。
【0145】なお、菓子類やスナック類が加熱を必要と
したり、冷蔵・冷凍状態を維持したりする必要がある場
合に、本発明にかかる発泡体容器が好適なことは言うま
でもない。すなわち、本発明にかかる発泡体容器は、食
品用包装材として非常に好適に用いることができる。
【0146】また、本発明にかかる発泡体容器は、その
ガスバリア性、断熱性、リサイクル性により、医薬品や
トイレタリー用品などを含む医薬部外品の包装や、電子
材料の包装にも好適なものとなっている。
【0147】以上のように、本発明にかかる発泡体容器
は、無機層状化合物を有する樹脂組成物からなるガスバ
リア層が発泡体容器に積層されてなるものである。それ
ゆえ、発泡体容器に対して優れたガスバリア性を付与す
ることができるとともに、従来よりも非常に薄いガスバ
リア層とすることができるため、リサイクル性や焼却適
性なども向上させることができる。
【0148】また、本発明にかかる食品用包装材は、上
記発泡体容器を備えているものであるため、従来の食品
用包装材に比べて、内容物の劣化をより一層効果的に抑
制し、長期間の保存を可能とすることができる。それゆ
え、特に食品のみに限定されず、このような形態をとる
あらゆる包装に使用可能となっている。
【0149】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、本実施例および比較例において、発泡体容
器(食品用包装材)が有するガスバリア層の各種物性
は、次のようにして測定した。
【0150】〔厚み測定〕0.5μm以上の厚みは、市
販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度
デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)に
より測定した。一方、0.5μm未満の厚みは、重量分
析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面積で除
し、さらに樹脂組成物の比重で除した)またはIR法に
より実際の塗工膜の膜厚とIR吸収との検量線を作成
し、検量線により求めた。さらに本発明の樹脂組成物の
塗工膜の膜厚に関する測定の場合などは、元素分析法
(発泡体容器の特定無機元素分析値(バリア層由来)と
無機層状化合物単独の特定元素分率の比から本発明のバ
リア層と容器との比を求める方法によった。
【0151】〔粒径測定〕レーザー回折・散乱式粒度分
布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を使用
し、媒体の樹脂マトリックス中に存在する無機層状化合
物とみられる粒子の体積基準のメジアン径を粒径Lとし
て測定した。なお、分散液原液はペーストセルにて光波
長50μmで測定し、分散液の希釈液はフローセル法に
て光波長4mmで測定した。
【0152】〔アスペクト比計算〕X線回折装置(XD
−5A、(株)島津製作所製)を用い、無機層状化合物
単独と樹脂組成物の粉末法による回折測定を行った。こ
れにより無機層状化合物の単位厚さaを求め、さらに樹
脂組成物の回折測定から、無機層状化合物の面間隔dが
広がっている部分があることを確認した。上述の方法で
求めた粒径Lを用いて、アスペクト比Zを、Z=L/a
の式により算出した。
【0153】〔酸素透過度測定〕JIS K7126に
基づき、酸素透過度測定装置(OX−TRANML:M
OCON社製)にて23℃、50%RH条件で測定し
た。
【0154】〔実施例1〕分散釜〔商品名:デスパMH
−L、浅田鉄工(株)製〕に対し、イオン交換水(比電
気伝導率 0.7μS/cm以下)を1410g入れ、さらにポ
リビニルアルコール〔PVA117H;(株)クラレ
製,ケン化度;99.6%,重合度1700〕を50g入れ、低速
撹拌下(1500rpm,周速度4.10m/min)
で95℃に昇温し、1時間撹拌し、溶解させる。
【0155】次に、撹拌したまま60℃に温度を下げた
後、1-ブタノール15gを滴下して、最終的な1−ブタ
ノール分率が重量にして1%となるようにする。そし
て、天然モンモリロナイト〔クニピアF;クニミネ工業
(株)製〕を粉末のまま25g添加し、モンモリロナイ
トが液中にほぼ沈殿したことを確認後、高速撹拌(31
00rpm,周速度8.47m/min)を90分行
い、トータル固形分濃度5wt%の樹脂組成物混合液
(A)を得た。(へき開した当該天然モンモリロナイト
(クニピアF)の粒径は560nm、粉末X線回折から
得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比
(Z)は200以上である。)さらに、1-ブタノール9
2g、イソプロピルアルコール277gの混合液に、非
イオン性界面活性剤SH3746〔ポリオキシエチレン
−メチルポリシロキサン共重合体、東レ・ダウコーニン
グ(株)製〕を0.18g添加した液を(B)とする。
【0156】液(A)に、液(B)を低速撹拌下(15
00rpm,周速度4.10m/min)において徐々
に添加し、さらにチタンアセチルアセトナート〔TC1
00,松本製薬工業(株)製〕を低速撹拌下(1500
rpm,周速度4.10m/min)において徐々に
3.3g添加し、これを塗工液1とした。
【0157】厚さ1.5mmの真空成型による発泡ポリ
スチレン(PS)カップに対して、アンカーコート剤
〔アドコートAD335/CAT10=15/1(重量
比):東洋モートン(株)製〕をディッピング法により
塗布した。当該アンカーコート層の乾燥厚みは0.15
μmであった。
【0158】さらに、TOPコート液として、塗工液1
をディッピング法により塗布し、アンカーコート層上
に、上記塗工液1に基づくガスバリア層が形成された発
泡体容器としての発泡PSカップを得た。当該ガスバリ
ア層の乾燥厚みは0.2μmであった。この発泡PSカ
ップのリサイクル性は良好であった。
【0159】〔実施例2〕前記実施例1において、発泡
PSカップに代えて発泡ポリプロピレン(PP)カップ
を用いた以外は同様にして、本発明にかかる発泡体容器
としての発泡PPカップを得た。当該ガスバリア層の乾
燥厚みは0.2μmであった。この発泡PPカップのリ
サイクル性は良好であった。
【0160】このように、本発明にかかる発泡体容器お
よび食品用包装材は、上記の実施例および比較例の結果
から明らかなように、非常に優れたリサイクル性を有し
ていることがわかる。
【0161】
【発明の効果】本発明にかかる請求項1記載の発泡体容
器は、以上のように、樹脂発泡体層上に、無機層状化合
物を有する樹脂組成物からなるガスバリア層が積層され
ている構成である。
【0162】本発明にかかる請求項2記載の発泡体容器
は、以上のように、請求項1記載の構成に加えて、上記
樹脂発泡体は、あらかじめ容器として成型されていると
ともに、上記ガスバリア層は、無機層状化合物を有する
樹脂組成物からなる塗工液を、上記容器の内面および外
面の少なくとも一方にコーティングすることにより積層
されている構成である。
【0163】本発明にかかる請求項3記載の発泡体容器
は、以上のように、請求項1または2記載の構成に加え
て、上記容器は、真空成型法または圧空成型法により成
型されたものである構成である。
【0164】本発明にかかる請求項4記載の発泡体容器
は、以上のように、請求項3記載の構成に加えて、上記
容器は、真空成型法または圧空成型法により成型された
ものである構成である。
【0165】本発明にかかる請求項5記載の発泡体容器
は、以上のように、請求項1ないし4の何れか1項に記
載の構成に加えて、酸素透過度が1mL/m2 ・day ・
atm以下となっている構成である。
【0166】本発明にかかる請求項6記載の発泡体容器
は、以上のように、請求項1ないし5の何れか1項に記
載の構成に加えて、上記無機層状化合物が、分散媒に膨
潤・へき開する構成である。
【0167】本発明にかかる請求項7記載の発泡体容器
は、以上のように、請求項1ないし5の何れか1項に記
載の構成に加えて、上記ガスバリア層が、無機層状化合
物を有する樹脂組成物の混合液を高圧分散処理して得ら
れたものである構成である。
【0168】本発明にかかる請求項8記載の発泡体容器
は、以上のように、請求項7記載の構成に加えて、上記
高圧分散処理が100kgf/cm2 以上の圧力条件に
て処理される構成である。
【0169】本発明にかかる請求項9記載の発泡体容器
は、以上のように、請求項1ないし8の何れか1項に記
載の構成に加えて、無機層状化合物のアスペクト比が、
50〜5000の範囲内である構成である。
【0170】本発明にかかる請求項10記載の発泡体容
器は、以上のように、請求項1ないし9の何れか1項に
記載の構成に加えて、無機層状化合物のアスペクト比が
200〜3000の範囲内である構成である。
【0171】本発明にかかる請求項11記載の発泡体容
器は、以上のように、請求項1ないし10の何れか1項
に記載の構成に加えて、上記樹脂組成物が高水素結合性
樹脂を含み、無機層状化合物と高水素結合性樹脂との重
量比が(1/100)〜(100/1)の範囲内である
構成である。
【0172】本発明にかかる請求項12記載の発泡体容
器は、以上のように、請求項11記載の構成に加えて、
上記高水素結合樹脂は、樹脂単位重量当たりの水素結合
基またはイオン性基のモル%が30%以上、50%以下
である構成である。
【0173】本発明にかかる請求項13記載の発泡体容
器は、以上のように、請求項11または12記載の構成
に加えて、高水素結合性樹脂が、ポリビニルアルコール
およびその変性体、多糖類またはエチレン−ビニルアル
コール共重合体およびその変性体である構成である。
【0174】それゆえ、上記構成では、発泡体容器に無
機層状化合物を有する樹脂組成物からなるガスバリア層
が形成されているので、ガスバリア性、耐熱性、断熱
性、リサイクル性、および焼却適性などに優れた発泡体
容器を提供することができるという効果を奏する。
【0175】本発明にかかる請求項14記載の食品用包
装材は、以上のように、請求項1ないし13の何れか1
項に記載の発泡体容器を備えている構成である。
【0176】それゆえ、上記構成では、調理容器や食器
を兼ねるとともに、内容物を長期に渡って保存すること
が可能な食品用包装材を提供することができるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる発泡体容器が有
するガスバリア層を示す概略断面図である。
【図2】上記発泡体容器における無機層状化合物の「単
位厚さa」を算出するための無機層状化合物のX線回折
グラフである。
【図3】上記発泡体容器における無機層状化合物の「面
間隔d」を算出するための無機層状化合物のX線回折グ
ラフである。
【図4】上記図3のグラフにおいて、「面間隔d」に対
応するピークがハロー(ないしバックグラウンド)と重
なって検出することが困難な場合における無機層状化合
物の「面間隔d」を算出するときの、X線回折グラフで
ある。
【図5】上記発泡体容器のガスバリア層における製造時
に用いる、高圧分散処理を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の実施の一形態にかかる発泡体容器の断
面構造の一例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の一形態にかかる発泡体容器の断
面構造の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 容器 2 アンカー層 3 ガスバリア層 4 シーラント層

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂発泡体層上に、無機層状化合物を有す
    る樹脂組成物からなるガスバリア層が積層されているこ
    とを特徴とする発泡体容器。
  2. 【請求項2】上記樹脂発泡体は、あらかじめ容器として
    成型されているとともに、 上記ガスバリア層は、無機層状化合物を有する樹脂組成
    物からなる塗工液を、上記容器の内面および外面の少な
    くとも一方にコーティングすることにより積層されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の発泡体容器。
  3. 【請求項3】上記容器は、真空成型法または圧空成型法
    により成型されたものであることを特徴とする請求項1
    または2記載の発泡体容器。
  4. 【請求項4】上記ガスバリア層を有する積層発泡体を、
    真空成型法または圧空成型法により成型したものである
    ことを特徴とする請求項1記載の発泡体容器。
  5. 【請求項5】酸素透過度が1mL/m2 ・day ・atm 以
    下となっていることを特徴とする請求項1ないし4の何
    れか1項に記載の発泡体容器。
  6. 【請求項6】上記無機層状化合物が、分散媒に膨潤・へ
    き開することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1
    項に記載の発泡体容器。
  7. 【請求項7】上記ガスバリア層が、無機層状化合物を有
    する樹脂組成物の混合液を高圧分散処理して得られたも
    のであることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1
    項に記載のガスバリア容器。
  8. 【請求項8】上記高圧分散処理が100kgf/cm2
    以上の圧力条件にて処理されることを特徴とする請求項
    7記載の発泡体容器。
  9. 【請求項9】無機層状化合物のアスペクト比が、50〜
    5000の範囲内であることを特徴とする請求項1ない
    し8の何れか1項に記載の発泡体容器。
  10. 【請求項10】無機層状化合物のアスペクト比が200
    〜3000の範囲内であることを特徴とする請求項1な
    いし9の何れか1項に記載の発泡体容器。
  11. 【請求項11】上記樹脂組成物が高水素結合性樹脂を含
    み、無機層状化合物と高水素結合性樹脂との重量比が
    (1/100)〜(100/1)の範囲内であることを
    特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の発
    泡体容器。
  12. 【請求項12】上記高水素結合樹脂は、樹脂単位重量当
    たりの水素結合基またはイオン性基のモル%が30%以
    上、50%以下であることを特徴とする請求項11記載
    の発泡体容器。
  13. 【請求項13】高水素結合性樹脂が、ポリビニルアルコ
    ールおよびその変性体、多糖類、またはエチレン−ビニ
    ルアルコール共重合体およびその変性体であることを特
    徴とする請求項11または12記載の発泡体容器。
  14. 【請求項14】請求項1ないし13の何れか1項に記載
    の発泡体容器を備えていることを特徴とする食品用包装
    材。
JP12379198A 1998-05-06 1998-05-06 発泡体容器および食品用包装材 Expired - Fee Related JP4757363B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12379198A JP4757363B2 (ja) 1998-05-06 1998-05-06 発泡体容器および食品用包装材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12379198A JP4757363B2 (ja) 1998-05-06 1998-05-06 発泡体容器および食品用包装材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11314306A true JPH11314306A (ja) 1999-11-16
JP4757363B2 JP4757363B2 (ja) 2011-08-24

Family

ID=14869403

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12379198A Expired - Fee Related JP4757363B2 (ja) 1998-05-06 1998-05-06 発泡体容器および食品用包装材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4757363B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001348454A (ja) * 2000-04-03 2001-12-18 Sumitomo Chem Co Ltd 熱可塑性樹脂シートおよび容器
JP2017222937A (ja) * 2016-06-14 2017-12-21 王子ホールディングス株式会社 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器
JP2019123251A (ja) * 2019-04-16 2019-07-25 王子ホールディングス株式会社 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001348454A (ja) * 2000-04-03 2001-12-18 Sumitomo Chem Co Ltd 熱可塑性樹脂シートおよび容器
JP2017222937A (ja) * 2016-06-14 2017-12-21 王子ホールディングス株式会社 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器
JP2019123251A (ja) * 2019-04-16 2019-07-25 王子ホールディングス株式会社 発泡断熱紙容器用紙基材、発泡断熱紙容器用シートおよび発泡断熱紙容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP4757363B2 (ja) 2011-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000254996A (ja) 積層体
JPH11309816A (ja) 液体包装用積層紙および液体包装用容器
JPH11315222A (ja) 水性塗料
JP2008200975A (ja) 多層構造体の製造方法
JPH11314674A (ja) ガスバリア容器および食品用包装材
JP2000052499A (ja) レトルト殺菌包装用フィルム積層体およびそれを備えた包装袋
JP4735351B2 (ja) 多層構造体および多層構造体の製造方法
JP4757363B2 (ja) 発泡体容器および食品用包装材
JP4350172B2 (ja) フィルム積層体
JP2009095764A (ja) 多層構造体の製造方法
JP5076800B2 (ja) 多層構造体の製造方法
JP5076799B2 (ja) 多層構造体の製造方法
JPH11314319A (ja) 加熱用包装容器および食品用包装材
JP5145855B2 (ja) 多層構造体の製造方法
JP4984622B2 (ja) 多層構造体および多層構造体の製造方法
JPH0741685A (ja) ガスバリア性成形体
JPH11310712A (ja) 樹脂組成物および積層体
JPH11314673A (ja) 冷凍保存用包装容器および食品用包装材並びに冷凍保存用包装方法
JPH11314307A (ja) 結束包装材および食品用包装材
JP4807105B2 (ja) 多層構造体の製造方法
JPH11314677A (ja) レトルト包装用フィルム積層体およびそれを備えた包装袋
JP2005220154A (ja) 多層フィルムおよび重包装用袋
JP4929675B2 (ja) 多層構造体および多層構造体の製造方法
JPH11314676A (ja) アセプティック包装用容器およびそれを用いたアセプティック包装方法
JPH11314320A (ja) チューブ状容器および食品用包装材並びに医薬品用包装材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050112

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070626

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071225

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080415

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080616

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20080805

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20080926

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110601

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140610

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees