JPH11314150A - 金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法 - Google Patents

金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法

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JPH11314150A
JPH11314150A JP12017698A JP12017698A JPH11314150A JP H11314150 A JPH11314150 A JP H11314150A JP 12017698 A JP12017698 A JP 12017698A JP 12017698 A JP12017698 A JP 12017698A JP H11314150 A JPH11314150 A JP H11314150A
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mold
cylinder block
aluminum
metal
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Mikinari Nozaki
美紀也 野崎
Manabu Fujine
学 藤根
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 離型性をよくすること。 【解決手段】 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成
形体2を複合する金属基複合材料性シリンダブロックの
製造方法であって、金型1のシリンダボア入子1a外周
側に介在物3を介在させてあるいは鋳造中に介在物3が
形成されるような空隙を形成して、成形体2をセットす
る工程と、型閉め後鋳造する工程と、成形体2を複合し
たシリンダブロック粗材4を離型する工程と、を有する
金属基複合材料性シリンダブロックの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型鋳造によりシ
リンダ部に強化用の成形体を複合する金属基複合材料
(MMC)製シリンダブロックの製造方法に関し、とく
にシリンダブロック粗材の金型からの離型を容易にした
金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】特開平3−268855号公報には、筒
状強化材成形体のテーパを有しない内周面を中子に嵌合
させ、溶湯を注湯し、成形体中にマトリックス金属溶湯
を浸透させることにより金属基複合材料部材(シリンダ
部に成形体を複合したシリンダブロック)を低廉かつ能
率よく製造する方法が開示されている。この場合、筒状
強化材成形体の内周面に特定厚の離型用固体潤滑材が塗
布される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、金属基複合材
料製シリンダブロックの製造において、成形体を直接金
型のシリンダボア入子に保持すると、溶湯凝固時、成形
体が入っているため成形体部のアルミ量が少なくなって
製品全体の凝固より成形体部の凝固が速く、シリンダブ
ロック粗材の金型からの離型ができない。また、成形体
内周面に固体潤滑材として黒鉛を塗布する場合には、成
形体を予熱する際に、所定温度で炭素がとんでしまうの
で、成形体の予熱温度に制限が生じてしまう。成形体の
予熱温度が低いと、成形体の金型へのセットまでにさら
に成形体温度が低下して、十分な成形体温度が得られ
ず、成形体部の凝固が速く離型に問題を生じるほか、溶
湯の成形体への浸透性が低下する。本発明の目的は、金
型からの離型性がよい金属基複合材料製シリンダブロッ
クの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。 (1) 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成形体を
複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法
であって、金型のシリンダボア入子外周側にアルミライ
ナーを成形体の内側に位置させてアルミライナーおよび
成形体をセットし、型締め後鋳造し、型開きして成形体
を複合したシリンダブロック粗材をアルミライナーごと
離型する、金属基複合材料製シリンダブロックの製造方
法。 (2) 前記アルミライナーと前記成形体の型内へのセ
ット前に前記アルミライナーと前記成形体とを一緒にま
たは別々に予熱する(1)記載の金属基複合材料製シリ
ンダブロックの製造方法。 (3) 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成形体を
複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法
であって、金型のシリンダボア入子外周側にシリンダボ
ア入子外周と成形体内周との間に隙間を形成する凸部を
有する成形体をセットし、型締め後鋳造し、型開きして
成形体を複合したシリンダブロック粗材を前記隙間にア
ルミ溶湯が侵入し凝固してできたアルミ層ごと離型す
る、金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法。 (4) 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成形体を
複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法
であって、金型のシリンダボア入子外周側にシリンダボ
ア入子外周と成形体内周との間に隙間を形成するクリッ
プを介して成形体をセットし、型締め後鋳造し、型開き
して成形体を複合したシリンダブロック粗材を前記クリ
ップおよび前記隙間にアルミ溶湯が侵入し凝固してでき
たアルミ層ごと離型する、金属基複合材料製シリンダブ
ロックの製造方法。 (5) 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成形体を
複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法
であって、金型のシリンダボア入子外周側に鋳鉄ライナ
ーを成形体の内側に位置させて鋳鉄ライナーおよび成形
体をセットし、型締め後鋳造し、型開きして成形体を複
合したシリンダブロック粗材を鋳鉄ライナーごと離型す
る、金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法。 (6) 前記鋳鉄ライナーの厚さを、シリンダボア間に
アルミの凝固収縮による割れを発生させない厚さに設定
した(5)記載の金属基複合材料製シリンダブロックの
製造方法。
【0005】上記(1)の金属基複合材料製シリンダブ
ロックの製造方法では、成形体と金型のシリンダボア入
子間にアルミライナーが介在するので、成形体部におけ
る溶湯凝固の速さを、成形体部以外の製品全体部におけ
る溶湯凝固の速さと同じ程度に遅くできるかまたはそれ
に近づけることができ、離型性が向上する。シリンダブ
ロック粗材をアルミライナーごと離型した後、機械加工
によりアルミライナーを除去するとともに金属基複合材
料からなる成形体部の内周を所望形状寸法に仕上げる。
上記(2)の金属基複合材料製シリンダブロックの製造
方法では、アルミライナーと成形体とを一緒にまたは別
々に予熱しておくので、成形体部における溶湯凝固の温
度を、成形体部以外の製品全体部における溶湯凝固の温
度に近づけることができ、離型性がさらに向上するほ
か、溶湯の成形体への浸透性がよくなる。成形体をアル
ミライナーと別々に予熱する場合は、成形体の予熱温度
をアルミライナーの融点よりも上げることができ、離型
性、溶湯浸透性を一段と向上させることができる。上記
(3)の金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法
では、成形体と金型のシリンダボア入子間に溶湯がまわ
るため、成形体部における溶湯凝固の速さ、時間が、成
形体部以外の製品全体部における溶湯凝固の速さ、時間
と同じ程度になり、離型性が向上する。また、成形体を
アルミの融点の制限を受けずに任意の高温に予熱してお
くことができるので、離型性がさらに高まる。また、成
形体の内外周から溶湯が浸透するので、溶湯の成形体へ
の浸透性がよくなる。上記(4)の金属基複合材料製シ
リンダブロックの製造方法では、上記(3)と同じ作用
があるのに加えて、クリップを弾性部材から構成するこ
とにより、成形体の金型への装着に若干のずれがあって
もクリップの弾性によりそれを吸収でき、装着精度が緩
和されるという作用がある。上記(5)の金属基複合材
料製シリンダブロックの製造方法では、成形体と金型の
シリンダボア入子間に鋳鉄ライナーが介在するので、成
形体部における溶湯凝固の速さを、成形体部以外の製品
全体部における溶湯凝固の速さと同じ程度に遅くできる
かまたはそれに近づけることができ、離型性が向上す
る。シリンダブロック粗材を鋳鉄ライナーごと離型した
後、機械加工により鋳鉄ライナーを除去するとともに金
属基複合材料からなる成形体部の内周を所望形状寸法に
仕上げる。鋳鉄ライナーのため、アルミライナーに比べ
て予熱温度を高温にすることができ、成形体部と全体部
の凝固時間の制御がより自由、容易になる。上記(6)
の金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法では、
ボア間のアルミの凝固が鋳鉄ライナーの凝固より速くな
ってボア間のアルミに引張応力が働いても、鋳鉄ライナ
ーの厚さが所定値以下に選定されているので、鋳鉄ライ
ナーの圧縮によりボア間のアルミの引張を吸収でき、ボ
ア間のアルミに割れが生じることがない。
【0006】
【発明の実施の形態】図1、図2は本発明の第1実施例
の金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法を示し
ており、図3、図4は本発明の第2実施例の金属基複合
材料製シリンダブロックの製造方法を示しており、図
5、図6は本発明の第3実施例の金属基複合材料製シリ
ンダブロックの製造方法を示しており、図7〜図9は本
発明の第4実施例の金属基複合材料製シリンダブロック
の製造方法を示しており、図10は本発明の各実施例に
適用可能な金属基複合材料製シリンダブロックの製造方
法の工程を示している。本発明の全実施例にわたって共
通な構成部分には本発明の全実施例にわたって同じ符合
を付してある。
【0007】まず、本発明の全実施例に共通な部分を、
たとえば図1、図2および図10を参照して、説明す
る。本発明実施例の金属基複合材料製シリンダブロック
の製造方法は、金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成
形体を複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製
造方法であって、金型1の抜きテーパがつけられたシリ
ンダボア入子1a外周側に、シリンダボア入子1a外周
と成形体2内周との間に介在物3を介在させてあるいは
鋳造中に介在物(介在層)3が形成されるような空隙を
形成して、成形体2をセットする工程と、型締め後鋳造
する工程と、型開きして成形体2を複合したシリンダブ
ロック粗材4を、介在物3ごとあるいは鋳造中に形成さ
れた介在物(介在層)3ごと、離型する工程と、を有す
る。介在物3の内周にはシリンダボア入子1a外周のテ
ーパと同じテーパがついている。金型1から離型された
シリンダブロック粗材4は、冷却後、シリンダボア内周
などの加工すべき面を機械加工され、この機械加工にお
いて介在物3あるいは鋳造中に形成された介在物(介在
層)3は除去され、成形体2に溶湯が浸透・凝固して形
成された金属基複合材料部(成形体部)も所望形状寸法
に仕上げ加工される。成形体2は、アルミナ(Al2
3 )、シリカ(SiO2 )の繊維または粒子の混合物を
成形したものである。溶湯はアルミ(たとえば、ADC
10または12)である。
【0008】図10を参照して、工程をさらに詳細に説
明する。前サイクルを終えた金型1には、ステップ10
1で離型剤(たとえば、黒鉛)が塗布される。成形体2
は,内径が約70〜90mmで、高さが約100〜15
0mm、厚さが約3〜8mmの円筒形である。成形体2
を金型1にセットする前に、ステップ102で、成形体
2は予熱される。成形体2の温度を上げておくことによ
り、注湯時、溶湯の成形体2への浸透性がよくなる。
【0009】介在物3を金型へのセット前に予め作製し
ておく場合は、ステップ103で、介在物3も予熱され
る。成形体2の予熱温度は約500〜1200℃であ
る。成形体2と介在物3は、嵌合して一緒に予熱しても
よいし、個別に予熱してもよい。予め作製しておいた介
在物3を予熱する場合、介在物3がアルミライナーから
なる場合はアルミが溶ける温度以下の温度に予熱される
ため予熱温度は約500℃となり、予熱温度に制限があ
るが、介在物3が鋳鉄ライナーからなる場合は、約10
00℃まで予熱することができ、予熱温度には実質的に
制限がない。アルミライナーの厚さは約0.5〜5mm
であり、鋳鉄ライナーは約0.5〜3mmである。
【0010】ステップ104で、成形体2を金型1にセ
ットする。介在物3を予め製作しておく場合は、成形体
2のセットとともに介在物3を金型1にセットする。ス
テップ102で、成形体2を予熱しておいても、金型1
にセットするまでの間に温度低下があるから、金型1に
セットした状態では成形体2は約200〜500℃にな
っている。
【0011】型閉め後、ステップ105で、約650℃
以上の温度とされたアルミ溶湯が注湯され、凝固する。
鋳造はダイカスト法(横型ダイカストまたは竪型ダイカ
スト)による。鋳造圧力は5〜10×104 kPa(5
00〜1000kg/cm2)である。射出速度は横型
ダイカストの場合2〜4m/sで、竪型ダイカストの場
合0.05〜0.5m/s(ただし、減圧した場合は2
〜4m/s)である。凝固時間は20〜50秒である。
ステップ106でシリンダブロック粗材を金型から離型
して取り出す。粗材温度は約250℃以上である。その
後、ステップ107でシリンダブロック粗材を冷却す
る。冷却は水没または自然放冷による。
【0012】約50℃以下に冷却後、ステップ108
で、シリンダブロック粗材は、機械加工され、この加工
においてボア内周の削り取りを行い、成形体2の内側の
介在物3(アルミライナー、鋳鉄ライナー、または成形
体2とボア入子の間の空隙に侵入して凝固したアルミ
層)を除去するとともに、成形体2にアルミが浸透、凝
固したMMC層を取代分削りとる。上記の鋳造のサイク
ルタイムは約100〜250秒である。
【0013】上記共通部分による作用を説明する。ま
ず、成形体2と金型1のシリンダボア入子1a間に介在
物3が介在するので、成形体部(MMC)における溶湯
凝固の速さを、成形体部以外の製品全体部における溶湯
凝固の速さと同じ程度に遅くできるかまたはそれに近づ
けることができ、シリンダブロック粗材4の金型1から
の離型性が向上する。また、介在物3と成形体2とを一
緒にまたは別々に予熱しておくので、成形体部における
溶湯凝固の温度を、成形体部以外の製品全体部における
溶湯凝固の温度に近づけることができ、離型性がさらに
向上するほか、溶湯の成形体への浸透性がよくなる。
【0014】つぎに、本発明の各実施例に特有な部分を
説明する。本発明の第1実施例では、図1、図2に示す
ように、介在物3がアルミライナーからなる。したがっ
て、本発明の第1実施例の金属基複合材料製シリンダブ
ロックの製造方法では、金型1のシリンダボア入子1a
外周側にアルミライナー3を成形体2の内側に位置させ
てアルミライナー3および成形体2がセットされ、型締
め後鋳造が行われ、型開きして成形体2を複合したシリ
ンダブロック粗材4がアルミライナー3ごと離型され
る。成形体2およびアルミライナー3は、時間的に別々
にシリンダボア入子1a外周にセットされてもよいし、
あるいは成形体2の内周にアルミライナー3を嵌合した
後シリンダボア入子1a外周にセットされてもよい。成
形体2の内周にはアルミライナー3が密着しているの
で、溶湯は成形体2の外周のキャビティに注湯される。
したがって、溶湯は成形体2の外周から成形体2に浸透
していく。
【0015】アルミライナー3と成形体2は、金型1へ
のセット前に、一緒にまたは別々に、予熱される。一緒
に予熱する場合は、アルミライナー3の融点以下の温度
に予熱されるので、成形体2を約500℃以下にしか予
熱できないが、別々に予熱する場合は、アルミライナー
3は約500℃以下に、成形体2は約1200℃まで予
熱できる。
【0016】成形体2の内側にアルミライナー3が存在
するので、アルミライナー3が成形体2からシリンダボ
ア入子1aへの熱伝導を遅らして成形体2に浸透したア
ルミの凝固を遅らせ、成形体部の凝固を成形体部以外の
シリンダブロック全体の凝固に近づける。したがって、
従来のように成形体部が成形体部以外のシリンダブロッ
ク全体より先に凝固していた場合に比べて、シリンダブ
ロック粗材4の金型1からの離型が容易になる。また、
成形体2およびアルミライナー3を予熱する場合は、成
形体2に浸透したアルミの凝固をさらに遅らせることが
でき、離型がさらに容易になる。また、予熱した成形体
2への溶湯の湯まわりがよくなるので、成形体2部位に
巣がなくなり、製品がよくなる。
【0017】本発明の第2実施例では、図3、図4に示
すように、介在物3が成形体2とシリンダボア入子1a
との間の空間に侵入して凝固したアルミ層からなる。し
たがって、本発明の第2実施例の金属基複合材料製シリ
ンダブロックの製造方法では、金型1のシリンダボア入
子1a外周側にシリンダボア入子外周と成形体内周との
間に隙間を形成する凸部2aを有する成形体2がセット
され、型締め後鋳造が行われ、型開きして成形体2を複
合したシリンダブロック粗材4が、隙間にアルミ溶湯が
侵入し凝固してできたアルミ層3ごと離型される。凸部
2aは成形体2の内周に周方向に複数設けられ、各凸部
2aは成形体2の軸方向端部に形成されており、溶湯が
軸方向に侵入するのを妨げない。成形体2は予熱して金
型1にセットされる。本発明の第1実施例のようにアル
ミライナーと一緒に予熱しないので、成形体2の予熱温
度は高温にすることができ、約1200℃まで上げるこ
とができる。成形体2の内周には隙間があるので、溶湯
は成形体2の外周と内周の両方から成形体2に浸透して
いく。
【0018】成形体2の内側にアルミ層3が存在しこの
アルミ層3の凝固はシリンダブロック全体のアルミの凝
固と同程度に進行するので、成形体部の凝固を成形体部
以外のシリンダブロック全体の凝固に近づける。したが
って、従来のように成形体部が成形体部以外のシリンダ
ブロック全体より先に凝固していた場合に比べて、シリ
ンダブロック粗材4の金型1からの離型が容易になる。
また、成形体2を予熱する場合は、成形体2に浸透した
アルミの凝固をさらに遅らせることができ、離型がさら
に容易になる。また、予熱した成形体2への溶湯の湯ま
わりがよくなるので、製品がよくなる。また、成形体2
には内周と外周の両方から溶湯が浸透していくので、浸
透が速やかになる。
【0019】本発明の第3実施例では、図5、図6に示
すように、介在物3が成形体2とシリンダボア入子1a
との間の空間に侵入して凝固したアルミ層からなる。し
たがって、本発明の第3実施例の金属基複合材料製シリ
ンダブロックの製造方法では、金型1のシリンダボア入
子1a外周側にシリンダボア入子外周と成形体内周との
間に隙間を形成するクリップ5を取り付けた成形体2が
セットされ、型締め後鋳造が行われ、型開きして成形体
2を複合したシリンダブロック粗材4が、隙間にアルミ
溶湯が侵入し凝固してできたアルミ層3およびクリップ
5ごと離型される。クリップ5はたとえばステンレスか
ら形成される。クリップ5は成形体2の両端に成形体2
の内周に周方向に複数設けられ、各クリップ5は、シリ
ンダボア入子外周と成形体内周との間の隙間に溶湯が軸
方向に侵入するのを妨げない。クリップ5は、シリンダ
ブロック粗材4の内周加工時にアルミ層3と共に削り取
られて除去される。成形体2は予熱して金型1にセット
される。本発明の第1実施例のようにアルミライナーと
一緒に予熱しないので、成形体2の予熱温度は高温にす
ることができ、約1200℃まで上げることができる。
成形体2の内周には隙間があるので、溶湯は成形体2の
外周と内周の両方から成形体2に浸透していく。
【0020】成形体2の内側にアルミ層3が存在しこの
アルミ層3の凝固はシリンダブロック全体のアルミの凝
固と同程度に進行するので、成形体部の凝固を成形体部
以外のシリンダブロック全体の凝固に近づける。したが
って、従来のように成形体部が成形体部以外のシリンダ
ブロック全体より先に凝固していた場合に比べて、シリ
ンダブロック粗材4の金型1からの離型が容易になる。
また、成形体2を予熱する場合は、成形体2に浸透した
アルミの凝固をさらに遅らせることができ、離型がさら
に容易になる。また、予熱した成形体2への溶湯の湯ま
わりがよくなるので、製品がよくなる。また、成形体2
には内周と外周の両方から溶湯が浸透していくので、浸
透が速やかになる。
【0021】本発明の第4実施例では、図7〜図9に示
すように、介在物3が鋳鉄ライナーからなる。したがっ
て、本発明の第4実施例の金属基複合材料製シリンダブ
ロックの製造方法では、金型1のシリンダボア入子1a
外周側に鋳鉄ライナー3を成形体2の内側に位置させて
鋳鉄ライナー3および成形体2がセットされ、型締め後
鋳造が行われ、型開きして成形体2を複合したシリンダ
ブロック粗材4が鋳鉄ライナー3ごと離型される。7は
ウォータジャケット中子である。成形体2および鋳鉄ラ
イナー3は、時間的に別々にシリンダボア入子1a外周
にセットされてもよいし、あるいは成形体2の内周に鋳
鉄ライナー3を嵌合した後シリンダボア入子1a外周に
セットされてもよい。成形体2の内周には鋳鉄ライナー
3が密着しているので、溶湯は成形体2の外周のキャビ
ティに注湯される。したがって、溶湯は成形体2の外周
から成形体2に浸透していく。
【0022】鋳鉄ライナー3と成形体2は、金型1への
セット前に、一緒にまたは別々に、予熱される。一緒に
予熱する場合は、ライナーが鋳鉄からなるので、約10
00℃まで予熱でき、予熱温度に実質的に制限を受けな
い。また、別々に予熱する場合は、鋳鉄ライナー3は約
1000℃以下に、成形体2は約1200℃まで予熱で
きる。
【0023】注湯後の溶湯の凝固時、鋳鉄ライナー3の
温度低下は、鋳鉄ライナー3の熱容量が大のため、ライ
ナー以外の部位のアルミの温度低下に比べて遅いので、
アルミ部、とくにシリンダボア間部位に引張力が生じる
とともに鋳鉄ライナー3に圧縮力が生じ、図9に示すよ
うに、シリンダボア間部位に亀裂6が生じるおそれがあ
る。これを防止するために、鋳鉄ライナー3の厚さが、
シリンダボア間にアルミの凝固収縮による割れを発生さ
せない厚さに設定されている。この厚さは実験により決
められてもよいし、あるいは、次式が成立するように応
力バランスを推定して決められてもよい。 σFC・tFC < σAl・tAl ただし、tFC は鋳鉄ライナー3の厚さ、tAlはシリン
ダボア間アルミ部の幅の1/2、σFCはアルミ凝固時の
鋳鉄ライナー3の温度において鋳鉄ライナー3に生じる
圧縮応力、tAlはアルミ凝固時のボア間部位の温度にお
いてボア間部位に生じる引張応力、である。
【0024】成形体2の内側に鋳鉄ライナー3が存在す
るので、鋳鉄ライナー3が成形体2からシリンダボア入
子1aへの熱伝導を遅らして成形体2に浸透したアルミ
の凝固を遅らせ、成形体部の凝固を成形体部以外のシリ
ンダブロック全体の凝固に近づける。したがって、従来
のように成形体部が成形体部以外のシリンダブロック全
体より先に凝固していた場合に比べて、シリンダブロッ
ク粗材4の金型1からの離型が容易になる。また、成形
体2および鋳鉄ライナー3を予熱する場合は、成形体2
に浸透したアルミの凝固をさらに遅らせることができ、
離型がさらに容易になる。また、予熱した成形体2への
溶湯の湯まわりがよくなるので、成形体2部位に巣がな
くなり、製品がよくなる。
【0025】
【発明の効果】請求項1の金属基複合材料製シリンダブ
ロックの製造方法によれば、成形体と金型のシリンダボ
ア入子間にアルミライナーが介在するので、成形体部に
おける溶湯凝固の速さを、成形体部以外の製品全体部に
おける溶湯凝固の速さと同じ程度に遅くできるかまたは
それに近づけることができ、離型性を向上できる。請求
項2の金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法に
よれば、アルミライナーと成形体とを一緒にまたは別々
に予熱しておくので、成形体部における溶湯凝固の温度
を、成形体部以外の製品全体部における溶湯凝固の温度
に近づけることができ、離型性をさらに向上できる。請
求項3の金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法
によれば、成形体と金型のシリンダボア入子間に溶湯が
まわるため、成形体部における溶湯凝固の速さ、時間
が、成形体部以外の製品全体部における溶湯凝固の速
さ、時間と同じ程度になり、離型性を向上できる。請求
項4の金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法に
よれば、請求項3の効果に加えて、成形体の金型への装
着に若干のずれがあってもクリップによりそれを吸収で
き、装着精度が緩和されるという効果がある。請求項5
の金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法によれ
ば、成形体と金型のシリンダボア入子間に鋳鉄ライナー
が介在するので、成形体部における溶湯凝固の速さを、
成形体部以外の製品全体部における溶湯凝固の速さと同
じ程度に遅くできるかまたはそれに近づけることがで
き、離型性を向上できる。請求項6の金属基複合材料製
シリンダブロックの製造方法によれば、ボア間のアルミ
の凝固が鋳鉄ライナーの凝固より速くなってボア間のア
ルミに引張応力が働いても、鋳鉄ライナーの厚さが所定
値以下に選定されているので、鋳鉄ライナーの圧縮によ
りボア間のアルミの引張を吸収でき、ボア間のアルミに
割れが生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の一部断面図
である。
【図2】図1の装置の端面図である。
【図3】本発明の第2実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の一部断面図
である。
【図4】図3の装置の端面図である。
【図5】本発明の第3実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の一部断面図
である。
【図6】図5の装置の端面図である。
【図7】本発明の第4実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の一部断面図
である。
【図8】図7の装置の端面図である。
【図9】本発明の第4実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックに凝固中にシリンダボア間に割れが発生した
状態の平面図である。
【図10】本発明の各実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法の工程図である。
【符号の説明】
1 金型 1a シリンダボア入子 2 成形体 2a 凸部 3 介在物(アルミライナー、鋳鉄ライナー、アルミ
層) 4 シリンダブロック粗材 5 クリップ 6 割れ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成
    形体を複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製
    造方法であって、金型のシリンダボア入子外周側にアル
    ミライナーを成形体の内側に位置させてアルミライナー
    および成形体をセットし、型締め後鋳造し、型開きして
    成形体を複合したシリンダブロック粗材をアルミライナ
    ーごと離型する、金属基複合材料製シリンダブロックの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アルミライナーと前記成形体の型内
    へのセット前に前記アルミライナーと前記成形体とを一
    緒にまたは別々に予熱する請求項1記載の金属基複合材
    料製シリンダブロックの製造方法。
  3. 【請求項3】 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成
    形体を複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製
    造方法であって、金型のシリンダボア入子外周側にシリ
    ンダボア入子外周と成形体内周との間に隙間を形成する
    凸部を有する成形体をセットし、型締め後鋳造し、型開
    きして成形体を複合したシリンダブロック粗材を前記隙
    間にアルミ溶湯が侵入し凝固してできたアルミ層ごと離
    型する、金属基複合材料製シリンダブロックの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成
    形体を複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製
    造方法であって、金型のシリンダボア入子外周側にシリ
    ンダボア入子外周と成形体内周との間に隙間を形成する
    クリップを介して成形体をセットし、型締め後鋳造し、
    型開きして成形体を複合したシリンダブロック粗材を前
    記クリップおよび前記隙間にアルミ溶湯が侵入し凝固し
    てできたアルミ層ごと離型する、金属基複合材料製シリ
    ンダブロックの製造方法。
  5. 【請求項5】 金型鋳造によりシリンダ部に強化用の成
    形体を複合する金属基複合材料製シリンダブロックの製
    造方法であって、金型のシリンダボア入子外周側に鋳鉄
    ライナーを成形体の内側に位置させて鋳鉄ライナーおよ
    び成形体をセットし、型締め後鋳造し、型開きして成形
    体を複合したシリンダブロック粗材を鋳鉄ライナーごと
    離型する、金属基複合材料製シリンダブロックの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記鋳鉄ライナーの厚さを、シリンダボ
    ア間にアルミの凝固収縮による割れを発生させない厚さ
    に設定した請求項5記載の金属基複合材料製シリンダブ
    ロックの製造方法。
JP12017698A 1998-04-30 1998-04-30 金属基複合材料製シリンダブロックの製造方法 Pending JPH11314150A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008128053A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Toyota Motor Corp シリンダブロック及びシリンダブロックの製造方法
CN102441655A (zh) * 2010-10-07 2012-05-09 日立汽车系统株式会社 浮动型盘式制动器的制动钳主体的制造方法和制动钳主体

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