JPH11313636A - 安定なapm懸濁液状甘味料組成物 - Google Patents

安定なapm懸濁液状甘味料組成物

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JPH11313636A
JPH11313636A JP10120380A JP12038098A JPH11313636A JP H11313636 A JPH11313636 A JP H11313636A JP 10120380 A JP10120380 A JP 10120380A JP 12038098 A JP12038098 A JP 12038098A JP H11313636 A JPH11313636 A JP H11313636A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比較的低粘度(例えば100mPa・s以下)
でAPM懸濁液中のAPMの沈降のしにくい、すなわ
ち、APMの懸濁安定性が向上した、かつ、流動性のよ
いAPMの懸濁液状甘味料の提供。 【解決の手段】食用分散媒に、粒度がメジアン径で10
μm以下、好ましくは8μm以下のアスパルテームの粉
末を懸濁せしめたことを特徴とする安定なAPM懸濁液
状甘味料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミノ酸系甘味料
であるアスパルテーム(以下、「APM」と略記す
る。)を安定に懸濁させた液状甘味料に関する。周知の
ように、APMは、低カロリー高甘味度甘味料の一つ
で、実用化されている稀な例として有名である。
【0002】
【従来の技術】APMを懸濁させた液状甘味料の製造技
術は多々報告されている。例えば、(a)特開昭59−
31669号公報には、糖類を含有し又はしない倍散剤
及び少なくとも一部がAPMを含有することを特徴とす
る液状甘味料;APMを倍散剤に対する溶解度より高濃
度含有するスラリーを調製し、ついで液状倍散剤と混合
することを特徴とする液状甘味料の製造法;スラリーが
APMと少量の水とを均質化し、ついで倍散剤の一部を
添加均質化して成ることを特徴とする液状甘味料の製造
法;および混合が真空混合であることを特徴とする液状
甘味料の製造法が開示されている。また、(b)特開昭
59−31656号公報には、APMが半溶解状態で存
在するか又は糖類の共存下溶解もしくは半溶解状態で存
在することを特徴とする甘味食品が開示されている。ま
た、(c)特開昭59−151848号公報には、AP
M含有水性食品が開示されている。さらにまた、(d)
特開昭60−49762号公報には、APMを安定に含
有する食品が開示されている。しかして、前2者は懸濁
液の製造法がメインであり、後2者はAPMの保存安定
性の向上方法である。
【0003】このように、いずれも、APMを懸濁させ
たときに、そのAPMの沈降性について記述したものは
ない。
【0004】APMを懸濁させたい場合、例えば、甘味
補強及びAPMの保存安定性の向上の為に、異性化糖、
糖アルコール、還元澱粉加水分解物等の水溶液を分散媒
として用い、それに、APMの浮遊安定性を維持するた
めに、増粘剤・比重増加成分、例えばメチルセルロース
をAPMの一部が未溶解の状態を維持できる量で加え
る。すなわち、APMの添加量の下限は保存又は室温下
でAPMを飽和とするに足りる量を超える量であり、上
限は目的とする甘味度に応じて要求されるAPM量であ
る。このように適切であると思われる分散媒(以下、倍
散剤ということがある。)をもちいる時、その液の粘度
はかなり高いものとなっているが、長期で見れば、AP
Mの粒径が大きいとAPMがやはり沈降してくる。因み
に、APMの溶解度は0.6g/100g水(0℃)で
あり、蔗糖などの天然甘味料に比べて極めて小さい(蔗
糖の溶解度:179g/100g水(0℃))。
【0005】因みに、APMを懸濁させた液状甘味料
は、溶解が容易でかつ速いというメリットがあり、従っ
て、飲料用途を初め各種の分野で需要が大きい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前項記載の従来技術の
背景下に、本発明の目的は、比較的低粘度(例えば10
0mPa・s以下)でもAPM懸濁液中のAPMの沈降
しにくい、すなわち、APMの懸濁安定性が向上した、
かつ、流動性のよいAPMの懸濁液状甘味料の提供にあ
る。比較的低粘度であってAPMの沈降しにくいAPM
の懸濁液状甘味料は、特に、例えば、少量ずつ用いる卓
上甘味料の場合に有用である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前項記載の
目的を達成すべく鋭意検討の結果、APMはその粒径に
より、APM懸濁液中の沈降速度が異なること、そして
APMの粒径がある一定以下であると、メチルセルロー
スなどのいわゆる増粘剤を使用せずとも特異的に沈降し
にくい懸濁液になることを見いだし、延いては安定な高
甘味度懸濁液状甘味料を容易に提供することのできるこ
とを見いだし、このような知見に基づいて本発明を完成
した。
【0008】すなわち、本発明は、食用分散媒に、粒度
がメジアン径で10μm以下、好ましくは8μm以下の
アスパルテームの粉末を懸濁せしめたことを特徴とする
安定なAPM懸濁液状甘味料組成物に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のAPMが安定に懸濁した
懸濁液状甘味料は、飲食品の甘味付与に使用されるの
で、倍散剤の液体も、当然のことながら食用に供するこ
とのできるものでなくてはならない。そのような液体と
しては、水、低級アルコールなどが挙げられ、液状で親
水性であれば使用することができる。これらは差支えが
なければ、単独で用いることもできるし、混合して用い
ることもできる。倍散剤には、増量剤として、且つ甘味
補強及びAPMの保存安定性を向上させる為、糖類を高
濃度に含有せしめるとよい。例えば、乾物換算で甘味料
組成物全体の50%以上、より好ましくは60%以上含
有せしめるとよい。糖類としては、異性化糖、糖アルコ
ール、還元澱粉加水分解物、カップリングシュガーなど
を使用する。又、ポリソルベート80などの界面活性
剤、ナトリウム・カルボキシメチルセルロースなどの粘
度安定剤などを含有せしめる。又、ナトリウム・ベンゾ
エートなどの防かび剤を含有させると良い。
【0010】流通に置かれているAPMの粉体は、メジ
アン径で表した粒度は、通常、例えば17μm程度であ
る。これをそのまま前記の分散媒中に投じてAPMの懸
濁液状甘味料組成物を作成した場合、得られた懸濁液は
やがてAPMの粒子が沈降して上澄液層とAPMの粒子
を含む非上澄液層(懸濁液層、液底体層)とに分離して
しまい、安定な懸濁液とはならない(後掲実験例1参
照)。
【0011】ところが、先に説明したように、APMの
粉体は、メジアン径10μm以下、好ましくは8μm以
下の、粒度が小さい場合、分散媒中における沈降は極め
て緩慢となり、実用上沈降ゼロに等しい安定な懸濁液を
形成する。
【0012】通常流通に置かれているAPMは、これを
材料として本発明の懸濁液状甘味料組成物を調製するに
はそのままでは粒度が大に過ぎる。本発明の懸濁液状甘
味料組成物を調製するには、その粒度を本発明に適当な
メジアン径の10μm以下、好ましくは8μm以下に調
整する必要がある。APMの粒度をこのような粒度に低
下せしめる方法には特別の制限はなく、通常の方法、例
えば、ジェットミルによる破砕、その破砕後の篩分など
により容易に行うことができる。
【0013】先に説明した食用分散媒と適当な粒度のA
PMの粉体を使用してAPMの懸濁液(本発明の安定な
APM懸濁液状甘味料組成物)を作成するのにも特別の
制限はなく、通常の方法、例えば、倍散剤の一部にAP
M全量を懸濁させこれを残りの部分(倍散剤)に混入さ
せるとか、APMの一部を水に懸濁させて、その計算量
の水分量を差し引いて作成した倍散剤にこれを混入させ
ることで容易に行うことができる。
【0014】因みに、本発明に関してメジアン径は、次
のようにして測定することができる。すなわち、レーザ
ー光散乱法(機種:(株)セイシン企業製「SK−LA
SER MICRON SIZER PRO−7000
S」、分散媒:ヘキサン(3)+イソプロピルアルコー
ル(7)、分散条件:ULTRASONIC)によって
することができる。
【0015】
【実施例】以下、実験例および実施例により本発明を更
に具体的に説明する。
【0016】実験例1 下記第1表に示す組成の模擬分散媒を調製した。
【0017】
【表1】
【0018】上表において、D−ソルビトールは甘味補
強と粘度形成を期待して賦形剤として用いたものであ
り、脱気蒸留水は溶存気体及び溶存イオンのAPM粒子
の沈降速度への影響を取り除くために使用した。また、
ナトリウム・ベンゾエイトは防黴剤として使用し、ポリ
ソルベート80は界面活性剤として疎水性のAPMの溶
解性を高めるために用いた。ナトリウム・カルボキシメ
チルセルロースは増粘安定剤として使用した。なお、こ
の模擬倍散剤の、東京計器(株)製「デジタル粘度計D
VM−B型」を使用して測定した粘度は、約56mPa
・s(センチポイズ、測定条件:20℃、ローターN
o.2、30rpm、1分)であった。
【0019】上記模擬分散剤を58.3gずつ100m
l容ビーカー5個に分取し、それぞれに下記第2表に示
す、粒度の異なるAPMの粉体5種をそれぞれ4gずつ
秤取し、各ビーカーに加え、攪拌子で攪拌した(20℃
の室温で30分)。その後、各ビーカーからそれぞれ5
0ml容メスシリンダー5個に各ビーカー内の懸濁液を
入れて静置し、経時的に上澄液量を測定した(この間、
室温は19〜20℃に保持した)。この結果も同表に併
示する。
【0020】
【表2】
【0021】上表から分かるように、サンプル3(メジ
アン径10μm)は1日経過で僅かに沈降したが、サン
プル4と5(メジアン径8μmと4μm)は1日経過し
ても沈降は生じず、安定な懸濁状態を維持していた。こ
れに対し、サンプル1と2(メジアン径17μmと12
μm)では、顕著な沈降が生じていた。
【0022】72時間(3日)経過後でも、サンプル3
(本発明の実施態様)では僅か2mlの上澄液量が観察
されたに過ぎず、また、サンプル4および5(本発明の
好ましい実施態様)では更に少ない1ml以下の上澄液
量が観察されたに過ぎない。これに対し、サンプル1お
よび2(ともに比較例)では、実に23mlおよび25
mlにも達する上澄液量であった。
【0023】下記第3表に示す組成の倍散剤を調製し
た。
【0024】
【表3】
【0025】上表の各物質は実験例1で記述したとおり
の目的で使用し、新たにメチルセルロースを、粘度を少
しアップさせ、更に沈降速度を小さくするために加え
た。なお、この倍散剤の、上記東京計器(株)製「デジ
タル粘度計DVM−B型」による粘度は82mPa・s
(センチポイズ、測定条件:20℃、ローターNo.
2、30rpm、1分)であった。
【0026】上記倍散剤を58.3gずつ100ml容
ビーカー4個に分取し、それぞれに下記第4表に示す、
粒度の異なるAPMの粉体4種(サンプルNoは第2表
と対応)を、それぞれ、4gずつ秤取し、各ビーカーに
加え、攪拌子で攪拌した(20℃の室温で30分)。そ
の後、各ビーカーから、それぞれ、100ml容メスシ
リンダー3個に各ビーカー内の懸濁液を入れて静置し、
経時的に上澄液量を測定した(この間、室温は19〜2
0℃に保持した)。この結果も同表に併示する。
【0027】
【表4】
【0028】尚、サンプル3及び4は3か月経過後もA
PMは沈降しなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、粒径(メジアン径)を
10μm以下、好ましくは8μm以下に管理したAPM
を懸濁使用することにより、より安定した(沈降しな
い)高甘味度懸濁液状甘味料を提供することができる。
特に、低粘度下(例えば100mPa・s以下)でも、
安定した懸濁液状甘味料を提供できるので、コーヒーや
紅茶に一二滴添加するのに、流動性が良く、使い勝手が
良い卓上甘味料あるいは携帯甘味料を提供することがで
きる。又、氷菓に振りかけたり、料理後の甘味の付与に
も使うことができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食用分散媒に、粒度がメジアン径で10μ
    m以下、好ましくは8μm以下のアスパルテームの粉末
    を懸濁せしめたことを特徴とする安定なAPM懸濁液状
    甘味料組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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