JP4620913B2 - ダマ発生抑制剤とその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末を水系媒体に溶解する際にダマ発生を起こして分散性の悪い粉末のダマ発生を抑制して、その分散性を改善するためのダマ発生抑制剤とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、化粧品、医薬品等の分野において、水などの溶媒、牛乳などの液体、ヨーグルト、ジャムなど高水分の半固状物等の水系媒体に分散溶解させる際に、ダマ、即ち、「ままこ」の発生を起こし、分散性の悪い粉末が種々ある。具体的には、均質で、粒径が53μm以下、とりわけ、38μm以下の粉末からできている、例えば、小麦粉や抹茶などの農産物粉末、酵母エキスや肉エキスなどの調味料粉末、ワサビや芥子などの香辛料粉末、着色料や乳化剤などの粉末、又は、水などに溶解したときに粘性を呈するプルラン粉末、デキストラン粉末、各種ガム類粉末などの水溶性高分子類等はダマ発生を起こし易いことが知られている。
【0003】
ダマ発生を抑制して粉末の分散性を良くし、分散溶解時の作業性を改善するための方法として、これまでに多くの提案が成されている。例えば、▲1▼機械的な方法、▲2▼粉末を造粒、顆粒化する方法、▲3▼粉末表面を被覆する方法、▲4▼粉末の構成成分を変更する方法、▲5▼他の粉末と混合する方法などである。
【0004】
▲1▼機械的な方法としては、例えば、特開平8−283418号公報で開示されている技術、即ち、撹拌翼を高速回転させるなどして溶解時のダマ発生を抑制するか、又は、一度発生したダマを機械力により分散することが提案されている。しかし、この方法を用いるには、大きい設備と高エネルギーが必要となり、更に、高速回転することにより溶解液が発泡し易いなどの欠点がある。
【0005】
▲2▼造粒、顆粒化する方法としては、微粉末にバインダーとして各種の結合剤や溶液を加え、微粒子同士を結合させることで粒径を大きくすることが提案されている。粉末は粒径の小さいほど溶解性は良好であるものの、粒子の沈降性、湿潤性、分散性が良くなく、造粒、顆粒化することで、それらの改善、向上を図ることにより、ダマ発生を抑制することができることから、多くの粉末に応用されている。しかし、この方法を採用するには、造粒、顆粒化するための設備、エネルギー、時間、労力などを多く必要とするとともに、結合剤や溶液を添加することにより、場合によっては粉末成分が変性し易いなどの欠点がある。
【0006】
▲3▼粉末表面を被覆する方法としては、例えば、特開昭61−134319号公報で開示されている技術、即ち、単糖、オリゴ糖、糖アルコールなどでダマ発生を起こして分散性の悪い粉末を被覆することが提案されている。しかし、この方法を用いるには、対象とする粉末が限定され、安定で非常に微細な粉末が必要であったり、液状のものを使うには被覆と乾燥に時間とエネルギーを要したり、被覆した糖質のために粉末同士が固結したり、更に、固結に伴って保存性や溶解性不良を招き易いなどの欠点がある。
【0007】
▲4▼粉末の構成成分を変更する方法としては、例えば、特開平9−275911号公報で開示されている技術、即ち、大豆蛋白成分を乾燥して粉末製品を製造するに際し、低温溶解性に優れ、且つ「ままこ」が形成されない水分散性、流動性の良好な粉末とするために、乾燥前の大豆蛋白成分を含む溶液中の固形分100重量部に対して、澱粉部分分解物を2乃至40重量部溶解含有させたのち粉末化することが提案されている。しかし、この方法を用いるには、処理対象とするものが限定され、更に、アミノ酸等を含むなど相手によっては、還元性を持つ澱粉部分分解物との間で化学反応を起こし易いなどの欠点がある。
【0008】
▲5▼他の粉末と混合する方法としては、例えば、特開平11−18698号公報で開示されている技術、即ち、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末の分散性を改善するために、粒径が149μm篩下のエリスリトール結晶粉末、粒径は小さいほど少量で効果があることから75μm篩下の粒径を持つ結晶粉末を、添加量としては5乃至90重量%混合することが提案されている。しかしながら、本発明者等が別途検討したところ、粒径が53μm以下の小さい粒子を60%以上含有する粉末同士を混合したものでは、構成成分を違えてもダマ発生の抑制は困難であることが判明した。加えて、エリスリトールは甘味度が比較的高く、エリスリトールを小さい粒径の粉末までに粉砕する時に乾燥水分を0.05重量%以下に調整しておく必要があるなどの欠点がある。
【0009】
これまで述べてきたように、種々の粉末を溶解する際に、従来技術では多種の粉末に対して適用でき、安心してダマ発生を抑制して分散性を改善するには不充分であり、より幅広く適用することのできるダマ発生を抑制して分散性を改善できる技術の確立が待たれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶解する際にダマ発生を起こして分散性の悪い粉末のダマ発生を抑制して分散性を改善するために、分散性の悪い粉末に対して固結、着色などの悪影響を与えず、幅広い用途に、安心して使用できるダマ発生抑制剤を確立することを第一の課題とし、それを用いたダマ発生を抑制して分散性を改善する方法を確立することを第二の課題とし、ダマ発生を抑制して分散性の改善された粉末混合物を提供することを第三の課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決する目的で、ダマ発生を抑制して粉末の分散性を改善するとともに、安定な粉末混合物を作成することができ、且つ、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末の構成成分や出来た粉末混合物に対して悪影響を与えないことを重点に、糖質の利用、とりわけ、グルコースを構成糖とする糖質の結晶粉末に着目し、鋭意研究を続けてきた。
【0012】
その結果、グルコースを構成糖とする非還元性糖質、とりわけ、α,α−トレハロース、ネオトレハロース(α,β−トレハロース)、環状四糖およびシクロデキストリンで特定の粒径を持つ結晶粉末を共存含有させることにより、溶解時のダマ発生を抑制して粉末の分散性を改善できることを新たに見出し、新規なダマ発生抑制剤を確立するとともに、それを用いたダマ発生の抑制方法並びにダマ発生を抑制して分散性の改善された粉末混合物を確立することにより、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を50w/w%(以下、本明細書では、w/w%を単に%と略記する。)以上含有するとともに、38μm以下の粒子を20%未満含有する粉末で、且つ、当該粉末がグルコースを構成糖とする非還元性糖質の結晶粉末を主構成成分とするダマ発生抑制剤を確立するとともに、当該ダマ発生抑制剤をダマ発生を起こして分散性の悪い粉末に対して10乃至100%の割合で共存含有させることによりダマ発生抑制し分散性を改善する方法を確立し、併せて当該ダマ発生抑制剤を共存含有しダマ発生を抑制して分散性の改善された粉末混合物を確立して本発明を完成させた。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明でいうダマ発生を起こして分散性の悪い粉末(以下、本明細書では、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末を単に分散性の悪い粉末と略記することもある。)には、各種の粉末食品や、調味料、酸味料、高甘味度甘味料、着色料、着香料、乳化剤、強化剤、増粘安定剤などの粉末添加剤、更には、無機あるいは有機の化粧品、医薬品、農薬、工業品などの粉末原材料などがある。粉末食品としては、例えば、ココア、小麦粉、米粉、抹茶などの植物粉末、果汁粉末、タンパク質、コーヒー、酵母エキスなどの動植物から抽出した物を乾燥した粉末、粉末牛乳、粉末卵、及びこれら各種粉末の混合調製物などが挙げられる。
【0015】
本発明のダマ発生を抑制して分散性を改善するために用いられるダマ発生抑制剤は、粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を50%以上含有するものが好適である。ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末に共存含有させる粉末の粒径が150μmよりも大きく、且つ、粉末中に含まれる粒径の大きい粒子の割合が高くなると、ダマ発生を抑制して分散性を改善する効果が十分に得られないばかりでなく、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末との粉末混合物を調製したとき、粒度および嵩比重の違いから、お互いに分離を起こし易くなり、ダマ発生を抑制して分散性を改善する効果が益々得られなくなる。そこで、ダマ発生を抑制して分散性を改善するために共存含有させる粉末は、粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を50%以上、望ましくは、60%以上含有する粉末であり、更に望ましくは、粒径が53μmを越え150μm下の粒子を95%以上含有する粉末が好適である。
【0016】
また、本発明の特徴の一つとして、ダマ発生抑制剤に含まれる微粉末、とりわけ、粒径が38μm以下の粒子の混在が、ダマの抑制効果に大きく悪影響することを見出したことである。換言すれば、均質で、粒径が38μm以下の微細な粒子を多量に含んでいる粉末は、それ自身がダマを発生しやすい性質を有していることを見出した。本発明が対象とするダマを起こし易い粉末の多くがこの中に含まれている。
【0017】
従って、本発明のダマ発生抑制剤としては、先に述べた粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を50%以上含有させるのに加えて、粒径が38μm以下の粒子を20%未満、更に望ましくは、15%未満に減少させる必要がある。これまでに提案された、糖質粉末を共存含有させることでダマ発生を抑制して分散性を改善できるというものは、使用する糖質粉末の粒径に関して、上限のみが規定されており、下限の必要性に着目したものはなかった。
【0018】
上記のように、本発明のダマ発生抑制剤は、特定の粒径を持ち、且つ、それらの粒子を一定の割合で含有している粉末であって、しかも、粉末自体が水系媒体に対して溶解性を有するものが好適である。これらの条件を満足するものとしてグルコースを構成糖とし、且つ、非還元性の糖質が有利に利用できる。
【0019】
グルコースを構成糖とする非還元性糖質は種々のものが知られており、グルコースを唯一の構成糖とする非還元性ホモオリゴ糖としては、α,α−トレハロース並びにその異性体、末端にα,α−トレハロース、ネオトレハロース構造を有する直鎖オリゴ糖、更には、グルコース残基数が4個以上からなる各種の環状オリゴ糖が存在する。ダマ発生を抑制して分散性を改善するために用いるものとしては、上記の各条件を満足し、且つ、安価で、大量に入手できるα,α−トレハロース、ネオトレハロース(α、β−トレハロース)、環状四糖およびシクロデキストリン(以下、本明細書では、グルコースを構成糖とする非還元性糖質であるα,α−トレハロース、ネオトレハロース(α、β−トレハロース)、環状四糖およびシクロデキストリンを単に非還元性糖質と略記することもある。)が好適である。
【0020】
以下、当該非還元性糖質について具体的に説明する。α,α−トレハロースは、グルコースが2個、α,α−1,1で結合した非還元性の糖質であり、甘味度は砂糖の約45%と低い。更に、α,α−トレハロース含水結晶は吸湿性が低く、高湿度の中で放置しても安定である。また、α,α−トレハロース含水結晶は、脆い性質を有しており、粉砕しやすい特質を有している。含水結晶を粉砕して得られる粉末も、結晶と同様に、吸湿性は低く、高湿度の中で放置しても安定である。α,α−トレハロース製品としては、現在、高純度含水結晶トレハロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』)が販売されており、必要に応じて、これを粉砕、分級して本発明で利用することができる。
【0021】
ネオトレハロース(α,β−トレハロース)は、α,α−トレハロースの異性体の1種であり、グルコースが2個、α,β−1,1で結合した非還元性の糖質であり、甘味度は砂糖の約1/3と低い。更に、ネオトレハロース含水結晶は吸湿性が低く、高湿度の中で放置しても安定である。また、結晶を粉砕して得られる粉末も、結晶と同様に、吸湿性は低く、高湿度の中で放置しても安定である。本糖質は、本出願人が特許第3082094号公報で示した方法によれば、乳糖と澱粉を原料として、酵素法を用いて容易に製造することができる。市販品としては、試薬が商品名『ネオトレハロース』((株)林原生物化学研究所製造)として販売されており、必要に応じて、これを粉砕、分級して本発明で利用することができる。
【0022】
環状四糖は、ゲイル エム ブラッドブルク等によって『カーボハイドレートリサーチ』、第329巻、655乃至665頁(2000年)に記載されているように、グルコースが4個、α−1,3とα−1,6結合で、環状に繋がった非還元性の糖質である。本糖質は、本出願人が特願2000−234937号明細書で示した方法により、澱粉から酵素糖化法を用いて製造し、その性質を解明したところ、甘味度は低く、含水結晶は吸湿性が低く安定であり、必要に応じて、これを粉砕、分級して本発明で利用することができる。
【0023】
シクロデキストリンは、グルコースがα−1,4結合で環状に繋がった非還元性の糖質であり、甘味度は低く、含水結晶は吸湿性が低く安定である。主なものとしてはα、β、γ−シクロデキストリンがある。本糖質は、糖転移酵素であるシクロデキストリン グルカノトランスフェラーゼを作用させることにより、澱粉から酵素糖化法を用いて製造することができる。市販品としては、グルコースがそれぞれ6個、7個、8個環状に繋がった、商品名『α−シクロデキストリン』、『β−シクロデキストリン』、『γ−シクロデキストリン』((株)林原生物化学研究所製造)が販売されており、必要に応じて、これを粉砕、分級して本発明で利用することができる。
【0024】
本発明でいう主構成成分であるとは、ダマ発生抑制剤に対して、グルコースを構成成分とする非還元性糖質の結晶粉末を90%以上含有することをいう。具体的には、グルコースを構成成分とする非還元性糖質の結晶粉末が、実質的に非還元性であって、これを含有するダマ発生抑制剤と、分散性の悪い粉末との粉末混合物を作成し保存する際に、得られる粉末混合物が吸湿して固結したり、変色したりしない粉末となるものであればよく、通常、グルコースを構成糖とする非還元性糖質を90%以上含有する結晶粉末、望ましくは、当該非還元性糖質を95%以上含有する結晶粉末が好適であり、他の糖質を含有してもよい。
【0025】
また、本発明のダマ発生を抑制して分散性を改善する効果を損なわない範囲内であれば、グルコースを構成成分とする非還元性糖質の結晶粉末以外にも、必要に応じて、他の糖質粉末や糖質結晶粉末、更には、流動性促進剤、固結防止剤、強化剤、安定化剤などとして、ミネラル、アミノ酸、有機酸塩、ポリフェノール、シュガーエステルなどを適量、望ましくは、10%未満の範囲で共存含有させることも随意である。例えば、α,α−トレハロースを主構成成分とし、これに、例えば、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル、茶ポリフェノール、酵素処理ルチンなどのフラボノイド等を含有させた後、芥子粉末、わさび粉末、抹茶などに適量混合し、その分散溶解を容易にするとともに、それらの粉末の色調、風味を安定に保持させることも有利に実施することができる。
【0026】
本発明の非還元性糖質結晶粉末を分散性の悪い粉末に対して共存含有させる方法としては、一般的には、分散性の悪い粉末にあらかじめ調製した特定の粒径を持つ非還元性糖質結晶粉末を混合することにより達成できる。必要に応じて、分散性の悪い粉末やその粉末の粉砕前の固形物と非還元性糖質の結晶とを予め混合し、次いで、粉砕機にかけて粉砕し、非還元性糖質の粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を50%以上含有するとともに、38μm以下の粒子を20%未満含有する結晶粉末とすることにより、共存含有させることもできる。
【0027】
混合方法としては、通常の方法、即ち、V型、水平円筒型、垂直スクリュー型、二重円錐型混合機等を用いる方法が挙げられる。粉砕方法としては、粉砕後の粉末の粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を50%以上含有するように、ピンミル、パワーミル、ハンマーミル、スクリーンミル、振動ボールミル、ジェット粉砕器等を1種又は2種以上を組み合わせて用いる方法が挙げられる。
【0028】
本発明で用いる非還元性糖質の結晶粉末の共存含有量としては、分散性の悪い粉末重量に対して非還元性糖質の結晶粉末を、共存比で、10%乃至100%、望ましくは、20%乃至80%の割合で共存含有させるのが好適である。含有量が少ないとダマ発生を抑制して分散性を改善する効果が十分に得られず、逆に多くなり過ぎると、分散性は改善されるものの、非還元性糖質が持つ特性が粉末混合物を原材料として製造される製品に強く現れ、例えば、含有させる結晶粉末は糖質であるために甘味度が強くなりすぎるなど、場合によっては不都合なことになる。更に、非還元性糖質の結晶粉末の含有量が増大するに従って、相対的に粉末混合物中に含まれる目的成分の含量が減少することから、必要量に見合う量を確保しようとすれば、一度に溶解する粉末混合物の量を多くしなければならず、かえって作業効率を悪くすることにもなる。
【0029】
以上述べてきたように、分散性の悪い粉末に本発明の特定の粉末を持つ非還元性糖質結晶粉末を主構成成分とするダマ発生抑制剤を共存含有させた本発明の粉末混合物は、ダマ発生を抑制して分散性の改善された性質を有し、溶解性が向上する。本発明を実施することにより、分散性の悪い粉末を各種製品の原材料に用いて溶解液を調製するとき、その作業性を改善し、溶解作業に要する時間を短縮することができる。とりわけ、食品分野においては、本発明のダマ発生抑制剤は安定な糖質であり、甘味度も低く、ダマ発生を抑制して分散性を改善した混合粉末に過剰な甘味を与えることもなく利用できる。よって、本発明のダマ発生抑制剤は幅広い用途が期待できる。
【0030】
以下に、本発明のダマ発生を抑制して分散性を改善することによる溶解性の向上効果について、具体的な実験例を用いて詳しく説明する。
【0031】
【実験1】
<ダマ発生を起こし易い粉末の分散溶解時間に及ぼすα,α−トレハロース結晶粉末の粒度の影響>
ダマ発生を起こし易い粉末の分散溶解時間に及ぼすα,α−トレハロース結晶粉末の粒度の違いによる影響を検討するための粉末混合物は、次のようにして調製した。ダマを発生し分散性の悪い粉末としてポリペプトン〈細粒〉(日本製薬(株)製)12gと、ポリペプトン重量に対して25%に相当する、粒度の異なるα,α−トレハロース結晶粉末3gとを200ml容のスチロールサンプル瓶に入れ、30回、約30cmの巾で、手で持って激しく振とうし、均一な粉末混合物を得、これを25℃の室内で1週間保存した。
【0032】
粉末混合物の調製に使用したα,α−トレハロース結晶粉末は、高純度含水結晶トレハロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』)をそのまま用い、又は、これをピンミルで粉砕して得られた結晶微粉末をそのまま用い、更には、粉砕して得られた結晶微粉末を、新JIS規格の300μm、150μm、106μm、75μm、53μmおよび38μm目開きのふるいを組合わせて使用し、分級し、特定範囲の粒径を持つ結晶粉末としたものである。試験に使用したα,α−トレハロース結晶粉末は、新JIS規格の300μm、150μm、106μm、75μm、53μmおよび38μmの目開きの各ふるいを用いて粒度分布を求めた。試験は、α,α−トレハロース結晶の微粒子含有量の多いもの順にNo.1〜No.12とし、対照として、α,α−トレハロース結晶粉末無含有のものをNo.13とした。
【0033】
溶解性試験は、35mmのスターラー回転子を入れた100ml容のガラス製トールビーカーに、40℃のイオン交換水50mlを入れ、池本理化(株)製スターラー上で、ダイアル”5”で撹拌を行った。この撹拌状態の下、上記の各粉末混合物3.75g(溶解するポリペプトン重量が3.0gとなるように)および対照のα,α−トレハロース結晶粉末無含有のポリペプトン3gをそれぞれ計量し、それぞれを一度に投入し、各粉末混合物が分散し、ダマがなくなって粉末が完全に溶解するまでに要したそれぞれの時間を測定した。ダマ発生を抑制して溶解性を改善する効果があると判断した基準は、α,α−トレハロース結晶粉末無含有のものに比べて溶解に要した時間が70%以下に短縮されたときとした。溶解性試験の結果は、表1に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0004620913
【0035】
表1の結果から明らかなように、対照のα,α−トレハロース結晶粉末無含有の試験No.13のポリペプトンは、完全に分散溶解するまでに445秒を要した。一方、粒度の異なるα,α−トレハロース結晶粉末を共存含有するNo.1乃至No.12の粉末混合物が完全に分散溶解するまでに要した時間は、α,α−トレハロース結晶粉末無含有のポリペプンの場合と比べ、いずれも短縮されたが、その効果はα,α−トレハロース結晶粉末の性状、特に粒度の違いにより大きく異なっていた。
【0036】
ダマ発生を抑制して分散性を改善する効果が強く、ダマ発生が認められないか、少ししか認められず、完全に溶解するまでに要した時間がα,α−トレハロース結晶粉末無含有のポリペプトンの場合と比べて70%以下に短縮された粉末混合物は、高純度含水結晶トレハロース『トレハ』を粉砕して得られた比較的大きい結晶粉末を含有する試験No.6の粉末混合物、並びに粉砕した結晶粉末を分級して得た、特定範囲の粒径が比較的大きい粒子を含むα,α−トレハロース結晶粉末を含有する試験No.5、No.7、No.8、No.9およびNo.10の粉末混合物であった。
【0037】
一方、高純度含水結晶α,α−トレハロースを粉砕して得た粒径が比較的小さい結晶粉末を含有する試験No.3の粉末混合物、並びに粉砕した結晶粉末を分級して得た、特定範囲の粒径が比較的小さい粒子を含むα,α−トレハロース結晶粉末を含有する試験No.1、No.2およびNo.4の粉末混合物では、いずれの場合も、完全に分散溶解するまでに要する時間を、α,α−トレハロース結晶粉末無含有のポリペプトンの場合と比べて70%以下に短縮させるまでには至らなかった。
【0038】
更に、未粉砕の高純度含水結晶α,α−トレハロースを含有する試験No.12および高純度含水結晶α,α−トレハロースを粉砕した結晶粉末を分級して得た、特定範囲の粒径が大きい粒子を含む、α,α−トレハロース結晶粉末を含有する試験No.11の粉末混合物では、いずれの場合も、完全に分散溶解するまでに要する時間を、α,α−トレハロース結晶粉末無含有のポリペプトンの場合と比べて70%以下に短縮させるまでには至らなかった。
【0039】
以上の試験結果より、ダマ発生を抑制して分散性を改善し、分散溶解時間の短縮に及ぼす効果が大きく、完全に溶解するまでに要する時間をα,α−トレハロース結晶粉末無含有のポリペプトンの場合に比べて、70%以下に短縮させることができるα,α−トレハロース結晶粉末の粒径およびその含有割合は、53μmを越え150μm以下の粒子を50%以上含有するとともに、38μm以下の粒子を20%未満含有する結晶粉末が好適であることが明らかとなり、とりわけ、53μmを越え150μ以下の粒子を60%以上、更には、95%以上含有する結晶粉末が好適であった。
【0040】
ポリペプトンと微粒子のα,α−トレハロース結晶粉末とを含有する粉末混合物は、構成成分の均質性を失わせたことから、ダマ発生を抑制して分散性を改善し、分散溶解時間に及ぼす効果が大きくなるのではと期待して試験してみたものの、その効果は意外にも小さく、完全に溶解するまでに要する時間をα,α−トレハロース結晶粉末無含有の場合に比べて70%以下に短縮させるに至らなかった。
【0041】
【実験2】
<ダマ発生を起こし易い粉末の分散溶解時間に及ぼす非還元性糖質結晶粉末の混合比の影響>
ダマ発生を起こし易い粉末の分散溶解時間に及ぼす非還元性糖質結晶粉末の共存比の影響を検討するための粉末混合物は、実験1に準じて、次のようにして調製した。ダマを発生して分散性の悪い粉末としてポリペプトン〈細粒〉(日本製薬(株)製)10gと、ポリペプトン重量に対して、グルコースを構成糖とする非還元性糖質をそれぞれ、1%、5%、10%、20%、60%、80%、100%、120%となるように計量し、200ml容のスチロールサンプル瓶に入れ、30回、約30cmの巾で、手で持って激しく振とうし、均一な粉末混合物を得、25℃の室内で1週間保存した。
【0042】
粉末混合物の調製に使用したα,α−トレハロース結晶粉末は、実験1で調製し、試験No.10で使用した粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を100%含有するα,α−トレハロース結晶粉末を用いた。ネオトレハロース結晶粉末およびα−シクロデキストリン結晶粉末は市販の商品名『ネオトレハロース』、『α−シクロデキストリン』(いずれも(株)林原生物化学研究所製造)を粉砕、分級して調製した粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を100%含有するものを用いた。環状四糖結晶粉末は同じ出願人による特願2000−234937号明細書に記載した実施例A−3およびA−5の方法に準じて澱粉から調製した環状四糖の結晶(純度99.5%)を粉砕、分級して調製した粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を100%含有するものを用いた。各種の粉末混合物の溶解性試験は、実験1と同様に、溶解するポリペプトン重量が3.0gとなるように行い、結果は表2に示した。
【0043】
【表2】
Figure 0004620913
【0044】
表2の結果から明らかなように、非還元性糖質結晶粉末無含有の試験No.33のポリペプトンは、完全に分散溶解するまでに445秒を要した。一方、α,α−トレハロース結晶粉末を含有する試験No.1乃至No.8の粉末混合物、ネオトレハロース結晶粉末を含有する試験No.9乃至No.16の粉末混合物、環状四糖結晶粉末を含有する試験No.17乃至No.24の粉末混合物、及びα−シクロデキストリン結晶粉末を含有する試験No.25乃至No.32の粉末混合物のいずれも、完全に分散溶解するまでに要した時間は、非還元性糖質結晶粉末無含有のポリペプトンの場合と比べていずれも短縮された。しかしながら、その効果は非還元性糖質結晶粉末の共存含有量により異なり、共存比が低いと粉末混合物の溶解性の改善効果は小さく、完全に分散溶解するまでに要した時間は、非還元性糖質結晶粉末無含有のポリペプトンの場合と比べて、あまり短縮できなかった。即ち、試験No.1およびNo.2の共存比が5%以下のα,α−トレハロース結晶粉末を含有する粉末混合物、試験No.9およびNo.10の共存比が5%以下のネオトレハロース結晶粉末を含有する粉末混合物、試験No.17およびNo.18の共存比が5%以下の環状四糖結晶粉末を含有する粉末混合物、並びに試験No.25およびNo.26の共存比が5%以下のα−シクロデキストリン結晶粉末を含有する各粉末混合物では、完全に分散溶解するまでに要した時間を、非還元性糖質結晶粉末無含有のポリペプトンの場合と比べて、共存70%以下に短縮させるまでには至らなかった。試験No.3乃至No.8の共存比が10%以上のα,α−トレハロース結晶粉末を含有する粉末混合物、試験No.11乃至No.16の共存比が10%以上のネオトレハロース結晶粉末を含有する粉末混合物、試験No.19乃至No.24の共存比が10%以上の環状四糖結晶粉末を含有する粉末混合物、試験No.27乃至No.32の共存比が10%以上のα−シクロデキストリン結晶粉末を含有する粉末混合物では、溶解性の改善効果が大きくなり、完全に分散溶解するまでに要した時間は、非還元性糖質の結晶粉末無含有のポリペプトンの場合と比べて70%以下に短縮され、とりわけ、これらの非還元性糖質を共存比20%以上にしたものは、50%以下と大幅に短縮された。
【0045】
一方、試験No.8、試験No.16、試験No.24、並びに試験No.32の非還元性糖質結晶粉末の共存比が120%となると改善効果自体は大きいものの、非還元性糖質結晶粉末の共存含有量の増加に対する、分散溶解に要する時間の短縮幅は非常に小さく、より多く含有させることによる効果の向上はほとんど見られなかった。
【0046】
この試験結果より、分散溶解時間に及ぼす効果が大きく、完全に溶解するまでに要する時間を、非還元性糖質無含有のポリペプトンの場合に比べて、70%以下に短縮させることができる非還元性糖質結晶粉末の必要な共存比は10%以上であり、50%以下に短縮させることができる非還元性糖質結晶粉末の必要な共存比は、20%以上であり、100%までが効果的であることが明らかとなった。
【0047】
また、試験した4種の非還元性糖質の中では、α,α−トレハロース結晶粉末が最も分散溶解時間に及ぼす効果が大きく、α−シクロデキストリン結晶粉末の効果が最も小さかった。
【0048】
以上の実験結果から、本発明を応用することで、ダマ発生が抑制され、分散性が改善された粉末混合物を容易に調製することができ、これまで分散性の悪い粉末の溶解に要していた作業時間を大幅に短縮することができ、産業上も価値のあるものといえる。
【0049】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0050】
【実施例A−1】
<ダマ発生抑制剤>
高純度含水結晶トレハロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』)をピンミルを使用して粉砕し、粒径が38μm以下を5%、38を越えて53μm以下を13%、53μmを越えて150μm以下を75%、150μmを越える粒子を7%含有するダマ発生抑制剤を調製した。
【0051】
本品は、ダマ発生を起こし易い粉末に10%以上、望ましくは20%以上100%以下の範囲で共存含有させることにより、ダマ発生を抑制して分散溶解に要する時間を短縮することができる。また、本品は、α,α−トレハロースを含有することから、粉末食品のための固結防止、風味改善剤などとしても有利に利用できる。
【0052】
【実施例A−2】
<ダマ発生抑制剤>
高純度含水結晶トレハロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』)をピンミルを使用して粉砕し、53μmと150μmの目開きのふるいを用いて分級し、粒径が53μmを越えて150μm以下の粒子を100%含有するダマ発生抑制剤を調製した。
【0053】
本品は、ダマ発生を起こし易い粉末に10%以上、望ましくは20%以上100%以下の範囲で共存含有させることにより、ダマ発生を抑制して分散溶解に要する時間を短縮することができる。また、本品は、実施例A−1と同様に、粉末食品のための固結防止、風味改善剤などとしても有利に利用できる。
【0054】
【実施例A−3】
<ダマ発生抑制剤>
実施例A−2で調製したα,α−トレハロース結晶粉末24重量部に対して市販の乳酸カルシウム(白石カルシウム(株)販売、商品名『エルカル』)1重量部含有させた炭酸カルシウムを含有するダマ発生抑制剤を調製した。
【0055】
本品は、ダマ発生を起こし易い粉末に10%以上、望ましくは20%以上100%以下の範囲で共存含有させることにより、ダマ発生を抑制して分散溶解に要する時間を短縮することができる。また、本品は、実施例A−1と同様に、粉末食品のための固結防止、風味改善剤などとしても有利に利用できる。更に、本品は、カルシウムを含むことからミネラル強化剤、色調安定剤、pH調整剤などとしても有利に利用できる。
【0056】
【実施例A−4】
<ダマ発生抑制剤>
実施例A−2で調製したα,α−トレハロース結晶粉末98重量部に対して市販の茶ポリフェノール(三井農林(株)販売、商品名『ポリフェノン』)1重量部および糖転移ルチン(東洋精糖(株)販売、商品名『αGルチン』)1重量部を含有するダマ発生抑制剤を調製した。
【0057】
本品は、ダマ発生を起こし易い粉末に10%以上、望ましくは20%以上100%以下の範囲で共存含有させることにより、ダマ発生を抑制して分散溶解に要する時間を短縮することができる。また、本品は、実施例A−1と同様に、粉末食品のための固結防止、風味改善剤などとしても有利に利用できる。更に、本品は、ポリフェノール、糖転移ルチンを含むことから鮮度保持剤、色調安定剤などとしても有利に利用できる。
【0058】
【実施例A−5】
<ダマ発生抑制剤>
市販の商品名『ネオトレハロース』((株)林原生物化学研究所製造)をパワーミルおよびピンミルを使用して粉砕し、53μmと150μmの目開きのふるいを用いて分級し、粒径が53μmを越えて150μm以下の粒子を100%含有するダマ発生抑制剤を調製した。
【0059】
本品は、ダマ発生を起こし易い粉末に10%以上、望ましくは20%以上100%以下の範囲で共存含有させることにより、ダマ発生を抑制して分散溶解に要する時間を短縮することができる。また、本品は、実施例A−1と同様に、粉末食品のための固結防止、風味改善剤などとしても有利に利用できる。
【0060】
【実施例A−6】
<ダマ発生抑制剤>
環状四糖結晶粉末は同じ出願人による特願2000−234937号明細書に記載した実施例A−3およびA−5の方法に準じて澱粉から調製した環状四糖の結晶(純度99.5%)をピンミルを使用して粉砕し、53μmと150μmの目開きのふるいを用いて分級し、粒径が53μmを越えて150μm以下の粒子を100%含有するするダマ発生抑制剤を調製した。
【0061】
本品は、ダマ発生を起こし易い粉末に10%以上、望ましくは20%以上100%以下の範囲で共存含有させることにより、ダマ発生を抑制して分散溶解に要する時間を短縮することができる。また、本品は、実施例A−1と同様に、粉末食品のための固結防止、風味改善剤などとしても有利に利用できる。
【0062】
【実施例A−7】
<ダマ発生抑制剤>
実施例A−2で調製したα,α−トレハロース結晶粉末1重量部に対して実施例A−6で調製した環状四糖結晶粉末1重量部含有させたα,α−トレハロース結晶粉末と環状四糖結晶粉末とを等量含有するダマ発生抑制剤を調製した。
【0063】
本品は、ダマ発生を起こし易い粉末に10%以上、望ましくは20%以上100%以下の範囲で共存含有させることにより、ダマ発生を抑制して分散溶解に要する時間を短縮することができる。また、本品は、実施例A−1と同様に、粉末食品のための固結防止、風味改善剤などとしても有利に利用できる。
【0064】
【実施例A−8】
<ダマ発生抑制剤>
市販の商品名『α−シクロデキストリン』((株)林原生物化学研究所製造)をピンミルを使用して粉砕し、53μmと150μmの目開きのふるいを用いて分級し、粒径が53μmを越えて150μm以下の粒子を100%含有するダマ発生抑制剤を調製した。
【0065】
本品は、ダマ発生を起こし易い粉末に10%以上、望ましくは20%以上100%以下の範囲で共存含有させることにより、ダマ発生を抑制して分散溶解に要する時間を短縮することができる。また、本品は、実施例A−1と同様に、粉末食品のための固結防止、風味改善剤などとしても有利に利用できる。更に、本品は、α−シクロデキストリンを含むことから不安定な物質の安定化剤、保持剤などとしても有利に利用できる。
【0066】
【実施例B−1】
<乳化剤粉末混合物>
市販の乳化剤(シュガーエステルS−1670)(三菱化学フーズ(株)製)2重量部と、実施例A−1で調製したダマ発生抑制剤1重量部を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、2分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0067】
本粉末混合物は、吸湿性がなく、水に溶解するときにダマ発生がなく、乳化剤を短時間で分散溶解することができる。本品は、各種の加工食品を製造するときの乳化剤等として利用するのに好適である。
【0068】
【実施例B−2】
<乳化剤粉末混合物>
市販の乳化剤(シュガーエステルS−1670)(三菱化学フーズ(株)製)5重量部と、実施例A−5で調製したダマ発生抑制剤1重量部を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、2分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0069】
本粉末混合物は、吸湿性がなく、水に溶解するときにダマ発生がなく、乳化剤を短時間で分散溶解することができる。本品は、各種の加工食品を製造するときの乳化剤等として利用するのに好適である。
【0070】
【実施例B−3】
<小麦粉粉末混合物>
市販の小麦粉5重量部と、実施例A−2で調製したダマ発生抑制剤1重量部を万能混合機60DM−rrs(三英製作所製)に入れ、3分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0071】
本粉末混合物は、吸湿性、着色性がなく、小麦粉が持つ本来の風味を有し、水に溶解するときにダマ発生がなく、小麦粉を短時間で分散することができる。本品は、麺類、ケーキ類、菓子類など各種食品の原材料等として利用するのに好適である。
【0072】
【実施例B−4】
<酵母エキス粉末混合物>
市販の酵母エキス(アサヒビール食品(株)製、ミーストS)4重量部と、実施例A−6で調製したダマ発生抑制剤1重量部を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、3分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0073】
本粉末混合物は、着色性がなく、酵母エキスが持つ本来の風味を有し、水に溶解するときにダマ発生が少なく、酵母エキスを短時間で分散溶解することができる。本品は、たれ、つゆ、菓子類を始めとする各種食品の原材料等として利用するのに好適である。
【0074】
【実施例B−5】
<はったい粉粉末混合物>
大麦を煎った後パワーミル及びピンミルを用いて粉砕して調製したはったい粉3重量部と、実施例A−8で調製したダマ発生抑制剤2重量部を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、1分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0075】
本粉末混合物は、吸湿性がなく、はったい粉が持つ本来の風味を有し、水に溶解するとき、ダマ発生がなく、はったい粉を短時間で分散することができる。本品は、そのまま熱湯に溶いて食することも、更には、和菓子などの原材料として利用するのにも好適である。
【0076】
【実施例B−6】
<プルラン粉末混合物>
市販のプルラン((株)林原商事販売、商品名『プルランPF−20微粉』)2重量部と、実施例A−1で調製したダマ発生抑制剤1重量部を万能混合機60DM−rrs(三英製作所製)に入れ、2分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0077】
本粉末混合物は、吸湿性がなく、水に溶解するときにダマ発生が少なく、プルランを短時間で分散溶解することができる。本品は、粘性を必要とする調味料などの食品や化粧品、医薬品などの原材料として利用するのに好適である。
【0078】
【実施例B−7】
<脱脂粉乳粉末混合物>
市販の脱脂粉乳(雪印乳業(株)販売)3重量部と、実施例A−2で調製したダマ発生抑制剤1重量部を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、2分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0079】
本粉末混合物は、着色性がなく、脱脂粉乳が持つ本来の風味を有し、水に溶解するときにダマ発生がなく、脱脂粉乳を短時間で分散溶解することができる。本品は、加工乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、菓子類を始めとする各種食品の原材料等として利用するのに好適である。
【0080】
【実施例B−8】
<芥子粉末混合物>
市販の芥子粉末(SB食品(株)販売)9重量部と、実施例A−4で調製したダマ発生抑制剤1重量部を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、2分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0081】
本粉末混合物は、吸湿性がなく、芥子が持つ本来の風味を有し、水に溶解するときにダマ発生がなく、芥子粉末を短時間で分散することができ、更に、α−シクロデキストリンの効果により芥子の香りの保持時間が延長される。本品は、練り芥子として料理に、更に、惣菜類を始めとする各種食品の原材料等として利用するのに好適である。
【0082】
【実施例B−9】
<昆布粉末混合物>
市販の乾燥昆布をパワーミルを用いて粉砕して調製した昆布粉末1重量部と、実施例A−7で調製したダマ発生抑制剤1重量部昆布粉末を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、2分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0083】
本粉末混合物は、吸湿性がなく、昆布が持つ本来の風味を有し、温水に溶解するとき、ダマ発生がなく、昆布粉末を短時間で分散することができる。本品は、昆布茶として飲料に、更に、調味料や和洋菓子などの原材料として利用するのに好適である。
【0084】
【実施例B−10】
<抹茶粉末混合物>
市販の抹茶粉末(三井農林(株)販売)8重量部と、実施例A−3で調製したダマ発生抑制剤2重量部を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、2分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0085】
本粉末混合物は、吸湿性がなく、水に溶解するときにダマ発生がなく、抹茶を短時間で分散することができ、更に、本品はα,α−トレハロースおよびカルシウムの効果により抹茶本来の色調、風味がよく保持される。また、本粉末混合物は、抹茶として飲料に、更に、アイスクリーム、カキ氷、各種洋和菓子類、麺類を始めとする各種食品の原材料等として抹茶本来の色調、風味付けに利用するのに好適である。
【0086】
【実施例B−11】
<炭酸カルシウム粉末混合物>
市販の炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)販売)、商品名『コロカルソ』9重量部と、実施例A−1で調製したダマ発生抑制剤1重量部を万能混合機5DM−R(三英製作所製)に入れ、3分間混合し、粉末混合物を調製した。
【0087】
本粉末混合物は、吸湿性がなく、水に溶解するときにダマ発生がなく、炭酸カルシウムを短時間で分散することができる。本品は、栄養強化剤として各種食品への強化剤、水質の硬度剤、制酸剤などとして利用するのに好適である。
【0088】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末の分散性を容易に改善し、溶解性を向上することができる。それを解決するための方法としては、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末に対して、粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を50%以上含有するとともに、38μm以下の粒子を20%未満含有する粉末で、且つ、当該粉末がグルコースを構成糖とする非還元性糖質結晶粉末を主構成成分とするダマ発生抑制剤を確立し、これを、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末重量に対して、共存比で10%乃至100%共存含有させることにより、溶解時の分散性を改善した粉末混合物とすることで、簡単で、安価にダマ発生を抑制して分散性が優れ、吸湿性、着色性のない粉末混合物を製造することができる。しかも、ここで使用する非還元性糖質は低甘味であり、吸湿性が低いなど安定なことから、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末に対して悪影響を与えることも少ない。
【0089】
従って、本発明の確立は、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末に対する悪影響を懸念することなく、分散性の改善された粉末混合物を容易に製造できることから、本発明の方法を応用できる範囲は広く、食品、化粧品、医薬品、化学品などの業界を初めとする産業界に与える工業的意義は極めて大きい。

Claims (4)

  1. 粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を50w/w%以上含有するとともに、38μm以下の粒子を20w/w%未満含有する粉末で、且つ、当該粉末がグルコースを構成糖とする非還元性糖質の結晶粉末を90w/w%以上含有することを特徴とするダマ発生抑制剤。
  2. 粒径が53μmを越え150μm以下の粒子を60w/w%以上含有することを特徴とする請求項1記載のダマ発生抑制剤。
  3. グルコースを構成糖とする非還元性糖質が、α,α−トレハロース、ネオトレハロース(α,β−トレハロース)、環状四糖およびシクロデキストリンから選ばれる1種又は2種以上の糖質であることを特徴とする請求項1又は2記載のダマ発生抑制剤。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のダマ発生抑制剤を、ダマ発生を起こして分散性の悪い粉末に対して、10乃至100w/w%の割合で共存含有させることを特徴とするダマ発生抑制方法。
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