JPH11312918A

JPH11312918A - 積層型平面アンテナ

Info

Publication number: JPH11312918A
Application number: JP11694298A
Authority: JP
Inventors: Toshihiko Kawada; 俊彦河田
Original assignee: Kyocera Corp
Current assignee: Kyocera Corp
Priority date: 1998-04-27
Filing date: 1998-04-27
Publication date: 1999-11-09

Abstract

(57)【要約】【課題】右旋円偏波と左旋円偏波の２つの放射導体板
を並設するマイクロストリップアンテナでは、平面アン
テナの小型化への対応が困難であった。【解決手段】下面に接地導体板12を、上面にリング状
の第１の円偏波励振放射導体板13を形成した第１の誘電
体基板11上に、上面に矩形状または円形状の第２の円偏
波励振放射導体板15を形成した第２の誘電体基板14を、
第２の円偏波励振放射導体板15が第１の円偏波励振放射
導体板13上に位置するように積層した積層型平面アンテ
ナである。平面アンテナのさらなる小型化に対応でき、
しかも高利得な右左旋共用円偏波アンテナである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、小型の円偏波アン
テナとして移動体通信用の送受信アンテナ等に好適に用
い得る、積層型平面アンテナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】アナログあるいはディジタル携帯電話や
無線電話をはじめとする移動体通信、あるいは衛星携帯
無線通信等の送受信用の高周波回路等においては、マイ
クロ波やミリ波等の所定の周波数の電気信号を送受信す
るアンテナが必要である。

【０００３】近年、通信端末機の小型化や低コスト化へ
の要求が高まっていることから、端末機側の送受信アン
テナにはマイクロストリップアンテナ等の平面アンテナ
が用いられる場合がある。特に、円偏波アンテナとして
右旋円偏波と左旋円偏波を共用とするシステムにおいて
も小型化や低コスト化への要求は例外でなく、端末機側
の送受信アンテナには構成が簡単なマイクロストリップ
アンテナを使用して小型化と低コスト化が図られてい
る。

【０００４】平面アンテナの代表的な例であるマイクロ
ストリップアンテナは、誘電体基板の下面に接地導体板
を、上面に放射導体板を被着形成した構成のアンテナで
あり、開放型平面共振回路の放射損を利用したものであ
る。このマイクロストリップアンテナは、放射導体板の
形状によってはパッチアンテナとも呼ばれ、放射導体板
の形状あるいは放射導体板への給電方法を工夫すること
により円偏波アンテナとして動作する。

【０００５】従来、このようなマイクロストリップアン
テナを用いて右旋円偏波と左旋円偏波を共用する平面ア
ンテナを構成する場合は、その構成例を図４に斜視図で
示すように、下面に接地導体板２が形成された誘電体基
板１の同一面上に右旋円偏波用と左旋円偏波用との２つ
の放射導体板３を並設して形成することによって構成さ
れていた。なお、図４において４は放射導体板３への給
電点である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の平面アンテナにおいては、同一の誘電体基板
１上に右旋円偏波用のマイクロストリップアンテナとな
る放射導体板３と左旋円偏波用のマイクロストリップア
ンテナとなる放射導体板３とを並設して構成しているた
めに、アンテナのさらなる小型化に対応するのは困難で
あるという問題点があった。

【０００７】本発明は上記従来技術における問題点に鑑
みて案出されたものであり、その目的は、積層型の構成
として平面アンテナのさらなる小型化に対応でき、しか
も高利得な右左旋共用円偏波アンテナである積層型平面
アンテナを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の積層型平面アン
テナは、下面に接地導体板を、上面にリング状の第１の
円偏波励振放射導体板を形成した第１の誘電体基板上
に、上面に矩形状または円形状の第２の円偏波励振放射
導体板を形成した第２の誘電体基板を、前記第２の円偏
波励振放射導体板が前記第１の円偏波励振放射導体板上
に位置するように積層したことを特徴とするものであ
る。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の積層型平面アンテナによ
れば、第１の誘電体基板上に形成されたリング状の第１
の円偏波励振放射導体板と、第１の誘電体基板上に積層
された第２の誘電体基板上に第１の円偏波励振放射導体
板上に位置するように形成された矩形状または円形状の
第２の円偏波励振放射導体板とから構成されることか
ら、マイクロストリップアンテナを基本とする積層構成
による右左旋共用円偏波アンテナとなり、従来のように
誘電体基板の同一面上に２つの放射導体板を並設して配
置することがないためにアンテナ面積を大幅に小さくす
ることができ、さらなる小型化にも対応できる平面アン
テナとなる。

【００１０】また、本発明の積層型平面アンテナによれ
ば、第２の誘電体基板上に形成された第２の円偏波励振
放射導体板に高周波電気信号を給電する場合には、第２
の誘電体基板を介して第２の円偏波励振放射導体板の下
方に位置するように積層されたリング状の第１の円偏波
励振放射導体板が反射器として作用するので、第２の誘
電体基板上に形成された第２の円偏波励振放射導体板の
放射効率を向上させることが可能となり、また、第１の
誘電体基板上に形成された第１の円偏波励振放射導体板
に高周波電気信号を給電する場合には、第２の誘電体基
板を介して第１の円偏波励振放射導体板上に位置するよ
うに積層された矩形状または円形状の第２の円偏波励振
放射導体板が導波器として作用するので、第１の誘電体
基板上に形成された第１の円偏波励振放射導体板の放射
効率を向上させることが可能となり、これにより高利得
な右左旋共用円偏波アンテナとなる。

【００１１】さらに、第１の誘電体基板上に形成された
第１の円偏波励振放射導体板をリング状とし、リング状
の円偏波励振放射導体板の中心軸と第２の誘電体基板上
に形成された矩形状または円形状の第２の円偏波励振放
射導体板の中心軸とが一致するように第１および第２の
円偏波励振放射導体板を配置した場合には、第２の円偏
波励振放射導体板に対して平面アンテナの裏面からリン
グ状の第１の円偏波励振放射導体板の内側を通して同軸
線により給電することが可能となり、第２の円偏波励振
放射導体板への給電を容易に行なうことができるものと
なる。

【００１２】以下、図面に基づいて本発明の積層型平面
アンテナを詳細に説明する。

【００１３】図１（ａ）は本発明の積層型平面アンテナ
の実施の形態の一例を示す斜視図であり、（ｂ）はその
平面図である。これらの図において、11は第１の誘電体
基板、12は第１の誘電体基板11の下面に形成された接地
導体板、13は第１の誘電体基板11の上面に形成されたリ
ング状の第１の円偏波励振放射導体板、14は第１の誘電
体基板11上に積層された第２の誘電体基板、15は第２の
誘電体基板14の上面に形成された、第１の円偏波励振放
射導体板13上に位置する矩形状の第２の円偏波励振放射
導体板である。また、16は第１の円偏波励振放射導体板
13への給電点、17は第２の円偏波励振放射導体板15への
給電点である。

【００１４】なお、図１では、リング状の第１の円偏波
励振放射導体板13には空間的に直交する２点の給電点16
を接続して左旋円偏波の放射導体板とし、矩形状の第２
の円偏波励振放射導体板15は、円偏波励振を行なうため
に正方形状の導体板の対角部をカットし、給電点17を１
点として右旋円偏波の放射導体板として組み合わせた例
を示している。

【００１５】また、図２（ａ）は本発明の積層型平面ア
ンテナの実施の形態の他の例を示す斜視図であり、
（ｂ）はその平面図である。これらの図において図１と
同様の箇所には同じ符号を付してあり、11は第１の誘電
体基板、12は第１の誘電体基板11の下面に形成された接
地導体板、13は第１の誘電体基板11の上面に形成された
リング状の第１の円偏波励振放射導体板、14は第１の誘
電体基板11上に積層された第２の誘電体基板、15は第２
の誘電体基板14の上面に形成された、第１の円偏波励振
放射導体板13上に位置する円形状の第２の円偏波励振放
射導体板である。また、16は第１の円偏波励振放射導体
板13への給電点、17は第２の円偏波励振放射導体板15へ
の給電点である。

【００１６】なお、図２では、リング状の第１の円偏波
励振放射導体板13は図１の例と同様に空間的に直交する
２点の給電点16を接続して左旋円偏波の放射導体板と
し、矩形状の第２の円偏波励振放射導体板15は、円偏波
励振を行なうために円形状の導体板の対向する部位をカ
ットし、給電点17を１点として右旋円偏波の放射導体板
として組み合わせた例を示している。

【００１７】第１の誘電体基板11および第２の誘電体基
板14は、要求されるアンテナ特性に応じて誘電体材料・
基板厚み等を適宜選択して使用される。

【００１８】これら第１および第２の誘電体基板11・14
には、同じ誘電体材料を用いても、異なる誘電体材料を
用いてもよい。同じ誘電体材料を用いた場合には、積層
して互いに接合させることが容易となることから低コス
ト化が可能となり、また、異なる誘電体材料を用いた場
合には、基板の誘電率の差により第１の円偏波励振放射
導体板13と第２の円偏波励振放射導体板15との共振周波
数に差を持たせることが可能となる。

【００１９】接地導体板12は、銀パラジウムから成る導
体層または銀や銅から成る金属箔や金属の薄板などを用
い、第１の誘電体基板11の下面に使用する材料に応じて
蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成法、導体ペース
トの印刷焼成等の厚膜形成法により、あるいは接着剤で
接着するなどの方法により被着形成され、少なくとも第
１および第２の円偏波励振放射導体板13および15をカバ
ーする大きさで形成される。

【００２０】また、接地導体板12には、アンテナの仕様
に応じて、第１および第２の円偏波励振放射導体板13お
よび15に給電するための導体線を通したり貫通導体等を
設けるための非形成部が設けられる。

【００２１】リング状の第１の円偏波励振放射導体板13
は、接地導体板12と同様の材料および方法により第１の
誘電体基板11の上面に被着形成され、その形状や大きさ
・リング比（内径と外径との比）等はアンテナの仕様や
要求特性に応じて適宜設定される。

【００２２】また、このようなリング状の放射導体板に
より円偏波励振を行なうには、例えば空間的に直交した
２点の給電点16を接続して、３ｄＢハイブリッド給電線
路もしくは電気長が８分の１波長異なるオフセット型給
電線路等を用いて励振することにより、円偏波アンテナ
として作動させることができる。そして、右旋円偏波と
するか左旋円偏波とするかは、必要とするアンテナの特
性や仕様・第２の円偏波励振放射導体板15との組合せ等
により適宜設定される。

【００２３】矩形状または円形状の第２の円偏波励振放
射導体板15は、第１の円偏波励振放射導体板13および接
地導体板12と同様の材料および方法により、第１の円偏
波励振放射導体板13上に位置するように第２の誘電体基
板14の上面に被着形成される。また、その形状や大きさ
・矩形状の場合に対角部をカットする場合のカットの形
状や大きさ・円形状の場合に対向する部位をカットする
場合のカットの形状や大きさ等は、アンテナの仕様や要
求特性に応じて適宜設定される。

【００２４】なお、第２の円偏波励振放射導体板15の形
状は、矩形状としては正方形や長方形あるいは菱形等や
それらの所定部位をカットしたもの、また円形状として
は円形や楕円形やそれらの所定部位をカットしたもので
あってもよく、それらを変形した形状であってもよい。

【００２５】また、このような矩形状または円形状の放
射導体板により円偏波励振を行なうには、例えば図１お
よび図２に示したように矩形状の導体板の対角部や円形
状の対向する部位をカットして１点の給電点17から給電
したり、矩形状の導体板や円形状の導体板に対して空間
的に直交した２点の給電点17を接続して前述のように励
振することにより、円偏波アンテナとして作動させるこ
とができる。そして、右旋円偏波とするか左旋円偏波と
するかは、必要とするアンテナの特性や仕様・第１の円
偏波励振放射導体板13との組合せ等により適宜設定され
る。

【００２６】本発明の積層型平面アンテナにおいては、
例えばアンテナの大きさや第２の円偏波励振放射導体板
15をカットする場合のその大きさ・給電点17の位置等
は、共振周波数や利得等の要求されるアンテナスペック
に応じて適宜設定されることとなる。

【００２７】そして、給電点16および17については、同
軸ケーブルあるいはＳＭＡコネクタ等を使用して給電を
行なうようにすればよい。

【００２８】次に、本発明の積層型平面アンテナについ
て、２層構造の第１および第２の誘電体基板11および14
に対して、第１の誘電体基板11上に形成された第１の円
偏波励振放射導体板13をリング状の左旋円偏波励振放射
導体板とし、その上に位置するように配置された第２の
誘電体基板14上に形成された第２の円偏波励振放射導体
板15を円形状の右旋円偏波励振放射導体板として、図２
に示す構成の本発明の積層型平面アンテナを作製した。

【００２９】そして、この積層型平面アンテナに関して
Ｓパラメータを電磁界シミュレーションを用いて抽出
し、Ｓパラメータの周波数特性を求めた。この結果を図
３に線図で示す。

【００３０】図３において、横軸は周波数（単位：ＧＨ
ｚ）を、縦軸はＳパラメータのうち反射係数（単位：ｄ
Ｂ）を表わしている。また、ｆ₁は第１の円偏波励振放
射導体板13の共振周波数を、ｆ₂は第２の円偏波励振放
射導体板15の共振周波数を表わしており、特性曲線Ａは
第１の円偏波励振放射導体板13における周波数特性を、
特性曲線Ｂは第２の円偏波励振放射導体板15における周
波数特性を示している。

【００３１】この結果より、第１の円偏波励振放射導体
板13に給電する場合には共振周波数がｆ₁の左旋円偏波
が励振され、第２の円偏波励振放射導体板15に給電する
場合には共振周波数がｆ₂の右旋円偏波が励振されるこ
とが分かる。

【００３２】以上により、本発明の積層型平面アンテナ
によれば、従来のように誘電体基板の同一面上に右旋円
偏波用のマイクロストリップアンテナと左旋円偏波用の
マイクロストリップアンテナとを並設して配置すること
なく、マイクロストリップアンテナを基本とする極めて
小型の右左旋円偏波共用の積層型平面アンテナを構成で
きることが確認できた。

【００３３】なお、以上はあくまで本発明の平面アンテ
ナの実施の形態の例示であって、本発明はこれらに限定
されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で
種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。

【００３４】

【発明の効果】以上のように、本発明の積層型平面アン
テナによれば、下面に接地導体板を、上面にリング状の
第１の円偏波励振放射導体板を形成した第１の誘電体基
板上に、上面に矩形状または円形状の第２の円偏波励振
放射導体板を形成した第２の誘電体基板を、第２の円偏
波励振放射導体板が第１の円偏波励振放射導体板上に位
置するように積層したことから、従来のように誘電体基
板の同一面上に円偏波励振放射導体板を並設して配置す
る必要がないために、アンテナ面積を大幅に小さなもの
とすることができ、右左旋共用円偏波の平面アンテナと
してさらなる小型化にも対応できる平面アンテナとな
る。

【００３５】また、本発明の積層型平面アンテナによれ
ば、第２の円偏波励振放射導体板に高周波電気信号を給
電する場合にはリング状の第１の円偏波励振放射導体板
が反射器として作用するので第２の円偏波励振放射導体
板の放射効率を向上させることが可能となり、また、第
１の円偏波励振放射導体板に高周波電気信号を給電する
場合には第１の円偏波励振放射導体板上に位置するよう
に積層された矩形状または円形状の第２の円偏波励振放
射導体板が導波器として作用するので第１の円偏波励振
放射導体板の放射効率を向上させることが可能となり、
これにより高利得な右左旋共用円偏波アンテナとなる。

【００３６】さらに、第１の円偏波励振放射導体板をリ
ング状とし、その中心軸と矩形状または円形状の第２の
円偏波励振放射導体板の中心軸とが一致するように第１
および第２の円偏波励振放射導体板を配置した場合に
は、第２の円偏波励振放射導体板に対して平面アンテナ
の裏面からリング状の第１の円偏波励振放射導体板の内
側を通して同軸線により給電することが可能となり、第
２の円偏波励振放射導体板への給電を容易に行なうこと
ができるものとなる。

【００３７】以上により、本発明によれば、積層型の構
成として平面アンテナのさらなる小型化に対応でき、し
かも高利得な右左旋共用円偏波アンテナである積層型平
面アンテナを提供することができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）および（ｂ）は、それぞれ本発明の積層
型平面アンテナの実施の形態の一例を示す斜視図および
平面図である。

【図２】（ａ）および（ｂ）は、それぞれ本発明の積層
型平面アンテナの実施の形態の他の例を示す斜視図およ
び平面図である。

【図３】本発明の積層型平面アンテナにおける反射係数
の周波数特性の例を示す線図である。

【図４】従来の右旋円偏波と左旋円偏波を共用する平面
アンテナの例を示す斜視図である。

【符号の説明】

11・・・・・第１の誘電体基板 12・・・・・接地導体板 13・・・・・第１の円偏波励振放射導体板 14・・・・・第２の誘電体基板 15・・・・・第２の円偏波励振放射導体板

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】下面に接地導体板を、上面にリング状の
第１の円偏波励振放射導体板を形成した第１の誘電体基
板上に、上面に矩形状または円形状の第２の円偏波励振
放射導体板を形成した第２の誘電体基板を、前記第２の
円偏波励振放射導体板が前記第１の円偏波励振放射導体
板上に位置するように積層したことを特徴とする積層型
平面アンテナ。