JPH11310957A - トラスの接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】特別な工程や資材を必要とせずに製造すること
ができるとともに、トラスの仮組みが可能で、ジョイン
トボルトの締め付けを簡単に行うことができ、しかもジ
ョイントボルトの締め付けの完了を容易に確認すること
ができるとともに、トラスの接合部に水が侵入して錆が
発生することを防止することのできるトラスの接合構造
を提供する。 【解決手段】ジョイントボルト挿通孔を有するエンドコ
ーンを端部に設けた金属製のパイプと複数のねじ孔を有
するボールジョイントを、ジョイントボルト及びジョイ
ントボルトの外周に配設するカラーにより接続するトラ
スの接合構造において、ジョイントボルトの軸部にピン
を埋設し、カラー内周面に該ピンと係合する摺動溝を設
け、エンドコーンに先端がジョイントボルトのねじ溝に
係合するジョイントボルト押出し棒を着脱自在に挿入す
る貫通孔を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は略球状のボールジョ
イントを接合部の中核とし、金属製のパイプをボルトに
より接合して建築物や橋梁等を構築するトラスの接合構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の、ジョイントボルトをボールジョ
イントの外側で締める外締めタイプのトラスとしては、
図５にみられるように金属製パイプ２７のエンドコーン
２６側に配設したジョイントボルト２２の頭部をスプリ
ング２０により押し出し、ボルトの外周に配設した締付
けワッシャ又はカラー２３を回転させてボールジョイン
ト２１と連結するものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成ではスプリングを取付けるために、特別な工程
と資材を必要とするものであり、製造コストが高くなる
という欠点があった。また、ジョイントボルトをボール
ジョイントに螺合した後は、ジョイントボルトがボール
ジョイント、カラー、エンドコーン及びパイプに完全に
覆われてしまうため、ジョイントボルトがボールジョイ
ントに完全に螺合されたか否かを確認するのが困難であ
る。このため、カラーを回転させるときに手に伝わる抵
抗力が急増すると、ジョイントボルトの締め付けが完了
したものとみなすようにしており、手の感触のみに頼っ
ているため、ジョイントボルトの締め付けの完了を正し
く確認できないという問題点があった。そして、ジョイ
ントボルトには先端部までねじ山が設けられているため
に、トラスの組立時にジョイントボルトとボールジョイ
ントを螺合する必要があり、トラスの仮組みが困難であ
るという欠点があった。

【０００４】したがって、本発明はこれら従来技術の問
題点を解消し、特別な工程や資材を必要とせずに製造す
ることができるとともに、トラスの仮組みが可能で、ジ
ョイントボルトの締め付けを簡単に行うことができ、し
かもジョイントボルトの締め付けの完了を容易に確認す
ることができるとともに、トラスの接合部に水が侵入し
て錆が発生することを防止することのできるトラスの接
合構造を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明では上記目的を達
成するために、つぎのような構成をとるものである。 １．ジョイントボルト挿通孔を有するエンドコーンを端
部に設けた金属製のパイプと複数のねじ孔を有するボー
ルジョイントを、ジョイントボルト及びジョイントボル
トの外周に配設するカラーにより接続するトラスの接合
構造において、ジョイントボルトの軸部にピンを埋設
し、カラー内周面に該ピンと係合する摺動溝を設け、エ
ンドコーンに先端がジョイントボルトのねじ溝に係合す
るジョイントボルト押出し棒を着脱自在に挿入する貫通
孔を設けたことを特徴とするトラスの接合構造。 ２．ジョイントボルト押出し棒の外周に雄ねじ部を設
け、貫通孔の内周に設けた雌ねじ部と螺合させることを
特徴とする１に記載のトラスの接合構造。 ３．ジョイントボルトの先端部にねじ山のないガイド部
を設けたことを特徴とする１又は２に記載のトラスの接
合構造。 ４．カラーに設けた摺動溝のエンドコーン側端部にスト
ッパーを配設したことを特徴とする１〜３のいずれか１
項に記載のトラスの接合構造。

【０００６】

【発明の実施の形態】つぎに、図面に基づいて本発明を
さらに詳細に説明するが、これらの具体例は本発明を限
定するものではない。図１は本発明のトラスの接合構造
の１例を示す図で、トラスを構成する部材を分解した状
態を示す斜視図である。また、図２及び図３は本発明の
トラスの接合構造の他の例を示す図であり、図２はトラ
スを仮組みした状態を示す要部の模式断面図であり、図
３はジョイントボルトの雄ねじをボールジョイントの雌
ねじに完全に螺合させた状態を示す要部の模式断面図で
あり、図４は図２のトラスを左方向から見たＡＡ線での
断面図である。これらの図において、符号１はボールジ
ョイント、符号２はジョイントボルト、符号３はカラ
ー、符号６はエンドコーン、符号７はパイプ、符号８は
ねじ、そして符号１２はピンを表す。

【０００７】この例ではボールジョイント１は金属製の
中実球体によって構成され、ボールジョイント１にはジ
ョイントボルト２の先端を螺合する雌ねじを切った複数
のねじ孔１３が設けられているが、ボールジョイントを
中空球体によって構成することもできる。

【０００８】ジョイントボルト２の軸部先端にはねじ山
のないガイド部１０が設けられており、これに隣接して
雄ねじ部１１が設けられている。このガイド部１０を設
けることによって、トラスを組み立てる際にトラスの仮
組みが可能となる。また、雄ねじ部１１の長さはトラス
構造物の形状や寸法等に合わせて適宜選択することがで
き、ガイド部１０を省略してジョイントボルト２の軸部
全体に雄ねじ部を設ける構成としてもよい。また、ジョ
イントボルト２の軸部にはピン１２が埋設されるが、こ
のピン１２はボルト２の軸部にピン孔（図示せず）を設
けて着脱可能に係止するものとすることができ、また、
ボルト２の軸部に一体に設けてもよい。さらに、ジョイ
ントボルト２は軸部よりも大きな外径の頭部１５を有す
る。

【０００９】カラー３にはジョイントボルト２を挿入す
る透孔４が設けられ、透孔の内周面には軸方向にピン１
２と係合する摺動溝５が設けられる。この摺動溝５はト
ラスの接合時にはジョイントボルト２の軸部に埋設され
たピン１２と摺動自在に係合される。摺動溝５の長さは
任意であるが、カラー３のエンドコーン側端部まで摺動
溝５を形成した場合には、ピン孔にピン１２を埋設した
ジョイントボルト２をカラー３に挿通させてトラスを組
立てる際に、埋設ピン１２がカラー３の端部に引っかか
ることがないため好ましい。またピン孔にピン１２を埋
設したジョイントボルト２をカラー３に挿通したあと
は、カラー３に設けた摺動溝５のエンドコーン側端部に
ストッパー１４を配設することにより、トラスの接合を
行う際にカラー３が脱け落ちるのを防止することができ
るので好ましい。カラーの外形は六角柱状、八角柱状等
任意の形状とすることができるが、六角柱状とした場合
にはジョイントボルトの締め付けに際して汎用性ある締
付具を使用することができるので好ましい。

【００１０】エンドコーン６には、ジョイントボルト押
出し棒８を着脱自在に挿入する貫通孔９を設ける。この
貫通孔９には、ジョイントボルト２を締め付ける際にジ
ョイントボルト押出し棒８を挿入し、押出し棒８の先端
をボルトのねじ溝に係合させる。この際に、ジョイント
ボルト押出し棒８の外周には雄ねじ部を設け、一方貫通
孔９の内周には雌ねじ部を設けて螺合させるように構成
した場合には、押出し棒８の保持と押出し棒８の先端と
ジョイントボルトのねじ溝との係合状態の調節が容易に
なるので好ましい。このような構成をとることによっ
て、トラスの仮組みを行う際にジョイントボルト２が前
後にずれるのを防止することができるとともに、ジョイ
ントボルト２を締め付ける際にボルトに推進力を与える
ことが可能となる。また、ジョイントボルト２の締め付
け時に、押出し棒８を上昇させてジョイントボルト２の
頭部１５がエンドコーン６の内面に当接するまで締め付
けた後に、貫通孔９に押出し棒８の先端がジョイントボ
ルト２の頭部１５を強く押しつけるまで押出し棒８を螺
合することによって、ジョイントボルト２のゆるみ止め
とすることができる。

【００１１】押出し棒８の長さは任意であるが、押出し
棒８の先端をジョイントボルト２の頭部１５に強く押し
つけた際に、押出し棒８の上端部（頭部）がエンドコー
ン６の外周面と一致するように押出し棒８の長さを調製
することが好ましい。このような構成とした場合には、
トラスの仮組み及びジョイントボルト２の締め付け時に
は押出し棒８の上端部を貫通孔９の内部まで螺合するこ
とによって、押出し棒８の先端部をジョイントボルト２
のねじ溝に係合させることができるとともに、ジョイン
トボルト２の締め付け完了後には、押出し棒８をその上
端部がエンドコーン６の外周面と一致するまで締め付け
ることによって、ジョイントボルトのゆるみ止めとする
ことができる。また、トラスの接合完了後には水の侵入
によるトラス内部での錆の発生を防止するとともに、エ
ンドコーン６に孔や突起が無いため外観上も優れたもの
となる。

【００１２】つぎにこのトラスの接合方法について説明
する。まずトラスを構成するエンドコーン６を溶接等に
より端部に設けた金属製のパイプ７と、軸部に設けたピ
ン孔にピン１２を埋設したジョイントボルト２及びカラ
ー３を接続し、カラー３の内周面に設けた摺動溝５のエ
ンドコーン側端部にストッパー１４を配設する。また、
エンドコーン６に設けた貫通孔９にはジョイントボルト
押出し棒８を挿入し、押出し棒８の先端をジョイントボ
ルト２の雄ねじの谷部（ねじ溝）に係合させる。つぎに
ジョイントボルト２の先端部に設けたねじ山のないガイ
ド部１０をボールジョイント１のねじ孔１３に挿入しト
ラスを仮組みする。

【００１３】つぎにカラー３をレンチ等の締付具で回転
させると、この回転力がカラー３の内周面に設けた摺動
溝５とジョイントボルト２のピン孔に埋設したピン１２
を介してジョイントボルト２に伝達されるとともに、ジ
ョイントボルト２はジョイントボルト押出し棒８により
推進力を得てボールジョイント１内に螺合される。ジョ
イントボルト２の雄ねじ部１１がボールジョイント１の
ねじ孔１３にある程度螺合されたら、押出し棒８を上昇
させてさらにカラー３を締付具で回転させ、ジョイント
ボルト２の頭部１５がエンドコーン６の内面に当接する
まで締め付けることによりトラスの接続が完了する。ト
ラスの接続の完了は押出し棒８を取り去り貫通孔９にゲ
ージを差し込んで貫通孔９の深さを測ることによって確
認することができる。また、押出し棒８自体に目印を設
けてゲージとして使用してもよい。

【００１４】さらに、押出し棒８をジョイントボルト２
の頭部１５に強く押しつけた際に、押出し棒８の上端部
がエンドコーン６の外周面と一致するように押出し棒８
の長さを調製することによって、ジョイントボルト２の
締め付けの完了を確認できるとともに、ジョイントボル
ト２の緩み止めとすることができる。

【００１５】このトラスの各部材を構成する材料として
は特に制限はなく、トラスにより構築される構築物に必
要な強度、剛性、耐久性等を有する金属材料はいずれも
使用することができるが、通常は鋼材によりこれら部材
を構成することが好ましい。また、ボールジョイント１
とカラー３の間、若しくはカラー３とエンドコーン６と
の間に戻り止めナット（図示せず）を配設する構成とし
てもよい。さらに、ボールジョイント１とカラー３の間
及びカラー３とエンドコーン６の間に防水用パッキン
（図示せず）を配設することによりトラスの接合部に水
が侵入するのを防ぐ構成としても良い。

【００１６】

【発明の効果】上記の構成をとることによって、本発明
のトラスの接合構造は、次のような効果を奏する。 １）ジョイントボルトの締め付けをきわめて簡単な操作
によって行うことができる。 ２）トラスを構成する部材の製造に特別な工程や資材を
必要とせず、製造コストを安く抑えることができる。 ３）ジョイントボルトの先端部にねじ山のないガイド部
を設けることにより、トラスの仮組みが可能となる。 ４）エンドコーンに貫通孔を設けることによって、ジョ
イントボルトの締め付け状態をゲージやジョイントボル
ト押出し棒により確認することができる。 ５）トラスの接続完了後に、ジョイントボルト押出し棒
をジョイントボルトのゆるみ止めとして使用することが
できる。 ６）ジョイントボルト押出し棒の長さを、トラスの接続
完了後にゆるみ止めとしてジョイントボルトの頭部に強
く押しつけた際に、その上端部がエンドコーンの外周面
と一致するように調製することにより、ジョイントボル
トの締め付け状態を目視により容易に確認することがで
きるとともに、エンドコーンには孔や突起がないので外
観が優れたものとなる。 ７）カラーの外周部には孔や溝が無いので、トラスの接
合部に水が侵入して錆が発生するのを防止することがで
きるとともに、外観が優れたものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のトラスの接合構造の１例を示す図で、
トラスを構成する部材を分解した状態を示す斜視図であ
る。

【図２】本発明のトラスの接合構造の他の例を示す図
で、トラスを仮組みした状態を示す要部の模式断面図で
ある。

【図３】図２のトラスで、ジョイントボルトの雄ねじを
ボールジョイントのねじ孔に完全に螺合させた状態を示
す要部の模式断面図である。

【図４】図２のトラスを左方向から見たＡＡ線での断面
図である。

【図５】従来のトラスを示す図である。

【符号の説明】

１、２１ ボールジョイント ２、２２ ジョイントボルト ３、２３ カラー ４ 透孔 ５ 摺動溝 ６、２６ エンドコーン ７、２７ パイプ ８ ジョイントボルト押出し棒 ９ 貫通孔 １０ ガイド部 １１ 雄ねじ部 １２ ピン １３ ねじ孔 １４ ストッパー １５ 頭部 ２０ スプリング

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ジョイントボルト挿通孔を有するエンド
   コーンを端部に設けた金属製のパイプと複数のねじ孔を
   有するボールジョイントを、ジョイントボルト及びジョ
   イントボルトの外周に配設するカラーにより接続するト
   ラスの接合構造において、ジョイントボルトの軸部にピ
   ンを埋設し、カラー内周面に該ピンと係合する摺動溝を
   設け、エンドコーンに先端がジョイントボルトのねじ溝
   に係合するジョイントボルト押出し棒を着脱自在に挿入
   する貫通孔を設けたことを特徴とするトラスの接合構
   造。
2. 【請求項２】 ジョイントボルト押出し棒の外周に雄ね
   じ部を設け、貫通孔の内周に設けた雌ねじ部と螺合させ
   ることを特徴とする請求項１に記載のトラスの接合構
   造。
3. 【請求項３】 ジョイントボルトの先端部にねじ山のな
   いガイド部を設けたことを特徴とする請求項１又は２に
   記載のトラスの接合構造。
4. 【請求項４】 カラーに設けた摺動溝のエンドコーン側
   端部にストッパーを配設したことを特徴とする請求項１
   〜３のいずれか１項に記載のトラスの接合構造。