JPH11310869A - 薄膜形成材料および薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成材料および薄膜形成方法

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JPH11310869A
JPH11310869A JP13263798A JP13263798A JPH11310869A JP H11310869 A JPH11310869 A JP H11310869A JP 13263798 A JP13263798 A JP 13263798A JP 13263798 A JP13263798 A JP 13263798A JP H11310869 A JPH11310869 A JP H11310869A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材上に有機系の薄膜を電子銃を用いて簡単
な工程で低価格に、安定的に実現しうる薄膜形成材料を
提供する。 【解決手段】 多孔質材料に撥水性の有機物質からなる
薄膜形成物質を保持させてなり、かつ導電性が付与され
ている薄膜形成材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜形成材料および
薄膜形成方法に関し、特に基材もしくは基材上のコート
膜の表面処理等に用いる薄膜形成材料、および該表面処
理としての薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の基材の表面に防汚・防水・防塵の
機能を持たせるために有機系薄膜を形成することは広く
おこなわれている。かかる薄膜の形成方法としては、有
機溶媒に希釈した撥水物質を基材に直接塗布する方法
(特開昭60−40254号公報)、上記の溶液に浸漬
する方法(特開昭61−130902号公報)、セラミ
ックスに含浸させた有機物質を真空槽中で蒸発させる方
法(特開平4−72055号公報)、金属のウールに含
浸させた有機物質を真空槽中で蒸発させる方法(特開平
6−340966号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような薄膜の形成方法は、それぞれ以下のような欠点を
有する。撥水性物質を基材に直接塗布する方法は、撥水
性物質を溶媒に溶解しなければならないほか、塗布時に
ムラになりやすい。
【0004】上記の希釈溶液に浸漬する方法は、希釈に
大量の溶媒を使用するほか、真空蒸着などの薄膜形成処
理後の基板上に成膜する場合、真空槽から取り出した後
にさらに別な工程を必要とするなど手間がかかる。
【0005】セラミックスに含浸させた有機系物質を加
熱蒸発させる方法は、真空中で処理が可能で通常の真空
薄膜形成工程内に組み込めるなどのメリットもあるが、
一般に有機系の物質は絶緑体である場合が多く、真空蒸
着装置の蒸発源として普及している電子銃を用いると、
表面に当たった電子線によって照射を受けた部分がマイ
ナスに帯電してしまい、電子線が反射され効率よく加熱
することができない場合がある。さらに加熱を続ける
と、急速に絶縁が破壊され、セラミックスに含浸された
有機物ばかりでなく含浸母体であるセラミックスまでが
溶解・蒸発し、撥水性を持たせたい基材上に付着し、撥
水性能の低下や、薄膜の特性変化を起こすことがある。
【0006】金属のウールに含浸させた有機物質を蒸発
させる方法は上記の他の方法に比べて簡単であり、電子
ビームによる加熱も容易であるが、コストを下げるため
銅やアルミニウムなどの安価な金属を使用すると、それ
らの金属の融点が600℃乃至800℃のため、加熱条
件を誤ると金属ウールが溶解し、その溶解した金属が蒸
発して基材に着色や接触角の低下などの悪影響を与えて
しまうことがある。さらに、金属は熱伝導率が大きいの
で加熱時の暖まり方が非常に早く、蒸発量の調節が難し
い。
【0007】本発明は、上記のような問題点に鑑みてな
されたもので、その課題は、基材上に有機系の薄膜を電
子銃を用いて簡単な工程で低価格に、なおかつ安定的に
実現しうる薄膜形成材料およびそれを用いた薄膜形成方
法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、多孔質
材料に薄膜形成物質を保持させてなり、かつ導電性が付
与されていることを特徴とする薄膜形成材料である。前
記薄膜形成物質が撥水性の有機物質、特に有機シリコー
ン類化合物またはパーフルオロアルキル基含有化合物で
あるのが好ましい。前記薄膜形成物質を保持させた多孔
質材料の表面に導電性物質として、例えばカーボンペー
ストまたは銀ペーストを付着させてなるのが好ましい。
【0009】また、本発明は、上記の薄膜形成材料を減
圧下で加熱することにより多孔質材料から薄膜形成物質
を蒸発させ、該薄膜形成物質の薄膜を形成することを特
徴とする薄膜形成方法である。前記多孔質材料から薄膜
形成物質を電子銃を用いて蒸発させるのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の薄膜形成材料は、好ましくは有機系の薄膜形成
物質を含浸させた多孔質材料に導電性を付与したもので
あり、該薄膜形成物質を蒸発により基材上に堆積させ
る。そしてその蒸発のための熱源として好ましくは電子
銃が使用可能であるという点で特徴的である。
【0011】本発明において「導電性の付与」とは、有
機系物質の含浸母体である多孔質材料に有機系物質を含
浸させた後、表面に導電性物質を塗布あるいは付着させ
ることをさす。
【0012】本発明において有機系薄膜形成物質を含浸
させる多孔質材料は、有機系物質が含浸されれば特に制
限はなく、例えば多孔質セラミックス、多孔質金属など
があげられる。
【0013】また、含浸される有機薄膜形成物質は、目
的とする薄膜に要求される機能に応じて選ばれる。例え
ば、撥水性や撥油性などの防汚性・防塵性を持たせるた
めには薄膜状態でこれらの機能を実現し得るような薄膜
形成物質を用いる。これらは撥水性を持つような有機シ
リコーン類化合物、またはパーフルオロアルキル基含有
化合物はであれば特に限定されるものではない。例えば
有機シリコーン類化合物の例としてはジエトキシジメチ
ルシラン、トリエトキシメチルシランなどがあげられ、
またパーフルオロアルキル基含有化合物の例としては、
化学式n−C817CH2 CH2 Si(NH23 で示
される2−(パーフルオロオクチル)エチルトリアミノ
シランや、化学式n−C613CH2 CH2 Si(NH
23 で示される2−(パーフルオロヘキシル)エチル
トリアミノシラン、化学式n−C17CHCH
Si(OCH で示される2−(パーフルオロオ
クチル)エチルトリメトキシシランなどがあげられる。
これら化合物は単独ではもちろんのこと2種以上組み合
わせて用いても良い。
【0014】導電性を付与させるための物質としては、
有機溶媒に導電性物貿を分散させた溶液や、導電性物質
を樹脂に練り込んでペースト状にしたものなどがあげら
れる。導電性物質の例としては金、銀、銅、カーボン、
アルミニウムなどがあげられる。
【0015】導電性の付与方法は、上記の薄膜形成物質
を保持させた多孔質材料を導電性物質が分散された溶液
に浸漬し、導電性の粒子を多孔質体の表面に付着させ、
有機溶媒を蒸発させる方法、薄膜形成物質を保持させた
多孔質材料にペースト状にした導電性物質を直接塗布す
る方法、ペースト状にした導電性物質を有機溶媒に希釈
し、そこに薄膜形成物質を保持させた多孔質材料を浸漬
する方法などがあげられる。
【0016】本発明では、上述したような薄膜形成材料
に保持された薄膜形成物質を蒸発させ、所定の基材の上
に堆積させて薄膜を形成し、基材の表面に目的とする機
能を付与する。
【0017】その具体例としては、例えば上述したよう
な薄膜形成材料を用い、該薄膜形成材料に保持された撥
水薄膜形成物質を真空中で加熱蒸発させ基材の表面ある
いは基材上に形成された無機コート膜等の薄膜上に撥水
性を付与する。
【0018】該撥水性薄膜の蒸発方法としては電子銃を
用いることができる。上述したような有機薄膜形成物質
は、導電性を有しないことが多く、該有機薄膜形成物質
を保持するための多孔質材料が導電性であっても、有機
系物質の含浸によってその表面が導電性を持たない有機
系薄膜形成物質で被われてしまうため、電子ビームをそ
の多孔質体表面に照射すると表面で帯電が起こり電子が
反射されてしまう。したがって、該多孔質体は電子銃で
は加熱されないことが多い。
【0019】本発明の薄膜形成材料は上述した導電性物
質の含浸によって、表面を電子が流れ、その電子の運動
エネルギーによつて薄膜形成物質が加熱される。
【0020】真空中における薄膜形成物質の蒸発の条件
は、薄膜形成物質および基材の種類、状態により条件を
適宜決定することが望ましいが、例えばプラスチック基
材上にSiO2 などの無機コート薄膜を形成した光学レ
ンズ上に、撥水物質を加熱蒸発および堆積させて薄膜を
形成する場合には、真空度10-6から10-3Torrで
行うことがより望ましい。
【0021】本発明においては、薄膜を形成する基材は
特に限定されない。例えば、撥水性の薄膜形成物質を用
いて撥水性薄膜を形成する場合では、最表面が無機物質
からなるコート膜であるようなものであれば特に限定さ
れるものではないが、具体例としては、無機反射防止膜
が形成されたガラスレンズ、プラスチックレンズ、光学
フィルター、自動車のフロントガラス、ディスプレイパ
ネルなどが挙げられる。
【0022】
【実施例】以下、本発明について図面を参照し、実施例
に沿つて詳細に説明するが、本発明は以下に限定される
ものではない。
【0023】実施例1 酸化ジルコニウム粉末にPVAの3%水溶液をバインダ
ーとして添加し、直径15mm、高さ10mmにプレス
した後に、電気炉にて1300℃で焼結して撥水性物質
の含浸母体とした。この酸化ジルコニウム焼結体1を図
1の様な直径20mm、深さ15mmの円筒形の容器2
に入れ、かかる容器2に化学式n−C817CH2 CH2
Si(NH23 で表されるパーフルオロアルキル基
含有化合物をメタキシレンヘキサフロライドで3%に希
釈した撥水処理用の溶液をピペットを用いてlml含浸
させた。さらに、これを70℃で20分間乾燥し、溶剤
成分を蒸発させた。
【0024】次に、カーボンアクリル樹脂(日本電子
製:商品名:ドータイトXC−12)を酢酸ブチルにて
10%に希釈した溶液に、上記の酸化ジルコニウム焼結
体ペレット1を30秒間浸漬した後、l0分間乾燥し導
電性の付与された撥水成分蒸発用多孔質体3とした(図
2)。次に、それを図3の様な真空蒸着装置(シンクロ
ンBMC850)4の真空槽5内の電子銃蒸発源6のハ
ースライナー7にSiO(10)とZrO(11)
とともにセットした。
【0025】次に、ジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネート樹脂からなる合成樹脂製レンズ8を上記真空
蒸着装置4のドーム9上にセットし、電子銃蒸発源6を
用いてSiO2 (10)とZrO2 (11)の薄膜を交
互に膜構成が基板側からSiO2 約3μm、ZrO2
0.015μm、SiO2 約0.02μm、ZrO2
0.1μm、SiO2 約0.08μmとなるように積層
し反射防止膜付きレンズとした。
【0026】この反射防止膜付き合成樹脂レンズを蒸着
終了後、真空槽5から出さずに、先に同じ電子銃6のハ
ースライナー7にセットした撥水成分蒸発用多孔質体3
を電子銃条件が加速電圧6kV、エミッション電流5m
A、ビームスポットサイズ直径約20mmで2分間加熱
しパーフルオロアルキル基含有化合物を蒸発させ、撥水
薄膜の形成を行った。
【0027】蒸着終了後、合成樹脂製レンズ8を真空槽
5から取り出し、レンズの水に対する接触角を協和界面
科学製CA−Z型接触角計を用いて測定した。またその
測定後アセトンを含ませたレンズペーパーで約lKgの
重量をかけ、50住復擦り、その後再度接触角を測定
し、その変化を観察した。その評価結果は表1に示すと
おり良好であつた。
【0028】実施例2 酸化ジルコニウム粉末にPVAの3%水溶液をバインダ
ーとして添加し、直径15mm、高さ10mmにプレス
した後に、電気炉にて1300℃で焼結して撥水性物質
の含浸母体とした。この酸化ジルコニウム焼結体1を図
1の様な直径20mm、深さ15mmの円筒形の容器2
に入れ、かかる容器2に化学式n−C817CH2 CH2
Si(NH23 で表されるパーフルオロアルキル基
含有化合物をメタキシレンヘキサフロライドで3%に希
釈した撥水処理用の溶液をピペットを用いてlml含浸
させた。さらに、これを70℃で20分間乾燥し、溶剤
成分を蒸発させた。
【0029】次に、銀−アクリル樹脂(日本電子製:商
品名:ドータイトD−550)を酢酸ブチルにて10%
に希釈した溶液に、上記の酸化ジルコニウムペレット1
を30秒間浸漬した後、10分間乾燥し導電性の撥水成
分蒸発用多孔質体3とした(図2)。次に、それを図3
の様な真空蒸着装置(シンクロンBMC850)4の真
空槽5内の電子銃蒸発源6のハースライナー7にセット
した。
【0030】続いて実施例1と同様の手順で作成した反
射防止膜付きジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート樹脂からなる合成樹脂製レンズ8を蒸着終了後、真
空槽5から出さずに、先に同じ電子銃6のハースライナ
ー7にセットした撥水成分蒸発用多孔質体3を電子銃条
件が加速電圧6kV、エミッション電流5mA、ビーム
スポットサイズ直径約20mmで2分間加熱し、パーフ
ルオロアルキル基含有化合物を蒸発させ、撥水薄膜の形
成を行った。
【0031】蒸着終了後、合成樹脂製レンズ8を真空槽
5から取り出し、レンズの水に対する接触角を協和界面
科学製CA−Z型接触角計を用いて測定した。またその
測定後、アセトンを含ませたレンズペーパーで約lKg
の重量をかけ、50住復擦り、その後再度接触角を測定
し、その変化を観察した。その評価結果は表1に示すと
おり良好であった。
【0032】実施例3 市販の石膏(サンエス石膏株式会社製、商品名焼石膏)
50gに水25gを添加し1分間よく撹拌した後、その
一部を図4の様な直径18mm、深さ10mmのプラス
チック製の鋳型12に流し込んで室温で1時間乾燥させ
た。これに化学式n−C817CH2 CH2 Si(NH
23 で表わされるパーフルオロアルキル基含有化合物
をメタキシレンヘキサフロライドで3%に希釈した撥水
処理用の溶液をピペットを用いてlml含浸させた。さ
らにこれを70℃で20分間乾燥後、鋳型12から取り
出し、撥水成分蒸発用多孔質体3とした(図2)。
【0033】次に、カーボンアクリル樹脂(日本電子
製:商品名:ドータイトXC−12)を酢酸ブチルにて
10%に希釈した溶液に、上記の石膏を30秒間浸漬
し、導電性の撥水成分蒸発用多孔質体とした。それを図
3のような真空蒸着装置(シンクロンBMC850)4
の真空槽5内の電子銃蒸発源6のハースライナー7にセ
ットした。
【0034】続いて実施例1と同様の手順で作成した反
射防止膜付きジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート樹脂からなる合成樹脂製レンズ8を蒸着終了後、真
空槽5から出さずに、先に同じ電子銃のハースライナー
7にセットした撥水成分蒸発用多孔質体3を電子銃条
件、加速電圧6kV、エミッション電流5mA、ビーム
スポットサイズ直径約20mmで2分間加熱し、パーフ
ルオロアルキル基含有化合物を蒸発させ、撥水薄膜の形
成を行った。
【0035】蒸着終了後、合成樹脂製レンズ8を真空槽
5から取り出し、レンズの水に対する接触角を協和界面
科学製CA−Z型接触角計を用いて測定した。またその
測定後アセトンを含ませたレンズペーパーで約lKgの
重量をかけ、50住復擦り、その後再度接触角を測定
し、その変化を観察した。その評価結果は表1に示すと
おり良好であった。
【0036】実施例4 酸化ジルコニウム粉末にPVAの3%水溶液をバインダ
ーとして添加し、直径15mm、高さ10mmにプレス
した後に、電気炉にて1300℃で焼結。撥水性物質の
含浸母体とした。この酸化ジルコニウム焼結体1を図1
の様な直径20mm、深さ15mmの円筒形の容器2に
入れ、かかる容器2に化学式n−C817CH2 CH2
Si(OCH33 で表されるパーフルオロアルキル基
含有化合物をピペットを用いて0.5ml含浸させた。
【0037】次に、銀−アクリル樹脂(目本電子製:商
品名:ドータイトD−550)を酢酸ブチルにて10%
に希釈した溶液に、上記の酸化ジルコニウムペレットを
30秒間浸漬し、導電性の撥水成分蒸発用多孔質体3と
した(図2)。次に、それを図3の様な真空蒸着装置
(シンクロンBMC850)4の真空槽5内の電子銃蒸
発源6のハースライナー7にセットした。
【0038】続いて実施例1と同様の手順で作成した反
射防止膜付きジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート樹脂からなる合成樹脂製レンズ8を蒸着終了後、真
空槽5から出さずに、先に同じ電子銃6のハースライナ
ー7にセットした撥水成分蒸発用多孔質体3を電子銃条
件が加速電圧6kV、エミッション電流5mA、ビーム
スポットサイズ直径約20mmで2分間加熱しパーフル
オロアルキル基含有化合物を蒸発させ、撥水薄膜の形成
を行った。
【0039】蒸着終了後、合成樹脂製レンズ8を真空槽
5から取り出し、レンズの水に対する接触角を協和界面
科学製CA−Z型接触角計を用いて測定した。またその
測定後アセトンを含ませたレンズペーパーで約lKgの
重量をかけ、50住復擦り、その後再度接触角を測定
し、その変化を観察した。その評価結果は表1に示すと
おり良好であった。
【0040】比較例1 酸化ジルコニウム粉末にPVAの3%水溶液をバインダ
ーとして添加し、直径15mm、高さ10mmにプレス
した後に、電気炉にて1300℃で焼結して撥水性物質
の含浸母体とした。この酸化ジルコニウム焼結体1を図
1の様な直径20mm、深さ15mmの円筒形の容器2
に入れ、かかる容器2に化学式n−C817CH2 CH2
Si(NH23 で表わされるパーフルオロアルキル
基含有化合物をメタキシレンヘキサフロライドで3%に
希釈した撥水処理用の溶液をピペットを用いてlml含
浸させた。さらにこれを70℃で20分間乾燥し、溶剤
成分を蒸発させた。それを図3の様な真空蒸着装置(シ
ンクロンBMC850)4の真空槽5内の電子銃蒸発源
6のハースライナー7にセットした。
【0041】続いて実施例1と同様の手順で作成した反
射防止膜付きジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート樹脂からなる合成樹脂製レンズ8を蒸着終了後、真
空槽5から出さずに、先に同じ電子銃6のハースライナ
ー7にセットした撥水成分蒸発用材料3を電子銃条件が
加速電圧6kV、エミッション電流10mA、ビームス
ポットサイズ直径約20mmで2分間加熱した。しか
し、撥水成分蒸発用多孔質体3は加熱赤熱されず、撥水
成分の蒸発を示す真空度の悪化は見られなかった。
【0042】また、蒸着終了後、合成樹脂製レンズ8を
真空槽5から取り出し、レンズの水に対する接触角を協
和界面科学製CA−Z型接触角計を用いて測定したとこ
ろ、その接触角は表1のようにきわめて低く、満足のゆ
くものではなかった。
【0043】比較例2 比較例1と同様の手順で作成した酸化ジルコニウムの撥
水成分蒸発用多孔質体3(図2)を図3の様な真空蒸着
装置(シンクロンBMC850)4の真空槽5内の電子
銃蒸発源6のハースライナー7にセットした。
【0044】続いて実施例1と同様の手順で作成した反
射防止膜付きジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート樹脂からなる合成樹脂製レンズ8を蒸着終了後、真
空槽5から出さずに、先に同じ電子銃6のハースライナ
ー7にセットした撥水成分蒸発用多孔質体3を電子銃条
件が加速電圧6kV、エミッション電流150mA、ビ
ームスポットサイズ直径約20mmで2分間加熱した。
ペレットは加熱赤熱したが、含浸母体の酸化ジルコニウ
ム焼結体1にも蒸発が見られ、蒸着終了後、真空槽5か
ら取り出した合成樹脂製レンズ8の反射色は通常の反射
色である淡緑色から黄色に変化しており所望の特性から
変化していた。
【0045】また、レンズの水に対する接触角を協和界
面科学製CA−Z型接触角計を用いて測定したところ、
初期のその接触角は表1のように良好であったが、アセ
トンを含ませたレンズペーパーで約lKgの重量をか
け、50住復擦り、その後再度接触角を測定するとその
接触角はきわめて低く、満足のゆくものではなかった。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
電子銃によって使用可能な薄膜形成材料を提供すること
ができる。また、かかる薄膜形成材料を用いれば、本発
明の薄膜形成方法により、所定の基材上に低コストでな
おかつ簡易な操作により、高品質の薄膜を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜形成材料の調製時における多孔質
体を含浸用の容器に充填した状態を模式的に示す断面図
である。
【図2】本発明の実施例で使用する撥水成分蒸発用多孔
質体を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例で使用する真空蒸着装置の構造
を示す模式図である。
【図4】本発明の薄膜形成材料の調製時における石膏を
プラスチック製の鋳型に充填する状態を模式的に示す断
面図である。
【符号の説明】
1 ジルコニウム焼結体 2 容器 3 撥水成分蒸発用多孔質体 4 真空蒸着装置 5 真空槽 6 電子銃蒸発源 7 ハースライナー 8 レンズ 9 ドーム 10 SiO2 11 ZrO2 12 プラスチック製鋳型

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質材料に薄膜形成物質を保持させて
    なり、かつ導電性が付与されていることを特徴とする薄
    膜形成材料。
  2. 【請求項2】 前記薄膜形成物質が撥水性の有機物質か
    らなる請求項1記載の薄膜形成材料。
  3. 【請求項3】 前記撥水性の有機物質は、有機シリコー
    ン類化合物またはパーフルオロアルキル基含有化合物で
    ある請求項2記載の薄膜形成材料。
  4. 【請求項4】 前記薄膜形成物質を保持させた多孔質材
    料の表面に導電性物質を付着させてなる請求項1記載の
    薄膜形成材料。
  5. 【請求項5】 前記導電性物質がカーボンペーストであ
    る請求項4記載の薄膜形成材料。
  6. 【請求項6】 前記導電性物質が銀ペーストである請求
    項4記載の薄膜形成材料。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかの薄膜形成材
    料を減圧下で加熱することにより多孔質材料から薄膜形
    成物質を蒸発させ、該薄膜形成物質の薄膜を形成するこ
    とを特徴とする薄膜形成方法。
  8. 【請求項8】 前記多孔質材料から薄膜形成物質を電子
    銃を用いて蒸発させる請求項7記載の薄膜形成方法。
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Cited By (6)

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