JPH1130698A - 放射性廃棄物の固化処理方法 - Google Patents

放射性廃棄物の固化処理方法

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JPH1130698A
JPH1130698A JP20188797A JP20188797A JPH1130698A JP H1130698 A JPH1130698 A JP H1130698A JP 20188797 A JP20188797 A JP 20188797A JP 20188797 A JP20188797 A JP 20188797A JP H1130698 A JPH1130698 A JP H1130698A
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JP
Japan
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weight
radioactive waste
cement
parts
solidifying
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Withdrawn
Application number
JP20188797A
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English (en)
Inventor
Tomoyuki Sugiyama
智之 椙山
Kazuaki Matsuo
和昭 松尾
Tatsuaki Sato
龍明 佐藤
Naomi Toyohara
尚実 豊原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Coorstek KK
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Ceramics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期的に見て劣化などの変質が少なく、ま
た、煩雑な操作などを要せずにセメント系材料を緻密に
充填し、信頼性や安全性の高い処理ができる放射性廃棄
物の固化処理方法の提供。 【解決手段】 水硬性無機化合物および無機混和材を含
有する固化材で、放射性廃棄物を一体に固化するに当た
って、前記固化材は水硬性無機化合物 100重量部当た
り、縮合リン酸ナトリウム 0.1〜 2重量部,炭酸塩化合
物 0.1〜 2重量部,ホウ酸0.05〜 1重量部,マイクロシ
リカ 3〜15重量部およびアルミナセメント 0.1〜 4重量
部を無機混和材として含有していることを特徴とする放
射性廃棄物の固化処理方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放射性廃棄物の固化
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば原子力発電所など、原子力施設
から発生する廃棄物には、濃縮廃液を乾燥して得られた
粉末をぺレット状に成型したもの、また、金属の切断片
やフィルター、パッキンなど種類が多く形状も複雑な雑
廃棄物がある。このような廃棄物は、たとえば 200 lの
ドラム缶に充填可能なように適当な大きさに切断し、廃
棄物を 200 lドラム缶中に充填した後、固型化のために
セメントペーストを流し込み、ドラム缶内において廃棄
物との空間や廃棄物同士の空間を固型化材で、充填・埋
め込む処理方法が知られている。
【0003】また、この放射性廃棄物の固化処理方法の
場合、セメント系材料については、(a)セメントに水を
混ぜてペーストにして使用する方法、 (b)セメントに砂
と水とを混ぜてモルタルのペーストにして使用する方
法、あるいは、 (c)セメントに砂と砂利と水とを混ぜて
コンクリートにして使用する方法などがある。
【0004】そして、この種の廃棄物処理に当たって
は、廃棄処分後の長期間に亘る安定性が要求されるの
で、長期安定性にすぐれている建築土木業界で使用され
るセメント系材料で固化する手段が有力視されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記放射性
廃棄物の固化処理に当たっては、ドラム缶内壁面と廃棄
物との空間、廃棄物同士の空間を、セメント系材料で緻
密に充填する必要がある。しかし、一般的な、上記 (a)
のセメントペースト、 (b)砂および砂利を添加したモル
タルのペースト、あるいは (c)コンクリートは、流動性
が劣るために空隙を緻密に充填することが至難である。
この点に関して一般建築や土木業界では、リグニンスル
ホン酸、ナフタリンスルホン酸などの有機系の混和材を
添加し、セメント系材料の流動性をよくしている。
【0006】しかし、有機系の混和材は、長期的に見る
と劣化し易く、かつ劣化・分解に伴ってガスを発生する
ため、構造物自体の緻密性を低下させる恐れがあると同
時に、放射性核種の吸着性も欠如するという問題があ
る。したがって、放射性廃棄物のセメント系材料による
固化処理では、長期的に見て劣化・分解などの変質が少
なく、また、変質してもガスなどを発生しない無機系の
混和材が望まれてきた。
【0007】こうした要求に対して、本発明者らは、縮
合リン酸塩やリン酸ガラスを混和材とすることを、たと
えば特公昭 7-27074号公報(特願昭 61-111941号)や特
開平6-347597 号公報などで提案した。しかしなから、
これらで提案した固型化材の場合は、ポットライフや亀
裂発生の問題、また、凝結時間が長いなどの問題から、
廃棄物処理システムが複雑となるという不具合が認めら
れた。
【0008】その後、前記問題点を解決するため、縮合
リン酸ナトリウム、炭酸塩化合物、べントナイト、アル
ミナセメントおよび硼酸を必須成分とした無機混和材を
提案した(特開平 8-166492 号公報)。しかし、この無
機混和材を固型化材に添加した場合、セメントペースト
を流し込んで数時間後にブリージング(セメント上面に
水が染み出す現象)が確認され、固型化材の材料分離
や、固化体の体積安定性といった問題が懸念される。
【0009】また、混和材を成す各成分材料(縮合リン
酸ナトリウム、炭酸塩化合物、べントナイト、アルミナ
セメント、硼酸)を所定の配合で、ハイスピードミキサ
ーなどを用いて混合し、保管してお<と数週間で無機混
和材が劣化し、所要の流動性を失うという問題が生じ
る。
【0010】この無機混和材の劣化は、固相における炭
酸塩化合物(たとえば炭酸カリウム)とべントナイトと
の反応により、後述する炭酸塩化合物の添加効果がなく
なることに起因すると考えられる。そこで、この混和材
の経時劣化を抑制するためには、べントナイトと炭酸塩
化合物とを分けてセメント系材料に混合することにな
り、また、無機混和材としては、たとえば混和材Aおよ
び混和材Bの2種類を提供することになる。
【0011】しかし、無機混和材を2分化することは、
混和材の製造コス卜を割高化するだけでなく、使用時に
2分化されている混和材を混合するなど、廃棄物処理シ
ステムが複雑ないし煩雑化するという問題がある。
【0012】本発明は上記事情に対処してなされたもの
で、長期的に見て劣化などの変質が少なく、また、煩雑
な操作などを要せずにセメント系材料を緻密に充填し、
信頼性や安全性の高い処理ができる放射性廃棄物の固化
処理方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、水硬
性無機化合物および無機混和材を含有する固化材で、放
射性廃棄物を一体に固化するに当たって、前記固化材は
水硬性無機化合物 100重量部当たり、縮合リン酸ナトリ
ウム 0.1〜 2重量部,炭酸塩化合物 0.1〜 2重量部,ホ
ウ酸0.05〜 1重量部,マイクロシリカ 3〜15重量部およ
びアルミナセメント 0.1〜 4重量部を無機混和材として
含有していることを特徴とする放射性廃棄物の固化処理
方法である。
【0014】請求項2の発明は、請求項1記載の放射性
廃棄物の固化処理方法において、水硬性無機化合物が高
炉セメントおよびポルトランドセメントの少なくともい
ずれか1種であることを特徴とする。
【0015】請求項3の発明は、請求項1もしくは請求
項2記載の放射性廃棄物の固化処理方法において、マイ
クロシリカがジルコンからジルコニア製造時に生ずるマ
イクロシリカであることを特徴とする。
【0016】請求項4の発明は、請求項1ないし請求項
3いずれか一記載の放射性廃棄物の固化処理方法におい
て、縮合リン酸ナトリウムが50メッシュ以下の粉末であ
ることを特徴とする。
【0017】請求項5の発明は、請求項1ないし請求項
3いずれか一記載の放射性廃棄物の固化処理方法におい
て、炭酸塩化合物が平均粒径 1mm以下の粉末であること
を特徴とする。
【0018】請求項6の発明は、請求項1ないし請求項
3いずれか一記載の放射性廃棄物の固化処理方法におい
て、マイクロシリカが平均粒径 1.0μm 以下の粉末であ
ることを特徴とする。
【0019】請求項7の発明は、請求項1ないし請求項
6いずれか一記載の放射性廃棄物の固化処理方法におい
て、無機混和材を成す成分を予め混合し、水硬性無機化
合物と混合することを特徴とする。
【0020】請求項8の発明は、請求項1ないし請求項
7いずれか一記載の放射性廃棄物の固化処理方法におい
て、無機混和材を成す成分を予め水に溶かし(水溶液化
し)、水硬性無機化合物と混合することを特徴とする。
【0021】すなわち、本発明は、放射性廃棄物の固化
処理に当たり、水硬性無機化合物 100重量部に対し、縮
合リン酸ナトリウム、炭酸塩化合物、硼酸、マイクロシ
リカ、アルミナセメントから構成され、その組成比が、
縮合リン酸ナトリウム 0.1〜2重量部、炭酸塩化合物 0.
1〜 2重量部、硼酸0.05〜 1重量部、マイクロシリカ3〜
15重量部、アルミセメント 0.1〜 4重量部の割り合いの
無機混和材を添加配合した点で特徴付けられる。
【0022】本発明において、水硬性無機化合物は、普
通セメント、高炉セメントなどの水硬性セメントなどで
あるが、水硬性セメントの−部をシャモトや鋳物砂など
の骨材で置き換えた組成物であってもよい。
【0023】次に、本発明に係る無機混和材の組成分お
よび組成比の選択について説明する。 縮合リン酸ナト
リウムは、セメントに分散性を付与するために添加する
添加材である。一般に、ポルトランドセメントや高炉セ
メントに水を添加して得られたペーストは流動性に欠
け、狭い間隙・空間を充填する機能を有しない。したが
って、放射性廃棄物の固型化に使用するに当たっては、
適度の流動性を付与するため、添加材の添加配合を要す
る。
【0024】ここで、縮合リン酸ナトリウム(分散材)
としては、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラポリ
リン酸ナ卜リウムなどが挙げられ、これらは試薬もしく
は工業用のいずれのグレードでもよい。また、縮合リン
酸ナトリウムは、白色結晶の粉末または結晶粒が好まし
く、特に 100メッシュ以下の粉末が最適である。
【0025】そして、水硬性無機化合物 100重量部に対
する添加配合量は、 0.1〜 2重量部で、好ましくは 0.3
〜 1重量部である。添加配合比の範囲を 0.1〜 2重量部
に限定した理由は、 0.1重量部未満では流動性を示さ
ず、また、 2重量部を超えると著しい硬化遅延を及ぼ
し、硬化に7日以上を要するためである。
【0026】炭酸塩化合物は、流動可使時間を延長させ
る目的で添加される。上記縮合リン酸ナトリウムを添加
したセメントペーストは、初期の流動性を15分間保持す
るが、さらに時間が経過すると粘性が急激に増して30分
経過すると自然流動が困難となる。たとえば、セメント
ペーストの充填注入度の評価の手段である Pロート(土
木学会規準)を用いた流下時間の測定においては、混練
直後のペーストの流下時間が16秒であったのに対して、
混練時間が経過するにつれ粘性が次第に上昇し、混練15
分後ではロートから全量流出するのに60秒近くを要し、
混練30分後ではロートから流出しないという事態が生じ
る。すなわち、縮合リン酸ナトリウムの添加配合によっ
て、セメントの分散性に効果が認められるものの、 200
lドラム缶内を緻密(完全)、かつ均一に充填するのに
必要な流動可使時間を確保するには、縮合リン酸ナトリ
ウムのみでは困難であることが判明した。
【0027】そこで、流動可使時間を延長させる目的で
種々添加材の検討を行なった結果、縮合リン酸ナトリウ
ムおよび炭酸塩化合物を併用・添加すると、分散性がさ
らに向上するとともに、流動可使時間が著しく延びるこ
とを見出した。ここで、炭酸塩化合物としては、炭酸カ
リウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは試薬
もしくは工業用いずれでもよい。また、炭酸塩化合物
は、粒径 300μm 以下の白色粒状物または 100メッシュ
以下の白色微粉末が好ましく、特に潮解性の観点から白
色粒状物が最適である。
【0028】そして、水硬性無機化合物 100重量部に対
する添加配合量は、 0.1〜 2重量部で好ましくは 0.3〜
1重量部である。添加配合比の範囲を 0.1〜 2重量部と
した理由は、 0.1重量部未満では添加配合の効果がな
く、縮合リン酸ナトリウムを単独添加したぺーストの特
性しか得られない。一方、 2重量部を超えると縮合リン
酸ナトリウムの単独添加の場合よりも、セメントペース
トの流動可使時間が短くなったり、異常硬化(瞬結)を
招くという問題が生じる。
【0029】縮合リン酸ナトリウムと炭酸塩化合物とを
併用・添加したセメントペーストは、分散性の向上およ
び流動可使時間の延長が図られ、混練直後と混練30分経
過後のセメントペーストの流下時間はいずれも16秒とい
う結果であった。しかし、混練90分経過後では、セメン
トペーストの流動特性低下が認められ、 Pロートの流下
に30秒以上の時間を要した。
【0030】硼酸は流動可使時間をさらに延長させる目
的で添加される。放射性廃棄物の固型化材には充填性
(流動性)とともに、流動可使時間が長いことが強く要
求される。仮に、流動可使時間が短く、硬化時間が速い
固型化材を使用した場合、充填中もしくは充填後にミキ
サー内やセメントペースト搬送ホース中で、セメントが
硬化するというトラブルを招来する恐れがある。また、
硬化したセメントの除去も管理区域内にて作業を強いら
れるために簡単には行なえず、装置全体の稼動を中止し
て行なうという大きなトラブルを誘発する原因ともな
る。
【0031】したがって、セメントペーストの流動可使
時間は長ければ長いほど安心して使用できることなり、
混練後 3時間程度でも、初期の流動性を維持できるよう
なセメントペーストの出現が望まれる。上記トラブルを
防止するため、流動可使時間のさらなる延長として添加
材の検討を行なった結果、硼酸はペーストの流動可使時
間を延長させる添加材として作用することが判明した。
ここで、硼酸の粒度は、特に限定されないが、 300メッ
シュ以下が好ましい。
【0032】そして、水硬性無機化合物 100重量部に対
する添加配合量は、0.05〜 1重量部の範囲で選択され
る。添加配合量を0.05〜 1重量部とした理由は、0.05重
量部未満では期待された流動可使時間の延長が認められ
ず、 1重量部を超えると固化体の収縮率が大きくなり、
亀裂発生の原因となり易い。なお、硼酸の添加配合よる
流動可使時間は、90分以上の初期流動性を可能とし、混
練 3時間経過したセメントペーストにおいても、僅かに
Pロートの流下時間が上昇するにとどまった。
【0033】マイクロシリカは、セメントの体積収縮
(ブリージング)防止や空隙を充填する目的として添加
される。一般に、セメントに対するマイクロシリカの添
加は、空隙充填効果による強度向上など、セメントの種
々の物理特性を向上する。しかし、−般的に使用されて
いるマイクロシリカ、すなわちフェロシリコンを製造す
る際に生じるマイクロシリカは、流動化剤(縮合リン酸
ナトリウム、炭酸塩化合物)と組合わせて使用すると、
混練中にセメントペーストが凝集してしまい、流動性を
示さなくなった。そこで、種々検討を重ねた結果、ジル
コンからジルコニアを製造する際に生じるマイクロシリ
カを用いると、流動性に支障をきたさないことが判明し
た。
【0034】そして、水硬性無機化合物 100重量部に対
するマイクロシリカの添加配合量は、 3〜15重量部、好
ましくは 5〜10重量部の範囲で選択される。その理由
は、 1重量部未満の場合、ブリージング防止効果がな
く、15重量部を超えると流動性をよくするために添加す
る水分量を増加させなければならず、結果的に、ブリー
ジングを抑制することができなくなる。なお、ジルコン
からジルコニアを製造する際に生じるマイクロシリカ
は、シリカの含有量が約90%以上であり、平均粒子径は
0.15μm 以下が好ましい。
【0035】アルミナセメントは、ドラム缶の移動が可
能な強度をセメントペーストに付与するために添加され
る。セメントペーストを充填・固化したドラム缶は、あ
る所定の時間静地養生(24〜36時間)した後、保管場所
へ移動される。移動・保管時は、ドラム缶に若干の振動
や衝撃が加わることが予測されることから、固化体とし
て十分な強度を備えさせておく必要がある。仮に、硬化
が不十分で、十分な強度を発現していない固化体を移動
したりすると、固化体に亀裂や割れが発生するととも
に、廃棄物がドラム缶中を移動するなどの問題が生じ、
放射性核種の漏れを招来する恐れにつながる。
【0036】アルミナセメントは、急硬性セメントの分
類に属し、普通ポルトランドセメントの28日強度が僅か
1日で得られる。また、カルシウムアルミネートを主成
分とするため、耐熱性がすぐれているという特性から、
耐火物用結合バインダーを主に急硬性という点が見直さ
れ、いろいろの用途展開が検討されている材料である。
本来、ポルトランドセメントや高炉セメントに、アルミ
ナセメントまたはその混合鉱物系を添加すると急硬性を
示すことが知られており、添加配合量によっては数分で
粘性を失い、発熱して固結する。
【0037】本発明に係る無機混和材のアルミナセメン
トも、理論的には、上記現象を応用したものであるが、
縮合リン酸ナトリウム、炭酸塩、硼酸との相互作用や添
加配合量を詳細に検討した結果、 3時間におよぶ流動可
使時間を有しながら、一方では、24時間後に移動可能な
強度(貫入抵抗強度 280 kgf/cm2 以上)を示し、凝結
時間がアルミナセメントの添加配合で容易に調整可能と
なることが判明した。ここで、水硬性無機化合物 100重
量部に対するアルミナセメントの添加配合量は、 0.5〜
4重量部の範囲で選択する必要がある。すなわち、この
範囲を外れると、セメントペーストの流動性および凝結
時間が大きく影響され、 0.5重量部未満では凝結時間の
調整にほとんど効果が見られず、 4重量部を超えると凝
結時間が極端に短くなるとともに、流動可使時間の短縮
にも影響する結果となる。ここで、アルミナセメントは
JISで規格されている 1級〜 5級のいずれのグレードの
ものであってもよい。
【0038】本発明に係る固化材の調製に当たっては、
粉末状態の無機混和材が使用される。すなわち、予め縮
合リン酸ナトリウムおよび炭酸塩化合物を水溶液とし
て、水硬性無機化合物に添加配合せずに、粉末状の無機
混和材を添加配合すると、分散作用が良好となる。たと
えば、縮合リン酸ナトリウムおよび炭酸塩化合物を同時
に加えると、強いアルカリ性を保持し、流動性を著しく
延長させる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を説明
する。
【0040】高炉セメント、普通ポルトランドセメン
ト、ヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナ
トリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、ナフタリン
スルホン酸高縮合物、硼酸、マイクロシリカ、アルミナ
セメントおよびベントナイトを、表1に示す組成比(重
量部)で選択し、比較例を含めて13種のセメントペース
ト(固化材)を調製した。ここで、各固化材は、次のよ
うな手順で調製したものである。すなわち、高炉セメン
トもしくは普通ポルトランドセメントに 100重量部に対
して、所定の添加量(重量部)で混合された無機混和材
を添加・混合した。 上記作製・調製された各固化材
を、それぞれ所定の混練水に加え、オムニミキサー(商
品名.オムニミキサー;千代田技研製)で、 3分間混練
してセメントペースト化して、下記条件で、それぞれ特
性の試験・評価を行った結果を表1に示す。なお、この
試験・評価に当たっては、試験時および養生時の気温20
± 3℃、固化材と混練水の比45: 100(他だし比較例5
の場合は35: 100)である。
【0041】
【表1】 Pロート流下時間;セメントペーストを Pロートに流し
込み、ペーストが流下する時間を測定した。流下時間の
経時変化は、混練を継続して 3時間行ない、途中、 1時
間後、 2時間後、 3時間後の流下時間を測定した(土木
学会基準)。
【0042】粘度; B型回転粘度計を用いて測定した。
【0043】フロー値;JISR5201に基づいて行った。
【0044】ブリージング率;土木学会規準に基づき、
養生 3時間後、24時間後に測定した。 圧縮強度;セメ
ントペーストを型枠(40×40× 160mm)に流し込み、硬
化後、脱型して、流し込んだ日から 3日後、 7日後、28
日後に測定した。
【0045】また、上記無機混和材の保管期間における
流動性への影響について、実施例1に相当する場合と、
比較例3に相当する場合とについて試験・評価した。
【0046】すなわち、ヘキサメタリン酸ナトリウム
0.6重量部、炭酸カリウム 0.6重量部、硼酸 0.2重量
部、マイクロシリカ 6.0重量部およびアルミナセメント
1.0重量部をハイスピードミキサー(商品名.ハイスピ
ードミキサー;川田製作所製)で混合・調製した無機混
和材(実施例1に相当)と、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ム 0.6重量部、炭酸カリウム 0.6重量部、硼酸 0.2重量
部、ベントナイト 2.5重量部およびアルミナセメント
1.0重量部をハイスピードミキサーにて混合・調製した
無機混和材(比較例3に相当)とを、それぞれビニール
袋に入れ密閉し保管した。
【0047】上記混合・調製した両無機混和材について
混合・調製直後、 1、 2、 3、 4週間保管(経過)した
後、高炉セメント 100重量部に対して、実施例1の混和
材を8.4重量部、または、比較例3の混和材を 4.9重量
部を添加して、混練水45重量部に加えて混練し、セメン
トペーストをそれぞれ調製した。この両セメントペース
トについて、各時点における混練直後の Pロート流下時
間( sec)を測定した結果を表2に示す。
【0048】
【表2】 上記無機混和材の特性比較から分かるように、本発明に
係る無機混和材は、混合・調製後の安定性(保管性)も
良好で、セメントペーストを調製(作製)するその都
度、無機混和材を混合・調製するなど煩雑な作業を省略
できる。すなわち、セメント材と無機混和材とを混合
し、固化材を調製する工程を簡略化できるだけでなく、
良好な流動性などを呈するので、たとえば放射性廃棄物
を詰めたドラム缶内の狭い空間・空隙など緻密な充填・
固化が容易に達成される。
【0049】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、いろいろの
変形を採ることができる。
【0050】
【発明の効果】請求項1〜7の発明によれば、長期的に
見ると劣化の恐れがあるだけでなく、劣化・分解の際に
ガスを発生して構造物緻密性を低下させる恐れもある有
機系混和材を含まない固化材で、放射性廃棄物を固化処
理するため、安定性および信頼性の高い放射性廃棄物の
廃棄処理を行うことができる。すなわち、従来、例を見
ない安定性の高い流動性、緻密性を呈する無機混和材の
開発により、セメント材に混和材を添加するだけで、流
動性が極めて高いセメントペーストを調達でき、これに
よって放射性廃棄物を容易、かつ完全に充填固化できる
ので、信頼性の高い廃棄処理を行うことができる。
【0051】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 龍明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 豊原 尚実 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水硬性無機化合物および無機混和材を含
    有する固化材で、放射性廃棄物を一体に固化するに当た
    って、 前記固化材は水硬性無機化合物 100重量部当たり、縮合
    リン酸ナトリウム 0.1〜 2重量部,炭酸塩化合物 0.1〜
    2重量部,ホウ酸0.05〜 1重量部,マイクロシリカ 3〜
    15重量部およびアルミナセメント 0.1〜 4重量部を無機
    混和材として含有していることを特徴とする放射性廃棄
    物の固化処理方法。
  2. 【請求項2】 水硬性無機化合物が、高炉セメントおよ
    びポルトランドセメントの少なくともいずれか1種であ
    ることを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物の固化
    処理方法。
  3. 【請求項3】 マイクロシリカが、ジルコンからジルコ
    ニア製造時に生ずるマイクロシリカであることを特徴と
    する請求項1もしくは請求項2記載の放射性廃棄物の固
    化処理方法。
  4. 【請求項4】 縮合リン酸ナトリウムが、50メッシュ以
    下の粉末であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3いずれか一記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
  5. 【請求項5】 炭酸塩化合物が、平均粒径 1mm以下の粉
    末であることを特徴とする請求項1ないし請求項3いず
    れか一記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
  6. 【請求項6】 マイクロシリカが、平均粒径 1.0μm 以
    下の粉末であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3いずれか一記載の放射性廃棄物の固化処理方法。
  7. 【請求項7】 無機混和材を成す成分を予め混合し、水
    硬性無機化合物と混合することを特徴とする請求項1な
    いし請求項6いずれか一記載の放射性廃棄物の固化処理
    方法。
  8. 【請求項8】 無機混和材を成す成分を予め水溶液化
    し、水硬性無機化合物と混合することを特徴とする請求
    項1ないし請求項7いずれか一記載の放射性廃棄物の固
    化処理方法。
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