JPH11304916A - 目標追尾装置および目標追尾方法 - Google Patents

目標追尾装置および目標追尾方法

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JPH11304916A
JPH11304916A JP11632398A JP11632398A JPH11304916A JP H11304916 A JPH11304916 A JP H11304916A JP 11632398 A JP11632398 A JP 11632398A JP 11632398 A JP11632398 A JP 11632398A JP H11304916 A JPH11304916 A JP H11304916A
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信吾 辻道
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は複数の目標の航跡を推定する目標追
尾装置に関し、目標追尾に関する性能を低下させること
なく、作成される仮説の数を減らすことを目的とする。 【解決手段】 目標観測装置12および観測ベクトル選
択部14は目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出す
る。ゲート内判定行列算出部30および航跡相関行列算
出部34は、観測ベクトルが、誤信号である可能性、既
追尾の航跡に対応している可能性、および、新航跡であ
る可能性を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応
する航跡相関情報を作成する。新航跡誤信号総数推定部
60は、観測される新航跡と誤信号の総数を推定する。
仮説更新部38は、全ての航跡相関情報の中から、上記
の総数の条件を満たす情報を選択して仮説更新処理に用
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目標追尾装置およ
び目標追尾方法に係り、特に、レーダ等のセンサにより
得られた観測ベクトルに基づいて、複数の目標の航跡を
推定する目標追尾装置および目標追尾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特願平7−73911号に
示すような目標追尾装置が知られている。従来の目標追
尾装置は、レーダ等のセンサにより、目標までの距離、
および、目標の方位および仰角等を含む観測ベクトルZ
を検出する。時刻tk-1における観測ベクトルZk-1が検
出できると、その観測ベクトルZk-1に基づいて時刻tk
における目標の存在位置を推定することができる。従来
の目標追尾装置は、上記の手法により時刻tkにおいて目
標が存在すると予測される領域を推定する。以下、この
領域をゲートと称す。
【0003】複数の目標が狭い領域内に存在する場合
は、観測ベクトルZk-1に基づいて推定されたゲートの
中に、時刻tkにおいて複数の観測ベクトルZkが検出さ
れることがある。このような状況下で正確な追尾を続け
るためには、観測ベクトルZk-1に対応する目標の航跡
と、観測ベクトルZkとの相関付けを精度よく行うこと
が必要である。
【0004】従来の目標追尾装置は、時刻tkにおいてゲ
ート内に観測ベクトルZkが検出された場合に、その観
測ベクトルZkが、誤信号である可能性、既追尾の目標
に対応している可能性、および、新たな目標である可能
性等を考慮して、考え得るすべての仮説を作成する。そ
して、それらの仮説の中から最善の仮説を選択し、その
内容の表示を行う。上記の手法によれば、同一のゲート
内で複数の観測ベクトルが検出された場合に、精度よく
目標の追尾を続けることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の手法に
よれば、ゲート内で検出される一つの観測ベクトルZk
に対して多数の仮説が作成される。このため、従来の目
標追尾装置においては、観測ベクトルZkの検出が繰り
返されることにより、仮説の数が爆発的に増加するとい
う問題が生ずる。
【0006】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、目標追尾に関する性能を低下させ
ることなく、作成される仮説の数を減らすことのできる
目標追尾装置を提供することを第1の目的とする。ま
た、本発明は、目標追尾に関する性能を低下させること
なく、作成される仮説の数を減らすことのできる目標追
尾方法を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
目標追尾装置は、目標の位置情報を含む観測ベクトルを
検出する観測ベクトル検出手段と、前記観測ベクトル
が、誤信号である可能性、既追尾の航跡に対応している
可能性、および、新航跡である可能性を組み合わせて、
実現可能な全ての状態に対応する航跡相関情報を作成す
る航跡相関情報作成手段と、目標の航跡に関する仮説を
記憶する仮説記憶手段と、観測される誤信号の数を推定
する誤信号数推定手段と、前記航跡相関情報作成手段に
より作成される航跡相関情報の中から、前記誤信号数推
定手段の推定結果と合致する航跡相関情報を第1の有効
航跡相関情報として選択する第1の有効情報選択手段
と、前記仮説記憶手段に記憶されている既存の仮説を、
前記第1の有効航跡相関情報に基づいて更新する第1の
仮説更新手段と、を備えることを特徴とするものであ
る。
【0008】本発明の請求項2に係る目標追尾装置は、
目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出する観測ベク
トル検出手段と、前記観測ベクトルが、誤信号である可
能性、既追尾の航跡に対応している可能性、および、新
航跡である可能性を組み合わせて、実現可能な全ての状
態に対応する航跡相関情報を作成する航跡相関情報作成
手段と、目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶手
段と、観測される新航跡の数を推定する新航跡数推定手
段と、前記航跡相関情報作成手段により作成される航跡
相関情報の中から、前記新航跡数推定手段の推定結果と
合致する航跡相関情報を第2の有効航跡相関情報として
選択する第2の有効情報選択手段と、前記仮説記憶手段
に記憶されている既存の仮説を、前記第2の有効航跡相
関情報に基づいて更新する第2の仮説更新手段と、を備
えることを特徴とするものである。
【0009】本発明の請求項3に係る目標追尾装置は、
目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出する観測ベク
トル検出手段と、前記観測ベクトルが、誤信号である可
能性、既追尾の航跡に対応している可能性、および、新
航跡である可能性を組み合わせて、実現可能な全ての状
態に対応する航跡相関情報を作成する航跡相関情報作成
手段と、目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶手
段と、既追尾の航跡に対応して観測される観測ベクトル
の数を推定する既追尾航跡数推定手段と、前記航跡相関
情報作成手段により作成される航跡相関情報の中から、
前記既追尾航跡数推定手段の推定結果と合致する航跡相
関情報を第3の有効航跡相関情報として選択する第3の
有効情報選択手段と、前記仮説記憶手段に記憶されてい
る既存の仮説を、前記第3の有効航跡相関情報に基づい
て更新する第3の仮説更新手段と、を備えることを特徴
とするものである。
【0010】本発明の請求項4に係る目標追尾装置は、
目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出する観測ベク
トル検出手段と、前記観測ベクトルが、誤信号である可
能性、既追尾の航跡に対応している可能性、および、新
航跡である可能性を組み合わせて、実現可能な全ての状
態に対応する航跡相関情報を作成する航跡相関情報作成
手段と、目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶手
段と、観測される誤信号と新航跡の総数を推定する総数
推定手段と、前記航跡相関情報作成手段により作成され
る航跡相関情報の中から、前記総数推定手段の推定結果
と合致する航跡相関情報を第4の有効航跡相関情報とし
て選択する第4の有効情報選択手段と、前記仮説記憶手
段に記憶されている既存の仮説を、前記第4の有効航跡
相関情報に基づいて更新する第4の仮説更新手段と、を
備えることを特徴とするものである。
【0011】本発明の請求項5に係る目標追尾装置は、
前記誤信号数推定手段、前記新航跡数推定手段、前記既
追尾航跡数推定手段、または、前記総数推定手段が、過
去所定期間の間に観測された観測ベクトル数の平均値に
基づいて、所望数の推定処理を行うことを特徴とするも
のである。
【0012】本発明の請求項6に係る目標追尾装置は、
前記誤信号数推定手段、前記新航跡数推定手段、前記既
追尾航跡数推定手段、または、前記総数推定手段が、過
去所定期間の間に観測された観測ベクトル数の最大値に
基づいて、所望数の推定処理を行うことを特徴とするも
のである。
【0013】本発明の請求項7に係る目標追尾方法は、
目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出する観測ベク
トル検出ステップと、前記観測ベクトルが、誤信号であ
る可能性、既追尾の航跡に対応している可能性、およ
び、新航跡である可能性を組み合わせて、実現可能な全
ての状態に対応する航跡相関情報を作成する航跡相関情
報作成ステップと、目標の航跡に関する仮説を記憶する
仮説記憶ステップと、観測される誤信号の数を推定する
誤信号数推定ステップと、前記航跡相関情報作成ステッ
プにより作成される航跡相関情報の中から、前記誤信号
数推定ステップの推定結果と合致する航跡相関情報を第
1の有効航跡相関情報として選択する第1の有効情報選
択ステップと、前記仮説記憶ステップに記憶されている
既存の仮説を、前記第1の有効航跡相関情報に基づいて
更新する第1の仮説更新ステップと、を備えることを特
徴とするものである。
【0014】本発明の請求項8に係る目標追尾方法は、
目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出する観測ベク
トル検出ステップと、前記観測ベクトルが、誤信号であ
る可能性、既追尾の航跡に対応している可能性、およ
び、新航跡である可能性を組み合わせて、実現可能な全
ての状態に対応する航跡相関情報を作成する航跡相関情
報作成ステップと、目標の航跡に関する仮説を記憶する
仮説記憶ステップと、観測される新航跡の数を推定する
新航跡数推定ステップと、前記航跡相関情報作成ステッ
プにより作成される航跡相関情報の中から、前記新航跡
数推定ステップの推定結果と合致する航跡相関情報を第
2の有効航跡相関情報として選択する第2の有効情報選
択ステップと、前記仮説記憶ステップに記憶されている
既存の仮説を、前記第2の有効航跡相関情報に基づいて
更新する第2の仮説更新ステップと、を備えることを特
徴とするものである。
【0015】本発明の請求項9に係る目標追尾方法は、
目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出する観測ベク
トル検出ステップと、前記観測ベクトルが、誤信号であ
る可能性、既追尾の航跡に対応している可能性、およ
び、新航跡である可能性を組み合わせて、実現可能な全
ての状態に対応する航跡相関情報を作成する航跡相関情
報作成ステップと、目標の航跡に関する仮説を記憶する
仮説記憶ステップと、既追尾の航跡に対応して観測され
る観測ベクトルの数を推定する既追尾航跡数推定ステッ
プと、前記航跡相関情報作成ステップにより作成される
航跡相関情報の中から、前記既追尾航跡数推定ステップ
の推定結果と合致する航跡相関情報を第3の有効航跡相
関情報として選択する第3の有効情報選択ステップと、
前記仮説記憶ステップに記憶されている既存の仮説を、
前記第3の有効航跡相関情報に基づいて更新する第3の
仮説更新ステップと、を備えることを特徴とするもので
ある。
【0016】本発明の請求項10に係る目標追尾方法
は、目標の位置情報を含む観測ベクトルを検出する観測
ベクトル検出ステップと、前記観測ベクトルが、誤信号
である可能性、既追尾の航跡に対応している可能性、お
よび、新航跡である可能性を組み合わせて、実現可能な
全ての状態に対応する航跡相関情報を作成する航跡相関
情報作成ステップと、目標の航跡に関する仮説を記憶す
る仮説記憶ステップと、観測される誤信号と新航跡の総
数を推定する総数推定ステップと、前記航跡相関情報作
成ステップにより作成される航跡相関情報の中から、前
記総数推定ステップの推定結果と合致する航跡相関情報
を第4の有効航跡相関情報として選択する第4の有効情
報選択ステップと、前記仮説記憶ステップに記憶されて
いる既存の仮説を、前記第4の有効航跡相関情報に基づ
いて更新する第4の仮説更新ステップと、を備えること
を特徴とするものである。
【0017】本発明の請求項11に係る目標追尾方法
は、前記誤信号数推定ステップ、前記新航跡数推定ステ
ップ、前記既追尾航跡数推定ステップ、または、前記総
数推定ステップが、過去所定期間の間に観測された観測
ベクトル数の平均値に基づいて、所望数の推定処理を行
うことを特徴とするものである。
【0018】本発明の請求項12に係る目標追尾方法
は、前記誤信号数推定ステップ、前記新航跡数推定ステ
ップ、前記既追尾航跡数推定ステップ、または、前記総
数推定ステップが、過去所定期間の間に観測された観測
ベクトル数の最大値に基づいて、所望数の推定処理を行
うことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態について説明する。尚、各図において共通す
る要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0020】実施の形態1.図1は、本発明の実施の形
態1の目標追尾装置10のブロック構成図を示す。図1
に示す如く、目標追尾装置10には目標観測装置12が
接続されている。目標観測装置12は、レーダ等により
構成される装置であり、監視領域内に存在する目標の位
置を表す観測ベクトルZを検出する。本実施形態におい
て、観測ベクトルZには、目標の極座標データ、すなわ
ち、目標までの距離r、目標の方位角θ、および、目標
の仰角ψが含まれている。
【0021】目標観測装置12の検出データは、観測ベ
クトル選択部14に供給される。観測ベクトル選択部1
4には上述した観測ベクトルZと共に、ゲート算出部1
5から、ゲートに関するデータが供給される。本実施形
態の目標追尾装置10は、後述の如く、サンプリング時
刻毎に、検出された目標のそれぞれについて航跡を推定
する。ゲート算出部15は、上記の如く推定される個々
の航跡に対応して、次回のサンプリング時刻における目
標の存在領域、すなわち、ゲートを予測し、ゲートを表
すデータを観測ベクトル選択部14に供給する。
【0022】観測ベクトル選択部14は、目標観測装置
12から供給される全ての観測ベクトルの中から、各航
跡のゲートに含まれる観測ベクトルZを選択する。上記
の処理により、既追尾の目標の航路の延長点となり得る
観測ベクトルZが選択される。観測ベクトル選択部14
により選択された観測ベクトルZは、クラスタ新設・統
合部16に供給される。
【0023】図2乃至図4は、サンプリング時刻t1に検
出された観測ベクトルZ1,1,Z1,2、および、サンプリ
ング時刻t2に検出された観測ベクトルZ2,1,Z2,2に基
づいて目標追尾装置10において実行される処理の内容
を説明するための図を示す。尚、以下の記載において
は、説明の便宜上、観測ベクトルZ1,1は第1の目標に
起因して検出され、観測ベクトルZ1,2は第2の目標に
起因して検出されたものとする。
【0024】図2乃至図4において、時刻t1に検出され
た2つの観測ベクトルZ1,1およびZ1,2は、互いに重複
しないゲート内で検出された観測ベクトルである。この
場合、第1の目標の航跡を仮定する際に、観測ベクトル
Z1,2を考慮する必要がない。同様に、第2の目標の航
跡を仮定する際に、観測ベクトルZ1,1を考慮する必要
がない。
【0025】図2において、時刻t1の時点では、観測ベ
クトルZ1,1を含む航跡T1={Z1,1}と、観測ベクト
ルZ1,2を含む航跡T2={Z1,2}とを仮定することが
できる。図2中に示すゲートG1およびG2は、それぞ
れ、航跡T1およびT2に対応して設定された第1の目標
に関するゲート、および、第2の目標に関するゲートで
ある。
【0026】図2に示す如く、時刻t2における観測デー
タZ2,1およびZ2,2は、ゲートG1と、ゲートG2との重
複部分で検出されている。この場合、第1の目標の航跡
を仮定する場合、および、第2の目標の航跡を仮定する
場合の何れにおいても、2つの観測ベクトルZ2,1およ
びZ2,2の双方を考慮する必要がある。より具体的に
は、第1の目標の航跡と、第2の目標の航跡との組合せ
としては、例えば、図3に示す如く、観測ベクトルZ1,
1およびZ2,1を含む航跡T3={Z1,1,Z2,1}と観測
ベクトルZ1,2およびZ2,2を含む航跡T4={Z1,2,Z
2,2}との組合せ、或いは、図4に示す如く、観測ベク
トルZ1,1およびZ2,2を含む航跡T5={Z1,1,Z2,
2}と観測ベクトルZ1,2およびZ2,1を含む航跡T6=
{Z1,2,Z2,1}との組合せ等を仮定することができ
る。
【0027】以後、第1の目標の航跡を仮定する際に
は、常に、時刻t2における航跡が上記航跡T3であった
可能性、および、上記航跡T5であった可能性を考慮す
る必要が生ずる。同様に、第2の目標の航跡を推定する
際には、常に、時刻t2における航跡が上記航跡T4であ
った可能性、および、上記航跡T6であった可能性を考
慮する必要が生ずる。このため、時刻t2以後、2つの目
標の航跡を正確に推定するためには、複数の観測ベクト
ルや複数の航跡を一つのまとまりとして処理を進めるこ
とが必要となる。
【0028】このように、本実施形態の目標追尾装置1
0においては、過去における目標の航跡等に応じて、そ
の目標の航跡を推定する際に一つのまとまりとして考慮
すべきデータの大きさが変化する。目標追尾装置10
は、単数または複数の目標の航跡を精度よく推定するた
めに必要な最小限のデータのまとまりを一つのクラスタ
とし、クラスタ毎に後述する処理を実行する。
【0029】上述したクラスタ新設・統合部16は、観
測ベクトル選択部14によって選択された観測ベクトル
Zと、既存のクラスタとの関係に基づいて、クラスタの
新設および統合を行う。より具体的には、既存のクラス
タに属しない新たな観測ベクトルが検出された場合に
は、その観測ベクトルに対応する新たなクラスタを新設
し、一方、異なる既存のクラスタに対応する複数のゲー
トが重複し、かつ、その中に観測ベクトルが存在した場
合には、それらのクラスタを統合して一つのクラスタと
する処理を行う。
【0030】クラスタ新設・統合部16は、クラスタの
新設・統合処理と共に、システム内クラスタ表18を作
成する処理、および、クラスタ内観測ベクトル表20を
作成する処理を実行する。システム内クラスタ表18
は、目標追尾装置10が処理の対象とする全てのクラス
タの状態を表す表である。一方、クラスタ内観測ベクト
ル表20は、個々のクラスタに含まれる観測ベクトルZ
と、個々の観測ベクトルZに対応する航跡Tとの関係を
表す表である。
【0031】図5は、システム内クラスタ表18の一例
を示す。システム内クラスタ表18には、図5に示す如
く、目標追尾装置10内で設けられた全てのクラスタ
A,B,C…と、それぞれのクラスタの状態を表す所定
の情報とがまとめられている。目標追尾装置10は、シ
ステム内クラスタ表18を参照することにより、個々の
クラスタに対応するデータの記憶場所等を検知すること
ができる。
【0032】図6は、クラスタ内観測ベクトル表20の
一例を示す。目標追尾装置10は、クラスタ内観測ベク
トル表20を参照することにより、処理の対象とされて
いるクラスタ内に含まれる観測ベクトルZと、それらの
観測ベクトルZに対応し得る全ての航跡Tを検知するこ
とができる。
【0033】ところで、時刻tkにおいて、観測ベクトル
Zk,1が検出された場合は、例えば、(1)「その観測ベク
トルZが誤信号である」可能性、(2)「その観測ベクト
ルZが新目標に対応している」可能性、および、(3)
「その観測ベクトルZが既追尾の目標に対応している」
可能性を考えることができる。また、これらの可能性を
考慮すると、目標物の航跡や誤信号の有無等に関して、
いくつかの仮説を作成することができる。
【0034】本実施形態の目標追尾装置10は、上記の
如く作成される仮説の内容を表す仮説状況データ群22
を記憶している。図1に示す如く、仮説状況データ群2
2には、クラスタ内仮説表24,仮説内航跡表26,お
よび、クラスタ内航跡−観測ベクトル表28が含まれて
いる。
【0035】クラスタ内仮説表24は、個々のクラスタ
と、それらのクラスタに含まれている全ての仮説との関
係を表す表である。仮説内航跡表26は、個々の仮説
と、それらの仮説に含まれる全ての航跡Tとの関係を表
す表である。また、クラスタ内航跡−観測ベクトル表2
8は、クラスタ内に存在する個々の航跡Tと、その航跡
Tを構成する観測ベクトルZとの関係を表す表である。
【0036】仮説状況データ群22の内容は、上述した
クラスタ内観測ベクトル表20の内容と共に、ゲート内
判定行列算出部30に供給されている。ゲート内判定行
列算出部30は、それらの入力データに基づいてゲート
内判定行列32を算出する。次式数1は、時刻tkで検
出された観測ベクトルZの数がmk、時刻tkでの既追尾
目標の数、すなわち、時刻tk-1での追尾目標数がNk-1
である場合に算出されるゲート内判定行列32の一般式
を示す。尚、次式数1中で用いられるNkは、時刻tkで
の追尾目標数と把握される値であり、Nk=Nk-1+mk
で表される。
【0037】
【数1】
【0038】時刻tkにおいてクラスタ内にmk個の観測
ベクトルZk,j(j=1〜mk)が検出された場合、それ
ら全ての観測ベクトルZk,jは、誤信号である可能性を
有している。また、それら全ての観測ベクトルZk,j
は、新目標に対応している可能性を有している。更に、
時刻tk-1の時点でNk-1個の追尾目標が存在している場
合は、観測ベクトルZk,jの一部または全部が、既追尾
目標に対応している可能性がある。
【0039】上記数1式に示すゲート内判定行列32
は、時刻tkに検出されたmk個の観測ベクトルZk,j(j
=1〜mk)の可能性を表す数値群である。より具体的
には、[1]ゲート内判定行列32の各行は、観測ベクト
ルZk,j(j=1〜mk)のそれぞれに対応しており、
[2]ゲート内判定行列32の各列は、(1)第0列が、観測
ベクトルZk,j(j=1〜mk)が誤信号である可能性
に、(2)第1列〜第Nk-1列が、観測ベクトルZk,j(j
=1〜mk)が既追尾目標の航跡Tn(n=1〜Nk-1)
の延長点である可能性に、また、(3)第Nk-1+1列〜第
Nk列が、観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)が、新た
に定義されたmk個の新目標の航跡Tn(n=Nk-1+1
〜Nk-1+mk)の始点である可能性に、それぞれ対応し
ている。
【0040】以下、ゲート内判定行列32の各要素の設
定手順を具体的に説明する。上記の如く、第0列(i=
0)は観測ベクトルが誤信号である場合を示す。全ての
観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)は、誤信号である可
能性を有しているため、第0列の各要素は、次式数2の
如く表される。
【0041】
【数2】
【0042】第1列〜第Nk-1列(1≦t≦Nk-1)の構
成要素は、観測ベクトルZk,jが、既追尾目標の航跡Tn
(n=1〜Nk-1)のゲート内に含まれるか否かに基づ
いて設定される。上記の判断は、上述したクラスタ内観
測ベクトル表20(図6参照)の内容に基づいて行われ
る。すなわち、クラスタ内観測ベクトル表20に基づい
て、観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)が航跡Tn(n
=1〜Nk-1)のゲート内に含まれていると判断できる
場合は、ゲート内判定行列の構成要素が次式数3の如く
設定される。
【0043】
【数3】
【0044】一方、クラスタ内観測ベクトル表20に基
づいて、観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)が航跡Tn
(n=1〜Nk-1)のゲート内に含まれていないと判断
できる場合は、ゲート内判定行列の構成要素が次式数4
の如く設定される。
【0045】
【数4】
【0046】第Nk-1+1列〜第Nk列(Nk-1+1≦t
≦Nk)の構成要素は観測ベクトルZk,j(j=1〜m
k)が、新目標の航跡Tn(n=Nk-1+1〜Nk)に対応
しているか否かに基づいて設定される。目標追尾装置1
0は、一つの観測ベクトルZが検出された場合に、常
に、その観測ベクトルZを航跡の始点とする新目標が検
出された可能性を考慮して後の処理を進める。第Nk-1
+1列〜第Nk列の構成要素は、上記の可能性を表現す
るための要素である。
【0047】上記の可能性は、観測ベクトルZk,jに対
して、i=Nk-1+jの関係が成立する列の値を次式数
5の如く設定し、
【0048】
【数5】
【0049】かつ、i≠Nk-1+jの関係が成立する列
の値を次式数6の如く設定することにより表現できる。
【0050】
【数6】
【0051】図1に示す如く、上述したゲート内判定行
列32は、航跡相関行列算出部34に供給される。航跡
相関行列算出部34は、ゲート内判定行列32に基づい
て、複数の航跡相関行列36を算出する。ゲート内判定
行列32は、各観測ベクトルZk,jについて考え得る全
ての可能性を表すための行列である。一方、個々の航跡
相関行列は、行列の構成要素間に矛盾する点のない行
列、すなわち、実際に仮説として成立する一つの状態を
表す行列である。航跡相関行列算出部34は、ゲート内
判定行列32に基づいて、成立し得る全ての航跡相関行
列36を算出する。
【0052】次式数7は、時刻tkにおいて算出される航
跡相関行列36の一般式を示す。尚、数7において、m
kおよびNkは、上記数1の場合と同様に、時刻tkにおい
て検出された観測ベクトルZk,jの数、および、時刻tk
で追尾目標数と把握される数、すなわち、時刻tk-1にお
ける追尾目標の数Nk-1と観測ベクトルZk,jの数mkと
の和である。また、数7式中で用いられる添え字sは、
複数の航跡相関行列36を区別するための番号である。
【0053】
【数7】
【0054】航跡相関行列36の各行および各列は、そ
れぞれ、ゲート内相関行列32の場合と同様の意味を有
している。すなわち、航跡相関行列36の各行は、観測
ベクトルZk,j(j=1〜mk)のそれぞれに対応してい
る。また、航跡相関行列36の各列は、観測ベクトルZ
k,jが誤信号である可能性、または、既追尾若しくは新
たな目標の航跡Tn(n=1〜Nk)に対応している可能
性を表している。尚、以下の記載においては、便宜上、
観測ベクトルZk,jが誤信号である場合を、観測ベクト
ルZk,jが航跡T0に対応していると表現する。
【0055】航跡相関行列36の各要素は、ゲート内判
定行列32の各要素と同様に、観測ベクトルZk,j(j
=1〜mk)が、航跡Tn(n=0,1,...,Nk)
と対応しているか否かに基づいて設定される。具体的に
は、両者に相関が認められる場合に次式数8の如く設定
され、
【0056】
【数8】
【0057】一方、両者に相関が認められない場合に次
式数9の如く設定される。
【0058】
【数9】
【0059】航跡相関行列36は、上述した基準に加え
て、以下に示す3つの基準が同時に満たされるよう算出
される。そして、航跡相関行列算出部34は、それら3
つの基準を同時に満たす全ての航跡相関行列36を、そ
れぞれ別の航跡相関行列36として表現する。
【0060】(ア)ゲート内判定行列32において
“1”である要素に対応する要素のみを“1”とし、他
の要素を“0”とする。 (イ)第0列(i=0)を除く全ての列(i=1〜N
k)では、“1”に設定される要素の数を最大で1つと
する。 (ウ)航跡相関行列の全ての行で、必ず一つの要素のみ
を“1”とする。
【0061】上記(ア)の基準によれば、ゲート内判定
行列32において認められていない可能性が航跡相関行
列36で認められる矛盾を避けることができる。また、
上記(イ)の基準によれば、航跡Tn(n=1〜Nk)に
対応する観測ベクトルZk,jの数を常に1または0とす
ることができる。上記の処理によれば、単一の航跡Tn
(n=1〜Nk)に複数の観測ベクトルZk,jが対応する
矛盾を避けることができると共に、航跡Tn(n=1〜
Nk)に対応する観測ベクトルZk,jが観測できなかった
場合を表現することができる。
【0062】更に、上記(ウ)の基準によれば、全ての
観測ベクトルZj,kについて、複数の可能性が設定され
る矛盾を避けることができる。従って、これらの基準に
よれば、全ての構成要素が矛盾することなく現実の状態
を表現する航跡相関行列36を算出することができる。
【0063】図1に示す如く、上述した航跡相関行列3
6は、仮説更新部38に供給される。仮説更新部38で
は、既に記憶されている仮説の状況、すなわち、前回の
サンプリング時刻tk-1において検出された観測ベクトル
Zk-1,jを基礎とする仮説の状況と、今回のサンプリン
グ時刻tkにおいて検出された観測ベクトルZk,jを基礎
として上記の如く算出される航跡相関行列36とに基づ
いて、仮説を更新する処理が実行される。
【0064】本実施形態の目標追尾装置10において、
仮説更新部38は、後述する図10に示す一連の処理を
実行することで仮説の更新を行う。図7は、仮説更新部
38において実行される一連の処理と対比される処理の
フローチャートを示す。以下、仮説更新部38において
実行される処理の内容に先立って、図7に示す一連の処
理の内容について説明する。
【0065】図7に示すルーチンは、航跡相関行列算出
部34において全ての航跡相関行列36が算出された後
に起動される。図7に示すルーチンが起動されると、先
ずステップ40の処理が実行される。
【0066】ステップ40では、算出された全ての航跡
相関行列36の中から、仮説更新処理に用いる航跡相関
行列36が選択される。ステップ42では、既に記憶さ
れている全ての仮説の中から、更新の対象とされる仮説
が選択される。上記ステップ40および42では、全て
の航跡相関行列36と、既に記憶されている全ての仮説
との組み合わせが実現されるように、処理が繰り返され
る毎に、適宜、航跡相関行列36の変更、および、更新
の対象とされる仮説の変更が行われる。
【0067】ステップ44では、選択された航跡相関行
列36において観測ベクトルZk,j(j=1〜mk)と相
関があると表示されている既追尾の航跡Tn(n=1〜
Nk-1)の全てが(以下、これらの航跡を相関既追尾航
跡と称す)、選択された仮説の中に含まれているか否か
が判別される。上記の条件が成立する場合は、選択され
た仮説と、選択された航跡相関行列36とが相互に矛盾
していないと判断できる。この場合、以後、両者を組み
合わせて新たな仮説を作成すべくステップ46〜50の
処理が実行される。
【0068】一方、上記ステップ44で、選択された仮
説の中に全ての相関既追尾航跡が含まれていないと判別
される場合は、その仮説と、選択された航跡相関行列3
6とが矛盾していると判断できる。この場合は、両者を
組み合わせて新たな仮説を作ることはできない。上記ス
テップ44で、このような判別がなされた場合は、以
後、ステップ46〜50がジャンプされ、次にステップ
52の処理が実行される。
【0069】ステップ46では、既追尾航跡の更新が行
われる。本ステップ46では、具体的には、相関既追尾
航跡のそれぞれに、対応する観測ベクトルZk,jを追加
して相関既追尾航跡を延長する処理が実行される。
【0070】ステップ48では、航跡相関行列36にお
いて新航跡Tn(n=Nk-1+1〜Nk)と相関があると
表示されている観測ベクトルZj,kを、新たな既追尾航
跡として仮説に追加する処理が実行される。
【0071】ステップ50では、航跡相関行列36にお
いて航跡T0と相関があると表示されている観測ベクト
ルZk,j、すなわち、航跡相関行列36により誤信号で
あると表示されている観測ベクトルZk,jを、誤信号と
して仮説に加える処理が実行される。
【0072】ステップ52では、全ての航跡相関行列3
6と、既に存在する全ての仮説との組み合わせについ
て、上記ステップ40〜50の処理が実行されたか否か
が判別される。その結果、未だ全ての組み合わせについ
て上記の処理が実行されていないと判別される場合は、
再び上記ステップ40以降の処理が実行される。一方、
全ての組み合わせについて上記の処理が実行されている
と判別される場合は、今回の処理サイクルが終了され
る。
【0073】上記の処理によれば、航跡相関行列36が
算出された後、既に記憶されている個々の仮説を、その
仮説に対して矛盾しない全ての航跡相関行列36と組み
合わせることにより、現実に成立し得る状態を表す新た
な仮説を作成することができる。この際、多くの場合、
更新の対象とされる一つの仮説は、複数の航跡相関行列
36と組み合わされて複数の仮説に更新される。このた
め、上述した更新処理によれば、仮説の更新が繰り返さ
れる毎に、仮説の数が爆発的に増加する。
【0074】次に、図8および図9を参照して、目標追
尾装置10において実行される処理の内容を具体的に説
明する。図8は、空間内を移動する2つの目標の現実の
航跡54,56を示す。目標追尾装置10は、上記の航
跡54,56に沿って移動する目標をサンプリング時刻
毎に検出することにより、離散的な観測ベクトルZk,j
を検出する。また、目標追尾装置10による検出処理に
おいては、目標と対応しない誤信号が検出される事態
や、目標の観測に失敗し、目標と対応する観測ベクトル
が得られない事態が生ずることがある。
【0075】図9は、目標が図8に示す如く移動する際
に、目標追尾装置10によって検出される観測ベクトル
Zk,jの一例を示す。図9は、サンプリング時刻t1にお
いて1つの観測ベクトルZ1,1が検出され、サンプリン
グ時刻t2において2つの観測ベクトルZ2,1,Z2,2が検
出され、更に、サンプリング時刻t3において3つの観測
ベクトルZ3,1,Z3,2,Z3,3が検出された場合を示
す。
【0076】時刻t1の時点で、目標追尾装置10には、
既存のクラスタや既存の航跡は記憶されていない。この
ため、時刻t1において検出された観測ベクトルZ1,1
は、既存のクラスタと関係しない独立した観測ベクトル
として観測ベクトル選択部14からクラスタ新設・統合
部16に供給される。
【0077】クラスタ新設・統合部16では、Z1,1を
含むクラスタAを新設し、システム内クラスタ表18に
定義する処理、および、Z1,1をクラスタAのクラスタ
内観測ベクトル表20に書き込む処理が実行される。
尚、クラスタ内観測ベクトル表20には現時刻の観測ベ
クトルZ1,1のみが記載される。
【0078】次に、ゲート内判定行列算出部30がゲー
ト内判定行列32を算出する。時刻t1の時点で、観測ベ
クトル数mkは“1”、既追尾航跡数Nk-1は“0”、追
尾航跡Nkは“1”であるので、ゲート内判定行列32
は、次式数10に示す如く、1行2列の行列となる。
【0079】
【数10】
【0080】上記数10式に示すゲート内判定行列32
は、観測ベクトルZ1,2が誤信号である可能性と、新航
跡T1に対応する可能性とを有していることを表してい
る。
【0081】上記の処理が終了すると、次に、航跡相関
行列算出部34において航跡相関行列36が算出され
る。数10式に示すゲート内判定行列32によれば、次
式数11に示す如く、2つの航跡相関ベクトルが算出さ
れる。
【0082】
【数11】
【0083】上記数11式に示す2つの航跡相関行列
は、それぞれ、観測ベクトルZ1,2が誤信号であるとす
る仮説と、観測ベクトルZ1,2が新航跡T1に対応すると
する仮説とが作成可能であることを示している。
【0084】航跡相関行列36が上記の如く演算される
と、次に、仮説の更新が行われる。時刻t1の時点では、
上記の如く算出される航跡相関行列と組み合わせるべき
既存の仮説が存在しない。このため、時刻t1の時点で
は、上記数11式に示す2つの航跡相関行列36から、
新たな仮説が作成される。
【0085】航跡相関行列Ω(H1,1)からは、観測ベク
トルZ1,1が誤信号であるとする仮説、すなわち、クラ
スタ内に航跡は存在しないとする仮説X1,1が生成され
る。本実施形態において、上記の仮説X1,1は、次式数
12の如く表される。
【0086】
【数12】
【0087】航跡相関行列Ω(H1,2)からは、観測ベク
トルZ1,1が新航跡に対応するとする仮説、すなわち、
クラスタ内に観測ベクトルZ1,1を始点とする航跡T1が
存在するとする仮説X1,2が生成される。
【0088】
【数13】
【0089】以下、上記の航跡T1を、次式数14の如
く表す。
【0090】
【数14】
【0091】上記の処理により、時刻t1に検出された観
測ベクトルZ1,1を対象とする処理が終了する。次回の
サンプリング時刻t2においては、以下の処理が実行され
る。
【0092】時刻t2では、先ず、ゲート算出部15が、
クラスタ内の全ての航跡に対して、時刻t2におけるゲ
ートを算出する。図4に示す状況において、時刻t2の時
点では、航跡T1がクラスタ内に存在する唯一の航跡で
ある。このため、上記の場合には、ゲート算出部15に
おいて、航跡T1に対するゲートが算出される。
【0093】観測ベクトル選択部14は、上記の如く算
出された航跡T1に対するゲートと、目標観測装置12
によって観測された観測ベクトルとの関係を調査し、ゲ
ート内に存在する観測ベクトルを選択する。図4に示す
状況下では、上記の処理により、2つの観測ベクトルZ
2,1、Z2,2が検出される。
【0094】時刻t2においては、上述した2つの観測ベ
クトルZ2,1,Z2,2を除き、他の観測ベクトルが観測さ
れない。この場合、既存のクラスタと異なるクラスタは
新設されず、既存のクラスタの統合も起こらない。以
後、処理の対象とされるクラスタに2つの観測ベクトル
Z2,1、Z2,2が存在するとして処理が進められる。
【0095】時刻t2において、ゲート内判定行列算出部
30では、次式数15に示すゲート内判定行列32が演
算される。
【0096】
【数15】
【0097】上記数15式に示すゲート内判定行列32
において、第1行は観測ベクトルZ2,1に、また、第2
行は観測ベクトルZ2,2に、それぞれ対応している。こ
れら2つの観測ベクトルZ1,2,Z2,2は、共に誤信号で
ある可能性、および、既存追尾航跡T1に対応する可能
性を有している。このため、第1列の要素(誤信号の可
能性を表す)および第2列の要素(航跡T1に対応する
可能性を表す)には、共に“1”が設定される。
【0098】第3列および第4列の要素は、観測ベクト
ルZ2,1,Z2,2が、新たに定義された新航跡T2、T3に
対応する可能性を表す要素である。新航路T2は、観測
ベクトルZ2,1に対応して定義された航路である。一
方、新航路T3は、観測ベクトルZ2,2に対応して定義さ
れた航路である。第3列および第4列の要素は、これら
の状況を表す値に設定される。
【0099】上記数15式に示すゲート内観測行列32
を基礎とすると、航跡相関行列算出部34では、次式数
16に示す如く、8つの航跡相関行列36が算出され
る。
【0100】
【数16】
【0101】上記図7に示す処理によれば、既存の仮説
X1,1,X1,2と、上記数16式に示す8つの航跡相関行
列36とを組み合わせることにより、仮説の更新が行わ
れる。
【0102】仮説X1,1は、既存追尾航跡T1の存在を否
定している。これに対して、上記数16式に示される8
つの航跡相関行列36のうち、Ω(H2,2),Ω(H2,4),
Ω(H2,5),Ω(H2,7)は、既追尾航跡T1の存在を仮定
している。従って、処理の対象として仮説X1,1が選択
されている(上記ステップ40)場合は、仮説X1,1
と、他の4つの行列Ω(H2,1),Ω(H2,3),Ω(H2,
6),Ω(H2,8)との組み合わせにより、次式数17に示
す4つの仮説X2,1,X2,2,X2,3,X2,4が作成される
(上記ステップ42〜52)。
【0103】
【数17】
【0104】仮説X1,2は、既存追尾航跡T1の存在を肯
定している。この仮説X1,2に対しては、8つの航跡相
関行列36を矛盾なく組み合わせることができる。この
ため、処理の対象として仮説X1,2が選択されている
(上記ステップ40)場合は、次式数18に示す8つの
仮説X2,5〜X2,12が作成される(上記ステップ42〜
52)。
【0105】
【数18】
【0106】上記の如く、時刻t1およびt2に、観測ベク
トルZ1,1,Z2,1およびZ2,2が検出されると、時刻t1
に2つの仮説が作成され、時刻t2にそれらの仮説が更新
されることにより12個の仮説が作成される。時刻t2に
作成された12の仮説中では、5本の航跡T1〜T5の存
在が仮定されている。従って、上記図7に示す処理によ
れば、時刻t2において、クラスタ内に5本の航跡を仮定
する12個の仮説が記憶される。
【0107】次に、本実施形態の目標追尾装置10の特
徴部について説明する。目標追尾装置10によってある
程度の時間継続して目標を観測すると、多くの場合、あ
る領域内に存在する目標の数はほぼ確定する。目標の数
が確定すると、確定した目標数を仮説の条件として用い
ることにより、仮説の数を減らすことができる。本実施
形態の目標追尾装置10は、上記の手法により、仮説の
数が爆発的に増加するのを避ける点に特徴を有してい
る。
【0108】図1に示す如く、目標追尾装置10は、新
航跡誤信号総数推定部60を備えている。新航跡誤信号
総数推定部60には、観測ベクトル選択部14から観測
ベクトルが供給される。新航跡誤信号総数推定部60
は、その観測ベクトルを基礎として、クラスタ内に発生
する新航跡と誤信号の総数を推定する。上記の如く推定
された総数は、本実施形態の要部である仮説更新部38
に供給される。
【0109】仮説更新部38は、航跡相関行列算出部3
4において算出された航跡相関行列36と、目標追尾装
置10に既に記憶されている仮説と、上記の如く供給さ
れる新航跡と誤信号の総数とに基づいて、仮説の更新処
理を行う。
【0110】図10は、本実施形態において、仮説更新
部38が実行する一連の処理のフローチャートを示す。
図10に示すルーチンは、航跡相関行列36の演算が終
了する毎に実行される。図10に示すルーチンにおいて
は、先ずステップ62の処理が実行される。尚、図10
において、上記図7に示すルーチンと同一の処理を実行
するステップには、同一の符号を付してその説明を省略
する。
【0111】ステップ62では、新航跡誤信号総数推定
部60において推定される新航跡と誤信号の総数を読み
込む処理が実行される。
【0112】ステップ64では、航跡相関行列算出部3
4において算出された全ての航跡相関行列36の中か
ら、上記の総数と合致する行列を選択する処理が実行さ
れる。以下、本ステップ64で選択された行列を、有効
航跡相関行列と称す。
【0113】以後、仮説更新部38は、全ての有効航跡
相関行列と、既存の全ての仮説との組み合わせについて
所定の処理が実行されるように、ステップ40〜52の
処理を繰り返し実行する。
【0114】上記図7に示すルーチンによれば、航跡相
関行列算出部34において算出される全ての航跡相関行
列36を基礎として仮説が更新される。個々の航跡相関
行列36は、上述の如く、現実に実現される可能性のあ
る一つの状態を表している。しかし、航跡相関行列36
は、観測ベクトルが既存の航跡または新航跡から得られ
た可能性、および、観測ベクトルが誤信号である可能性
のそれぞれを最大限考慮し、各要素の組み合わせが現実
的であるか否かを一切考慮せずに算出される行列であ
る。このため、算出される航跡相関行列36の中には、
誤信号と新航跡との総数が非現実的な数となるものが含
まれることがある。
【0115】本実施形態において、仮説更新部38は、
このような非現実的な航跡相関行列36を除外して、現
実的に成立し得る有効航跡相関行列のみを基礎として仮
説の更新を行う。上記の処理によれば、個々の観測ベク
トルについて、それが既存航跡から得られたのか、新航
跡から得られたのか、或いは、誤信号であるのかについ
て全ての可能性が考慮されると共に、全ての観測ベクト
ルについての判断を組み合わせて全体の状況を判断する
際に、新航跡と誤信号の総数を条件として、現実性の高
い仮説のみを作成することができる。
【0116】上記数16式に示す8つの航跡相関行列3
6において、Ω(H2,1),Ω(H2,3),Ω(H2,6),Ω(H
2,8)は、新航跡と誤信号の総数が2つであることを仮定
している。従って、新航跡と誤信号の総数が“1”以下
であると推定される場合は、上記ステップ64の処理に
より、これらの航跡相関行列36が有効航跡相関行列か
ら除外される。この場合、仮説更新部38においては、
次式数19に示す4個の航跡相関行列にみが仮説更新の
基礎として用いられる。
【0117】
【数19】
【0118】上記数19式に示す4つの行列のみが有効
航跡相関行列として選択される場合、上記数17式に示
す4つの仮説は、何れも作成されない。また、この場
合、上記数18式に示す8つの仮説のうち、X2,5,X
2,7,X2,10,X2,12の4つは作成されない。つまり、
本実施形態の仮説更新処理によれば、図4に示す如く観
測ベクトルZk,jが検出される場合に、時刻t2において
作成される仮説を、次式数20に示す4つに抑制するこ
とができる。
【0119】
【数20】
【0120】このように、本実施形態の目標追尾装置1
0によれば、図3および図4に示す状況下で、仮に新航
跡と誤信号の総数が“1”以下であると推定された場合
に、上記図7に示す処理によって12個作成されていた
仮説の数を、4個にまで減少させることができる。この
ため、本実施形態の目標追尾装置10によれば、上記図
7に示す処理を実行する場合と同様に高い追尾能力を確
保しつつ、仮説数を減らして、処理の負荷を下げること
ができる。
【0121】次に、本実施形態の目標追尾装置10にお
いて、新航跡誤信号総数推定部60が、新航跡と誤信号
の総数を推定する手法について説明する。新航跡と誤信
号の総数Sは、サンプリング時刻tk-1における仮説Xk-
1,rと、サンプリング時刻tk-1におけるNk-1個の既追尾
航跡Tnのそれぞれに対応するゲート内で、サンプリン
グ時刻tkにおいて検出されたのmk個の観測ベクトルZ
k,jとに基づいて、以下の手順により推定することがで
きる。
【0122】既追尾航跡Tnに対応するNk-1個のゲート
全体の容積Vkは、予め設定された所定の手法で演算す
ることができる。誤信号に起因する観測ベクトルの個数
(以下、単に誤信号の個数と称す)がポアソン分布に従
うとした場合に、時刻tkにおける単位体積あたりの誤信
号の平均値をβkFTとすると、時刻tkにおいて検出され
る誤信号の総数はβkFT・Vkと表すことができる。
【0123】同様に、新航跡に起因する観測ベクトルの
個数(以下、単に新航跡の個数と称す)がポアソン分布
に従うとした場合に、時刻tkにおける単位体積あたりの
新航跡の平均値をβkNTとすると、時刻tkにおいて検出
される新航跡の総数はβkNT・Vkと表すことができる。
【0124】時刻tk-1における仮説Xk-1,rに含まれる
航跡数をNk-1TGT(r)とすると、誤信号と新航跡の総数
βkFT・Vk+βkNT・Vkについて、ポアソン分布の仮定
より次式数21の関係が成立する。但し、複数の目標が
1個に融合されて観測される場合は目標数を1とみな
す。
【0125】
【数21】
【0126】尚、上記数21式中、E[mk]は検出され
る観測ベクトル数の期待値、PDは目標の探知確率、PG
Kは時刻tkにおいて追尾対象目標がゲート内に存在する
確率である。
【0127】誤信号と新航跡の総数βkFT・Vk+βkNT
・Vkは、上記数21式を変形することにより、次式数
22の如く表すことができる。
【0128】
【数22】
【0129】上記数22式中、観測ベクトル数の期待値
E[mk]は、例えば、過去Nサンプルの観測ベクトル数
の平均値により代用することができる。また、探知確率
PDおよび存在確率PGKには、所定の値を用いることが
できる。更に、航跡数Nk-1TGT(r)は、仮説Xk-1,rに基
づいて計数することができる。従って、誤信号と新航跡
の総数βkFT・Vk+βkNT・Vkは、上記数22式を用い
ることにより精度よく推定することができる。
【0130】次に、誤信号と新航跡の総数βkFT・Vk+
βkNT・Vkを算出するための他の手法について説明す
る。上述した算出手法において、観測ベクトル数の期待
値E[mk]は、過去Nサンプルの観測ベクトル数の平均
値に設定される。このような手法は、センサが十分に高
い分解能を有している場合や、誤信号の発生頻度が高い
精度で確定できる場合に特に好適である。
【0131】しかしながら、1つに融合されていた複数
の目標を、新たに複数の目標として分離して観測する場
合や、誤信号の発生頻度が変化する場合には、推定精度
が悪化することがある。このような状況下では、新目標
および誤信号の総数を推定する際に、過去Nサンプルの
観測ベクトルの平均値に代えて、過去Nサンプルの観測
ベクトル数の最大値を用いることにより、高い推定精度
を得ることができる。誤信号と新航跡の総数βkFT・Vk
+βkNT・Vkは、次式数23により上記の手法で算出す
ることができる。
【0132】
【数23】
【0133】上記の推定手法によれば、センサが十分な
分解能を有していない場合や、誤信号の発生頻度が変化
する場合においても、誤信号と新航跡の総数βkFT・Vk
+βkNT・Vkを精度よく推定することができる。従っ
て、上記の推定手法によれば、センサが十分な分解能を
有していない場合や、誤信号の発生頻度が変化する場合
においても、目標追尾装置10に優れた追尾能力を与え
ることができる。
【0134】図1に示す如く、目標追尾装置10は、仮
説縮小部66を備えている。仮説縮小部66は、作成さ
れた複数の仮説に対して所定の評価を実行し、その評価
の結果に基づいて一部の仮説を削除または統合する処理
を行う。目標追尾装置10において、仮説が更新される
と、仮説の数は常に増加する。目標追尾装置10が扱う
仮説の数は、仮説縮小部66が上記の処理を実行するこ
とにより妥当な数に維持される。
【0135】尚、仮説縮小部66は、例えば、以下に示
す手法により仮説の縮小を行う。 (1)最も信頼度の高い仮説のみを残す。 (2)信頼度がある基準値以下の仮説はすてる。 (3)過去N時刻分の内容が同一の仮説を統合する。 (4)航跡数が同じで、各航跡の内容(位置、速度な
ど)がほぼ同一の仮説を統合する。 (5)信頼度の低い航跡を含む仮説をすてる。
【0136】目標追尾装置10は、クラスタ分離部68
を備えている。仮説が縮小されると、1つのクラスタ
が、複数のクラスタに分離可能となることがある。クラ
スタ分離部68は、仮説の縮小が行われた後に、クラス
タの分離が可能であるか否かを判断し、分離が可能な場
合に、それぞれのクラスタの仮説を再構成する処理を実
行する。上記の処理によれば、クラスタが不当に大きく
なるのを避けることができる。
【0137】目標追尾装置10は、目標表示部70を備
えている。目標表示装置72は、目標追尾装置10の動
作中、常にディスプレイ上に目標の航跡を表示し目標の
状態を使用者に示す。目標表示部70には、航跡決定部
72から目標に関する情報が提供される。
【0138】上述の如く、クラスタ内には、多くの場合
複数の仮説が存在し、何を使用者に示せばよいのか分か
らない状況にある。航跡決定部70は、クラスタ内に存
在する複数の仮説の中から、公知の手法で最善の仮説を
1つ選択し、その仮説に含まれる目標の数と目標の航跡
とを目標表示装置72に供給する。
【0139】尚、航跡決定部72で実行される決定処理
は、目標表示装置70への出力のみを目的として行われ
るもので、その処理の内容はシステム内の仮説の数には
反映されない。上記の手法によれば、現実性の高い仮説
を多数作成し、その中で最も適切な仮説に合致する情報
を使用者に提供することができる。
【0140】ところで、上記の実施形態においては、仮
説更新部38が、誤信号と新航跡の総数の推定値に合致
する航跡相関行列36のみを有効航跡相関行列とするこ
とにより、作成される仮説の数が爆発的に増加するのを
避けることとしているが、本発明は、これに限定される
ものではない。
【0141】すなわち、目標追尾装置10においては、
上記数22式または数23式を用いて、誤信号と新航跡
の総数の他に、観測される誤信号の数、観測される新航
跡の数、および、既追尾の航跡に対応するとして観測さ
れる観測ベクトルの数を推定することができる。
【0142】また、航跡相関行列36の現実性の判断
は、個々の行列が示す誤信号と新航跡の総数に基づいて
判断できると同様に、個々の行列が示す誤信号の数、新
航跡の数、または、既追尾の航跡に対応する観測ベクト
ルの数を基礎としても判断することができる。このた
め、有効航跡相関行列は、これらの推定数に基づいて選
択することとしてもよい。
【0143】尚、上記の実施形態においては、目標観測
装置12,観測ベクトル選択部14により前記請求項1
乃至4記載の「観測ベクトル検出手段」が、ゲート内判
定行列算出部30および航跡相関行列算出部34により
前記請求項1乃至4記載の「航跡相関情報作成手段」
が、仮説状況データ群22により前記請求項1乃至4記
載の「仮説記憶手段」が、新航跡誤信号総数推定部60
により前記請求項4記載の「総数推定手段」が、仮説更
新部38により前記請求項4記載の「第4の有効情報選
択手段」および「第4の仮説更新手段」が、それぞれ実
現されている。
【0144】また、上記の実施形態においては、新航跡
誤信号総数推定部60に、誤信号の数、新航跡の数、ま
たは、既追尾航跡に対応する観測ベクトルの数を推定さ
せることにより、それぞれ、前記請求項1記載の「誤信
号数推定手段」、前記請求項2記載の「新航跡数推定手
段」、および、前記請求項3記載の「既追尾航跡数推定
手段」がそれぞれ実現される。
【0145】更に、上記の実施形態においては、仮説更
新部38に、誤信号の数、新航跡の数、または、既追尾
航跡に対応する観測ベクトルの数に基づいて有効航跡相
関行列を選択させることにより、それぞれ、前記請求項
1記載の「第1の有効情報選択手段」および「第1の仮
説更新手段」、前記請求項2記載の「第2の有効情報選
択手段」および「第2の仮説更新手段」、および、前記
請求項3記載の「第3の有効情報選択手段」および「第
3の仮説更新手段」がそれぞれ実現される。
【0146】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
ているので、以下に示すような効果を奏する。請求項1
乃至4,および、請求項7乃至10記載の発明によれ
ば、誤信号の数、新航跡の数、既追尾航跡の数、また
は、誤信号と新航跡の総数の推定値に合致する航跡相関
情報のみが仮説の更新処理の基礎として用いられるた
め、仮説の更新処理により作成される仮説の数を抑制す
ることができる。
【0147】請求項5または11記載の発明によれば、
誤信号の数、新航跡の数、既追尾航跡の数、または、誤
信号と新航跡の総数を、過去所定期間に検出された観測
ベクトルの平均値に基づいて精度よく推定することがで
きる。
【0148】請求項6または12記載の発明によれば、
誤信号の数、新航跡の数、既追尾航跡の数、または、誤
信号と新航跡の総数を、過去所定期間に検出された観測
ベクトルの最大値に基づいて推定することにより、セン
サの分解能が低い場合や、誤信号の発生頻度が変化し易
い場合においても、それらの数を精度よく推定すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の目標追尾装置のブロ
ック構成図である。
【図2】 図1に示す目標追尾装置で実行される処理の
内容を説明するための図(その1)である。
【図3】 図1に示す目標追尾装置で実行される処理の
内容を説明するための図(その2)である。
【図4】 図1に示す目標追尾装置で実行される処理の
内容を説明するための図(その3)である。
【図5】 図1に示すシステム内クラスタ表の概念図で
ある。
【図6】 図1に示すクラスタ内観測ベクトル表の概念
図である。
【図7】 図1に示す仮説更新部において実行される仮
説更新処理と対比される処理のフローチャートである。
【図8】 図1に示す目標追尾装置で実行される処理の
内容を具体的に説明するための図(その1)である。
【図9】 図1に示す目標追尾装置で実行される処理の
内容を具体的に説明するための図(その2)である。
【図10】 図1に示す仮説更新部において実行される
仮説更新処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10 目標追尾装置、 14 観測ベクトル選択部、
16 クラスタ新設・統合部、 30 ゲート内
判定行列算出部、 34 航跡相関行列算出部、
36 航跡相関行列、 38 仮説更新部、 tk
サンプリング時刻、 Zk,j 時刻tkにおける観測ベ
クトル、 Tn 航跡、 mk 時刻tkに観測された
観測ベクトルの数、 Nk 時刻tkにおける既追尾航
跡の数。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを検
    出する観測ベクトル検出手段と、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応する航跡
    相関情報を作成する航跡相関情報作成手段と、 目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶手段と、 観測される誤信号の数を推定する誤信号数推定手段と、 前記航跡相関情報作成手段により作成される航跡相関情
    報の中から、前記誤信号数推定手段の推定結果と合致す
    る航跡相関情報を第1の有効航跡相関情報として選択す
    る第1の有効情報選択手段と、 前記仮説記憶手段に記憶されている既存の仮説を、前記
    第1の有効航跡相関情報に基づいて更新する第1の仮説
    更新手段と、 を備えることを特徴とする目標追尾装置。
  2. 【請求項2】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを検
    出する観測ベクトル検出手段と、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応する航跡
    相関情報を作成する航跡相関情報作成手段と、 目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶手段と、 観測される新航跡の数を推定する新航跡数推定手段と、 前記航跡相関情報作成手段により作成される航跡相関情
    報の中から、前記新航跡数推定手段の推定結果と合致す
    る航跡相関情報を第2の有効航跡相関情報として選択す
    る第2の有効情報選択手段と、 前記仮説記憶手段に記憶されている既存の仮説を、前記
    第2の有効航跡相関情報に基づいて更新する第2の仮説
    更新手段と、 を備えることを特徴とする目標追尾装置。
  3. 【請求項3】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを検
    出する観測ベクトル検出手段と、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応する航跡
    相関情報を作成する航跡相関情報作成手段と、 目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶手段と、 既追尾の航跡に対応して観測される観測ベクトルの数を
    推定する既追尾航跡数推定手段と、 前記航跡相関情報作成手段により作成される航跡相関情
    報の中から、前記既追尾航跡数推定手段の推定結果と合
    致する航跡相関情報を第3の有効航跡相関情報として選
    択する第3の有効情報選択手段と、 前記仮説記憶手段に記憶されている既存の仮説を、前記
    第3の有効航跡相関情報に基づいて更新する第3の仮説
    更新手段と、 を備えることを特徴とする目標追尾装置。
  4. 【請求項4】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを検
    出する観測ベクトル検出手段と、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応する航跡
    相関情報を作成する航跡相関情報作成手段と、 目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶手段と、 観測される誤信号と新航跡の総数を推定する総数推定手
    段と、 前記航跡相関情報作成手段により作成される航跡相関情
    報の中から、前記総数推定手段の推定結果と合致する航
    跡相関情報を第4の有効航跡相関情報として選択する第
    4の有効情報選択手段と、 前記仮説記憶手段に記憶されている既存の仮説を、前記
    第4の有効航跡相関情報に基づいて更新する第4の仮説
    更新手段と、 を備えることを特徴とする目標追尾装置。
  5. 【請求項5】 前記誤信号数推定手段、前記新航跡数推
    定手段、前記既追尾航跡数推定手段、または、前記総数
    推定手段は、過去所定期間の間に観測された観測ベクト
    ル数の平均値に基づいて、所望数の推定処理を行うこと
    を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の目標追
    尾装置。
  6. 【請求項6】 前記誤信号数推定手段、前記新航跡数推
    定手段、前記既追尾航跡数推定手段、または、前記総数
    推定手段は、過去所定期間の間に観測された観測ベクト
    ル数の最大値に基づいて、所望数の推定処理を行うこと
    を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の目標追
    尾装置。
  7. 【請求項7】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを検
    出する観測ベクトル検出ステップと、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応する航跡
    相関情報を作成する航跡相関情報作成ステップと、 目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶ステップ
    と、 観測される誤信号の数を推定する誤信号数推定ステップ
    と、 前記航跡相関情報作成ステップにより作成される航跡相
    関情報の中から、前記誤信号数推定ステップの推定結果
    と合致する航跡相関情報を第1の有効航跡相関情報とし
    て選択する第1の有効情報選択ステップと、 前記仮説記憶ステップに記憶されている既存の仮説を、
    前記第1の有効航跡相関情報に基づいて更新する第1の
    仮説更新ステップと、 を備えることを特徴とする目標追尾方法。
  8. 【請求項8】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを検
    出する観測ベクトル検出ステップと、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応する航跡
    相関情報を作成する航跡相関情報作成ステップと、 目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶ステップ
    と、 観測される新航跡の数を推定する新航跡数推定ステップ
    と、 前記航跡相関情報作成ステップにより作成される航跡相
    関情報の中から、前記新航跡数推定ステップの推定結果
    と合致する航跡相関情報を第2の有効航跡相関情報とし
    て選択する第2の有効情報選択ステップと、 前記仮説記憶ステップに記憶されている既存の仮説を、
    前記第2の有効航跡相関情報に基づいて更新する第2の
    仮説更新ステップと、 を備えることを特徴とする目標追尾方法。
  9. 【請求項9】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを検
    出する観測ベクトル検出ステップと、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応する航跡
    相関情報を作成する航跡相関情報作成ステップと、 目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶ステップ
    と、 既追尾の航跡に対応して観測される観測ベクトルの数を
    推定する既追尾航跡数推定ステップと、 前記航跡相関情報作成ステップにより作成される航跡相
    関情報の中から、前記既追尾航跡数推定ステップの推定
    結果と合致する航跡相関情報を第3の有効航跡相関情報
    として選択する第3の有効情報選択ステップと、 前記仮説記憶ステップに記憶されている既存の仮説を、
    前記第3の有効航跡相関情報に基づいて更新する第3の
    仮説更新ステップと、 を備えることを特徴とする目標追尾方法。
  10. 【請求項10】 目標の位置情報を含む観測ベクトルを
    検出する観測ベクトル検出ステップと、 前記観測ベクトルが、誤信号である可能性、既追尾の航
    跡に対応している可能性、および、新航跡である可能性
    を組み合わせて、実現可能な全ての状態に対応する航跡
    相関情報を作成する航跡相関情報作成ステップと、 目標の航跡に関する仮説を記憶する仮説記憶ステップ
    と、 観測される誤信号と新航跡の総数を推定する総数推定ス
    テップと、 前記航跡相関情報作成ステップにより作成される航跡相
    関情報の中から、前記総数推定ステップの推定結果と合
    致する航跡相関情報を第4の有効航跡相関情報として選
    択する第4の有効情報選択ステップと、 前記仮説記憶ステップに記憶されている既存の仮説を、
    前記第4の有効航跡相関情報に基づいて更新する第4の
    仮説更新ステップと、 を備えることを特徴とする目標追尾方法。
  11. 【請求項11】 前記誤信号数推定ステップ、前記新航
    跡数推定ステップ、前記既追尾航跡数推定ステップ、ま
    たは、前記総数推定ステップは、過去所定期間の間に観
    測された観測ベクトル数の平均値に基づいて、所望数の
    推定処理を行うことを特徴とする請求項7乃至10の何
    れか1項記載の目標追尾方法。
  12. 【請求項12】 前記誤信号数推定ステップ、前記新航
    跡数推定ステップ、前記既追尾航跡数推定ステップ、ま
    たは、前記総数推定ステップは、過去所定期間の間に観
    測された観測ベクトル数の最大値に基づいて、所望数の
    推定処理を行うことを特徴とする請求項7乃至10の何
    れか1項記載の目標追尾方法。
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CN113484857A (zh) * 2021-06-29 2021-10-08 北京理工大学 多源异构点迹融合的跟踪方法、装置、设备及存储介质
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