JPH11303914A - 摩擦ブレーキ装置 - Google Patents

摩擦ブレーキ装置

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JPH11303914A
JPH11303914A JP10790098A JP10790098A JPH11303914A JP H11303914 A JPH11303914 A JP H11303914A JP 10790098 A JP10790098 A JP 10790098A JP 10790098 A JP10790098 A JP 10790098A JP H11303914 A JPH11303914 A JP H11303914A
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brake
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brake shoe
friction
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Hideo Yoshikawa
英夫 吉川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転運動又は直線運動をする金属製制動対象
物と、金属製ブレーキシューと、同ブレーキシューの上
記制動対象物の側に密着させてある耐摩擦材からなるラ
イニングとを備え、ブレーキシューを制動対象物の方へ
押し、ライニングを制動対象物に当接させて、制動対象
物の回転運動又は直線運動を止める摩擦ブレーキ装置に
おいて、ブレーキ鳴きと呼ばれる高周波騒音を防止す
る。 【解決手段】 上記ライニングの中に金属又は非金属の
板状、棒状、線状、又は繊維状等の熱伝導体を埋設し、
これらの熱伝導体の端部を、ライニングの制動対象物側
及びブレーキシュー側の両方又は一方の表面に同一表面
的に露出させ、作動時に発生しライニングに蓄積される
熱を、上記熱伝導体及びその露出端を介して制動対象物
或いはブレーキシューへ放散させて、ブレーキ鳴きの原
因と考えられるライニングの温度上昇を抑制し、ブレー
キ鳴きを防止する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、航空機、車
両、特殊車両、自転車などの交通機械、或いは産業機
械、事務機械に用いられるドラムブレーキ、ディスクブ
レーキ、帯ブレーキ、ネジブレーキ等の摩擦ブレーキ装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図13は一般的なドラムブレーキの断面
図である。図において、1は車軸と共に回転するドラム
であり、回転方向は右回りあるいは左回りのいずれの場
合もある。2はブレーキシューであり、その一端部のア
ンカピン6によって、固定部に対して回動可能に支持さ
れている。3は上記ブレーキシューの上記ドラム側の表
面に取り付けられているライニングであり、上記ドラム
の内面に接触する部分である。4はブレーキシュー2と
ライニング3とが一体となったものをドラム1の内面に
押し付けるための油圧シリンダである。油圧シリンダの
代わりに空気圧シリンダを用いる場合もある。5は油圧
シリンダの押圧がない時にブレーキシュー2を引きライ
ニング3をドラム1から引き離すためのスプリングであ
る。
【0003】上記ブレーキ装置において、油圧シリンダ
4が作動すると、ブレーキシュー2はアンカピン6を支
点として回動し、ライニング3がドラム1の内面に接触
して制動作用が発揮される。油圧シリンダ4の作動が中
止されると、スプリング5の作用によってライニング3
はドラム1の内面から離れ、制動作用がなくなる。
【0004】従来のブレーキ装置ではその作動中に、い
わゆる「ブレーキの鳴き」と呼ばれる高周波騒音を発し
ていた。これを防止するために、多くの研究がなされて
きた。この研究は、ライニングの摺動速度vに対する摩
擦係数μの変化率が負になる時、即ちライニングの摺動
速度vが大になるにつれて摩擦係数μが減少する時に自
励振動により高周波音が発生するという、学界で広く認
められている前提で進められている。このため、ブレー
キシューの材質や表面粗さの選択に主眼をおいて研究が
進められてきた。
【0005】図14は、従来の研究成果を盛り込んで実
用されているブレーキシュー及びライニングの例であ
り、図13のZ部の部分拡大断面図である。図におい
て、ブレーキシュー2は鋼板製又は鋳造品である。ライ
ニング3はアラミド繊維、アスベスト、グラファイト粒
子、ガラス繊維等を混合し、アラミド繊維等の有機繊維
と複合させて成形されている。ライニングはブレーキシ
ューに、ボルト7等接合材で取り付けるか、または接着
材で貼り付けてある。
【0006】また上記の研究のほか、ライニング及びシ
ューの構造体とが連成振動するとしてモデル化した解析
によって、これら各部の剛性を変化させたブレーキ装置
も用いられている。しかし、上記の種々の研究結果やそ
れらの組み合わせによっても、未だこの「ブレーキの鳴
き」を防止する完全な手段は得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ライニングは、アラミ
ド繊維、アスベスト、グラファイト粒子、ガラス繊維等
からなる複合材である。個々の構成成分によって熱伝導
率がそれぞれ異なり、放熱量も異なるので、微細に見る
と局部的な温度の分布が異なる。その結果、局部的な異
常高温が発生した微細な部分が局部的に溶融し或いは剥
離が起こる。そこで摺動速度の増加に対する固体摩擦係
数の減少が起こる。即ち、ライニングの表層の一部が局
部的に溶融或いは剥離し、完全な固体摩擦ではなく、部
分的に溶融物が介在した摩擦、あるいは固体剥離片が介
在した摩擦となるため、摩擦係数が減少する。したがっ
て、ライニングの表層部に熱の蓄積が生じないようにす
れば、溶融・剥離が起こらず、摩擦係数の減少もなくな
り、ブレーキ鳴きも防止されることになる。
【0008】本発明は、従来のブレーキ装置の欠点を解
消するために成されたものであって、ブレーキドラムと
ライニングとの間に発生し、特にライニングの表層部に
蓄積される熱が「ブレーキの鳴き」の原因であるという
見解に基づいてなされたものである。即ち、ライニング
表層の熱を熱伝導によって、ブレーキシュー、ブレーキ
ドラムの一方又は両方へ伝達し拡散させ、ライニング表
層部の熱の蓄積を低減させて、温度の低下を図り、局部
溶融或いは剥離を防止し、摺動速度に対する摩擦係数の
減少を防ぐことによって、「ブレーキ鳴き」を防止しよ
うとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
したものであって、回転運動又は直線運動をする金属製
制動対象物と、金属製ブレーキシューと、同ブレーキシ
ューの上記制動対象物の側に密着させてある耐摩擦材か
らなるライニングとを備え、ブレーキシューを制動対象
物の方へ押し、ライニングを制動対象物に当接させて、
制動対象物の回転運動又は直線運動を止める摩擦ブレー
キ装置において、次の特徴を有する摩擦ブレーキ装置に
関するものである。
【0010】(1) 上記ライニングの中に金属又は非
金属の板状、棒状、線状、又は繊維状等の熱伝導体を埋
設し、これらの熱伝導体の端部を、ライニングの制動対
象物側及びブレーキシュー側の両方又は一方の表面に同
一表面的に露出させ、作動時に発生しライニングに蓄積
される熱を、上記熱伝導体及びその露出端を介して制動
対象物或いはブレーキシューへ放散させてライニングの
温度上昇を抑制し、ブレーキ鳴きと呼ばれる高周波騒音
を防止する。
【0011】(2) 上記(1)項に記載の摩擦ブレー
キ装置において、上記ライニングの本体部の材料はアス
ベスト材、有機材、又は焼結材に、グラファイト粒子又
はガラス繊維の両方または一方を混入したものから成
り、上記の埋設する熱伝導体は板状、棒状、線状、繊維
状、もしくはフエルト状の鋼、アルミニウム合金、銅、
もしくはチタン、又はフエルト状、もしくはマット状の
炭素繊維から成り、同熱伝導体は予め埋設状態にしてか
らライニング本体部材料を固形化して成形するか、既に
固形化し成形されたライニング本体部材料の中に熱伝導
体を埋設する孔を設け熱伝導材を挿入し接着材を用いて
固着する。
【0012】上記装置において、熱伝導体は当接する相
手側の金属製制動対象物又は金属製ブレーキシューへラ
イニングの熱を放散してライニングの温度上昇を抑制
し、ライニングの溶融・剥離を防止する。その結果、溶
融・剥離によって生じていた摺動速度に対する摩擦係数
の減少を防ぎ、これによってブレーキ鳴きと呼ばれる高
周波騒音を防止する。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の第1形態に
係る摩擦ブレーキ装置の部分断面図であり、図の(a)
は図13のZ部相当部分の拡大図、(b)は(a)のI
−I断面図である。図において、1は従来技術と同じ金
属製のブレーキドラム、2は従来技術と同じ金属製のブ
レーキシュー、30は従来技術と同じ材料で製作されて
いるライニングの本体部である。31は同ライニング本
体部に埋設された板状の熱伝導体である。ライニング本
体部30と熱伝導体31とからライニング3が形成され
ている。熱伝導体31としては、鉄系金属、非鉄系金
属、または炭素繊維が用いられる。鉄系金属板として
は、鋼板、ステンレス鋼板が用いられ、非鉄系金属とし
ては、アルミ合金、銅またはチタンの板が用いられる。
炭素繊維としては、フェルト状のもの、又はマット状の
ものが用いられる。
【0014】これらの熱伝導体を埋設する手段として
は、予め埋設状態にしてからライニングを固形化し成形
するか、既に固形化し成形されたライニングの中に熱伝
導体を埋設する孔を穿設し、その中へ熱伝導体を接着材
を用いて埋設固着する。このようにして形成されたライ
ニング3をブレーキシュー2に接着材を用いて貼り付け
る。ボルト等で取り付けてもよい。熱伝導体31はライ
ニング3の表層部の熱をブレーキシュー2及びブレーキ
ドラム1へ放散させるために埋設するものであるから、
熱伝導体31の端面とブレーキシュー2及びブレーキド
ラム1とが確実に接触していることが必要である。この
目的を達成するため、熱伝導体31の端面がライニング
のブレーキシュー側及びドラム側の表面に同一表面的に
露出するよう埋設する。この実施形態では、熱伝導体は
ブレーキシュー側及びドラム側の両側へ露出するものを
示したが、一方の側にのみ露出させてあってもよい。
【0015】図2は本発明の実施の第2形態に係る摩擦
ブレーキ装置の部分断面図であり、図の(a)は図13
のZ部相当部分の拡大図、(b)は(a)のII−II断面
図である。図において、32はライニング本体部30に
埋設された板状の熱伝導体であり、板を折り曲げた形状
のものである。ライニング本体部30と熱伝導体32と
からライニング3が形成されている。熱伝導体32とし
ては、第1実施形態と同様の鉄系金属、非鉄系金属、ま
たは炭素繊維が用いられる。これらの熱伝導体の埋設手
段も第1実施形態と同様である。板状の熱伝導体32を
折り曲げ形状としている理由は、ライニング本体部30
と熱伝導体32との接触面積の増加を図るためである。
上記以外の部分の構成及び製作法は第1実施形態と同じ
である。
【0016】図3は本発明の実施の第3形態に係る摩擦
ブレーキ装置の部分断面図であり、図の(a)は図13
のZ部相当部分の拡大図、(b)は(a)の III−III
断面図である。図において、33は板状の熱伝導性連結
体である。これは熱の放散部において、熱を均一に放散
させるために設けられたものであり、熱伝導体31と同
様の材料で製作されたものである。上記以外の部分の構
成及び製作法は第1実施形態と同じである。
【0017】図4は本発明の実施の第4形態に係る摩擦
ブレーキ装置の部分断面図であり、図の(a)は図13
のZ部相当部分の拡大図、(b)は(a)のIV−IV断面
図である。図において、34は第3実施形態の熱伝導性
連結体33と同様のものであるが、その位置が変更され
ている。また形状は、板状であっても棒状であってもよ
い。これは、熱蓄積部における熱の蓄積のアンバランス
を解消して、均一な放熱を行わせるために設けられたも
のである。上記以外の部分の構成及び製作法は第1実施
形態と同じである。
【0018】図5は本発明の実施の第5形態に係る摩擦
ブレーキ装置の部分断面図であり、図の(a)は図13
のZ部相当部分の拡大図、(b)は(a)のV−V断面
図である。図において、35は棒状の熱伝導体である。
棒の代わりに針金を用いてもよい。その場合は熱伝導体
の数を増やすとよい。上記以外の部分の構成及び製作法
は第1実施形態と同じである。特に本実施形態の場合
は、予め固形化されたライニングに、熱伝導体を挿入す
る孔を穿設し、そこに熱伝導体を接着材を介して挿入・
固定することができる。
【0019】図6は本発明の実施の第6形態に係る摩擦
ブレーキ装置の部分断面図であり、図の(a)は図13
のZ部相当部分の拡大図、(b)は(a)のVI−VI断面
図である。図において、36は熱伝導体の金属・非金属
の細線或いは繊維である。上記以外の部分の構成は第1
実施形態と同じである。本実施形態の場合の熱伝導体埋
設方法は、固形化していないライニングの中に埋設状態
にした後、ライニングを固形化し成形するものである。
【0020】以上6種類の実施形態について述べた。し
かしながら、本発明は上記の実施形態に限定されるもの
ではなく、ライニングに蓄積される熱を放散させるとい
う本発明の基本精神を逸脱しない範囲で、例えば上記の
各実施形態に示した個々の要素を組み合わせるなどし
て、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0021】次に従来の摩擦ブレーキ装置と本発明の摩
擦ブレーキ装置との実験による高周波騒音発生比較試験
の結果について述べる。図7は摩擦力測定装置の正面図
である。図において50は回転軸によって回転可能に保
持された鋼製円筒、51は同円筒の外周に当接する試験
片、52は鋼製の試験片ホルダ、53は同試験片ホルダ
の下面に取り付けられているナイフエッジ、54はナイ
フエッジに上向きの荷重を加える負荷レバー、55は摩
擦力測定レバー、56は同摩擦力測定レバーに設けられ
上記の負荷レバーを支えるナイフエッジ、57は摩擦力
測定レバーの調節用分銅、58は負荷レバー54の端部
に吊り下げられた荷重設定用重錘、59は摩擦力測定レ
バー55の端部に吊り下げられた摩擦力測定用重錘であ
る。
【0022】この装置において、鋼製円筒が回転し、荷
重設定用重錘によって試験片に荷重がかけられると、試
験片接触部に生じた摩擦力Fはナイフエッジ及び負荷レ
バーを介して摩擦力測定レバーに伝わる。摩擦力測定レ
バーはナイフエッジ56の下端を中心として左右の釣合
いを調節用分銅57によって調節して取り付けられてい
るが、鋼製円筒の回転によって生じた摩擦力Fによっ
て、負荷レバーに横方向の力fがかかり、摩擦力測定レ
バー55は重錘側が持ち上がる方に傾く。この時、摩擦
力測定用重錘に図示していない別の重錘を追加し、摩擦
力測定レバーが逆方向に傾いた瞬間の重錘の数値で摩擦
力を知ることができる。
【0023】図8は上記測定装置の試験片付近の拡大図
である。この装置では、直径29.2mmの鋼製円筒5
0をブレーキドラムと見做して480rpmで回転させ
摺動面速度が1.24m/sとなるようにし、これにラ
イニングの試験片51を56kgの荷重を掛けて押し付
けて平均面圧0.22kg/mm2 を実現し、実物とほ
ぼ同じ条件で試験ができるようにしたものである。温度
は試験片の中央部の温度測定点60で測定するようにし
た。実物のドラムブレーキは、ドラムの内面にライニン
グを押しつけるが、実験ではドラムの外面にライニング
を押しつけるようにしている。このようにしても試験片
の表面に摺動摩擦が生ずればよいのであるから、摺動面
の湾曲方向の違いは問題ではなく、実物を模擬している
ことには変わりはない。
【0024】図9はこの試験に使用した試験片Aの2面
図である。これはアラミド繊維にグラファイト粉とガラ
ス繊維片とを混入して接着材で固めて製作された現在実
用されているライニングより切り出したものであり、従
来技術を模擬したものである。試験片の寸法は図示のよ
うに、高さ12.5mm、幅12.5mm、長さ20m
mである。
【0025】図10はこの試験に使用した試験片Bの2
面図である。これは上記と同じく現在実用されているラ
イニングより切り出したものに、1mm径の針金61を
8本埋設したものである。埋設方法は上記切り出したラ
イニングに埋設用の孔を穿設し針金を挿入し接着材を用
いて固着した。これは本発明の第5実施形態のライニン
グを模擬したものである。試験片Bの寸法は試験片Aの
寸法と同じである。
【0026】図11は上記試験片A,Bを用いて行った
試験における、経過時間と試験片温度との関係図であ
る。試験片A(従来型)は音圧レベル115dBで高周
波騒音を伴う騒音を発生しブレーキ鳴きが有った。ま
た、220°Cのほぼ平衡温度に達するまでに約50分
を要し、局部温度の変動の振幅も大きかった。
【0027】一方、試験片B(本発明)は音圧レベルは
65dBであり、高周波騒音の発生は無かった。また、
最大温度165°Cの平衡温度に達するまでに約20分
しかかからず、局部温度の変動振幅も比較的小さく、温
度の均一性が保たれることが明らかとなった。
【0028】図12は上記試験による摺動速度に対する
摩擦係数μの関係図である。試験片Aにおいては、速度
増加に対する摩擦係数の減少があり、ブレーキ鳴きが生
じていたが、試験片Bにおいては、速度増加につれて摩
擦係数も増加し、かつブレーキ鳴きも生じなかった。
【0029】以上に述べた試験結果を検討した結果、次
の結論に達した。即ち、試験片A(従来型)において
は、図11に見られるように、温度の変動が大きいとい
う現象によって、ライニングの表面に局部的な異常高温
による局部的溶融や剥離が生じ、その際間欠的な物体移
動による局部的熱放散が起こっていると推測された。こ
の局部的溶融や剥離が、図12に見られるような摺動速
度に対する摩擦係数の減少の原因であることは容易に推
定されることである。この摩擦係数の減少によってブレ
ーキ鳴きが生じているものと推測された。
【0030】一方試験片B(本発明)においては、熱伝
導体(針金61)の作用によって定常的に熱が放散され
るため、局部的異常高温が発生せず、局部的溶融や剥離
が起こらず、その結果、図11にみるように、温度変化
がなだらかであり、従って図12にみるように、局部的
溶融や剥離に起因して起こる摺動速度に対する摩擦係数
の減少も生じておらず、従って、ブレーキ鳴きも生じな
かったと推測された。
【0031】この検討結果によって、熱伝導体はライニ
ングの熱の放散に効果があり、熱を放散させることによ
って局部的溶融や剥離、及びそれに起因する摺動速度に
対する摩擦係数の減少も防止できるので、「ブレーキ鳴
き」を止める手段として有効であるとの結論が得られ
た。
【0032】
【発明の効果】本発明の摩擦ブレーキ装置においては、
ライニングの中に金属又は非金属の板状、棒状、線状、
又は繊維状等の熱伝導体を埋設し、これらの熱伝導体の
端部を、ライニングの制動対象物側及びブレーキシュー
側の両方又は一方の表面に同一表面的に露出させ、作動
時に発生しライニングに蓄積される熱を、上記熱伝導体
及びその露出端を介して制動対象物或いはブレーキシュ
ーへ放散させてライニングの温度上昇を抑制しているの
で、ブレーキ鳴きと呼ばれる高周波騒音を防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係る摩擦ブレーキ装
置の部分断面図である。
【図2】本発明の実施の第2形態に係る摩擦ブレーキ装
置の部分断面図である。
【図3】本発明の実施の第3形態に係る摩擦ブレーキ装
置の部分断面図である。
【図4】本発明の実施の第4形態に係る摩擦ブレーキ装
置の部分断面図である。
【図5】本発明の実施の第5形態に係る摩擦ブレーキ装
置の部分断面図である。
【図6】本発明の実施の第6形態に係る摩擦ブレーキ装
置の部分断面図である。
【図7】本発明の有効性を確認するために用いた摩擦力
測定装置の正面図である。
【図8】上記測定装置の試験片付近の拡大図である。
【図9】上記試験に使用した試験片A(従来型)の2面
図である。
【図10】上記試験に使用した試験片B(本発明)の2
面図である。
【図11】上記試験片A,Bを用いて行った試験におけ
る、経過時間と試験片温度との関係図である。
【図12】上記試験による摺動速度に対する摩擦係数μ
の関係図である。
【図13】一般的なドラムブレーキ装置の断面図であ
る。
【図14】従来の摩擦ブレーキ装置の部分断面図であ
る。
【符号の説明】
1 回転ドラム 2 ブレーキシュー 3 ライニング 4 油圧シリンダ 5 スプリング 6 アンカピン 7 ボルト 30 ライニング材本体部 31 板状の熱伝導体 32 折り曲げた板状の熱伝導体 33 熱伝導性連結体 34 熱伝導性連結体 35 棒状の熱伝導体 36 線状の熱伝導体 50 鋼製円筒 51 試験片 52 試験片ホルダ 53 ナイフエッジ 54 負荷レバー 55 摩擦力測定レバー 56 ナイフエッジ 57 調節用分銅 58 荷重設定用重錘 59 摩擦力測定用重錘 60 温度測定点 61 針金

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転運動又は直線運動をする金属製制動
    対象物と、金属製ブレーキシューと、同ブレーキシュー
    の上記制動対象物の側に密着させてある耐摩擦材からな
    るライニングとを備え、ブレーキシューを制動対象物の
    方へ押し、ライニングを制動対象物に当接させて、制動
    対象物の回転運動又は直線運動を止める摩擦ブレーキ装
    置において、上記ライニングの中に金属又は非金属の板
    状、棒状、線状、又は繊維状等の熱伝導体を埋設し、こ
    れらの熱伝導体の端部を、ライニングの制動対象物側及
    びブレーキシュー側の両方又は一方の表面に同一表面的
    に露出させ、作動時に発生しライニングに蓄積される熱
    を、上記熱伝導体及びその露出端を介して制動対象物或
    いはブレーキシューへ放散させてライニングの温度上昇
    を抑制し、ブレーキ鳴きと呼ばれる高周波騒音を防止す
    ることを特徴とする摩擦ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 上記ライニングの本体部の材料はアスベ
    スト材、有機材、又は焼結材に、グラファイト粒子又は
    ガラス繊維の両方または一方を混入したものから成り、
    上記の埋設する熱伝導体は板状、棒状、線状、繊維状、
    もしくはフエルト状の鋼、アルミニウム合金、銅、もし
    くはチタン、又はフエルト状、もしくはマット状の炭素
    繊維から成り、同熱伝導体は予め埋設状態にしてからラ
    イニング本体部材料を固形化して成形するか、既に固形
    化し成形されたライニング本体部材料の中に熱伝導体を
    埋設する孔を設け熱伝導材を挿入し接着材を用いて固着
    することを特徴とする請求項1に記載の摩擦ブレーキ装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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TWI615315B (zh) * 2010-07-01 2018-02-21 島野股份有限公司 用於自行車制動墊片的冷卻板件
CN115126808A (zh) * 2022-03-31 2022-09-30 北京科技大学 一种适合高速制动的铜基粉末冶金摩擦材料及其制备方法

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