JP3546373B2 - ディスクブレーキ用摩擦パッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はディスクブレーキ用摩擦パッドに関し、更に詳細には複数個の貫通孔が穿設された金属製のバックプレートの一面側に、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物を含有する摩擦形成材から成る摩擦材が密着状態で接合されたディスクブレーキ用摩擦パッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用又は二輪用のディスクブレーキに使用されている摩擦パッドは、通常、図9に示す摩擦パッドが用いられている。図9に示す摩擦パッド100は、二個の貫通孔102,102が穿設された金属製のバックプレート104の一面側に、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物を含有する摩擦形成材から成る摩擦材106が密着状態で接合されているものである。かかる摩擦材106とバックプレート104とは、バックプレート104の一面側に塗布された熱硬化性接着材(図示せず)によって接着されている。更に、図9のX−Xにおける断面図である図10に示す様に、バックプレート104に穿設された貫通孔102,102に摩擦材106の一部が嵌入して両者を凹凸係合している。この凹凸係合は、摩擦材106とバックプレート104との接合の完全化を図っている。
尚、バックプレート104の摩擦材106が密着された部分の外側部分に穿設された貫通孔103.103・・は、摩擦パッド100を車両に装着する際に用いられる装着用貫通孔である。
【0003】
この様な図9及び図10に示す摩擦パッド100は、バックプレート104の熱硬化性接着材を塗布した一面側に、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物を含有する摩擦形成材を所定形状に成形した予備成形品を重ね合せた後、バックプレート104の貫通孔102,102内に、予備成形品を形成する摩擦形成材の一部を充填しつつ、バックプレート104と予備成形品が硬化されて形成された摩擦材とを一体化するように、バックプレート104と予備成形品とを加熱・加圧処理することによって得ることができる。
かかる予備成形品としては、図11に示す様に、バックプレート104の貫通孔102,102に対応する部位に、突出部108,108を形成した予備成形品110を用いる。
更に、この予備成形品110とバックプレート104とを挟み込み、両者に加熱・加圧処理を施す上熱金型113と下熱金型114には、上熱金型113のバックプレート104と当接する面に、バックプレート104の貫通孔102,102内に進入し、予備成形品110に形成された突出部108,108を押圧する突起部116,116が形成されている。
【0004】
図11に示す様に、バックプレート104の貫通孔102,102に対応する部位に、突出部108,108を形成した予備成形品110とバックプレート104とを上熱金型113と下熱金型114との間に挟み込み、予備成形品110に加熱・加圧処理を施す。その際に、バックプレート104の貫通孔102,102内に挿入される上熱金型113の突起部116,116によって、予備成形品110に形成された突出部108,108にも加熱・加圧処理を施すことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示す製造方法によれば、バックプレート104の貫通孔102,102に対応する予備成形品110の部分にも、充分に加熱・加圧処理を施すことができるため、得られた摩擦パッド100の摩擦材106の硬度及び密度を可及的に均一とすることができ、摩擦パッド100の耐久性を良好にできる。
得られた摩擦パッド100を用いたディスクブレーキは、一般的に、図10に示す様に、ロータ120を挟んで摩擦パッド100,100が、その摩擦面の各々がロータ面に対向するように配設されている。
この摩擦パッド100,100の一方は、そのバックプレート104がキャリパ(図示せず)に設けられたピストン122によってロータ12の方向に押圧され、ロータ12の方向に移動したとき、他方の摩擦パッド100もロータ12の方向に移動し、摩擦パッド100,100の各摩擦材106の間にロータ120を挟み込んで制動力を発揮する。
【0006】
ところで、摩擦パッド100の摩擦係数(μ)について、ブーレーキダイナモメータによって検討したところ、摩擦パッド100の制動力を発揮させる操作を繰り返し、摩擦熱によって摩擦材106の摩擦面を600℃を超える高温としたとき、摩擦材106の摩擦係数(μ)が低下する現象が発生した。この現象は次のように考えられる。
つまり、摩擦材106,106の間にロータ120を挟み込んで制動力を発揮させる操作を繰り返し、ロータ面と接触する摩擦材106,106の各摩擦面が摩擦熱によって600℃を超える高温となったとき、摩擦材106,106に含有されている熱硬化性樹脂等の有機物の熱分解によって熱分解ガスが発生する。かかる熱分解ガスは、その一部が摩擦材106,106を通過して貫通孔102,102から抜け出るものの、摩擦材106の密度及び硬度は可及的に均一に形成されているため、大部分はロータ120側に抜け出ようとする。しかし、制動中は、摩擦材106の摩擦面はロータ面に当接している。このため、熱分解ガスは、摩擦面から抜け出にくなっており、摩擦材106の摩擦面とロータ面との間に蓄積し、摩擦材106の摩擦係数(μ)を低下させる。
【0007】
かかる摩擦材106の摩擦係数(μ)の低下割合は、摩擦材106に配合されている結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物の含有量を可及的に減少することによって、少なくし得るかも知れないが、摩擦材106とバックプレート104との結着を充分とすべく、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物を摩擦材106内に配合せざる得ず、制動の際の摩擦熱による有機物の熱分解によって発生する熱分解ガスをなくすことは極めて困難である。
このため、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物が配合された摩擦材106であっても、制動力を発揮させる操作を繰り返して摩擦材106の摩擦面を高温としても、摩擦材106の摩擦係数(μ)の低下を可及的に防止し得る摩擦パッドが望まれている。
【0008】
また、密度及び硬度は可及的に均一に形成されている摩擦材106を用いたディスクブレーキでは、ブレーキ操作の際にブレーキ音が発生し易く、その減少も望まれている。
そこで、本発明の課題は、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物が充分に配合された摩擦材であっても、その制動力を発揮させる操作を繰り返して摩擦面が高温となっても、摩擦材の呈する摩擦係数(μ)の低下を可及的に少なくでき、且つブレーキ音を可及的に減少し得るディスクブレーキ用摩擦パッドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく、先ず、摩擦パッド100の摩擦材106の硬度及び密度を測定したところ、バックプレート104の貫通孔102,102に対応する摩擦材106の部分は、他の摩擦材106の部分に比較して低硬度で且つ低密度の部分(以下、低硬度・低密度部分と称することがある)となっており、制動による摩擦熱によって摩擦材106の低硬度・低密度部分及びその近傍で熱分解ガスが発生しても、熱分解ガスは低硬度・低密度部分を通過して貫通孔106,106から抜け出し易い構造となっていることを知った。
一方、バックプレート104の板体部分に対応する摩擦材106の部分は、バックプレート104の貫通孔102,102に対応する摩擦材106の部分よりも高密度で且つ高硬度の部分(以下、高硬度・高密度部分と称することがある)となっており、制動による摩擦熱によって摩擦材106の高硬度・高密度部分及びその近傍で熱分解ガスが発生したとき、バックプレート104の貫通孔102,102から抜け出にくい構造となっていることも併せて知った。
【0010】
本発明者等は、この様な知見を基にして更に検討したところ、摩擦材が接合されるバックプレートの部分に多数個の貫通孔を穿設することによって、摩擦材の全体に高密度・高硬度部分と低密度・高硬度部分とを分散して形成でき、この摩擦材を具備する摩擦パッドによれば、制動力を発揮する操作を繰り返して摩擦熱によって摩擦面を高温としても、図9及び図10に示す従来の摩擦パッド100に比較して、摩擦材の摩擦係数(μ)の低下が少ないことを知り、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、複数個の貫通孔が穿設された金属製のバックプレートの一面側に、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物を含有する摩擦形成材から成る摩擦材が密着状態で接合されたディスクブレーキ用摩擦パッドにおいて、該摩擦材が密着されているバックプレートの部分の全面に亘って、前記摩擦材との密着面積に対して合計開口面積が15〜40%となるように、内径が8〜13mmの10個以上の貫通孔が穿設されていると共に、前記貫通孔の各々に前記摩擦形成材の一部が、前記バックプレートの他面と同一面となるように充填され、且つ前記バックプレートの板体部分に対応する摩擦材部分の硬度[ロックウエル硬度(HRR)]が70〜100であって、前記バックプレートの貫通孔に対応する摩擦材部分の硬度[ロックウエル硬度(HRR)]が、前記バックプレートの板体部分に対応する摩擦材部分の硬度に対して40〜70%であると共に、前記バックプレートの貫通孔に対応する摩擦材部分の密度が、前記バックプレートの板体部分に対応する摩擦材部分の密度に対して50〜80%であることを特徴とするディスクブレーキ用摩擦パッドにある。
【0012】
本発明に係るディスクブレーキ用摩擦パッドによれば、制動力を発揮させる操作を繰り返して摩擦熱によって摩擦材の摩擦面を600℃を超える高温としても、従来の摩擦パッドに比較して、摩擦材の摩擦係数(μ)を小さくできる。その理由は、以下の様に推察される。
つまり、本発明に係るディスクブレーキ用摩擦パッドでは、バックプレートに穿設された10個以上の貫通孔に対応する摩擦材の部分は、バックプレートの板体部分に対応する摩擦材の部分に比較して低硬度で且つ低密度の低硬度・低密度部分である。
このため、この低硬度・低密度部分が摩擦材の全体に分散して形成でき、制動力を発揮させる操作を繰り返して摩擦熱によって摩擦材の摩擦面を600℃を超える高温となって、摩擦材に含有された有機物が熱分解して熱分解ガスが発生しても、熱分解ガスは、その発生個所の直近に位置する摩擦材の低硬度・低密度部分を通過してバックプレートの貫通孔から容易に抜け出ることができる。
その結果、摩擦材の摩擦面とロータ面との間に熱分解ガス等のガス蓄積現象に因る摩擦材の摩擦係数(μ)の低下を可及的に防止できる。
また、摩擦材に低硬度・低密度部分が分散して形成されているため、ブレーキ操作等の際に、バックプレートと摩擦材との共振を防止でき、バックプレートと摩擦材との共振によって発生するブレーキ音も可及的に減少できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係るディスクブレーキ用摩擦パッドの一例を図1に示す。図1に示すディスクブレーキ用摩擦パッド10(以下、摩擦パッド10と称することがある)は、28個の貫通孔12,12・・が穿設された金属製のバックプレート14(厚さ5mm)の一面側に、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物を含有する摩擦形成材から成る摩擦材16が密着状態で接合されているものである。この貫通孔12は、摩擦材16が密着されているバックプレート14の密着部分の全面に亘って穿設された、内径9mmの円形の貫通孔であり、貫通孔12,12・・の合計開口面積は、摩擦材16が密着されているバックプレート14の部分の面積(密着面積;50cm2)に対して約36%である。
かかる摩擦材16とバックプレート14とは、バックプレート14の一面側に塗布された熱硬化性樹脂から成る接着材(図示せず)によって接着されていると共に、図1に示すY−Yにおける断面図である図2に示す様に、バックプレート14に穿設された貫通孔12,12・・の各々には、摩擦材16の一部が嵌入されて両者を凹凸係合している。
尚、バックプレート14の摩擦材16が密着された部分の外側部分に穿設された貫通孔13.13・・は、摩擦パッド10を車両に装着する際に用いられる装着用貫通孔である。
【0014】
図1及び図2に示す摩擦パッド10のA−A面における摩擦材16のロックウエル硬度(HRR)を図3(a)に示す。同様に、図9に示す従来の摩擦パッド100のB−B面における摩擦材106のロックウエル硬度(HRR)を図3(b)に併せて示す。
ここで、摩擦材16,106は、同一組成の摩擦形成材から成り且つ同一の温度及び加圧圧力で加熱・加圧処理が施されたものである。
図3(a)から明らかなように、図1及び図2に示す摩擦パッド10では、バックプレート14の一面側に接合された摩擦材16の一部が、貫通孔12内にバックプレート14の他面と同一面となるように充填されている。
これに対し、図9に示す従来の摩擦パッド100では、貫通孔102内に充填された摩擦材106の一部が充填されているものの、貫通孔102内の摩擦材106の面はバックプレート14の他面よりも低い。
また、図1及び図2に示す摩擦パッド10では、バックプレート14に穿設された貫通孔12に対応する摩擦材16の部分が、バックプレート14の板体部分14aに対応する摩擦材16の部分よりも低硬度である。この貫通孔12に対応する摩擦材16の低硬度部分は、摩擦材16の全体に分散して形成されている。
更に、貫通孔12に対応する摩擦材16の低硬度部分の平均硬度は、ロックウエル硬度(HRR)で44であって、バックプレート14の板体部分14aに対応する摩擦材16の高硬度部分の平均硬度[ロックウエル硬度(HRR)で82]に対して約54%である。
【0015】
一方、図3(b)に示す図9に示す従来の摩擦パッド100でも、バックプレート104に穿設された貫通孔102,102の各々に対応する摩擦材106の部分は、バックプレート104の板体部分104aに対応する摩擦材106の部分よりも低硬度である。
しかし、摩擦材106の低硬度部分は、摩擦材106に二箇所形成されているに過ぎず、且つ摩擦材106に形成された高硬度部分との硬度差は、図3(a)に示すものよりも小さい。つまり、図3(b)に示す貫通孔102,102の各々に対応する摩擦材106の低硬度部分の平均硬度は、ロックウエル硬度(HRR)が73であって、バックプレート104の板体部分104aに対応する摩擦材106の高硬度部分の平均硬度[ロックウエル硬度(HRR)で86]に対して約85%にも達する。
【0016】
また、図3に示す硬度と同様な個所の密度を測定した結果を図4に示す。図4(a)は、図1及び図2に示す摩擦パッド10のA−A面における摩擦材16の密度であり、図4(b)は、図9に示す従来の摩擦パッド100のB−B面における摩擦材106の密度である。
図4(a)から明らかなように、図1及び図2に示す摩擦パッド10では、バックプレート14に穿設された貫通孔12に対応する摩擦材16の部分は、バックプレート14の板体部分14aに対応する摩擦材16の部分よりも低密度である。この貫通孔12に対応する摩擦材16の低密度部分は、摩擦材16の全体に分散して形成されている。かかる摩擦材16の低密度部分は、図3(a)に示す低硬度部分とも一致する。
更に、貫通孔12に対応する摩擦材16の低密度部分の平均密度は、1.8×103kg/m3であり、バックプレート14の板体部分14aに対応する摩擦材16の高密度部分の平均密度(2.3×103kg/m3)に対して約78%である。
【0017】
一方、図4(b)に示す図9に示す従来の摩擦パッド100でも、バックプレート104に穿設された貫通孔102,102の各々に対応する摩擦材106の部分は、バックプレート104の板体部分104aに対応する摩擦材106の部分よりも低密度である。
しかし、摩擦材106の低密度部分は、摩擦材106に二箇所形成されているに過ぎず、且つ摩擦材106に形成された高密度部分との硬度差は、図4(a)に示すものよりも小さい。つまり、図4(b)に示す貫通孔102,102の各々に対応する摩擦材106の低密度部分の平均密度は、2.0×103kg/m3であって、バックプレート104の板体部分104aに対応する摩擦材106の高密度部分の平均密度(2.3×103kg/m3)に対して約87%にも達する。
【0018】
この様に、図1及び図2に示す摩擦パッド10の摩擦材16では、図9に示す従来の摩擦パッド100の摩擦材106に比較して、硬度及び密度の異なる部分が摩擦材16の全体に分散して形成されている。しかも、図1及び図2に示す摩擦パッド10の摩擦材16における硬度差及び密度差は、図9に示す従来の摩擦パッド100の摩擦材106よりも大きい。
かかる図1及び図2に示す摩擦パッド10を用いたディスクブレーキでは、図2に示す様に、ロータ20を挟んで図1に示す摩擦パッド10,10が、その摩擦材16,16の各摩擦面がロータ面に対向するように配設されており、キャリパ(図示せず)に設けられたピストン22による押圧によって摩擦パッド10,10の各摩擦材16の間にロータ20を挟み込んで制動力を発揮する。
【0019】
この制動力を発揮する操作を繰り返して摩擦熱によって、摩擦材16,16の摩擦面が600℃を超える温度となっても、摩擦材16の摩擦係数(μ)は、図9及び図10に示す摩擦材106に比較して大きい値とすることができる。この様に、摩擦熱によって摩擦材16の摩擦面を高温としても、その摩擦係数(μ)の値を高く保持できる理由は、以下のように考えられる。
つまり、制動の際に、摩擦熱によって摩擦材16,16に含有されている熱硬化性樹脂等の有機物が熱分解して熱分解ガスが発生しても、直近に低硬度で且つ低密度の低硬度・低密度部分が存在するため、熱分解ガスは低硬度・低密度部分を通過してバックプレート14の貫通孔12,12・・から抜け出ることができる。このため、熱分解ガスが摩擦材16の摩擦面とロータ面との間に蓄積することを可及的に防止でき、摩擦材16の摩擦面とロータ面との間に熱分解ガスが蓄積して発生する、摩擦材16の摩擦係数(μ)の低下現象を防止できる。
更に、図1及び図2に示す摩擦パッド10の摩擦材16では、硬度及び密度が異なる部分が摩擦材16の全体に分散して形成されているため、ブレーキ操作の際に、バックプレート14及び摩擦材16の共振が惹起され難く、ブレーキ音を可及的に小さくできる。
【0020】
かかる図1及び図2に示す摩擦パッド10を製造するには、図5に示す様に、28個の貫通孔12,12・・が穿設された金属製のバックプレート14(厚さ5mm、貫通孔12,12・・の合計開口面積がバックプレート14の摩擦材16の密着面積に対して約36%)の一面側に、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物を含有する摩擦形成材を所定形状に成形した予備成形品30を重ね合せた後、バックプレート14の貫通孔12,12・・内に、予備成形品30を形成する摩擦形成材の一部を充填しつつ、バックプレート14と予備成形品30が硬化されて形成された摩擦材16とを一体化するように、バックプレート14と予備成形品30とを加熱・加圧処理することにより得ることができる。
かかる予備成形品30としては、図5に示す様に、横断面形状が長方形のものを用いることが好ましい。
更に、この予備成形品30とバックプレート14とを挟み込み、両者に加熱・加圧処理を施す上熱金型32と下熱金型34とにおいて、バックプレート14と当接する上熱金型32の当接面、及び予備成形品30と当接する下熱金型34の当接面は、共に平坦面に形成されている。
【0021】
図5に示す様に、バックプレート14と横断面形状が長方形の予備成形品30とを上熱金型32と下熱金型34との間に挟み込み、予備成形品30に加熱・加圧処理を施すことによって、バックプレート14の貫通孔12,12・・内に、予備成形品30を形成する摩擦形成材を充填しつつ、予備成形品30を加熱・加圧処理できる。
かかる加熱・加圧処理の際に、バックプレート14の貫通孔12,12・・の各々に対応する予備成形品30の部分は、図11に示す如く、上熱金型113の突起部116,116で押圧されることがなく、バックプレート14の板体部に対応する部分に比較して加圧されない。
このため、得られた摩擦パッド10では、貫通孔12,12・・に対応する摩擦材部分は、バックプレート14の板体部に対応する摩擦材部分に比較して低硬度・低密度部とすることができる。
この加熱・加圧処理の条件は、摩擦材16の最高硬度、つまりバックプレート14の板体部分に対応する摩擦材部分の硬度[ロックウエル硬度(HRR)]が、70〜100とする条件を採用する。最高硬度が70(HRR)未満の場合、摩擦材16の強度が低下し、ペタルストロークが増加し且つブレーキフィーリングが低下する傾向にある。一方、最高硬度が100(HRR)を超える場合、ロータ20の表面にヒートスポットが発生し、ロータ20に肉厚差ができてジャダーの原因やロータ20と摩擦材16の摩擦面との接触が低下して部分的に発熱し易い傾向にある。
【0022】
図5に示す予備成形品30は、従来からディスクブレーキ用摩擦パッドの摩擦材に使用されている摩擦成形材によって形成できる。
また、バックプレート14には、摩擦材16との密着面積に対して合計開口面積が15〜40%となるように、10個以上の貫通孔12,12・・が穿設されていることが必要である。
更に、貫通孔12として、内径が8〜13mm(好ましくは8〜11mm)の円形の貫通孔12が穿設されたバックプレート14を用いる。かかる円形の貫通孔12は、プレス加工で容易に穿設できる。
ここで、貫通孔12の個数が10個未満のバックプレートでは、貫通孔の1孔当たりの開口面積が大きくなり過ぎ、バックプレートの強度が低下し易くなる。
また、貫通孔12,12・・の合計開口面積が、バックプレート14の摩擦材16との密着面積に対して15%未満となると、バックプレートに穿設された貫通孔が小径となるため、加熱・加圧処理の際に、予備成形品30を形成する摩擦形成材が貫通孔内に充填され難くなり、摩擦材とバックプレートとの接合力が接着材のみの接合力となるため、両者の接合力が低下し易い。一方、貫通孔12,12・・の合計開口面積が、バックプレート14の摩擦材16との密着面積に対して40%を超えると、摩擦材中に形成される低硬度・低密度部分が高硬度・高密度部分に対して大きくなり、摩擦材の剪断強度が低下し易くなる。
ところで、貫通孔12,12・・の穿設位置は、摩擦材16が密着されるバックプレート14の部分であることは勿論のことであるが、貫通孔12,12・・を、摩擦材16の外周縁から4〜5mmほど内部側となるように穿設することが好ましい。摩擦材16の外周縁は直接外気と接触し、摩擦材16の外周縁近傍で発生した熱分解ガスはスムーズに放出され易く、且つ貫通孔12に予備成形品30の摩擦形成材が充填される程度は、摩擦材16の外周縁近傍よりも内部側の貫通孔12が充填され易いためである。
【0023】
図1及び図2に示す摩擦パッド10において、バックプレート14に穿設された貫通孔12,12・・の各々に対応する摩擦材部分(低硬度・低密度部分)が、バックプレート14の板体部分14aに対応する摩擦材部分(高硬度・高密度部分)の硬度に対して40〜70%の硬度である。低硬度・低密度部分の硬度が、高硬度・高密度部分の硬度に対して70%を超えるときは、制動力を発揮させる操作を繰り返して摩擦熱によって摩擦材16の摩擦面を高温度としたとき、摩擦材16の摩擦係数(μ)の低下割合が大きくなり、ブレーキ音の防止効果が不充分となり易い。他方、低硬度・低密度部分の硬度が、高硬度・高密度部分の硬度に対して40%未満のときは、低硬度・低密度部分又は高硬度・高密度部分の硬度を著しく低く又は高くすることを要するため、摩擦材16の強度等の物性に悪影響を与え易くなる。
また、摩擦材16の低硬度・低密度部分が、高硬度・高密度部分の密度に対して50〜80%の密度である。低硬度・低密度部分の密度が、高硬度・高密度部分の密度に対して80%を超えるときは、熱分解ガスが低硬度・低密度部分を通過し難くなり、50%未満のときは、低硬度・低密度部分又は高硬度・高密度部分の密度を著しく低く又は高くすることを要するため、摩擦材16の強度等に悪影響を与え易くなる。
【0024】
以上の説明では、摩擦材16が密着されているバックプレート14の密着部分の全面に亘って多数個の貫通孔12,12・・が左右対称となるようにバックプレート14に穿設されているが、貫通孔12,12・・がバックプレート14に均一に分散されるように、貫通孔12,12・・をランダムにバックプレート14に穿設してもよい。
【0025】
【実施例】
実施例1
先ず、結着材としてのフェノール系熱硬化性樹脂を含む樹脂10重量%、アラミド繊維等の補強繊維30重量%、無機充填材30重量%、有機ダスト10重量%、研削材5重量%、及び潤滑材15重量%を、図5に示す様に、横断面形状が長方形の予備成形品30に予備成形した。
また、厚さ5mmの金属板に、内径8mmの円形の貫通孔12,12・・を32個穿設してバックプレート14とした。貫通孔12,12・・の合計開口面積は、摩擦材16が密着される部分の面積(密着面積;52.7cm2)に対して約30.5%である。
更に、このバックプレート14に脱脂処理を施した後、摩擦材16を密着する一面側に熱硬化性接着材を塗布した。
次いで、準備したバックプレート14の熱硬化性接着材を塗布した面に、横断面形状が長方形の予備成形品30の平坦面が接触するように、両者を重ね合せて図5に示す上熱金型32と下熱金型34との間に挟み込み、加熱・加圧処理を施した。この際の加圧圧力は、5.88×107Paであった。
【0026】
得られた摩擦パッドは、貫通孔12内に摩擦材16が十分に充填されており、図1及び図2に示すものであった。この貫通孔12に対応する摩擦材16の部分は、バックプレート14の板体部分14aに対応する摩擦材16の部分よりも低硬度で且つ低密度である。かかる低硬度で且つ低密度の部分(低硬度・低密度部分)の平均硬度は、ロックウエル硬度(HRR)で44であって、バックプレート14の板体部分14aに対応する摩擦材16の部分(高硬・高密度部分の平均硬度[ロックウエル硬度(HRR)で82]に対して約54%であった。
また、得られた摩擦パッド10を形成する摩擦材16の低硬度・低密度部分の平均密度は、1.8×103kg/m3であり、バックプレート14の板体部分14aに対応する摩擦材16の高密度部分の平均密度(2.3×103kg/m3)に対して約78%であった。
【0027】
比較例1
バックプレートとして、厚さ5mmの金属板に、内径18mmの円形の貫通孔102を2個穿設したバックプレート104[貫通孔102,102の合計開口面積は、摩擦材の密着面積(52.7cm2)に対して約8.4%]を形成した。このバックプレート14にも、脱脂処理を施した後、摩擦材を密着する一面側に熱硬化性接着材を塗布した。
更に、予備成形品として、実施例1と同組成の摩擦形成材によって、図11に示す予備成形品110を予備成形した。この予備成形品110は、バックプレート104の貫通孔102,102に対応する部位に、突出部108,108を形成したものである。
次いで、準備したバックプレート104の熱硬化性接着材を塗布した面に、バックプレート104の貫通孔102,102に対応する部位に、突出部108,108が位置するように、予備成形品30を重ね合せて図11に示す上熱金型113と下熱金型114との間に挟み込み、加熱・加圧処理を施した。この加熱・加圧処理の際に、上熱金型113に形成された突起部116,116は、バックプレート104の貫通孔112,112内に挿入され、貫通孔112,112内に進入した摩擦形成材を押圧した。
尚、この加熱・加圧処理の加圧圧力は、5.88×107Paであった。
【0028】
得られた摩擦パッドは、図9及び図10に示すものであり、貫通孔102に対応する摩擦材106の部分は、バックプレート104の板体部分104aに対応する摩擦材106の部分よりも低硬度で且つ低密度である。
しかし、この低硬度で且つ低密度の部分(低硬度・低密度部分)の平均硬度は、ロックウエル硬度(HRR)で73であって、バックプレート104の板体部分104aに対応する摩擦材106の部分(高硬・高密度部分の平均硬度[ロックウエル硬度(HRR)で86]に対して約85%であった。
また、得られた摩擦パッドを形成する摩擦材106の低硬度・低密度部分の平均密度は、2.0×103kg/m3であり、バックプレート104の板体部分104aに対応する摩擦材106の高密度部分の平均密度(2.3×103kg/m3)に対して約87%であった。
【0029】
実施例2
下記表1に示す様に、バックプレートに種々の口径の貫通孔を所定数穿設した後、実施例1と同様にして摩擦パッドを形成した(摩擦材の密着面積;52.7cm2)。
次いで、この摩擦パッドのバックプレートの貫通孔内に充填された摩擦材の充填状況、貫通孔に相当する部分の摩擦材の密度及び板体部分に対応する摩擦材の密度を調査し、表1に併せて示した。
【表1】
表1から明らかな様に、口径が7mm以下の貫通孔では、摩擦材が貫通孔内に未充填状態である。このため、バックプレートと摩擦材との結着力が低下する。これに対し、口径が8mm以上の貫通孔では、貫通孔内に摩擦材が充分に充填されている。
【0030】
次いで、貫通孔内に摩擦材が充分に充填されているNo.1、及びNo.3〜9の摩擦パッドについて、摩擦材とバックプレートとの剪断力を測定した。この剪断力は、(株)島津製作所製のアムスラー試験機(5トン)を使用し、10mm/分の剪断速度で測定した。その結果を表1に併せて示した。
表1から明らかな様に、貫通孔の口径が11mm程度までは、貫通孔の口径が大きくなるほど、摩擦材とバックプレートとの剪断力は向上する。摩擦材と貫通孔との嵌合による結着と、バックプレートと摩擦材との結着材による結着とが相乗されたためである。
唯、口径が12mm以上の貫通孔が穿設されたバックプレートを用いた摩擦パッド(No.8,No.9)では、口径が11mmの貫通孔が穿設されたバックプレートを用いた摩擦パッド(No.7)の剪断力よりも低下する傾向にある。
したがって、バックプレートに穿設された貫通孔内への摩擦材の充填状態及び摩擦パッドの摩擦材とバックプレートとの剪断力との関係から、口径が8〜11mmの貫通孔が穿設されたバックプレートを用いた摩擦材パッドが好ましい。
【0031】
実施例3
実施例1及び比較例1で得られた摩擦パッドの性能を、ブレーキダイナモメータを用いて評価した。この評価は、JASOC−406(一般効力試験)に準拠して行い、回転しているロータのロータ面に、摩擦パッドを構成する摩擦材の摩擦面を、ロータの回転を停止し得る力で当接せしめ、摩擦材の摩擦面の摩擦係数(μ)及び温度を測定した。
先ず、摩擦パッドの効力試験を行った。この効力試験では、100km/hrで回転しているロータのロータ面に摩擦パッドを所定の当接力で当接し、ロータの回転を停止する制動力を発揮させ、摩擦材の摩擦面の摩擦係数(μ)を測定した。かかる摩擦パッドの当接力を段階的に変更(ブレーキ減速度;0.1〜0.8G)し、各々の当接力における摩擦材の摩擦面の摩擦係数(μ)を測定した結果を図6(a)に示す。この図6(a)の縦軸は摩擦パッドの摩擦係数(μ)を示し、横軸は摩擦パッドの当接力を示す。横軸の右側ほど摩擦パッドの当接力が大きくなる。
ここで、摩擦パッドをロータに当接させて制動力を発揮させる直前の摩擦パッドの温度は、図6(b)に示す様に、一定温度(80℃)とした。
図6(a)に示す曲線Aが実施例1で得られた摩擦パッドについての結果であり、曲線Bが比較例1で得られた摩擦パッドについての結果である。図6(a)から明らかな様に、実施例1で得られた摩擦パッドは、比較例1で得られた摩擦パッドに比較して、摩擦パッドの当接力が小さい場合であっても、高い摩擦係数(μ)の値を示す。このことは、実施例1の摩擦パッドでは、比較例1の摩擦パッドに比較して、低硬度・低密度部分が多く形成されているため、小さい当接力でも摩擦材の摩擦面がロータ面に倣い易いことに起因するものと考えられる。
【0032】
次に、摩擦パッドのロータ面に対する当接力を一定(ブレーキ減速度;0.6G)とし、130km/hrで回転するロータのロータ面に、35秒間隔で摩擦パッドを繰り返し当接せしめ、摩擦材の摩擦面の摩擦係数(μ)及び温度を測定した。その結果を、図7(a)(b)に示した。図7(a)に示す曲線Aは実施例1で得られた摩擦パッドの摩擦材についてのものであり、曲線Bは比較例1で得られた摩擦パッドの摩擦材についてのものである。この図7(a)の縦軸は摩擦材の摩擦係数(μ)を示し、横軸は摩擦材とロータ面との当接回数を示す。横軸の右側ほど摩擦材とロータ面との当接回数が多くなる。
また、図7(b)は、摩擦材の摩擦面の温度を示し、いずれの摩擦パッドでも、摩擦材とロータ面との当接回数が多くなるほど摩擦面の温度は高くなるが、摩擦面の温度が600℃以上では温度上昇速度が遅くなり、700℃で略平衡状態となる。
かかる図7(a)(b)から明らかな様に、実施例1で得られた摩擦パッドは、比較例1で得られた摩擦パッドに比較して、摩擦材とロータ面との当接回数が多くなって摩擦面の温度が600℃を超える場合であっても、比較例1の摩擦パッドの摩擦材よりも大きい摩擦係数(μ)の値を呈する。このことは、実施例1の摩擦パッドでは、摩擦熱によって摩擦材中に含有されている有機物が熱分解されて発生した熱分解ガスが、比較例1の摩擦パッドに比較して、摩擦材の摩擦面とロータ面との間に蓄積され難いことを示している。
【0033】
図7(a)(b)に示す様に、摩擦材の摩擦面が700℃の高温となり、且つその摩擦係数(μ)が低下した摩擦材の摩擦面を、50km/hrで回転するロータのロータ面に対する当接力を一定(ブレーキ減速度;0.3G)とし、120秒間隔で摩擦材をロータ面に繰り返し当接せしめ、摩擦材の摩擦面の摩擦係数(μ)及び温度を測定した。その結果を、図8(a)(b)に示した。
摩擦パッドの摩擦面の温度を示す図8(b)から判るように、50km/hrで回転するロータのロータ面に対する当接力を一定とし、摩擦パッドの摩擦材とロータ面との当接間隔が120秒間の場合は、いずれの摩擦パッドの摩擦材は冷却され、その冷却速度は略等しい。
また、縦軸に摩擦材の摩擦係数(μ)を示し、横軸に摩擦材の当接回数を示す図8(a)では、横軸の右側ほど摩擦材のロータ面に対する当接回数が多くなる。かかる図8(a)において、曲線Aは実施例1で得られた摩擦パッドの摩擦材の摩擦係数(μ)ついての結果であり、曲線Bは比較例1で得られた摩擦パッドの摩擦材の摩擦係数(μ)についての結果である。
かかる図8(a)(b)から判るように、いずれの摩擦材の摩擦係数(μ)も、摩擦材の摩擦面が冷却されるに従って摩擦係数(μ)が次第に大きくなる。この摩擦係数(μ)が復帰する復帰速度は、実施例1の摩擦パッドが、比較例1の摩擦パッドに比較して速く、且つ摩擦係数(μ)の値も大きい。
【0034】
実施例4
実施例1で得られた摩擦パッドを、熱負荷の厳しいレーシングカーに実装してサーキットで実車テストを行った。その結果、高速走行において連続してブレーキ操作しても、摩擦材から発煙が認められたが、安定した制動力が得られた。また、ブレーキ操作の際のブレーキ音も小さかった。
【0035】
比較例2
比較例1で得られた摩擦パッドを、熱負荷の厳しいレーシングカーに実装してサーキットで実車テストを行った。その結果、高速走行において連続してブレーキ操作すると、摩擦材から発煙が認められると共に、制動距離が長くなった。
また、ブレーキ操作の際のブレーキ音も、実施例1で得られた摩擦パッドのブレーキ音よりも大きかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明のディスクブレーキ用摩擦パッドによれば、摩擦材の制動力を発揮させる操作を繰り返しても、摩擦材の摩擦係数(μ)の低下を可及的に抑制できると共に、ブレーキ音を可及的に小さくできるため、ブレーキ操作の多い山岳道路等でも安全で且つ快適な運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る摩擦パッドの一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す摩擦パッドのY−Yにおける断面図である。
【図3】図1に示すA−Aにおける硬度分布を、従来の摩擦パッドとの比較で説明する説明図である。
【図4】図1に示すA−Aにおける密度分布を、従来の摩擦パッドとの比較で説明する説明図である。
【図5】図1及び図2に示す摩擦パッドの製造方法を説明するための説明図である。
【図6】ブレーキダイナモメータを用いて評価した摩擦パッドの効力試験の結果を示すグラフである。
【図7】ブレーキダイナモメータを用い、所定間隔で摩擦パッドをロータ面に繰り返し当接せしめ、摩擦材の摩擦面の摩擦係数(μ)及び温度を測定した結果を示すグラフである。
【図8】ブレーキダイナモメータを用い、図7に示す摩擦材の摩擦面が高温となって摩擦係数(μ)が低下した摩擦パッドに対し、摩擦材の摩擦面のロータ面に対する当接力を一定とし、所定間隔で摩擦材をロータ面に繰り返し当接せしめ、摩擦材の摩擦面の摩擦係数(μ)及び温度を測定した結果を示すグラフである。
【図9】従来の摩擦パッドを示す正面図である。
【図10】図9に示す摩擦パッドのX−Xにおける断面図である。
【図11】図9及び図10に示す従来の摩擦パッドの製造方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 摩擦パッド
12 貫通孔
14 バックプレート
14a 板体部分
16 摩擦材
20 ロータ
22 ピストン
Claims (1)
- 複数個の貫通孔が穿設された金属製のバックプレートの一面側に、結着材としての熱硬化性樹脂等の有機物を含有する摩擦形成材から成る摩擦材が密着状態で接合されたディスクブレーキ用摩擦パッドにおいて、
該摩擦材が密着されているバックプレートの部分の全面に亘って、前記摩擦材との密着面積に対して合計開口面積が15〜40%となるように、内径が8〜13mmの10個以上の貫通孔が穿設されていると共に、前記貫通孔の各々に前記摩擦形成材の一部が、前記バックプレートの他面と同一面となるように充填され、
且つ前記バックプレートの板体部分に対応する摩擦材部分の硬度[ロックウエル硬度(HRR)]が70〜100であって、
前記バックプレートの貫通孔に対応する摩擦材部分の硬度[ロックウエル硬度(HRR)]が、前記バックプレートの板体部分に対応する摩擦材部分の硬度に対して40〜70%であると共に、
前記バックプレートの貫通孔に対応する摩擦材部分の密度が、前記バックプレートの板体部分に対応する摩擦材部分の密度に対して50〜80%であることを特徴とするディスクブレーキ用摩擦パッド。
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