JPH11303248A - 木造建築物の壁体及び同壁体の構築方法 - Google Patents

木造建築物の壁体及び同壁体の構築方法

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Publication number
JPH11303248A
JPH11303248A JP10124189A JP12418998A JPH11303248A JP H11303248 A JPH11303248 A JP H11303248A JP 10124189 A JP10124189 A JP 10124189A JP 12418998 A JP12418998 A JP 12418998A JP H11303248 A JPH11303248 A JP H11303248A
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JP
Japan
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wall
holes
lumber
mortise
wooden building
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Application number
JP10124189A
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English (en)
Inventor
Takemitsu Taira
武光 平
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TAIRA KOMUTEN KK
Original Assignee
TAIRA KOMUTEN KK
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Publication date
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  • Load-Bearing And Curtain Walls (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構築作業が簡単で、作業時間も短く、熟練度
も要せず、角材を積み上げて強度が大きく、吸湿性、断
熱性等に優れた壁体及びその構築方法を提供する。 【構成】 木材を積み上げた接合面を継手手段で継手し
て構築する木造建築物の壁体であって、継手手段は上下
木材の接合面から凹陥して形成され、かつ壁体の室内外
方向、或は室外内方向へ向けて設けられ、上下木材の接
合時に上下に連通する上下ほぞ孔と、上下ほぞ孔に一体
的に嵌着し得るように形成され、上下ほぞ孔に壁体の室
内側または室外側から打ち込まれる継ぎ栓部材とを有し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木造建築物の壁体
及びその構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、木材は木造建築物における主要な
材料であり、その有用性は依然として変わるものではな
く、一般住宅の構築において木材を用いた軸組工法、ツ
ーバイフォー工法、パネル式プレハブ工法等が慣用され
ている。なかでも、軸組工法は、壁体の骨組みである土
台、柱、桁、胴差し等を特殊な仕口や継手で連結し、こ
の骨組みの外面や内面を板張り仕上げや塗り仕上げ、或
はタイル等を張付け仕上げた構造であり、日本の伝統的
な工法として一般住宅に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記軸
組工法を用いて構築した壁体においては、内部が中空で
あるため、外界の湿気が壁体内の中空部に浸潤して結露
し、壁体内の木質材が腐食して弱体化し、壁体の強度や
耐久性を保持することができない。また、柱、桁、胴差
し等の仕口、継手の加工や現場施工において熟練した技
術者が必要であり、技術者が減少しつつある今日におい
ては、施工が遅延したり、施工費が割高となる欠点があ
る。また、室内の間取りや柱の位置は各住宅ごとに異な
るために、複数の住宅について柱、桁、胴差し等の構造
材やパネルを兼用することができず、各部材を工場等で
量産することができない。反面、前記ツーバイフォー工
法、パネル式プレハブ工法等は、住宅の壁体を構築する
ための構造材やパネルを工場で大量生産したものを、施
工現場へ搬入して組み立るが、これらは規格住宅の建築
に用いるように間取りや柱の位置等が設計されているた
め、購入者の希望に沿った個性的な住宅を構築できない
等の問題があった。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その一つの目的は、木材を横倒しに積
み上げて壁体を構築するものであって、積み上げた上下
木材の接合面に継ぎ栓部材を打ち込んで、上下木材の連
結強度を保持することができ、通常の建築用木材を使用
して強度が大きく、吸湿性や断熱性等に優れた壁体を構
築することができる木造建築物の壁体及びその構築方法
を提供することである。また、本発明の他の目的は、積
み上げた上下木材の接合面の複数箇所に形成される上下
ほぞ孔に継ぎ栓部材を打ち込むだけで壁体を構築するこ
とができ、熟練した作業者を必要とすることがなく、壁
体の構築作業を簡単で、作業時間も短時間で完了できる
木造建築物の壁体及びその構築方法を提供することであ
る。また、本発明の他の目的は、上下木材や継ぎ栓部材
を住宅構成部材として工場内であらかじめプレカットし
た量産化が可能であり、工業化された生産住宅を廉価に
供給することができる木造建築物の壁体及びその構築方
法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、基礎12の上面に沿って横倒し状の木材
14を積層させるようにして複数載設させ、各積層した
木材14の相互の接合面16を複数の継手手段18で継
手して構築させた木造建築物の壁体であって、前記継手
手段18は、積層された各上下木材14a、14bの相
互の接合面16から各々凹陥するように形成され、かつ
前記壁体10の室内外方向、或は室外内方向へ向けて設
けられ、それらの上下木材14a、14bの接合時に相
互に上下に連通するように設けられた上下ほぞ孔20
と、該接合時の上下ほぞ孔20に一体的に嵌着し得るよ
うに形成され、上下木材14a、14bの接合時にこの
上下ほぞ孔20に壁体の室内側または室外側から打ち込
まれる継ぎ栓部材22とを有してなる木造建築物の壁体
10から構成される。
【0006】また、前記継ぎ栓部材22は、前記上下木
材14a、14bの接合時に形成される上下ほぞ孔20
と略同一形状に形成されてなることとしてもよい。
【0007】また、前記上下ほぞ孔20は、壁体10の
内外方向または外内方向へ向けた貫通孔33であること
としてもよい。
【0008】また、前記上下ほぞ孔20は、前記接合面
16の表面側に形成される第1孔幅部34と、該接合面
16から上方向または下方向に位置して設けられ、この
第1孔幅部34より大きい孔幅である第2孔幅部36と
を備えてなることとしてもよい。
【0009】また、前記上下ほぞ孔20は、断面視で上
下対称形に形成されてなることとしてもよい。
【0010】次に、本発明は、基礎12の上面に沿って
横倒し状の木材14を積層させるようにして複数載設さ
せ、各積層した木材14の相互の接合面16を複数の継
手手段18で継手しつつ構築する木造建築物の壁体の構
築方法であって、前記継手手段18は、積層された各上
下木材14a、14bの相互の接合面16から各々凹陥
するように形成され、かつ壁体10の内外、或は外内方
向へ向けて設けられ、それらの上下木材14a、14b
の接合時に相互に上下に連通するように設けられた上下
ほぞ孔20と、上下木材14a、14bを接合させた状
態でこの上下ほぞ孔20に打ち込まれ、打ち込みに伴っ
て上下木材14a、14bを相互に密着する方向に締め
付ける密着緊締部材50とを有し、前記各上下ほぞ孔2
0に密着緊締部材50を打ち込んで上下木材14a、1
4bを継手してなる木造建築物の壁体の構築方法から構
成される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る木造建築物の壁体
は、基礎の上面に沿って横倒し状の木材を積層させるよ
うにして複数載設させ、各積層した木材の相互の接合面
を複数の継手手段で継手して構築させた木造建築物の壁
体であって、前記継手手段は、積層された各上下木材の
相互の接合面から各々凹陥するように形成され、かつ前
記壁体の室内外方向、或は室外内方向へ向けて設けら
れ、それらの上下木材の接合時に相互に上下に連通する
ように設けられた上下ほぞ孔と、該接合時の上下ほぞ孔
に一体的に嵌着し得るように形成され、上下木材の接合
時にこの上下ほぞ孔に壁体の室内側または室外側から打
ち込まれる継ぎ栓部材とを有している。
【0012】木材を横倒しにした状態で、これらを積み
重ねるようにして積層させ、かつ、これらの相互の木
材、すなわち、積層した上下に位置する木材どうしの接
合を低コストで、かつ簡易な接合作業で行ない、さら
に、良好な意匠感を保持し得るような壁体を形成するも
のである。積層した木材のそれぞれの上下に位置する木
材どうしにほぞ孔を形成しておき、接合時に連通、ある
いは連続した孔を形成するようにさせ、上下連続したほ
ぞ孔に嵌着し得るような継ぎ栓部材を壁の横方向から打
ち込み、この打ち込みによる継ぎ栓部材をして上下の積
層木材どうしを密着緊締させ、強度に優れ、かつ、結露
を生じさせない、軽量の壁体を形成させる。積層時の上
下木材としては、建築材として使用される杉、桧等を素
材とし、地面に打設した基礎の厚幅と略同一の長さを一
辺とする、断面が四角形の角材に形成したものが好まし
い。四角材は積み上げた時の安定性に優れ、作業中に木
材が落下するような危険を防止することができる。この
四角材は、一つの壁体を構築する基礎の長さより短いも
のは他の四角材を長手方向へ継手し、基礎の長さより長
いものは切断して基礎の長さに合わせる。上下木材は、
上下面に平滑な接合面を備え、断面が円形、ひし形、六
角形、その他の多角形に形成してもよい。これらの上下
木材の上下面の複数箇所には、上下木材を接合させた時
に上下に連通して上下ほぞ孔を形成する孔が凹陥されて
いる。この孔は、壁体の室内側から室外側へ、或は壁体
の室外側から室内側へ向け木材の幅方向へ穿孔されてい
る。孔は貫通孔でもメクラ穴構成でも良い。上下ほぞ孔
の形状は、このなかに打ち込む継ぎ栓部材と同様の側面
視形状となる。形状は、杵形、鼓形、連結円形、相欠き
形等任意に設定してよい。要は、継ぎ栓部材を打ち込ん
だときに上下木材どうしを密着させ、相互に緊締させる
作用を生じさせるような形状であれば良い。
【0013】この上下ほぞ孔と、上下ほぞ孔に打ち込む
継ぎ栓部材の形状は、上下ほぞ孔に打ち込んだ継ぎ栓部
材で上下木材を接合面へ締め付け得る形状であればよ
い。好適には、上下ほぞ孔は、接合面を基準にして上下
方向へ離隔するにつれ拡径された形状とすることが好適
である。すなわち、上側の木材、或いは下側の木材の接
合面となる開口部分(切欠の表面)から木材の内部側の
ほうが大きく切欠させた状態に形成してある。この状態
であれば、上下に木材を接合させたときに、このほぞ孔
の部分を断面的に見れば、このほぞ孔は略鼓状に連続し
た形で構成されており、これを壁体を構成する場合の横
方向から、この接合時のほぞ孔全体に嵌着し得るような
継ぎ栓部材を打ちこめば、打ち込み動作にしたがって上
下の木材どうしを相互に密着させかつ緊締させるような
作用を行ないながら、打ち込み完了となる。このほぞ孔
は木材の横方向から水平方向(壁体を直交方向に貫通す
る方向)にかけて断面視均一な孔形状で貫通孔或いはメ
クラ穴構成として穿設されていることが、孔(穴)形成
作業、あるいは継ぎ栓部材の製作上好ましい。継ぎ栓部
材は例えば、断面形状が繭形(円形を上下の木材の接合
目地の部分で連結させて対称に形成させたようなも
の)、中細杵形、鼓形、逆台形の接合形、その他上下木
材内部側に拡大した孔に嵌着し得る中くびれ部を有する
ような構成であれば良い。継ぎ栓部材は、上下木材と同
じ木質材を素材として形成するほうが好適である。耐食
性金属、セラミックス、合成樹脂プラスチックその他、
任意の素材で形成してもよい。
【0014】木造住宅等の建設現場において、上下木材
で壁体を構築するときには、まず、基礎の上面に下部木
材を載着してアンカーボルトで下部木材を緊結する。こ
の下部木材の上面に上部木材を載着する。このときに、
上下木材の接合面に上下に連通した上下ほぞ孔が複数形
成される。これらの上下ほぞ孔の室内側、或は室外側の
開口に継ぎ栓部材をあてがって打ち込み、上下木材を接
合面へ締め付ける。次に、上部木材の上面に他の下部木
材を載着し、接合面に連通した複数の上下ほぞ孔に継ぎ
栓部材をあてがって打ち込む。このように、上下木材を
交互に積み上げて接合面の上下ほぞ孔に継ぎ栓部材を打
ち込み継手して所要の高さの壁体を構築することがで
き、熟練した技術も不要であり、壁体の構築作業を簡単
に、作業時間も短時間で構築できる。
【0015】また、前記継ぎ栓部材は、前記上下木材の
接合時に形成される上下ほぞ孔と略同一形状に形成され
てなることとしてもよい。接合した上下ほぞ孔に同一形
状の継ぎ栓部材を簡単に打ち込むことが可能となる。ま
た、継ぎ栓部材を上下ほぞ孔よりやや太目に形成しても
よい。継ぎ栓部材を上下ほぞ孔に打ち込むときに、上下
ほぞ孔の内周面が継ぎ栓部材で圧縮され、継ぎ栓部材で
上下木材を強力に継手することが可能となる。
【0016】また、前記上下ほぞ孔は、壁体の内外方向
または外内方向へ向けた貫通孔であることとしてもよ
い。貫通孔である上下ほぞ孔を上下木材に簡単に加工す
ることができ、また、継ぎ栓部材を打ち込む方向も壁体
の内面側や外面側のいずれも選択することができて作業
性に優れ、作業時間を短縮することができる。また、上
下ほぞ孔は、貫通孔に限ることなく、例えば、壁体の室
内側または室外側から木材の幅方向の中間位置へ穿孔さ
れた孔でもよい。継ぎ栓部材の打ち込み方向が限定され
るが、雨天時等の湿気が上下ほぞ孔から室内側へ浸潤す
るのを防止することができ、上下ほぞ孔の位置で壁体内
を外部環境から確実に遮断することが可能となる。
【0017】また、前記上下ほぞ孔は、前記接合面の表
面側に形成される第1孔幅部と、該接合面から上方向ま
たは下方向に位置して設けられ、この第1孔幅部より大
きい孔幅である第2孔幅部とを備えてなることとしても
よい。第1孔幅と第2孔幅との幅差が大きい程、上下ほ
ぞ孔の上下方向における膨拡部の形状が大きくなり、継
ぎ栓部材で上下木材を強固に連結することができ、壁体
の強度が大きく、耐久性を長期にわたり保持することが
できる。しかし、上下ほぞ孔は、接合面の表面側の孔幅
と同一幅の孔を接合面の上下方向に突設し、その端部に
逆L形に曲折された係止部を有したほぞ孔でもよい。こ
の場合の上下ほぞ孔は、端面視でコ字形やZ字形とな
り、これと同一形状に形成した継ぎ栓部材を打ち込んで
同じく上下木材を強固に連結することができる。
【0018】また、前記上下ほぞ孔は、断面視で上下対
称形に形成されてなることとしてもよい。上下ほぞ孔の
形状が断面視で上下対称であるため、継ぎ栓部材の形状
も同じく断面視で上下対称で、上下位置が限定されるこ
とがなく、上下ほぞ孔に継ぎ栓部材をあてがって打ち込
み作業を簡単に行える。また、上下木材の上下面に開孔
した孔の断面形状が全て同一となり、上下接合面に千鳥
足状に上下ほぞ孔が配置されても、上下木材はいずれか
を反転させれば他の木材と同一木材となり、木材加工も
いずれかの一種類を加工すればよい。
【0019】次に、本発明に係る木造建築物の壁体の構
築方法は、基礎の上面に沿って横倒し状の木材を積層さ
せるようにして複数載設させ、各積層した木材の相互の
接合面を複数の継手手段で継手しつつ構築する木造建築
物の壁体の構築方法であって、前記継手手段は、積層さ
れた各上下木材の相互の接合面から各々凹陥するように
形成され、かつ壁体の内外、或は外内方向へ向けて設け
られ、それらの上下木材の接合時に相互に上下に連通す
るように設けられた上下ほぞ孔と、上下木材を接合させ
た状態でこの上下ほぞ孔に打ち込まれ、打ち込みに伴っ
て上下木材を相互に密着する方向に締め付ける密着緊締
部材と、を有し、前記各上下ほぞ孔に密着緊締部材を打
ち込んで上下木材を継手してなるものである。
【0020】上下木材を継手する上下ほぞ孔と密着緊締
部材との形状は、上下木材の接合時の上下ほぞ孔に密着
緊締部材を打ち込んで上下木材を接合面へ締め付け可能
な形状であればよい。すなわち、この木造建築物の壁体
の構築方法の発明では、継ぎ栓部材は、密着緊締部材と
して構成されている。例えば、接合面を基準にしてそれ
ぞれ上下方向へ拡大するような連続孔をそれぞれの上下
に位置する木材の対応する位置に穿孔して、中くびれ状
の上下に連続するほぞ孔を形成しておき、これに壁体形
成時の壁体の貫通方向、すなわち、壁体と直交する方向
にこのほぞ孔と嵌着し得るような形状を備えた密着緊締
部材を打ち込むことにより、打ち込み動作にしたがっ
て、上下の相互の木材が接合面において密着し、かつ、
緊締させるような作用を生じさせ、これによって、角材
等の木材にほぞ孔を形成し、これに打ち込み嵌着する密
着緊締部材を設け、これを横方向から打ち込み動作する
だけで強度の高い、かつ、断熱性に優れた壁体を構成し
得る。
【0021】このように、上下木材の接合面の上下ほぞ
孔に密着緊締部材を打ち込んで上下木材を密着方向に締
め付けながら継手することにより、上下木材を使用して
強度が大きく、吸湿性、断熱性に優れた壁体を構築する
ことができる。また、上下木材の接合面に密着緊締部材
を打ち込むだけで壁体を構築することができるため、未
熟な作業者でも壁体の構築作業を簡単に、短時間で構築
することができる。
【0022】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の実施例に
係る木造建築物の壁体を詳細に説明する。図1は、本発
明の実施例に係る木造建築物の壁体の屋内側から視た一
部を省略した正面明図である。図2は、上下に接合させ
た上部木材と下部木材との接合状態を示す正面説明図で
ある。図3は、図2に示す上部木材の平面説明図であ
る。
【0023】本発明の実施例に係る木造建築物の壁体1
0は、地面にコンクリート等で打設した基礎12の上面
に沿って横倒し状に木材14を積層させるようにして複
数載設させ、各積層した木材14の相互の接合面16を
継手手段18で継手して構築した木造建築物の壁体であ
って、継手手段18は、積層された各上下木材14、1
4の相互の接合面16から各々凹陥するように形成さ
れ、かつ前記壁体10の室内外方向、或は室外内方向へ
向けて設けられ、それらの上下木材14、14の接合時
に相互に上下に連通するように設けられた上下ほぞ孔2
0と、該接合時の上下ほぞ孔20に一体的に嵌着し得る
ように形成され、上下木材14、14の接合時にこの上
下ほぞ孔20に壁体10の室内側または室外側から打ち
込まれる継ぎ栓部材22とを有している。
【0024】本考案の木造建築物の壁体10は、図1に
示すように、木材を横倒しにした状態で、これらを積み
重ねるようにして積層させ、かつ、これらの相互の木
材、すなわち、積層した上下に位置する木材どうしの接
合を低コストで、かつ簡易な接合作業で行ない、さら
に、良好な意匠感を保持し得るような壁体を形成するも
のである。積層した木材のそれぞれの上下に位置する木
材どうしにほぞ孔を形成しておき、接合時に連通、ある
いは連続した孔を形成するようにさせ、上下連続したほ
ぞ孔に嵌着し得るような継ぎ栓部材を壁の横方向から打
ち込み、この打ち込みによる継ぎ栓部材をして上下の積
層木材どうしを密着緊締させ、強度に優れ、かつ、結露
を生じさせない、軽量の壁体を形成させる。
【0025】図2、図4は、横倒し状の木材を上方に積
層させる場合の1つの上下の位置にある木材を例示する
ものであり、例えば、上下に接合した上方側の上部木材
14aと、下方側の下部木材14bとは、建築材として
多用される杉、桧等のむく材、或は集成材を素材とし、
地面にコンクリートを打設して成型された基礎12の厚
幅と略同一長さを一辺とする四角形の断面を有した四角
材に形成されている。この上下木材14a、14bは、
一つの壁体10を構築する基礎12の長さより短いもの
は他の四角材を長手方向へ継手し、基礎の長さより長い
ものは切断して基礎の長さと略同一長さに形成されてい
る。従って、ログハウスの壁体を構築する太くて長い丸
太に比べ、軽くて簡単に取扱えるため壁体の構築作業時
の危険も少ない。
【0026】これらの上下木材14a、14bは、例え
ば、基礎12の上面に下部木材14bの下面26を載着
して基礎に植設されたアンカーボルトで緊結して固定さ
れている。この下部木材14aの上面24に同一長さの
上部木材14aの下面を載着し、継手手段18で上下木
材を連結させる。この上部部材14aの上面に次の下部
木材14を載着して継手手段18で同様に連結させ、上
部木材14aと下部木材14bを交互に積み上げて所要
の高さの壁体を構築する。上部木材14aと下部木材1
4bとの各上下面24、26は平滑面に形成されている
ため、積み上げ作業中の木材の安定性が高く、積み上げ
中の木材が転落するような危険を防止できる。また、上
下木材の上下面24、26のいずれかに木材の相互で係
合する凸部28と凹部30とを角形材の長手方向に沿っ
て設けてもよい。
【0027】図2、図4に示すように、基礎12の上面
に下部木材14bと上部木材14aとを交互に積み上げ
て密着させ、この密着した相互の接合面16は継手手段
18によって継手連結される。この継手手段18は、上
下ほぞ孔20a、20bと、継ぎ栓部材22と、を備え
ている。上下ほぞ孔20a、20bは、接合した上下木
材14a、14bの端部に近接した位置から上下木材1
4a、14bの長手方向へ間隔Lをおいた位置に順次複
数個が設けられている。上下ほぞ孔20は、構築する壁
体10の室内N側から室外G側へ向けるか、或は室外G
側から室内N側へ向けて設けられ、貫通孔として形成さ
れている。この上下ほぞ孔20は、各木材の幅方向の中
間位置、あるいは終端近傍位置等まで開穴されたメクラ
穴として構成してもよい。他の面からいえば、この上下
ほぞ孔20は、上部木材14aの下面26に上部木材1
4aの内部側へ凹陥された上ほぞ孔20aと、下部木材
14bの上面24に下部木材14bの内部側へ凹陥され
た下ほぞ孔20bとを備えている。上下木材の接合時に
上ほぞ孔20aと下ほぞ孔20bとが接合面16の位置
で上下に連通されて一つの上下ほぞ孔20が形成され
る。
【0028】図1、2において、上下木材14a、14
bを接合させたときに、対応する位置に形成された上下
ほぞ孔20a、20bは、側面視で全体として杵状、或
いは鼓形状に形成されている。このように、接合面側は
くびれた形状とし、木材の内部側にこの接合面側の開口
より大きな切欠幅を有する部分を形成することによりこ
れと同形状の継ぎ栓部材をこれに横方向から打ち込むこ
とで、上下木材を密着させ、かつ、緊締させ得る。上下
ほぞ孔20は全体として接合面側にくびれ部を有し、木
材の内部側に拡大する孔幅を有するような形状であれば
良い。例えば、図3(a)、(b)、(c)、(d)、
(e)に示すように、杵状、繭状、コ字状、Z字状、連
結円形状...その他上下木材を接合させて後述する継
ぎ栓部材を打ち込むことにより相互に密着し、かつ、緊
締させる作用を生じさせるような孔形状であれば良い。
【0029】前述のように、上下ほぞ孔20は、壁体1
0の室内外方向、または室外内方向へ向けた貫通孔33
として形成されている。上下ほぞ孔20を貫通孔33と
することにより、接合面16の上方側に凹陥される上ほ
ぞ孔20aと、接合面16の下方側に凹陥される下ほぞ
孔20bとを上下木材14a、14bのいずれかの上面
24または下面26に、上下木材の幅方向へ木材を切削
させながら簡単に加工することができる。また、継手手
段用の孔を加工した上下木材14a、14bの量産化を
実現することができる。また、上下ほぞ孔20を貫通孔
33とすることにより、後述する継ぎ栓部材22を上下
ほぞ孔20に室内N側または室外G側のいずれかを選択
して打ち込むことができて壁体構築の作業性が高く、作
業能率を向上させ得る。
【0030】図8に示すように、上下ほぞ孔20は、接
合面16の表面側に形成される第1孔幅部34と、該接
合面16から上方向または下方向に位置して設けられ、
この第1孔幅部34より大きい孔幅である第2孔幅部3
6とを備えている。即ち、接合面16の上方に凹陥され
た上ほぞ孔20aは、端面視で逆台形に開孔されてお
り、木材の内部側(図上、上方側)に向かう孔幅が接合
面16側からしだいに拡大している。また、接合面16
から下方へ凹陥された下ほぞ孔20bは、端面視で台形
に開孔されており、この接合面側の第1孔幅部34から
下方側になるにつれて拡大して形成されている。
【0031】このように、上ほぞ孔20aと下ほぞ孔2
0bとが上下連通された上下ほぞ孔20は、接合面16
側の第1孔幅部34が、接合面16より上下方向に離隔
した位置の第2孔幅部36よりも狭幅である。
【0032】図1、2において、上下ほぞ孔20は、断
面視で上下対称形に形成されている。即ち、上下ほぞ孔
20は、上ほぞ孔20aと下ほぞ孔20bとを接合面1
6で接合して壁体10の内外方向の断面視で接合面16
に対して上下対称な形状で形成されている。従って、上
ほぞ孔20aと下ほぞ孔20bは接合面に対して同一形
状となり、上下木材14a、14bの上面または下面の
いずれかに形成する上ほぞ孔20aまたは下ほぞ孔20
bは、上下方向の向きが異なるだけで同一形状の孔とな
って加工が簡単となる。また、木材の上下面に凸部28
と凹部30とを形成しなければ、上部木材14aと下部
木材14bとは、一方を上下に180度反転させて兼用
することが可能となり、上下木材14a、14bのいず
れか一つの種類の木材を使用して壁体を簡単に構築する
ことができる。
【0033】図2に示すように、下部木材14bの上面
に積み上げた上部木材14aの上面24には、下部木材
14bの上面24に設けた下ほぞ孔20bと同一形状の
複数の下ほぞ孔20bが設けられている。この各下ほぞ
孔20bは、下部木材14bの上面の各下ほぞ孔20b
の相互の間隔Lを2等分する位置と上下対応した位置に
順次凹陥されており、この上部木材14aの上面側の各
下ほぞ孔20bも相互の間隔Lをおいて配置されてい
る。また、下部木材14bの下面26においても、上部
木材14aの下面に設けた上ほぞ孔20aと同一形状の
複数の上ほぞ孔20aが設けられている。この各上ほぞ
孔20aは、上部木材14aの下面側の各上ほぞ孔20
aの相互の間隔Lを2等分する位置と上下対応した位置
に順次凹陥されている。
【0034】従って、図2に示すように、下部木材14
bの上面に上部木材14aを積み上げ、この上部木材1
4aの上面に下部木材14bを交互に配置しながら積み
上げて壁体10を構築する。このときに、図1に示すよ
うに、上下ほぞ孔20は、壁体10の各上下木材14
a、14bの接合面16に例えば、千鳥足状に上下面の
相互で各上面24または下面26における位置を相互の
間隔Lの半分長さだけずらした位置に設けている。ほぞ
孔20の配置構成は任意に設定してよい。図2に示す実
施例において、上下に接合させた木材14の上段側を上
部木材14aとし、下段側を14bとしてそれぞれの上
下面に上ほぞ孔20a、下ほぞ孔20bを設けている。
壁体10の構築においては、この上下木材14a、14
bを交互に積み上げて行くものであり、例えば、上部木
材14aの上面には下部部木材14bを接合させて上部
木材14aと下部木材14bとを相互に上面側や下面側
に交互に配置する。
【0035】壁体10は、さらに、接合時の上下ほぞ孔
に一体的に嵌着し得るように形成され、上下木材の接合
時にこの上下ほぞ孔に壁体の室内側または室外側から打
ち込まれる継ぎ栓部材22を有している。図5、6、7
に示すように、継ぎ栓部材22は、上下木材14a、1
4bの接合面16の位置に形成される上下ほぞ孔20に
嵌着するように、上下ほぞ孔20と略同一形状の中くび
れ部32aと、その両側に拡大した拡大部32bを有す
る栓部材32から形成されている。図3において、上下
ほぞ孔20a、20bは、壁体10の横方向、すなわ
ち、壁体を貫通する方向から視て左右側面が内部側へく
びれた形に形成されている。従って、栓部材32も上下
ほぞ孔20と同様に壁体を貫通する方向に視て、例え
ば、室内N側から視て左右側面が内部側へくびれた形
で、壁体の貫通方向に上下ほぞ孔20が形成されてい
る。
【0036】この上下ほぞ孔と、上下ほぞ孔に打ち込む
継ぎ栓部材の形状は、前記した上下ほぞ孔と略同様の形
状であり、上下ほぞ孔に打ち込んだ継ぎ栓部材で上下木
材を接合面へ密着させ、かつ締め付け得る形状であれば
よい。実施例において、継ぎ栓部材は、上下木材と同じ
木質材を素材として形成するほうが好適である。耐食性
金属、セラミックス、合成樹脂プラスチックその他、任
意の素材で形成してもよい。
【0037】上下ほぞ孔20内に打ち込んだ継ぎ栓部材
22は上下ほぞ孔20の第1孔幅部34と係合する部分
がくびれた状態となって上ほぞ孔20a及び下ほぞ孔2
0bから離脱することがなく、複数の継ぎ栓部材22で
上下木材14a、14bを強固に継手することができ
る。すなわち、継ぎ栓部材22を打ち込むに伴って、接
合面16の上下方向(木材内部方向)に位置する拡径さ
れた上下ほぞ孔20の内周面が継ぎ栓部材22の外周面
により接合面16側へ押圧され、上下木材14a、14
bは相互に密着方向に緊締されて壁体全体の結合性が高
く、強度も大きくなる。
【0038】上下ほぞ孔20の形状を上下対称とすると
きには継ぎ栓部材22も同様に断面が上下対称形であ
り、これによって加工が簡単で、いずれの上下ほぞ孔2
0にも兼用して打ち込みできて用いることができる。ま
た、打ち込み作業も迅速に行なえる。
【0039】図2、図4に示すように、上下木材14
a、14bは、その長さが構築する壁体10の長さとな
るように、例えば、木材の長手方向の端部に相互に嵌合
する蟻ほぞ継38を設けて継手しながら壁体10の長さ
と同じ長さに上下木材14a、14bを形成する。従っ
て、短尺な端材等を継手して有効に利用しながら上下木
材14a、14bを安価に形成することができる。継手
する場合には、蟻ほぞ継38に限らず、鎌ほぞ継、金輪
継その他の継手を用いてもよい。
【0040】これによって、上下木材14a、14bを
交互に積み上げながら、その接合面16に壁体10の室
内N側または室外G側に面して形成される上下ほぞ孔2
0に栓部材32を添えながら打ち込んで上下木材14
a、14bを上下方向に継手してゆくものである。ま
た、各栓部材32は接合面16に形成される上下ほぞ孔
20と略同一形状であるため、打ち込んだ上下ほぞ孔2
0にひび割れ等が発生することがなく、上下ほぞ孔に打
ち込んだ栓部材32を介して各上下木材14a、14b
の連結状態を長期にわたり保持することができる。ま
た、継ぎ手部材22で上下接合された上下木材14a、
14bは、雨天時にその吸湿性により膨張しながら接合
面16の間隙を閉鎖する。また、肉厚の大きな角材が断
熱性を備えることで、壁体10内を外部環境から確実に
保護することができる。
【0041】図2、図4において、壁体10の隅部40
においては、積み上げる上下木材14a、14bにおい
て、同一高さで交差状に配置する上部木材14aの相互
の端部及び下部木材14bの相互の端部に相欠き継42
を設け、この相欠き継42の中央位置には、上下に連通
した連結孔44を開孔する。この壁体10の隅部40の
相欠き継42の上面に、他の上部木材14aを交差させ
た相欠き継42を載設しながら上下木材14a、14b
と同様に相欠き継42を複数段に積み上げる。この複数
段に積み上げた相欠き継42の上下に連通する連結孔4
4内に、図9に示すように、縦連結軸46を貫通させて
上端に割り楔46を打ち込んで連結孔44内に縦連結軸
46を固定させている。この縦連結軸46で壁体10の
隅部40に交差状に配置し、かつ積み上げた上下木材を
さらに強固に固定している。
【0042】上記したように、本発明の実施例に係る壁
体10は、基礎12の上面に積み上げる上下木材14
a、14bに角材等を使用して強度が大きく、吸湿性、
断熱性等に優れた壁体を構築することができ、上下木材
14a、14bの接合面16に継ぎ栓部材22を打ち込
むだけで、熟練度も不要であり、壁体の構築作業を簡単
に、作業時間も短時間で構築できる。また、上下木材1
4a、14bや継ぎ栓部材22を住宅構成部材として工
場内であらかじめプレカットした量産化が可能となり、
工業化された生産住宅を実現することが可能である。更
に、上下部材14a、14bの接合面16の上下ほぞ孔
20に継ぎ栓部材22を打ち込むだけで、かすがいのよ
うな外部へ露出する接合部材を使用する必要がなく、構
築した壁体の意匠感も向上する。
【0043】次に、添付図面により、本発明の他の実施
例に係る木造建築物の壁体を説明する。図10は、本発
明の他の実施例に係る木造建築物の壁体10aの一部拡
大正面説明図である。本実施例において、先の実施例と
同一構成部材には同一番号を付し、その詳細な説明は省
略する。本実施例に係る壁体10aは、上下木材14
a、14bを交互に積み上げた各接合面16を複数の継
手手段18で継手して構築した壁体であり、継手手段1
8は、積層した上下木材14a、14bの接合面16に
形成された上下ほぞ孔20と、この上下ほぞ孔20に一
体的に嵌着し得るように形成され、上下ほぞ孔20に壁
体の室内側または室外側から打ち込まれる継ぎ栓部材2
2とを有している。
【0044】本実施例において、接合面16から上方へ
凹陥された上ほぞ孔20aは、端面視で円形に開孔され
ており、木材の内部方向に向かう孔幅が接合面16側か
ら上方側の中間高さ位置にかけて拡径されている。接合
面16から下方へ凹陥された下ほぞ孔20bも、同じく
孔幅が接合面16側から下方側の木材の内部方向となる
中間高さ位置になるにつれて拡径されている。この上ほ
ぞ孔20aと、下ほぞ孔20bとが上下に連通するよう
に形成される上下ほぞ孔20は、端面視で略上下対称な
繭形に形成される。この上下ほぞ孔20に打ち込む継ぎ
栓部材22は、繭形の上下ほぞ孔20に嵌着し得るよう
に、断面が略同一形状の繭形で壁体10aの内外方向へ
貫通された上下ほぞ孔20の長さに近似した長さの栓部
材32に形成されている。
【0045】この栓部材32を上下ほぞ孔20に室内側
或は室外側から打ち込むことにより、繭形の栓部材32
は、その上下膨出部が上ほぞ孔20a及び下ほぞ孔20
b内に嵌着されて離脱することがなく、複数の栓部材3
2で上下木材14a、14bを強固に継手することがで
きる。また、栓部材32を打ち込むにともなって、上下
木材14a、14bの接合面16に凹陥された上ほぞ孔
20aと下ほぞ孔20bとが繭形の栓部材32で相互に
密着方向に緊締されて壁体全体の結合性が高くなり、強
度も大きくなる。本実施例においては、上ほぞ孔20
a、下ほぞ孔20bが端面視で円形であり、継ぎ栓部材
22も端面視で繭形であるため、先の実施例の端面鼓形
の上下ほぞ孔20や継ぎ栓部材22に比べ鋭角突設部が
なく、使用中に継ぎ栓部材22の先端部が破断したりす
ることがない。
【0046】次に、添付図面に基づいて、本発明の実施
例に係る木造建築物の壁体の作用を説明する。図1、図
5、図9に示すように、木造建築物の壁体10を構築す
る場合には、上下面に凹陥され、上下木材14a、14
bを上下接合させたときに上下ほぞ孔20として相互に
連通する複数の上ほぞ孔20a及び下ほぞ孔20bを備
えた複数の上部木材14aと下部木材14b、並びに上
下に積層させて接合面を合わせた状態で打ち込まれる、
上下ほぞ孔20に打ち込む継ぎ栓部材22としての栓部
材32(密着緊締部材)を工場でプレカットして量産し
ておく。また、上下木材14a、14bの長さを壁体1
0の長さに合わせるため、壁体10より短い場合は木材
を継手し、長い場合には切断して壁体10の長さに合わ
せる。更に、上下木材14a、14bの両端に、壁体1
0と交差する他の壁体10とで隅部を構築するため、例
えば、相欠き継42を加工してその中心位置に縦方向へ
向けて連結孔44を開孔しておく。
【0047】そこで、基礎12の上面に植設したアンカ
ーボルト52に連通する孔を下部木材14bに開孔さ
せ、この下部木材14bを基礎12の上面に載着してア
ンカーボルト52で下部木材14bを基礎12に固定す
る。この下部木材14bが木造住宅の土台となり、図示
しない根太を連設して床仕上げを行うものである。次
に、基礎12に敷設した下部木材14bの上面に上部木
材14aを載着する。上部木材14aの下面に凹陥され
た上ほぞ孔20aと下部木材14bの上面に凹陥された
下ほぞ孔20bとが相互に上下連通して接合面16に複
数の上下ほぞ孔20が形成される。この上下ほぞ孔20
は、接合面16側の孔幅が接合面から上下方向、すなわ
ち、上下木材の内部側にいくほど拡径されている。ま
た、栓部材32は、接合面16で接合された上ほぞ孔2
0a及び下ほぞ孔20bに嵌着し得るように、例えば、
接合面16から上下方向へ向けて膨出した膨出部を有し
た鼓形、繭形等の断面形状を有している。
【0048】上下ほぞ孔20が壁体10の室内側から室
外方向へ、または室外側から室内方向へ向けて木材の幅
方向の中間位置まで穿溝された孔である場合には、上下
ほぞ孔20の奥行き深さと略同一の長さを有した込み栓
に形成させた栓部材32を室内側、或は室外側から上下
ほぞ孔20へ打ち込んで上下部材14a、14bを継手
する。上下ほぞ孔20が壁体10の室内側から室外側へ
貫通した貫通孔33であれば、栓部材32は、上下ほぞ
孔20と断面が略同一形状で、貫通孔の長さ、即ち上下
木材の幅方向の長さと略同一長さの栓体形状に形成す
る。この貫通孔に形成された上下ほぞ孔20に室内側ま
たは室外側から栓部材32を打ち込む。この栓部材32
の上下の膨出部が上ほぞ孔20aと下ほぞ孔20bとに
嵌着して上下木材14a、14bを相互に密着方向に締
め付けて継手する。
【0049】次に、上部木材14aの上面に下部木材1
4bを載着し、上下に連通した上下ほぞ孔20に栓部材
32を打ち込んで継手し、順次上部木材14aと下部木
材14bとを交互に積み上げて該栓部材32で継手して
所定の高さの壁体10を構築する。構築した壁体10の
隅部においては、図9に示すように、他の壁体側の上下
木材14a、14bと交差状に相欠き継42で連係さ
れ、上下に積層された複数段の相欠き継42の上下に連
通した連結孔44に縦連結軸46を貫通して上端に割り
楔48を打ち込んで固定する。こように、基礎12の上
面に構築した壁体10の上面には、図11に示すよう
に、屋根54を敷設すると共に、壁体10に入口56
や、図示しない窓口等を開口して木造住宅58として完
成させる。
【0050】従って、積み上げた上下木材14a、14
bの接合面16の上下ほぞ孔20に継ぎ栓部材22とし
ての栓部材32を打ち込んで上下木材14a、14bを
密着方向に締め付けながら継手することができるため、
上下木材14a、14bに建築用木材を使用して強度が
大きく、吸湿性、断熱性に優れた壁体10を構築するこ
とができる。また、上下木材14a、14bの接合面1
6に栓部材32を打ち込むだけで壁体10を構築するこ
とができ、熟練度も不要であり、壁体10の構築作業を
簡単に、作業時間も短時間で構築できる。また、上下木
材14a、14bや密着緊締部材50を住宅構成部材と
して工場内であらかじめプレカットした量産化が可能と
なり、工業化された生産住宅を実現することが可能であ
る。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る木造
建築物の壁体は、基礎の上面に沿って横倒し状の木材を
積層させるようにして複数載設させ、各積層した木材の
相互の接合面を複数の継手手段で継手して構築させた木
造建築物の壁体であって、前記継手手段は、積層された
各上下木材の相互の接合面から各々凹陥するように形成
され、かつ前記壁体の室内外方向、或は室外内方向へ向
けて設けられ、それらの上下木材の接合時に相互に上下
に連通するように設けられた上下ほぞ孔と、該接合時の
上下ほぞ孔に一体的に嵌着し得るように形成され、上下
木材の接合時にこの上下ほぞ孔に壁体の室内側または室
外側から打ち込まれる継ぎ栓部材とを有してなることに
より、積み上げた上下木材の接合面の上下ほぞ孔に継ぎ
栓部材を打ち込んで上下木材の連結強度を保持すること
ができるため、建築用木材を使用して強度が大きく、吸
湿性、断熱性に優れた壁体を構築することができる。ま
た、上下木材の接合面の上下ほぞ孔に継ぎ栓部材を打ち
込むだけで壁体を構築することができ、熟練度も不要で
あり、壁体の構築作業を簡単に、作業時間も短時間で構
築できる。また、上下木材や継ぎ栓部材を住宅構成部材
として工場内であらかじめプレカットして量産化が可能
となり、工業化された生産住宅を実現することが可能で
ある。また、上下部材の接合面の上下ほぞ孔に継ぎ栓部
材を打ち込むだけで、カスガイのような外部へ露出する
接合部材を使用する必要がなく、構築した壁体の意匠感
を向上させ得る。
【0052】また、前記継ぎ栓部材は、前記上下木材の
接合時に形成される上下ほぞ孔と略同一形状に形成され
てなることにより、継ぎ栓部材で上下木材の接合の実効
を確保することができる。また、継ぎ栓部材を同一形状
の上下ほぞ孔内に打ち込んだときに、上下ほぞ孔にひび
割れ等が発生することがなく、上下ほぞ孔に打ち込んだ
継ぎ栓部材を介して上下木材の連結状態を長期にわたり
保持することができる。
【0053】また、前記上下ほぞ孔は、壁体の室内外方
向または室外内方向へ向けた貫通孔であることにより、
上下ほぞ孔の加工が簡単であり、上下木材の量産化を実
現することができる。また、継ぎ栓部材を室内外面の任
意の方向から打ち込むことができて作業性が高く、作業
能率を向上させ得る。
【0054】また、前記上下ほぞ孔は、前記接合面表面
側に形成される第1孔幅部と、該接合面から上方向また
は下方向に位置して設けられ、この第1孔幅部より大き
い孔幅である第2孔幅部とを備えてなることにより、上
下ほぞ孔は、接合面側の第1孔幅部が、接合面より上下
方向に離隔した位置の第2孔幅部よりも狭幅であるた
め、上下ほぞ孔に打ち込んだ継ぎ栓部材は上下ほぞ孔の
第1孔幅部と係合する部分がくびれた状態となって上部
ほぞ孔及び下部ほぞ孔から離脱することがなく、一つの
継ぎ栓部材で上下部材を強固に連結できる。また、継ぎ
栓部材を打ち込むにともなって、上下木材は相互に密着
方向に緊締されて壁体全体の結合性が高く、強度も大き
くなる。
【0055】また、前記上下ほぞ孔は、前記壁体の内外
方向の断面視で、上下対称形に形成されてなることによ
り、上下ほぞ孔は壁体の内外方向の断面視で上下対称形
であるため、加工が簡単であり、上下部材を相互に兼用
することが可能となる。同時に継ぎ栓部材も同様に断面
が上下対称形とすることで同様に加工が簡単で、いずれ
の上下ほぞ孔にも兼用して打ち込みできて迅速に作業を
行なえる。
【0056】次に、本発明に係る木造建築物の壁体の構
築方法は、基礎の上面に沿って横倒し状の木材を積層さ
せるようにして複数載設させ、各積層した木材の相互の
接合面を複数の継手手段で継手しつつ構築する木造建築
物の壁体の構築方法であって、前記継手手段は、積層さ
れた各上下木材の相互の接合面から各々凹陥するように
形成され、かつ壁体の内外、或は外内方向へ向けて設け
られ、それらの上下木材の接合時に相互に上下に連通す
るように設けられた上下ほぞ孔と、上下木材を接合させ
た状態でこの上下ほぞ孔に打ち込まれ、打ち込みに伴っ
て上下木材を相互に密着する方向に締め付ける密着緊締
部材と、を有し、前記上下ほぞ孔に密着緊締部材を打ち
込んで上下木材を継手することにより、積み上げた上下
木材の接合面の上下ほぞ孔に密着緊締部材を打ち込んで
上下木材を密着方向に締め付けながら継手することがで
きるため、上下木材に角材を使用して強度が大きく、吸
湿性、断熱性に優れた壁体を構築することができる。ま
た、上下木材の接合面に密着緊締部材を打ち込むだけで
壁体を構築することができ、熟練度も不要であり、壁体
の構築作業を簡単に、作業時間も短時間で構築できる。
また、上下木材や継ぎ栓部材を住宅構成部材として工場
内であらかじめプレカットした量産化が可能となり、工
業化された生産住宅を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る木造建築物の壁体を室内
側から視た一部省略正面明図である。
【図2】上下に接合させた上部木材と下部木材との接合
状態を示す正面説明図である。
【図3】(a)から(e)は、上下ほぞ孔の種々の態様
構成を示す図である。
【図4】図2に示す上部木材の平面説明図である。
【図5】図1のA−A線断面図である。
【図6】第1実施例に係る継ぎ栓部材の全体斜視図であ
る。
【図7】その縦断面図である。
【図8】第1実施例の上下ほぞ孔の正面説明図である。
【図9】図1のB−B線断面図である。
【図10】他の実施例に係る木造建築物の壁体を室内側
から視た一部拡大正面説明図である。
【図11】本発明の実施例に係る壁体を備えた木造住宅
の正面説明図である。
【符号の説明】
10 木造建築物の壁体 12 基礎 14 木材 14a 上部木材 14b 下部木材 16 接合面 18 継手手段 20 上下ほぞ孔 20a 上ほぞ孔 20b 下ほぞ孔 22 継ぎ栓部材 33 貫通孔 34 第1孔幅部 36 第2孔幅分 50 密着緊締部材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎の上面に沿って横倒し状の木材を積
    層させるようにして複数載設させ、各積層した木材の相
    互の接合面を複数の継手手段で継手して構築させた木造
    建築物の壁体であって、 前記継手手段は、積層された各上下木材の相互の接合面
    から各々凹陥するように形成され、かつ前記壁体の室内
    外方向、或は室外内方向へ向けて設けられ、それらの上
    下木材の接合時に相互に上下に連通するように設けられ
    た上下ほぞ孔と、該接合時の上下ほぞ孔に一体的に嵌着
    し得るように形成され、上下木材の接合時にこの上下ほ
    ぞ孔に壁体の室内側または室外側から打ち込まれる継ぎ
    栓部材と、を有してなる木造建築物の壁体。
  2. 【請求項2】 前記継ぎ栓部材は、前記上下木材の接合
    時に形成される上下ほぞ孔と略同一形状に形成されてな
    る請求項1記載の木造建築物の壁体。
  3. 【請求項3】 前記上下ほぞ孔は、壁体の内外方向また
    は外内方向へ向けた貫通孔である請求項1または2記載
    の木造建築物の壁体。
  4. 【請求項4】 前記上下ほぞ孔は、前記接合面表面側に
    形成される第1孔幅部と、該接合面から上方向または下
    方向に位置して設けられ、この第1孔幅部より大きい孔
    幅である第2孔幅部と、を備えてなる請求項1ないし3
    のいずれかに記載された木造建築物の壁体。
  5. 【請求項5】 前記上下ほぞ孔は、断面視で上下対称形
    に形成されてなる請求項1ないし4のいずれかに記載の
    木造建築物の壁体。
  6. 【請求項6】 基礎の上面に沿って横倒し状の木材を積
    層させるようにして複数載設させ、各積層した木材の相
    互の接合面を複数の継手手段で継手しつつ構築する木造
    建築物の壁体の構築方法であって、前記継手手段は、積
    層された各上下木材の相互の接合面から各々凹陥するよ
    うに形成され、かつ壁体の内外、或は外内方向へ向けて
    設けられ、それらの上下木材の接合時に相互に上下に連
    通するように設けられた上下ほぞ孔と、上下木材を接合
    させた状態でこの上下ほぞ孔に打ち込まれ、打ち込みに
    伴って上下木材を相互に密着する方向に締め付ける密着
    緊締部材と、を有し、前記各上下ほぞ孔に密着緊締部材
    を打ち込んで上下木材を継手してなる木造建築物の壁体
    の構築方法。
JP10124189A 1998-04-17 1998-04-17 木造建築物の壁体及び同壁体の構築方法 Pending JPH11303248A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006040795A1 (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Kabushikikaisha Takahashishinkichi Kenchikukenkyusho 無垢木材結合パネル及びこのパネルに使用する角材
JP2009228257A (ja) * 2008-03-21 2009-10-08 Taisei Corp 耐震壁

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