JPH11293332A - フェロマンガン溶湯の脱炭精錬方法 - Google Patents

フェロマンガン溶湯の脱炭精錬方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱炭反応速度を向上させて極低炭素 (C≦0.
2 wt%) のフェロマンガンの製造を実現すること。 【解決手段】〔wt%C〕≦1.0 の吹錬期に、上記の溶湯
中に、マンガン鉱石、マンガン焼結鉱などのマンガン酸
化物、およびCaOおよび/またはMgOを含有する造滓材
のうちから選ばれる少なくとも1種類を添加し、かつ溶
湯温度を1800℃〜1900℃に維持し、さらに必要に応じて
脱炭の進行に合わせて炉内圧力を1.0 気圧から0.3 気圧
まで減圧していくフェロマンガン溶湯の脱炭精錬方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェロマンガン溶
湯の脱炭精錬方法に関し、とくに高炭素フェロマンガン
溶湯から、〔wt%C〕≦0.2 の極低炭素フェロマンガン
の製造を可能にする脱炭精錬方法を提案する。
【0002】
【従来の技術】中・低炭素フェロマンガンを製造する従
来の技術の中には、いわゆる脱珪法と呼ばれる方法があ
る。この方法はまず、電気炉等において目標炭素含有量
のシリコン−マンガン溶湯を準備し、その後この溶湯に
マンガン鉱石等のマンガン酸化物を添加してシリコン−
マンガン溶湯中のシリコンを酸化除去する方法である。
この方法は、電気炉を使用するために電力コストが嵩む
という問題点がある。
【0003】このような問題点に対し、特公昭55−4213
8 号公報や特公昭57−27166 号公報では、高炭素フェロ
マンガン溶湯を酸素ガスを用いて吹錬する方法、すなわ
ち高炭素フェロマンガン溶湯中に反応炉の炉底羽口から
酸素ガスを吹き込むことにより、溶湯中の炭素を酸化除
去するという方法を開示している。また、特公平3−55
538 号公報では、炉底羽口から不活性ガスを吹き込んで
溶湯を攪拌しつつ、上吹きランスから酸素ガスを吹きつ
けることにより溶湯中の炭素を酸化除去するという方法
を提案している。しかしながら、これらの方法は、次の
ような問題点があった。すなわち、一般にマンガンは、
酸素との親和力が強く酸素ガスにより容易に酸化されて
スラグを形成するとともに、蒸気圧が高いために溶湯温
度の上昇とともに蒸発が活発となり、ヒュームダストと
して系外に飛散しやすい。そのため酸素ガスを単純に溶
湯中に吹き込んだり、吹き付けたりするだけでは脱炭が
困難なばかりか、マンガンの歩留りも低下し、その結果
として中・低炭素フェロマンガンを経済的に製造するこ
とができなくなるのである。
【0004】こうした問題点を解決するために従来、上
述した方法の問題点を克服する方法として、上吹き、底
吹きのガス種やその流量を、吹錬の時期や溶湯温度とと
もに制御する次のような方法が提案されている。例え
ば、特公平1−24855 号公報では、炉底羽口から酸素ガ
スを吹き込んで高炭素フェロマンガン溶湯を脱炭するに
際し、低炭域では酸素ガスに水蒸気および不活性ガスを
混合して吹き込む方法を提案している。また、特公平5
−57349 号公報では、炉底羽口から酸素ガスと不活性ガ
スを混合して吹き込んで溶湯を攪拌しつつ、上吹きラン
スから酸素ガスを吹き付けて高炭素フェロマンガン溶湯
を脱炭するに際し、吹錬の進行に伴って底吹き酸素流量
/底吹き不活性ガス流量を低下させる方法を提案してい
る。さらに、特公平1−36546 号公報や特公平6−2131
8 号公報では、上吹き酸素に不活性ガスを混合して吹き
付ける方法を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の先行提案技術についても、なお次のような解決すべき
課題を残しているのが実情である。一般に、フェロマン
ガン溶湯の脱炭反応は、下記(1) 式で、そしてその際の
平衡定数Kは、下記(2) 式で示すことができる。 (MnO) +[C]=[Mn]+CO …(1) K=aMn・PCO/aMnO ・aC …(2) ここで、ai は成分i の活量、pj は成分j の分圧(at
m) である。平衡定数K、aMn、aC の値は文献の熱力
学データを用いて計算し、そして、下記(3) , (4)式の
条件のもとで平衡[C]濃度と溶湯温度の関係を求める
ことにより、フェロマンガン溶湯の脱炭限界を知ること
ができる。 aMnO =1 …(3) P=PMn+PCO=1 …(4) ただし、上記式においてPは全圧(atm) であり、PMn
その温度でのMnの蒸気圧に等しいとした。以上要する
に、上記式より、フェロマンガン溶湯の脱炭を進行させ
るには、溶湯温度の上昇、CO分圧の低下および酸化マ
ンガンの活量の増加が必要であることがわかる。
【0006】図1の(a) は、平衡[C]濃度と溶湯温度
(℃) の関係を示し、図1の(b) は、そのときのCO分
圧 (PMn) と溶湯温度 (℃) の関係を示すものである。
これらの図によれば、例えば、[wt%C]=1.0 の低炭
素フェロマンガンは、aMnO=1であっても、1800℃以
上の高温と、その際に生成するMn蒸気によりCO分圧が
0.8 atm 以下に低下した条件で溶製が可能になることが
わかる。従って、低炭域でのフェロマンガン溶湯の脱炭
に際しては、大気圧下での吹錬を行うかぎり高温吹錬は
もちろんのこと、歩留り低下の要因となるマンガンの酸
化によるMnOの生成とマンガン蒸気の発生がある程度は
避けられないことがわかる。
【0007】こうした熱力学的考察を踏まえ、極低炭素
フェロマンガンを溶製するための方法として、従来の技
術を検討する。例えば、炉底羽口から酸素ガスまたは酸
素ガスと不活性ガスの混合ガスを吹き込む方法では、上
記のような高温吹錬が必須であることに加えて、羽口近
傍が酸素ガスによる酸化反応熱により一層の高温に曝さ
れることが予想される。従って、羽口の溶損による溶湯
の漏洩を防止するために高度な操業技術を必要とすると
ともに、不活性ガスのみを吹き込む場合と比較して羽口
寿命が著しく低下し、耐火物コストの大幅な高騰が避け
られない。
【0008】一方、上吹きの酸素ガスを不活性ガスと混
合して吹き付ける方法は、最も高温で脱炭が生じやすい
サイトである火点 (上吹きガスが溶湯面に衝突する位
置) が、不活性ガスで冷却されることになるとともに、
もともと火点はマンガン蒸気の発生が大きくCO分圧の
低下が生じていると考えられることから、不活性ガスに
よるCO分圧低下の効果が小さい。
【0009】また、吹き付ける不活性ガスの流量を大き
くして炉内全体のCO分圧を低下させるという考え方も
ある。しかし、この方法については、不活性ガスとして
高価なアルゴンが用いるため、精錬費用が嵩んで経済的
でない。
【0010】一方、速度論的な考察を試みると、低炭域
での脱炭速度は溶湯中酸素の物質移動律速と考えられ
る。その際の脱炭速度は、下記(5) 式のように表され
る。 d[%C]/dt=−K([%C]−[%C]e) …(5) なお、この(5) 式の右辺の括弧内は熱力学的な反応の駆
動力を示す項であり、Kは見掛けの物質移動係数であ
る。さて、上述したように平衡炭素濃度[%C]eという
のは、従来技術の下で小さくすることは困難であり、特
に、低炭素領域では脱炭反応速度が著しく低下する。従
って、高温の低炭素領域で吹錬時間が延長するため、マ
ンガンの酸化および蒸発ばかりが進行し、歩留りの低下
を招くだけでなく、[%C]≦0.2 という極低炭素域ま
での脱炭は事実上困難であることがわかる。
【0011】そこで、本発明の主たる目的は、精錬時の
マンガンの酸化ロスを抑制して、マンガンの歩留りを向
上させることにある。また、本発明の他の目的は、脱炭
反応速度を向上させて極低炭素 (C≦0.2 wt%) のフェ
ロマンガンの製造を実現することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術が抱
えている上述した問題点を解決し、吹錬中のマンガンロ
スが少なく、酸素上吹きによる高炭素フェロマンガン溶
湯から[C]≦0.2 wt%という極低炭素フェロマンガン
を製造するための脱炭精錬方法である。すなわち、本発
明は、反応炉内に収容した高炭素フェロマンガン溶湯の
表面に、酸素含有ガスを吹き付けることにより該溶湯の
脱炭精錬を行うに際し、〔wt%C〕≦1.0 の吹錬期に、
上記の溶湯中に、マンガン鉱石、マンガン焼結鉱などの
マンガン酸化物、およびCaOおよび/またはMgOを含有
する造滓材のうちから選ばれる少なくとも1種類を添加
し、かつ溶湯温度を1800℃〜1900℃に維持して吹錬する
ことを特徴とする、フェロマンガン溶湯の脱炭精錬方法
である。
【0013】また、本発明は、反応炉内に収容した高炭
素フェロマンガン溶湯の表面に、酸素含有ガスを吹き付
けることにより該溶湯の脱炭精錬を行うに際し、〔wt%
C〕≦1.0 の吹錬期に、上記の溶湯中に、マンガン鉱
石、マンガン焼結鉱などのマンガン酸化物、およびCaO
および/またはMgOを含有する造滓材のうちから選ばれ
る少なくとも1種類を添加し、かつ溶湯温度を1800℃〜
1900℃に維持すると共に、脱炭の進行に合わせて炉内圧
力を1.0 気圧から0.3 気圧まで減圧していくことを特徴
とする、フェロマンガン溶湯の脱炭精錬方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】上述したように、フェロマンガン
溶湯, とくに高炭素フェロマンガン溶湯の脱炭反応を促
進するためには、溶湯温度の上昇、CO分圧の低下およ
び酸化マンガンの活量の増加が効果的である。つまり、
このうち溶湯温度の上昇は、反応炉の耐火物の溶損をで
きるだけ抑制するという観点から最小限にとどめるとい
うこの条件下で、酸化マンガンの活量を1に維持した場
合、CO分圧の低下が最も有効になる。そこで、このC
O分圧を低下させる方法について検討するに、例えば、
上吹き酸素に不活性ガスを混合して吹き付ける方法や、
炉内を減圧とする方法等がある。ただし、上吹き酸素に
不活性ガスを混合して吹き付ける方法は前述の問題があ
り、炉内を減圧にする方法については、反応炉内を単に
減圧にするだけではマンガンの蒸発ロスが大きくなると
いう問題が生じる。従って、CO分圧を低下させるため
に、炉内を単に減圧するということによることなく、マ
ンガンの蒸発ロスを抑えつつ脱炭を可能にするという操
業の条件を見い出す必要がある。
【0015】なお、CO分圧の低下を目指すものとし
て、炉内の減圧に合わせて溶湯中に酸化性ガスまたは非
酸化性ガスの混合ガスを供給し、脱炭の進行とともに40
0 〜10トールの範囲内で減圧を強化するという技術が、
特開昭62−116752号公報に開示されている。しかしなが
ら、この従来技術は、目標とする〔wt%C〕が1.0 程度
の中炭素フェロマンガンの溶製を対象としたものであっ
て、本発明が対象としている〔wt%C〕≦0.2 のような
極低炭素フェロマンガンの溶製方法に関する技術ではな
い。
【0016】そこで、発明者らは、さらなる調査および
理論的な検討を行い、炉内を減圧雰囲気として、マンガ
ンの蒸発ロスを極力抑えつつ、〔wt%C〕≦0.2 程度の
極低炭素フェロマンガンを溶製する方法について検討し
た。即ち、発明者らは、大気圧下での酸素上吹きによる
高炭素フェロマンガン溶湯の脱炭吹錬において、ダスト
サンプリングをしてマンガンの蒸発挙動について調査し
たのである。その結果によれば、マンガンの蒸発速度
は、気相側の物質移動律速として下記(6) 式で整理でき
ることがわかった。
【数1】 ここで、WD はマンガンの蒸発量、tは時間、Tは温
度、Pは全圧、MMnはマンガンの分子量、Rは気体定
数、P* Mnはマンガンの蒸気圧である。また、式中のA
は蒸発面積、ζは気相中のマンガンの拡散係数のうち、
温度、全圧に依存しない項、δは気相の境膜厚みであ
る。この(6) 式より、蒸発面積A、および気相の境膜厚
みδが一定の条件では、マンガンの蒸発速度は温度の0.
75乗およびマンガンの蒸気圧に比例し、全圧に反比例す
ることがわかる。
【0017】図2は、上記(2) 式および上記(6) 式よ
り、〔wt%C〕=0.1 、0.2 と平衡する溶湯温度 (℃)
およびマンガン蒸発速度 (kg/min.m2) に及ぼす全圧の
影響を示したものである。例えば〔wt%C〕=0.2 を得
るには、全圧 (炉内圧力) が1atm の場合、2000℃を越
える溶湯温度が必要であるが、その全圧を低下させるに
したがい平衡温度は低下し、0.5 atm.で1840℃になる。
一方、単位面積あたりのマンガンの蒸発速度は、0.5at
m. 程度が極小値 (約1.2 kg/min.m2) となる。このこ
とから、全圧が0.5atm以上の範囲では、〔wt%C〕=0.
2 を得るための溶湯温度の上昇によるマンガンの蒸気圧
の上昇が、全圧低下の影響より大きいことがわかる。
【0018】すなわち、極低炭素フェロマンガンを溶製
する場合、減圧の程度および溶湯温度に最適値があり、
この範囲内に炉内圧力および溶湯温度を制御することが
有効である。従って、〔wt%C〕≦0.2 の極低炭素フェ
ロマンガンを得るための高炭素フェロマンガンの溶製に
際しては、図1にみられるように、〔wt%C〕と平衡す
る温度が急激に増加する〔wt%C〕≦1.0 の範囲は減圧
下で脱炭を行い、図に得られた結果より、溶湯温度を18
00℃〜1900℃に維持しつつ炉内圧力を0.3atm以上とする
ことが最適である。
【0019】一方、上述したように、マンガンの蒸発速
度は気相側の物質移動律速と推定されていることから、
マンガンの蒸発を抑制するためには、炉内を減圧として
も気相側の物質移動量を増加させないこと、すなわち、
浴面上に積極的にスラグを形成し、溶湯表面が気相にさ
らされる面積を減少させることが効果的であると言え
る。
【0020】このとき、スラグ中のMnOの活量が低下す
ると脱炭が進行しにくくなるので、スラグ中のMnOの活
量が1に近くなるよう、造滓材にマンガン鉱石、マンガ
ン焼結鉱などのマンガン酸化物を用いることが肝要であ
る。その他、MnOは塩基性スラグ中でその活量が大きく
なるため、マンガン酸化物以外に使用する造滓材として
は、塩基性酸化物であるCaOやMgOを主成分としたもの
を用いることが望ましい。即ち、これら造滓材の顕熱の
増加および造滓材の分解吸熱により、溶湯温度の上昇が
抑制されるため、造滓材の投入量、投入タイミングによ
って上述の溶湯温度制御が容易になる。従って、造滓材
の投入タイミングは、減圧を開始し、スラグの形成およ
び溶湯温度の制御が必要な〔wt%C〕≦1.0 とし、投入
量は溶湯温度が上述の最適値となるよう決定する。
【0021】なお、本発明方法の実施に必要とされる設
備としては、脱炭用酸素の吹き付けが可能であると共
に、炉内減圧機能および減圧下での造滓材投入機能を付
加した炉であって、例えば、真空脱炭装置(VOD)や
減圧機能を備えた転炉などが適している。
【0022】
【実施例】減圧機能を有する25t上吹き転炉型のフェロ
マンガン脱炭炉での吹錬に適用した例を以下に示す。こ
の脱炭炉の概要を図3に示す。この脱炭炉は、炉体1、
炉口フード2、およびメインランス3から主として構成
されている。前記炉口フード2は、上下に昇降が可能
で、ダクト2aを通じて真空排気装置(図示せず)接続
される。そして、この脱炭炉の炉口鉄皮1aおよび炉口
フード2の下端には水冷フランジ4,4′を設け、炉口
フード2が下降したときは炉体1と炉口フード2a間が
シールされ、炉内を減圧することが可能になるように構
成してある。また、炉口フード2の頂部よりメインラン
ス3が気密にかつ昇降可能に装着され、フェロマンガン
溶湯6に酸素を吹き付けることができるようになってい
る。さらに、炉口フード2には副原料投入口5が設けら
れ、副原料投入装置(図示せず)から造滓材の投入が可
能となっている。
【0023】実際の操業は、以下のようにして行った。
脱炭炉1内に高炭素フェロマンガン溶湯25tを装入し、
炉口フード2を上昇させた状態、即ち大気圧下でメイン
ランス3より酸素を吹き付けて吹錬を開始する。装入し
た高炭素フェロマンガン溶湯あたりの送酸量が75Nm3
達した時点で、炉口フード2を下降させ、炉内の減圧を
開始した。このタイミングは、〔wt%C〕=0.1 に相当
し、過去の操業データより推定した。そして、図4に示
すパターンで炉内圧力を低下させつつ、造滓材として副
原料投入口5からマンガン鉱石およびマグネシアクリン
カーを、装入した高炭素フェロマンガン溶湯あたり40k
g、6kg投入した。そして、装入した高炭素フェロマン
ガン溶湯あたりの送酸量が100Nm3に達した時点で酸素の
上吹きを終了し、冷材投入を行い、その後鋳型へ出湯し
た。なお、吹錬中送酸速度は25Nm3/min 一定とした。こ
れに対し、減圧および造滓材の投入を行わずに吹錬を行
い、装入した高炭素フェロマンガン溶湯あたりの送酸量
が100Nm3に達した時点で吹錬を終了したチャージを比較
例とした。
【0024】表1は、実施例および比較例の吹錬終了時
にサンプリングした溶湯の化学分析値を示すものであ
る。本発明の実施例においては、〔wt%C〕=0.12、
〔wt%Mn〕=80.2と〔wt%C〕≦0.2 が得られていると
同時に、マンガン濃度も高い。一方、比較例において
は、〔wt%C〕=0.24、〔wt%Mn〕=71.5と〔wt%C〕
≦0.2 が得られないばかりか、マンガン濃度も低い。即
ち、本発明法では低炭域で脱炭が進行し、マンガンの蒸
発および酸化によるロスが少なく極低炭素フェロマンガ
ンの溶製が可能であることが明らかとなった。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
〔wt%C〕≦1.0 の吹錬時期において、溶湯中にマンガ
ン鉱石、マンガン焼結鉱などのマンガン酸化物、および
CaOおよび/またはMgOを含有する副原料のうちから選
ばれる、少なくとも1種類を添加して、溶湯温度を1800
℃〜1900℃に維持し、脱炭の進行によって炉内圧力を1.
0 気圧から0.3 気圧まで減圧することにより、脱炭速度
を向上させることができ、ひいては極低炭素フェロマン
ガンを、マンガンの損失を最小限に抑えて溶製すること
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェロマンガン溶湯の温度と炭素濃度の平衡関
係を示すグラフ(a) 、およびフェロマンガン溶湯の温度
とマンガンの蒸気圧を示すグラフ(b) である。
【図2】炉内圧力〔wt%C〕=0.1 、0.2 と平衡する溶
湯温度の関係を示すグラフ(a)、および炉内圧力とマン
ガンの蒸発速度を示すグラフ(b) である。
【図3】本発明における実施例の設備概要を示す模式図
である。
【図4】本発明の実施例における炉内圧力の推移を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 脱炭炉の炉体 2 炉口フード 3 メインランス 4, 4′ 水冷フランジ 5 副原料投入口 6 フェロマンガン溶湯

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応炉内に収容した高炭素フェロマンガ
    ン溶湯の表面に、酸素含有ガスを吹き付けることにより
    該溶湯の脱炭精錬を行うに際し、 〔wt%C〕≦1.0 の吹錬期に、上記の溶湯中に、マンガ
    ン鉱石、マンガン焼結鉱などのマンガン酸化物、および
    CaOおよび/またはMgOを含有する造滓材のうちから選
    ばれる少なくとも1種類を添加し、かつ溶湯温度を1800
    ℃〜1900℃に維持して吹錬することを特徴とする、フェ
    ロマンガン溶湯の脱炭精錬方法。
  2. 【請求項2】 反応炉内に収容した高炭素フェロマンガ
    ン溶湯の表面に、酸素含有ガスを吹き付けることにより
    該溶湯の脱炭精錬を行うに際し、 〔wt%C〕≦1.0 の吹錬期に、上記の溶湯中に、マンガ
    ン鉱石、マンガン焼結鉱などのマンガン酸化物、および
    CaOおよび/またはMgOを含有する造滓材のうちから選
    ばれる少なくとも1種類を添加し、かつ溶湯温度を1800
    ℃〜1900℃に維持すると共に、脱炭の進行に合わせて炉
    内圧力を1.0 気圧から0.3 気圧まで減圧していくことを
    特徴とする、フェロマンガン溶湯の脱炭精錬方法。
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WO2021177021A1 (ja) 2020-03-06 2021-09-10 Jfeスチール株式会社 低炭素フェロマンガンの製造方法

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